GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』感想(ネタバレ)

映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

本作は、マーベルコミックに登場するヒーローのひとり、ブラックパンサーを主役とした映画であり、2018年公開の『ブラックパンサー』に続く第2作目となります。
前作は初の黒人を主役としたスーパーヒーロー映画として注目され、キャストやスタッフ陣も大半が黒人で構成されていることも相まって、話題となりました。そして、スーパーヒーロー映画としては史上初、アカデミー賞7部門ノミネート、3部門で受賞という快挙を成し遂げています。誰の目から見ても傑作だって、はっきりワカンダね…。

 

目次

 

ブラックパンサーとは

ティ・チャラブラックパンサーは、アフリカにある架空の国、ワカンダ国の君主であり守護者でもある、というキャラクターで、アメコミ界では初となる、アフリカ系の黒人ヒーローです。
原作では、1966年に刊行されたコミック『ファンタスティック・フォー』にて初登場。

コミックでもアベンジャーズのメンバーとして活躍したほか、ファンタスティック・フォーイルミナティ等のメンバーとしても活躍したそうです。また、X-MENのメンバーであるストームと結婚していたこともあるそうで、ちょっと驚き。

 

その能力は、特殊なハーブによってもたらされる、超人的な身体能力。パワーやスピードだけでなく、五感全てが強化されているとのこと。また、精霊や神様との交信等、霊的な能力も持っており、祖先のブラックパンサーの能力を使ったり、死者を操ったりすることも出来るらしいです。MCU版ではここまでの能力は無い(儀式の中で霊界?がちょっと出てくるくらい)ので、なんかスゲェな…という感じ。

そのほか、優れた頭脳や先進的な技術、強力なワカンダの軍隊も大きな武器となっており、この辺はMCUにも受け継がれています。発明家としての一面もあるそうですが、これは妹のシュリに分散させたみたいですね。

 

これまでの変遷

MCUにおけるこれまでの活躍を、簡単に書いていきたいと思います。

  • シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』2016年
    この作品にて、MCU初登場。また、実写映画への登場もこれが初なんだとか。
    父を殺害した容疑者であるウインター・ソルジャーへの復讐のため、アイアンマン陣営のひとりとして参戦します。ラストでは黒幕であるヘルムート・ジモを見つけ出しますが、ティ・チャラは彼を殺害せず、復讐の連鎖に終止符を打つのでした。

  • ブラックパンサー』2018年
    『シビル・ウォー』の1週間後のお話。
    亡き父に代わり王位に即位したティ・チャラでしたが、ワカンダの闇を体現したような男、キルモンガーによってその地位は奪われてしまいます。しかし、反旗を翻したドーラ・ミラージュやジャバリ族の助けなどもあって、王位を奪還。最後は、ワカンダの隠されてきた技術を世界の為に開放することを国連で演説し、幕を閉じました。

  • アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー&エンドゲーム』2018,2019年
    大ボス、サノスインフィニティ・ストーンを奪われまいと、ワカンダを舞台に大激戦が繰り広げられます。しかし健闘虚しく、ストーンは奪われ、サノスのデシメーション(通称:指パッチン)が発動。全生命体は半分に間引きされ、ティ・チャラも消滅してしまいます。
    その後、“タイム泥棒作戦”によってストーンを再び集め、消滅した人々を復活させることに成功。最終決戦では、復活したティ・チャラやワカンダの軍勢も加勢し、勝利を収めます。

  • ホワット・イフ…?』2021年
    本筋とは関係ない番外編となりますが、こちらでは別次元(マルチバース)のティ・チャラが登場します。ティ・チャラがスター・ロードとなり、宇宙をまたにかけて活躍する姿が描かれました。この作品が、チャドウィックの遺作となっています。

 

本作について

そうして本作へと繋がってくるわけですが、これまでティ・チャラを演じてきたチャドウィック・ボーズマンは、2020年に43歳という若さでこの世を去ってしまいました。2016年に病気が発覚したそうなので、MCU作品のほとんどを病と闘いながら撮影したということですね。そんな風には全く見えなかった…。

続編の企画は前作公開直後からチャドウィックの主演で進行しており、脚本も既に出来上がっていたらしいです。しかし、彼の急逝によりその企画は大きく変更されることとなりました。

 

監督・脚本は前作同様、ライアン・クーグラー
スタローンの出世作ロッキー』シリーズのスピンオフ、『クリード』シリーズの監督としても知られています。

主演を務めるのは、レティーシャ・ライト
前作でもティ・チャラの妹、シュリを演じ、本作でも同役を演じています。きっと彼女へのしかかるプレッシャーは並々ならぬものがあったと思いますが、見事に演じ抜いてくれました。

そのほか、ルピタ・ニョンゴダナイ・グリラウィンストン・デュークアンジェラ・バセットマーティン・フリーマンなど、前作にも登場したキャスト陣が続投しています。

 

さて、キリが無いのでぼちぼち感想に参りたいと思います。

 

予告編


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あらすじ

ワカンダ国国王、ティ・チャラの死から、1年。

彼に代わり、母のラモンダ(演:アンジェラ・バセット)が外交の場に立っていました。ラモンダは国連会議で、ワカンダが保有する宇宙由来の鉱石、ヴィブラニウムを奪おうと、某国が襲撃してきたことを抗議。こんなことが続くのなら戦争も辞さない、と毅然とした態度で言い放ち、その場を後にします。

一方、ティ・チャラの妹、シュリ(演:レティーシャ・ライト)は、兄を喪った悲しみから立ち直れずに、ラボに籠もって研究に明け暮れていました。見かねたラモンダはシュリをドライブへ誘い、ワカンダ国内のとある水辺へとやってきます。葬儀に使用した装束を燃やすことで死者への弔いが完了するのだと教えるも、兄の死を受け入れきれずにいるシュリは、「燃やしたいのは服じゃなく、この世界そのものだ」とそれを拒否。

そこへ、海底帝国タロカンの王、ネイモア(演:テノッチ・ウエルタ・メヒア)と名乗る男が水の中から現れ、接触してきます。厳重なセキュリティをどうやって突破したのか…それを聞く間もなく、彼は海底にある自国のヴィブラニウムが狙われており、探知機を開発した人間を連れてくるように要求してきます。拒否すればワカンダの国民を皆殺しにする、とも。

地上のワカンダと、海底のタロカン。両国の辿る運命とは――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

追悼、チャドウィック・ボーズマン

本作では、ティ・チャラのいないワカンダの苦労を一貫して描いており、「我らの王が健在ならこんなことには…(悔)」みたいなのがすごく多かった印象。いやまぁ、基本誰もそんなことは言わないんですが、そうやってティ・チャラという人物の偉大さを更に強調するような作りにすることで、この作品そのものがティ・チャラ=チャドウィック・ボーズマンを悼む物語になっているような、そんな気がしました。

 

個人的に、チャドウィックはものすごーく好きな俳優でして。
彼の出演作全てを見ているわけではありませんが、ティ・チャラがそのまま具現化したような佇まいや雰囲気、高い知性や気高き精神を持っているように見えて、ティ・チャラというキャラクターとしても、チャドウィック・ボーズマンという俳優としても、すごく好感が持てる人物だと思いました。『ブラックパンサー』で成し遂げた快挙は、彼の功績によるところが大きいのは間違いないだろうと思っています。今後の映画界そのものを担っていってくれるほどの存在だと思っていただけに、訃報を受けたときには本当にショックでした。

で、恐らく製作陣も、僕と同じかそれ以上に、彼のことを尊敬していたんじゃないかと。
CG処理だったり代役を立てたりすれば、ティ・チャラを登場させることは十分可能だったようですが、監督はそれを一切しない事を選択。当初のティ・チャラを主役とした作品から、現実と同様にティ・チャラ亡き後のワカンダを描く作品へと、大きくシフトチェンジされました。
恐らく企画を最初から練り直すって相当大変な事だと思うんですが、それでもチャドウィックが出演出来ないのならティ・チャラは出さないと考えるに至ったのは、ひとえに彼への尊敬の念からだったのではないかと思います。

 

彼の死、そして葬式のシーンから映画は始まるのですが、もう悲しくて悲しくて、開始1分経たないくらいでもう泣いてました。その後に流れる、マーベルスタジオのロゴが出るいつものヤーツもティ・チャラ仕様になっていて、もう号泣。その後も「ティ・チャラだったらどうしてただろう…」と思うところがたくさんあって、そのたびに泣いてました。

 

理想と現実の壁

あらすじでも軽く書きましたが、まだ弔いの儀式も終わりきっていないときに、ワカンダが保有する支援センターが何者かに襲撃され、ヴィブラニウムが奪われそうになります。国王親衛隊ドーラ・ミラージュがそいつらを制圧し、後日ラモンダは国連でそれを抗議します。ティ・チャラはその気高き精神から自国の技術を世界の為に使おうとしていたけれど、実際はこうやって力ずくで奪おうとしてくる奴らばかり。現実は厳しい。

こうした、高潔過ぎるがゆえに現実とのギャップに(周りが)苦しんでしまうという構造は、『ファルコン&ウインター・ソルジャー』にて、偏見など何一つないスティーブ・ロジャースキャプテン・アメリカサム・ウィルソンファルコンに盾を託すけれど、サムは未だ根強く残る黒人差別問題によって苦しむ場面に似ていると思いました。

 

ほかにも、ドーラ・ミラージュの隊長、オコエ(演:ダナイ・グリラ)が、良かれと思ってシュリを外へ連れ出したらタロカンに連れ去られてしまったり、ラモンダがナキア(演:ルピタ・ニョンゴ)に「なんとしてもシュリを連れ帰って」と命じたばかりに、シュリのお世話をしてくれてたタロカン人を射殺してしまい、それが原因で和平交渉が決裂してしまったりと、上手くいかない現実を描いているのも印象的でした。

余談ですが、シュリが連れ去られた際、オコエに対し、「私はお前たちがキルモンガーに従って我々を裏切ったことも許した。だが今回ばかりは許さない。私の制止も聞かず娘を連れ出した結果がコレだ。お前の隊長の任を解く。ドーラ・ミラージュもクビだ」とラモンダがブチ切れるとこ、正論過ぎてぐうの音も出ないやん…と思いました。本作のラモンダはずっと気丈に頑張っているように見えて、すごく好感が持てました。

 

海の王国、タロカン

今回、敵として立ちはだかるのは、海底にある帝国、アトランティスタロカンの人間たち。
ワカンダのみに存在すると思われていたヴィブラニウムは実は海底にもあり、そのそばに生えていた海草?を煎じて飲むことで、超人的な身体能力を獲得。つまりは、国民全員がブラックパンサーと同等の力を持っているということ。しかし、水の中でしか酸素を取り込めなくなり、海底に帝国を築いた…という設定。地上では息が出来ないので、陸に上がるときは海水で満たされたマスクをつけているのですが、「感染対策しっかりしてるな…」と余計なことを考えてしまいました(笑)

 

彼らの王、ネイモアは、地上でも呼吸ができ、更に足首から生えた羽によって空を飛ぶことも出来る、特異体質の持ち主。国民からはククルカン(羽を持つ蛇の神)と呼ばれています。飛行能力を「空を泳ぐ」という風に表現していたのが、なんかおしゃれだなーと思いました。

彼のキャラクターが、慈悲深く他国(というかワカンダ)にも友好的、というのも面白かったです。「ワカンダは我々と同等の軍事力があるようだし、敵にするとやっかいだから仲良くしとこう。地上を制圧する時、ワカンダを味方にしておけば有利に働くだろうし。」みたいな思惑はあるようですが、シュリへの思い入れみたいなのもあるようだし、国民を殺害されて激昂するという民思いな一面もあって、なかなか魅力的な悪役でした。シュリをタロカンへ招待し、街を案内するシーンは、圧巻の映像美でしたね。

 

そーいや、『ミズ・マーベル』のラストで「君は突然変異(ミュータント)だよ!」というセリフが出てきたときも驚きましたが、今回も「私はミュータントだ」と明言されていましたね。これから展開されるMCU版『X-MEN』への種蒔きでしょうか。胸が躍りますなぁ。

 

新ヒーロー、アイアンハート

本作では新たなヒーロー、アイアンハートが初登場します。
ヴィブラニウムの探知機を開発したのは、若干19歳の大学生、リリ・ウィリアムズ(演:ドミニク・ソーン)でした。これまで誰にも作れなかったヴィブラニウムの探知機を、ありふれた材料だけで作ってしまうほどの天才。原作では15歳という設定ですが、映画では少し年齢が上がりました。トニー・スタークアイアンマンとの関係性は、本作では特に言及されませんでしたね。

彼女は作業場でパワードスーツをDIYしており、初めはアイアンマンMk-1のような手作り感溢れるものだったのが、ワカンダの最新鋭の設備で新たなスーツを完成させます。『エンドゲーム』でペッパー・ポッツが装着したMk-49“レスキュー”とも異なる、背中に大きなブースターのようなものを装備した姿が非常にカッコよかったです。

超余談ですが、予告編とかで鉄板を叩いて切り抜いた形がハート型になってるシーンがあって、「これはアイアンハートが登場するということか!?」と予想できたのですが、そういう匂わせも要らなかったというか、全く何も知らない状態で見たかったなぁ、と思ったのが正直なところ。まぁ、あくまで個人的な感情なので、大した問題ではないです。

来年にはDisney+でアイアンハートを主役としたドラマが配信される予定らしいので、そちらも非常に楽しみ。

 

新生・ブラックパンサー

中盤、ワカンダに攻め込んできたネイモア達によって、リリをかばったラモンダは命を落としてしまいます。割と簡単に人が死ぬところも、本作の特徴かもしれない。唯一残された家族を奪われた怒りで、復讐に燃えるシュリ。ブラックパンサーの力の源であるハーブは前作でキルモンガーによってすべて焼き払われてしまいましたが、度重なるトライ&エラーの結果、3Dプリンターで再現することに成功。「ネイモアを殺す力を手に入れるため」に、シュリは例の儀式に臨みます。

霊界にて自身を導く存在と対話をするのですが、てっきり母のラモンダが出てくるのかと思いきや、現れたのはなんと、エリック・“キルモンガー”・スティーヴンス(演:マイケル・B・ジョーダン)でした。ここでティ・チャラが出てこないのは、チャドウィックが出演出来ないからというメタ的な理由から予想がつきましたが、まさかキルモンガーが出てくるとは驚きでした。つまり、今のシュリの精神性は、ティ・チャラやラモンダのような気高いものではなく、キルモンガーのような利己的で、暴力的なものだということでしょうね。

そしてキルモンガーの言う事に耳を傾けることなく、荒んだ心のまま現世に戻ってきたシュリ。儀式は失敗…かと思いきや、しっかりスーパーパワーは身に着けていました。漆黒のスーツを身に纏った彼女は、遂に新たなブラックパンサーとなります。敢えてキルモンガーのような金色の差し色が入ったスーツを選ぶところがまたニクイ。シュリ自身も、今の自分がヤツ寄りだと理解していた、ということでしょうか。

 

ティ・チャラを継ぐ者

タロカンの次の襲撃に備え、少し離れたジャバリパーク…じゃなかったジャバリ族の住処へ避難していた人たちのもとへ、上空から颯爽と現れるシュリ/ブラックパンサー。新たな王の誕生に歓喜する人々の前で、殺された者、そして母の仇を取るために、タロカンと戦うことを宣言します。
ジャバリ族のリーダー、エムバク(演:ウィンストン・デューク)はそんな彼女を心配し、「仇を取って、その後はどうする?復讐はまた新たな復讐を生むだけだぞ」と諭します。しかしそんなエムバクの言葉もシュリには届かず、「その後のことなんてどうだっていい。私はネイモアを許さない。絶対に殺してやる」と譲らないのでした。

前作までのシュリは天真爛漫で今風な天才発明家といった感じでしたが、本作では暗く、怒りや悲しみに満ちた姿になっていて、その変貌ぶりには本当に驚きました。そしてその姿は、これまでマーベル・スタジオが描いてきたヒーロー像とはかけ離れている、というのも興味深いなぁと。誰かを守りたいとか、誰かの助けになりたいとか、そういった感情が無いわけではないけれど、それ以上に兄を失った悲しみから前を向くことが出来ず、助けることが出来なかった自分自身をずっと責めているんですよね。更に、唯一の家族だった母を奪われたことで復讐心に呑み込まれてしまうというのは、彼女の気持ちが痛いほど伝わるだけになんとも悲しい…。

 

しかしラストで、シュリの心境は変化します。
戦闘中も殺意むき出しといった感じでしたが、作戦が見事にハマリネイモアを追い詰めたところで、彼に案内されたタロカンの風景、そしてそこに生きる人たちが思い浮かびます。最終的にシュリはネイモアを殺さず、再び和平の道を選ぶのでした。

「兄のような人物であろう」と思った、というよりかは、ワカンダとタロカンの国民がダブった、ということなのでしょうね。理由はどうあれ、シュリもまた復讐の連鎖に終止符を打った。この行いひとつで全てがひっくり返るわけではないけれど、偉大な兄に一歩近づいたのかな、と。ここでようやく、真の意味で“新たなブラックパンサー”が誕生した、といえるのではないでしょうか。

ネイモアは相変わらず打算的に和平を受け入れているようでしたが、今後両国の関係性はどうなっていくんでしょうかね。

 

恒例のミッドクレジットは、シュリがナキアの暮らすハイチを訪れ、彼女とティ・チャラの間に生まれた子供と対面する、というシーン。まさに「希望は、受け継がれる―。」というキャッチコピーの通りで、すごく感動してしまいました。また、ここでシュリは葬儀で使用した衣装を燃やしており、ようやく前に進む決心をしたんだな…と思うとまた泣けてきました。

 

そのほか、エヴェレット・K・ロス(演:マーティン・フリーマン)は相変わらずいい人だなぁとか、ヴァルことヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌ(演:ジュリア・レイス・ドレイファス)はロスの元嫁だったんかい!とか、カーチェイスシーンは前作の韓国でのシーンを彷彿とさせて最高!とか、ミッドナイト・エンジェルってオコエも言ってた通りネーミングセンスダサすぎ…(デザインは割と好き)とか、いろいろ言いたいことはありますが、この辺にしときます。

 

おわりに

といった感じで、感想は以上になります。
すごく思い入れの深い作品となったので、ちょっと長くなっちゃいました。

すずめの戸締まり』と同日に見てきたのですが、図らずもどちらも「喪ってしまった人を悼む物語」だったのが印象的でした。同じ日に見たのにこんなに間が空いてしまったのは、あーでもないこーでもないと書いたり消したりしていたせいです…。

 

本作でMCUのフェーズ4は終了し、いよいよフェーズ5へと突入します。フェーズ4では様々な情勢の変化もあり、上手くいかないことも多かったように思いますが、今後のMCUがどのように発展していくのか、楽しみでなりません。そこにティ・チャラがいてくれたら…と思うとまた涙が溢れそうになりますが、新たなブラックパンサーの活躍を今後も見守っていきたいと思います。

 

ワカンダ・フォーエバー。

チャドウィック・ボーズマン、フォーエバー。

ということで、映画『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバ』の感想でした。

ではまた。

映画『すずめの戸締まり』感想(ネタバレ)

映画『すずめの戸締まり』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

君の名は。』や『天気の子』のヒットで、すっかりトップクリエイターとなった新海誠監督。
その最新作が本作、『すずめの戸締まり』になります。

大変お恥ずかしいのですが、僕は新海作品は『君の名は。』しか見てない…。『天気の子』は、リバイバル上映されたときに見に行こうと思ってたのですが、タイミングが合わなくて見に行けず。『言の葉の庭』とかも、何度も何度も見ようとして再生ボタン押す一歩手前まで来たのに、「やっぱアメトーーク見よ」みたいになってまだ見れてない、という感じ。いずれ必ず見ます。

そーいやふと思い出したけど、『秒速5センチメートル』をいたく気に入ってる友人がいて、DVDも貸してもらったような気がするんですが、見た記憶がない…。あれどうしたんだっけ…。ちゃんと返したっけな…。

 

目次

 

概要

本作は、各地で発生しうる災害を未然に防ぐために旅をしながら、様々な人と出会って交流を深めていく、ロードムービーの要素が強いと思いました。

また、若干ネタバレ気味になってしまいますが、本作は東日本大震災を扱った作品になります。津波の描写こそありませんが、地震が発生したり、緊急地震速報のアラームが鳴る描写が出てきます。どことは言いません(言及されません)が、甚大な被害を受けた跡地も出てきます。そのため、実際に被害に遭われた方の中には、不快感を覚える人がいるかもしれません。そういった意味では、閲覧注意!な作品かと思います。

 

これまでの作品で評価の高かった色彩豊かな映像美は、本作でも健在。
宮崎の田舎町や、大都会東京、本作を象徴する場所である廃墟など、多種多様な風景が描かれており、それらを見ているだけでもお釣りがくるくらい(?)に、見応え抜群のクオリティとなっております。

 

主人公の声を演じるのは、若干19歳の俳優、原菜乃華
すごく可愛らしい声で、役柄にピッタリだと思いました。
調べたら、僕が2020年に見た中で最も号泣した映画『罪の声』で、非常に重要な役を演じた子だったんですね。この役の子の人生が余りにも壮絶過ぎて、思い出すだけで涙が出てくる…。

もうひとりの主人公を、天下のジャニーズ、SixTONESのメンバーである、松村北斗が演じています。
朝ドラ『カムカムエブリバディ』へ出演していた、と言えばわかる方も多いかと思います。まぁ、僕は見てないけど…。
確か声優初挑戦だったと思いますが、非常に声優らしい声質というか、ちょっとオーバー気味な演技がうまくマッチしていたように思います。

他にも、深津絵里染谷将太伊藤沙莉神木隆之介松本白鸚など、豪華俳優陣が声優として出演しています。
松本白鸚って誰だっけ…と思ったけど、顔見たら一発で分かりました。前名は松本幸四郎松たか子のお父さんです。「伝ー承ー!」のCMの人、とも言いますね。(お歳暮の時期とかによく見る…よね?)

 

余談ですが、平日の昼に見に行ったのに、シアターはほぼ満員でした。本作の話題性の高さが窺えますね。両隣の人が上映中にスマホをチラチラ見てたのが不愉快極まりなかったですが、分母が多いとどうしてもそういうのに出くわす確率も上がっちゃうのがなんとも。

感想や考察記事も山のようにネットに上がっていますので、読み応えのある文章はそちらにお任せするとして。
色々と特別な思いもあるので、僕はその辺の思いを中心とした感想を書いていきたいと思います。

 

予告編


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あらすじ

宮崎県ののどかな街で暮らす17歳の女子高生、岩戸鈴芽(声:原菜乃華)。
ある日、鈴芽は登校中に謎めいた青年、宗像草太(声:松村北斗)と出会い、「近くに廃墟はあるか」と尋ねられます。
彼の後を追って廃墟に向かった鈴芽は、開けた場所にポツンとたたずむひとつの扉を発見。吸い寄せられるようにその扉を開けると、そこには美しい星空が広がる、幻想的な世界が。鈴芽はその景色に、なぜか見覚えがあるのでした。

その後、学校へ登校し、昼食を食べようとしていると、廃墟の方角から不気味な煙のようなものが出ていることに気付きます。しかも、他の生徒には見えていない様子。ただならぬものを感じた鈴芽が再度廃墟へ向かうと、先程の扉が発生源となっており、草太が必死に扉を閉じようとしていました。とっさに鈴芽も助太刀に入り、どうにか扉を閉めることに成功します。

腕に傷を負った草太を手当てするため、2人は鈴芽の自宅へ。手当てを終えると、窓には見慣れない猫がいました。その猫は、「すずめ、好き。おまえ、ジャマ」と人間の言葉を話し、その瞬間、草太が鈴芽の部屋にあった椅子の姿に変えられてしまいます。

草太にかけられた呪いを解くために、2人はダイジン(声:山根あん)と呼ばれるその猫を追いながら、日本各地の廃墟に発生する“後ろ戸”を閉じていく――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

今、このテーマを扱う意義

概要で書いている通り、本作では東日本大震災を扱っています。この事について、きっと賛否両論あると思います。

ワタクシゴトではありますが、僕は地元が仙台なので、当時のことはよく覚えています。
僕自身は東京の大学に通っていたので、その日1日停電したくらいで済みました。実家は山の方にあるので津波の被害こそ無かったものの、至る所にヒビが入り(未だ完全に直ってない)、1ヵ月ほどライフラインも止まったままで、父は職場の復旧作業で何日も泊まり込みで働いていました。帰省して手伝いとかしようとも思いましたが、「むしろ帰ってこない方が良い」と言われ、断念。まぁ、交通機関もマヒしてましたし、どうにか帰れたとしても僕の分の食料とかも調達しなきゃならなかったわけで、それはそれで大変だったろうなぁと。
友人のひとりは、車を運転しているときに津波に遭い、浸水してくる車からすんでのところで脱出し、そのまま車を乗り捨ててどうにか事なきを得たそうです。

幸い僕やその周りに大きな被害が無かったので、トラウマになったりはしませんでしたが、恐らくこの先もずっと忘れられない出来事です。

 

しかし中には、思い出したくない、そっとしておいてほしいと思っている人もいて、そういった人にとって本作は、見たくないものを見せられていることに他ならないわけで。もしかすると、バッシングみたいなものもあるのではないかと思います。でも、新海監督はそうなりうることを分かったうえで、本作を作っているんですよね。

「時間が経つにつれ少しずつ記憶は風化していってるし、あの震災を知らない世代も増えてきた。だから今このタイミングで、震災を扱った作品を作る。」

入場者特典として配られた『新海誠』にも、こんな感じのことが書いてありました。インタビューとかが充実していてなかなか読み応えのある本だったので、鑑賞された方は一読をオススメします。あれ無料で配るって普通にすごいと思う。

 

とまぁ何が言いたいかというと、監督も生半可な思いで作ったわけではなさそうだよ、ということです。映像に限らず何かを創造する人って、感受性のアンテナをビンビンに張っているイメージがあるので、新海監督も人一倍思うところがあったんだと思います。そして、震災そのものや、震災に対する人々の感情と真摯に向き合い、災害がもたらす悲劇、残された人の思いから逃げない、といった強い“覚悟”のようなものを感じました。

 

失った人を“悼む”物語

監督の意図としては、決してトラウマを呼び起こして苦しめようとか、悲しい気持ちにさせようとか、そういうことでは断じてなく、喪ってしまった人たちに思いを馳せて、忘れないようにしよう、ってことなのかなーと思いました。

後ろ戸を閉じる=戸締まりするという行為は、まさに“悼む”ということだと思っていて。
廃墟が“過去”“失われたもの”を指していて、そういった場所に“後ろ戸”は出現する。そして、そこに刻まれた人々の思いを読み取ることで、扉を閉めることが出来る。それはまさに、喪ってしまった人たちに思いを馳せる≒悼むということなんじゃないかなーと。

 

また、“悼む”ことは、今いる人が前に進むためにあるんだよ、と言っているようにも思いました。

主人公、鈴芽は、震災によって母、岩戸椿芽(声:花澤香菜)を亡くしており、叔母の岩戸環(声:深津絵里)の家に引き取られ、宮崎へと移り住むことになります。高校生となった現在も、あの時の記憶は心の奥底にしまい込んで、母の死を受け入れることが出来ずにいました。

ですが、草太と共に“戸締まり”をしていく中で自身の過去と向き合うことになり、最終的に彼女は母の死を“悼み”、前へと進んでいくことを決意します。悲しみに蓋をして見ないフリをするのではなく、しっかりと死を悼む=嘆き悲しむことで前に進むことが出来るというのは、非常に納得感が高い流れだと思いました。

 

最後は常世に迷い込んだ幼少期の自分と出会うことになり、あの時形見の椅子を渡してくれたのは、未来の自分自身だったことが判明します。矢継ぎ早に母の特徴を言ったりして、必死に母を見つけようとする幼い鈴芽の姿は、つらくてつらくて涙が止まりませんでした(年々ああいうのに弱くなっていく…)

今の鈴芽は、そんな自分自身にも、前に進んでいく力があるのだと告げます。ここで「やれるやれる!君なら出来る!もっと熱くなれよ!」とか言うのではなく、「大丈夫、君もいずれちゃんと前に進めるからね」みたいに言うのが今っぽいなーとか思ってみたり。「お姉ちゃんは、だれ?」の問いに、「私はね、すずめの明日!」と言うのが印象的でした。

 

鈴芽と同じように、震災で大切な人を亡くし、それを受け入れることが出来ない人は実際にいると思います。そういう人に対し、僕は何を言えばよいのかわからず言葉に詰まってしまいますが、新海監督は本作で、そういった人たちへのメッセージを発信しているのかな、と思いました。

 

鈴芽の世界

決して悪い意味ではないですが、本作では意図的に“男性”が排除されていると思いました。

草太以外には、草太の友人、芹澤朋也(声:神木隆之介)と、あとは環の同僚、岡部稔(声:染谷将太)と、草太の祖父、宗像羊郎(声:松本白鸚)がちょろっと出てくるくらいで、あまり本筋に男性が関わってくることがなかった印象。各地で出会う人たちもみんな女性ですしね。

ホントは草太以外の男性は1人も要らないけど、いつもの「豪華キャスト集結!」をやりたいがために男性キャラを用意した可能性もありますが…そこまで邪推するのは野暮ですわな。

 

あと何と言っても、鈴芽の父親に関して何の言及も無かったのがちょっと気になりました。鈴芽も一切気にしていない様子なので、物心つく前に亡くなった、と考えるのが自然ですが、それにしたって回想とかで出てきてもいいはずなのに、全く出てこない。

ストーリーの進行に不必要なものを削っていった結果こうなった、ということかもしれないですが、鈴芽が見ている世界だけを描いている、ってことなのかもしれないなーと。ある意味、全編が鈴芽の主観映像といいますか。登場人物が比較的少ないのも、そういう風に考えればある程度納得できるように思います。

 

叔母である環との関係性も、印象深いものでした。
ちょっと過保護気味の環に対し、若干疎ましさを感じている鈴芽。鬼のような着信の嵐に、本当に気付かなかっただけなのか、はたまた。

後半、環は鈴芽に対し、溜まりに溜まっていた思いをぶちまけます。左大臣に操られていた?のが原因だったわけですが、2人の関係はギクシャクしてしまいます。しかしその後、環は変に言い訳せず、「そういう風に思ったことがあるのは事実」と認めるんですよね。自分の非を認めること出来ない大人っていっぱいいるので、素直にすごいと思いました。そして、「でも、それだけじゃない」と。きっとそうした負の感情の何倍も、優しい感情があったんだろうなーと。お互いへの深い愛情が感じられる、すごく大事なシーンだと思いました。

環の存在が、鈴芽が母の死と向き合う一助となったのは間違いないかと思います。

 

「いってらっしゃい」と「いってきます」

鈴芽は各地で、様々な人と出会います。

愛媛では同い年の活発な女の子、海部千果(声:花瀬琴音)と出会い、彼女の家族が経営する民宿に泊めてもらう事になります。
神戸ではスナックのママ、二ノ宮ルミ(声:伊藤沙莉)と出会い、彼女の子供とも仲良くなります。どーでもいいけど、伊藤沙莉の声がキャラとベストマッチ過ぎて最高でした。

彼女らは、旅立つ鈴芽を「いってらっしゃい」と送り出してくれます。なんというか、「いってらっしゃい」って、「また必ず会いに来てね」という願いが込められてると気付いて、すごく感動してしまいました。

 

対して「いってきます」は、「必ず帰ってきます」という思いが込められていると気付きました。また、“常世”から戻ってきた鈴芽が言う「いってきます」には、母に向けたものであると同時に、ここでもやはり「前に進む」という思いが込められていて、ホントよく出来てるなぁと。

映画自体も「いってきます」で締めくくられていて、とても前向きな気持ちになれる、素晴らしいラストでした。

 

余談ですが、スタッフロールでエピローグ的なのがイラストで語られるの、ジブリみたいで良かったです。

 

おわりに

随分と偏った感想になってしまいました。

ほかにも、ダイジン、かわいい!→怖い!→なんだコイツ(怒)→やっぱかわいい…(泣)ってなったり、芹澤めっちゃええヤツやん、と思ったり、懐メロの選曲センス、嫌いじゃないぜ…と思ったり、RADWIMPS、というか野田洋次郎の歌ってあまり好きになれないんですが、他の人が歌うとすごく良く聞こえるとか、色々言いたいことはありますが、この辺にしときます。

すずめ (feat. 十明)

すずめ (feat. 十明)

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この映画が最終的にどのような評価になるのかはわかりませんが、少なくとも僕は、監督がしっかりとした信念をもって震災を扱ってくれたこと、そしてそれをこれほどの完成度で提供してくれたことに感謝したいです。

この作品が少しでも被災者遺族の救いになってくれたらありがたい限りですが…。それはちょっと大袈裟ですかね。

ということで、映画『すずめの戸締まり』の感想でした。

ではまた。

ドラマ『仮面ライダーBLACK SUN』感想(ネタバレ)

Amazon Prime Videoにて配信中のドラマ『仮面ライダーBLACK SUN』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

仮面ライダーBLACK』は、1987年よりTBS系列で放送されていた、仮面ライダーシリーズの一作。TVシリーズとしては、『仮面ライダースーパー1』以来、6年ぶりの新作だったんだとか。

“原点回帰”をコンセプトとし、バッタの改造人間、敵組織によって改造され逃げ出した経緯など、初代『仮面ライダー』を踏襲した設定が特徴となっています。また、過酷な運命を背負った主人公の悲哀を描いたストーリーは高く評価され、翌年には実質的な続編『仮面ライダーBLACK RX』が放送されるなど、人気を博しました。

それから、BLACKと敵対するもうひとりの創世王候補、シャドームーンの存在も外せません。厳密にはシャドームーンは“仮面ライダー”を冠してはいませんが、ライダーと同格の見た目、能力を持っており、今となっては当たり前となっている、仮面ライダーvs仮面ライダーの先駆けとなった存在といえるかと思います。あ、ショッカーライダーは怪人枠ということでどうかひとつ。

 

一番最初の自己紹介の記事でも書いている通り、僕のハンドルネームやブログ名は、『仮面ライダーBLACK』から来ています。恐らく生まれて初めて触れた特撮作品であり、今でもトップクラスに大好きな作品でもあります。幼過ぎて当時の記憶はほとんどないんですけど、棒状のものを見つけては「りぼーけん!(※注:リボルケインのこと)」と言って振り回していたらしく、未だに両親にイジられます…(笑)

学生時代には、DVDレンタルしてほぼ一夜漬けで全話見たこともあったっけ。RXの勧善懲悪な感じも好きですが、やっぱりBLACKのちょっとダークな作風がすごく好きなんですよね。

 

目次

 

概要

そんな『仮面ライダーBLACK』が、仮面ライダー生誕50周年記念作品”としてリブートされることになりました。それが本作、『仮面ライダーBLACK SUN』となります。
仮面ライダーアマゾンズ』以来のAmazon Prime Video独占配信という形態で、1話40分程度、全10話からなる作品となっています。

 

監督は、『凶悪』、『日本で一番悪い奴ら』、『孤狼の血』などで知られる、白石和彌
日本社会に潜む闇の部分を描いてきた監督が、本作では“人種差別”を大きなテーマとし、全く新しいBLACKの世界を作り出しています。

脚本は、『凶悪』、『ひとよ』、『サニー/32』など、白石監督作を多く手掛ける高橋泉
音楽は、BiSHなどの楽曲を手掛けてきた松隈ケンタ
コンセプトビジュアルに、『シン・ゴジラ』等の監督を務めた樋口真嗣
特撮監督には、多くのウルトラマンシリーズで監督を務める田口清隆など、スタッフ陣は非常に豪華。

 

主演は、日本を代表する俳優、西島秀俊
最近では、主演を務めた『ドライブ・マイ・カー』がアカデミー賞4部門にノミネート、国際長編映画賞を受賞したことで、話題になりましたね。個人的には、2011年公開の『CUT』という映画が印象に残っています。あとTVドラマ『MOZU』とかも毎回楽しく見ていました。

もう一人の主人公を演じるのが、こちらも日本を代表する俳優である、中村倫也
TV、映画、舞台と幅広く活躍しており、見ない日は無いってくらいなので、代表作と言ったら何になるんだろう…?あ、代表作かはわかりませんが、実写版『アラジン』で主人公の吹き替えやってましたね。イケメンで歌もうまいとかズルすぎ!

そのほか、吉田羊中村梅雀三浦貴大濱田岳音尾琢真ルー大柴など、俳優陣も非常に豪華になっております。
制作が発表された当時は、まさかこんな豪華な顔ぶれになるとは夢にも思わなんだ…。

 

あと本作は対象年齢18歳以上で、ゴア描写に気合が入っているのも特徴的。第1話からいきなり腸を引きずり出したり、首を引きちぎったりしてましたからね。『アマゾンズ』といい、アマプラ作品はこういう路線なんでしょうか。明らかに“僕ら”をターゲットにしている…(ありがとうございます)。
なので、そういうのが苦手な人は閲覧注意です。

 

とまぁそんな感じで、感想に参りたいと思います。

 

予告編


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あらすじ

2022年、日本。
“怪人”と呼ばれる、人間と動物の特徴を併せ持つ種族がいる世界。日本政府が人間と怪人との共存をスローガンとして掲げ、50年が経過していました。彼らは変身さえしなければ人間と変わらない容姿、知能を持っているものの、怪人の中には高い殺傷能力を持った危険な個体もおり、なかなか人間たちには受け入れられず、怪人たちは強い迫害を受けてきました。

そんな中、和泉葵(演:平澤宏々路)は、怪人への差別をなくすべく、国際フォーラムにてスピーチをします。

「命の重さは地球以上。人間も怪人も、その重さに1gの違いもない。」

しかしそんな彼女の訴えもむなしく、街では怪人根絶を訴えるデモ行進の声が響き渡っており、怪人たちはそれに反発、争いを繰り返す日々が続いていました。

ある日、葵は友人の小松俊介(演:木村航)と帰路に就いていると、蜘蛛怪人(演:沖原一生)が襲い掛かってきます。連れ去られそうになる彼女を救ったのは、南光太郎(演:西島秀俊)という男。彼は黒殿様飛蝗怪人へと変身し、圧倒的な力で蜘蛛怪人を斃してしまいます。

現政権与党であるゴルゴム幹部たちは、光太郎の出現に驚きを隠せない様子。

「生きていたのか、ブラックサン――」

時を同じくして、地下に幽閉されていた秋月信彦(演:中村倫也)も光太郎の存在を感じ取り、行動を開始する――。

というのがあらすじ。

 

良かった点

新たな世界観

僕はTVシリーズも好きですが漫画の方も大好きでして、もしかして漫画準拠のドラマが見れるのかとちょっと期待しましたが、全然違いましたね。漫画版は衝撃的な結末も含め、今読んでもめちゃくちゃ面白いのでオススメ。単行本全5巻くらい(文庫だと確か全3巻)なので読みやすいですよ(ダイマ)

…と、どうしても思い入れが深くて脱線しがちになってしまいますが、本作ではTV版とも漫画版とも違う、差別の蔓延する混沌とした世界が描かれており、白石作品らしい社会の暗部を描き出したような作風になっています。全体に漂う陰鬱とした雰囲気も相まって、非常に面白いと思いました。

 

各種デザイン

生物感を強めたライダーデザイン、スチームパンク感のあるバトルホッパー、サイバー感のあるロードセクター、TV版を踏襲したような怪人デザインなど、今の僕の好みにマッチするデザインばかりで、とても良かったです。ロードセクターを信彦=SHADOWMOONのバイクとするのも、良いアレンジだと思いました。

 

過去と現在を絡めた展開

2022年の現代と、50年前の1972年が交錯しながら展開するストーリーも、なかなか見応えがありました。なんで50年前かって、本作が“仮面ライダー生誕50周年記念作品”だから、というメタ的な理由でしょうね。
ゴルゴム党設立までの経緯、どうして三神官は人間に隷属しているのか、信彦が地下に幽閉されていた理由、光太郎が左脚を引きずっているわけ等々が、過去のストーリーで明らかになっていきます。

ちなみに、50年前の光太郎は中村蒼が演じていますが、どことなくTV版で光太郎を演じた倉田てつを氏に似た面影があって、ナイス配役だと思いました。

 

新たな“変身”

本作では、第5話あたりまで“仮面ライダー”は登場しません。光太郎も信彦も、それぞれ黒殿様飛蝗怪人銀殿様飛蝗怪人に変身しますが、あくまで怪人です。変身ポーズも無く、ふんっ!と力を込めるだけの変身なので、カタルシスに欠ける部分がありました。

しかし第5話で、葵が改造されてしまったことで光太郎の怒りが爆発。ググッと拳を握り締めてからの、あの変身ポーズ!そしてTV版のような演出で、飛蝗怪人を経てからの、仮面ライダーBLACK SUNへの2段階変身!!グワーッ、テンションが上がる!!

そして第8話では、決意を新たにした信彦が、光太郎と鏡写しの変身ポーズを決め、仮面ライダーSHADOWMOONへと変身!!中村倫也のキレッキレの動きがカッコ良過ぎる!!

この2つの変身シーンに関しては、興奮も最高潮でしたね。

 

光太郎vs信彦

第7話で、信彦は自分たち怪人が人間に作り出された生物兵器であったこと、ゆかりは自分達の味方ではなく、総理のスパイであったことを知り、打ちひしがれます。更に、仲間だった俊介が人間たちにリンチされた挙句殺害され、見せしめのように商店街に磔にされていた姿を目撃。ついに“プッツン”きちまった信彦は、人間への怒りと憎悪で完全覚醒。人間への宣戦布告とばかりに、デモ隊のリーダー(演:今野浩喜)の頭を衆目の面前で握りつぶし、殺害してしまいます。

この時点までは光太郎と信彦の目的は大体同じで、特に対立する理由が無かったのですが、人間と怪人との間に優劣はないと考えている光太郎と、人間を下に見ようとする信彦は、ここから決定的に対立することとなります。

 

この一連のシーンを見て、理由はうまく言えないですが、僕は本作が好きであると確信しました。この場面の信彦にすごく感情移入できた、というのが大きいですが、やたらとクズっぷりを強調して描かれている人間側の、特にドクズ揃いのデモ隊の奴らの目の前で、リーダーをぶっ殺して黙らせてくれたから溜飲が下がった、というのもあるかもしれません。磔にされた俊介を発見した時の信彦は、特に言葉も発さず表情もほとんど変えないのですが、なぜかビシビシに感情が伝わってくる中村倫也の絶妙な演技がまた良いのなんの。

 

その他

白長須鯨怪人(演:濱田岳)が、TV版と同様、終盤に光太郎を蘇らせる展開は、ファンとしては嬉しかったです。

ビルゲニア(演:三浦貴大)が、色々あって最後は葵を守り抜いて立ったまま息絶えるというのもグッときました。細かいですが、突き刺したサタンサーベルが抜けないから、自ら叩き折って戦闘を続けるとこ、なんかすごい良かったです。

あとは、新城ゆかり(演:芋生悠)、ボートレースのCMの子じゃん!とか、オリバー・ジョンソン(演:モクタール)、コヨーテのモッくんじゃん!とか、50年前の堂波真一(演:前田旺志郎)、まえだまえだの子じゃん!デッカくなったな…。とかまだまだありますが、この辺にしときます。

 

良くないと思った点

盛り上がるまでが長い

上で書いた通り、全10話の中で、仮面ライダーBLACK SUNが登場するのが、第5話。仮面ライダーSHADOWMOONが登場するのが、第7話のラスト。そして、物語がいよいよ動き出すのが、第8話~9話あたり。
…ちょっと遅くない?と思ってしまいました。

ライダーの登場に関しては、もったいつけられたぶん興奮したのも確かなんですが、見終わってから改めて考えてみると、最初の方マジで何やってたんだっけ?という感覚になるというか、内容が無い様に見えるというか。その分、後半のストーリーをじっくりと展開することが出来たのでは?という気持ちが否めナス。

 

過去の話の必要性

で、多分なんですが、前半の薄味っぷりの原因って、過去の話をやってたせいだと思うんですよね。
上記の通り過去編で明かされることもあって、そこそこ見応えがあったのも確かなんですが、もっとコンパクトにまとめられたと思うし、そこまで時間を割いてやるほどのものではなかったんじゃないかなーと。恐らく、“仮面ライダー生誕50周年記念作品”というのを意識して50年前の話を織り込んだのかと思いますが、ちょっと意識し過ぎてしまったのかなーと思いました。

あとベテランのライダーファンとしては、過去と現在がかわるがわる展開していく構成ってそれ『仮面ライダーキバ』の二番煎じでは…という気がしなくもない。個人的にキバはかなり好きな作品だけに尚更。

 

微妙にストーリーがわかりにくい

ちょっと具体例がパッと出てこないですが、整合性が取れないところが結構あったように思います。また、見せ方も上手くないなーと思うところがちょこちょこあって、わかりにくさを感じてしまいました。そういうとこまで“今の仮面ライダー”っぽくしなくてもいいのに…。

そうしたわかりにくさの要因のひとつとして、やっぱり過去編があるような気がしました。ちゃんと画面内に年代が表示されることもあれば、何も表示されず唐突に時代が変わることもあって、今やってるのが現代の話なのか過去の話なのか、混乱する場面が結構ありました。登場人物の格好とか見ればわかるっちゃわかるんですが、この辺ももうちょっと上手く出来なかったのかなー、と惜しさを感じるところ。

 

最終回の演出

最終回が始まった瞬間、TV版のオープニングをそっくりそのままBLACK SUNへ置き換えた映像が流れます。倉田てつを氏のちょっと下手味のある歌、字幕や各アングルに至るまで忠実に再現されており、「スゲェ!そのまんまじゃん!いやマジでスゲェ!!」とめちゃくちゃ興奮しました。…ですが、同時に「いやこれ完全にギャグやんけ!!!」となってしまう自分がいたのも事実。

完全にTV版を見てきた人に向けた演出で、見た瞬間は「最高!感謝!」という気分にもなったけれど、少しして冷静になると、これまでずっとダークな作風でやってきたのにいきなりパロディ入れるんかい!という思いが強くなってきたというか。
いや、嬉しいのは確かなんです。嬉しいんだけど、ちょっと違うんだよなぁ…という気分にもなる、なんとも複雑な感情を抱いてしまいました。

 

決着

最後の死闘は、非常に見応えがありました。肩に伸びた脚?を両方とも引きちぎり、更にBLACK SUNは赤、SHADOWMOONは緑に眼が発光することで、2人ともTV版のデザインに近くなるのも非常に良い演出だったと思います。

腹にサーベルを突き刺す→壁に叩きつけて固定→頭を横からぶん殴る→サーベルを支点にグルンと回転する、というシーンが個人的イチオシポイント。どーでもいいですが、『闘将(たたかえ)!ラーメンマン』にこういうシーンがあった気がする。

最後は、BLACK SUNが渾身の力を込めて放つ、ライダーキックライダーパンチ
恐らくバトルシーンの構成を考えてるのは特撮監督の田口清隆氏だと思いますが、さすがこちらの見たいものをよくわかってらっしゃる…。激アツな演出ばかりで最高でした。

ここで終わってくれていれば良かったと思うんだけどなぁ…。

 

そう、問題はここから。

最終的に光太郎は、創世王の心臓へ取り込まれ?(詳細は描写されず)、怪人を生み出すエキスを生成するだけの意思の無い存在、次期創世王となってしまいます。そして、駆けつけた葵が光太郎に教わったやり方でサタンサーベルを突き刺しとどめを刺す…という決着を迎えました。

僕は正直、この流れ、要る?と思ってしまいました。そんなに光太郎を死なせたかったのかな…。
多分、「葵に光太郎の意志を受け継がせる」という結末にしたかったんだと思いますが、逆に何でもかんでも葵に押し付け過ぎでは…?と思いました。ただでさえ、育ての親、実の両親、親友、そして自身の人間としての尊厳まで奪われるという、つらすぎる境遇に置かれた葵に、ただひとつ心の拠り所となっていた光太郎まで亡くし、更に彼らの思いまで背負わせるって、余りにも酷でしょう。

 

現総理大臣、堂波真一(演:ルー大柴)に全ての罪を被せて殺害し、虎視眈々とその座を狙っていた官房長官仁村勲(演:尾美としのり)が次期総理になるとか、生き残ったビシュム(演:吉田羊)は結局人間に隷属し続ける道を選ぶとか、仁村の策略で社会問題を海外からの移民にすり替えることで、その後の市民は怪人にすっかり興味を失くしてるとか、この辺りの結末は白石監督らしくて良かったと思うんですけど…。

 

その他

クジラが光太郎を蘇らせる際に海に潜ってったので、てっきり海底神殿みたいな場所なんだと思ってたら、その後ほかの人達は普通に陸路で来てたので、いや普通に来れるんかい!海潜った意味ないやんけ!とツッコまざるを得ませんでした。

創世王さんも、デカいのはとても良いですが、糸で吊って動かしているのがバレバレの腕の動きとか、もうちょいどうにかならなかったですかね…。

そーいやビルゲニアって何の怪人なんだろ、と思ったら古代甲冑魚怪人ってなんそれ…と思って調べたら、ガチャガチャでフィギュア出てたりする空想の生物なのね…。うーんちょっと無理矢理感。

あとやたら出てきてた警官(演:川並淳一)、デモ止める時も俊介が殺された時も怪人を庇うような立ち振る舞いをしていて、警察の中にこういう人もいるのかと感心してたんですが、最後はスピーチをしている葵を全力で殺そうとしていたのがマジで意味不明でした。行動原理が謎過ぎて、見てて腹立ってきちゃいましたね。

そーいや書き忘れてましたが、差別をなくしたいならまず“怪人”って名称を何とかするべきでは…?“あやしいひと”やで…?という、元も子もない疑問。

 

と、タラタラと文句を書き連ねてしまいましたが、こんなもんにしときます。他にも、つつけばキリが無いほどに、ツッコミどころには事欠かないドラマだったかと思います。

 

おわりに

本作はやはり評価が分かれているようですね。上で書いた通り良くない部分も少なくないですし、否定的な意見が出るのも非常によくわかります。

僕もこの記事を書きながらいろいろ考えて、最終的に至った結論は、やっぱり僕は本作が好きだな、と。粗はあるものの、何を描きたいのかは伝わってきましたし、信彦がブチ切れるところとか好きなシーンも多かったですし。何より、「これまでとは一味違うものを作ってやろう」という気概を感じました。

気軽にオススメ!とは言い難い作品ですが、興味がある方は見てみてはいかがでしょうか。ネットに溢れかえってる感想を読んでわかった気にならず、実際に自分で見て判断して欲しいです。

ということで、ドラマ『仮面ライダーBLACK SUN』の感想でした。

ではまた。

ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』感想(ネタバレ)

Disney+にて配信中のドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

本作は、MCUとしては新規のヒーローである、シー・ハルクを主人公にしたドラマになります。

原作では、1980年刊行のコミックにて初登場。
ブルース・バナーハルクの従兄妹であり、彼と同様に、緑色の肌、超人的なパワー、強靭な体を持つキャラクターとなっています。本職は弁護士というのも面白いところですが、同時にスーパーヒーローでもあり、アベンジャーズファンタスティック・フォーのメンバーとして戦ったこともあるんだとか。また、デッドプールのように我々視聴者に話しかけてくる(第四の壁を越えてくる)のも、彼女の大きな特徴といえます。

 

もくじ

 

概要

本作は、上記のような原作のキャラクターをしっかりと反映させたドラマになっています。

主演は、カナダ出身の俳優、タチアナ・マスラニ
フィルモグラフィーとか見たけど、知ってる作品は無かった…ゴメンナサイ。

過去作品からのゲスト出演も豪華で、ブルース役のマーク・ラファロ、ウォン役のベネディクト・ウォン、エミル役のティム・ロス、そしてマット役のチャーリー・コックスらが出演しています。

本作を見るにあたり、2008年公開のMCU1作目『インクレディブル・ハルク(日本では『アイアンマン』の方が先)と、2021年公開の『シャン・チー テン・リングスの伝説 』を見ると、「あ、アレこういうことだったのか」となる部分もあります。ただ、見ていなければ何が何だかわからない、ということはなく、本作だけ見ても十分に楽しめますよ、というのは強調しておきたいところ。

 

はい、てな感じで、さっさと感想に参りたいと思います。

 

予告編


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あらすじ

アメリカ、ロサンゼルス。
ジェニファー・ウォルターズ(演:タチアナ・マスラニ)は、弁護士として日々ストレスと戦いながらも、個人事務所を構えるまであと少しというところまで来ていました。

ある日、従兄妹のブルース・バナースマート・ハルク(演:マーク・ラファロ)とドライブしていると、突如目の前に宇宙船が飛来。驚いたジェニファーはハンドル操作を誤り、車は崖下へ転落してしまいます。2人はケガを負うも、何とか無事でした。ひっくり返った車中で動けなくなったブルースを引っ張り出す際、傷口からブルースの血がジェニファーの体内へと入ったことで、彼女の体に異変が。巨大な体躯に緑色の肌を持つ、シー・ハルクへと変身してしまったのです。

ジェニファーはブルースとは違い、変身しても自我を失うことはありませんでした。更に、常にストレスにさらされながら仕事をしていたおかげか、ある程度自分で変身をコントロール出来ました。トレーニングを積み、力も使いこなせるようになっていきます。

しかし、彼女は今後も弁護士としてやっていくつもりで、スーパーヒーローとして活動する気はない模様。そんな彼女の想いとは裏腹に、公判中にメアリー・マクファーレンタイタニア(演:ジャミーラ・ジャミル)が乱入してきた際、公衆の面前で変身して撃退したことで、世界中にジェニファーがスーパーパワーを持っていることが知られてしまい、トラブルを恐れた事務所は彼女を解雇してしまいます。他に雇ってくれる事務所も見つからず、途方に暮れる中、GLK&Hという事務所が雇ってくれることに。歓喜するジェニファーでしたが、雇用には条件が。それは、常にシー・ハルクの状態で勤務すること、そしてスーパーパワーを持つ者を専門に請け負うことでした――。

というのがあらすじ。

 

意外なほどにしっかりとした法廷ドラマ

今回はどんなドラマになるんだろうとウキウキして見始めたら、思った以上にちゃんとした法廷ドラマだったので驚きました。いや、たぶん僕が嘗めてただけなんですけど。
第1話でブルースと一緒にトレーニングして早々にオリジンを済ませ、その後はクセがすごい依頼人の依頼をあの手この手でこなしていく、といった作りになっていました。

その依頼は、かつてブルースを殺そうとしていたエミル・ブロンスキーアボミネーション(演:ティム・ロス)の仮釈放請求や、現ソーサラー・スプリームウォン(演:ベネディクト・ウォン)の元弟子に対し、マジックショーで本物の魔術を使うのを禁止させるための訴訟、変身能力を持つエルフに騙された元同僚の離婚調停、不死身の男の女性問題、あとはジェニファーが依頼人となって、勝手に“シー・ハルク”の名称を商標登録したタイタニアを訴えたりしてましたね。

依頼を受けて、証言を聞いて、証拠を集めて、裁判で勝つ、みたいな流れは、さながら『HERO』とか『リーガル・ハイ』を見ているようで、ドラマ自体の面白さもあって非常に楽しめました。

 

女性の活躍を描いたドラマ

本作には、魅力的な女性がたくさん出てきます。

ジェニファーの同僚であり、親友でもあるニッキ・ラモス(演:ジンジャー・ゴンザーガ)。
常にジェニファーの味方でいてくれて、仕事でもプライベートでもずっと支えてくれてましたね。財産分配を型破りながら見事な采配で取りまとめるなど、意外な才能が垣間見えて良かったです。ジェニファーにおしゃれを楽しんでもらいたいと、ヒーローのコスチューム専門の服飾デザイナー、ルーク・ジェイコブソン(演:グリフィン・マシューズ)とがんばってコンタクトを取ろうとする話も素晴らしかったです。

ジェニファーと切磋琢磨する優秀な弁護士、マロリー・ブック(演:レネイ・エリーズ・ゴールズベリイ)。
“シー・ハルク”の商標権をめぐる訴訟の話が印象的でした。裁判の後、ジェニファーに「あなたにふさわしい男がきっと現れる。ありのままを受け入れてくれる男がね」と言ってくれるの、めっちゃ良かったです。その後飲み屋で「友達になれて嬉しい!」と言うジェニファーに、「は?友達?」みたいなリアクションするとこも最高でした。あと、演じた俳優さんはあの美貌で50歳越えてるのにもビックリ。

シー・ハルクに匹敵するスーパーパワーを持つインフルエンサータイタニアもそうですね。
某お騒がせセレブみたいでしたが、すごく人間味のあるキャラだと思いました。あと、ファンに「写真撮って!」って言われたら絶対に応じてくれたりちゃんとポーズとったりするところも、自分の役割を分かってるんだなーと感じました。原作ではファンタスティック・フォーの宿敵であるドクター・ドゥームに力を与えられたらしいですが、MCU世界ではどのような経緯でパワーを手に入れたんですかね。

それと、マジシャンに異次元に飛ばされた女性、マディスン・キング(演:パティ・グッケンハイム)もなかなか魅力的でした。最初見たとき、一瞬ワンダことエリザベス・オルセンかと思ったのは内緒。
頭はアレな感じですが、常に前向きで何でも楽しもうという姿勢は、ちょっと見習いたいと思いました。ウォンにドラマのネタバレしたり、最終的にウォンと仲良くなってるのも最高に面白かったです。何やっとんねんウォン…。

 

あとはなんといっても、ジェニファー。
ちょっと不器用なところはあるけど、恋も仕事も一生懸命。ニッキの助けもあってどんどんおしゃれになっていくところとか、見てないけど『プラダを着た悪魔』とかを意識している気がしました。戦闘コスチュームも、スポーティな感じですごくカッコよかったです。

どんどん知名度を上げていく中、シー・ハルクの自分と本来の自分との差に思い悩むところも、すごくリアリティがありました。シー・ハルクとしての自分は、きれいな顔立ちにきれいな髪、高身長でスタイル抜群、気に入らないヤツは腕っぷしでどうにでもできる。まさに女性としての憧れを体現したような姿。それに比べて、変身を解くと小柄なもじゃもじゃヘアー、力も全然強くない。シー・ハルクとしての自分自身にコンプレックスを感じてしまう、という展開は、全く境遇は違うのに「わかりみが深い…(泣)」と思ってしまいました。

ハルクもですが、シー・ハルクも全てCGで描かれているのがまたすごい。意識すればCGだとわかるけど、意識しなければ何の違和感もなく物語に入り込めるほど、CGのクオリティは高かったと思います。
まぁ、本作では特にVFXチームの労働問題が顕著になってしまったそうですが…。最近本当に供給過多気味なので、個人的には配信ペースを落としてくれて全然良いと思います。来年以降は少しペース落ちるっぽいので、どうにか改善されてくれるといいですね。

 

他作品との関連性について

何気に本作は『シャン・チー テン・リングスの伝説』との関連が深いと思いました。

まず、エミルの仮釈放請求の際、『シャン・チー』でウォンとアボミネーションの姿で戦っていた映像が流れ、問題になります。あの時はあくまでカメオ出演だったので、なんで戦ってるのとかはわからずじまいでしたが、本作でウォンが組手の相手として半ば強引に連れてきてたことがわかります。何やっとんねんウォン…。

余談ですが、劇中でエミルが「始めは俺がハルクを危険人物として追っていたのに、今やハルクはヒーローで、俺はこんなとこで不自由な生活をしてる。変な話じゃないか」みたいなことを言いますが、「確かにそうだな…」と思ってしまいました。あと、『シャン・チー』でティム・ロスカメオ出演(クレジット無し)した際にはえらく驚いたものですが、本作ではガッツリと出演してたので、なんかもう逆に驚かなくなりました。

 

それから、『シャン・チー』のミッドクレジットで、ブルースの姿に戻っていたのを疑問に思っていましたが、『アベンジャーズ/エンドゲーム』でナノ・ガントレットを使用した際に腕を負傷したのが原因でハルクの制御が不安定になったので、抑制装置を開発してブルースの姿に戻っていた、ということが本作でわかりました。シー・ハルクの力を得るために、ジェニファーの体内にブルースの血を入れる必要がある。けどハルクの状態だと注射針も刺さらないくらいに強靭な肌で、ちょっとやそっとじゃ血は出ないから、どうにか理屈をこねくり回してブルースの状態に戻す必要がある。というのを『シャン・チー』のときから考えていた、ということなんでしょうかね。

でもシー・ハルクのオリジンを手っ取り早く済ませるにはやっぱりハルクの状態に戻す必要がある。だから、ジェニファーの血液を解析することでいろいろわかったということにして、腕を全快させました。ハルクの制御も出来るようになり、スマート・ハルクに戻らせました。というのは、きちんと理由付けしようとする姿勢には好感が持てるものの、若干の適当感を感じました。

 

あとは何といっても、Netflixのドラマ『デアデビル』から、マット・マードックデアデビル(演:チャーリー・コックス)がゲスト出演するのには驚きました(今はネトフリでは配信終了して、Disney+独占配信になってます)。いや、確かに弁護士繋がりだけども、まさかこんなにガッツリ出てくれるとは。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』ではちょっとだけの出演だったので、すごく嬉しかったです。裁判では速攻でジェニファーを論破するその手腕も、最高にカッコよかった。

ドラマ版をまだ見れていないんですが、そっちと比べて身体能力がかなり上がっているみたいですね。この辺は特にドラマのファンから賛否両論あったとか。まぁ他のヒーローとクロスオーバーさせる時のことを考えたら、強くしとかないと釣り合い取れない、というのはわかります。チンピラをひとりずつ頑張って倒してたら、シー・ハルクが残りの数人を一瞬で倒しちゃう、というシーンがあったし、まだまだスーパーパワーを持ったヒーローには純粋な戦闘力は及ばないみたいですしね。あと戦闘後、シー・ハルクに肩コツンてやるとこ、スゲー可愛かったです。そしてそのあと即ベッドインするのには笑いました。

 

やりたい放題の最終回

冒頭でも書きましたが、シー・ハルクは第四の壁を突破できるのが大きな特徴で、最終回ではそれが大爆発(大暴走?)していました。

暗躍していた男尊女卑のグループ、そのリーダー、ハルクキングの正体は、ジェニファーの事務所の顧客のひとりである、トッド・フェルプス(演:ジョン・バス)でした。彼は女性であるジェニファーにスーパーパワーはふさわしくないと考え、彼女の血液を手に入れて血清を作成し、力を手にしようとする、時流に逆らうようなキャラでした。

グループの集会にはエミルもおり、しかも禁止されていたアボミネーションの姿になっているではありませんか。血清を自身に投与してハルク化するトッド、さらに宇宙へ行っていたはずのスマート・ハルクも駆け付けてきて、もうしっちゃかめっちゃか。あまりに無茶苦茶なストーリーに不満を爆発させたジェニファーは第四の壁を越え、制作側に文句を付けに行く、という驚きの展開を見せます。

急にDisney+のメニュー画面に戻ったと思いきや、シー・ハルクのアイコンを突き破ってジェニファーが出てきて、『マーベル・スタジオ アッセンブル』(制作の裏側を伝えるドキュメンタリーシリーズ)の世界に入り込んでスタッフに抗議するなど、もはややりたい放題。全ては“ケヴィン”が決めたことだと言われ、まさかマーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギが出てくるのかと思いきや、乗り込んだその先にいたのはAIロボットのK.E.V.I.N.だった、というのにはもうね、声出して笑ってしまいました。アホすぎ。

色々修正して、ブルースは来なかったことにされ、トッドはハルク化せずに逮捕、エミルも再び収監されることに。マットも駆け付け、最後は家族で食事してました。宇宙から帰ってきたブルースもやってきて、なんと息子がいることを明かします。母親は誰…!?
ジェニファーも無事に職場に復帰し、法で裁ける悪は裁判で、法が通用しない悪は力づくで、今後も両面で戦っていく決意を新たにして、ドラマは終了。めでたしめでたし…?

 

ミッドクレジットでは、収監されたエミルのもとへ再びウォンがやってきて、一緒にどこかに去る、というシーンが流れます。結局カマー・タージに亡命するのね…。もう暴走しないのであれば、それが一番いいんじゃないですかね。ウォンと仲良いみたいだし。

 

おわりに

なんというか、これまでのMCU作品とは毛色が違って、すごく面白いドラマでしたなんかこの文言最近よく使ってる気がしますが、それだけMCUがいろんな方向性で作品作りをしている、ということなのかなと。ただ僕の語彙力が無いってだけな気もする。

出来れば同じ感じでシーズン2、3とやってほしい。んで、もっと色んなヒーローの訴訟問題とかやってくれないかなぁ。そう思えるくらいに楽しめました。ウィンター・ソルジャーとかすぐトラブル起こしそうだし、他にもネタはいくらでも出来そうな気がするんですが、どうでしょうか。2024年にはデアデビルの新作ドラマもやるみたいですし、そこでシー・ハルクも再登場することを期待しています。

ということで、ドラマ『シー・ハルク:ザ・アトーニー』の感想でした。

ではまた。

映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼 4Kリマスター』感想(ネタバレ)

映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼 4Kリマスター』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

目次

 

概要

本作は、1987年に劇場公開されたSF長編アニメーション映画。アニメ制作会社GAINAX(ガイナックス)が初めて手掛けた作品となっています。制作に携わったスタッフの平均年齢は24歳とのことで、その若き才能には驚くばかり。

ガイナックスといえば、『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』『新世紀エヴァンゲリオン』『天元突破グレンラガン』など、数多くのヒット作を生み出した会社。今や日本を代表するクリエイターである庵野秀明氏をはじめ、ガイナックスから独立したスタッフが作った会社がGONZOだったりTRIGGERだったりと、超一流の人達を数多く輩出してきた、すごい会社です。まぁ現在は色々と大変みたいですが…。興味があればググってみてください。ニュースにもなってたし、知ってる方も多いかと思いますが…。

 

本作が公開された当時は、難解かつ大人向けのストーリーのためか、興行成績も振るわなかったんだとか。しかし、ビデオ・レーザーディスクの発売を契機にじわじわと評価を上げていき、1997年にはドルビーデジタル版としてサウンドをリニューアルして再上映されたそうです。そして公開から35周年となる今年、最新の技術でリマスターされ、またも上映されることとなりました。こうして何度も再上映しているという点でも、本作の人気の高さが窺えます。

僕は、本作は一応認知してるけど見てはいない、といった状態でしたが、てゅいったーで「作画がすごいアニメ!」みたいなハッシュタグで本作がよく出てくるので、見たい見たいと思っていました(最近だと「#このシーン嫌いな人いない説」が軽く流行りましたね)。でもアマプラ見放題にも無いし、ほかの作品を優先したりしていて、これまでずっと見るタイミングを逃してきたんですよね。なので今回のリマスター版公開を知った時は、「ぜってえ見に行ってやんぜ!」と思ったものです。そういや2020年に『トップをねらえ!』が再上映されたときも、全く同様の経緯で見に行ったっけ。

 

語りがいのある作品だと思うので、ストーリーの解説や考察とか出来たらいいですが、僕の足りない脳みそではそんなこと無理なので、率直な感想や見た直後の熱い思いなんかを書いていきたいと思います。

 

予告編


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あらすじ

舞台は、オネアミス王国という、架空の国。
シロツグ・ラーダット(声:森本レオ)は、王立宇宙軍の士官。ごくごく普通の中流家庭に生まれた彼は、一度は水軍(海軍のようなもの)のパイロットとして空を飛び回る事を夢見るも、成績が足らず断念した過去がありました。宇宙軍は落ちこぼれの集まりと揶揄されており、所属する軍人たちも、昼は適当に訓練をこなし、夜は歓楽街で飲み歩くといった、自堕落な生活を送っていました。

ある日、シロツグは歓楽街で布教活動をしている少女、リイクニ・ノンデライコ(声:弥生みつき)と出会います。始めは下心から近づくシロツグでしたが、彼女は宇宙軍を、「誰とも戦わず、誰も知らない世界へ飛び立とうとする素晴らしい軍隊」と褒めてくれます。その言葉はシロツグのやる気に火を付け、後日、人類初の有人宇宙飛行計画を知らされた際、自ら宇宙飛行士に志願してしまいます。急にはりきり出したシロツグに戸惑う同僚たちも、だんだんと彼の熱意に感化され、ロケット打ち上げの為に邁進していきます。

この一大プロジェクトを政治利用しようとする者、軍事利用しようとする者が現れる中、彼らのチャレンジは成功するのだろうか――。

というのがあらすじ。

 

凄まじい作画クオリティ

わかっちゃいたけど、改めてとてつもない映像美でした。4Kリマスターされた映像は、もはや最新の大作映画に引けを取らないほど。1988年公開の『AKIRA』を初めて見たとき(たしか15年前くらい)、最新の映画をも凌駕するそのクオリティに衝撃を受けましたが、それに比肩するほどの驚きがありました。

特に戦闘機などのメカ作画や、空中戦での弾道、計器等の描写が凄まじく、それがラストの興奮と感動に繋がっているように思いました。恐らく作画監督を務めた庵野秀明氏の趣味なんだろうなーと(笑)

 

胸を熱くするドラマ

大まかな流れとしては、序盤は比較的淡々と日常描写を描いて、登場人物と共に物語もジワジワと熱を帯びていき、クライマックスで最高潮に達する、といった感じだったと思います。『トップをねらえ!』もこんな感じだったので、本作の経験が活きたということですかね。終盤の宇宙船発進シーンでは、そのとてつもない映像も相まって、めちゃくちゃ泣かされてしまいました。

リイクニとマナに何も救済が無かったのはちょっとしこりの残るところではありましたが、まぁ主軸ではないし、仕方ないのかな。最近ああいう幸薄いキャラに過剰に感情移入しちゃって、見ていられないような気持ちになっちゃうんですよね。歳かな…。

ガイナックスのゴタゴタで今となっては制作される望みは薄いですが、『蒼きウル』という続編の企画もあったそうで、もしかしてそこで救済があったのかもと考えると、なんとも惜しい気持ちになります。スタジオカラーとかで、どうにか作っていただけませんか…?

 

宇宙からの祈り

ラストでシロツグは、宇宙から地球を見下ろし、用意していた原稿のことなどすっかり忘れ、祈りにも似たメッセージを全世界に発信します。このメッセージが、「我々をどうか見守っていてください」というよりかは、「我々人類はどれだけ業を重ねるのでしょうね」という感じの内容だったのがまたグッときました。

地上を汚し、大気を汚し、更には宇宙まで…。こんなところまできて本当に良かったのだろうか。もしそれが悪いことだったとしても、神様、どうかお赦し下さい。人類に罰を与えるのはもう少し待ってくれませんか。

そんな感じのメッセージだったように僕は感じました。森本レオの優しくもどこか悲しげな声が、心に沁みてきましたね…。

最後に流れた人類の歴史のダイジェスト映像みたいなのは、人類そのものの走馬灯のようにも見えてきて、考えさせられるものだったように思います。

 

おわりに

短いですが、感想は以上です。
宮崎駿安彦良和は本作を見て酷評したらしいですが、僕は本当に素晴らしい作品だと思いました。いやー映画館で見れて良かった。

なんか最近、過去の名作をリマスターして再上映するの増えてる気がしますね。まだまだ知らない名作映画は山ほどあるし、個人的にはありがたい限り。いいぞもっとやれ。

ということで、映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼 4Kリマスター』の感想でした。

ではまた。

ドラマ『ウェアウルフ・バイ・ナイト』感想(ネタバレ)

Disney+にて配信中のドラマ『ウェアウルフ・バイ・ナイト』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

本作は、『マーベル・スタジオ・スペシャル・プレゼンテーション』とかいうヤーツの第1作目になります。
これは何かというと、要は1話完結のテレビスペシャルみたいなもんですな。あの手この手で新しいことにチャレンジするマーベル・スタジオの精神は素晴らしいですね。12月に配信予定の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャ』もこれにあたるっぽい?

 

もくじ

 

概要

タイトルにもなっているウェアウルフ・バイ・ナイトというキャラクターは、俗にいう狼男です。満月の夜に変身してうんぬんかんぬん、っていうアレです。

原作では、1972年に発行されたコミックにて初登場。
色々あったのち、ムーンナイトらと共に、クライム・ファイターとして犯罪者と戦ったりしたんだとか。また、モービウスらと共に、ミッドナイト・サンズ(闇のアベンジャーズみたいなもんです)の一員としてゾンビたちと戦ったこともあるとかないとか。アメコミ読んでないのでてっきりヴィラン(敵役)なのかと思ってたら、ヒーロー側のキャラクターなんですね。

 

本作の特徴は、MCU初の本格的なホラー作品であり、これまた初のR15指定の作品であること。これまでのMCU作品ではキッズへの配慮から、斬られても刺されても全く血が出ないという、なんとも不自然な現象が発生していました。しかし本作では、腕を切り落としたり、耳を噛み千切ったりといったゴア描写がところどころにあり、しっかりホラーしてました。

また、本編のほとんどがモノクロ映像という点も大きな特徴。クラシックなホラー作品をイメージしたんだと思いますが、血などのゴア表現がグロくなり過ぎないという点でも、モノクロは非常に効果的だと思いました。あとブラッドストーンだけは色付きで赤く光ってるところとか、本作の象徴的なアイテムである事がすぐに理解出来て好印象でした。

 

本作の監督は、音楽家でもあるマイケル・ジアッチーノ
LOST』や『クローバーフィールド/HAKAISHA』といったJ.J.エイブラムス作品、『Mr.インクレディブル』や『カールじいさんの空飛ぶ家』といったピクサー作品など、数多くの作品で音楽を担当しているそうです。本作の音楽も彼が作曲しているんだとか。監督まで出来るってすごすぎやろ…。

主演は、メキシコ人俳優のガエル・ガルシア・ベルナル
2017年のピクサー作品『リメンバー・ミー』で、骸骨の方の主人公、ヘクターの声を演じた人だそうです。

もうひとりの主役というべきエルサを演じるのは、イギリス人俳優のローラ・ドネリー
ロード・オブ・ザ・リング』などの原作者、J.R.R.トールキンの半生を描いた2019年の映画、『トールキン 旅のはじまり』などに出演しているそうです。
こんな映画があるの知らなんだ…。僕は英国発のファンタジーは魔法学校よりも指輪派なので、これはいずれ見よう。

 

その他の俳優さんについては割愛。
本作は本編が約50分程度と短めな作品なので、感想も短めに書いていきたいと思います。

 

予告編


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あらすじ


この世界には、スーパーヒーローたちが活躍する輝かしい光の世界があれば、誰の目に触れることもない闇の世界も存在します。闇の世界では、恐ろしいモンスターと、それを狩るモンスター・ハンターたちがしのぎを削っていました。

とある夜、ハンターで構成されるグループのリーダー、ユリシーズ・ブラッドストーンの死を受け、ハンターたちが彼の家に集まってきます。
その目的は、彼の死を弔うこと…ではなく、彼が所有していた非常に強い力を持った石、ブラッドストーンを手に入れることでした。庭?に放ったモンスターの背中に石が貼り付けられており、そのモンスターを仕留めた者に石が与えられる、とのこと。ハンターたちは互いに潰し合いをしながら、モンスターを追い詰めていきます。

石を手に入れ、最強のモンスター・ハンターの座を継ぐのは、一体誰なのか――。

というのがあらすじ。

 

キャラクターについて

人狼になる呪いをかけられたモンスター・ハンター、ジャック・ラッセルウェアウルフ・バイ・ナイト(演:ガエル・ガルシア・ベルナル)。
20年間家を出ていたユリシーズの娘、エルサ・ブラッドストーン(演:ローラ・ドネリー)。
ユリシーズの妻であり、此度の対決を取り仕切る、ヴェルーサ(演:ハリエット・サムスン・スミス)。

ストーリーに深く関わってくるのはこの3人。他にも何人かハンターが出てきますが、特に覚える必要は無いです(笑)

 

一応本作の主人公はウェアウルフ=ジャックですが、真の主人公はエルサじゃないかと思いました。ジャックの物語というよりかは、エルサの物語として見た方がしっくりきます。ほとんどひとりで他のハンターぶっ殺してますし、最後はエルサが石を手にしてますし。

とはいえジャックも、独特の雰囲気を醸し出していて良かったです。
物腰柔らかで、争いを好まず、他者を蹴落としてでも石を手に入れようとする他のハンターとは対照的。それでいて、これまで100体以上のモンスターを狩ってきたという、得体の知れなさ。僕はコミックも読んでないし、前情報も入れずに見たので、最初は放たれたモンスターがウェアウルフなんだと思ってました。変身した姿は、格闘ゲームブラッディロア』のようなカッコいい姿を想像してましたが、どうやらコミックの姿に寄せているようで、意外と人の部分が残ってましたね。

ブラッディロアの主人公、大神勇吾の変身した姿。コレとは全然違います。

ヴェルーサは、なんつーか、キャラ濃かったですね…。いちいちオーバーな演技は、これもクラシックなホラー作品を意識しているのかな。ジャックがウェアウルフだと判明した瞬間に態度が豹変するさまは、魔女狩りとか、人種差別とか、あとは未知のものに対する偏見とかを彷彿とさせるものでした。

あとはなんといっても、モンスターの正体である、マンシング(演:ケイシー・ジョーンズ)。
いかにもモンスター然とした姿ですが、コミックでは彼もヒーローだそうで。ウェアウルフと同様、ミッドナイト・サンズのメンバーらしいです。元々は地球人の化学者でしたが、キャプテン・アメリカを生み出した超人血清を再開発する計画を進める中で敵の襲撃に遭い、生き延びるために副作用のある血清を打った結果、あのような姿になったんだとか。本作で呼ばれていたテッドという名前も、コミックにおける彼の本来(血清を打つ前)の名前、セオドア・“テッド”・サリスから来ているそうです。
このテッドがまー可愛い。エルサに名前を呼ばれたときのキョトンとした顔とか、ジャックが寝てる間にコーヒー淹れてあげるとことか、可愛さに満ち溢れていました。まさかモンスター萌えする日が来るとは思いませんでしたよ…。

 

ストーリーについて

ストーリーに関しては、時間が短い分、非常にシンプルだった印象。ですが、説明不足という感覚はそれほどなく、むしろシンプルな分とても見やすいと感じました。ちなみに、一番最初のナレーション部分でアベンジャーズのシルエットが一瞬出てくるだけで、他のMCU作品との繋がりは一切ありません。

最終的にブラッドストーンの主となったエルサ。『Over The Rainbow』の曲と共に世界が色づいていく演出は、ここからエルサの物語が始まっていくってことなのかなーなんて思ってみたり。「家族は大気のように頭上を漂い、決して逃れられない」とジャックが言っており、訳ありな家系であることを匂わせていましたが、詳細は最後までわからずじまい。今後明かされていくことを期待します。

最後はジャックがテッドに寿司を奢る約束をして、終幕。可愛らしいやり取りにホッコリしました。

 

🐺🐺🐺🐺🐺🐺🐺🐺🐺🐺

 

終わりに

思ったより長くなってしまいましたが、感想は以上になります。

これまで短めの感想の時は目次を付けてませんでしたが、今回は試しにつけてみました。なんとなくちゃんとした記事っぽくなったような気がしますが、どうでしょうか。…はい気のせいですよね調子こいてすみませんでした。

 

ともあれ、本作は短いながらなかなか見応えのある作品になっていると思います。今後、ウェアウルフやマンシングがムーンナイトやMCUブレイドたちとクロスオーバーして、ミッドナイト・サンズを結成したりしたらアツいですね。これからが楽しみです。

ということで、ドラマ『ウェアウルフ・バイ・ナイト』の感想でした。

ではまた。

映画『アバター ジェームス・キャメロン3Dリマスター』感想(ネタバレ)

映画『アバター ジェームス・キャメロン3Dリマスター』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

映画『アバター』に関しては、コレをお読みの方は皆さんご存じかと思います。

2009年に公開され、現在の世界歴代興行収入第1位を記録している、歴史的超大作です。これ以降、3D映像を採用する映画が多数製作されるようになり、2010年は「3D元年」とも呼ばれました。いつの間にかそこから10年以上経っているという事実に驚き…。

 

今年の12月に、全世界待望の続編、『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』が公開される事が決定。それを記念して、前作を最新技術でリマスターし、更に特別映像を追加したバージョンが期間限定で公開される事となりました。
それが本作、『アバター ジェームス・キャメロン3Dリマスター』となります。

僕は公開当時は映画への関心が今ほど高くなく、アバターも見ていませんでした。その後も、見たい気持ちはありつつも、約3時間と非常に長い映画というのと、Disney+で配信されてるからいつでも見れるし、今じゃなくていいかなー、みたいな思いがあって、これまで後回しにしてたんですよね。
で、そうこうしているうちに続編の公開が決まり、前作も再度劇場でやってくれるというので、こりゃちょうどいいやと思って見に行ってきました。

この「楽しみなものほど後回しにする」悪い癖、今までこれで得をしたことは皆無なんですが、今回ばかりは「映画館で見るまで見てこなくて良かった…」と本気で思いました。

 

↓予告編はこちら。


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アバター』については鑑賞済みの方も多いと思いますので、ものすごーく簡単に感想を書いていきたいと思います。
(この感動をなるべく新鮮なうちに記事にしたためておきたい、という思いもあったりする)

 

🌎✨🌳🏹💥💥💥🔫💣

 

地球から遠く離れた、惑星パンドラ
ジャングルのように木々が生い茂り、特殊な磁場の影響で神秘的な風景が広がるこの星は、アンオブタニウムという莫大なエネルギーを生み出す希少鉱石が採れる地でもありました。資源開発を請け負うRDA社が採掘を進めようとしますが、ナヴィと呼ばれる先住民族との交渉は難航。そこで、地球人とナヴィのDNAを掛け合わせた人口生命体を作り、神経を接続した人の精神を転送、アバターとして操作することでナヴィとの交流を図るという、「アバター計画」を開始します。

海兵隊員のジェイク・サリー(演:サム・ワーシントン)は、急死した双子の兄トミーに代わり、アバター計画に参加。責任者であるグレイス・オーガスティン博士(演:シガニー・ウィーバー)は、何の知識も無い、軍人である彼に不満を持っている様子。かつてベネズエラの戦地で脊髄を損傷し下半身不随となったジェイクは、自由に走り回る事の出来るアバターの身体に興奮を隠せません。

ひょんなことからナヴィと共に生活し、彼らの文化を学ぶことになったジェイク。ナヴィの狩猟部族、オマティカヤ族の族長の娘であるネイティリ(演:ゾーイ・ザルタナ)よりナヴィとしての生き方を教わっていくうちに、互いに惹かれ合うようになります。

しかし、一向に進まない交渉に我慢の限界を迎えたRDA社のパーカー・セルフリッジ(演:ジョバンニ・リビシ)と、彼に雇われた傭兵のマイルズ・クオリッチ(演:スティーヴン・ラング)は、遂に強硬手段に出ます。ジェイクたちの制止も聞かず、ナヴィの暮らす村を襲撃するのでした。

地球人(スカイ・ピープル)とナヴィが辿る運命は、戦争か、共生か――。

というのがあらすじ。

 

見た直後の率直な感想は以下。

 
 
 
 
 
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もうね…本当に、本当に映画館で見てよかった。

「どうせ普通のグミでしょ~?」という気持ちで鑑賞したら、パクッ「ジュ、ジューシー!!!」って感じでめちゃくちゃ感動してしまいました。(伝わる人には伝わるはず…)

 

なんと言っても、視界いっぱいに広がるあまりにも美しいパンドラの世界観に、終始圧倒されっぱなしでした。
映像がキレイってのはもちろんですが、作りこまれた設定、破綻の無い脚本、その他諸々、没入感を削ぐようなものが一切ないというのも本当にすごい。少なくとも僕の目と頭では欠点らしい欠点は見つかりませんでした。

長時間座りっぱなしだとどうしても尻が痛くなってきちゃうんですが、本作は3時間もあるにもかかわらず、最後まで痛みを感じる間もないほどに没入していました。やっぱ世界No.1獲るだけの事はあるなーと。

 

それから、ミッドクレジットで『ウェイ・オブ・ウォーター』の映像が一部流れたんですが、これがもう…なんというか…尋常じゃないくらいすごかったです。
前にウィル・スミス主演の『ジェミニマン』を3D+ in HFR(ハイ・フレーム・レート)という上映方式で見に行って、ヌルヌル動きまくる映像に驚愕したんですが、それを更に超えてくるほどの衝撃でした。映像見ただけで泣いたの、生まれて初めてかもしれない…。

続編も絶対に映画館で、一番いい上映方式で見よう。それまではどうにか頑張って生き延びよう。そう思わせてくれるだけの感動が、あのほんの数分の映像にはありました。

 

🌎✨🌳🏹💥💥💥🔫💣

 

と、こんなもんにしときます。

元は10年以上前に公開された映画ですが、今年一番「見て良かった!」と思えるような作品かもしれない。現状の個人的ベスト2022は、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』か本作のどちらかかなー。それくらい素晴らしい作品でした。恐らく『ウェイ・オブ・ウォーター』はこれら2作に比肩するくらいか、更に凌駕してくるんだろうなー。あー楽しみだなー。

本作は期間限定での上映なので、もう上映終了しているかもしれませんが、この感動は映画館でこそ味わえるものだと思うので、もしまだ近くの劇場で上映しているようなら、ぜひ映画館の大きなスクリーンで見て頂きたい作品です。既に見ている方でも、当時の感動をもう一度味わってみてはいかがでしょうか。もしかすると、新しい発見があるかもしれませんよ。

ということで、映画『アバター ジェームス・キャメロン3Dリマスター』の感想でした。

ではまた。

映画『沈黙のパレード』感想(ネタバレ)

映画『沈黙のパレード』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

フジテレビの大人気ドラマ、『ガリレオ』。

原作は、東野圭吾ガリレオシリーズ”と称される推理小説。刑事事件のさなかで起こる超常現象とも思われる現象を、大学准教授である主人公が物理学の知識を駆使して解明していくことで、事件解決の糸口となっていく、といったミステリー作品になっています。

連続ドラマはフジテレビの“月9”枠にて2007年と2013年に2度放送され、1話完結のテレビスペシャルも何度か放送されました。また、2008年には劇場版第1作目『容疑者Xの献身』が、2013年には第2作目『真夏の方程式』が公開されています。劇場版の方は、トリックの解明というよりかは、事件に関わる人たちの人間ドラマを重点的に描いているのが特徴な気がします。

そんな沈黙シリーズ…じゃなかった“ガリレオシリーズ”の最新作であり、劇場版第3作目が本作、『沈黙のパレード』になります。

 

↓予告編はこちら。


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…ってこっちは“沈黙シリーズ”の方だった!(白々しく)

↓こちらが本作の予告編。


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主人公、湯川学を演じるのはもちろん、歌手であり俳優の福山雅治。本作では准教授から教授に昇格していました。
また今回、久々に内海刑事役として柴咲コウが出演しています。劇場版への出演は、なんと14年ぶりなんだとか。
それから、北村一輝演じる草薙刑事も引き続き登場し、本作では重要な役どころとなっています。

御三方ともですが、特に福山雅治柴咲コウのコンビはシリーズ当初から変わらないどころか、更に美しさを増してるの凄すぎィ!

監督の西谷弘、脚本の福田靖、音楽の菅野祐悟など、スタッフ陣もドラマシリーズから続投しています。

 

僕はガリレオシリーズは割と好きで、映像作品は全て見ている…はず。テレビスペシャルとか見逃してるのもあるかもしれない。『容疑者Xの献身』はボロッボロに泣いた記憶があります。
月9はあまり見ないのですが、ガリレオ以外だと2012年に放送されていた『鍵のかかった部屋』とか、あとだいぶ古いけど2001年の『アンティーク~西洋骨董洋菓子店』とかが好きです。

とまぁ、そんなガリレオの久々の新作ということで本作も気にはなっていたんですが、優先順位はさほど高くなく、「テレビで放送されたときに見ればいいかなー」くらいに思っていました。ですが、用事で西新井に行った際に「そーいやここにも映画館あったな」と思って、TOHOシネマズ西新井の上映スケジュールを確認してみたら、ちょうど都合のいい時間に上映する回があったので、せっかくだからと思って見てきました。結果、やっぱ見といてよかったなー、と思いました。

 

↓見た直後の率直な感想がこちら。

 
 
 
 
 
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A post shared by ブラックさん (@blackson3110)

爆発的な感動、とまではいきませんが、ギュッと胸を締め付けられるような場面がずっと続くような、苦しくも感動的な作品になっていると思いました。

「はいココ!ココで泣いてくださーい!(壮大なBGMバーン!)」みたいな作品は、うまくいけば確かに大きな感動を呼び込むことが出来るけど、本作のようなジワジワ感動が押し寄せるタイプの作品の方が最近は好きかもしれない。

 

そんなこんなで、ぼちぼち本編の感想に参りたいと思います。

 

🧪🧪🧪🧪🧪🧪🧪🧪🧪🧪

 

舞台は東京、菊野市(架空の町です)。

2017年、歌手を夢見る高校生、並木佐織(演:川床明日香)が突然姿を消し、数年後に遠く離れた静岡にて遺体で発見されました。
容疑者として挙がった蓮沼寛一(演:村上淳)は、23年前にも少女誘拐殺人事件で逮捕されるも、完全黙秘を貫き、証拠不十分で無罪となっていました。蓮沼は今回も完全黙秘し、証拠不十分で釈放。その後、彼は何を思ってか菊野市へ戻ってきていました。

事件を調べている警視庁の内海薫刑事(演:柴咲コウ)は、アメリカより帰国した、帝都大理工学部理学科教授、湯川学(演:福山雅治)に協力を依頼。湯川の大学の同期である草薙俊平刑事(演:北村一輝)も捜査に加わりますが、彼と蓮沼との間には浅からぬ因縁があるようでした。

そして今年。町では久々に開催される一大イベント、“キクノ・ストーリー・パレード”で大いに盛り上がっていました。そのさなか、蓮沼は居候中の居室にて、死体で発見されます。死体からは睡眠薬が検出されましたが、死因は窒息死としか判明しませんでした。

容疑者として挙がるのは皆、並木佐織と関係の深い人物。
佐織の両親、並木祐太郎(演:飯尾和樹)と並木真智子(演:戸田菜穂)。
佐織の妹、並木夏美(演:出口夏希)。
かつて佐織の恋人だった、高垣智也(演:岡山天音)。
佐織の才能を見出した音楽プロデューサー、新倉直紀(演:椎名桔平)とその妻、新倉留美(演:檀れい)。
戸島修作(演:田口浩正)、宮沢麻耶(演:吉田羊)ら、家族ぐるみで付き合いのあったご近所さん。
それぞれに動機はあるものの、全員にアリバイがありました。
更に警察の取り調べに対し、彼らもまた“沈黙”を貫きます。

蓮沼の死、並木佐織の死、23年前の事件、これらの点と点が線で繋がるとき、悲しい真実が明らかになる――。

というのがあらすじ。

 

上でも書いている通り、劇場版ガリレオはトリックの解明などのミステリー要素よりも、人間ドラマに重きを置いている印象がありますが、本作は特にそれが顕著な気がしました。殺害方法は序盤で早々に解明されますし、それをどうやって可能にしたかについても、中盤くらいで明らかになってしまいます。その分、ドラマパートは濃密で、二転三転する展開に心を動かされっぱななしでした。

 

まずアバンにて、佐織とそれを取り巻く人物たちとの日常、そしてそんな未来への希望に溢れた彼女の人生が一瞬で奪われる様を丁寧に描くことで、彼ら彼女らにたっぷりと感情移入させる作りになっているのが、なんともニクいなーと。みんながどれほど佐織を大切に思っていたのかが端々から伝わってきて、僕も親戚になったような思いを抱きながら見ていました。

特に佐織の父、祐太郎を演じたずんの飯尾さんの演技は、本当に素晴らしかったと思います。普段は気丈に、落ち着いた風に振舞ってはいるけど、やはりどうしても滲み出てしまうやり場のない怒りや悲しみ、そういった感情がセリフ以外の部分からも伝わってきて、本当にいたたまれない気持ちでした。店閉めてひとりで酒飲んでる(全く酔えない)シーンとか、ほんとヤバかったです…。

 

それとインスタにも書きましたが、北村さん演じる草薙刑事がまたずーっと苦しそうで、見ているこっちまで苦しくなりました。
23年前、蓮沼の罪を暴くことが出来ず、再び同様の事件を起こすきっかけを自分達が作ってしまったと、ずっと自分を責めてるんですよね。蓮沼の写真を見た瞬間に嘔吐してしまうほど、彼の中でトラウマになっていることがわかります。取り調べの場面などで、敢えてBGMを入れずに息遣いを強調させるようにしていたのも、ヒリヒリとした空気感や感情が伝わってくるようでした。心身ともにボロボロになりながら捜査を続ける草薙刑事の姿は、見ていられないほどでしたよ…。

ただ、それくらい気持ちが入っちゃう人を捜査に加えるのはいかがなものか、とちょっと思ってしまいました。確か被害者が家族や近親者だった時は捜査から外される、って別の刑事ドラマか何かで見た気がしますが、もうそのレベルなんじゃないかと。「蓮沼が犯人であって欲しいんじゃないのか」みたいに湯川に指摘されてましたし、どう考えても被害者側に肩入れし過ぎじゃ…と思いました。最後とか、草薙刑事が犯人に情報リークしてるんじゃないかと思ってヒヤヒヤしましたよ。全然そんなことなくて良かったですけど。

 

そして結局、関係者の誰一人として救われてはいない、というのがまた悲しい…。

町の人達は大した罪には問われなかったものの、それで喜ぶわけでも無し、ましてや佐織が帰ってくるわけでも無し。悲しみと罪の意識を抱いたまま、これからも生きていくしかないんですよね。しかも万が一今後の捜査で蓮沼が佐織殺害の犯人ではないことがわかったら…これ以上は考えたくもない。

新倉夫妻も、本当に悲しい結末を迎えてしまったな、と。自分が全てを話せば、妻の容疑は晴れる。しかし、全て話すということは、明確な殺意を持って犯行に及んだことを認めることになり、自身の罪が重くなる。そうした場面で、迷いなく自供する=妻を救うという決断をする直紀の姿には、どうにも涙を堪えられませんでした。きっと妻の留美も、自身の罪、そして夫の罪をこれからも一緒に背負っていくんだろうな、と思うとまた泣けてきます。

あとやっぱり草薙刑事も、全く救われてないんですよね。
蓮沼の罪を暴くことは、結局最後まで叶わず。罪を立証出来たとしても、自供させることも出来なければ、償わせることも出来ない。恐らく、この件でこれからもずっと苦しみ続けるんだと思います。本当につらい…。
でもきっと、そうした思いを糧に、彼はこれからも多くの事件を解決し、たくさんの人を救っていくんだろうなぁと。そしていつかきっと、佐織殺害事件と23年前の少女殺害事件にもケリをつけてくれる。そう思わせてくれるのが唯一の救い、なのかな。

 

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とまぁ、そんな感じでした。

第1作『容疑者Xの献身』は、湯川に匹敵する天才が罪を隠蔽するお話でした(ざっくりし過ぎてる感)。
第2作『真夏の方程式』は、家族ぐるみで罪を隠蔽するお話でした(これまたざっくりし過ぎてる感)。
本作『沈黙のパレード』は、今度は町内会ぐるみで犯行に及ぶ、という感じで、ここだけ見ると順当に進化しているような作りになっているように思います。しかもそこからもう一歩踏み込んでいて、始めは「懲らしめてやろう」という魂胆だったのが、それを利用した新倉によって殺害に至った、という感じでした。

3作とも共通しているのは、「誰かが誰かを思う気持ちが、悲劇的な事件を起こしてしまう」という点でしょうか。殺害される側が比較的クソ野郎で、犯人側がすごくいい人達、というのも共通している気がします。このテンプレ、人間ドラマの深みが増すので今後も多用されていくと思いますが、マンネリにならない程度にやってくれれば、個人的には大歓迎です。

ということで、映画『沈黙のパレード』の感想でした。

ではまた。

映画『NOPE/ノープ』感想(ネタバレ)

映画『NOPE/ノープ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意下さい。

始めに言っとくと、僕はホラー映画が苦手な方です。
ビビりなので怖いシーンはビクッ!となっちゃうし、血とかのゴア描写も胃がずっしりと重くなって、気分が沈んでしまいます。全く見ないという訳ではなく、気になった作品はチマチマ見てますが、見るまでにちょっと身構えちゃうというか、覚悟をする必要があるというか。『バイオハザード』シリーズくらいのカジュアルさだったら全然平気(むしろ好き)なんですけどね。

SAW ソウ』シリーズとか、見ようと思って1~4辺りまで一気にレンタルしたのに、怖くて結局見れずに返しちゃったくらいです。数年後に1作目だけは見て、ラストのどんでん返しとか唸っちゃうくらい面白かったけど、やっぱり滅茶苦茶怖かった…。なのでホラーの定石とかもよくわからず、『CABIN キャビン』とかも見たけどあまり楽しめなかったクチです。

 

そんな僕ですが、2~3年前にAmazon Primeに加入して最初に見た映画が、2017年公開の『ゲット・アウト』でして。
こちらはコメディアン出身のジョーダン・ピールの監督デビュー作である、ホラー映画になります。「ホラー苦手って話はどこ行った」という声が聞こえてきそうですが、公開時から「コメディ出身の人がホラー?どうなるんだろう?」と思ってたのと、評判が非常に良いらしいので気になってたんです。で、見てみると、黒人差別の問題をホラーに落とし込んだストーリーや、全体に漂う不穏な空気感など、怖いけどすごく面白いと思える映画でした。

同監督の次作である『Us アス』は、後で見ようと思ってウォッチリストに入れたままにしてたらいつの間にか見放題から外れててまだ見れてないですが、「デビュー作からいきなりこんなすごい映画を撮るとは、ジョーダン・ピール監督、恐るべし…」と思ったものです。

 

で、そのジョーダン・ピール監督の最新作が本作、『NOPE/ノープ』になります。
“Nope”は、劇中では“ありえない”という意味合いで使用されていました。
日常の中に潜む非日常をリアルに描き出す作風は、本作でも健在。じわじわと不安を募らせていき、最後まで目を離せなくなるような、非常に見応えのある作品になっておりました。

 

本作で主演を務めるのは、『ゲット・アウト』でも主演だった、ダニエル・カルーヤ。監督のお気に入りなのかな。アメコミファンには、『ブラックパンサー』のウカビ、と言った方がわかりやすいかもしれません。
日本の俳優でいうところの池松壮亮っぽいというか、感情をあまり前面に出さない抑えめの演技が割と好きです。

そのほか、様々な俳優さんが出演していますが、割愛。
さっさと感想に参りたいと思います。

 

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アメリカ・ハリウッド。
映画撮影のための馬の飼育などをしている牧場にて、OJ・ヘイウッド(演:ダニエル・カルーヤ)は平穏に暮らしていました。

ある日、牧場に金属片のようなものが降り注ぎ、OJの父であり牧場主である、オーティス・ヘイウッド(演:キース・デイヴィッド)を直撃。命を落としてしまいます。調査の結果、飛行機から積荷が落下したとされましたが、OJはそれを不審に思うのでした。

それから半年。
牧場を継いだOJですが、その経営は非常に厳しく、近所のテーマパークのオーナー、リッキー・“ジュープ”・パーク(演:ティーヴン・ユァン)に大切に育てた馬を売却することで、どうにか食い繋いでいました。
ある晩、OJは空を飛行する巨大な“何か”を目撃。その動きは、明らかに飛行機のそれではありませんでした。妹のエメラルド・ヘイウッド(演:キキ・パーマー)は、撮影してテレビ局に売り込めば生活が安定すると提案。近所の家電量販店の店員、エンジェル・トレス(演:ブランドン・ペレア)にカメラを設置してもらいます。

果たして、雲の中に潜む“何か”の正体とは――。
というのがあらすじ。

 

※結構重大なネタバレをいきなりかましているので、多めに改行入れときます。

 

↓敢えてここに予告編挟んどきますね。


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ぶっちゃけて言うと、本作はホラーというよりも、UFOもの、いやむしろ怪獣ものになるかと思います。馬や人を攫う未確認飛行物体、その正体は、それそのものが巨大な生命体だった。てな感じです。

この切り口、なかなか斬新で面白いですよね。昔からよく言われてる、「宇宙船が地球の生物を研究するために人を攫ったりしてるのではないか」みたいなところから、「実は宇宙船ではなくひとつの生命体で、単純に食うために吸い込んでる」といったミスリードもうまいなーと。

 

主人公たちの目的が、巨大な生命体を“倒す”ではなく“撮影する”なのもいいですよね。背伸びしてないというか、現実的というか。撮影した映像をTV局に売って金にしたら、恐らく彼らはあの土地から離れてあとは知らぬ存ぜぬ、って魂胆で、ヤツを止めようとか倒そうとかはさらさら思ってないであろうところも、リアリティを感じられて良かったと思います。

ヤツが近づくと電子機器が動かなくなるという特性を利用して、その辺にあった電気式のバルーンをくすねてきて広範囲に設置し、バルーンがしぼむ=ヤツが近くにいるといった感じで動きを察知したり、カメラも使えなくなるから電気を必要としない手回し式のカメラを用意したりと、圧倒的な力を持つ相手に知恵を絞って立ち向かう、という構図も非常にアツかったです。最終的に風船(気球?)を喉?に詰まらせて倒してしまう訳ですが、倒そうと思って倒したのではなく、撮影するために奮闘してたら結果として倒すに至った、という塩梅も絶妙だと思いました。

 

あと、馬のラッキーがおりこうさん過ぎて最高でした。
バカでかい未知の生命体が目の前まで来ていて滅茶苦茶怖いはずなのに、ご主人(OJ)の言う事聞いてゆっくり後ずさりしたり、一度は逃げちゃうけどちゃんと戻ってきたり、「あぁラッキー…!なんて健気ないい子なの!」とひとりで感動してました。OJは売った馬たちもちゃんと買い戻そうとしてたりと愛情をもって育てていたようだし、その愛情に応えてくれた、ということでしょうね。本作の個人的MVPは間違いなくラッキーです。

 

人が吸い込まれ、飲み込まれ、腹の中?でぎゅうぎゅう詰めになって苦しむ様子を主観映像で見せるところとか、「オレの縄張りから出てけ」と言わんばかりにOJの家に食べかすと共に血の雨を降らせるところとか、ホラーな描写も結構ありました。

中でも、幼少期のジュープが経験した、シットコムゴーディーズ・ホーム』の撮影中にチンパンジーゴーディーがブチ切れて出演者をボッコボコにするシーンは、トラウマ級の怖さでした。静寂の中、拳を叩きつける音と微かな呻き声だけが響き渡るあのシーン、目を背けたくなるほど怖かったです…。

でも正直、あのシーンが本編のストーリーにどう関わっているのかは、僕の足りない頭ではわかりませんでした…。
鑑賞後にうだうだ考えて、ジュープが「未確認飛行物体を観客の前に呼び寄せる」という行動に出るきっかけになった、ということなのかな、と思いました。「あの場面でも、自分だけはゴーディーと心を通じ合わせることが出来た(※実際どうだったかは不明)。だから今回も、未知の“何か”とわかり合うことがを自分の思い通りにすることが出来るはずだ」とジュープは考え、馬のラッキーをエサにしておびき寄せようとした。しかし、これまではたまたま馬とかを標的にしていただけで、その“何か”にわかり合おうなどという気があるはずもなく。ジュープはその傲慢さの報いを受けるように、観客もろとも飲み込まれてしまった(馬だけ無事、というのがさらに皮肉が効いてる)。ということなのかなーと。

あと、出演者が殴られてる横で脱げた靴が直立してた、というのも、意味ありげにフォーカスしてたので何かしらの超常的な力が働いていたのかな、と思いましたが、そういう訳ではなかったみたいですね。あれが“最悪の奇跡”、なのか…?

 

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てな感じで、感想は以上です。
なんか、無意識にラストから遡るような書き方になってしまった…。たぶんストーリーを追うように書いてった方が、読む側としてはわかりやすいですよね。読み手がわかりやすい文章を書く、というのも少しずつ出来るようになっていければいいなぁ。

それはさておき、本作はありきたりなホラー映画やUFO映画とは一味も二味も違う作品になっていることは間違いないかと思います。すごく評判がいいようで、IMAX上映を再開している劇場もあると聞きます。気になっている方は、ぜひ鑑賞してみてはいかがでしょうか。

ということで、映画『NOPE/ノープ』の感想でした。

ではまた。

映画『ブレット・トレイン』感想(ネタバレ)

映画『ブレット・トレイン』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

世界的大スター、ブラッド・ピット主演最新作が本作、『ブレット・トレイン』になります。
タイトルのブレット・トレイン(直訳で弾丸列車)は、日本の新幹線の事を指す言葉なんだとか。そう言われてみれば確かに弾丸みたいな形してますね。

原作は伊坂幸太郎の小説、『マリアビートル』。これは“殺し屋シリーズ”と呼ばれるものの1作だそうで、このシリーズは累計発行部数300万部を記録するほどの人気なんだとか。ちなみにシリーズ1作目の『グラスホッパー』は、生田斗真主演で実写映画化されています。

 

伊坂さんは東北大学卒で宮城県仙台市在住ということもあり、仙台を舞台にした小説を数多く執筆しています。『アヒルと鴨のコインロッカー』や『ゴールデンスランバー』など、仙台をロケ地に撮影された映画も多く、同じく地元が仙台である僕は勝手に親近感を覚えています。まぁ、活字の羅列を見てると眠くなってくるタチなので小説も読めてないし、映画もタイミングが合わなくて全然見れてないですけど…。

そうした日本の小説を原作とした映画がハリウッドで製作され公開される、しかも僕の大好きな「海外の人が思い描くNIPPON(勝手にコレジャナイジャパンと呼んでいます)」が舞台ということで、面白そうだなーと思い、見てきました。率直な感想としては、ハラハラドキドキのスリリングな展開がずっと続く、とても楽しいエンターテインメント作品になっていると思いました。

 

本作の監督は、元々ブラピのスタントダブル等をしていた、スタントマン出身のデヴィッド・リーチ
2014年の『ジョン・ウィック』の共同監督(クレジットなし)としてデビューし、近年では、2017年の『アトミック・ブロンド』、2018年の『デッドプール2』、2019年の『ワイルド・スピードスーパーコンボ』など、話題作の監督を多く務めています。
ちなみに、ドラマ『ツイン・ピークス』等で知られるのはデヴィット・リンチ。紛らわしい…。

 

俳優陣に関しては、ブラピと我らが真田広之が出演してる、くらいしか知らない状態で見たんですが、『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』のアンドリュー・小路、『キック・アス』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のアーロン・テイラー=ジョンソン、『ゴジラ vs コング』『エターナルズ』のブライアン・タイリー・ヘンリー、『デッドプール2』のジー・ビーツ、『マン・オブ・スティー』のマイケル・シャノン、といった豪華俳優陣が出演していました。あとはチョイ役で『HEROES』のマシ・オカや、『スーサイド・スクワッド』『ザ・ボーイズ』の福原かれんが出ていたりと、ほぼ僕の好きな俳優さんしか出てなくて最高でした。

 

↓予告編はこちら(全年齢版っぽいヤツを貼ってます)


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なんかもう書きたいこと全部書いちゃったような気もしますが、ぼちぼち本編の感想に参りたいと思います。

 

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舞台は、日本。東京。

息子に瀕死の重傷を負わせた相手へ復讐するため、キムラファーザー(演:アンドリュー・小路)は、東京発・京都行の高速鉄道に、銃を片手に乗り込みます。

時を同じくして、復帰したての殺し屋、レディバ(演:ブラッド・ピット)も、とあるブリーフケースを回収する依頼を受け、列車へと乗車。殺し屋コンビのタンジェリン(演:アーロン・テイラー=ジョンソン)とレモン(演:ブライアン・タイリー・ヘンリー)、イギリス人女子学生のプリンス(演:ジョーイ・キング)も乗っています。

更に、メキシコ人の殺し屋ウルフ(演:ニート・A・マルティネス・オカシオ)、毒使いの殺し屋ホーネット(演:ジー・ビーツ)、キムラの父エルダー(演:真田広之)らも、それぞれの思惑で続々と列車へ途中乗車してきます。

そうして、同じ列車に乗り合わせた殺し屋たちの運命が交錯していく――。

というのがあらすじ。

 

まず、上でも書いてますが、世界観が大変僕好みでした。
「辺り一面ネオンがギラギラに光り輝くTOKYO」「世紀末な人達がヒャッハーしてるSHIZUOKA」「江戸時代にタイムスリップしたかのようなKYOTO」といった、いろんなコレジャナイジャパンが見れて、「そうそう、コレコレ!」とひとりでテンションブチ上がってました。

ストリートビューとかでいくらでも日本の風景は見れますし、実際こんな街並みじゃない事はすぐにわかりそうなもんだけど、わざとこういう風にしてるんですかね?まぁ、海外の人にはこう見えてる、って事なんだと思います。僕としては「これでいい。むしろこれがいい」って感じだし、「ドモアリガトゴザマス(劇中のブラピっぽく)」という思いです。

 

舞台となる高速鉄道は、原作では東京発・盛岡行の東北新幹線がモデルらしいですが、映画では東海道新幹線をモデルとしたであろう、京都行に変わってました。列車のデザインも、リニアモーターカーみたいにアレンジされていました。

東北人の僕としては「なんで盛岡やないねん!盛岡いいとこやんけ!」となりますが、海外の人からしたら盛岡ってどこ?って感じでしょうしね…。京都の方がわかりやすいだろうし、映像化もしやすいだろうし、致し方無しかと。

余談ですが、「新幹線に“ファーストクラス”は無いんやで…!あるのは“グランクラス”やで…!」というツッコミは野暮なのでやめときましょう。そういう世界観なんですから。

 

各キャラクターに関しては、一癖も二癖もあるような人ばかりで、非常にキャラが立っていて面白かったです。

ブラピ演じるレディバグは、『ダイ・ハード』のようなとにかくトラブルに巻き込まれまくる運が悪い系の主人公で、おかげで話がどんどん進んでくれるのが心地良かったです。間抜けになりがちなキャラクター像も、ブラピが演じるとその溢れ出るスターオーラのおかげか、ちゃんと主人公らしく見えるからすごい。

タンジェリンとレモンの殺し屋コンビも、掛け合いがずっと楽しくて良かったです。『きかんしゃトーマス』ネタをいちいち持ち出してくるのが笑えました。原作では双子のようにそっくりな見た目らしいですが、映画では全く違う見た目になっています。僕は原作読んでないので何とも思いませんでしたが、ファンの人はどうなんだろうか…。

プリンスは、原作では男子中学生らしいですが、映画では若干年齢を上げており、大人を手玉に取るほどの頭脳の持ち主という設定に説得力を増していました。演じるジョーイ・キングの制服姿は、ムチムチしていて堪りませんでしたな(色々とアウトな文章)。ちょっとゴスっぽいメイクや、人を見下したような喋り方も、キャラにマッチしていて良かったですね。

キムラは、悪いヤツらに利用されまくってしまうというキャラクターが、なんとも日本人らしいというか…。演じるアンドリュー・小路は、顔は日本人なのに日本語あまり上手くないのが、とても愛嬌があって好きです。『G.I.ジョー』続編、楽しみにしてます。

キムラの父である元任侠のエルダーは、演じてるのが我らが真田広之なので、最高というほかない。霧煙る米原駅で列車に乗り込む姿はシブすぎて泡吹いて倒れるかと思いましたし、アクションも還暦越えてるとは思えないキレで、相変わらずお見事でした。強いて不満を挙げるとしたら、もっと出演時間増やしてくれ、というくらい。

新幹線の車掌役でマシ・オカがちょっとだけ出てましたが、いくら切符失くしたからって客にあんな失礼な態度取るヤツいるのか?と思ってしまいました。そもそも、今はネットでチケット買う人も多いし、今時電車の中で「切符拝見しまーす」なんて言う人いない気もしますが…。まぁ原作でもそんな感じらしいですけど。

福原かれんも、車内販売員の役でちょっとだけ登場。バックヤードに入り込む客にまでにこやかに「失礼いたしまぁす」とか言ってんのはなんかちょっと違和感ありました。そこは毅然と「出てってください」でいいのでは。実はコイツも殺し屋なのでは…と思いましたが、特にそんなことはなかったんだぜ。

それにしても、我らが真田、マシ・オカ福原かれん辺りは、ちゃんとした日本語が話せる海外で活躍中の俳優さんという事で、日本人キャラを出すときとか日本が舞台のときとかに重宝されている印象。同じ日本人として喜ばしい限り。もっとこういう人が増えていってくれるといいなぁ。

ウルフはあまり見せ場なくやられてしまいましたが、結婚式の回想シーンの人の死にっぷりが地獄絵図過ぎてビビりました。

そしてその大虐殺の犯人であるホーネットは、演じてるのが『デッドプール2』の個人的MVP、ドミノを演じたザジー・ビーツなので、ちょっと色眼鏡で見ちゃいました。某五輪のマスコットキャラを絶妙にキモくしたようなゆるキャラ(?)、モモもんの着ぐるみの中にずっと入ってた、というのもナイスでした。ブラピに思いっきり殴られて着ぐるみの頭ベコッてなるとこ、めっちゃ面白かったです。でも正体を明かしてからは割とあっさりやられちゃうのがちょっと残念。
ちなみにホーネットの日本語吹き替えは、フワちゃんがやっているらしいですね。うん、心底どうでもいい。字幕で見る派で良かった。
あ、そういや毒の抽出元であるヘビは最後まで生き残ってましたね。「※この映画では動物に危害は加えられていません」てヤツでしょうか。

殺し屋たちを列車に乗り込むよう仕向けていた首謀者であり、裏社会で知らぬ者はいないほどの超大物である、ホワイト・デス(演:マイケル・シャノン)。この人どっかで見たことある気がするなー、と思ったら、『マン・オブ・スティール』でゾッド将軍を演じた人でした。ロシア人だからロシアンルーレットが好き、というダジャレっぽい発想も面白いし、自分のこめかみに銃口当てて迷いなく引き金を引く、という狂人っぷりも相まって、なかなか良いボスキャラでした。

彼が乗り込んできてからのクライマックスは、列車同士が衝突するわ、猛スピードで脱線して京都の町に突っ込むわで、スペクタクルとしてはものすごかったけど、「とんでもねぇ大惨事やんけ…しばらくニュースはこの話題で持ちきりになるだろうな…」とか要らんこと考えちゃいました。あと、モモもんの着ぐるみがクッションになった悪運の強いレディバグをはじめ、「あれだけの事故なのにみんな生存してるのすごすぎない?(特にプリンス…)」とかこれまた要らんこと考えちゃいました。

あと最後の最後に、レディバグに電話でずっと指示を出していたハンドラー、マリア・ビートル(演:サンドラ・ブロック)がちょっとだけ登場します。サンドラ・ブロックだったのか…!とちょっと驚きましたが、よくよく考えてみると、ただ電話してるだけのこのキャラ、別に要らなくね?と思いました。実は重要なキーキャラクターだったとか、実は裏切ってたとかならまだしも、全くそんなこともなかったですし。原作でも出てくるみたいですが、別に削っても良かったのでは…。

 

各キャラについてはこの辺にしときまして。

あとひとつだけ言いたいのは、原作では日本人という設定のキャラクターを白人に置き換えたことに対して、ごく一部の声のデカい人達が「ホワイトウォッシングだ!」と批判しているらしい、という話。

「原作の“日本が舞台”という点は踏襲しているのに、キャラだけ白人に置き換えるのは日本人差別じゃないのか!アジア人が主役ではヒットしないと思ってるんだろ!今や『シャン・チー テン・リングスの伝説』等でアジア人を主役にした映画が世界中でヒットしてるじゃないか!人種差別だ!そうに違いない!」というのが、彼ら彼女らの論調らしい。

なんというか、何言ってんだコイツら…ヒマなの?と思ってしまいますね…。
原作者の伊坂さんは、ハリウッドでの映画化にあたり「日本にこだわらなくていいですよ」って言ってたらしいですし、映画の出来にも満足しているらしいです。それに大多数の日本人は、「日本の小説がハリウッドで映画化!?しかもブラピ主演!?すげぇぇぇ!!」と思うだろうし、少なくとも本作を見て「え、ウチら見下されてない?」なんて思う日本人はほとんどいないと思います。あからさまに差別してるんだとしたらそれは許せませんが、上述の通り本作には日本人キャストも多く、差別的な意図は何も感じませんでした。当人たちが何とも思わない事を、無関係の人達がギャースカ騒いでるのは、お門違いもいいところじゃないですかね。

なんすかね、こういうこと言う人達って疲れてるんですかね?ちょっと前に、ヴィーガンの人がものすごい剣幕で何かを叫んでいる目の前で、幸せそうに無言で肉を食う人の動画が話題になりましたが、アレと同じな気がします。心にゆとりがないから、ヒステリックになっちゃうといいますか。だからもう、おいしいもん食ってゆっくり寝てください、としか言えないし、そんなくだらないことでいちいちデカい声出さないでもらえますか、楽しんでいる人達の迷惑なので…というのが個人的な意見。
ちょっと語気が強くなっちゃいましたが、なんでもかんでも目くじら立てるのやめようよ、というお話でした。

 

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そんな感じで、個人的満足度の高い映画でした。

ハイテンションなアクションをノンストップで楽しめる作品になっていると思いますので、そういった作品が好きな方は見に行って損なしかと。

ということで、映画『ブレット・トレイン』の感想でした。
ではまた。