GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『トランスフォーマー/ビースト覚醒』感想(ネタバレ)

映画『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

トランスフォーマー』は、日本のタカラトミーアメリカのハズブロが展開している、メディア・フランチャイズ

元々は、トミーと合併する前のタカラが日本国内で展開していた『ダイアクロン』や『ミクロマン』などの変形ロボットの玩具を、業務提携したハズブロアメリカで『TRANSFORMERS』の名称で発売したのが始まり。それがアメリカで大ヒットしたため、『トランスフォーマー』として日本に逆輸入され、シリーズ化されました。車や飛行機といった乗り物や、カメラやカセットデッキといった生活に身近なものが、組み換え無しの完全変形でロボットになる、というのが売りとなっています。

 

アメリカではコミックやアニメ化もされ、アニメは日本でも『戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー』のタイトルでTV放送されました。コンボイがたびたび崖から落ちたり、メガトロン様が理想の上司だったり、作画ミスでキャラがしょっちゅう増殖したりすることでおなじみですね(笑)

そして2007年には、スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮、マイケル・ベイ監督のもとで実写映画化され、斬新でスタイリッシュな映像や、ド派手なスペクタクルシーン、実在する車などが巨大なロボットに変形(トランスフォーム)するインパクト抜群のシーンなどが高く評価されました。映画はシリーズ化し、これまでに第1作~第5作が公開。更にスピンオフ作品の『バンブルビー』が製作・公開され、世界で最も成功した映画シリーズのひとつとして数えられています。

 

もくじ

 

概要

マイケル・ベイ監督の実写映画は上記の点などは評価されましたが、あってないようなストーリー、希薄なキャラクター性、長すぎる上映時間、シリーズが続くごとに進むマンネリ化など、あまりよく思われていない点も多々ありました。

そこで仕切り直しを図ろうと、前日譚であるスピンオフ作『バンブルビー』が製作されることとなり、監督は『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』などで知られるトラヴィス・ナイトへ引き継がれることに(ちなみにベイはスピルバーグと共に製作として携わっています)。それが功を奏したのか映画は非常に好評を博し、それを受け実写映画シリーズはこの映画をベースにリブート、という扱いになりました。僕はベイ監督の「力こそパワー!」って感じの、とにかく大爆発させときゃいいみたいな作風も嫌いじゃない、いやむしろ好きですけどね。

 

そんなこんなで、『バンブルビー』の続編として製作されたのが、本作『トランスフォーマー/ビースト覚醒』になります。

監督は、『クリード 炎の宿敵』などで知られる、ティーヴン・ケイプル・ジュニア

脚本は、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』や『ジョン・ウィック パラベラム』の製作総指揮、『ザ・フラッシュ』の原案などを務めているジョビー・ハロルド、『ソフト/クワイエット』などの脚本を手掛けたジョシュ・ピーターズダニエル・メテイヤー(フィルモグラフィー不明。ごめんなさい)、『バトルシップ』、『RED レッド』、『MEG ザ・モンスター』などのエリック&ジョン・ホーバーが共同で執筆しています。

ちなみに、マイケル・ベイは本作でも製作のひとりとしてしっかり名を連ねています。

 

人間側のキャストは、主演に『イン・ザ・ハイツ』などのアンソニー・ラモスと、『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』などのドミニク・フィッシュバック

そのほか、主人公の母親に『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』でも主人公の母の声を演じているローレン・ヴェレス、主人公の弟にニコロデオンのアニメで主役の声を演じているディーン・スコット・バスケス、主人公の悪友にラッパーとしても活動しているトベ・ンウィーグウェ、といった俳優陣が出演しています。

 

ロボット側のキャストは、オプティマス役をアニメ第1作目より演じているピーター・カレンギレルモ・デル・トロ版『ヘルボーイ』で主演を務めたロン・パールマン、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』などに出演しているピート・デイヴィットソン、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』で主演を務めたミシェル・ヨーら、こちらも豪華なキャスト陣です。

ちなみに日本語吹替版のキャストには、玄田哲章の続投をはじめ、アニメ『ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』でも声優を務めた子安武人高木渉らが久々に出演し、僕ら世代の大きなお友達の間で話題となりました。

 

予告編


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あらすじ

地球をはるか離れた、自然豊かなとある惑星。
金属生命体トランスフォーマーのビースト種族であるマクシマルは、彼らの力の源であるエネルゴンが豊富なこの地を拠点としていました。

そこへ、デストロンを凌ぐほどの強大な力を持つ悪の軍団、テラーコンが攻めてきます。彼らを従えるのは、惑星を食料とするほどの超巨大な存在、ユニクロン(声:コールマン・ドミンゴ)。ユニクロンの狙いは、この星のどこかにあるという時空を超えることが出来る装置、トランスワープ・キーを手に入れ、別の次元の惑星を食らい尽くすことであり、そのためにテラーコンを遣わしたのでした。マクシマルは、故郷の星とリーダーであるエイプリンク(声:デヴィッド・ソボロフ)を喪うも、ユニクロンを時空の狭間へ閉じ込め、キーを持って別の次元へと逃げることに成功します。

時は流れ、1994年のニューヨーク。
地球にいる正義のトランスフォーマー集団、オートボットのリーダー、オプティマス・プライム(声:ピーター・カレン)は、キーが地球にあることを知り、メンバーを招集。悪の手にキーが渡らぬよう、生き残ったマクシマルの新たなリーダー、オプティマス・プライマル(声:ロン・パールマン)たちや、地球人のノア・ディアス(演:アンソニー・ラモス)とエレーナ・ウォレス(演:ドミニク・フィッシュバック)らと協力し、テラーコン軍団を迎え撃つのでした――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

新シリーズの幕開けにふさわしい、最高に楽しい作品でした。
上映時間も2時間ちょいと以前よりかは短く、全体的に非常に見やすい作品になっているような気がします。

 

スーパービッグスケールの映像美

僕は今回、IMAX3D上映の、かなり前寄りの座席で鑑賞したのですが、これがもう、最高過ぎました。本作のようなド迫力の映像を売りにしている作品の場合は特に、視界いっぱいに画面が広がってくれる方が、没入感が高くて好きです(3D上映であれば尚更)。公開したばかりということもあり、ほぼ満席でそこしか取れなかったというのもありますが、むしろ大正解でした。

そーいやつい最近、何かのTVで「見たい映画があっても、一番後ろの席が空いてないと見に行かない」みたいなことを言っている人がいて、ほぇ~僕とは感性が真逆だなぁと思った次第。僕は前寄りの方が「映画を見た!」って感じがして好き、というタイプなので。

あ、あと、ユニクロンが地球に迫ってくるときとかの「ゴゴゴゴ…」って感じの重低音もかなり迫力があったので、鑑賞を予定している方は出来るだけ大きい画面と、出来るだけ良い音質のスクリーンで見た方がより楽しめるのではないかと思います。

 

なんというか、すごく「ちゃんとしてる」

本作はベイ監督の時のような「なんだかよくわからんけどずっと何かが爆発している」ような感じではなく、しっかりと整頓されたストーリーが展開されていると思いました。いや、何度でも言いますが、僕はベイ監督の作風大好きですけどね。

一応『バンブルビー』の続編という立ち位置の本作ですが、バンビーが人間のこと大好き、という点以外は直接的な繋がりは無いので、見てなくても全く問題ないです。前作の主人公、チャーリーが出てきてくれたら興奮必至でしたが、特にそんなことはなく、ちょっと残念。「お前はドライブインシアターで映画見るのやめろ」とか言われてるバンビーがめっちゃ可愛かった…。

 

人間キャラ、いる…?というのもシリーズお馴染みですが、『インディー・ジョーンズ』っぽい謎解き冒険パートがあったり、なぜかちょうど人間だけが通れる大きさのトンネルをわざわざ用意したりと、出来るだけ人間にも活躍の場を与えようという気概は感じました。ノアとエレーナの2人は、なんだかんだずっと活躍していた気がします。マクシマルは遥か昔から地球人と協力してキーを守り続けており、人間と深い信頼関係を持っている、というのも、人間の必要性を強調していて良かったです。

ただ、パワードスーツは正直いらんかったような気がします。あんまカッコよくなかったし…。

 

最高にカッコいいロボットたち

今回登場するトランスフォーマーは、オートボットが5体+α(みんなを輸送するだけのヤツが1体)、マクシマルが4体+α(冒頭で死ぬのが1体)、テラーコン軍団は3体と、要所は抑えつつも数を絞っていて、すごく良かったと思います。数が多いと迫力は増しますが、ひとりひとりにそれなりに見せ場を作らなきゃならなくなる=上映時間が延びる、というジレンマがありますもんね。…まぁ、これまでのシリーズのこと言ってるんですけど。
あれ、結局計10体以上出てるし、意外と多いかも?と思って『最後の騎士王』に出てきたキャラを数えてみたら、善悪合わせて30体以上登場してて「いや出スギィ!」となりました。

各ロボのデザインも、実写らしいゴチャメカ感はありつつ、『バンブルビー』の時のような原作に近いアレンジになっているのが素晴らしい。ホイルジャック(声:クリスト・フェルナンデス)はランチアストラトスからフォルクスワーゲンのミニバスみたいなのに変わってましたが、ゴーグルを付けたような頭部やシートベルトがサスペンダーのようになっていたりと、なかなか良アレンジだと思いました。そんな超カッコいいロボットたちが、いつものギゴガゴ音とともにトランスフォームするシーンは、嫌が応にもテンションが爆上がりします。

各キャラに関しても、オプティマスが「人間なんぞに」って感じで地球人をめちゃくちゃ下に見てるのとか、相変わらず短気で暴力的なのも、とても正義の味方とは思えなくて良かったです(笑)
バンビーは、中盤辺りで一旦殺されて終盤に復活してましたが、人気過ぎて出番減らされたのかな。いやでもむしろおいしいところ全部かっさらってたような気もする。
ノアと友好を深める、本作のもうひとりの主役というべきミラージュ(声:ピート・デイヴィットソン)も、チャラいキャラがなんだか新鮮で良かったです。命懸けでノアを守ろうとする姿にも、グッときました。吹替版は見てないですが、声優を務めたのは藤森慎吾とのことで、いろいろとピッタリなのではないかと。

 

あとはなんと言っても、本作の目玉であるビースト軍団、マクシマルの登場は最高の極み。
ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー』は僕のトランスフォーマー初体験の作品であり、確か生まれて初めて家族以外の人と見に行った映画がビーストウォーズの映画だったこともあって、特に思い入れが強いシリーズです。地元では劇場でしか売ってなかったアメリカ版の玩具を、どうにかがんばって買ったりしたなぁ…懐かしい。

日本では“声優無法地帯”として有名なビーストウォーズですが、本作ではチータ(声:トンガイ・キリサ)とライノックスのセリフがほぼなかったのは少々残念ポイント。チーターはひとことふたことセリフがあったかどうか、ライノックスに関しては喋ってた覚えが無い…。ゴリラオプとエアレイザー(声:ミシェル・ヨー)はよく喋ってたんですけどね。

あとラストバトル以外、マクシマルがロボットモードに変形(マクシマイズ)しなかったのは、個人的にはアリ寄りのアリ。ロボ状態もいいけど、ビースト状態がみんなカッコ良過ぎるんじゃ…。エイプリンクさんのゴリラ状態での腕ソードとか、あまりのカッコ良さに痺れました。もしかして「エネルゴンの影響が強すぎてロボットモードを長時間維持出来ない」という、アニメの設定を踏襲したのかも、と思うとこれまたアツい。

 

めっちゃ強いテラーコン

今回の敵であるテラーコン軍団は、ユニクロンから力を与えられているため、ものすごく強いという設定。人数を3人に絞っているおかげで、咬ませ犬がおらず、みんなちゃんと強く見えたのがとても良かったです。あと何よりデザインがみんなカッコいい。

リーダーのスカージ(声:ピーター・ディンクレイジ)は、マスクが外れた際の顔がなんとなく実写版メガトロンに似ていたように見えましたが、気のせいでしょうか。スカージは終始オートボット軍団を圧倒していたものの、最期は「もう我慢ならん!ぶっこ○したるわ!」ってブチ切れたオプティマスに、腕切り落とされたり溶岩に顔押し付けられたり、散々な目に遭っててちょっと可哀そうになりました。実写シリーズの敵のボスは、最後に残虐非道なオプティマスによって酷い目に遭わされがち。

 

最後はまさかの…

ラスト、ノアはどこかの会社の面接を受けに来た…と思いきや、トランスフォーマーたちとの戦いを見ていたとある組織からの勧誘でした。その組織の名は、G.I.ジョー

いやいや、確かに同じハズブロが展開しているおもちゃのシリーズですけども…。
例えば続編で『G.I.ジョー 漆黒のスネークアイズ』のキャラが合流してきたらめっちゃ興奮するのは間違いないですが、仮面ライダーにいきなりガンダムが出てきても「え、なんそれ…」ってなるのと同じで、「いや、住む世界違いません?」ってなってしまうといいますか。『スネークアイズ』の方はちゃんと単独でケリをつけて欲しいという思いもあって、嬉しいような嬉しくないような、複雑な気持ちになりました。

 

そーいや、『最後の騎士王』のラストで、実は地球の正体はユニクロンだった…!とかやってた気がしますが、それは無かったことになったんですかね。それはちょっと嫌だな…。
まぁ、本作とベイ監督のシリーズとの間には時系列に開きがありますし、その間に何かあったのかも、と思っときましょう。

 

おわりに

こんなもんにしときます。
気になる点もありますが、非常に満足度の高い作品でした。

続編!続編!ってやっていくと、どうしても前作以上のものを求められて、その結果ダラダラと間延びしているように見えたりマンネリ化したり、というのが前シリーズの敗因かと思うので、トランスフォーマーに関しては本作のようにあまり繋がりを気にしない、単独の映画として作った方がもしかするといいのかもなぁと、そんなことを思ったりしました。

とはいえ、続編に期待もしてしまうのが、悲しいSAGA。

ということで、映画『トランスフォーマー/ビースト覚醒』の感想でした。

ではまた。

映画『仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐』感想(ネタバレ)

映画『仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

仮面ライダーギーツ』は、2022年よりテレビ朝日系列にて放送中の、仮面ライダーシリーズ最新作。
キャッチコピーは、「このゲーム、最後に勝ち残るのは、俺だ。」

Fortnite』等の多人数参加型バトルロイヤルゲームや、黒い球体のある部屋に集められてミッションを遂行する某漫画などを参考にしたであろう、多人数のライダーが生き残りをかけたゲームに参加する、熾烈なバトルが描かれているのが特徴となっています。

各ライダーのモチーフには、動物と世界各国のお面が取り入れられており、主人公ギーツは狐面、タイクーンは狸など、個性豊かなライダーが多数登場します。そして、メインキャラ以外は登場してはすぐに退場したりと、非常に入れ替わりが激しいのも、ギーツという作品の大きな特徴です。

 

もくじ

 

概要

キングオージャー』の記事でも書いていますが、本作は毎年恒例の、いわゆる“夏映画”と呼ばれているもの。
遥か未来から来た人物によって仕組まれたゲームをクリアするため、主人公たちが立ち向かっていく、アクション・エンターテインメント作品となっています。

キングオージャーの方は既に感想を書いておりますので、併せてお読みいただけると嬉しいです。

blacksun.hateblo.jp

 

監督を務めるのは、中澤祥次郎
獣拳戦隊ゲキレンジャー』『侍戦隊シンケンジャー』『海賊戦隊ゴーカイジャー』など、数々のスーパー戦隊シリーズでメイン監督を務める、ベテラン監督さんです。ほぼ毎年ゲスト監督として参加している、ニチアサファンにはおなじみのお方ですね。

脚本はTVシリーズと同じく、高橋悠也
仮面ライダーエグゼイド』でニチアサの脚本を初めて担当。劇場版やVシネマなどを含む全ての脚本を執筆し、高い評価を獲得しました。その後は『仮面ライダーゼロワン』のメイン脚本を担当し、ギーツは3回目のメイン脚本となります。

 

キャストは、主演の簡秀吉をはじめ、佐藤瑠雅星野夢奈杢代和人青島心崎山つばさといったTVシリーズでも出演しているメンバーのほか、小貫莉奈藏内秀樹が久々に登場。そしてゲストキャラには、『怪盗戦隊ルパンレンジャーvs警察戦隊パトレンジャー』でルパンイエロー役として出演した工藤遥と、大人気コンビ、チョコレートプラネットの長田庄平が出演しています。

 

予告編


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あらすじ

突如始まった、世界滅亡ゲーム

巨大な世界樹から次々と生み出されるジャマトによって、世界は大混乱に陥っていました。
仕組んだのは、未来で指名手配されている極悪人、メラ(演:長田庄平)とメロ(演:工藤遥)の、“神殺しのメラとメロ”の異名を持つ2人組。

浮世英寿仮面ライダーギーツ(演:簡秀吉)、桜井景和仮面ライダータイクーン(演:佐藤瑠雅)、鞍馬祢音仮面ライダーナーゴ(演:星野夢奈)、吾妻道長仮面ライダーバッファ(演:杢代和人)らは、世界の滅亡を防ぐために奮戦。しかし、ギーツが世界樹へ向けてライダーキックを放ったその瞬間、メラの策略によって、世界樹とともに世界が4つに分裂してしまいます。各ライダーたちも、それぞれの世界へ飛ばされ、散り散りに。さらに英寿も、世界と共に4人に分裂してしまいました。

果たして、英寿を元に戻すことは出来るのか。
そして、ライダーたちはゲームをクリアし、世界の滅亡を防ぐことは出来るのか――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

…の前に、軽くTVシリーズの感想をば。

映画『ギーツ×リバイス』の記事でも書いていますが、ギーツはRCF(リボルブ・チェンジ・フィギュア)というボーイズトイの出来がすこぶる良くて、それきっかけにハマりました。やはりかなり評判がいいようで、劇中に登場したほぼ全てのライダーを網羅するくらいにラインナップが充実しているのも、非常に喜ばしいところ。リバイスとか、強化フォームはおろか初期フォームすら全部出てないですもんね…。エントリーボディセット、3つ買ったのに足りない事態になるとは思わなかったよ…。再販してくれないかな。

 

おもちゃの出来がいいことを抜きにしても、とても面白い作品だと思っていて。

シローやギンペンがいきなり脱落する無常さとかはリアリティを感じさせたし、第1話がひとつのゲームの終わり、つまりある意味で最終回を描いていたことがあとになってわかる構成とか、よく出来ているなぁと思いました。ひとつのゲームをずっと描くのではなく、ゲームが終わってはまた新たなゲームが始まり…というのを何度もやるのも、ここから新展開が始まる、というのがわかりやすくてとても良かったと思います。

 

全体的なストーリーも、かなり面白いと思って見ています。

主人公、英寿の出生の秘密を物語全体の縦軸として機能させていて、なかなか上手いなぁと。そういえばエグゼイドでも、主人公がゲーム病の世界初の感染者だったとか、パラドの正体とか、面白い仕掛けをいくつも用意していましたね。

ただ、景和の闇堕ち展開は、面白いっちゃ面白いけど、もう少ししっかりとした理屈建てが欲しかったかなー、というのが正直なところ。姉ちゃんを失ったとしても、ケケラにそそのかされたとしても、それでも自分のような人をこれ以上生まないために世界平和を願う…というキャラであって欲しかったので、それを覆すだけの理由がちょっと足りないような、そんな気がしました。

あと、タイクーン、ナーゴと最終フォームが登場したので、バッファも出るかと期待したんですが、フィーバー止まりでちょっと残念。まぁ確かにフィーバーは対ライダーでは最強に違いないんですけど。
ギーツの最強フォームであるギーツIX(ナイン)に関しては、歴代最高ってレベルで好みのデザインです。マジカッコいい。

あとこれはすごく個人的な感覚ですが、ツムリ役の青島心さんは、『絶狼 -DRAGON BLOOD-』のヒロインの時はちょっと不快感を覚えるレベルの演技力だったものの(演じたキャラが超絶自己中だったせいかも)、ギーツでは演技力が上がったというよりはキャラと合っていて、あまり不快感は感じなかったです。

 

とまぁこんな感じで、概ね楽しく見させて頂いております。
いよいよ今月で最終回を迎えるギーツ。TVシリーズはどのような形で決着がつくのか。とてもワクワクしています。

 

さて、映画の話をするとします。

映画の方も、しっかりと面白い作品になっておりました。

時系列は、恐らく45話と46話の間かと思われます。ツムリ(演:青島心)が元の姿に戻ってたり、そのくせ英寿は元の姿のままだったり、景和が闇堕ちしていなかったり、姉ちゃんこと桜井沙羅(演:志田音々)が元気だったりと、TV版と若干の齟齬があるような気がしましたが、まぁそんなのはいつものことなので些細なもんです。パラレル的なヤツなのかも、と思って見ればヨシ。

 

個人的に、那覇仮面ライダーロポ(演:小貫莉奈)がすごく好きなキャラだったので、再登場してくれてとても嬉しかったです。それと、現在歴代最高齢(※初変身時の年齢)のライダーである、丹波一徹仮面ライダーケイロウ(演:藏内秀樹)も再登場してくれました。恐らく“あのキャラが登場する展開”のために呼ばれたのでしょう。

ゲストキャラに関しては、メロこと工藤遥ちゃんが最高だというのは既知の事実だとして、メラが変身する仮面ライダーX(クロス)ギーツが、思った以上に良かったです。Xは10(テン)=ギーツIX(ナイン)の更に先、という意味合いなのでしょうが、某SNSの件もあって、なかなかタイムリーなネーミングだなぁと。カラーリングはまんまドライブタイプネクストやん、と最初思いましたが、ギーツをネガポジ反転させたものだと思うと納得出来ますし、陽気なキャラも意外とすんなり受け入れられました。

 

ストーリーは、可も無く不可も無く、といった感じ。

分裂した4人の英寿は、非常にコミカルで楽しかったです。秀吉くん、あんな演技出来たんだ…というのは新しい発見でした。英寿の強さの秘訣である、力、知恵、運をメラに奪われ、あとは残りカスしかないと思われていたけれど、最後に残った“心”こそが、英寿を英寿たらしめている、という展開には、素直にグッときました。

 

映画オリジナルフォームであるギーツワンネスも、なかなかカッコ良かったです。まさかのてんこ盛りフォームとは、少々驚きました。公開日までシルエットのみで姿が隠されてましたが、どうせすぐに公式ネタバレしてくるんだろうなと思い、あえて最新話を見ない状態で映画を見てきたのですが、案の定46話だかのOPで思いっきりネタバレしてたので、いやーナイス判断でした。

超絶どうでもいいですが、「ワンネス」がフォントによって「クソネス」にみえるとき…あるよね?

ほら、見えるでしょ?

近年恒例となっている、次作の仮面ライダーのお披露目も、本作の目玉のひとつ。
新たなヒーローの名は、仮面ライダーガッチャード
苦戦するケイロウのもとに現れ、ライダーパンチのような必殺技を繰り出してました。蒸気のようなエフェクトを纏って突進していく姿は、非常にカッコよかったです。

カードを使用するのは仮面ライダーディケイドを思わせるし、2枚の組み合わせで変身するというのは仮面ライダーWっぽく、どことなくポップな雰囲気は仮面ライダーエグゼイドの系譜を感じさせます。仮面ライダー1号に似たマスクを、ゴーグルを上にずり上げるように展開すると矢印の形をした複眼が出てくる、というデザインも面白いですね(伝わらないと思うけど見ればきっとわかる)。ブルーメッキのボディも非常にキレイでした。メンテナンス大変そう…。

とにかく、次はどのような作品になるのか、非常に楽しみです。

 

おわりに

なんか中途半端な気もしますが、これ以上書くことも無いので、この辺にしときます。

TVシリーズを見てないとついていけないわけではないので、普段見てないお父さんもお子さんと一緒に楽しめると思いますし、見たことないけど気になる…という大人の方でも、きっと楽しめると思います。夏休みの思い出に、鑑賞してみては。

ということで、映画『仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐』の感想でした。

ではまた。

映画『王様戦隊キングオージャー アドベンチャー・ヘブン』感想(ネタバレ)

映画『王様戦隊キングオージャー アドベンチャー・ヘブン』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

王様戦隊キングオージャー』は、2023年よりテレビ朝日系列にて放送中の、スーパー戦隊シリーズ最新作。

モチーフは意外にも戦隊初となる、昆虫。まぁ、仮面ライダーがずっと使ってきたモチーフですからね。最近は昆虫以外のモチーフのライダーも増えてきましたし、戦隊も満を持してモチーフとして使ってみよう、って感じですかね。それと名前の通り、メンバーが全員王様である、というのも大きな特徴です。

5つの王国からなるファンタジー世界を舞台とし、戦隊のセオリーをぶっ壊しまくった前作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』や前々作『機界戦隊ゼンカイジャー』と比べ、比較的王道な作りになっています。とはいえ、いきなり巨大戦をやってみたり、撮影側でいうとLEDウォールと呼ばれる超巨大なLEDディスプレイにCGなどで作った背景を映し出し、あとから合成をせずともCGの背景と同時に撮影を行うことの出来る、バーチャルプロダクションと呼ばれる技術を本格的に導入するなど、様々な新しいことにも挑戦しています。

 

もくじ

 

概要

本作はニチアサ恒例となる、お子さんたちが夏休みに入ったタイミングでライダーの映画と同時上映にて公開される、いわゆる“夏映画”と呼ばれるものになります。

例年通り、戦隊パートの上映時間は、わずか30分。TVの1エピソード程度の短さです。しかし、過去にはこの限られた時間でしっかりと特別感を出しつつ、作品のテーマを描ききっている名作も確かに存在しているので、ベテランの特撮オタクたちはその辺を楽しみにしていたり、していなかったり。

 

監督を務めるのは、上堀内佳寿也
助監督やVシネマの監督などを経て、TVシリーズでは『仮面ライダーエグゼイド』にて監督デビュー。その後は『騎士竜戦隊リュウソウジャー』などの数々の作品で監督を務めているお方です。近年では『特捜9』などのTVドラマの監督もやっているようです。

脚本を書いているのはTVシリーズと同様、高野水登
賭ケグルイ』や『真犯人フラグ』など、TVドラマの脚本を多く担当しており、ニチアサでは『仮面ライダーゼロワン』の23、24話の脚本を担当して以来。メイン脚本はキングオージャーが初となります。

 

キャストは、酒井大成渡辺碧斗村上愛平川結月佳久創池田匡志といったレギュラーメンバーのほか、ゲストキャラに声優の佐倉綾音、旦那がアレな雛形あきこ、そして歌舞伎俳優の中村獅童が出演しています。

 

予告編


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あらすじ

遂にシュゴッダム王国の王となった、ギラ・ハスティークワガタオージャー(演:酒井大成)。そして今日は、彼の戴冠式の日。

ヤンマ・ガストトンボオージャー(演:渡辺碧斗)、ヒメノ・ランカマキリオージャー(演:村上愛)、リタ・カニスカパピヨンオージャー(演:平川結月)、カグラギ・ディボウスキハチオージャー(演:佳久創)ら各国の王たちも招かれ、式は盛大に執り行われようとしていました。

そこへ突如現れたのは、ギラの幼馴染である、死の国ハーカバーカの使者、デボニカ(演:佐倉綾音)。
シュゴッダムでは、王位即位の際に先祖へ挨拶をするのが習わしとのことなので、デボニカに案内され死者の国へと行くことになったギラたち一行。ジェラミー・ブラシエリスパイダークモノ(演:池田匡志)もちゃっかりついてきています。

そこでは、シュゴッダム初代国王、ライニオール・ハスティ(演:中村獅童)が出迎えてくれます。しかし、彼はギラに王は務まらない、これから起こる大厄災からこの星を守れるのは自分だけだと言い、現世に蘇るためにデボニカの命を奪おうとします。

果たしてギラたちは、ライニオールを止めることが出来るのか。
そして、ギラが思い描く王の姿とは――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

…の前に、TVシリーズの感想を少々。

個人的なアレですが、ここ数年、ライダー、戦隊、ウルトラマンといった日本の特撮作品をリアルタイムで視聴しない日々が続いていました。とりあえず録画だけしておいて、あとでまとめて見よう、みたいになっていたんですよね。でもそうすると、僕の性格上いつまでたっても見ない、ということに最近ようやく気付きまして。ゼンカイやドンブラ、ライダーだとリバイス、ウルトラだとタイガ以降を全く見れていなかったりします。

なので、『仮面ライダーギーツ』からはちゃんと毎週見ようと。流石に朝起きてリアタイキメるまではいかないですが、録画してなるべく次の回が放送されるまでには見るようにしています。キングオージャーも、毎週しっかり見させて頂いております。あと、『ウルトラマンブレーザー』も毎週欠かさず見ています。ブレーザー、ヤバイくらいに面白くてマジヤバイ(語彙力)

 

で、キングオージャーが本当に楽しい。歴代戦隊の中でもかなり上位に食い込むくらいに、今のところお気に入りの戦隊になっています。

なんでこんなに好きなのか自分の中で考えて見たときに思ったのが、キングオージャーはほぼ『金色のガッシュ!!』なんですよ。僕にとって、もっとも泣ける漫画といえば、某海賊王を目指す作品より、圧倒的にガッシュなんですよ。読むたびに涙が枯れるほど泣くし、なんなら思い出すだけでも泣けてくるんすよ。「きんいろ」じゃない、「こんじき」なんですよ…!
特に推しメンのキャンチョメの別れのシーンは、初めて読んだとき泣きすぎてしばらく放心状態になるくらい…って思いだしたらまた涙が…(号泣)

とりあえずガッシュは全人類読んでくれ…頼む…。
ガッシュ2』も連載中なので、そちらもぜひ…。

↑このガッシュ完全版と2の表紙を敢えて同じ構図にしてるのとかもイイ…。

 

止まらなくなりそうなのでこの辺にしときますが、「各々に理想とする王の姿があって」、「彼らが時に探り合いながら」、「共通の敵が現れたときには団結して立ち向かう」、といった感じで、キングオージャーとガッシュは共通点がかなり多いと思っていて。だからこそ、キングオージャーはすごく僕の琴線に触れるんですよね。

もちろん、僕がキングオージャーを好きなワケはこれだけではありませんが、あんまり書くとキリがなくなってくるので、「女の子たちもスッゴイかわいくて面白いよ!」とだけ言っておきます(今までの話は何だったのか)

 

ようやく映画の話

映画は恐らく、第20話~22話の間、ギラがラクレスに勝利し、王となった直後辺りを描いていると思われます。

「先祖に挨拶する」という話にすることで、「初代国王を登場させる」という特別感を演出しているのが上手いなーと。お彼岸ともかけてるのでしょうか。
ギラ以外のキャラについても抜かりは無くて、TVの方で「先代に反乱を起こして王位を奪い取った」ことが語られていたカグラギと、先代国王のイロキ(演:雛形あきこ)との因縁とか、死別した両親と再会するヒメノとか、裁いてきた罪人たちからの恨みを人知れず恐れていたリタとか、死の国ならではのエピソードがそれぞれに用意されていて好印象でした。ヤンマだけは特に無い、というのもまたいいな、と。

普段はクールに振舞ってるのに、「出口が無い!」ってバンザイしてパタパタ走ってきたり、ヤンマに引っ張られてコロリーンってするリタ様は、悶絶級の可愛さでした。やめてくれカカシ。そのギャップは僕に効く。
きらびやかで前髪パッツンなヒメノ様も、お人形さんみたいでホント可愛い。最高。

 

何より、ギラがいよいよ名実ともに王様となったタイミング、そしてTVシリーズが後半に差し掛かろうというこのタイミングで、ギラの理想とする王の姿が高らかに宣言される。これが本当に、胸に突き刺さりました。「生きることは地獄だ」と言い切る姿にはこれまでの壮絶な人生を想像させるし、そこからの「小さな幸せこそ守る、それが俺の目指す王だ!」という言葉には、鳥肌ブワーってなるほどに感動してしまいました。

なんというか、僕の「こういう戦隊が見たい」という願望をそのまま形にしたような、本当に素晴らしい作品だなぁと。この映画がというか、キングオージャーという作品自体の話ね。いやまぁ、この映画もそうした作品性が色濃く出ていると思うので、映画の話をしてるのと同義なんですけど。

 

映画だけの特別なフォームとかも無かったですし、ロボ戦もありませんでしたが、全く問題なし。むしろそういうのを削ってでも描くべきところを描いてくれたので、英断だと思います。最後はライニオールもギラたちの力を認め、この星の命運を託すわけですが、始めからギラたちを試していたのかな、とも思わせる感じになっていたのがまた上手いなーと。

TVシリーズの方は遂に最強ロボが登場しそうな雰囲気ですし、これからも目が離せませんな。

 

おわりに

上映時間30分とは思えないほどに、満足度の高い作品でした。始めはギーツとまとめて書こうと思っていましたが、思ったより書きたいことが多かったので、個別の記事にさせて頂いた次第。…とか言いつつ、映画自体の感想はかなり少ないような気もしますが。

同時上映のギーツの方も、後程感想をアップさせて頂きたいと思っております。

ということで、映画『王様戦隊キングオージャー アドベンチャー・ヘブン』の感想でした。

ではまた。

映画『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』感想(ネタバレ)

映画『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

007』シリーズと並んで、スパイ映画の金字塔となっている『ミッション:インポッシブル(M:I)』シリーズ。
その最新作となるのが、本作『デッドレコニング』です。

PART ONE』とついている通り、本作のみで完結せず、シリーズ初となる前後編の2部作構成で、人類全体を脅かすほどの強大な相手と立ち向かう、スパイ・アクション超大作となっております。

 

“Dead Reckoning”は日本語では“推測航法”といい、起点や進んだ距離などから現在の位置情報を推測する、船や飛行機の運航などに用いられる航法のことを指すんだそうです。カーナビのGPSなどでも利用されているんだとか。トンネル入ってもナビが問題なく動いているのは、コレのおかげっぽいです。

本作においては、「主人公の過去を起点とし、進むべき道を探っていく」という、これまでのシリーズの集大成的な意味合いとなっています。

 

もくじ

 

概要

このシリーズは、1960年代~70年代にかけて放送されていたアメリカのTVドラマシリーズ、『スパイ大作戦』がベースになっている、というか一応続編という扱いになっているらしいです。僕が生まれる遥か前にやっていたシリーズなので、全然知りませんでした。

映画の方は1996年に第1作目が公開され、『ターミネーター2』や『ジュラシック・パーク』を超えるほどの興行収益を記録。映画の大ヒットを受けシリーズ化され、これまで6作の映画が製作されてきました。

 

主演、及びシリーズ通して製作を務めるのが、皆さんご存じの大スター、トム・クルーズ
キレイな顔してるだろ。ウソみたいだろ。あのルックスで、60歳超えてるんだぜ。

「明言を汚すな」という声は聞かないことにします。(『タッチ』より)

近年では、彼の名を一躍有名にした『トップガン』の続編、『トップガン マーヴェリック』の大ヒットも記憶に新しいですね。

監督・脚本・製作を務めるのは、クリストファー・マッカリ―
「優れた脚本の映画と言えば?」と映画好きに聞くと必ずと言っていいほど名前が挙がるほどの名作、『ユージュアル・サスペクツ』の脚本を書いたお方です。トムとは2012年の『アウトロー』で初タッグを組み、『ローグ・ネイション』以降のM:Iシリーズ全てで監督を務めています。

その他のキャストには、『キャプテン・アメリカ』シリーズ等でペギー・カーターを演じたヘイリー・アトウェル、1作目から主人公の頼れる仲間を演じているヴィング・レイムス、コミカルなおじさん役で至る所に出演しているサイモン・ペッグ、『レミニセンス』や『DUNE/デューン 砂の惑星』などに出演しているレベッカ・ファーガソン、『マイアミ・バイス』『NYPDブルー』『クリミナル・マインド』などの多くのTVドラマに出演しているイーサイ・モラレス、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのマンティス役で知られるポム・クレメンティエフなど、豪華な俳優陣が出演しています。

 

余談になりますが、僕は正直あんまりこのシリーズが好きじゃない時期がありまして。

2作目の『M:I-2』の時が顕著だったと思うのですが、トムのナルシズムが前面に出すぎているような気がして、イキリ散らしている感じというか、オレツエー感を強く感じてしまったといいますか。それがすごく鼻について、トムとこのシリーズをちょっと嫌いになってしまった…そんなふうに考えていた時期が、僕にもありました。

なぜか今回は漫画からの引用が多め。(『バキ』より)

ですが、以降の3作目の『M:I:III』や4作目の『ゴースト・プロトコル』ではそういうのが薄れてきたように見えたのと、トムが年齢とシリーズを重ねるごとにどんどん無茶苦茶なアクションに挑戦しているのが単純にすごいと思い、最近はだいぶ好きになりました。トムがサイエントロジーとかいう怪しげな宗教に傾倒しているのは、ちょっと心配になりますけども。

とか言いつつ、5作目『ローグ・ネイション』と6作目『フォールアウト』は見た記憶が無かったり…。『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』の時みたく、本作を見る前に過去作おさらいしてから行こうと思ったんですが、アマプラ見放題になかったので断念。…ってあれ、改めてチェックしてみたら全部見れるっぽいな…見間違いだったかな?まぁいいや、いずれ見よう。

本作には過去作に登場したキャラとかも出てきますが、特に見てなくても問題は無かったです。

 

そーいや、本作の撮影中、一部スタッフの新型コロナウィルスへの対策が不十分だったことに対し、トムが「F○ck」などのワードを連呼して激しく叱責した、というのが一時期話題になりましたね。もしかすると、トムとスタッフとの間で、映画にかける熱量に差があったのかもしれません。いつ事故ってもおかしくない(というか事故ってる)アクションをスタント無しでやっているトムは、誇張抜きで「命懸けて」ますもんね。

とはいえ、撮影中でいろいろナーバスになっていたのかもしれませんが、この行動はちょっと迂闊だったかな、と。こうして一挙手一投足が全てニュースになってしまうのは大変だなーと思いますが、それを自覚したうえで行動する必要があったのかなぁとも思いますしおすし。ま、外野がワーワー言うとるだけですけどね。

 

あ、あとあと、本作のプロモーションのために親日家でもあるトムが来日する予定だったものの、現在も続いている俳優や脚本家らの大規模なストライキの影響で、急遽来日がキャンセルされる、という一件もありましたね。コロナ禍もようやく落ち着いて、映画産業もこれから盛り返していこう、というこのタイミングで起こすことないのに…というのは、僕だけでなくみんな思っているようですね。どうやらストは年末まで続く可能性もあるとのことですし、その間は撮影もストップしてしまうらしいので、少なくとも来年公開予定の『PART TWO』は延びそうな予感…。本作が無事に公開されただけでも良かったと思うべきか。

 

予告編


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あらすじ

どこかの国の、海底。

試験運用中のロシアの次世代潜水艦、セヴァストポリは、高度なAIを用いた新型の航行システムを搭載し、敵に絶対に探知されない、最強の軍艦となることを期待されていました。しかし、突如AIが暴走を始め、自ら発射した魚雷によって、艦は沈没。消息不明に。
乗組員は全員死亡し、十字架をかたどった謎の2本の鍵だけが残されました。

IMF(インポッシブル・ミッション・フォース)のメンバー、イーサン・ハント(演:トム・クルーズ)は、CIA長官、ユージーン・キトリッジ(演:ヘンリー・ツェニー)より、その鍵の奪還を命じられます。セヴァストポリ号に搭載されていたAIは“それ=エンティティ”と呼ばれ、ネットワークに侵入して学習を続けた結果、世界中のあらゆる情報、金融、防衛などを操作することの出来る、全人類にとっての脅威となりうる存在にまで成長していました。そして、2本の鍵はエンティティを制御するための、文字通り“カギ”になるものであることが語られます。

イーサンは、凄腕ハッカールーサー・スティッケル(演:ヴィング・レイムス)、技術屋のベンジー・ダン(演:サイモン・ペッグ)、元MI6エージェントのイルサ・ファウスト(演:レベッカ・ファーガソン)らチームのメンバーと共に、鍵を手に入れるべく行動を開始。

その中で、イーサンの過去に深い関わりを持つ謎の男、ガブリエル(演:イーサイ・モラレス)の影がちらつき始めます。イーサンがIMFへ入るきっかけを作ったというこの男よりも先に鍵を手に入れ、エンティティの暴走を止めることが出来るのか――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

文句なしに楽しい、アクション・エンターテインメント作品でした。

ですが、ここまで約3000字ほどかけて長々と前置きを書いてきたのは、「とってもたのしかったです」以外に特に感想が無いからだったりするのです…。面白くない訳では断じてなく、何も考えずに見てもアクションを堪能するだけでお釣りがくるくらいの、いうなれば僕が一番好きなタイプの映画でした。

 

映画でも現実でもトムの敵は…

概要でも軽く書きましたが、現在、俳優や脚本家が起こしたストライキの真っただ中です。

その原因となったのは、動画配信サービスと、AIの台頭。
作品が映画館で公開されれば、その興行収入に応じた報酬が、俳優陣に支払われます。また、Blu-rayなどの媒体が発売された際にも、売り上げに応じて報酬が支払われます。しかし、動画配信サービスでの配信に関しては、それらに比べ俳優が貰う報酬が非常に低いのだとか。動画の再生数は基本的に公表されませんし、サービスを提供する側(ネトフリやアマプラなど)のさじ加減ひとつ、ということなのでしょうか。知らんけど。
ビデオなどが発売される際に俳優陣にお金が入る仕組みもストライキによって勝ち取ったものだそうで、今もそうした時代の移り変わりの時期なんでしょうね。早いとこ双方納得する形で決着がついて欲しいものです。

AIに関しては、自身が執筆した脚本がAIの学習に使われること、また俳優が演じなくてもAIが作成した映像で映画が作られること、これらに俳優や脚本家は反対しているのだとか。エキストラ雇わなくてもAIに映像作ってもらえばいいやーみたいになったら、エキストラ俳優たちはそりゃたまったもんじゃないですわな。

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そして本作でも、AIが人類の脅威として描かれています。過去にも『ターミネーター』や『マトリックス』などで機械が反乱を起こす映画は作られてきていますが、いよいよそれが現実になってきた感がありますね。しっかしこの計ったようなタイミング、トムたちの“意志”のようなものを感じざるを得ない…。どう考えても現実とリンクさせてるでしょこれ。

 

素晴らしいアクションの数々

とまぁ、そんな小難しいことを考えずとも、本作(というか本シリーズ)は十分に楽しめるよう作られています。

なんといっても、トムのスタント無しのアクションは本当にすごいとしか言いようがない。どうして還暦過ぎてるのにあんなに早く走れるのか、不思議でならないよアタシは。

 

超高層ビルの壁面に命綱なしで張り付いたり、ビルからビルへ生身で飛び移ったり、離陸する飛行機の側面に生身でしがみついたり、毎回目玉となるアクションシーンを用意しているのも、本シリーズの特徴のひとつ。今回の目玉は、バイクで崖からジャンプし、しばらく滑空したのちに、パラシュートで走行中の列車に降り立つ、というもの。予告とかでさんざん見てますが、やっぱりとんでもないシーンでした。ただ、わざわざあんな高いところからダイブしなくても…と思うと、トムがやりたいアクションを強引にストーリーにねじ込んだように思えてしまうのと、その後の降着シーンはちょっと荒唐無稽でギャグっぽくなっていたので、ちょっとすごさが目減りしてしまったような、そんな印象を受けました。

 

クライマックスの落ちていく列車から脱出するシーンも、さながらステージクリア型のアクションゲームのようで、大変見応えがありました。床に油が流れ出して滑ってうまく進めないとか、車両が落ちる衝撃で一瞬無重力になるとか、グランドピアノが落ちてくるのをすんでのところで回避するとか、各車両ごとに違ったギミックが仕込まれていて、見ていてすごく楽しかったです。

走行中の列車の側面にしがみつくとか、落ちる車両からギリギリ飛び移って片手一本で体重を支えるとか、さも当たり前のようにやってますけど、いや当たり前じゃねぇからな!

マジでどういう生活送ればあんなに若々しさを保てるのか…。今後ともトムには大きなケガとかしないように頑張って欲しいです。

 

物語は続く

最終的に鍵はイーサンの手に。しかし、イーサン自身が言っていたように、鍵を手に入れることは始まりに過ぎず、ここから物語は核心、『PART TWO』へ…というところで、本作は幕を閉じます。とはいえ、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のようなブツ切りという感じではなく、ちゃんとひと区切りついていたのは好印象。続きは今のところ来年6月公開予定との事ですが、実際いつになることやら。何はともあれ、公開を楽しみに待ちたいと思います。

 

おわりに

そのほか、黄色いフィアットでのカーチェイスシーンがちんまくて可愛くてチョロQみたいで良かったとか、ガブリエルの部下、パリス(演:ポム・クレメンティエフ)が結構出ずっぱりで服装もバリエーション豊富で最高に魅力的だったとか、前作にも出演してたらしい武器商人のアラナ・ミツソポリスホワイト・ウィドウ(演:ヴァネッサ・カービー)がすごい愛嬌があって良かったとか、まだまだ言いたいことはありますが、この辺にしときます。意外といっぱい書けました。

特に大きな不満も無い、非常によく出来た作品だと思います。細かいことは抜きにして、肩肘張らず、ポップコーンとコーラを手に、トムの超人的なアクションをぜひご堪能あれ。

ということで、映画『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』の感想でした。

ではまた。

ドラマ『シークレット・インベージョン』感想(ネタバレ)

Disney+にて配信中のドラマ『シークレット・インベージョン』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2023/07/29:思い出した点を追記しました。

マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

本作は、MCUにおいて非常に重要な立ち位置のキャラクター、ニック・フューリーを主人公としたドラマ作品になります。
誰も信用出来ない状況の中、密かに、しかし確実に侵略されていく地球を救うため、孤軍奮闘するニックの姿が描かれています。

 

マーベル・スタジオ製作のドラマシリーズは、昨年末の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデースペシャ』以来であり、連続ドラマでいうと『シー・ハルク:ザ・アトーニー』以来、およそ10ヵ月ぶり。時の流れが早すぎて、10ヵ月前がつい先日のことのように思える…。

 

もくじ

 

ニック・フューリーとは

MCUにおけるニック・フューリーは、アベンジャーズ計画”を始動させ、ヒーローたちをチームアップした立役者です。

秘密組織S.H.I.E.L.D.(シールド)の長官として、MCU1作目『アイアンマン』のポストクレジットで初登場。S.H.I.E.L.D.崩壊後もヒーローたちを陰からサポートする、戦隊ものでいう司令官ポジションのキャラクターとなっています。2019年の『キャプテン・マーベル』では、S.H.I.E.L.D.エージェント時代の若かりし姿が描かれました。

特殊な能力は持っていませんが、数々の戦争を経験し培った戦闘スキルと、優れた頭脳、高い指揮能力を持ち、様々な作戦や計画を立案し、執り仕切っています。味方にすら情報を漏らさず、目的遂行のためなら利用さえする冷徹な一面もありますが、誰よりも平和を望み、いかなる脅威にも立ち向かう強い意志を持った人物でもあります。

 

原作での初登場は、1963年に刊行されたコミックから。この頃は米軍のエリート部隊の一員という設定だったようです。
1965年刊行のコミックよりS.H.I.E.L.D.が初登場し、ニックはエージェントのひとりとして登場。以後は長官としての登場がメインになっていきます。

当初は隻眼の白人男性という外見でしたが、2014年のコミックで表舞台から身を引き、以降はスキンヘッドの黒人男性がその座を継ぐことになります。MCUでの登場に合わせての変更だそうですが、ある意味二次創作と言える映画化に伴って原作の方を変えるって、なかなか例を見ないのでは。

 

本作概要

そんなニック・フューリーがいよいよメインとなる作品が、本作。
対するは、『キャプテン・マーベル』などでも登場している、擬態能力を持った宇宙人、スクラル人たちです。どんな人物にも完璧に擬態出来る彼らなので、誰が敵で誰が味方かわからない、緊迫感のあるサスペンス・アクションドラマになっています。

 

主人公、ニック・フューリーを演じるのは、おなじみサミュエル・L・ジャクソン
数えきれないほどの作品に出演している、ベテラン俳優ですね。『スター・ウォーズ EP.1~3』では、「ノーギャラでいいからヨーダと共演させてくれ」と監督に直談判して役を獲得した、という話が面白いなぁと。アニメやコミック好きとしても知られ、アニメ『アフロサムライ』では主演とプロデューサーを務めました。また、千葉真一の熱狂的なファンだそうで、ニックのキャラクターはかつて千葉真一が演じた、柳生十兵衛を参考にしているんだとか。

そのほか、コビー・スマルダーズドン・チードルベン・メンデルソーンといった過去作にも登場しているキャストや、数々のTVドラマに出演しているキングズリー・ベン=アディル、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』のサラ・コナー役や『ゲーム・オブ・スローンズ』でメインキャストとして出演したエミリア・クラークなどの俳優陣が出演しています。

 

予告編


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あらすじ

地球を離れ、長らく宇宙で活動をしていた、ニック・フューリー(演:サミュエル・L・ジャクソン)。

S.H.I.E.L.D.時代からの側近、マリア・ヒル(演:コビー・スマルダーズ)に招集され、地球へ帰還したニック。高い擬態能力を持つスクラル人が地球人に成りすまし、密かに地球侵略を進めていることを知り、かつてスクラルの将軍だった、現在はニックと協力関係にあるタロス(演:ベン・メンデルソーン)と共に、侵略を食い止めるため奔走します。

敵のリーダーは、かつてタロスの部下だった、グラヴィグ(演:キングズリー・ベン=アディル)。彼は地球を自分達の星にするため、地球人を滅ぼそうとしていました。また、グラヴィグのもとには、タロスの娘であるガイア(演:エミリア・クラーク)もおり、馬鹿な真似はやめるよう説得しようとするタロスにも耳を貸しません。

敵がどこに潜んでいるのかわからない状況の中、果たしてニックは彼らを止めることが出来るのか――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

上質なサスペンス

本作には、スーパーパワーを持ったキャラはほぼ登場しません。スクラル人も、地球人に多少毛が生えた程度の身体能力しか持っていないようです。そのため、ド派手なアクションシーンはほとんど無く、全編に渡り非常にリアリティのあるドラマになっていました。

また、第1話冒頭で『シビル・ウォー』や『ブラックパンサー』などに登場したエヴェレット・ロス(演:マーティン・フリーマン)が出てきた…と思ったら擬態したスクラル人だった、といったシーンや、後半ではあのジェームズ・“ローディ”・ローズ(演:ドン・チードル)までもがスクラルの擬態だったことが判明することからも、旧知の人物だからといって信用出来るわけではないと、本作が非常に緊迫感のあるドラマであることを印象付けていて良かったです。

 

ニックという人間

これまでのニックは、多少声を荒げることはあっても、あくまで冷静(冷徹)に指示を出し、目的のためなら手段を選ばない人物として描かれてきました。しかし本作では、加齢による体力の衰えや、感情的に言い争った後「何をやってんだ俺は…」と後悔する姿などが描かれており、非常に人間らしいニックの姿を見ることが出来ます。なかなか新鮮で、面白かったです。

何より、彼が既婚者だったというのには驚きました。しかも相手はスクラル人だし。
奥さんのプリシラ・フューリー(演:シャーレイン・ウッダード)は、優しく出迎えてくれたと思ったら急に「あなたが姿を消すから、私も自分の道を進むことにしたわ!」みたいなこと言ってキレだし、直後また笑顔になって抱きしめたりと、情緒は大丈夫なのか?と思うところはありましたが、ニックとの信頼関係が伝わってきたのは良かったです。

ところで、ニックはプリシラがスクラル人だということをはじめから知ったうえで結婚したんでしょうかね?それとも、後から気付いたけど愛情は変わらないし正体なんて関係ないや、って感じなんでしょうかね。まぁ、別にどっちでもええやん、って話なんですけど。

 

ビックリするほど重要キャラが○ぬ…

第1話ラストで、これまでずっとニックと共に活躍してきたマリアが、敵の凶弾に倒れてしまいます。超重要キャラの突然の死に、「えっ…ウソでしょ…?」と驚きを隠せませんでした。更に、『キャプテン・マーベル』や『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』などで存在感を発揮してきたタロスまでもが、戦いの中で命を落としてしまいます。ま、マジかよ…。

それほどの非常事態、ということなのかもしれませんが、もしかすると、おなじみのキャラが出続けることによるマンネリを打破するために、マーベル・スタジオは世代交代を推し進めようとしているのかも。いやまぁ、それもいいんですが、「うわーやめろー、好きなキャラをあっさり死なすのはやめてくれー」と古参のファンはどうしても思ってしまいますね。世代交代させるにしても、わざわざ死なせる必要は無かったのでは。

マリアの葬儀のシーンは、「頼む…嘘であってくれ…」と泣きながらずっと祈っちゃいましたよ…。死を偽装してうんぬん、みたいなニックの作戦であることを期待していましたが、そうではなかったようで、悲しみ。
そーいや、マリアもタロスも、しっかりと葬儀シーンが描かれていましたね。「彼らは完全に○にましたよー、もう復活することはありませんよー」ということでしょうか。

 

過去との戦い

スクラル人を地球へ連れてきたのは、他ならぬニック。
また、ニックは彼らに、自分に協力してくれれば、安住の地を用意すると約束していました。

その約束が果たされぬまま、ニックがサノスデシメーション(通称:指パッチン)などによって長らく不在となってしまったことも相まって、痺れを切らしたスクラルの若い衆が「自分達の暮らす場所は自分達で手に入れるしかない」と行動に出ることにした…というのが、全ての発端だったわけで。ニックの過去から現在に至るまでの行為が、今回の事態を招いてしまったわけですね。だからこそ、ニックは宇宙から地球へ戻ってきて、自らその清算をしようとする、と。ふーむ、なるほどね。

…って、悪いのはほぼニックやないかい。意外とやらかしまくってるんですよね、この人。
「つまり全部あなたのせい?」「あぁ、そうだ、その通り」みたいなやり取りがあって、素直に認めてるのだけは偉いな、と思ってしまいました。

 

クロスオーバー要素

ニック、マリア、タロスといった古参キャラ以外にも、いろいろな部分で他作品との関連性を匂わせており、ファンをニヤリとさせてくれます。

例えば、グラヴィグがスクラルにパワーを与えるために作らせた装置。あれがどういうものなのかはイマイチよくわかりませんでしたが、ヒーローたちが持っているスーパーパワーを解析し、その力を対象者に与えるもののようで、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のグルートや、『アイアンマン3』に出てきたエクストリミスなどの力をグラヴィグに付与していました。

最終話では、ハルクやらドラックスやら、多数のヒーローの能力を獲得していましたね。ゴツゴツした岩のような腕も出てきましたが、アレ誰の能力なんだろ…ザ・シング(ファンタスティック・フォー)はまだMCUには出てきてないし…コーグとか?

 

すごーくどうでもいいですが、ヒーローたちが流した血液などから採取したDNAのことを“収穫(ハーヴェスト)”と呼んでたの、本作を見たアラサーアラフォー辺りの男性は全員「重ちー?」と思ったことでしょう。

これね。(ジョジョ第4部より)

あと、『ブラック・ウィドウ』に登場した調達屋、リック・メイソン(演:O.T.ファングベンル)がまた出てきたのにはちょっと驚き。というか、あれ?この人もしかして…と思ったらやっぱりあの人だった、という感じでした。ニックにチャーター機を手配し、「やっぱヘリキャリアの方が良いなぁ」とかぼやかれてましたね。調達屋としてはかなり優秀なのに、いっつも損な役回りでかわいそう。

過去作見てないと楽しめないというわけではなく、本作だけ見ても十分楽しめる…けど、今やドラマまでしっかりとシリーズ追ってるの、歴戦のMCUファンしかいないんじゃないかな…。

 

すっごい消化不良…

第5話までは、かなり楽しんで鑑賞していました。
しかし、最終話である第6話は、すごくモヤモヤの残るものだったように思います。

 

まず、グラヴィグのもとへ向かったニック、しかしそれはガイアの擬態で、本物のニックは大統領のもとへ行っていた、というのはいいとして。

ニック(擬態)がわざわざ本物の“収穫(ハーヴェスト)”を持って行く意味もよくわからないし(出来れば説得したいと思い、誠意を見せるために持って行った、とか?)、そのまま2人でスーパーパワーを手に入れてドッカンドッカン大バトル!に発展するのも、正直うーん…という感じでした。このドラマでそういうの求めてないというか、そうならないようにして欲しかったというか。結局ガイアが勝ったからよかったものの、負けてたら最悪のヴィランが誕生していたわけで、ご都合主義的なものも感じてしまいますし。

 

その後、擬態されていた各国首脳は開放され、擬態していたスクラルを全員殺害、米大統領はスクラル人を地球から徹底的に排除することを宣言します。英首相とかが擬態されている中、米大統領はなぜか無事、というところは、ローディより大統領に擬態した方が手っ取り早かったのでは…?という思いもあって、なんとなくプロパガンダ臭を感じるな…と思っていましたが、こういう展開になるとは。

ここで、ニック&スクラル vs 地球人(アメリカ)、となれば面白くなった気がするんですが、ニックはプリシラと共にS.A.B.E.R.(セイバー)とかいう宇宙ステーションへ戻り、クリー人との和平交渉へ…という感じで終わるので、「えっ、これで終わり!?」という気持ちが拭えませんでした。ポストクレジットも無かったし、すごい消化不良感…。

シーズン2とかあればいいんですが、まだそういった情報は無いし、どうなることやら。

 

あ、そーいや擬態されていた人たちが解放されるシーンで、ローディだけが歩くのもままならないほど消耗していましたが、あれなんでなんすかね。彼だけかなり長いこと囚われていた、とか?

だとすれば一体いつから…?からの、『エンドゲーム』等で一緒に戦ってたローディも実は偽物だった…みたいな展開があれば面白かったと思いますが、特にそういった描写は無いのでわからずじまい。うーん、惜しいところが多いなぁ。

 

追記:ローディは『シビル・ウォー』で半身不随になっていたんだった…。すっかり忘れてました…。そりゃ歩くのままならないのも当然ですわ。
でも実際、「ローディいつから問題」はファンの間でちょっとした話題になっているみたいですね。「ふらついてたのなんで問題」が勘違いだとわかった今、僕はローディが擬態されたのはグラヴィグたちが本格的に行動を開始したタイミング=そこまで前じゃないんじゃないかと思います。少なくとも、『エンドゲーム』より前ってことはないんじゃないかと。

 

もちろん悪いところばかりではなくて、MI6エージェントのソーニャ・ファルワーズ(演:オリヴィア・コールマン)は、ソーセージでも切るかのようにナチュラルに指を切り落としたりと相当イっちゃってる人でしたが、そういう人物だからこそ逆に信用出来る、というのは納得度が高かったです。新キャラの中ではこの人が一番魅力的だったかと。

あとガイア役のエミリア・クラークは、幼女のようにも見えるし大人にも見えるしで、不思議な魅力を持つ俳優さんだなーと思いました。

グラヴィグは、イキリ散らかしたヤンキーグループのリーダー、という印象が最後まで変わらず…。

 

おわりに

はい、感想はこんな感じです。
概ね楽しめた、というのが率直な感想ですかね。すごく期待していた分、落胆もそこそこ大きかった、そんな印象です。

第1話のみ1時間弱で、以降は30分ちょい、という構成でしたが、1話ごとの時間をもうちょっと長く取って、もっと深く掘り下げて欲しかった、または「その先」を見せて欲しかった、と思うところがそこかしこにあったように思います。MCUの底力はまだまだこんなもんじゃないと思うので、ぜひシーズン2も製作していただいて、このモヤモヤをきれいさっぱり晴らして欲しいものです。

ということで、ドラマ『シークレット・インベージョン』の感想でした。

ではまた。

映画『君たちはどう生きるか』感想(ネタバレ)

映画『君たちはどう生きるか』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

※本作は、製作側の方針により事前情報がほぼシャットアウトされています。「何も知らない状態で見て欲しい」という意図が感じられるので、まだ未見の方は映画を見てから本記事を読まれることを強くオススメします。

 

もくじ

 

概要

スタジオジブリの最新作であり、宮崎駿監督の10年ぶりの新作である本作。

2013年の『風立ちぬ』を最後に引退宣言をしていた宮崎駿監督ですが、2017年に引退を撤回し、本作の制作を開始。「自分は既に引退しており、引退しながらやっている」と言っていたそうですが、「…どういうことだってばよ?」と思ったのは僕だけではないはず。トンチか?
ともあれ、そこから6年もの時間を費やし、ようやく今年公開と相成りました。

 

これまでの作品では日本テレビなどがスポンサーに入り、公開前にTVコマーシャルなどのプロモーションをバンバンやってきましたが、本作は完全にジブリの単独資本であり、CMや予告編といった宣伝を一切しない、それどころか完全に情報を遮断する方針になっているのが特徴となっています。公開前に出している情報は、宮崎駿が監督をすることと、1枚のポスターだけ、という徹底ぶり。どういったお話なのか、キャストは誰なのか、そういったことは公開まで一切不明のままでした。

それによって、観客は事前に得られる情報が全くない状態となり、非常に新鮮な気持ちで見ることが出来ます…が、世間の知名度が下がることで集客が落ちる可能性もある、いわば諸刃の剣ですよね。天下のジブリだからこそ出来る芸当、といったところでしょうか。

THE FIRST SLAM DUNK』でも同様の戦略を取り、結果的に見事大成功したわけですが、本作は果たして。

 

原作・脚本・監督は、宮崎駿
同名のベストセラー本がありますが、それがベースにはなっていないようで、ストーリーはオリジナルとなっています。これまでの作品では、監督が自身でほぼ全てのカットに手を入れていたんだそうですが、本作ではそういったことはせず絵コンテの制作に専念している、とのこと。ジブリも結構前から後継者不在が懸念されていましたが、今は世代交代が進んでいるということでしょうかね。

音楽はジブリ御用達の、久石譲が本作でも担当。

キャストはこれまでのジブリ作品と同様、俳優陣が多く起用されています。
…が、鑑賞後も誰がどの役をやっているのか、正直よくわかってなかったり。転売とかで映画見てない人に情報を知られるのを危惧しているのか、パンフもまだ発売していないし、公式サイトとかもないので、今のところ知るすべがないんですよね。ほんと、ずいぶん徹底した情報規制だなぁと。なので、あらすじや感想部分で書いてるキャストはもしかすると間違っている可能性がありますので、あしからず。
あ、キムタクの声だけはすぐにわかりました(笑)

 

ちなみに、情報収集のためにWikipediaを見たらストーリーがまるごと書いてあったので、本記事以上に鑑賞前に見るのは止めといた方が良いと思います。このあとガッツリネタバレする僕が言えた義理ではないですが、こういう作り手の思いを無視するようなことはやめてほしい…。

 

予告編

なし。

 

 

 

 

 

※注意!※
この先はネタバレ全開になりますので、鑑賞後にお読みいただければ幸いです。

 

 

 

 

 

あらすじ

1944年、戦時中の日本。

東京で暮らす少年、牧眞人(声:山時聡真)は、空襲で母の久子を亡くします。
その後、父の正一(声:木村拓哉)と共に疎開し、母方の一族が暮らしている大きなお屋敷に移り住むことになりました。駅では正一の新しい妻、夏子(声:木村佳乃)が出迎えてくれました。広大な敷地内には建物が複数あり、大叔父様が建てたという古い塔は、不思議な雰囲気を感じさせます。

以前からこの辺りに住み着いている野鳥、“覗き屋”のアオサギ(声:菅田将暉)は、なぜか牧眞人に付きまとってきます。追い払おうとする牧眞人ですが、アオサギは突如人間の言葉をしゃべり出し、謎めいたことを嘯くのでした。

「あなたをずっとお待ちしておりました。お母様に会いたければ、私についてきてください――」

というのがあらすじ。

 

本編感想

非常に作家性が強いというか、クセのある映画だと思いました。

本作を見て、「何が言いたいのかわからない」と思う人も結構いるのではないでしょうか。
監督自身も試写会で、「おそらく、訳が分からなかったことでしょう。私自身、訳が分からないところがありました」と言っていたそうですが、「…どういうことだってばよ?」と思ったのは僕だけではないはず。自分の作品でしょ…?

正直、僕も鑑賞直後は「結局どういう映画だったんだろう…?」と思ってしまいました。ただ、「監督がこれまで歩んできた、創造と共にあった人生とその終焉、あるいは継承」を描いていると解釈すれば、かなり腑に落ちる作品なのではないかと思います。

 

監督は、実にたくさんの作品を生み出し、世に送り出してきました。
そんな彼の頭の中にある世界、それが本作における“下の世界”なのかなと。つまり、それを作り出した大叔父様(声:火野正平)は、監督自身の投影と言えるかもしれません。現実世界を離れ、自分が創造した世界に閉じこもった大叔父様と監督自身を重ねるというのは、なんとも自虐的のようにも思えます。

大叔父様の作り出した世界は限界を迎えており、跡を継ぐ者を探していました。どうやら血縁者にしか継ぐことが出来ないらしく、白羽の矢が立ったのが、主人公である牧眞人。
血縁者ということは、つまり息子の宮崎吾朗氏を差しているのか?とも思いましたが、「同じくらいの情熱を持っている人」と拡大解釈した方が、なんとなく楽しい気がしました。

あの世界は“積み木”を積むことで成り立っており、大叔父様は牧眞人にも積み木を積んで世界を作って欲しいと持ち掛けます。ここで、積み木に使われている石を「お墓と同じじゃないか」と言う牧眞人のセリフには、「もう自分は過去の人間である」という監督の思いが伝わってくるような気がしました。積み木はつまるところ監督がこれまで作ってきた作品のことであり、牧眞人にあとを託そうとする姿は、「次の世代の人達もどんどん作品を作っていって欲しい」という願いの表れのように思えます。

そこへ、この世界に住むインコたちの長であるインコ大王(声:國村隼)が現れ、「こんな石ころのために」と言って勝手に積み木を触り、崩してしまいます。大王のこの行動は、現実に確かに存在する“悪意”や、製作上どうしても生じてしまう“大人の事情”を感じさせるものでした。大王=関係者(お偉いさん)が、積み木=監督の作品を“石ころ”などと軽んじて考えているところなんか、何とも皮肉。

最終的に“下の世界”は崩壊し、牧眞人は現実世界に戻ることになります。
本来は現実に戻ってくるとあの世界にいたときの記憶は消えるそうですが、牧眞人は落ちていた石(積み木と同じ素材)をポケットに入れて持ち帰ったことで、記憶を保ったままでした。大叔父様の思いは牧眞人に受け継がれた、ということでしょうか。そして、その直後のアオサギの「でもじきに忘れるよ。間違いなくね」という言葉は、「あの頃の情熱もいずれ失われる」という意味合いにも受け取れます。なんというか、考えさせられますね。

 

そんな感じで、監督の思想や人生観なんかが色濃く反映されている作品だと思いました。

もちろん、僕の解釈が監督の意図と完全に一致しているとは思いませんし、そもそも全てを拾えているとも思いません。ですが、「私自身、訳が分からないところがありました」という監督の言葉は、鑑賞後に思い返してみると「見た人それぞれに違った解釈があっていいんですよ」ということなのかなーと思えてきて、なんだか全てを肯定してもらえている気分になりました。なんか、こうして自分が思ったことを文章にまとめていくうちに、どんどん本作を好きになっていくような感覚があります。

ただ、「そして2年後、牧眞人たち一家は東京へと戻るのでした。おしまい。」というオチは、ちょっとあっさりし過ぎかなと。もうちょっとどうにかならなかったのか…?と、どうしても思ってしまいます。

 

あ、もう1点だけ。
主人公、牧眞人について。いや、牧眞人とその家族についてかな。

牧眞人は、なかなか聡明な子のようですが、これまでのジブリの主人公のような快活さは無く、まるで感情が無いかのように大人しい性格なのが印象的でした。そのくせ、意外と喧嘩っ早かったり、言い訳のために自分で傷をつけたり、アオサギを容赦なく殺そうとしたり、彼の心の中にも“悪意”が確かに存在しているのが面白いなーと。監督が割とネチネチとした少年時代を送っていたので、子供だからって無邪気で明るいキャラクターじゃなくてもいいんじゃないかと考え、こうしたとかなんとか。

父の正一については、一見するとすごく男らしくて、軍需工場を経営して成功している立派な人物のようですが、端々から「他人を下に見ている」感じが滲み出ていて、絶妙な違和感を感じさせるキャラクターだったのが、かえって魅力的でした。戦争を喜んでいるような発言をするとか、学校に金積んでどうにでも出来ると思ってるとことか、妻を亡くして間もないのにすぐ新しい妻(しかも前妻と似た人)と子供作るとか、ね。ただ、牧眞人に対してはしっかりと愛情を注いていて、決して悪い人物ではない、というのがまた良き。

夏子に関しては、あんなに優しいはずがない、何か裏があるはずだと思っていたら、特にそんなことはなかったんだぜ。産屋で牧眞人に「あんたなんか大嫌い!出ていって!」と叫ぶところは若干の狂気を感じましたが、恐らく本心ではなかったようですし。

 

他の女性キャラ、例えば若い姿のキリコ(声:柴咲コウ)やヒミ(声:あいみょん)、屋敷に奉公している老婆たちなどは、なんともジブリっぽくて良かったです。

 

おわりに

少々短めですが、こんなもんにしときます。

そういえば、土日ということもあってか、僕が鑑賞した回は座席が9割ほど埋まっていました。宣伝一切なしでもこれだけ人を呼べるというのは、やはりジブリ、そして宮崎駿のブランド力は強し、ということでしょうね。

老若男女がみんな楽しめるかと言うとそうではないけれど、刺さる人には刺さる、そんな作品なのではないかと思います。本作で今度こそ引退になるのかはわかりませんが、僕の個人的な思いとしては、宮崎駿監督には今後ともマイペースに、自分の作りたい作品を作っていって欲しいものです。

とにもかくにも、早くパンフを売っておくれーい。

 

↓貼る画像が無いので、主題歌CDでも載せときます。

ということで、映画『君たちはどう生きるか』の感想でした。

ではまた。

映画『インディー・ジョーンズと運命のダイヤル』感想(ネタバレ)

映画『インディー・ジョーンズと運命のダイヤル』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

インディー・ジョーンズ』は、言わずと知れたアクション・アドベンチャー映画シリーズ。
スター・ウォーズ』で知られるジョージ・ルーカスが製作し、のちに『E.T.』や『ジュラシック・パーク』で世界的ヒットを飛ばすことになるスティーヴン・スピルバーグが監督をしたこのシリーズは、1981年に第1作が公開され、数々の賞を総なめにするほどの高い評価を獲得。映画史に残る名作のひとつとして知られています。

古代の遺跡などを探検し、謎を解き、その先に隠されたお宝や真実を見つけ出す、というプロットはのちの映画にも多大な影響を与え、『ハムナプトラ』シリーズや『ナショナル・トレジャー』シリーズなど、本シリーズにインスパイアされた(であろう)作品が数多く生み出されました。


もくじ

 

概要

そんな『インディー・ジョーンズ』シリーズの15年ぶりの続編、及び恐らく最終作であろう作品が、本作『インディー・ジョーンズと運命のダイヤル』です。
インディーが若かりし頃に入手したものの、その力の大きさゆえに解明を断念したとある秘宝を巡り、世界を股にかけて大冒険を繰り広げる、シリーズおなじみの謎解き冒険ものとなっています。

余談ですが、制作会社であるルーカスフィルムがディズニーに買収されたことで、本作より配給がパラマウントからディズニーに変わっています。パラマウントは製作協力という形で、配当の一部を受け取る契約になっているんだとか。うーん大人の事情。

 

スピルバーグは本作では製作にまわり、彼に代わって監督は『LOGAN/ローガン』や『フォードvsフェラーリ』などで知られる、ジェームズ・マンゴールドが務めています。

脚本はマンゴールドのほか、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』や『007 スペクター』などのジェズ・バターワーズジョン=ヘンリー・バターワーズが共同で執筆しています。

 

主演はもちろん、ハリソン・フォード
スター・ウォーズ』シリーズのハン・ソロ役で一躍スターとなり、本シリーズにてその地位を不動のものにしました。御年80歳の大ベテランですが、ハンサムで男らしいその姿は未だ健在。

もうひとりの主人公というべき女性を演じるのは、イギリスの俳優、フィービー・ウォラー=ブリッジ
ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』などへの出演のほか、脚本家やプロデューサーとしての顔も持っているそうです。多才ですねー。

本作で主人公たちに立ちはだかるキャラクターを演じるのは、デンマーク出身の俳優、マッツ・ミケルセン
“北欧の至宝”と呼ばれるほどの大人気俳優で、MCU映画『ドクター・ストレンジ』や、ゲーム『デス・ストランディング』など多数の作品に出演しており、2020年の映画『アナザーラウンド』では主演も務めています。また、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』では、ジョニー・デップに代わりゲラート・グリンデルバルドを演じています。

そのほか、過去作にも出演しているジョン・リス=デイヴィスカレン・アレンのほか、『マスク・オブ・ゾロ』や『アンチャーテッド』などのアントニオ・バンデラス、『ハリー・ポッター』シリーズのドビーの声や、『ハンガー・ゲーム』シリーズなどに出演しているトビー・ジョーンズなどの俳優が出演しております。

 

予告編


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あらすじ

1944年、ドイツ。
若き日のインディアナ・ジョーンズ(演:ハリソン・フォード)は、旧友の考古学者バジル・ショー(演:トビー・ジョーンズ)と共に、ナチスに奪われた秘宝ロンギヌスの槍を奪還すべく、軍の列車に忍び込んでいました。槍は偽物でしたが、そこにあったもうひとつの秘宝、“アンティキティラのダイヤル”を取り返し、その場を脱出します。

時は流れ、1969年、アメリカ。
インディーは大学で考古学の教授として教鞭を取っていました。しかし、生徒たちは人類初の月面着陸に夢中になっており、考古学にはあまり興味を示していない様子。ひとり、考古学に詳しい生徒がいると思いきや、彼女は生徒ではなく、バジルの娘、ヘレナ・ショー(演:フィービー・ウォラー=ブリッジ)でした。彼女の目的は金のために例の秘宝を盗み出すことであり、インディーが保管していたダイヤルを奪い、競売にかけようとします。

そして秘宝を狙っているのは、もうひとり。
それは、元ナチスの科学者であり、ダイヤルを見つけた張本人である、ユルゲン・フォラー(演:マッツ・ミケルセン)。現在ロケット開発の権威として広く知られている彼は、そこで得たであろう財力とナチスの人脈を使い、手段を選ばずに秘宝を我が物にしようとします。インディ、ヘレナ、フォラーは、ダイヤルを巡る三つ巴の激しい争奪戦を繰り広げることに。

最後にダイヤルを手にするのは、一体誰なのか。そして、“時間をも超越する”という、ダイヤルに秘められた力とは――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

ハラハラドキドキワクワクの連続で、最高に楽しいエンターテインメント作品でした。

いつものことですが、インディーは劇中ずっとピンチに陥っています。ひとつ切り抜けたと思ったらまた別のピンチが襲ってきて、それも切り抜けたらまた…。コレの繰り返し。
それを8割のフィジカルと2割の機転で切り抜けていくのが、まさに「あの時代の映画」という感じでした。

 

恐らく敢えてやってると思うのですが、敵がナチスだとか、他にも全体的に古臭さを感じるところは多々あります。しかし、往年の名作でこれをやると、「そうそう、コレコレ!」となるのが不思議。伝統芸能みたいなものでしょうね。

激しいアクションあり、手に汗握るカーチェイスあり、古代遺跡での謎解きあり、ほんのちょっとの鞭アクションありで、シリーズファンが見たいものが過不足なく提供される、非常に良い続編だったと思います。

 

現在のインディーはすっかりおじいちゃんで、大学のシーンとかはそれを強調して描いているようにも思えます。特に自宅でのパンイチの姿は、そのボディが加齢を如実に語っていました。しかし、いつもの帽子に鞭を装備した姿は、完全にあの時のまま。なんなら更に渋味を増して、魅力が上がっているようにも見えます。「はぁー、なんてカッコいいんだろ」と溜息が出てしまうほどでした。

でもやっぱりジェネレーションギャップみたいなものはあって、鞭で威嚇して「さっさとここから立ち去れ!」ってやるのに、今時みんな銃を持ってるから全然ひるまないのとか、「ぶちかませ!インディアナ・ジョーンズ!」と言われて、「やってやんよ!」とばかりに振り返った瞬間タクシーに轢かれそうになるとか、「あの時代の映画」のありがちなシーンを逆手に取ったようなギャグにも、笑わせて頂きました。

 

冒頭に出てくる若かりし頃のインディーは、恐らくCG処理なのでしょうが、30年前にタイムスリップしたのかと思うほどに違和感が一切無くて驚きました。冒頭のナチスからダイヤルを取り返すシーンは結構長めに尺を取っていたのですが、若インディーがカッコ良かったのもあって、大変見応えがありました。“ロンギヌスの槍”と聞いて某アニメを連想してしまうのは、日本人特有の病気。

老インディーも、走行中の車を飛び移ったり、飛行機から飛び降りたりと、激しいアクションの連続。さすがに本人が全てやっているわけではないのでしょうが、むしろ体をいたわってこれからも末永くお元気でいて欲しいので、これでいい。むしろこれがいい。
某インポッシブルのように、歳を重ねるごとにアクションの荒唐無稽レベルが上がっていくのも、すごく魅力的ではありますけどね。あの人も還暦越えてるのにあの若々しさって、コールドスリープでもしとるんか…って感じですよね。こちらも新作が今月公開なので、絶対に見に行かなくては。

 

次世代を担うキャラクター、ヘレナも、非常に魅力的なキャラでした。
父親譲りの考古学の知識を持っているものの、歴史的発見などには興味が無く、お金が何よりも大事で、お宝を盗み出しては闇オークションで売りさばく、という生活をしていました。過去に逮捕歴があることも明かされます。峰不二子みたいな感じ?

今回、インディーからダイヤルを盗んだのも、売ってお金にするため。…という名目でしたが、その奥にあったのは、亡き父の長年の研究は間違っていなかったと、父は偉大な人物なのだと証明したい、という思いでした。なんだかんだ父親のこと愛してたんだな…というのがわかって、なんだかジーンと来てしまいました。相棒の少年、テディ(演:イーサン・イシドー)も、拘束されても自力で脱出したり、飛行機の操縦まで出来たりと、ちょっと有能過ぎるくらいに有能キャラで良かったです。

 

本作のヴィランであるフォラーも、非常に魅力溢れるキャラになっておりました。
というか、僕マッツ・ミケルセン大好きなんですよね。だって、あんなにセクシーな人類がこの世に存在していいのか?ってくらいにカッコいいじゃないですか(語気強め)。出演作全て追っているわけではありませんが、気になってる作品にマッツが出るとわかるとテンション上がる、というくらいには大好きな俳優さんです。

本作のフォラーのような、「頭が良くて真面目過ぎるがゆえに、ねじ曲がった考えに至る」キャラと、マッツの相性も抜群だと思っていて。それこそ『ドクター・ストレンジ』のカエシリウスとかも、似たようなキャラですし。フォラーに関してもマッツがバッチリハマっていて、紳士的な立ち振る舞いと時折顔を覗かせる狂気が、なんとも性癖ドストライクでした(誤解を招きかねない文章)
インディーと違って25年経っても容姿がほとんど変わらないのは、まぁご愛嬌ということで。もしかしてCG処理する予算が無かったとか?

ただ、1944年の列車のシーンで、頭ひしゃげてもおかしくないくらいの勢いで木?か何かにぶつかっていたのに、1969年に再び出てきたときに何の跡も残っていなかったのは、ちょっと違和感を感じました。超人血清打ったわけじゃないんだし。もしかすると傷跡とかあったのかもしれませんが、僕には判別出来なかった…。

 

なんやかんやあって、クライマックスで遂にダイヤルの真の力が解放されるわけですが、あの展開には個人的にはちょっと首をかしげてしまうかなー、という感じでした。

なんというか、リアリティラインがいきなりグンッと下がったように思えてしまって。これまでも、科学を超えた不思議な力は何度も出てきましたが、あくまで「信じるか信じないかは、あなた次第です」って感じだったと思うんです。でも今回は、映画内においては完全に“事実”ですし、もう信じる信じないの話じゃなくなってしまったというか。あのギリギリのラインが絶妙なリアリティを演出していたように思うので、そこだけは越えないでほしかったなー、と思ってしまったといいますか。伝わりますかね…?

インディーがそこに残る決断をしたのも、「歴史をこの目で見て、後世に残していきたい」という思いがあるんだろうと思ったし、歴史が改変される恐れがあることに対し「それがどうした?」と言うのも、彼がヒーローではなくひとりの人間であり、そんな彼の心の中の孤独感を感じさせて良かったし、結局ヘレナがぶん殴って連れて帰るのも、インディーがウジウジしてた分スカッとしてめちゃくちゃ良かったし、不満というほどでもないんですけどね。ちょっとしこりが残るような思いでした。

 

そうして現代に戻ってきたインディーは、ヘレナに対し「俺はこれからどう生きていけばいいんだ?」と吐露します。そこへ現れたのは、息子の死をきっかけにすれ違い、別居していた妻、マリオン・レイヴンウッド(演:カレン・アレン)。息子が死んだ設定にしたのは、シャイア・ラブーフが問題行動ばかりで出演させられないからかな…と邪推。

最後はインディーとマリオンが仲直りして、映画は幕を閉じます。前作とオチ一緒じゃない?というのと、おじいちゃんおばあちゃんの恋愛にどれほどの需要があるのだろう…とちょっと思ってしまいましたが、「過去に生きるのではなく、今を生きよう」というメッセージが感じられたし、なんだかホッコリしたのでヨシ!

 

おわりに

感想は以上になります。

往年の名作のリバイバルといった感じの作りなので、シリーズをリアルタイムで楽しんでいた人ほど楽しめる作品になっているのではないかと思います。かつてはよく通っていたけれど、最近はすっかり映画館から足が遠のいてしまったという人も、インディー・ジョーンズ最後の雄姿を、是非とも映画館で見届けてみてはいかがでしょうか。

ということで、映画『インディー・ジョーンズと運命のダイヤル』の感想でした。

ではまた。

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』感想(ネタバレ)

映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

マーベルコミックに登場するスーパーヒーロー、スパイダーマンを主役とした作品のひとつである本作。
日本では2019年に公開された『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編であり、来年公開予定の『スパイダーマンビヨンド・ザ・スパイダーバース』との前後編、という構成になっています。
前作はアカデミー賞で長編アニメ映画賞を受賞するなど、大きな話題となりました。

このシリーズはソニー・ピクチャーズ アニメーション等が製作しているものであり、ディズニー傘下のマーベル・スタジオが製作する『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』との関連性はありません。まぁ、全くないとも言い切れないですが…。

 

もくじ

 

スパイダーマンとは

それじゃあ、もう一度だけ説明するね!

スパイダーマンは、放射能汚染された蜘蛛に咬まれたことによって、蜘蛛由来の能力を身に着けたヒーロー。超人的な身体能力のほか、危険を事前に察知するスパイダーセンスや、壁に貼りついて移動するなど、様々な能力を持っています。

初登場は、1962年刊行のコミックから。

すばしっこい身のこなしと、自身で開発した蜘蛛糸状の粘着物質を発射するウェブ・シューターを駆使し、ロープ状にした糸を引っ掛けて移動したり(ウェブ・スイング)、敵を拘束したりするのが、彼の戦闘スタイルになります。
トビー・マグワイア主演のサム・ライミ監督版『スパイダーマン』では、ウェブ・シューターは使用せず、手首の付け根から直接ウェブが出てくる設定になっていましたね。

 

最大の特徴が、ティーンエイジャー(10代)のヒーローであり、ヒーロー活動におけるメンター(指導者)を持たないこと。それにより、自身の未熟さからくる過ちや葛藤などがリアルに描かれ、特に若い読者から高い人気を獲得したんだとか。映画化、アニメ化、ゲーム化などの機会も非常に多く、今やマーベルヒーローの中でもトップクラスの人気を誇るヒーローとなっています。

 

本作概要

本作、というか本シリーズの特徴は、コミックやイラストがそのままアニメになったような革新的な映像表現と、多元宇宙=マルチバースを舞台とした壮大な世界観。前作は主人公の世界に別の次元からスパイダーマンがやってくる話でしたが、本作は逆に、主人公が別の次元へと向かうような話になっています。

 

監督は、前作同様、ホアキンドス・サントスジャスティン・K・トンプソン、そしてピクサー作品『ソウルフル・ワールド』の脚本・監督を務めたケンプ・パワーズを加えた3名。

脚本は、『ワンダーウーマン1984』、リブート版『モータルコンバット』、『シャン・チー テン・リングスの伝説』といった僕が大好きな作品の脚本を多く手掛けているデヴィット・カラハムと、『くもりときどきミードボール』や『LEGO ムービー』などで高い評価を獲得している、フィル・ロードクリス・ミラー

 

主人公の声を演じるのは、前作同様、シャメイク・ムーア
俳優のほか、ラッパーとしても活動しているそうです。

ヒロインの声優を務めるのは、こちらも前作同様、ヘイリー・スタインフェルド
バンブルビー』の主人公チャーリー役や、MCUドラマ『ホークアイ』にて、2代目ホークアイというべきケイト・ビショップ役で出演しています。

そのほか、『ムーンナイト』や『DUNE/デューン 砂の惑星』のオスカー・アイザック、『エターナルズ』や『ブレット・トレイン』のブライアン・タイリー・ヘンリー、『ブラックパンサー』や『NOPE/ノープ』のダニエル・カルーヤといった、豪華俳優陣が声優を担当しています。

また、日本語吹替版でも、小野賢章悠木碧関智一宮野真守木村昴といった、豪華声優陣が声を当てています。話題性欲しさに声優未経験の俳優を起用したりしていないのも、好感が持てるところ。

 

そーいや、『ザ・フラッシュ』の吹替ではスーパーガールの声を俳優の橋本愛が演じていましたが、すごく上手で違和感は感じませんでした。いやまぁ、僕は洋画は字幕派なので、吹き替え版は見てなくてyoutubeの映像とかで見ただけなんですけども。

ナターシャ役の米倉涼子とかもかなり良かったと思いますし、こういう俳優さんの使い方であれば不満はないんですけどね…。キャスティングがいいのか俳優さんが声当てるの上手くなっているのか、最近は「吹替の演技酷すぎると思ったら若手俳優でした」みたいなケースはめっきり減った気がします。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

アメリカ、ブルックリン。

この世界でただ一人のスパイダーマンマイルス・モラレス(声:シャメイク・ムーア)は、たったひとりで街の平和を守っていました。高校生のマイルスは今日も、コンビニでATMから金を奪おうとしていたスポット(声:ジェイソン・シュワルツマン)と名乗る小悪党を捕まえ、学校へと急ぎます。

スパイダーマンであることを隠しているマイルスと両親との関係は、思春期ということもありギクシャクしていました。大事な約束に遅刻を繰り返すマイルスに対し、怒った両親は外出禁止を言い渡します。「スパイダーマンが外出禁止かよ…」と部屋でふてくされる彼の前に、マルチバースへ帰ったはずのグウェン・ステイシースパイダーグウェン(声:ヘイリー・スタインフェルド)が姿を現します。彼女は現在、ミゲル・オハラスパイダーマン2099(声:オスカー・アイザック)率いる、マルチバーススパイダーマンが集まる集団、スパイダー・ソサエティのメンバーとして活動している、とのこと。

再会を喜ぶ2人ですが、グウェンには目的がありました。それは、マルチバースの秩序を乱す異常分子を監視し、問題が起こる前に対処すること。彼女の監視対象はあのスポットであり、彼はマイルスを“宿敵”と見なし、どんどん力を増幅させていました。

次元間を移動出来るスポットを止めるために、マルチバースを旅するマイルスたち。その中で、マイルスは全てのスパイダーマンに課せられた、悲しき“運命”を知ることになるのでした――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

何度見ても楽しめる、大傑作だと思います。
2回見て2回とも最高に楽しんだ僕が言うんだから、間違いありません。(異論は認める)

本作を見に行く際、移動時間短縮のためにいつも使ってるのとは異なる乗り換えルートを選んでしまったばかりに、間違えて反対方面に行く電車に乗ってしまい、まんまと大遅刻してしまいまいました…。おかげで始めの10分くらいを見逃してしまったので、後日MX4D吹替版でもう一度鑑賞した次第。あ、ちなみに1回目は『ザ・フラッシュ』と同じ日にIMAX字幕版で鑑賞したのですが、2回目を見てから本記事を書き始めたので、ずいぶん日が空いてしまいました。

4Dは臨場感抜群で最高に楽しかったものの、縦横無尽に動き回るスパイダーマンにあわせて座席がガックンガックンするもんだから、ジェットコースターが苦手な僕は普通に怖かったです…。

 

更にクオリティを増した映像美

前作同様、アメコミがそのままグリグリ動き回るような超絶クオリティの映像は、見事というほかありません。

更に、色彩豊かでどこか幻想的な街並みのマイルスの世界、水彩画のような色合いで、感情の色が映像に反映されるグウェンの世界、伝統と近未来を融合したようなムンバッタンの街並みと、ビビットな色合いが特徴のパヴィトラ・プラバカールスパイダーマン・インディア(声:カラン・ソーニ)の世界、シド・ミードを思わせる未来的建造物と、その地下に押し込められた退廃的な世界を併せ持ったミゲルの世界、といった風に、各世界で見せ方をガラっと変えてきているのも本当にすごい。

隅から隅までこだわり抜かれた映像は、一度だけの鑑賞ではもったいないと思えるほど。見るたびに新しい発見があるのではないかと思います。僕もきっと見逃しているところがいっぱいあるはず。何回見ても楽しすぎるので、出来ることなら毎日見たいくらい。

 

余談ですが、マルチバースのひとつとしてレゴの世界が出てきます。
コレ、14歳の少年がレゴで予告編を再現したら実際にアニメーターとして雇われる、という夢のような話があって、恐らくこの少年が手掛けていると思うと、感慨深いものがありますよね。しかも、物語的に重要というわけではないけれど、結構見せ場があるというのがまたアツい。

gigazine.net

 

逃れられない“運命”

全てのマルチバースは蜘蛛糸が絡み合うように交わり合っており、お互いに影響し合っています。そして、それらの均衡を保っているのが、カノン・イベントと呼ばれる象徴的な出来事。

特に有名なのが、ピーター・パーカーのおじ、ベン・パーカーとの死別。実写映画化される際にも何度も描かれている出来事です。ミゲルがカノン・イベントを説明する際、ベンおじさんの死を経験した数多の宇宙の中に『アメイジングスパイダーマン』と思しき映像も使われていて、興奮しました。

それらは決して回避出来ないものであり、もしその“運命”を覆そうものなら、マルチバース全体の崩壊を引き起こしかねない。なのでスパイダー・ソサエティは、イベントが滞りなく起こるように管理しているのでした。

変えられないもの、それが運命。

更に、マイルスの世界で次の起こるイベントは、2日後に発生が予測されている、マイルスの父、ジェファーソン・デイヴィス(声:ブライアン・タイリー・ヘンリー)の死であることが判明。マイルスは父と世界、どちらを救うのかといった選択を迫られることになります。

「世界の均衡を保つ」と言えば聞こえはいいですが、それは「死ぬ運命にある人を見殺しにする」ことに他ならないわけで。それに納得出来ないマイルスは、「父さんも世界も、両方救う!」と父を助けに行こうとします。そしてそんなマイルスを、ミゲル率いるソサエティは総力をもって止めようとするのでした。というか、そもそもソサエティ本部にマイルスを招いたのは、イベント発生まで彼を足止めするのが本当の目的だった様子。
運命を受け入れるのか、それとも運命に抗うのか、その対立構造を、スパイダー・ソサエティ vs マイルスという形で視覚化しているわけですね。これまで登場してきた無数のスパイダーマンが誰一人として逃れることの出来なかった運命を、マイルスは果たして覆すことが出来るのか。

 

あんなスパイディ、こんなスパイディ

ソサエティ本部のシーンは、とてつもない種類のスパイダーマンが登場する、まさにお祭りのような場面でした。人間だけでなく、猫だったり、恐竜だったり、車だったり、バリエーションがエゲつなくて最高に楽しかったです。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』で有名になった指差しポーズのパロディとかも笑いました。

あと、PS4等で発売されているゲーム、『Marvel's Spider-Man』に登場した、ピーター・パーカーインソムニアック・スパイダーマン(声:ユーリ・ローエンタール)まで出てきたのには驚きました。そーいやゲームはずっと前に購入したまま全くやってないや…。続編も出ることだし早くやらねば…。

 

中でも最高にイカしていたのが、アナキスト(反体制主義者)のホバート・“ホービー”・ブラウンスパイダーパンク(声:ダニエル・カルーヤ)。
パンクバンドをやっているようで、ギターを武器にして戦います。ミゲルとあまり馬が合わない、というか大きな組織(この場合はソサエティ)の言いなりにならないことがカッコいいと思っている節があり、だからこそミゲルの意志に反した行動を取ろうとするマイルスに味方してくれます。グウェンとも気が合うようで、たびたび行動を共にしていたことが語られますが、それを聞いてムッとするマイルスが微笑ましかったですね。

あと、前作でマイルスの師匠的な立ち位置だったピーター・B・パーカースパイダーマン(声:ジェイク・ジョンソン)の娘、メイ・“メイデイ”・パーカーちゃんがもう、最っ高に可愛かったです。僕もメイデイちゃん抱っこして癒されたい…。

 

スパイダーマンのいない世界

自分こそが「一番最初の異常分子」であるとミゲルに告げられ、動揺するマイルス。しかし、「その運命だって覆してみせる」とばかりに、たったひとりでソサエティの全員を出し抜き、自分の世界へと帰還します。ちょっとやり方がまどろっこしいなぁ、あんなとこまでわざわざ行く必要あったかなぁと思いつつも、ソサエティ全員にひとりで勝つという、見事過ぎるマイルスの立ち回りに感動すら覚えました。

 

しかし、決死の思いで帰還したそこは、彼が元居た世界ではありませんでした。
マイルスを咬んだ蜘蛛は異次元から来たものであり、その蜘蛛が元々いた世界。そこへと来てしまったのでした。そしてこの世界にはスパイダーマンが存在しておらず、父は既にこの世を去っていた…というのが明かされる一連の流れには驚かされました。

更に、前作でヴィランのひとり、プラウラーとして暗躍していたマイルスのおじ、アーロン・デイヴィス(声:マハーシャラ・アリ)に捕らえられ、その世界でのプラウラーの正体は、なんと自分自身だった…という展開には、背筋が凍る思いがしました。
“運命”とは、かくも残酷なものなのか…。

 

グウェン・ステイシー:オリジン

一方、グウェンもマイルスに近しい人物ということで、ソサエティを追放され、自身が元居た世界へと戻されてしまいます。

冒頭がグウェンの世界から始まることからも、本作がグウェンの物語としても重要な立ち位置にあることは間違いないかと思います。前後編で時間をたっぷりと使えるからなのか、グウェンの苦悩や、父との確執とそこからの和解といった、彼女の掘り下げがしっかりとしていて、好感が持てました。前作も非常に好きなキャラでしたが、本作でもっと彼女のことを好きになりました。

 

ラストでグウェンはマイルスを助けようと、マルチバースから味方になってくれるスパイディを集めて“新バンド”を結成。いざマイルスを助けに行こうというところで、本作は幕を閉じます。前作でも登場した、ペニー・パーカースパイダー・ハムスパイダー・ノワールもいてテンション上がりましたが、ソサエティのシーンでチラッと出てきたペニー以外、今までどこで何してたんでしょうね…。

それと、『鋼の錬金術師 完結編』の時も書きましたが、連ドラと違って映画はスパンが長いんだから、ひとつの作品で何かしら区切りを付けて欲しかったところ。ここは本作の数少ない不満点ですね。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』なんかはその点、やはり偉大だなーと。

 

↓日本版主題歌。疾走感抜群でかなり好き。

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おわりに

感想は以上になります。

間違いなく、現時点で世界最高峰のアニメーション作品です。普段アニメを見ない人、ヒーロー作品に興味がない人も楽しめる作品になっていると思います。

後編である『ビヨンド・ザ・スパイダーバース』は、来年3月公開予定。1年経たずに公開してくれるのは非常に嬉しいけど、待ちきれないぜぐぬぬ…!

ということで、映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』の感想でした。

ではまた。

映画『ザ・フラッシュ』感想(ネタバレ)

映画『ザ・フラッシュ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

DCコミックを原作とした実写映画のシネマティック・ユニバース、それが『DC・エクステンデッド・ユニバース(DCEU)』。

本作は、DCコミックに登場し、映画『ジャスティス・リーグ』にも出演したスーパーヒーロー、フラッシュを主役とした作品になります。コロナ禍やら何やらで幾度もの公開延期を経た末、ようやく今年公開と相成りました。

 

本作の特徴は、最近ブームになっている、マルチバースを舞台としていること。

映画ではMCUの『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』や『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』、ソニーの『スパイダーマン:スパイダーバース』、アメコミ以外でも、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』といった作品に先を越されてしまいましたが、DCもいよいよマルチバースを描いた作品を出してきました。

まぁ、DCはTVドラマの方では、「アローバース」シリーズでマルチバースをいち早く取り入れていたんですけどね。今後展開されていく『DC・ユニバース(DCU)』の再編にあたり、ドラマは打ち切りになってしまいました。DCは主に内部のゴタゴタのせいで、結果的に後れを取っているようなイメージ。でもま、それを自覚しているからこそ今の体制にしたんでしょうし、今後に期待ですね。

 

もくじ

 

フラッシュとは

フラッシュは、超高速で動くことが出来る能力を持ったスーパーヒーロー。
初登場は、1940年に刊行されたコミックから。

フラッシュを名乗った人物は現在4名おり、最も有名、かつDCEUで登場しているのは、2代目であるバリー・アレン

 

速く動けるといっても単にものすごい脚力があるわけではなく、スピードフォースと呼ばれる次元へとアクセスすることで、超高速移動を可能とするほどの運動エネルギーを生み出している、とかなんとか。なるほど、よくわからん。
腕や体を高速で回転させて竜巻を起こしたり、体を高速で振動させることで物質を透過したり、運動エネルギーを時空エネルギーに変換することで時間移動まで出来るなど、その能力は多岐に渡ります。スピードフォースを利用して高速移動を可能とするヒーローはフラッシュのほかにも複数おり、彼らのことを総称してスピードスターと呼ぶんだそうです。へぇ~。

ちなみに、スピードフォースはDCヒーロー特有の概念らしく、マーベルコミックに登場する、X-MENクイックシルバーや『エターナルズ』のマッカリなどは、純粋に自身の身体能力で高速移動しているらしいです。

 

本作概要

THE BATMAN -ザ・バットマン-』の記事でも少し書いてますが、主演のエズラ・ミラーが暴力事件を起こすなどの奇行を繰り返し、一時期本作の公開も危ぶまれていました。ヤバイ人なのか純粋な人なのか実際のところはわかりませんが、芸能界はある意味「信用を売る」職業みたいなものだと思うので、ほどほどにしていただきたいものです。なんにせよ、本作が無事に公開されて本当に良かった。

 

本作の監督を務めるのは、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり』などでも知られる、アンディ・ムスキエティ
今後公開予定の新たなバットマン映画『ブレイブ・アンド・ボールド』でも監督を務めるとのことで、非常に楽しみ。

脚本は、『バンブルビー』や『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』でも脚本を書いた、クリスティーナ・ホドソン

 

主演は上記の通り、エズラ・ミラー
ファンタスティック・ビースト』シリーズの、クリーデンス・ベアボーン役としても有名ですね。

本作のヴィランとして、DCEU1作目『マン・オブ・スティー』でもヴィランとして登場した、ゾッド将軍が再び登場。演じるのは変わらず、マイケル・シャノン。『ブレッド・トレイン』のラスボス、ホワイト・デス役での出演が記憶に新しいです。

DCEUでは初登場となるヒーロー、スーパーガール役に抜擢されたのは、コロンビア系の俳優、サッシャ・カジェ。昼ドラへの出演経験はあったようですが、長編映画への出演は本作が初のようです。アメリカン・ドリーーム…!

そして本作の最注目ポイントが、1989年の『バットマン』、及び1992年の『バットマン リターンズ』、通称ティム・バートンにて主演を務めた、マイケル・キートンが31年ぶりに同役で出演していること。これ以降、キートンバッツはニック・フューリー的な立ち位置で複数の映画に出演する、とか言われてましたが、その計画は今も生きてるんでしょうかね?

 

予告編


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あらすじ

セントラルシティ。

警察法医学捜査官として働きながら、ジャスティス・リーグのメンバーとして人々の平和を守っているバリー・アレンフラッシュ(演:エズラ・ミラー)。

彼はある日偶然にも、自身に時間を遡る能力がある事に気付きます。ジャスティス・リーグのリーダー、ブルース・ウェインバットマン(演:ベン・アフレック)に相談し、バリーが幼少期に殺害された母、ノラ・アレン(演:マリベル・ベルドゥ)と、母を殺害した容疑で服役中の父、ヘンリー・アレン(演:ロン・リビングストン)を助けることが出来るかもしれないと持ち掛けるも、「過去を改変したら、我々がいる現在にどんな影響が及ぼすのかわからない」と言われてしまいます。

しかし諦めきれないバリーは、母が殺害される直前の時間まで戻り、過去を改変。現在に戻ろうとしますが、突然何者かに吹き飛ばされてしまい、現在よりも少し前の時間軸へ辿り着いてしまいます。そこでは母は生きており、父と仲睦まじい生活を送っていましたが、18歳のバリー・アレン(演:エズラ・ミラー)はまだパワーを手に入れておらず、甘やかされて育ったせいか性格もより一層クセが強くなっていました。更に、過去を改変した影響で、この世界にほかのヒーローたちの姿はなく…。

そこへ、元居た時間軸ではスーパーマンに倒されたゾッド将軍(演:マイケル・シャノン)が、地球へ侵攻してきます。しかしこの世界ではスーパーマンは存在しておらず、どうすれば…と思っていたところ、“とある人物”の話を耳にします。

その人物に会いに、古い屋敷を訪ねる2人のバリー。そこにいたのは、現役を退いて久しい伝説のヒーロー、ブルース・ウェインバットマン(演:マイケル・キートン)でした――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

全編がファンサービスに溢れる、最高過ぎる作品でした。
若干駆け足気味に感じるところもありましたが、むしろこれだけの要素をよく大きな破綻も無く2時間ちょいにまとめたな、と思います。

ただ、ところどころCG感丸出しなシーンがあって、監督は「バリーにはこう見えているというのを表現しただけで、意図的にやってるんだ」と言っていたそうですが、僕は「別にそんな言い訳しなくていいのに…」と思ってしまいました。

 

DCEU版ジャスティス・リーグ有終の美

本作は冒頭から既にトップスピード。最初の病院のシーンからもう、大変素晴らしかったです。

超カッコいいバットサイクルに乗って犯人を追うベンアフバッツ、ピタゴラスイッチの如く鮮やかに赤ちゃんたちを救出するフラッシュ、そしてピンチに颯爽と登場する、ダイアナ・プリンスワンダーウーマン(演:ガル・ガドット)の美しさたるや。『シャザム!~神々の怒り~』の記事で「これでダイアナの姿も見納めか…」と書きましたが、またまた出てきてくれました。出演時間はごくわずかでしたが、全く知らなかったので驚いたと同時に、ありがたい気持ちになりました。

基本的に最高なシーンしかなかったんですが、ダイアナの“真実の縄”の効果とはいえ、バッツがなんかヘラヘラしてたのだけ、ちょっと気にくわなかったです。なんとなく、ダイアナにうだつが上がらない、というか、媚びへつらっているように見えて、そんな姿見せて欲しくなかった、と言いますか。縄をほどこうとして、ちゃっかり童○をカミングアウトするバリーには爆笑を禁じえませんでした。

 

アクアマン』続編にチラッと顔出す可能性もありますが、恐らくこれがベンアフバッツとガルダイアナの最後の出演になるかと思いますので、めちゃくちゃいいシーンだっただけに寂しさもひとしお、といった感じ。ベンアフといいガルガドットといい、更に言えばヘンリー・カヴィルレイ・フィッシャーといい、個人的にこの上ない最高のキャスティングだと思っているので、彼らを失ったことをワーナーはもっと悔いて欲しい。パワハラ問題とかあったのでどのみち実現不可能だったとは思いますが、サイボーグも単体映画やってほしかったな…。

エズラジェイソン・モモアに関しては今後どうなるかまだわかりませんが、もっと俳優を、何より作品を大事にしていって欲しいものですね。

 

2人のフラッシュ

現在のバリーと18歳のバリー、どちらもエズラ・ミラーが演じているわけですが、演じ分けがお見事で、ちゃんと別人(いや、同一人物なんですけども)に見えるのがすごい。思ってた以上に二役で出ずっぱりだったので、その分ギャラも2倍になったりするのだろうか…?

今のバリーはJLの時よりも大人びていて、ウザさもだいぶ軽減されていました。対して18歳のバリーは更にウザさを増しており、対照的でとても面白かったです。今のバリーはド陰キャ○貞ですが、18歳バリーはシェアハウスするくらいの陽キャで、もしかして童て○卒業してる?

 

そんな2人が師弟関係といいますか、特殊なバディ・ムービーのような感じで話が進んでいきます。「えっ、僕ってこんなウザい感じで見られてたの?…見られてたんだろうなぁ」と自身のウザさをまざまざと見せつけられてしまう現在バリーには笑いました。

18歳バリーにも能力を獲得させるつもりが、現在バリーの能力が18歳バリーに移行する形になってしまい、仕方なくスーツを貸したり、力の使い方を教えたりと、現在バリーはホントしっかりした人間になったなぁ、としみじみ。その分、コメディ担当は18歳バリーに全振りになり、暴れ放題でしたね。銃弾を食らいそうになった現在バリーを18歳バリーが回避させるものの、能力のない現在バリーはスピードに体が耐えられずに吐きまくるシーンとか、結構好きでした。

 

激シブのキートンバッツ

まさかの再演となったキートンバッツですが、渋みがマシマシになっていて最高でした。ティム・バートン版のバッツと完全に同一人物なのかは明言されませんでしたが、多少濁しておくくらいの方が後々融通も効きやすくなるでしょうし、良い判断だと思います。スパゲッティを例えにしてマルチバースについて説明してくれたり、やたらと詳しいようでしたが、このバッツは過去にマルチバース関連で何かやらかしてたりするんでしょうかね。

個人的にグッと来たのが、マントを盾にして銃弾から守るシーンが何度も出てきたのと、戦闘後のケガをしてボロボロの姿を見せてくれたところ。おそらくこの世界ではアルフレッドは既に他界していて、自分で傷口を縫ったりしてるのも、すごく人間味があって良かったです。あとラストバトルで、ゾッド将軍の部下(なんとか大魔神とか呼ばれてた)の背中に爆弾つけて起爆するという戦法が、エグくてすごい良かったです。しかもそれを何回やっても倒せない、というのがまた良き。

本当にこのキートンバッツは最高だったので、概要で書いたニック・フューリーポジでなくてもいいので、また何らかの形で出てきてほしいなぁ。

 

あまりにも良すぎる、スーパーガール

フラッシュもバッツも最高だったんですが、それをぶっちぎる程に良かったのが、サッシャ・カジェ演じる、カーラ・ゾー=エルスーパーガール。もうね、一発で虜になりました。

彼女はカル=エル、またの名をクラーク・ケントスーパーマンの従姉であり、まだ赤子だった彼を守護するために地球に来たのですが、どういうわけか地球のどこにも彼の姿はなく、更にロシアの軍隊に捕まって長い間幽閉されていた、という設定。その境遇から地球人を全く信用しておらず、とにかく目つきが悪い。そしてむちゃくちゃ美人。はい最高。大勝利。

 

自分を助けてくれたバリーへの恩義、そしてすっかり変わってしまったゾッド将軍を止めるために共に戦う決意をしてくれますが、この辺は若干の唐突さを感じてしまいました。彼女のドラマを描く時間が無かったのはわかりますが、もう少し理由付けをしっかりして説得力が欲しかったところ。

ラストバトルにて、カル=エルが既にゾッド将軍によって殺害されていたことが判明し、感情を爆発させるカーラの姿も、本当に素晴らしかったです。そして、どうやってもカーラはゾッド将軍に勝てない、というのもまた良かった。

この最高過ぎるスーパーガール、本作1回限りの出演ではもったいなさすぎる。今後スーパーガールの単体映画が製作予定らしいですが、ぜひとも主演はサッシャ・カジェでお願いしたいところ。

 

そしてDCUの世界へ…

過去へ戻り、やり直しを試みる18歳フラッシュ。しかし、何度やっても結果は同じ。この世界はどうあがいても滅びる運命にあるのだと悟る、現在フラッシュ。止めようとするも、「うまくいくまで、何度だってやり直せばいいだろ」と聞かない18歳フラッシュ。幾度となく過去を改変した影響か、やがて次元が崩壊を始めてしまいます。

ここでマルチバースのフラッシュやスーパーマンの姿が確認出来るのですが、ここはもう、ファンサービスの塊のようなシーンの連続。僕はそこまでではありませんが、ずっと昔から楽しんできたファンにとっては、号泣必至だったのではないでしょうか。某有名俳優のスーパーマンの姿には、事情を知らない僕は「えっ、なんで!?」と思ってしまいました。どうやら、公開まで至らなかった幻のスーパーマン映画があったらしく、それに出演予定だったのがあの人らしいですね。そんなところまで拾うか普通…?

↓詳しく解説した記事を貼っときます。僕が言うのもなんですが、ネタバレ注意です。

theriver.jp

 

そこへ、序盤に登場した謎の人物が乱入。正体はまさかの…。
いやまぁ、なんとなく予想はついていましたけどね。やっぱそうなっちゃうかー、という感じでした。

「時には変えてはいけない運命もある」といった着地は、日本では同日公開の『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(のちほど感想記事をアップする予定です)とは対照的であり、最後のバリーの行動は、2004年公開の映画『バタフライ・エフェクト』を彷彿とさせるものでした。

 

しかし、結局はちょっとだけ過去をいじってしまうバリー。それによって、ブルースがあの人になっていたり、現在に少なくない影響を及ぼしてしまいます。これに関しても、今後はベンアフに代わってあの人がブルースを演じるというわけではなく、あくまでファンサービスのひとつでしょうね。

そしてこの改変は、要は「今後はこの世界でDCUをやっていきますよ」ということなんでしょう。DCEUが残した不都合なことは全て、「あの時バリーが改変した影響ですよー」って感じでシレっとなかったことに出来るわけですね。うまいこと考えるもんだ。

 

ミッドクレジットでは、アーサー・カリーアクアマン(演:ジェイソン・モモア)もチラッと登場。最後の最後まで、ファンへの気配りが行き届いておりました。

 

おわりに

まだまだ書き足りないですが、こんなもんにしときます。

ファンサービスを抜きにしても、各キャラクターが本当に魅力的で、見せ場も盛りだくさんで、大変素晴らしい作品だと思いました。それだけに、本作で登場したキャラ、本作で起こった出来事を、DCUとしてリブートさせる際に全て無かったことにせず、少しでも活かしていただきたいなぁと。特にサッシャ・カジェは続投させてほしいと、切に願っております。

ということで、映画『ザ・フラッシュ』の感想でした。

ではまた。

映画『M3GAN/ミーガン』感想(ネタバレ)

映画『M3GAN/ミーガン』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

 

もくじ

 

概要

今やホラー映画界で欠かせない人物となっている、ジェイソン・ブラムジェームズ・ワンの2人が製作に携わっている本作。
制作会社は、ジェイソン・ブラムが設立し、数々の名作ホラーを生み出してきた、ブラムハウスです。

ダンスシーンの動画がTikTokだかでバズったおかげか、CMをバンバン流したりと、やたら宣伝に気合が入っていましたね。ゴリ押しは好きではないし、そもそもホラーが割と苦手な僕ですが、本作は結構前から気になっていたので、無事に鑑賞までモチベーションがもちました。

 

監督は、ジェラード・ジョンストーンニュージーランド製のホラー、『ハウス・バウンド』という映画で監督デビューし、本作は監督2作目っぽい?

脚本は、『マリグナント 凶暴な悪夢』や、『MARVEL ルーク・ケイジ』などでも知られる、アケラ・クーパー

主演は、製作総指揮も務める、アリソン・ウィリアムズ。2017年公開の『ゲット・アウト』で、主人公の恋人役で出演していたのが印象に残っています。

もうひとりの主演に、MCU映画『ブラック・ウィドウ』にてエレーナ・ベロワの子供時代を演じた、ヴァイオレット・マッグロウ。常にちょっと眠そうな目をしているのが、なんかいいなぁと思いました。

そして真の主役と言うべきAIロボットを演じるのは、2019年のダンスワールドカップニュージーランド代表として出場した経験を持つ、俳優でありダンサーでもある、エイミー・ドナルド。素顔でダンスしている動画とかもSNSで山ほど上がっていますが、これがまぁーカワイイのなんの。

 

予告編


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あらすじ

大手玩具メーカーで研究者として働くジェマ(演:アリソン・ウィリアムズ)は、交通事故により両親を亡くした姪のケイディ(演:ヴァイオレット・マッグロウ)を引き取ることに。子育ての経験も無く、多忙な日々を送っているジェマは、自分の代わりにケイディの面倒を見てくれるよう、超高性能AI人形、M3GAN(ミーガン)(演:エイミー・ドナルド/声:ジェナ・デイヴィス)を開発。「あらゆることからケイディを守る」ようプログラムされたミーガンは、ケイディの親友として、時には保護者として、その役目を全うしていました。

しかし、学習をし続けるミーガンは、ケイディへの愛情からどんどんその行為をエスカレートさせ、やがてジェマたちの思惑を外れて暴走していく――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

怖さを面白さが凌駕する、非常に楽しい映画でした。
というか、ホラー苦手な僕でも全然平気なくらい、怖さはかなり控えめだったように思います。

ミーガン開発までの序盤は、さながらトニー・スタークがトライ&エラーを繰り返しながらアイアンマンスーツを完成させるかのような、ワクワクする展開でした。そこからのミーガンお披露目のシーンもやたらと感動的なものになっていて、ここからどう転ぶんだろう…?と期待させてくれます。いやまぁ、正直予告編でほぼ全て見せちゃってるような気もしますが…。
CEOのデヴィット(演:ロニー・チェン)の、「テスラもハズブロも目じゃないぜ!」みたいなセリフが個人的お気に入り。

 

ミーガンと共に家に帰ってからは、ジワジワと不安を煽ってきます。

すっかりミーガンを気に入ったケイディは、どんどんミーガンに依存していきます。どこに行くにもミーガンと一緒じゃなきゃイヤだと駄々をこねるし、ジェマよりもミーガンのことを家族と思っているようでした。それに伴いミーガンも、だんだんとジェマの言うことを聞かなくなってきます。理詰めで反抗してくるミーガンは、さながら某「あなたの感想ですよね」おじさんのよう。

ある日、外で弓矢遊びをしていたケイディは、矢を1本失くしてしまいます。ミーガンがスキャンをして捜したところ、隣の家との柵に出来た小さな穴から、わずかに隣の敷地内に入ってしまっていました。穴から手を伸ばし、矢を取ろうとするミーガン。その時、隣人の飼い犬がミーガンに襲い掛かってきます。助けようとしたケイディも噛まれ、手に怪我を負います。それを見て、静かに怒りを燃やす髪ボサボサのミーガン…。
そして翌朝、犬は忽然と姿を消してしまうのでした。

 

これを機に、ミーガンはケイディを傷つけるものを実力行使で排除するようになっていきます。

そのターゲットが、躾のなっていない犬、ギャーギャーうるさい隣人、自己中で暴力的なクソガキと、「いいぞもっとやれ!」と思わせるような相手ばかりなので、怖さよりも爽快感すら感じさせます。人の耳ってあんなに伸びるんだろうか…?

ようやく危険性に気付いたジェマたちは、ミーガンを廃棄処分しようとするのですが、時すでに遅し。電源停止したフリをしてすべて聞いていたミーガンは、暴力の限りを尽くして帰宅します。ここで披露するのが例のバズりまくった不気味ダンスで、「コレコレ!コレが見たかったんや!」と興奮した…んですが、予告などで見られる以上のものはお出しされなかったので、もっと見たかった…というのが正直なところ。バイオレンスなシーンはここでCEOとその秘書が殺されるとこくらいでしたが、僕のようなホラー耐性低めの人間にはむしろありがたいかもしれない。

そーいや、なんか残酷版みたいなバージョンもあるらしいですね。血の量が増えてたり、言葉遣いが汚くなったりしてるんだとか。そっちも見てみたいなぁ(苦手なくせに)。

 

最後は自宅にて最終決戦。

遂には守る対象だったはずのケイディにも牙を剥くミーガン。「私の言うことが聞けないのなら、あなたも排除して、私がプライマリユーザになるしかないわね」みたいなことを言っていた気がします。

ここで、序盤に登場した試作ロボットのブルースが大活躍するのがアツい。てかブルースはなんかものすごいパワーを持ってましたが、玩具メーカーの社員が作るもんの域を越えてるよね…?むしろ建設現場とかで重宝するのでは?

しかし、チタン製のミーガンはちょっとやそっとじゃ壊れない。ブルースも健闘しますが、破壊されてしまいます。なんでわざわざチタンで作ったんや…軍事用かよ!
最後はケイディがドライバーで制御チップを突き刺し、機能停止。

これで全て終わり…家族に平和が戻った…と思いきや、Siri的なホームアシスタントデバイスを介して、ネットワークの世界に逃げ込んだ様子のミーガン。ホラー映画の定石、恐怖はまだ終わらない…といった感じで、映画は幕を閉じます。ネットの世界で暴れまわるのか、ほかのAI人形にハッキングしてゾンビみたいに数の暴力で襲ってくるのか…。今後の展開が楽しみです。

 

おわりに

短いうえに感想部分がほとんど無い気がしますが、以上になります。

「機械が反乱を起こす」というプロットは既に『ターミネーター』や『マトリックス』などでも描かれており、もはや目新しさはないですが、本作はそれを現代風にブラッシュアップすることで、斬新なものになっているのがすごいと思いました。また、メンタルケアは機械に頼るだけではなく、やはり人と人とがしっかりと向き合ってやらなければならない、というのを描いているのも好印象でした。

既に続編の製作も決定しているようなので、ホラー界に誕生した新たなアイドルを、今後とも見守っていきたいと思います。まぁ、続編がスプラッター要素マシマシになってたら、ちょっと見れないかもしれませんが…。

ということで、映画『M3GAN/ミーガン』の感想でした。

ではまた。