GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『デューン 砂の惑星 PART2』感想(ネタバレ)

映画『デューン 砂の惑星 PART2』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

1965年に第1作目が出版され、『スター・ウォーズ』などの多大な作品へ影響を与えたとされる、フランク・ハーバード著のSF大河小説シリーズ、『デューン(Dune)』。

そのあまりの壮大さゆえに実写化不可能といわれていた小説を、見事に映像化してみせた前作、『DUNE/デューン 砂の惑星』。そして、その続編となるのが、本作『デューン 砂の惑星 PART2』です。

前作の直後からストーリーが展開され、一族を滅ぼされた主人公の復讐劇、そして宇宙で最も価値があるとされるスパイスを巡る争奪戦を、壮大なスケールで描いたスペースオペラとなっています。

 

いちおう前作も感想書いてますので、良かったらどうぞ。今見るとなんともイマイチな文章なので、いずれ書き直したい。

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ちなみに、本作では邦題の『DUNE/』が消えてますが、コレが公式です。なぜ付いたり消えたりするのかは謎。日本の配給会社の偉い人とかが考えてる(どちらかというと考えなしに決めてる)のでしょう。そういうとこやぞホンマ。

 

もくじ

 

概要

監督は前作と同様、ドゥニ・ヴィルヌーヴ
2016年の『メッセージ』や2017年の『ブレードランナー2049』などで知られ、スケールが大きすぎて映像化不可能といわれるSF作品は、全部この人に任せておけば大丈夫だろう、というイメージ。

脚本も前作同様。ドゥニ監督と、『プロメテウス』などのジョン・スペイツ、『フォレスト・ガンプ/一期一会』などのエリック・ロスが、共同で執筆しています。

 

主演も引き続き、ティモシー・シャラメ
2017年の『君の名前で僕を呼んで』での演技が絶賛され、アカデミー賞主演男優賞などにノミネート。昨年末に感想を書いた『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』でも、主演を務めています。

そのほか、MCU版『スパイダーマン』シリーズのゼンデイヤ、『ミッション:インポッシブル』シリーズのレベッカ・ファーガソン、『アベンジャーズ』シリーズのジョシュ・ブローリン、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのデイヴ・バウティスタ、『007 スカイフォール』などのハビエル・バルデム、『マイティ・ソー』シリーズのステラン・スカルスガルドといった、おなじみのキャストが出演。

さらに新キャストとして、2022年の『エルヴィス』にてエルヴィス・プレスリーを演じ話題となったオースティン・バトラー、『ミッドサマー』や『ブラック・ウィドウ』などで知られるフローレンス・ピューらが出演しています。フランス版『美女と野獣』でベルを演じたレア・セドゥと、5月公開の『マッドマックス:フュリオサ』で主演を務めるアニャ・テイラー=ジョイもちょっとだけ出演していて、この2人の出演を知らなかった僕はビックリしました。

 

予告編


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あらすじ

遥か未来。
デューン(砂丘)という名でも知られる砂漠の惑星、アラキス。この星では、メランジと呼ばれる、抗老化・精神拡張などの作用を持つスパイスが宇宙で唯一産出され、アラキスを制する者は宇宙をも制すると言われていました。

宇宙帝国よりアラキスの統治を命じられたアトレイデス一族は、帝国とハルコンネン一族の仕組んだ陰謀に巻き込まれ、滅亡してしまいます。生き残ったアトレイデス公爵家の後継者、ポール・アトレイデス(演:ティモシー・シャラメ)は、一族を滅ぼされた復讐のため、アラキスの原住民族フレメンと共に、彼らの暮らしを学びながら、フレメンの戦士“フェダイキンとなるべく訓練を積んでいました。

一方、ポールの母、レディ・ジェシ(演:レベッカ・ファーガソン)は、ポールをフレメンの間で伝説の預言者として語り継がれる“リサーン・アル=ガイブ(外世界からの声)とするべく、暗躍を始めます。

その頃、ウラディーミル・ハルコンネン男爵(演:ステラン・スカルスガルド)は、甥であるフェイド=ラウサ・ハルコンネン(演:オースティン・バトラー)へフレメンの殲滅を命じ、アラキスへと送り込みます。それを阻むのは、“ムアディブ(トビネズミ)という戦士の名を授かったポールたち。

スパイスを巡る争奪戦は、いつしか宇宙の覇権を巡る争いへと発展していく――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

見応えの塊のような、すさまじいスケールの作品でございました。

やはりなんといっても素晴らしいのが、作りこまれた世界観。
設定とかに関しては原作があるので置いとくとして、僕が言いたいのはビジュアル面の話。広大な砂漠のロケーションやVFXもさることながら、衣装であったりセットであったり、至る所が妥協無く作りこまれていて、「遥か未来の彼方の惑星を舞台にしている」のがひと目でわかるビジュアルの数々は、素晴らしいとしか言いようがないです。『スター・ウォーズ』とかみたいに宇宙中を駆け回ったりせず、ひとつの惑星を舞台にした作品ではありますが、壮大さでは全く引けを取らないと思います。

作品を象徴する“サンドワーム(砂虫)も、前作ではなんというか、マリオでいうドッスンのような、さながらステージギミックのような扱いだったように思いますが、本作ではフレメンと交流を深めるのもあって、死体処理に使ってみたり、乗りこなしてみたりと、色々と活用されていて非常に面白かったです。後半、フレメンたちが操るサンドワームの大群が敵を蹂躙するとことか、その大きさ、得体の知れなさ、恐ろしさがビシビシと伝わってきてマジで怖かった。襲われる側はたまったもんじゃないですわな。もう絶望しかない。

 

ストーリー面で言うと、あらすじで書いたような専門用語が飛び交いまくるので混乱しそうになるのですが、大枠は「悪いヤツら(つるっぱげオッサン軍団)に家族を皆殺しにされた主人公(超絶美少年)が、奪われたものを取り返すためにみんなと協力して立ち向かう」というものなので、そこまでわけわからなくならないのもいいなぁと。ルッキズムは良くない。それと、ポールが戦士になるための修行?儀式?に出発したと思ったら、次のシーンではもう戦士として戦いに参加してるみたいな、見ようによってはブツ切りともとれる場面が結構あったのですが、それでもそこまでわかりにくさは感じませんでした。3時間近くある大作ですが、「すごいがんばっていろいろ削って、どうにかこの時間に収めてるんだな」という印象。それでもちゃんと成立させているのは、脚本というか、セリフや展開の組み立てが優秀なんでしょうねきっと。

ベネ・ゲゼリットとかいう、カルト宗教のような秘密結社のあれやこれやに関しては、相変わらず雰囲気はすごいけど何言ってるかわからん(笑)ので、最悪無視してもいいかもしれません。そこまで本筋に関わってこないですし。母ちゃんだけはガッツリ関わってきますが、息子のポールを預言者として祀り上げてアラキスを牛耳り、ゆくゆくは宇宙全体も牛耳ろうとしてる、というのはわかりました。そして結局、最後までその目論見通りに事が運んでいるのが恐ろしい。

 

そーいや鑑賞後、劇場を出る時に「余計なシーン多すぎて長い!」みたいなことをデカい声で話してる人がいました。「主人公強すぎ!ナルトかよと思った!」だのなんだの、ワーワー言うておりました。デカい声でそういうこと話してると、僕みたいな根暗ぼっち野郎に全部聞かれてるから気を付けてくださいね。盗み聞きみたいなマネしてほんとごめんなさいね。声がデカかったのでね、聞こえてしまったんです。すみませんね。とりあえず言えるのは、本作はデートムービーには向かないと思うので、おとなしく家でナルトを見てください。映画館で見るのなら、『恋わずらいのなんちゃら』や『変なアレ』の方が良いかと思いますよ。

 

おわりに

なんか最後の方、我ながらすごくキモくなったので、この辺でやめときます。
ティモシーが見たいだけなら『ウォンカ』の方が良いと思いますよ(恥の上塗り)

壮大なスペクタクルに没入したい!という方は、IMAXなどの出来るだけ大きいスクリーンと高品質な音響で鑑賞をオススメします。本作の大ヒットを受けて続編の制作も決定したそうですし、僕も公開されるまではがんばって生きていこうと思います。

ということで、映画『デューン 砂の惑星 PART2』の感想でした。

ではまた。

Vシネクスト『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』感想(ネタバレ)

Vシネクスト『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

仮面ライダーギーツ』は、2022~2023年にかけてテレビ朝日系列で放送された、仮面ライダーシリーズの1作。

人々の“願い”をテーマに、生き残りをかけた熾烈なバトルロワイヤルと、それに挑む多数の仮面ライダーたちの人間ドラマが描かれました。

 

ギーツに関してはたくさん記事を書いていますので、併せてお読みいただけると嬉しいです。

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そんなギーツの正統続編、および真の最終章として製作されたのが、本作『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』です。

東映Vシネマシリーズ、Vシネクスの1作として、DVD/Blu-rayの発売に先行して期間限定で劇場公開されています。

 

もくじ

 

概要

Vシネクストという名称が使われ始める前から、仮面ライダーVシネマシリーズでは、主役ではなく、2号・3号ライダーと呼ばれる、いわゆるサブライダーにスポットを当てた作品が作られることが通例となっています(例外もあり)。本作もその慣習に倣い、ライバルキャラとして登場した吾妻道長仮面ライダーバッファをメインに据えた作品となっているのが特徴。

TVシリーズのその後を舞台に、人類を滅亡に導く最凶の相手との最後の闘いが描かれています。

 

監督を務めるのは、坂本浩一
スタントマンとして活動したのち、映画監督を志し渡米。長年にわたり『パワーレンジャー』シリーズの監督や製作総指揮を担当しました。2009年に帰国し、『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』の監督を務めて以降、日本を拠点に『仮面ライダーフォーゼ』『獣電戦隊キョウリュウジャー』『ウルトラマンギンガS』のメイン監督を務めるなど、今や日本の特撮界においても欠かすことの出来ない人物です。

脚本は、TVシリーズと同様、高橋悠也
仮面ライダーエグゼイド』のTV・映画・Vシネ全ての脚本を執筆し、『仮面ライダーゼロワン』でもメイン脚本を担当。ギーツでも、全話の脚本を書いています。

 

キャスト陣は、簡秀吉杢代和人佐藤瑠雅星乃夢奈青島心志田音々など、TVシリーズと変わらぬ面々のほか、実写版『暗殺教室』などに出演している松永有紗、舞台『仮面ライダー斬月』への出演や声優としても活躍している萩谷慧悟、『炎神戦隊ゴーオンジャー』でゴーオングリーンを演じた碓井将大らがゲストとして出演しています。

 

予告編


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あらすじ

浮世英寿仮面ライダーギーツ(演:簡秀吉)が“神”となって世界を作り変えてから、しばらくの時が流れた世界。かつてデザイアグランプリに参加し生き残りをかけて戦っていた者たちも、それぞれの“願い”を叶えるべく、穏やかながらも充実した日々を過ごしていました。

しかし、そんな日々に終わりを告げるかのように、鳴り響く一発の銃声。

宇佐神清春(演:碓井将大)という青年が警官によって撃ち殺され、妻の葉月(演:松永有紗)は激昂し、クイーンジャマトとなって人々を襲い始めます。吾妻道長仮面ライダーバッファ(演:杢代和人)、桜井景和仮面ライダータイクーン(演:佐藤瑠雅)、鞍馬祢音仮面ライダーナーゴ(演:星乃夢奈)が止めようと立ち向かっていると、そこへ現れたのは白い髪をした英寿。彼は「人類を滅亡へ導くゴッドジャマトを止める」と言い、仮面ライダードゥームズギーツへ変身。そして、なぜか道長たちを攻撃してくるのでした。

どうにかその場を脱するも、戸惑いを隠せない道長たち。そこへ、ジャマトのスポンサーとしてライダーたちを何度もピンチに陥れてきた、あのベロバ(演:並木彩華)が現れます。

ベロバが道長に執拗に付きまとう、その目的とは。白髪の英寿が言う“人類の滅亡”とは。そして、ゴッドジャマトの正体とは――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

大変見応えのある作品でした。

特筆すべきは、やはり素晴らしいアクションの数々。ダイナミックなカメラワーク、大技をくらった後の吹っ飛び方、役者に激しいアクションさせがち、などなど、特撮ファンは見てたら「あ、コレ坂本監督だな」とわかるくらいに特徴的なアクション演出が、本作でもいかんなく発揮されていました。道長を演じる杢代くんや景和を演じる佐藤くんは、ダンスをやってるだけあって魅せるアクションが上手い。袮音を演じる夢奈ちゃんもしっかり頑張ってました。

中でも、ダムでのバトルシーンは本当に凄かった。お得意のワイヤーアクションや、ウルトラ系を彷彿とさせる寄りの画を多用したど迫力の撮り方など、日本三大ヒーロー(ライダー・戦隊・ウルトラ)すべてに携わっている坂本監督だからこそできる、カッコいいシーンをいいとこ取りしたような、大変素晴らしいものでした。

 

あとはなんと言っても、女の子たちがとにかくかわいい。

ひとつ前の『マダム・ウェブ』の感想でも書いてるし、なんか最近コレばっか言ってる気がしますが、実際かわいいんだから仕方ない。TVシリーズに出演した女の子たちがほぼオールスターで再出演してくれて、なんとも眼福でした。仮面ライダーロポこと、小貫莉奈ちゃんも出てくれたら完璧だったのに。プロアクティブのCM、めっちゃかわいいよね。

さらに、本作のゲストキャラ、葉月を演じる松永有紗ちゃんも、また顔が良いのなんの。幸薄い役が似合いそうな感じとか、どことなく山本千尋ちゃんに似た雰囲気を感じるので、きっと坂本監督の趣味なのでしょう(笑) いいぞもっとやれ。

 

脚本も、個人的には良かったと思います。

ゴッドジャマトの正体は早い段階で察しがついてしまったものの、何度もミスリードを誘う話運びは素直に面白かったです。相手がジャマトだろうが悪いヤツじゃなければ戦わず、逆に悪いヤツであればトリプルライダーキックをお見舞いして容赦なくぶっ倒すところも、派手な見せ場をしっかり用意してくれるという点でも良かったし、各キャラ(主に道長)の成長も感じさせて、いろんな意味で良かったです。

満を持しての登場であるバッファの最強フォーム、プロ―ジョンレイジも、既存のスーツを流用しつつちゃんと別物に見せていて、めちゃくちゃカッコよかったです。下半身は靴以外まるごとモンスター、肩はコマンド、武器(盾?)はゲムデウスクロノス、頭と胴体だけ新規かなと思いましたが、どうだろう。最早忘れかけていた、道長の中のジャマトの力を活かしてくれたのもグッときました。

白髪の英寿が変身するドゥームズギーツも、強者感がよく出ていてカッコよかったですね。男の子はみんな金×黒が大好き。

仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』では異種族間の溝が埋まるどころかむしろ悪化していましたが、本作ではその辺にも少し踏み込んでいて、好感が持てました。おそらく、「罪を憎んで人を憎まず」からの「未来はいくらでも変えられる」的なことを言いたいのだと理解しましたが、つい最近まで放送していた、小さい子供の観客も多くいるであろう作品では、たとえ綺麗事だとしてもこうした展開が適切なんだろうなぁと。ファイズに関してはもう20年も前の作品で、メインの客層はオッサンでしょうから、多少ドライな展開もアリだと判断したのかもしれないですね。

 

おわりに

毎度まとまりのない感想ですが、以上になります。

僕がギーツ大好きというのもあり、本作も非常に楽しめました。ギーツファンは一見の価値ありかと。Vシネクストにしてはハードな展開も控えめなので、お子さんも十分に楽しめるのではないでしょうか。

ということで、Vシネクスト『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』の感想でした。

ではまた。

映画『マダム・ウェブ』感想(ネタバレ)

映画『マダム・ウェブ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

コロンビア・ピクチャーズとソニー・ピクチャーズが贈る、マーベルコミック原作のスパイダーマンに関わる様々なキャラクターを実写映画化したシネマティック・ユニバース、それが『ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)』。

2022年公開の『モービウス』に続くSSU第4弾となるのが、本作『マダム・ウェブ』です。

主人公が能力を開花させ、スーパーヒーローとなるまでのオリジンを描いているほか、マーベル映画史上初となる、本格的なミステリー・サスペンス作品(自称)となっています。

 

ホントは一番出したいであろうスパイディは、マーベル・スタジオにレンタル中なので今はまだ出せず。だから代わりにスパイディ絡みのキャラでユニバースを作り、今後実現するかわからないスパイディの登場に備えよう、ということで始まったSSU(個人の印象です)

公開されるたびに酷評されている印象ですが、僕はこのシリーズ結構好きです。良くも悪くもシンプルなつくりで、肩肘張らずに見れるのがいいなぁと。実際そういう狙いもあるようですし、まんまと策略にはまっていますね。今後もがんばって続けていって欲しいです。

 

本来であればSSU第4弾は『クレイヴン・ザ・ハンター』でしたが、去年起きた脚本家や俳優たちのストライキの影響で、今年8月公開予定に延期。逆に本作は公開が若干早まり、結果として公開順が入れ替わったようです。ついでに『スパイダーバース』続編も、ストライキの影響で公開時期未定となってしまっています。本当ならもうすぐ公開されるはずだったのに…!早く見たいぜ…!

 

もくじ

 

マダム・ウェブとは

カサンドラ・ウェブマダム・ウェブの初登場は、1980年に刊行されたコミックから。

生まれつき盲目で、重症筋無力症のため自力で動くことが出来ず、生命維持装置付きの車椅子がなければ生きていけない体なんだとか。しかし、病気を克服しようと懸命に努力する過程で、未来予知・透視・テレパシー・幽体離脱などの様々な超能力を身に着けており、その能力でスパイダーマンの窮地を何度も救ったヒーロー、なんだそうです。

原作では高齢の女性ですが、本作では30代の女性にアレンジされています。盲目でもなければ動けない体でもなく、いたって健康な女性です。まぁ、主役にするならそりゃそうするよね。

 

概要

本作の特徴は、上で書いた通りマーベル映画史上初の本格ミステリー・サスペンス作品(自称)であること。そのため、アクションは少なめで、ドラマが主体の作品となっています。

また、時系列が違うので他のSSU作品との関連性がほぼないのも、特徴と言えるかもしれません。そのため、これまでアメコミ映画に触れてこなかった人でも気兼ねなく鑑賞できる作品になっていると思います。

 

監督は、イギリス出身のS.J.クラークソン
劇場用映画の監督は本作が初だそうですが、数々のTVドラマで監督として参加しています。また、マーベル作品では、Netflixで配信されたMCUの派生作品、『Marvel ジェシカ・ジョーンズ』『Marvel ザ・ディフェンダー』の監督および製作総指揮を務めています。ちなみに現在はどちらもDisney+で配信中です。

脚本はクラークソンのほか、『モービウス』でも脚本を務めたマット・サザマバーク・シャープレスフィルモグラフィー不明のクレア・パーカーが共同で執筆しています。

 

主演を務めるのは、ダコタ・ジョンソン
2015年公開の『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』をはじめとする、『フィフティ・シェイズ』シリーズ3部作で主役を務め、ヌードやラブシーンに挑戦し話題となりました。ちなみに彼女の母の再婚相手はスペインの名優、アントニオ・バンデラスだそうで、継父という間柄になるそうです。2015年に離婚されているそうなので、継父“だった”と言った方が正確かもしれません。

本作のヴィラン(敵役)を演じるのは、タハール・ラヒム
中東系っぽい名前ですが、フランス出身の俳優さんだそうです。もともとはフランスで俳優として活動していましたが、現在はアメリカを中心に活動中の模様。昨年公開された伝記映画『ナポレオン』では、総裁政府のメンバーであるポール・バラスを演じました。

 

そのほか、TVドラマ『ユーフォリアEUPHORIA』などのシドニー・スウィーニー、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』などのセレステ・オコナー、『トランスフォーマー/最後の騎士王』などのイザベラ・メルセドらが、主要キャストとして出演しています。

 

予告編


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あらすじ

2003年、ニューヨーク。

キャシーことカサンドラ・ウェブ(演:ダコタ・ジョンソン)は、救急救命士として忙しい日々を送っていました。ある日、キャシーは救命中に橋から海に転落し、心肺停止に陥ってしまいます。相棒のベン・パーカー(演:アダム・スコット)の処置により九死に一生を得たキャシーは、それ以来、謎のビジョンを見るようになりました。

後日、電車に乗り込んだキャシーは、またビジョンを見ます。それは、3人の少女が謎の男に殺害される、というもの。ビジョンの正体がわからず戸惑っていると、先ほど見た少女たちが電車へ乗り込んできて、更に男も隣の車両にいるのを発見。まさか、自分は未来を予知しているのか…。キャシーは咄嗟に少女たちを電車から降りるよう促します。それを察した男は、超人的な力で少女たちに迫ってくるのでした。

果たして、少女たちを守り切ることが出来るのか。
そして、彼女に発現したこの“力”の秘密とは――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

だいぶ酷評されているらしいですが、僕は割と好きです。

 

最初にはっきり言っときますが、本作はミステリー・サスペンス作品とは程遠いかと思います。

ヴィランであるエゼキエル・シムズ(演:タハール・ラヒム)の目的は最初から明かされているし、キャシーの母がコイツに殺害されているのも冒頭で出てきます。「3人の少女とキャシーには接点があった」というのも別にミステリーでもなんでないですし、キャシーの出生の秘密はあまりにも唐突に出てきて「いや知らんし」ってなりましたし。全体的にひたすらエゼキエルから逃げているばかりで、“謎”と呼べる要素が残念ながら皆無なんですよね。

 

では肝心要のスーパーヒーロー映画としてはどうなのかというと、そちらも微妙と言わざるを得ない…。

思っていたよりはアクションシーンがあった印象ですが、それはほぼエゼキエルが頑張ってアクションしているものであり、あとは未来のビジョンで少女3人がスパイダー・ウーマンになってうんぬん、というのと、クライマックスに少々、という感じ。このクライマックスの未来予知アクションは、ニコケイの『NEXT-ネクスト-』を彷彿とさせて良かったんですが、均等な距離感と絶妙なタイミングで全員がピンチに陥るところは、わかりやすすぎて逆に笑えました。んなアホな。

なんだろう、最初はいつも通りヒーローアクション映画として作っていたけど、あまりにもキャスト陣が動けなさすぎるので、半ばヤケクソ気味に「ミステリー・サスペンス映画です!」って言ってるんじゃないかと邪推してしまうような、そういう印象を受けました。

 

なんだかこのままだと「いやお前も悪い意見ばっかやないかい、どこが好きなんじゃい」と思われそうですね…。
好きな点としては、3人の女の子がとにかくかわいかった、という点。

まず、3人がそれぞれ全く異なるキャラクターなのがいいですよね。
引っ込み思案なジュリア・コーンウォール(演:シドニー・スウィーニー)。
ハッキリした性格のマティ・フランクリン(演:セレステ・オコナー)。
クールなアーニャ・コラソン(演:イザベラ・メルセード)。

性格も境遇も全く異なる3人が、運命の糸に導かれるように出会い、いつの間にか仲良くなってダイナーのテーブルの上でキャッキャと踊ってみたり、モーテルでは3人でくっついて寝てたりと、めっちゃくちゃかわいかったです。

 

僕がいつも提言している「女の子がかわいい作品は名作」というジンクスは、本来は「名作に登場する女の子はかわいいことが多い」という意味合いですが、本作においては「女の子がかわいけりゃ内容がどうあれ名作に違いない」ということになります(暴論)。どういうわけかみんな無条件にキャシーを信じちゃうのは、スパイダーセンスのなせる業なのか、ポリコレ的なサムシングなのか。でもそれもかわいいので許しちゃう。

今後もしSSU作品同士のクロスオーバーが実現した際には、マダム・ウェブよりもこの子たちが出張ることになりそうですね。彼女たちの本格的な活躍が楽しみです。まぁ、実現するかは非常に怪しいところですが…。

 

あとは、変に奇をてらいすぎないとことか、SSU作品らしくて個人的には良かったです。2時間弱とSSUにしては上映時間が長めですが、シリーズおなじみのシンプルなつくりなので、難解さはなく、サラッと見れるかと思います。

それから、「スーパーヒーロー作品でミステリー・サスペンス作品をやる」という、新しいことにチャレンジしようという気持ちはとても良いと思います。結果としてミステリーでもサスペンスでもなかったですが、そのマインドは評価したい。

…ってこれ褒めてるのだろうか?

 

おわりに

こんなもんにしときます。
なんかあんまり良い意見を書けなかったな…。好きなのは本当なんです、信じてください。

主演俳優に「二度とアメコミ映画には出演しない」と言わしめるほど本作は大失敗しているようですが、そうした評価を気にせず、あまりハードルを上げ過ぎずに鑑賞すれば、きっと楽しむことが出来ると思います。批評家の意見をあまり真に受けず、面白いか面白くないかは、ぜひ自分の目で確かめて欲しいです。

ということで、映画『マダム・ウェブ』の感想でした。

ではまた。

映画『ボーはおそれている』感想(ネタバレ)

映画『ボーはおそれている』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』で知られるアリ・アスター監督と、数々の名作ホラーを世に送り出してきた映画配給会社A24の3度目のタッグとなるのが、本作『ボーはおそれている』となります。

母の死の連絡を受けた主人公が実家へ帰るまでの道中を、現実と非現実がごっちゃになった独創的な映像で描いた、ホラー?スリラー?コメディ?作品となっています。公式が言っているジャンルは、オデッセイ(帰省)・スリラーというらしいです。

 

もくじ

 

概要

本作は、監督が2011年に発表した短編映画『Beau(原題)』という作品を、長編向けに作り直したものらしいです。以前はYoutubeで見れたようですが、今は見れなくなってるっぽいので僕は未見。機会があれば見てみたい。

 

監督・脚本は、最初に書いた通り、アリ・アスター
2011年から製作していた複数の短編映画が高く評価され、2018年の『ヘレディタリー/継承』で長編映画デビュー。ホラー映画ファンから絶賛されました。さらに、長編監督2作目の『ミッドサマー』は世界中で大ヒットを飛ばし、一躍その名は世界中に知れ渡ることとなりました。そして、本作は長編監督3作目となります。なんかもう既に巨匠っぽい印象ですが、まだ3作目なんですね。

また特筆すべき点として、『オオカミの家』を手掛けたクリストバル・レオンホアキン・コシーニャのコンビが、劇中のアニメーションパートを制作しています。いやー、『オオカミの家』を見て以降、本作が公開されるのを心待ちにしてましたよホント。感想記事に彼らが起用された際のエピソードも軽~く書いているので、併せてお読みいただけると嬉しいです。そしてあわよくば、より多くの人がこの作品に触れてくれることを祈るばかり。

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主演を務めるのは、ホアキン・フェニックス
兄のリヴァー・フェニックスをはじめ、姉や妹も俳優として活動しており、彼も幼少期から子役として活躍していました。その後、兄の早すぎる死やラッパーへの転向などで何度か俳優を引退したものの(ラッパー転向は映画の演出だったようですが)、2011年に復帰。2019年の『ジョーカー』でのアカデミー賞受賞が特に有名ですが、2000年の『グラディエーター』、2013年の『her/世界でひとつの彼女』など、高く評価されている作品は数知れずな名優です。

そのほか、『DUNE/デューン 砂の惑星』などのティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン、『プロデューサーズ』などのネイサン・レイン、『ゴーン・ベイビー・ゴーン』などのエイミー・ライアン、『レ・ミゼラブル』などのパティ・ルポーンといった俳優陣が出演しています。

 

予告編


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あらすじ

臆病な性格のボー・ワッサーマン(演:ホアキン・フェニックス)は、常に何かをおそれています。セラピストであるフリール医師(演:ティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン)のカウンセリングを受けていますが、不安は拭えません。

顔も知らない父の命日を間近に控え、母のモナ・ワッサーマン(演:パティ・ルポーン)の暮らす実家へ帰省する準備を整えていたボー。しかしトラブルに見舞われ、飛行機に乗り遅れてしまいます。謝ろうと家に電話をかけると、なんと母が亡くなったと告げられます。突然の報せに、激しく動揺するボー。一体どうして…?昨日も普通に話していたのに…。

どうにかしてボーは家へ帰ろうとしますが、その道のりは現実か、それとも悪夢なのかわからない、奇妙なもので――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

いやー、マジでわけわからなかったです(笑)

なので、「見た映画の備忘録」という当ブログの用途をフル活用し、劇中で起こった出来事が現実か否か、自分なりの解釈をつらつらと書いていきたいと思います。あくまで僕がこうかなと思っただけであって、正しい解釈とは限りませんので悪しからず。

 

現実(実際に起こったこと)
  • カウンセリングを受けて、薬を処方されている
    カウンセリングを受けていたこと自体はマジだったのではないかと。まぁ結局セラピストがアレだったので、薬もちゃんとしたものなのかヤバいものなのかわかりませんが…(“ジプノチクリル”という薬は実在しないっぽい)

  • 車に轢かれる
    医者夫婦の乗る車に轢かれ、彼らの家で看病を受けるのは本当だったんじゃないかと思います。でも、医者夫婦の家で起こった様々な出来事がどこまでが現実なのかはイマイチ判然としません。

  • 医者が監視している
    轢く前からそうだったのか轢かれて家に連れていかれたのがきっかけだったのかはわかりませんが、医者の旦那が母の差し金だったのは事実でしょうね。

  • 医者の娘の死
    円満に見えて実はかなり歪んでいた医者家族ですが、長男の死を受け入れられないのとか、ボーの登場でその歪みが修復不可能になっていく様とか、この家族のエピソードだけでホラー映画1本作れるんじゃないかってくらい内容盛りだくさんだった気がします。精神崩壊した帰還兵のくだりは、どこまで本当なんでしょうかね。

  • エレインとの出会い
    ボーの初恋の女性、エレインとの出会いのシーンは実際にあった出来事かと思いました。ドラッグをキメてる状態での回想なのでいかにも幻覚っぽいけど…。

  • 森に迷い込む
    迷い込んだこと自体は現実かなと。ただ、そこで起こったことがどこまで現実だったかは…。

  • ヒッチハイクして実家に辿り着く
    ここ、めっちゃあっさりしてましたね。要は「本当はこれくらい簡単に行けるものであり、劇中で起こったあれやこれやはボーの現実逃避や言い訳を映像化したもの」ということかな、と思いました。

  • 母の葬式
    葬式が行われたのは本当なんだと思います。ボーをおびき出す(言葉はアレだけど間違ってはいない)ためだけにこれだけのことをするって、なかなかヤバいですよね。

  • 死の偽装
    「“彼女”の方から志願した」とか、絶対そんなわけないよね…。金の力で丸め込んだのか、それとも何も知らない“彼女”の頭にシャンデリアを落としたのか…。どちらにせよまともじゃねぇ。

 

非現実(ボーの妄想や悪夢)
  • 住んでいる町の治安の悪さ
    意味わかんないくらい治安が悪いので、最初は「崩壊後の世界が舞台なのか?」と思ってしまいましたが、要は「ボーにはこう見えてる」ってことなんでしょう。なので、「音楽の音量を落とせ」という手紙が部屋に差し込まれるのも、水を買いに行った隙にぞろぞろ人が家に入っていくのも、恐らくボーの妄想かと。忘れ物を取りに行ったわずかな時間で家の鍵と荷物が盗まれるのとか、毒グモのくだりとか、風呂入ってたら天井に不審者が貼りついてたのとかは、よくわからん。ボーが轢かれたときに腹を刺され、手もめった刺しにされ…というのは本当かもしれない。

  • 森の中でのあれやこれや
    森をさまよう中でひとりの女性に出会い、奇妙なコミュニティへ案内されるくだり。あれどこまで現実なんですかね。個人的にはまるごとボーの妄想だったような気もしています。ひとつ言えるのは、『オオカミの家』コンビが手掛けるアニメーションパート、やたら尺が長くて見応え抜群でした。そりゃもう、「え、このパートまだ続くん…?」と思ってしまうほど…。監督の愛が伝わってくるようでした。

  • 人間の父
    森の中で出てきた父は、ボーの「こうあって欲しい」という願望が生み出したものでしょうね。医者の家の庭に一瞬映り込んでたり、森でもチラチラ見切れてたり、普通にコエーのよ。

  • アレの父
    天井裏にいたアレ、マジで何だったんでしょうね…。あそこだけリアリティラインがぶっ壊れててちょっと笑えてしまいました。「女性とヤると死ぬ」と言い聞かされてきたボーの恐怖心の具現化、とかなのかな。
    というか、母がボーにそんな意味わからんこと言い聞かせてたのは、ボーが自分以外の女性のものになるのが許せなかったからなのかな、とか思ってみたり。

  • ラストの裁判っぽいヤツ
    「ボーが犯してきた罪を暴かれる」のは本当でしょうが、あんな仰々しいのはそれを追及されるボーの心情を表したものなのでしょう。エンドロールに突入して、「この後何かあるのかな」と思って最後まで目を凝らし続けたら、そのまま終わって「そのまま終わるのかよ!」となりました。

 

おわりに

「母の強すぎる愛を疎ましく思う臆病すぎる男が、母を避けつつ人に迷惑をかけないよう生きてきた結果、知らず知らずのうちに自身が犯してきた罪を母によって暴かれ、精神崩壊する」というのが、本作の真の姿なのかなーと僕は思いました。僕は割とボーに近い境遇と性格なので、こうしていろいろ整理した後はボーにすごく感情移入できます。さすがにあんなに酷くはないですけどね…。

僕が観賞したTOHOシネマズ新宿では、まだ公開から間もないこともあってかほぼ満席でした。ホアキンアリ・アスターのネームバリューのなせる業、ですかね。(僕含め)一体どれだけの人が本作を理解できてるんだろうと思うと同時に、こういうめちゃくちゃ人を選ぶ作品にこれだけ人が入るってすごいことだなぁと。

あまりにも難解過ぎて本国での興行収入は伸び悩んでいるようですが、見る人の心に何かしら残してくれる作品だと思うので、ぜひ多くの人に見ていただきたいです。

ということで、映画『ボーはおそれている』の感想でした。

ではまた。

Vシネクスト『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』感想(ネタバレ)

Vシネクスト『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲイン』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

仮面ライダー555(ファイズ)』は、2003年~2004年にかけてテレビ朝日系列にて放送された、仮面ライダーシリーズの1作。

人類の進化系ともいえるオルフェノク仮面ライダーとの戦いが描かれ、善と悪に明確な線引きをしないシリアスな作風と、人間側、オルフェノク側双方の様々な人物が織りなす群像劇が描かれました。また、これまであまり語られてこなかった「怪人(オルフェノク)側の物語」が本格的に描かれるなど、のちの作品に大きな影響を与えた作品と言えます。

本来のターゲットである児童向けの話で言うと、携帯電話やカメラなどといった、日常生活で使われるガジェットをモチーフにした変身ベルトは非常に好評を博し、当時の歴代最高売り上げを記録する大ヒット商品となりました。

 

TVシリーズ終了後も様々な作品でゲストとして出演していますが、中でも特に印象深いのはやはり、2015年公開の『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』のスピンオフとしてdビデオにて配信された、『dビデオスペシャ仮面ライダー4号』でしょう。

僕は確かyoutubeで期間限定公開されたときに見たのですが、『3号』の後日談でありながら『ファイズ』の後日談ともとれる作りで、しかもそれが非常に納得度の高いものだったので、個人的にめちゃくちゃ好きな作品です。何なら本編である『3号』よりも好きかもしれない。(いや、『3号』も好きですけどね。歴史改変ビーム(笑)とか)
今思えば、あれは「夢の続きの第一歩」だったのかもしれませんね。鑑賞するには少々ハードルの高い作品ですが、TTFCでも見れますし、ファイズファンはぜひ見ていただきたいです。

 

もくじ

 

概要

そんなファイズTVシリーズから20周年を記念して、新作が製作されることとなりました。

それが本作、『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲイン』です。

仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』と同様、現実と同じ時間(20年)が経過した世界を舞台に、TVシリーズの“その後”が描かれています。

 

監督を務めるのは、田崎竜太
平成ライダー第2作目『仮面ライダーアギト』より仮面ライダーシリーズに監督として携わり、その後も数多くの作品に監督として参加。最新作『仮面ライダーガッチャード』でもパイロット監督を務めているなど、大ベテランの監督さんです。

脚本は、井上敏樹
鳥人戦隊ジェットマン』や『超光戦士シャンゼリオン』のメインライターとして知られるほか、『仮面ライダーアギト』『仮面ライダー555』『仮面ライダーキバ』の脚本を(ほぼ)全話執筆し、最近では『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』でその豪腕をふるった、特撮ファンで知らぬ人はいないほどの御大ですね。

 

キャスト陣も、TVシリーズに出演していた方々が多数出演しています。

主演はもちろん、半田健人
ファイズで初主演を務めて以降、今や俳優のほか、バラエティへの出演や歌手としての顔も持つなど、マルチに活躍しています。

ヒロイン役も変わらず、芳賀優里亜
俳優として多くの作品に出演しているほか、特撮作品にも多数出演。『仮面ライダーキバ』でも重要な役を演じています。

そのほか、村上幸平唐橋充藤田玲といった、当時出演していた俳優陣が同役を演じています。それと、ほとんどの平成ライダーで主役ライダーのスーツアクターを務めたレジェンド、高岩成二が一瞬だけ出演しており、ベテラン特オタの笑いを誘ってきます。

更に、福田ルミカ浅川大治柳川るい土師野隆之介松澤可苑といった若手俳優陣や、アニメ『Bang Dream!(バンドリ!)』などに出演している声優の進藤あまねらが、新キャストとして出演しています。

 

予告編


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あらすじ

オルフェノクとの死闘から、20年。

園田真理(演:芳賀優里亜)は、菊池啓太郎の甥である菊池条太郎(演:浅川大治)と、死んだはずの草加雅人(演:村上幸平)と共に、菊池クリーニング店を切り盛りしながら、絶滅寸前のオルフェノクを庇護する活動をしていました。

かつてオルフェノクの巣窟であったスマートブレイン社は政府によって企業再生され、社長の北崎(演:藤田玲)のもと、オルフェノクの殲滅を掲げ日々狩りを行っています。

海堂直哉スネークオルフェノク(演:唐橋充)は、菊池クリーニング店の2号店を勝手にラーメン屋へ改装し、庇護されたオルフェノクたちを従業員として雇っていました。そこへ、胡桃玲菜(演:福田ルミカ)率いる殲滅隊が強襲してきて、戦闘となります。玲菜は新たなライダー、仮面ライダーミューズへと変身し、彼らを追い詰めようとしますが、草加仮面ライダーカイザへと変身し、応戦。

そこへ駆けつける、1台のバイク。
乗っていたのは、数年前から行方不明となっていた、乾巧(演:半田健人)でした。
巧は仮面ライダーネクスファイズへ変身すると、なぜか海堂たちを攻撃し始め――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

夢の続き、見届けさせていただきました。

まず、20年経ってるのにみんな全く容姿が変わらないの、一体どういうことだってばよ…?
特に草加。あなたもう50近いのになぜそんなに若々しいの…?真理ちゃんは変わらぬ可愛さの中に大人の色気を感じさせてなんかもう色々とヤバい(意味深)。たっくんに至っては、20年前と変わらぬイケメンぶりに、更に渋さもプラスされててほんとスゴイ。「年齢は老いではなく、レベルアップだ」という言葉は彼らのためにあるのですね。

啓太郎はなんで出てこないんだろと思ったら、俳優さんが最近芸能界引退されてたんですね…。あとは、木場さんもここにいてくれたら…(涙)

 

内容に関しても、まさに「夢の続き」という感じでした。

みんなで集まってワイワイ、という感じは一切なく、終始シリアスな雰囲気はまさしくファイズ。命が容赦なく散っていくところも、裏切り裏切られなところも、うん、ファイズだ。たっくんが流されるままあっち行ったりこっち行ったりなところも、草加の顔芸も、そうそう、やっぱファイズですわ。

更に、人が細切れになって爆発四散したり、たっくんと真理が遂に行為に至ったりなど、PG12ならではの踏み込んだ演出もあって、オッサンな僕には見応えがありました。オルフェノク同士でそういう行為をして生まれる子供はどうなるんだろう?という点はシンプルに気になる。

 

新キャラは、やっぱり玲菜が一番良かったです。パンフを見ると、監督も彼女のキャラクター描写には力を入れていたようで、「変身を恥ずかしがる」とか、たっくんへの愛憎にも似た感情とか、すごくキャラが立っていて良かったです。ただまぁ、なんで彼女がたっくんに対してそんな一方的に思いを寄せているのかは、もうちょっと掘り下げて欲しかった気もしますけども。

あと、玲菜と終盤では北崎が変身する、仮面ライダーミューズのデザインも良かったですね。色や肩はちょっとガタックを思わせますが、本作だけの登場ではもったいないと思うくらいに良デザインだと思います。AI予測機能や、変身時のフォトンブラッドが血管のように細く不規則に伸びていく演出も、次世代感を出していてナイスでした。

ネクスファイズも、見る前はそれほどでもないかなーと思っていましたが、動いてるとこ見たらやっぱカッコよかったです。アクセルフォームも、顔がちょっとカッコ悪くなるのはアレですが、加速中のフォトンブラッドが虹色に光るところとか、『パラロス』で僕が最も好きなシーンである連続クリスマっぽいことをやってくれたりとか、演出がとにかくカッコよかったです。

ネクストカイザは、正当に進化した感じで良き。真骨彫の写真にあった、ネクストカイザのアクセルフォームらしきものは本作には出てきませんでしたね。TTFCで配信されている『仮面ライダー555殺人事件』の方に出てきたりするのかしら。見てないのでわからん。

 

あとは、真理ちゃんですよね。
本作は「真理の物語」といって差し支えないのではないかと。

正直、僕は真理ちゃんには“人間”でいて欲しかったですが、ワイルドキャットオルフェノクはかわいさとカッコよさと怖さが共存する素晴らしいデザインでしたし、彼女の葛藤や絶望、そこからの決意みたいなものが描かれていたので、あまり不満はないです。

「巧と真理との間にあるのは恋愛感情とは違うのではないか」というところから、2人が行為に至るのに解釈不一致を感じた人も多いかと思います。でも、「死期を引き延ばされ、利用され、助けを求められる人もいない」たっくんと、「人間ではなくなり、多くの命を奪ってしまった。今後もいつ本能に任せて人を襲うかもわからない」真理ちゃんが、それぞれ抱える負の感情を埋め合うようにお互いを求めあうというのは、非常に納得度の高いものだと僕は思いました。

 

草加や北崎がなんで生きてるのかと思ったらアンドロイドでした」というちょっと安直なオチとか、スペックでは遥かに劣るはずの旧型のファイズが、AIの予測を超える動きをしたり、ミューズやネクストカイザを圧倒する戦闘力を発揮したりするのはなぜ?とか(いくらでも脳内補完は出来るけど、劇中でちょっとくらい説明が欲しかった)、思うところもありましたが、おおむね楽しむことが出来ました。

オルフェノクは人種的マイノリティのメタファーであり、本作では現代的に進歩しているどころか前より弾圧・迫害を進めているじゃないか、みたいなポリコレ的な話は、ニチアサ作品ではしなくていいじゃないですか。『キングオージャー』ではある程度うまくやってるとか、そんなこと言わんといてください。

 

おわりに

以上になります。

なんやかんやワーワー言うとりますが、「ファイズの新作が当時と変わらぬクオリティで見れる」というだけで、リアルタイムで楽しんできたファンとしては大満足だったりするのです。もうライダーは卒業して久しい大人の皆さんも、当時を懐かしんで鑑賞してみては。

ということで、Vシネクスト『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲイン』の感想でした。

ではまた。

映画『エクスペンダブルズ ニューブラッド』感想(ネタバレ)

映画『エクスペンダブルズ ニューブラッド』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

どうも、コロナでぶっ倒れていたブラックさんです。
一時は熱が40℃超えまして、マジで死ぬかと思いました。解熱剤飲むと汗が滝のように出てきて一時的に下がるんですが、またしばらくすると上がりだして…の繰り返し。1週間ほど熱が引かず、かなりしんどかったです、ハイ。

ということで、ライダーの映画と同日に見てきたのにまだ書けてなかった感想を、既におぼろげになってしまった記憶を頼りに書いていきたいと思います。

 

もくじ

 

概要

ロッキー』や『ランボー』シリーズなどで知られるシルヴェスター・スタローンが、世界中のアクションスターを集めて「なんかデカいことしてやろうぜ」と始まった夢のプロジェクト。それが『エクスペンダブルズ』です。誰もが一度は見たことがあるであろうアクションスターたちが一堂に会し、その筋肉を躍動させて暴れまわる奇跡のような作品に、全世界の“漢(OTOKO)”たちは狂喜乱舞しました。

そのシリーズ第4作品目であり、約10年ぶりの新作となるのが、本作『エクスペンダブルズ ニューブラッド』です。
相も変わらず悪いことしようとしてるヤツを筋肉全開でぶちのめす、アクション娯楽大作となっています。

 

監督は、スタントマン出身のスコット・ウォー
2012年の『ネイビー・シールズ』や、大人気レースゲームを映画化した『ニード・フォー・スピード』の監督としても知られています。ジャッキー映画『プロジェクトX』最新作の監督もやってるそうです。そんなんあったのね。

脚本は、男の子はみんな大好きガン=カタを生み出した『リベリオン』の監督・脚本を務めたカート・ウィマー、『Black Lotus』以来脚本2作目となるタット・ダガーハート、アクション映画などの脚本に数多く参加しているマックス・アダムスが共同で執筆しています。

 

キャストは、シルヴェスター・スタローンジェンソン・ステイサムドルフ・ラングレンランディ・クートゥアら、おなじみのメンバーが出演。そのほか、ミーガン・フォックスカーティス・“50セント”・ジャクソンジェイコブ・スキピオレヴィ・トランが新メンバーとして参加。また、『マッハ!!!!!!!!』で世界の度肝を抜いたタイのアクションスター、トニー・ジャーが謎めいた人物を演じています。

本作でヴィラン(敵役)を務めるのは、『ザ・レイド』シリーズや『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』などで知られるインドネシアのアクションスター、イコ・ウワイス

さらに、『アンタッチャブル』や『ブラック・レイン』などで知られるレジェンド俳優、アンディ・ガルシアが政府の人間として出演しています。

 

予告編

面白かったのでなんとなくこちら↓を貼っときます。


www.youtube.com

 

あらすじ

消耗品軍団=エクスペンダブルズのもとへ、新たな依頼が舞い込んできました。
CIAエージェントのマーシュ(演:アンディ・ガルシア)より依頼されたその内容は、国際的テロリストのスアルト・ラフマト(演:イコ・ウワイス)が核爆弾を入手しようと企んでおり、それを阻止するというもの。その背後には、CIAらが長年追ってきたオセロットと呼ばれる人物も潜んでいるとのこと。

エクスペンダブルズのリーダー、バーニー・ロス(演:シルヴェスター・スタローン)は、かつてオセロットの尻尾を掴もうとして多くの仲間を失った経験があり、この任務に並々ならぬ思いで挑みます。リー・クリスマス(演:ジェイソン・ステイサム)らの活躍でラフマトをあと一歩のところまで追いつめるも、バーニーの乗る飛行機がミサイルで攻撃され、撃墜。クリスマスは命令を無視してバーニーを助けようとした結果、ラフマトの一味を取り逃がしてしまいます。

リーダーを失った消耗品軍団の行く末は、果たして。
そして、“オセロット”の知られざる正体とは――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

やはり暴力…!!暴力は全てを解決する…!!

これに尽きます。

それ以外は本作には何もありません。いや、それ以外は不要なのです。
IQ5以上の登場人物が一切登場しないという、要するに最高の映画です。

 

敵の目的は核爆弾だの第3次世界大戦だの相変わらず大味極まりないですし、味方は味方で「コンプラがなんだ」と言わんばかりのセクハラ発言オンパレードに、それを一蹴する「ザ・男が考えるいい女」な女性キャラたち。リーダーであるバーニーですら、「お気に入りの指輪を取られた(自業自得)から友達連れて力づくで取り返す」という、イマドキ中学生でもそこまでやらないだろというくらいのバカさ加減。トニー・ジャー演じるデーシャとかいうキャラも、「俺は過去を封印した。もう戦わない」と言ってた数分後には「行くぞ!」とか言ってノリノリで敵をボコボコにしてて笑いました。

“映画”とは、こういうものだと。これこそが、“映画”なのだと。
時代性だのメッセージ性だの、細かいことはいいからとにかくスカッとしたい、という方にピッタリの作品になっています。ミーガン・フォックス演じるジーナとかいうキャラが新生エクスペンダブルズのリーダーに任命されるあたり、「こういうのは今や男だけの特権じゃねぇぞ」って感じで一応コンプラに配慮してる…のかな?

 

本シリーズのキモであるアクションの方も、終始ドッカンドッカン大騒ぎで、やりすぎなくらいにすごいです。船の上で助走距離もそれほど稼げないのにバイクであんなにジャンプできるわけないだろ、というツッコミは野暮ですよ、奥さん。

それでいて、各キャラにしっかりと見せ場を作ってるのが素晴らしい。イコ・ウワイスのシラットや、トニー・ジャームエタイ、レヴィ・トラン演じるラッシュの中国系武術など、世界中の様々な戦闘術が見られたのもナイスでした。ラッシュの九節棍を駆使した戦闘が、個人的に新鮮でとても良かったです。

 

クライマックス、遂にオセロットの正体が判明し、絶体絶命の大ピンチ。そこへ、死んだと思われていたあの男が!という展開も、特に驚きとかはなく。まぁそうなりますよね、といった範疇を超えてはきませんでした。でもまぁ、悪いヤツを盛大にぶっ○せればそれでいいよね。任務が終わった後にみんなで楽しく酒が飲めりゃ、万事OKですよね。そんな感じでした。

あ、死を偽装するために“あの人”を身代わりにした、というオチは、鬼畜過ぎてちょっと引きました。そもそもアンタが賭け指相撲とかいうわけわからんのやるのが悪いんやん。あの人はそのとばっちり受けてただけやん…。まぁ、そういうやりたい放題なところが最高なんですけど。

 

最後に、本作のパンフレットは非常に読みごたえがあって良かったです。情報量もさることながら、全体的にふざけ倒した文体が最高でした。開いていきなり「ぼっち・ざ・えくすぺんだぶる!」って(笑)

 

おわりに

全く内容の無い感想ですが、以上になります。

やっぱり僕はこういう「頭からっぽの方が夢詰め込める」映画が好きだなぁと、再確認させてくれるような作品でした。本作を楽しむコツは、とにかく自身のIQを極限まで下げることです。そうすれば、きっと最高に楽しい鑑賞体験を味わえると思います。

ということで、映画『エクスペンダブルズ ニューブラッド』の感想でした。

ではまた。

映画『仮面ライダー THE WINTER MOVIE ガッチャード&ギーツ 最強ケミー☆ガッチャ大作戦』感想(ネタバレ)

映画『仮面ライダー THE WINTER MOVIE ガッチャード&ギーツ 最強ケミー☆ガッチャ大作戦』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

仮面ライダーギーツ』は、2022~2023年にかけてテレビ朝日系列にて放送されていた、仮面ライダーシリーズの1作。
作品の詳細は夏映画のときに書いた感想をお読みいただければ、ということで割愛します。

blacksun.hateblo.jp

そして、ギーツの後番組として現在放送中の最新作が、『仮面ライダーガッチャード』です。
錬金術をテーマとし、『仮面ライダーフォーゼ』以来の学園ドラマを主軸とした物語が展開されています。熾烈な生き残りゲームを繰り広げたギーツとは対照的ですね。ちなみに僕はフォーゼめちゃくちゃ好きです。

 

そんなギーツとガッチャードがクロスオーバーする、いわゆる“冬映画”と呼ばれるものが、本作となります。今年もまたタイトルが長いのなんの。

去年の冬映画も感想書いてますので、良かったら併せてお読みいただけると嬉しいです。おととしのも見てますが、ブログには書いてません。

blacksun.hateblo.jp

 

もくじ

 

これまでのガッチャード

映画の感想を書いていく前に、少しだけ現時点でのガッチャードに対する感想を書かせていただきます。

…といっても、まだ最新話まで見れてないんですけどね…。エックスレックスが出てきたとこ(14話か15話)までは見ました。

 

で、率直な感想としては、「そつなく面白い」って感じです。
良くも悪くも、これまで培ってきた平成・令和ライダーの典型的なスタイル、といった作りで、今のところそれが良い方向に作用しているのではないかと思います。つまりあれだ、「これでいい、むしろこれがいい」ってヤツです。

主人公、宝太郎くんのキャラクターは、結構好みです。まだ未熟だけど、明るく、何事にも一生懸命で、正義感が強く、芯に強いものを持っている、的な。ゴーストの天空寺タケルくんに似たものを感じます。つまり好きです。
りんねちゃんは可愛すぎてエグいほどに可愛くてエグい。蓮華ちゃんも関西弁可愛いヤバい。よってガッチャードは名作(暴論)。

ライダーに関しては、なんかものすごいペースで新フォームが出てきてますが、サラッと出てすぐ終わるパターンと、ストーリーにしっかり関わってくるパターンがあるの、アレなんなんすかね。イカすフォームたくさんあるのに、ちょっともったいないなぁと思ってしまう。恐らく、オーズの派生フォームとか、フォーゼの手足につくモジュールとかと同じ扱いなんでしょうね。であれば、まさにオーズのコンボのように、「このフォームはほかのとは違いますよ」みたいなのを明確にしてほしかった気もします。フォーム数が増えると話が進むにつれて初期のフォームが全く出てこなくなるので、個人的にはあまりフォーム数増やして欲しくないんだよなぁ、という思い。

あと、ワイルドとかいうよくわからない形態が出てくるのは、101体のケミーすべての組み合わせでフォーム作るのは(スーツの制作費とかの関係で)難しいので、それを回避するための策なのかな、と邪推。

ヴァルバラドさんは、個人的にもう少し「敵か味方かわからない」感じを出して欲しかったように思います。色的に魔進チェイサーっぽいので、立ち位置もそんな感じなんだろうと思ったら、割と普通に味方だったのでちょっと拍子抜けしてしまいました。いや僕が勝手にイメージしてただけなんですけどね。スパナくんはバチボコイケメン。

敵キャラに関しては、ガッチャードにおける怪人、マルガムのデザインが大変面白く、かなり好みです。素体?の腕とは別に取り込んだケミーの力を宿した腕が生えてきて、素体の方が装飾のようになっているのがすごく良い。冥界の三姉妹も、キャラが立っていてとても魅力的です。名称が“地獄の三鬼神”とよく混同してしまうのは玉に瑕。

ストーリーは、シンプルかつ王道、といった印象。
すっかりおなじみとなった、2週で1エピソードが完結する前後編の構成や、主人公が戦いや仲間との交流を通して成長していく流れなど、実家に帰ったような安心感を覚えます。しかし、12話?で仮面ライダードレッドが初登場した際、錆丸先輩が変身する(させられる)のには驚かされました。宝太郎に最も共感し、仲を深めていくであろうタイミングでのあの展開はなかなかに衝撃的でした。思わず泣きそうになりましたよ。いやむしろちょっと泣きました。あのまま鎧武のミッチのようにどんどん闇落ちしていく展開も面白そうではありましたが、でもやっぱすぐに戻ってきてくれて良かった。

 

そんな感じで、おおむね楽しく見させていただいているガッチャード。
ですが、ちょっと懸念している点がありまして。

それは、「ここまでの展開、なんとなく『仮面ライダーゴースト』に似てない?」というもの。というのも、ゴーストも年明けくらいまでは楽しく見ていたんですよ。でもガンマイザーが出てきたあたりから全く話が進まなくなり、そのままいろいろ投げっぱなし状態で完結してしまったように思っていて。その後Vシネマ仮面ライダースペクター』や小説版などで補完されましたが、いやちゃんとTVシリーズでケリつけてくれよ、となるのは当然ですよね。宝太郎くんのキャラがタケルくんにちょっと似てるというのもあって、ガッチャードも同じような末路を辿ってしまうのでは…と要らぬ不安に陥っています。

この不安が杞憂になるよう願っています。

 

本作概要

思ったよりも長くなってしまいましたが、映画について。

特徴としては上述の通り、ガッチャードとギーツが同じ舞台で戦う、クロスオーバー要素。去年は『仮面ライダー龍騎』の登場も話題となりましたが、今年はそういったことはなく、2作品以外からの参戦はありません。

 

監督を務めるのは、山口恭平
魔進戦隊キラメイジャー』のメイン監督のほか、平成ライダー20作目の記念作『仮面ライダー平成ジェネレーションズFOREVER』の監督としても知られています。

脚本を務めるのは、内田裕基
ウルトラマンX』で特撮作品の脚本に初参加。その後は『ウルトラマンオーブ』や、最近だとTTFCで配信されている仮面ライダーのスピンオフ作品の脚本を多く執筆しています。そのほか、TVアニメのシリーズ構成などにも数多く携わっているそうです。

それと、ギーツで全話の脚本を執筆した高橋悠也が、監修として携わっています。

 

キャストは、主演の本島純政をはじめ、松本麗世藤林泰也安倍乙富園力也といったガッチャードのメインキャストが出演。

ギーツ勢からは、簡秀吉佐藤瑠雅星乃夢奈杢代和人らが出演しています。

また、声優の高橋李依と、VTuber白上フブキがゲストキャラクターの声を演じています。

 

予告編


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あらすじ

ケミー回収のために活動している、錬金アカデミー。
一ノ瀬宝太郎仮面ライダーガッチャード(演:本島純政)たちは、ケミーの情報を受けとある廃墟へ足を踏み入れます。お目当てのケミーは難なく回収できたものの、謎の怪人集団=ジャマトからの襲撃を受けます。

そこへ現れたのは、浮世英寿仮面ライダーギーツ(演:簡秀吉)ら、デザイアグランプリに参加していた仮面ライダーたち。どうにかジャマトを退治したのもつかの間、レベルナンバー10のケミー、クロスウィザード(声:高橋李依)によって、宝太郎と英寿を除いたライダーたちは、ケミーの姿に変えられてしまいます。

クロスウィザードは、レベルナンバー10のケミー5体を捕まえる“最強ケミー捕獲ゲーム”をクリアすれば、ライダーたちを元の姿に戻すと持ち掛けてきます。しかしそこには、とある人物の思惑が隠されているのでした――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

素直に、とても面白かったです。

去年はリバイス編、ギーツ編といった感じで分かれていましたが、今年は完全にひとつの物語でした。ガッチャードの物語にギーツ勢が入ってくるような作風になっていて、割とよくまとまっていたのではないかと思います。英寿以外のギーツライダーたちは、時間の都合か若干キャラ造形で割を食っているようにも思いましたが、まぁ些細なもんです。テンション高いアホなスパナくんには爆笑しました。

ゲストらしいゲストがいなかったのも、ストーリーをまとめるのに一役買っているように思えて、お子さんはどう思うかわかりませんがオッサンの僕としてはとても好感が持てました。クロスウィザードをはじめとしたレベル10ケミーは、TVで既にUFOやレックスが出ているのでそこまで特別感は無いですし、ギーツケミーは物語にあまり深く関わってこないですしね。ラスボスの正体も、「あ、TVシリーズとそんな密接に関わらせてくるんだ」と驚きました。

 

レベル10ケミーの面々が過去のライダーをモチーフにしているであろうところも、往年のライダーファンには嬉しいところ。

クロスウィザードはわかりやすく『仮面ライダーウィザード』ですし、ビートルクスはまんま『仮面ライダーカブト』、ゼグドラシルは『仮面ライダー鎧武』に登場したユグドラシル・コーポレーションから来ているのは明白。リクシオンは『仮面ライダーオーズ』のラトラーターコンボ?もしくはビーストかブレイズ辺り?エクシードファイターは機首辺りが『仮面ライダー電王』のデンライナーに似ていたように思いますが、違うかもしれん。テンフォートレスは…『仮面ライダーキバ』のキャッスルドランとか?ここは自信無いや。

とにかく、昔の作品を匂わせる絶妙なデザインやネーミングがとても良いと思いました。そもそもホッパー1が仮面ライダー1号モチーフですし、特オタが過去作の要素を入れるのが好きなのをよくわかってらっしゃる…。

 

僕がギーツ大好きなので色眼鏡で見ているところはあると思いますが、本作でもギーツ勢のアクションがすごく良かったです。無駄がなくどこか余裕のあるギーツ、一生懸命なタイクーン、愛嬌のあるナーゴ、荒々しいバッファ、といった感じで、アクションひとつとってもキャラの個性がしっかり出ているのが素晴らしい。この辺はライダーが多人数登場する作品の強みなのかなと。しっかし、秀吉くんは相変わらず顔の造詣が良すぎるし、夢奈ちゃんはあまりにも可愛すぎるよね。

ガッチャード勢で特筆すべきはやはり、TVシリーズに先駆けて登場した史上初の女性2号ライダー、仮面ライダーマジェードですよね。某可能性の獣を彷彿とさせる、ユニコーンをモチーフとした一本角と白を基調としたカラーリング。魔法を無効化するというチート級の強さに、美しい流麗なアクション。変身時のりんねちゃんの決意のこもったセリフも相まって、ガッツリと爪痕を残してくれました。惜しむらくは、出番がめっちゃ少ないというところ。まぁ、それは今後のTVシリーズに期待ですね。

クライマックスに登場した限定フォームのスターガッチャードも、なかなかカッコよかったです。というか、ガッチャードは全体的に派手なデザインなのがいいですよね。この辺もギーツと上手いこと差別化されてるなーと。「レベルナンバー10のケミーを多重錬成だと!?」みたいなセリフが、すごくオタク心をくすぐられて良かったです。

 

おわりに

そんな感じで、個人的になかなか満足度の高い作品でした。

ギーツやガッチャードを視聴している人はもちろん、最近の仮面ライダーってどんな感じなんだろ、と思っている方にもオススメです。

ということで、映画『仮面ライダー THE WINTER MOVIE ガッチャード&ギーツ 最強ケミー☆ガッチャ大作戦』の感想でした。

ではまた。

映画『ウィッシュ』感想(ネタバレ)

映画『ウィッシュ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

何世代にもわたって世界中の人々に夢と希望を与え続ける、ウォルト・ディズニー・カンパニー

2023年に創立100周年を迎え、記念作として製作されたのが、本作『ウィッシュ』になります。

人々の“願い”を守るために立ち上がる少女の奮闘を描いた、ファンタジー・ミュージカル・アニメーション作品となっています。

 

もくじ

 

概要

監督を務めるのは、『ターザン』や『アナと雪の女王』などの監督としても知られるクリス・バックと、『ズートピア』『モアナと伝説の海』『ラーヤと龍の王国』などのストーリーを担当したファウン・ヴィーラスンソーン

脚本は、『シュガー・ラッシュ』の脚本や『ミラベルと魔法だらけの家』の製作総指揮を務めたジェニファー・リー

製作に『プリンセスと魔法のキス』などのピーター・デル・ヴェッコや、『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』などのフアン・パブロ・レイジェスといった、ディズニー作品を数多く手掛けてきた面々がスタッフ陣を務めています。

 

今回僕は吹替版で鑑賞したので、キャストはそちらを紹介します。

主人公の声を演じるのは、乃木坂46の元メンバーとして知られる生田絵梨花

ヴィラン(敵役)の声は、歌手・俳優として活躍する福山雅治

その他、レジェンド声優の山寺宏一、元宝塚トップスターの檀れい、大御所俳優の鹿賀丈史などが主要キャストを演じています。

また、これまでのディズニー作品に出演した俳優陣や、ディズニーファンの芸能人などが多数カメオ出演しているようです。あまりの豪華っぷりに、ちょっと調べたらぶったまげました。さすがは100周年記念作。

 

『ワンス・アポン・ア・スタジオ -100年の思い出-』

『ウィッシュ』上映前に、短編作品『ワンス・アポン・ア・スタジオ -100年の思い出-』が上映されました。
これは、ウォルト・ディズニー・カンパニー創立100周年の記念として製作された作品で、2023年6月のアヌシー国際アニメーション映画祭のオープニングセレモニーで上映されたものだそうです。ちなみにDisney+でも鑑賞できます。

ストーリーとしては、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオにて、スタッフが誰もいなくなった隙にポスターなどから飛び出したミッキーたちディズニーキャラクターが、100周年のお祝いにみんなで記念写真を撮ろうとする、というもの。

あんなキャラ、こんなキャラ、非常に多くのキャラがほぼオリジナルキャストで出演しており、密度感がとんでもないことになっておりました。ディズニー作品に携わった人、ディズニー作品を楽しんできた人への感謝の気持ちが伝わってくるような、愛情がたっぷりこもった作品だったと思います。

これだけでも十分映画1本分の金取れるだろ、というくらいに満足度の高い作品でした。

 

予告編


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あらすじ

地中海に浮かぶ島国、ロサス王国
魔術師のマグニフィコ王(声:福山雅治)が治めるこの国は、「なんでも願いが叶う国」として知られていました。18歳になったとき、自身の最も大切な“願い”を捧げることで、どんな願いでも叶うと言われています。

この国で暮らすアーシャ(声:生田絵梨花)は、ロサスが大好きな17歳の女の子。明るく元気いっぱいな彼女は、今日もツアーガイドとして観光客をもてなしています。

ある日、アーシャはマグニフィコ王の弟子となるための面接を受けることに。
しかしそこで、彼女は王の真の思惑を知ってしまいます。王が叶える願いは、国のためになると彼が独断で判断したものだけ。それ以外の願いは、永遠に叶えられないまま、その人はその生涯を終えるのです。そんなのはおかしい、叶えられないのなら、その願いは持ち主に返すべきだと言うも、王は聞く耳を持ちません。

国の真の姿を目の当たりにしたアーシャは落ち込みます。
その夜、亡き父の言葉を思い出し、星に願いをかける彼女のもとへ、空から一筋の光が下りてきます。それは、魔法の力を持つ“願い星”、スターでした。

スターに励まされたアーシャは、みんなの“願い”を守るために立ち上がることを決意する――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

記念作にふさわしい、素晴らしい作品でした。

個人的にとても良いと思ったのが、スターとマグニフィコ王以外の、アーシャをはじめとするキャラクターが「何も特別な力を持っていない」、という点。また、そんなアーシャたちが、「戦う」のではなく「願いを取り戻す」ために行動する、というのがまた良いなぁと。彼女たちの武器は、「心の強さ」ただひとつ。でもそれが最終的に、邪悪な力に支配された王の魔法をも打ち砕く。夢、希望、思い、それらの大事さを教えてくれる、非常に優れた作品になっていると思いました。

本作でヴィランとなるマグニフィコ王も、そこまで悪い人じゃないのが何とも良かったです。元々は本当に国民のためを思って“願い”を預かっていたように思いますが、だんだんと「自分の国」を守る方に固執していき、それを脅かす存在=スターが現れたことで遂には禁断の力に手を伸ばし、闇の魔力に呑み込まれてしまう…という感じでした。とても魅力的なヴィランだったと思います。

 

アニメーションのクオリティは、言わずもがな。各キャラの動きや表情などが本当に存在するかのように活き活きとしているのは、本当にすごいとしか言いようがありません。さらに本作では、近年のディズニー作品のような立体的なCGよりも、若干質感をセルルックに寄せているように思いました。手抜きでそうしているのではなく、むしろ逆ですからね。CGで作成した映像を、わざわざアニメっぽくしてるんですからね。僕はどちらかというと、本作のような質感の方が好みです。

ミュージカルシーンも、歌手やミュージカルで活躍している人を起用しているだけあって、とても良かったです。特に主演の生田絵梨花さんは、演技力、歌唱力共に申し分ないクオリティでした。アーシャの友達のひとりにやたら歌上手い人いるな…まさかCrystal Kayか?と思いましたが、歌手としても活躍されている青野沙穂さんという方でした。ニワカでごめんなさい。
福山雅治は完全に福山雅治でしたが、それもまた味があって良き。キャラにも合ってました。

歌自体もとても良かったです。特に、予告編などでも流れる『ウィッシュ~この願い~』は、初めは願掛けのような意味合いで歌っていたように思いましたが、クライマックスでは大きな決意の表れとしてみんなで合唱していたのが、なんだかすごくグッときて泣きそうになりました。

 

おわりに

短いかつ中途半端な感じですが、こんなもんにしときます。

映画館で見るディズニー映画は『塔の上のラプンツェル』以来だったと思いますが、隣の席の子供が終始ポップコーンをワッシャワシャ音を立てながら食べていたのも含め、色んな意味でとても良い鑑賞体験でした。ギリギリレイトショーじゃないくらいの割と遅い時間の上映会だったんだけどな…やっぱ都会ど真ん中の映画館は僕のような陰キャには合わないな…。むさいオッサンの筋肉が躍動する作品ばかりでなく、こうした作品も見て心のバランスを取っていかなきゃですね。

ということで、映画『ウィッシュ』の感想でした。

ではまた。

明けていた2024

明けましておめでとうございます!
気づいたら2024年になっておりました。早いものです。

新年早々大きな地震が発生したり、飛行機事故が発生したりと、波乱の幕開けとなりましたね。東日本大震災で家族がモロに被災した身としては、警報が発出されている間、気が気でない思いでした。1日も早い復興を願うばかりです。

 

もくじ

 

去年の振り返り

いやはやしかし、本当に時が経つのが早すぎる。去年のヤツ書いたのがついこないだのような気がしています。

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いつだったか、誰かがTVで「10歳にとっての1年は10分の1、30歳にとっての1年は30分の1。そりゃ短く感じるよね」みたいなことを言っていたのを何となく覚えているんですが、それを近年、ひしひしと実感しております。あと体力の衰えもひしひしと…。

まぁでも、こうしてブログを書いていられる程度には恵まれた生活を送れているのでね、今後もこの生活を続けられるよう、どーにかこーにか生きていければと思っております。

 

2023年は、1年間で39本の感想を書くことができました。月3本強の計算。2022年が1年で36本だったので、ほとんど同じくらいですね。我ながら非常にいいペースだと思います。

それから、昨年で当ブログの累計アクセス数が1万を突破しました。
2年半でこの数字は全く大したことないものと思いますが、誰とも交流を深めるでもなく、アクセスを増やす努力を何もしていない、こんな辺鄙なブログにコレだけのアクセスがあるって、なかなかどうして、なかなかだと思うのです。

ただ、去年の後半はプライベートで少々変化があり、ブログを書いている余裕がなかなか取れなかったりしました。『ドミノ』『ナポレオン』『ウィッシュ』は、鑑賞しているんですがまだ感想を書けていない状況。『ウィッシュ』は途中まで書いているのでこの後アップする予定ですが、前2作はたぶん書かないかな…。
供養のためにもここにひとことずつ書いとくと、『ドミノ』は「そうなることはわかっていた」「それも想定通りだ」みたいなのが多くて、イマイチ乗れなかったです。『ナポレオン』は、ナポレオンという“人間”を描いているのが良かったし、壮大な合戦シーンは映画館で見る価値あったと思いました。

今年もプライベートで変化がありそう、というかそれに向けて既に動いている状況なので、更にペースが落ちるかもしれません。自己満足でやっているだけのブログなので誰も困ることはないとは思いますが、万が一、億が一楽しみにしている方がいらっしゃったらごめんなさい。

あ、ちなみに結婚とかでは断じてないです。悲しいことこの上ないですが、そういった気配は微塵もございません。

 

2023年に見て良かった映画5選

昨年に引き続き、今回もやらせていただきます。
僕は映画を見て「とってもおもしろかったです」以外の感想を書けない人間なので、多くのブロガー様がやられているような、ランク付けとかはできません。なので、これから書くものはあくまで僕個人が「見て良かった!」と思ったものをなんとなくで挙げているだけですし、順番も公開日順に並べているだけです。一切参考にはならないかと思いますので、どうぞご了承ください。

 

BLUE GIANT

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元々原作が大好きだったので、映像化されるのをずっと楽しみにしていたんですが、これほどのクオリティでお出ししていただき本当にありがとうございます、という感じ。もちろん、速攻でサントラ買いました。最近ブログを書くときとか、集中したいときにはよくジャズを聴いているのですが、そのきっかけになったのは紛れもなく本作の影響が色濃いかと思います。

 

ダンジョンズ&ドラゴンズアウトローたちの誇り』

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感想の中でも書いていますが、見逃さずに見に行って良かったという観点では、2023年ナンバーワンと言っても過言ではないかもしれない作品です。とにかくあらゆる要素が僕好みで、最高極まりない作品でした。「期待値低めで見たら、実は自分の好みどストライクだった作品」って、いいよね…。僕にとって本作はまさにそれでした。

 

『怪物』

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2023年に見た映画で、最も泣いた作品です。
時代性、メッセージ性、どれをとっても非常に完成度の高い作品だったかと思います。本作のような心の動きの機微を描いた作品って、僕が日本人だからってのもあるのでしょうが、邦画の方が沁みるような気がします。

 

『SAND LAND』

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コレをこのまま埋もれさせるのは非常に惜しい、ということで挙げさせていただきます。
もしかするとジジイと戦車がメインということで客足が遠のいたのかもしれませんが、少年漫画の王道を行くストーリーや魅力的なキャラたちを、ところによっては原作以上に見事に映像化していて、めちゃくちゃ面白かったです。

 

『屋根裏のラジャー』

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コレも「期待値低めで見たら思った以上に面白かった作品」であり、「コレをこのまま埋もれさせるには惜しい作品」です。
『ウィッシュ』や『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』、劇場版『SPY×FAMILY』といった作品と競合してしまったのか、なかなか客足が伸びていない様子ですが、面白さでは全然負けていないと思います。本作を見て、みんなもポノックを応援しよう!

 

おわりに

以上です。

ほかにも、『イコライザー THE FINAL』の感想をアップした際は初めて1日で200アクセスを超えたり(理由は未だ謎)、『TRIGUN STAMPEDE』では初めてTVアニメの感想を書いてみたりと(るろ剣の感想も書きかけなので早く書かなきゃ)、個人的に印象的な作品はいくつもありますが、5つに絞ると上記のようになりました。

今年も早々に『エクスペンダブルズ』や『アクアマン』の続編が公開されますし、ほかにも見たい作品が目白押しなので、同じくらいのペースで感想上げれたらいいなぁ。書き方についてはだいぶ固まってきたと思うので、今後は目に留めてくれた方が少しでも読みやすい、わかりやすいと思えるような文章力を付けていければと思っております。って毎年言ってる気がしますが…。

今年は辰年ということで龍星王。

ということで、今年もどうぞよろしくお願いします!

ではまた。

映画『屋根裏のラジャー』感想(ネタバレ)

映画『屋根裏のラジャー』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2023/12/25 追記:指摘をいただいたところを修正しました。

スタジオジブリでプロデューサーをしていた西村義明氏が、ジブリの制作部門解散に伴って新たに設立したアニメ制作会社、スタジオポノック

そのスタジオポノックの長編アニメーション最新作が、本作『屋根裏のラジャー』です。

イギリスの児童文学『僕が消えないうちに(原題:The Imaginary)』を原作とし、少女の想像によって生み出されたイマジナリーフレンドが、現実と想像の世界を守るために冒険を繰り広げる、ファンタジー作品となっています。ポノックの長編作品としては、第1作目『メアリと魔女の花』以来、6年ぶりなんだとか。

 

もくじ

 

概要

監督は、数多くのジブリ作品で原画を務めていた、百瀬義行
ポノック作品『ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-』や、人気ゲームを映画化した『二ノ国』の監督としても知られています。

企画・脚本・プロデュースは、ポノック代表取締役の西村氏が務めています。

 

キャストは、豪華俳優陣。

主人公であるイマジナリの少年の声優を務めるのは、いつの間にかすっかり大きくなって声変わりした寺田心くん。

主人公を想像し創造した少女の声を、こちらも子役時代からすっかり大人になった鈴木梨央

主人公の母親の声を、『怪物』など数々の作品に出演している実力派俳優、安藤サクラ

イマジナリの町で主人公の助けになってくれる少女の声を、今や若者にも絶大な支持を得ている俳優、仲里依紗

そのほか、山田孝之杉咲花イッセー尾形高畑淳子寺尾聰といった、豪華な俳優陣が声優を務めています。

 

予告編


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あらすじ

とある小さな町で暮らすアマンダ(声:鈴木梨央)は、親友のラジャー(声:寺田心)といつも一緒。しかし、ラジャーの姿は他の人には見えていません。彼はアマンダが想像上で生み出した、“イマジナリ”なのでした。2人は“屋根裏の誓い”を掲げ、今日も想像の世界へと大冒険へ繰り出します。

「消えないこと。守ること。ぜったいに泣かないこと。」

ある日、アマンダのもとへ、ミスター・バンディング(声:イッセー尾形)と名乗る男が現れます。不穏な気配を感じ逃げ出したアマンダは事故に遭い、意識不明に。ひとりぼっちになってしまったラジャーは、“イマジナリの町”と呼ばれる場所へ辿り着きます。

他のイマジナリたちと暮らすうち、ラジャーは“屋根裏の誓い”の真実を知ります。そして、大切な人たちを守るため、ラジャーは最期の冒険へと旅立つのでした――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

正直に言いますと、僕はあまり本作に期待していませんでした。
予告編を見た感じ、やはり脱ジブリは出来ていなさそうだなと思いましたし、イマジナリーフレンドはある意味心の病(※に繋がりかねないもの)であり、そうした重いテーマを綺麗事にするのはどうなんだ、という思いがありまして。でもまぁ、がんばってたくさん宣伝してるし、色んな意味で気になってはいたので、鑑賞した次第。

※追記:イマジナリーフレンドそれ自体は心の病とは違うとのご指摘をいただきました。理解が足りぬまま好き勝手書いて申し訳ありません…。

結果としては、思いのほか感動してしまいました。いい意味で予想を裏切られた感。

 

率直に言うと、ジブリ、というか宮崎駿作品のような作家性の強さはなく、「大衆向けのジブリのよう何か」といった感じの作品でした。…ってこの言い方じゃどう考えても良くない捉え方しか出来ない気がしますが、決して悪く言っているわけではないです。全体を通してそこまで強いパンチを感じなかったのは事実ですが、後述する本作最大の感動シーンは本当に良かったと思いますし、老若男女が楽しめる娯楽作に仕上がっていると感じました。

 

まず本作では、フランスの制作会社が開発した最新のデジタル技術を用いて、アニメーションに実写さながらのライティングを施し、リアリティのある映像表現にチャレンジしているそうです。それがどれほど功を奏しているかは僕にはわかりませんでしたが、陰影の雰囲気が独特で、手間暇をかけたイラストがそのまま動いているような印象を受けました。この辺の表現はジブリには無かったやり方かと思います。

やはりというかなんというか、アニメーションの質は世界最高峰だと思います。ジブリ譲りの手書きにこだわったキャラクターは、作画の崩れが一切ないのはもちろん、どこか温かみがあって活き活きとしていて大好きです。

あとなんといっても、想像の世界の大冒険は大変見応えがありました。段ボールの箱がウニョーンとソリに変わったり、屋根裏部屋からシームレスに雪山に移動したり、アニメでしかできない映像表現は、鳥肌が立つ程に良かったです。

 

ストーリーに関しては、僕の足りない頭ではなんとも言葉にしにくいですが、思っていたよりもずっと良かったと思います。特に、ラジャーが生まれたきっかけとなる、“屋根裏の誓い”の真実が明らかになる場面はヤバかった。色んな気持ちをグッと堪えて気丈にふるまっていたリジーが、屋根裏部屋のクローゼットにしまわれていた傘から、アマンダが心に負った深い傷と決意を知るあのシーン。リジーと同じように僕も「あぁっ…」となったし、彼女と同じように僕の涙腺も決壊しました。あの場面を追体験できる、その一点だけで本作を見る価値は十分にあります。

欲を言えば、アマンダをはじめとした、イマジナリーフレンドを生み出すに至った人たちの苦悩とか、そうした人たちへの心のケアとかを描いてくれてたらより僕好みだった気もしますが、重くなりすぎちゃいそうですしね。なるべく否定的にならず、明るい雰囲気を保ち続けてくれたのは英断だと思います。イマジナリはトラウマの象徴ではなく、その人に寄り添い、心を強くしてくれる存在。そして、前に進むために背中を押してくれる存在。この描き方はとても素晴らしいと思いました。

 

最後は、なんとなくお別れ的な空気出してましたが、ラジャーはイマジナリの町へ帰ったんですかね?冷蔵庫くんもあれっきりでリジーとお別れしちゃうんですかね?いつもそばにはいなくとも、何かあれば助けになってくれる、ということなのかな。まぁ、どう捉えてもよい、ということなのでしょう。「不可能なことなんてない」のですから。


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おわりに

短いですが、以上になります。

今後もポノックを応援していこう、と思えるほどには良い作品だったと思います。年末年始の過ごし方の選択肢のひとつに、本作の鑑賞を入れてみては。

ということで、映画『屋根裏のラジャー』の感想でした。

ではまた。