GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『NOPE/ノープ』感想(ネタバレ)

映画『NOPE/ノープ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意下さい。

始めに言っとくと、僕はホラー映画が苦手な方です。
ビビりなので怖いシーンはビクッ!となっちゃうし、血とかのゴア描写も胃がずっしりと重くなって、気分が沈んでしまいます。全く見ないという訳ではなく、気になった作品はチマチマ見てますが、見るまでにちょっと身構えちゃうというか、覚悟をする必要があるというか。『バイオハザード』シリーズくらいのカジュアルさだったら全然平気(むしろ好き)なんですけどね。

SAW ソウ』シリーズとか、見ようと思って1~4辺りまで一気にレンタルしたのに、怖くて結局見れずに返しちゃったくらいです。数年後に1作目だけは見て、ラストのどんでん返しとか唸っちゃうくらい面白かったけど、やっぱり滅茶苦茶怖かった…。なのでホラーの定石とかもよくわからず、『CABIN キャビン』とかも見たけどあまり楽しめなかったクチです。

 

そんな僕ですが、2~3年前にAmazon Primeに加入して最初に見た映画が、2017年公開の『ゲット・アウト』でして。
こちらはコメディアン出身のジョーダン・ピールの監督デビュー作である、ホラー映画になります。「ホラー苦手って話はどこ行った」という声が聞こえてきそうですが、公開時から「コメディ出身の人がホラー?どうなるんだろう?」と思ってたのと、評判が非常に良いらしいので気になってたんです。で、見てみると、黒人差別の問題をホラーに落とし込んだストーリーや、全体に漂う不穏な空気感など、怖いけどすごく面白いと思える映画でした。

同監督の次作である『Us アス』は、後で見ようと思ってウォッチリストに入れたままにしてたらいつの間にか見放題から外れててまだ見れてないですが、「デビュー作からいきなりこんなすごい映画を撮るとは、ジョーダン・ピール監督、恐るべし…」と思ったものです。

 

で、そのジョーダン・ピール監督の最新作が本作、『NOPE/ノープ』になります。
“Nope”は、劇中では“ありえない”という意味合いで使用されていました。
日常の中に潜む非日常をリアルに描き出す作風は、本作でも健在。じわじわと不安を募らせていき、最後まで目を離せなくなるような、非常に見応えのある作品になっておりました。

 

本作で主演を務めるのは、『ゲット・アウト』でも主演だった、ダニエル・カルーヤ。監督のお気に入りなのかな。アメコミファンには、『ブラックパンサー』のウカビ、と言った方がわかりやすいかもしれません。
日本の俳優でいうところの池松壮亮っぽいというか、感情をあまり前面に出さない抑えめの演技が割と好きです。

そのほか、様々な俳優さんが出演していますが、割愛。
さっさと感想に参りたいと思います。

 

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アメリカ・ハリウッド。
映画撮影のための馬の飼育などをしている牧場にて、OJ・ヘイウッド(演:ダニエル・カルーヤ)は平穏に暮らしていました。

ある日、牧場に金属片のようなものが降り注ぎ、OJの父であり牧場主である、オーティス・ヘイウッド(演:キース・デイヴィッド)を直撃。命を落としてしまいます。調査の結果、飛行機から積荷が落下したとされましたが、OJはそれを不審に思うのでした。

それから半年。
牧場を継いだOJですが、その経営は非常に厳しく、近所のテーマパークのオーナー、リッキー・“ジュープ”・パーク(演:ティーヴン・ユァン)に大切に育てた馬を売却することで、どうにか食い繋いでいました。
ある晩、OJは空を飛行する巨大な“何か”を目撃。その動きは、明らかに飛行機のそれではありませんでした。妹のエメラルド・ヘイウッド(演:キキ・パーマー)は、撮影してテレビ局に売り込めば生活が安定すると提案。近所の家電量販店の店員、エンジェル・トレス(演:ブランドン・ペレア)にカメラを設置してもらいます。

果たして、雲の中に潜む“何か”の正体とは――。
というのがあらすじ。

 

※結構重大なネタバレをいきなりかましているので、多めに改行入れときます。

 

↓敢えてここに予告編挟んどきますね。


www.youtube.com

 

 

 

ぶっちゃけて言うと、本作はホラーというよりも、UFOもの、いやむしろ怪獣ものになるかと思います。馬や人を攫う未確認飛行物体、その正体は、それそのものが巨大な生命体だった。てな感じです。

この切り口、なかなか斬新で面白いですよね。昔からよく言われてる、「宇宙船が地球の生物を研究するために人を攫ったりしてるのではないか」みたいなところから、「実は宇宙船ではなくひとつの生命体で、単純に食うために吸い込んでる」といったミスリードもうまいなーと。

 

主人公たちの目的が、巨大な生命体を“倒す”ではなく“撮影する”なのもいいですよね。背伸びしてないというか、現実的というか。撮影した映像をTV局に売って金にしたら、恐らく彼らはあの土地から離れてあとは知らぬ存ぜぬ、って魂胆で、ヤツを止めようとか倒そうとかはさらさら思ってないであろうところも、リアリティを感じられて良かったと思います。

ヤツが近づくと電子機器が動かなくなるという特性を利用して、その辺にあった電気式のバルーンをくすねてきて広範囲に設置し、バルーンがしぼむ=ヤツが近くにいるといった感じで動きを察知したり、カメラも使えなくなるから電気を必要としない手回し式のカメラを用意したりと、圧倒的な力を持つ相手に知恵を絞って立ち向かう、という構図も非常にアツかったです。最終的に風船(気球?)を喉?に詰まらせて倒してしまう訳ですが、倒そうと思って倒したのではなく、撮影するために奮闘してたら結果として倒すに至った、という塩梅も絶妙だと思いました。

 

あと、馬のラッキーがおりこうさん過ぎて最高でした。
バカでかい未知の生命体が目の前まで来ていて滅茶苦茶怖いはずなのに、ご主人(OJ)の言う事聞いてゆっくり後ずさりしたり、一度は逃げちゃうけどちゃんと戻ってきたり、「あぁラッキー…!なんて健気ないい子なの!」とひとりで感動してました。OJは売った馬たちもちゃんと買い戻そうとしてたりと愛情をもって育てていたようだし、その愛情に応えてくれた、ということでしょうね。本作の個人的MVPは間違いなくラッキーです。

 

人が吸い込まれ、飲み込まれ、腹の中?でぎゅうぎゅう詰めになって苦しむ様子を主観映像で見せるところとか、「オレの縄張りから出てけ」と言わんばかりにOJの家に食べかすと共に血の雨を降らせるところとか、ホラーな描写も結構ありました。

中でも、幼少期のジュープが経験した、シットコムゴーディーズ・ホーム』の撮影中にチンパンジーゴーディーがブチ切れて出演者をボッコボコにするシーンは、トラウマ級の怖さでした。静寂の中、拳を叩きつける音と微かな呻き声だけが響き渡るあのシーン、目を背けたくなるほど怖かったです…。

でも正直、あのシーンが本編のストーリーにどう関わっているのかは、僕の足りない頭ではわかりませんでした…。
鑑賞後にうだうだ考えて、ジュープが「未確認飛行物体を観客の前に呼び寄せる」という行動に出るきっかけになった、ということなのかな、と思いました。「あの場面でも、自分だけはゴーディーと心を通じ合わせることが出来た(※実際どうだったかは不明)。だから今回も、未知の“何か”とわかり合うことがを自分の思い通りにすることが出来るはずだ」とジュープは考え、馬のラッキーをエサにしておびき寄せようとした。しかし、これまではたまたま馬とかを標的にしていただけで、その“何か”にわかり合おうなどという気があるはずもなく。ジュープはその傲慢さの報いを受けるように、観客もろとも飲み込まれてしまった(馬だけ無事、というのがさらに皮肉が効いてる)。ということなのかなーと。

あと、出演者が殴られてる横で脱げた靴が直立してた、というのも、意味ありげにフォーカスしてたので何かしらの超常的な力が働いていたのかな、と思いましたが、そういう訳ではなかったみたいですね。あれが“最悪の奇跡”、なのか…?

 

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てな感じで、感想は以上です。
なんか、無意識にラストから遡るような書き方になってしまった…。たぶんストーリーを追うように書いてった方が、読む側としてはわかりやすいですよね。読み手がわかりやすい文章を書く、というのも少しずつ出来るようになっていければいいなぁ。

それはさておき、本作はありきたりなホラー映画やUFO映画とは一味も二味も違う作品になっていることは間違いないかと思います。すごく評判がいいようで、IMAX上映を再開している劇場もあると聞きます。気になっている方は、ぜひ鑑賞してみてはいかがでしょうか。

ということで、映画『NOPE/ノープ』の感想でした。

ではまた。