GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『デッドプール&ウルヴァリン』感想(ネタバレ)

映画『デッドプールウルヴァリン』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

本作は、マーベルコミックに登場するヒーローのひとり、デッドプールを主人公とした作品であり、2016年公開の『デッドプール』、2018年の『デッドプール2』に続く第3作目となります。

満を持してMCU入りしたデッドプールが、超有名ヒーローであるウルヴァリンとコンビを組み、マルチバースの垣根も第4の壁も越えて大暴れする、アクション超大作となっています。

 

もくじ

 

デッドプールとは

デップーことデッドプールのコミックでの初登場は、1991年と割と新しめ。

末期癌に侵された体を治療するためにとある実験へ参加し、そこでウルヴァリンから抽出したヒーリングファクターを注射されたことで、超回復能力を獲得した、という経緯を持っています。その不死身の体で数々の戦争を経験し、培われた刀を使用した剣術、銃を用いた射撃術が、彼の基本的な戦闘スタイルとなっています。また、コミックを読んでいる読者に話しかけてくる、編集者にクレームを入れるなど、いわゆる“第四の壁”を越えてくるのも、彼の大きな特徴です。

様々な作品にゲスト出演しており、多数のヒーロー、ヴィランと面識があります。精神面に問題はあるものの、破天荒なキャラクターを活かしたコメディ担当や、善にも悪にも転ぶトリックスターとして、アメリカ国内だけでなく日本でも高い人気を誇っています。

 

ウルヴァリンとは

ウルヴァリンの初登場は、1974年刊行のコミックから。

ミュータントと呼ばれる超人的な能力を持った人間のひとりであり、ミュータントで構成されたスーパーヒーローチーム、X-MENのメンバーです。X-MENの実写映画はこれまで数多く公開されていますし、ウルヴァリン単体の映画も複数公開されているほどの大人気キャラクターですので、ご存じの方も多いかと思います。

彼のミュータントとしての能力は、普通の人間であれば即死レベルの大怪我でもたちまち治ってしまうほどの、ヒーリングファクターと呼ばれる超回復能力。これにより、不老不死とまではいかないまでもかなり老化が遅く、筋力も強化されているんだとか。また、彼の骨格は世界最硬の金属であるアダマンチウム合金で構成されており、ほぼ破壊不可能。金属の重量によってパンチ力やキック力はさらに強化されているほか、腕に埋め込まれたアダマンチウムの爪を拳から出し、あらゆるものを切り裂くことが出来ます。近接戦闘においてはX-MEN内でも右に出る者はいないほど、高い戦闘能力を持ったキャラクターです。

 

これまでのおさらい

あまり参考にならないかもしれませんが、今回もこれまでの作品を簡単におさらいしていこうと思います。

  • ウルヴァリン:X-MEN ZERO』2009年
    この作品で、デッドプールが実写映画へ初登場。といっても、複数のミュータント能力を人工的に移植された、命令だけを聞く自我の無い戦闘マシーンという、名前を借りただけの全くの別キャラクターです。映画のラスボスとして、ウルヴァリンと激闘を繰り広げました。正直、本シリーズとはあまり関係ないですが、セルフパロディとして劇中でもたびたびイジっているので、一応紹介させていただいた次第。

  • デッドプール』2016年
    上記のウルヴァリン単体作でデップーを演じたライアン・レイノルズは以前からデップー主役の映画を作りたがっていましたが、製作側はなかなかGOを出さなかったそうです。そこでレイノルズは、勝手に作った映像を勝手にネットに流し、それを見たファンが製作を熱望。やらざるを得ない状況を意図的に作り出したことで、ようやく製作側が重い腰を上げた…という経緯を持つ作品(※僕の脚色込みなので、事実とは異なるところがあるかもしれません)
    デップーのビジュアル、キャラクターは原作に忠実なものとなり、ファンにも好意的に受け入れられ、シリーズ化されることとなりました。

  • デッドプール2』2018年
    荒廃した未来を変えるため、タイムマシンでやってきた謎の男、ケーブル。彼は未来で妻子を殺害した、将来スーパーヴィランとなる少年を殺そうとしますが、デップーはそれを止めようとして対立、というのがメインの流れ。
    最後はタイムマシンを使って亡くなった恋人や友人を救ったり、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のデップーを無かったことにしたり、大ゴケした映画『グリーン・ランタン』への主演を無かったことにしたりと、やりたい放題でした。ちなみに僕は『グリーン・ランタン』の映画、結構好きです。

 

本作概要

そんなこんなで、本作。
これまでとはだいぶ置かれている状況が変わり、それが作品にも大いに反映されています。

一番大きいのが、製作スタジオの変更。
前作までは、『X-MEN』シリーズや『ファンタスティック・フォー』シリーズなど、多くのアメコミ系ヒーロー映画を手掛けてきた20世紀FOX映画のもとで製作されてきました。しかし2019年、当スタジオはウォルト・ディズニー・スタジオに買収され、それに伴い、本作からはディズニー傘下のマーベル・スタジオ主導で製作されています。天下の20世紀FOXも時代の奔流には逆らえずか。時の流れとは無常ですね…。まぁ、そのおかげでデップーもMCU入り出来たわけですし、悪いことばかりじゃないんですけども。

 

監督を務めるのは、ショーン・レヴィ
大ヒット映画『ナイトミュージアム』シリーズやTVドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の製作・監督としても知られ、レイノルズとのコンビは『フリー・ガイ』『アダム&アダム』に続き3作目となります。

『フリー・ガイ』は僕も大好きな作品で感想も書いていますので、併せてお読みいただけますと幸いです。

blacksun.hateblo.jp

脚本は、レイノルズ、レット・リースポール・ワーニックといった前2作も手掛けたメンバーのほか、スパイダーマンなどのコミックを描いているゼブ・ウェルスや、レヴィ監督も脚本協力している模様。

 

主演を務めるのはご存じ、ライアン・レイノルズ
数多くのコメディ作品、アクション作品への出演のほか、ハリウッド版『名探偵ピカチュウ』では、ピカチュウの声と表情のモーションキャプチャーを務め、色んな意味で話題となりました。

もうひとりの主演もご存じ、ヒュー・ジャックマン
ウルヴァリン役で一躍スターダムへ駆けあがり、『レ・ミゼラブル』や『グレイテスト・ショーマン』への出演でミュージカル俳優としての地位も確立。2017年の『LOGAN/ローガン』でウルヴァリン役を引退すると発表していましたが、本作で電撃復帰となりました。

そのほか、『プライドと偏見』のマシュー・マクファディンNetflixのドラマ『ザ・クラウン』でダイアナ妃を演じたエマ・コリンらが出演。ほかにもあんな人やこんな人、驚きのキャストが多数出演していますが、それはのちほど。

 

ちなみに本作はR15+指定となっており、そこそこゴア表現がありますので、苦手な人はご注意ください。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

無責任ヒーローとしてやりたい放題やってきた、ウェイド・ウィルソンデッドプール(演:ライアン・レイノルズ)。
そんな彼も今、人生の岐路に立たされていました。

婚約者だったヴァネッサ・カーライル(演:モリーナ・バッカリン)とは心の距離が離れてしまい、破局アベンジャーズ入りを熱望し、ハロルド・“ハッピー”・ホーガン(演:ジョン・ファヴロー)の面接を受けるも、「自分の身の丈に合う仕事をしろ」と一蹴。ウェイドはヒーローを引退し、中古車セールスマンとして働くことに。それでも、かけがえのない友人たちが自分のそばにいてくれる。そんなささやかで幸せな生活を送っていました。

そこへ突然、時間変異取締局(Time Variance Authority=TVA)を名乗る者たちが現れ、ウェイドは連行されてしまいます。タイムマシンで好き勝手やった件か…と思いきや、そうではない様子。TVAエージェント、ミスター・パラドックス(演:マシュー・マクファディン)曰く、ウェイドたちのいる時間軸にて、世界を構成するために最も重要な存在=アンカーが死亡したため、時間軸の消滅が迫っている、とのこと。ウェイドたちの世界におけるアンカーはもちろんウェイド…ではなく、『LOGAN/ローガン』にて壮絶な最期を遂げた、ローガンウルヴァリン(演:ヒュー・ジャックマン)でした。

今の生活を失くしたくないウェイドは、別次元(マルチバース)からローガンを連れてきてアンカーとして据えれば、世界の消滅を防げるのでは、と思いつきますが――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

前に書いた『劇場版モノノ怪 唐傘』と同じ日に見たので、鑑賞から1か月以上経ってしまいました。X(旧Twitter)の感想投稿キャンペーンも終わってしまったようで。遅くなった理由は特になく、単にサボっていただけです。感想書きたい作品が溜まってきてしまっているので、とにかく何でもいいから形にしておこうと思い、記憶を頼りに書いてます。うろ覚えのところもありますが、どうかご容赦ください。

キャラ紹介やおさらいで結構文字数稼げたので、感想はさらっと済ませたいと思います(笑)

 

どうやら本作はかなりヒットしているようですが、僕の率直な感想としては、
なんでそんなにヒットしてるんだろう…?
といった感じ。

いやコレ悪い意味ではなく、僕は超楽しかったです。(強調)
ただ、決して万人受けする内容ではないというか、本作を最大限楽しむためにはそれ相応の知識というか、時を共にした“歴史”みたいなものが必要だと思いまして。

 

というのも、本作は「20世紀FOX映画への追悼(イジリともいう)」の意味合いが強く、過去20世紀FOXが製作してきた映画のキャストが多数登場します。なので、それらの作品を鑑賞してきた人は「うぉぉクリエヴァ!…ってそっちかよ!」とか、「パイロセイバートゥース、同じ俳優だよね!?」とか、「スナイプスのブレイドがまた見れるなんて!(ブレイドだけは唯一20世紀FOXの作品ではないらしい)」とか、「エレクトラ相変わらずカッコよすぎ!」とか、「ローラ、おっきくなったね…(泣)」とかとか、大興奮間違いなしなわけです。

さらによりディープな人たちは、「原作準拠の小っちゃいローガン、露悪的過ぎてめっちゃウケる」とか、「ヘンリー・カヴィルwww(役名がカヴィルリンと知って大爆笑した)」とか、「チャニングのガンビットの“もともと存在すらしてなかったのかもしれない”ってそういうことか」とか、笑いどころには事欠かないわけです。

が…
普通の人は全部わかんないって!一見さんお断りか!!
と思ってしまいまして。

 

なんか、昔はこういうの素直に楽しめてたんですが、「アメコミ映画って作品数ありすぎて手を出しにくい」と言われて久しい最近では、もうちょっと知らない人にも配慮してやれよ…という気持ちが出てきちゃって、純粋に楽しめなくなってきました。「見てる人はみんな“知ってる人”でしょ?わかるよね?」ってことなんでしょうかね。知らない人は置いてけぼりでも、今はファンの数も膨大だし、勝手知りたるファンの方を大事にしていこう、って感じなのかな。既存のファンも新規の顧客も満足できる作品なんてそう簡単にできないのはわかりますけども。本作なんてひとつひとつ説明してたら時間がいくらあっても足りないし、何より全然面白くないですけども…。

上手く言葉に出来ないですが、なんだかモヤモヤしちゃう。

 

最近のMCU作品と同様、本作のヴィランカサンドラ・ノヴァ(演:エマ・コリン)はその強さの割にあまり大物感を感じなかった…けどビジュアルはめちゃくちゃ良かったしキャラクターとしては結構好きになれたので良かったとか、デップー軍団の登場とバトルは否応なしにテンション上がったとか、「スローで壮大な音楽(マドンナ)がかかったらそういうことなんだよ!」ってのはほんとそう(笑)とか、ほかにもいろいろいっぱい良いと思うところはありましたが、まぁそんな感じです(適当)

 

おわりに

ゴチャゴチャ言いましたが、楽しかったのはホントだよ!ホントにホントだよ!!

 

今年劇場公開されるMCU作品は、本作が唯一なんですね。年に数作公開されるのがセオリーになっていたので、なんだかさみしい気持ち。でも、粗製乱造だなんだと言われていたことを考えると、ひとつの作品の完成度を上げるという方針は間違いではないと思います。

来年は『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』、『Thunderbolts(原題)』、『Fantastic Four First Steps(原題)』、『Blade(原題)』など、多くの作品が公開予定。個人的に期待している作品ばかりなので、非常に楽しみにしております。

ということで、映画『デッドプールウルヴァリン』の感想でした。

ではまた。

映画『劇場版モノノ怪 唐傘』感想(ネタバレ)

映画『劇場版モノノ怪 唐傘』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

モノノ怪』は、2007年にフジテレビのノイタミナ枠にて放送された、ホラーアニメ作品。

前年の2006年に、同じくノイタミナにて『怪 ~ayakashi』という、日本の古典的怪談をモチーフにしたオムニバスアニメが放送されました。そしてその一編、『化猫』が深夜アニメとしては異例の高視聴率を記録し、続編として製作されたのが『モノノ怪』です。

ayakashi』は全3編からなり、ほかのエピソードは『四谷怪談』や『天守物語』といった古くからある怪談をベースとしているのに対し、『化猫』だけは完全にオリジナルストーリーとなっているのが特徴。また、和紙のテクスチャや浮世絵など、和風の美術をふんだんに取り入れながらも、非常に色彩豊かで独創的な映像美も魅力のひとつとなっており、『モノノ怪』にもその世界観は引き継がれています。『化猫』および『モノノ怪』は歴代ノイタミナ作品の中でも上位に来るほど人気が高いらしく、2020年に行われた人気投票では、2005-2009年部門で第1位になったんだそうです。

 

もくじ

 

概要

そして、TVアニメ放送から17年の時を経た今年、遂に新作劇場版アニメが公開されることとなりました。

それが本作、『劇場版モノノ怪 唐傘』です。

舞台を大奥へと移し、薬売りの新たな物語が紡がれる、ホラー作品となっています。本来は去年公開予定でしたが、主演声優のアレコレなどが災いしてか公開が延期され、今年ようやく公開となりました。いやぁ、一時はどうなることかと…。

 

監督はTVシリーズから引き続き、中村健治
『化猫』で初めて監督を務め、『モノノ怪』でも続投。そのほか、タツノコプロに長年所属していたこともあってか、往年のタツノコヒーローのリブート作、『ガッチャマン クラウズ』シリーズの監督なども務めています。

脚本は中村監督と、元フジテレビ社員でノイタミナの数多くの作品でチーフプロデューサーを長年務めた山本幸治が担当。
山本さんは、本作においては企画プロデュースとしての立ち位置の方が大きいようです。

アニメーション制作は、TVシリーズでは東映アニメーションでしたが、本作からは山本さんが設立し代表取締役を務める株式会社ツインエンジンのアニメ制作部門として設立された、EOTAが制作しています。山本さんは現在、ツインエンジン、スタジオコロリド、ジェノスタジオの代表取締役を務めているという、なんだかとってもすごい人のようです(小並感)

余談ですが、ツインエンジンは本来アニメプロデュース会社だそうで、WIT STUDIOMAPPAが制作したアニメのプロデュースなどを主にやっているそうです。制作やらプロデュースやらこの辺の構造がややこしくて、ちょっと混乱しかかったのは内緒。そもそも、「制作」と「製作」で若干意味が異なるのが悪い。日本語って難しいね。

 

キャストはTVシリーズから一新。

主人公の声を演じるのは、神谷浩史
ONE PIECE』のトラファルガー・ロー、『夏目友人帳』の夏目貴志、『進撃の巨人』のリヴァイ兵長、『化物語』をはじめとした<物語>シリーズの阿良々木暦など、アニメファンで知らない人はいないほどの有名声優ですね。

そのほか詳細は割愛しますが、黒沢ともよ悠木碧小山茉美花澤香菜梶裕貴福山潤などなど、非常に豪華な声優陣が出演しております。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

舞台は、大奥。

新人女中として、アサ(演:黒沢ともよ)とカメ(演:悠木碧)がこの地に足を踏み入れました。独自の掟に戸惑いつつも、懸命にお勤めに励む2人。

大奥に関わる人物は、一癖も二癖もある者ばかり。
大奥の繁栄と永続を第一に考える、御年寄の歌山(演:小山茉美)。
歌山に見いだされ頭角を現していくアサを妬む、表使の淡島(演:甲斐田裕子)。
執拗にカメを叱責する先輩女中の御次、麦谷(演:ゆかな)。
お目付け役として幕府より派遣された、三郎丸(演:梶裕貴)と平基(演:福山潤)。
そして、次期御年寄と目されていたものの突如姿を消した御祐筆、北川(演:花澤香菜)。

様々な人間の“情念”が渦巻き、やがてそれは“モノノ怪”へと姿を変えていく。
そこへ、“退魔の剣”を携えし、ひとりの薬売り(演:神谷浩史)が現れ――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

確か学生の頃、夜眠れなくて何の気なしにテレビをつけたところ、ちょうどやっていたのが『化猫』でした。おそらく『モノノ怪』の放送を記念してド深夜~明け方にかけて一挙再放送されたものだと思うのですが、よくは知りません。あーなんかやってんなー、とりあえず眠くなるまでつけとくかー、くらいの気持ちで見始めたのですが、もうすっかり心奪われてしまって、最後まで目を離せなくなるほどに夢中になってしまいました。その後、当然『モノノ怪』も全話欠かさず視聴しましたし、普段買うことのないBlu-ray Boxも買ってしまうほどにドハマり。今では「好きなTVアニメ作品は何?」と聞かれたら真っ先に『モノノ怪』を挙げるくらい、大好きな作品です。

そーいや、精神科を舞台にした『空中ブランコ』というアニメも大好きなのですが、これも中村さんが監督をしている作品なんだということを、コレを書くために調べものしてる中で初めて知りました。そりゃ好きなわけだ。あと『四畳半神話大系』とか、そういう独特な世界観や映像センスが特徴の作品が好きなのも、『モノノ怪』の影響が大きい気がします。湯浅作品が好きなのは、また別の理由もある気がしますけどね。その辺は以前書いた『犬王』の感想をお読みいただければってことで、ここでは割愛。

blacksun.hateblo.jp

なので、劇場版の製作が発表された時も、大歓喜でした。クラウドファンディングもやっていたのは知っていたんですが、当時絶望的に金欠だったので参加できず…。そういや『BRAVE STORM』の時もそうだったっけ…。今なら絶対参加するのに…。
まぁ、過ぎたことはもう仕方あるまい。

 

とにもかくにも、そんな大大大好きな作品の最新作。
率直な感想としては、マジで最高でした。

 

どうしても懸念していたのが、主演声優の交代。

これまで薬売り役を務めていた櫻井孝宏氏の女性問題が発覚し、公開間際のタイミングでキャスト変更と公開延期が発表されました。本作が大奥を舞台とし、女性たちの情念とその救済を描いた作品であることからだそうで、それは正しい判断だと思います。でも、あのミステリアスで、妖艶で、神秘的な薬売りのキャラクターを、あの人以外の誰が表現できようか、と。神谷さんも大好きな声優ですが、櫻井さんと比べてちょっと声質が爽やかすぎやしないかと。薬売りのキャラクターが、作品としての良さが、スポイルされてしまわないかと。

そんなふうに考えていた時期が、僕にもありました。

杞憂でした。

作品の良さは、全く損なわれてはいませんでした。

 

スローテンポで、どこかじっとりとした空気感は健在。コレ、櫻井さんの声と演技力の為せる技だと思ってたんですが、神谷さんもなかなかどうして、良い。本当に正直なところ、個人的好みとしてはやっぱり櫻井さんの薬売りに軍配が上がりますが、神谷さんも全く悪く無い、むしろ良い。今回の薬売りはTVシリーズとは別キャラと位置付け、キャラクター造形を少し変えているそうですが、それが功を奏しているのかもしれません。違和感は全く感じず、スッと物語に入り込むことが出来ました。退魔の剣は様々な時代に何十本も存在していて、ひとつひとつに異なる持ち主=薬売りがいるという裏設定があるそうですが、元からそういう風に考えていたのか、声優交代に伴ってそういうことにしたのかは謎。

また、色彩豊かで華やかな世界観は、絢爛豪華な大奥と相性抜群。TVシリーズから変わらない、いや更に進化していると感じました。

 

シリーズ最大の特徴というべき、退魔の剣を抜くのに必要不可欠な、“形(かたち)”“真(まこと)”“理(ことわり)”の三要素。

形はモノノ怪の姿、すなわち正体。真は事のありよう、すなわち何が起きたのか。理は心のありよう、すなわちどのような情念がモノノ怪を生み出すに至ったのか。

 

今回のモノノ怪の“形”は、タイトルにもなっている、唐傘。人間の水分を奪い取り、雨のように降らせる能力を持っています。

“真”と“理”はぜひ映画館で確かめてください、ってことで言及は避けますが、単純な誰かへの恨みつらみではない、というのが素晴らしいなと。まぁ、おかげで少々わかりにくいとも感じてしまいましたが…。こうした、あまり説明しないというか、雰囲気で感じさせるような作りもまた、この作品らしいなと思いました。

とまぁ、この3つの要素が物語を動かす原動力となるほか、全ての要素が揃って剣を抜いたあとのアクションシークエンスが、その凄まじいクオリティも相まって、爆発的なカタルシスを生んでるわけです。それが本作でもしっかりと描かれているので、最高と言うほかない。アクションはこれまでにないくらいたっぷり見せてくれるので、痺れ過ぎて感電死するところでした。

 

で。

全然知らなかった、というか僕が見た日はまだ発表されていなかったのですが、劇場版モノノ怪、なんと3部作らしいですね。最後の最後、「火鼠へつづく」の文字が出たとき、ビックリして目と口をガン開きしてしまいました。いやー、なんとありがたい。あの世界をあと2回堪能できるかと思うと、オラワクワクが止めらんねぇぞ!

劇場版第2弾、『劇場版モノノ怪 火鼠』は来年3月公開予定。意外と早い!
それまでは、僕もどうにか生き延びなければなるまい。

 

おわりに

ホント、好きな作品ほど上手いこと感想が書けなくてもどかしいのですが、どうにもならないので終わりにします。

多少人を選ぶ作品だとは思いますが、映像美や雰囲気を重視する人には刺さる作品だと思います。TV版との直接的な繋がりは無いので、TV版見てない人も気になったらぜひ映画館へ足を運んでみてください。

ということで、映画『劇場版モノノ怪 唐傘』の感想でした。

ではまた。

映画『逃走中 THE MOVIE』感想(ネタバレ)

映画『逃走中 THE MOVIE』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

※JO1やFANTASTICSのファンの人は読まない方がいいかもしれません。

run for money 逃走中』は、2004年よりフジテレビ系列にて放送されている、ゲームバラエティ番組。

街中やテーマパークなどを舞台に、大規模な鬼ごっこをするというのが基本的なスタイル。そこに、「逃げた時間だけ賞金が加算される」、「特定のポイントで自首をすることで、ゲームから降りる代わりにそれまで獲得した賞金を受け取ることが出来る」、「ゲーム中に様々なミッションが出され、クリアすれば有利に、クリア出来なければ不利になる」といった独自のルールが追加されることで、ゲーム性を高めています。初めはシンプルに鬼ごっこをするだけだったのが、いつからか「近未来の会社がショーとしてゲームを開催している」という設定が追加され、各回で独自のストーリーが展開されるようになりました。

battle for money 戦闘中』などの派生作品も製作されていたり、TVアニメ『逃走中 グレートミッション』も放送されていたりと、子供を中心に大人気の番組となっています。

 

もくじ

 

概要

そんな『逃走中』が、“逃走中20th記念プロジェクト”のひとつとして、ついに実写映画化されることとなりました。

それが本作、『逃走中 THE MOVIE』です。

今回の舞台は、東京23区全て。バラエティでは実現不可能な壮大な規模で鬼ごっこを繰り広げる、サバイバル・エンターテインメント作品となっています。TV版が芸能人たちが実際に逃げ回るのに対し(どこまでガチなのかは知らんけど)、本作は完全なフィクション作品です。実際に東京23区全体を封鎖するなんて出来るわけないですからね。

 

監督を務めるのは、フジテレビのTVドラマの演出などを多く手掛ける、西浦正記
コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』シリーズや、現在放送中の『ブラック・ペアン シーズン2』第1話、2話の演出などで知られています。

脚本は、数多くのTVドラマで脚本を書いている、青塚美穂
この恋あたためますか』や『やんごとなき一族』などでも脚本を担当しているそうです。

 

キャスト陣は、今をときめくダンス&ボーカルグループ、JO1FANTASTICSのメンバーがメインを務めています。JO1からは川西拓実木全翔也金城碧海FANTASTICSからは中島颯太瀬口黎弥佐藤大樹が出演。

そのほか、Seventeen専属モデルの田鍋梨々花、アリエールのCMに出ている川原瑛都、特オタには仮面ライダースラッシュでおなじみの岡宏明、といった方々が出演しています。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

2024年。

「参加人数1000人以上」「舞台は東京23区全体」「賞金総額1億円以上」という、史上最大規模の『逃走中』が開催されることが発表されました。

かつて高校の陸上部で青春時代を送っていた6人、橘大和(演:川西拓実)、大澤瑛次郎(演:中島颯太)、伊香賢(演:木全翔也)、北村勇吾(演:金城碧海)、西園寺陸(演:瀬口黎弥)、寺島譲司(演:佐藤大樹)らも、招待を受けゲームに参加することに。

開始直後はいつも通りに進んでいたゲームでしたが、突如主催者のクロノス社が何者かに乗っ取られ、ハンターたちは参加者の存在自体を抹消するワイルドハンターへと変化。いつしかゲームは、生き残りをかけたサバイバルゲームへと変貌していくのでした――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

『逃走中』は結構好きな番組ではあるのですが、公開ギリギリまで僕はこの映画の存在を全く知りませんでした。確か27時間テレビを見ていたときに初めて知って、「こいつはなんとも香ばしいスメルのする映画だな…」などと思ってたんです。そうしたら、「本年度ぶっちぎりワースト!」みたいな評価も目にし、なんだか逆に気になってきてしまい、鑑賞することにした次第です。

で、見てきた結果、ビックリするほど心が動かされない作品でした。

 

俳優陣の演技はしっかりしていたので、見るに堪えないという感じではなく、一応最後まで見れるクオリティにはなっていました。ヒカキンら有名タレントの参加も、まぁ正直アホくささしかないですが、逆に本家っぽくて良かったと思います。

 

ですが、とにかく話運びが酷い。

「ツッコミどころ満載」というより「ツッコミどころしかない」という感じで、キャラクターの一挙手一投足に違和感しか感じませんでした。なので、「ここ感動させたいところなんだろうなー」というところでも、「いやいいからさっさと逃げろよ」とかそういう感情が先行して、全然泣くまでに至らず。なんか気付いたらずっとニヤけてました。これをまさしく“失笑”というのでしょう。

例を挙げると、まずハンターが弱すぎる。
ちょっと隠れるだけですぐ見失うし、足も遅すぎるので全然捕まえられない。主人公たちのスペックが高いということなのかもしれませんが、走り方とか「本当に元陸上部?」という感じでしたし、一般人と比較する描写も無いので、単にハンターの足が遅いようにしか見えず。複数人が袋小路に追いつめられるシーンでは、もうあと捕まえるだけという状況なのにワイルドハンターさんは「がおー!」と威嚇するだけで、何してんコイツ?としか思えず。結果として、生き残りをかけたゲームだというのに一切緊迫感を感じませんでした。

各キャラの行動原理も意味不明。
主役勢はごちゃごちゃ喋ってるヒマがあるならさっさと逃げろよって感じでしたし、中盤で鈴木(演:長井短)とかいう狡猾そうなキャラが出てきてゲームを引っ掻き回していく…のかと思いきや速攻出し抜かれて脱落するので「頭いいのか悪いのか…何のために出てきたキャラなんや…」となったし、ミサンガを落としたからって何故かハンターに特攻仕掛ける人がいたり(撒いてから取りに行けばええやん)、やることなすこと「いやいや、そうはならんやろ」としか思えなかったんですよね。
超絶余談ですが、長井短ってめちゃくちゃ良い名前。

謎めいた立ち位置の寺島も、みんなの前から姿を消した理由が「えっしょーもな」としか思えないものだったり、終盤の謎の単独行動からの梯子の持ち手?が壊れて転落…と思いきやその直後何事もなかったように出てきて「は?さっきのは一体…?」となったり、最後の自分語りは「なぜ今このタイミングで…?(そしてこういう時に限って全然ハンターが来ない)」というものだったりで、主役勢では一番ストレスの溜まるキャラでした。

そんな感じで、基本的に全てのキャラが何やってんだか理解不能でしたが、その最たるものが、女子高生の本郷マリ(演:田鍋梨々花)でして。
スカート姿でめっちゃ動き回るゲームに参加すんなよ、というのは序の口。弟思いキャラっぽいくせしてすぐに弟を見失うので、管理不行届きも甚だしい。ちゃんと見とけや、としか思えない。謎に最後まで生き残ってるのに、他のキャラのようなゲームにかける思いとかもなく、キャラの掘り下げも無し。そのくせ、あまりにも意味不明にすぐ画面から姿を消すので、「まさかコイツ、黒幕と繋がってたりするのか?」と邪推していたら、全くそんなことは無く最後はあっけなく脱落するという。いやマジで、なんだったんだコイツ…。鈴木よりもずっとゲーム、というか映画自体、というか観客の精神を引っ掻き回す存在でした。

 

とまぁ、本当に見どころも何もない作品ではあったのですが、最後の展開ですごく腑に落ちたと、言いますか、なんか妙な納得感がありました。

クライマックスで、あれだけ主人公的な立ち回りをしていた大和までもが脱落し、最後は最年少のプレイヤーであり、これまでずっと心を閉ざしていた本郷カイ(演:川原瑛都)が、みんなのために奮起することになります。要は「少年に世界の命運が託される」展開なわけですが、
すごーくコロコロコミック的だなぁと思いまして。
ミニ四駆やヨーヨーで世界征服しようとする組織に少年たちが立ち向かうヤーツに近しいものを感じて、なんだか懐かしい気分になったというか。「あぁそうか、そもそもこの映画は大人に見せるために作ってないんだな、あくまでターゲットは小学生以下の子供たちだったんだな」と、最後の最後でようやく納得することが出来ました。「子供を中心に大人気の番組」って上で自分で書いてるのにね。気付くの遅すぎました。

当時熱中していた作品も、いま改めて読むとすごく“ちゃっちく”感じるじゃないですか。で、なんだかそれが逆にとても魅力的に感じるじゃないですか。僕は最近『爆球連発!!スーパービーダマン』を読み返して、ビー玉で岩壁を破壊したり水面を切り裂いたり出来るわけねぇだろとわかってはいつつも、改めてめちゃくちゃ面白いと思いました。本作もそれと同じなんだな、と。そう考えると、実にくだらない本作も、なんだかすごく魅力的に思えてきます。
…よね?そうだよね?そうに違いないよね??ね?

 

おわりに

強引に自分を納得させようともがいてみましたが、最後にはっきり言っておきましょう。
クソです。疑いようもなくクソです。
でも楽しめる方のクソだと思います。

とはいえこれは僕がオッサンだからこう感じるだけであって、純粋な心を持った子供たちはきっと楽しく見れると思います。こんなクソジジイのたわごとなど気にせず、夏休みの思い出に、ご家族で鑑賞してみてはいかがでしょうか。

ということで、映画『逃走中 THE MOVIE』の感想でした。

ではまた。

映画『ルックバック』感想(ネタバレ)

映画『ルックバック』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

ルックバック』は、2021年に少年ジャンプ+にて公開された、日本の漫画作品。
作者は『チェンソーマン』などで知られる、藤本タツキ

漫画を通じて出会った2人の少女の交流、成長、葛藤、挫折などを描いた、青春物語となっています。

長編読み切りとして公開されたこの作品は、公開開始1時間でTwitterトレンド1位になるほど瞬く間に話題となり、「このマンガがすごい!2022」オトコ編第1位に選出されるなど、非常に高い評価を獲得しました。

 

もくじ

 

概要

そんな大人気漫画を劇場アニメ化した本作。

監督・脚本・キャラクターデザインを務めるのは、押川清高
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』や『借りぐらしのアリエッティ』などの原画や、『電脳コイル』や『スペース☆ダンディ』で作画監督を務めるなど、今後さらなる活躍が期待されるアニメーターです。

アニメーション制作は、ボンズでプロデューサーを務めていた永野優希と押川さんが設立した制作会社、スタジオドリアンが担当しています。
2017年設立とまだ歴史は浅いですが、『チェンソーマン』の悪魔デザインや、『THE FIRST SLAM DUNK』の作画でも参加しているようです。

 

キャストは、ドラマ『不適切にもほどがある!』で大きな注目を集めた河合優と、ドラマ『マイストロベリーフィルム』の主演などで知られる吉田美月喜の2人がダブル主演を務めています。
登場人物がそれほど多くないのでほかに特筆すべきキャストとしては、とあるシーンで森川智之坂本真綾が出演しているところでしょうか。「こんなところにやたら豪華なキャストを…!?」と思いました。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

小学4年生の藤野(演:河合優)は、クラスの人気者。
学級新聞で彼女が連載している4コマ漫画はクラスメイトにも大人気で、鼻を高くしていました。

しかし、そんな彼女の栄光の日々は、不登校児の京本(演:吉田美月喜)に漫画の枠をひとつ譲ったことで、終わりを迎えます。京本の画力はあまりにも高く、それと比べると藤野の絵は「普通」だと言われ、大きなショックを受けます。

その後、漫画を描くのをやめてしまった藤野。時は過ぎ、卒業式の日。卒業証書を家まで届けるよう先生から頼まれ、2人は初対面します。そこで、京本が藤野の4コマ漫画の大ファンだったことが判明するのでした。

そして、この出会いが、2人の運命を大きく変えていく――。

というのがあらすじ。

 

感想

完璧でした。

これはもう、今年の国産アニメ映画個人的No.1決定かもしれません。
(『モノノ怪』がどうなるかにかかっている)

 

公開始まってすぐの土日にまず見に行ったのですが、ギチギチの満席でビビりました。で、隣の席の人のポップコーンワシャワシャ食う音で少し気が散ってしまい作品に没入しきれなかったので、平日の仕事終わりでもう一度見てきました。映画館には行きたい、でも人が多い場所はちょっと苦手、というめんどくさい人間です…。

こんなに短いスパンで同じ作品を2回見に行ったのは初めてでしたが、2回目の方が集中して見れたおかげか、より感動出来ました。というか、始めから終わりまでずっと泣いてたような気がします。見終わった後トイレ寄ったら、目が真っ赤になってて恥ずかしかったです。あと、2回目の時にはもう特典の冊子がなくなってて驚きました。土日にどんだけ人来たんや…。

 

そのまんま原作

まず、本作は原作をアニメ化した作品として、ほぼ完璧な出来になっていると思いました。元々原作が単行本1冊で完結する物語であり、更に映画好きの作者が描いているだけあって映画的な描き方がされているので、非常に映像化に向いている作品ではあったと思うんです。でもそれをこれほどのクオリティで、しかも1時間弱程度の上映時間に収めてくるのは本当にすごいとしか言いようがなくて。エンドロールを見ていて、スタッフの少なさに驚いたのですが、少数精鋭で製作されているらしいですね。

作画に関しては、他の人も散々言ってるので多くは語りませんが、原作のそのままの絵が一切の崩れもなく動き回るのが本当に素晴らしいとしか言いようがない。あと背景も、敢えて漫画っぽく描線を残していたり手書きっぽくしていたり、作品とマッチしていて良かったです。

声優さんも、いい意味でアニメっぽくないというか、可愛らしくもリアリティを感じさせる演技で、好感が持てました。京本の東北訛りがめちゃくちゃかわいかったです。

あと音楽も、『TRIGUN STAMPEDE』のEDテーマを書いてるharuka nakamuraが担当しており、キャッチ―で耳馴染みが良くてとても良かったです。

 

本作を「完璧」と言っているのにはもうひとつ理由があって、それは原作からほとんど足し引きがされていないというところなんですよね。違いと言えば、最初の藤野がウンウンうなりながらネタを考えている場面と、4コマ漫画がアニメになるシーン、あとはエンドロールくらいでしょうか。ほかにも細かい違いはあると思いますが、非常に原作に忠実に作られていて、原作ファンとしてはありがたい限り。

あ、そーいえば、原作では見開きでドーン!と表現されている場面が、敢えてそうしているのか、アニメは漫画と違ってコマの大きさを変えられないのでそう見えてしまうだけのかわかりませんが、本作では割とあっさりとしていたような、そんな印象を受けました。京本に褒めちぎられて雨の中感情を抑えきれず家まで走っていく藤野のシーンと、藤野のネームを読んで笑い転げる京本のところです、僕が主に感じたのは。いや、全然悪いとかではないんですけどね。あんまり大仰にやってしまうとくどくなってしまうかもしれないですし、むしろ良かったと思っています。

 

万人に通ずるテーマ

この作品は原作者藤本タツキ氏の作家性が色濃く出ており、「全てのクリエイターに刺さる作品」みたいによく言われていますが、僕は「現代に生きる多くの人に響く作品」だと思っています。

僕が思うこの作品のテーマは、

  • 誰かに認めてもらうことが、何よりのモチベーションになる
  • ひとりでは難しいことも、ふたりなら頑張れる
  • なんてことのない日常が、ある日突然奪われる無常さ
  • 時には過去を振り返ることで、人は前へ進んでいく

こういう感じではないかと。これって、クリエイターだけでなく、現代社会に生きる人であれば多かれ少なかれ経験のあることだと思うんです。それを漫画という題材を通して描かれているので、僕をはじめとした多くの人の心に届くんじゃないかなぁと思うわけです。当然ながら僕の境遇は本作の登場人物とは全く異なりますが、共感できるところも非常に多く、もうなんかどういう感情かよくわからないけど涙が止まりませんでした。

 

あの件について

原作の漫画が公開されたとき、不審者が美大を襲撃するシーンが某アニメ制作会社放火事件と重なるということで、あの件の追悼としての一面があるのではないかと言われてましたね。また、犯人の言動がとある病気の症状と酷似しており、病気を抱えた人への侮辱ではないか、とクレームが上がり、それを受けてセリフが一部変更され、その変更が良いとか悪いとかギャーギャー言う人がいっぱい出るほど、大きな話題となりました。

あくまで僕の個人的な印象ですが、あそこは「何の前触れもなく、あまりにも無慈悲に突然奪われる日常」というのが重要なのであって、セリフを変更したところで作品の本質には影響を及ぼさないのではないか、と思っています。少なくとも、出版社が無断で変更したわけではなく、作者が了承したうえで変更しているんでしょうから、第三者がそれについて勝手な憶測であーだこーだ言うのはお門違いですわな。

ちなみに、一番最初のバージョンと、クレームを受けて変更したバージョン、単行本でさらに修正されたバージョンが存在するらしいですが、本作では単行本のバージョンが採用されているっぽいです。

 

悪い思い出にしないで

この作品には多くのオマージュ元(とされているもの)がありますが、その内のひとつと言われているのがoasisの名曲、『Don't Look Back In Anger』であるのは有名な話。ちなみに僕は鑑賞前に電車の中で聴いてました。

Don't Look Back In Anger

Don't Look Back In Anger

  • オアシス
  • ロック
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

この曲の歌詞の日本語訳を読んだのですが、驚くほど藤野と京本の境遇とリンクしているんですよね。男女の別れを描いた曲のようですが、藤野と京本がお互いを思う気持ちにもリンクしているように思えます。また、曲名を直訳すると「怒りで振り返らないで」となり、これはこれで美大を襲撃した犯人に対する怒りを表現しているとも取れますが、意訳すると「悪い思い出にしないで」と読み取ることが出来ます。そう捉えると、2人がこれまで歩んできた人生に対する、藤野の、そして京本の“祈り”のようなものを感じて、また涙が止まらなくなるんですよ…(泣)

 

タイトルの意味と、最後の答え

「look back」は「後ろを見る」とか「振り返る」とか、そういう意味ですよね。この作品ではそれ以外にも、

  • 藤野の後ろから京本が支えてくれている
  • 京本は藤野の大きな背中にいつも憧れている
  • 京本の服の背中に書かれた藤野のサイン
  • 生存した世界線の京本が描いた4コマ『背中を見て』
  • 過去が背中を押してくれる

とかまぁ、多くの意味が込められているわけです。文字通り「後ろ向き」に捉えられがちな「ルックバック」という言葉ですが、なんとも前向きなメッセージになっているのがたまらなく感動します。

 

それから最後、どうして藤野は「描き続ける」ことを選んだのか。

「楽しみにしてくれている読者のため」とか「京本への追悼のため」とかそれっぽい答えもまぁそうだと思うのですが、結局のところ「答えなんてない」んじゃないかと僕は思いました。強いて言うなら、「生きるため」、要は「描くこと=生きること」なのかな、と。エンドロールにて、机に向かう藤野の背景がどんどん変化していくところで、「あぁ、これが藤野の日常なんだな。つまりこれが、藤野にとって生きるってことなんだな」と、そう思った次第です。これからも生きていくこと、それが京本への一番の手向けになる、そう藤野は思ったんじゃないかなって…あぁだめだ、少し泣いてきます。

最後に流れる『Light song』がまたね、そんな藤野をそっと祝福してくれているように静かに響いてね、涙を誘うわけなんですよ。

Light song

Light song

  • haruka nakamura & urara
  • アニメ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

おわりに

長い割に伝えたいことあんまり表現できてないですが、以上になります。

不満と言うほどのものではないけれど、4コマをアニメにするシーンだけはちょっと必要性を感じなかったかなというのと、パンフレットはちょっと内容と値段が釣り合ってないかな、と思ってしまいました。

多くの人の心に沁みる作品になっていると思いますので、気になっている方は是非見て欲しいです。上映時間も1時間無いのでさらっと見れると思いますし、いたずらに長い作品よりも遥かに高い満足を得られるかと思います。

ということで、映画『ルックバック』の感想でした。

ではまた。

Vシネクスト『特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター』感想(ネタバレ)

Vシネクスト『特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

特捜戦隊デカレンジャー』は、2004年~2005年にかけてテレビ朝日系列にて放送された、スーパー戦隊シリーズの一作。

“警察”を本格的にモチーフにした初の戦隊であり(メンバーのひとりが警察官だったりは以前からありましたが、全員が警察組織に属しているのは初だったはず)、特定の敵組織などが存在せず、様々な宇宙人が巻き起こすトラブルを解決していく、1話完結方式の作風が特徴となっています。TVシリーズ終了後も、10周年を記念して製作された『特捜戦隊デカレンジャー 10 YEARS AFTER』や、警察つながりで宇宙刑事ギャバンとコラボした『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』など、たびたび続編が製作される人気作となっています。

 

テン・ゴーカイジャー』の感想でちょこっと言及していますが、僕は歴代スーパー戦隊の中でもデカレンジャーが特に好きでして。昔から「合体シークエンスはCGよりミニチュア派」だったので、ガオレンからCGメインになっていた合体バンクがミニチュアに回帰して興奮したし、占拠されたデカベースをジワジワと奪還していく、派手な展開もロボ戦もない地味な最終回も、リアリティがあってすごい好きなんですよね。たぶん、個人的好きな戦隊ランキングでベスト5には入ってくると思います。

 

もくじ

 

概要

そして、TVシリーズ放送から20周年となる今年、またまた続編が製作されることとなりました。

それが本作、『特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター』です。

現実と同様、20年が経過した世界を舞台に、デカレンジャーの新たな活躍が描かれる正統続編となっています。

 

監督は、TVシリーズでもパイロット監督を務めた渡辺勝也
恐竜戦隊ジュウレンジャー』で監督デビューして以降、『魔法戦隊マジレンジャー』『炎神戦隊ゴーオンジャー』などのスーパー戦隊シリーズ、『仮面ライダークウガ』から最新作『仮面ライダーガッチャード』といった仮面ライダーシリーズ、『テツワン探偵ロボタック』といったメタルヒーローシリーズなどなど、数多くの作品で監督を務めている、今や日本の特撮界に欠かせない人物です。

脚本も、TVシリーズでメイン脚本を務めた荒川稔久
仮面ライダーBLACK』で特撮作品の脚本に初参加し、『仮面ライダークウガ』、デカレン、『海賊戦隊ゴーカイジャー』、『魔進戦隊キラメイジャー』などでメイン脚本を担当。今挙げた作品は全て僕が特に好きな作品、つまり荒川さんは個人的激推しな脚本家さんです。

それから、アクション監督兼デカレッドのスーツアクターを、福沢博文が務めています。
百獣戦隊ガオレンジャー』からゴーカイジャーまでのほとんどの作品でレッドのスーツアクターを務め、『特命戦隊ゴーバスターズ』以降はアクション監督へ転向。仮面ライダーのレジェンドが高岩さんなら、戦隊のレジェンドは福沢さんと言って差し支えないほど、特オタ界では有名なお方です。僕なんて太っていく一方なのに、50過ぎてもあのスタイルを維持しているのすごすぎ!

 

キャストは、さいねい龍二林剛史伊藤陽佑木下あゆ美菊地美香吉田友一といった、おなじみのメンバーがフル出演。そのほかゲストとして、ボーイズグループ7ORDERのメンバー長妻怜央ハロプロ所属のアンジュルムのメンバー川村文乃、ロボタックや『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』に出演した黒川芽以らが出演しています。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

白昼堂々、大規模な連続爆破事件が発生。
早速、デカレンジャーは捜査に乗り出します。

ファイヤースクワッド隊長として宇宙で勤務しているバンこと赤座伴番デカレッド(演:さいねい龍二)も、新人隊員の江戸川塁プレミアデカレッド(演:長妻怜央)を連れて、捜査に加わることに。

容疑者として挙がった宇宙人、ラエンジョ(演:黒川芽以)を追って、バン、塁、ウメコこと胡堂小梅デカピンク(演:菊地美香)はエイリアン特区へ。ホージーこと戸増宝児デカブルー(演:林剛史)とジャスミンこと日渡茉莉花デカイエロー(演:木下あゆ美)は、ラエンジョの故郷、チーマ星へ。そしてセンちゃんこと江成仙一デカグリーン(演:伊藤陽佑)とテツこと姶良鉄幹デカブレイク(演:吉田友一)は、どういうわけか高知県へ…。それぞれが好き勝手バラバラに捜査をし始める状況に、戸惑いを隠せない塁。

果たして、真犯人は誰なのか。そしてその目的とは――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

高知県へ行きたくなりました(笑)

本作の特筆すべき点は、オール地方ロケで撮影されていること。中でも、高知県のシーンはかなり比重が置かれていて、さながら高知県の観光PRビデオのようでした。これはひとえに、今は俳優を引退して高知で鍼灸師高知市地域活性推進課職員を務めている吉田氏の尽力によるものでしょうね。ちょっと個人的なアレが入り過ぎているくらい、あまりにも高知推しだったような気もしますが…。でも、リドミハ星人モクミス(演:川村文乃)という、高知を離れられない宇宙植物学者を登場させることで、「刑事もの」と「高知(のPR)」といった課題をしっかりお話に組み込んでいて、なかなかうまいなーと思いました。違和感がないわけではないけど、可能な限り軽減している、といいますか。

まーね、コレ見てる人は僕含めみんな重度のオタクであり、吉田氏の現在とか当然知ってるでしょう(僕は確かYahoo!ニュースか何かで知りました)。特オタという生き物は、特撮出身の俳優の活動は半ば無意識のうちに取り込んでいるものなのです。なので全員、「あ、なるほどそういうことね(笑)」とすぐに事情を理解して、ほくそ笑みながら鑑賞していることと思います。

 

本作は「デカレンジャーの続編」という観点でも、面白いものになっていました。

勤続20年という大ベテランとなったデカレンジャーの面々なので、それぞれのキャラクターもすっかり板についてきた感がありました。そして、そんなクセ強めな面々を信頼して、「わかった、やってみろ」と送り出すボスの安心感。「こんな感じでずっとやってきたんだな」というのが伝わってきて、すごく良かったです。また、塁という新キャラの視点を通すことで、デカレンを知らない世代の人にも「デカレンジャーはこういう人たちでやってます」というのが伝わりやすくなっていると思いました。

塁は「世代交代」を感じさせるキャラとしても機能していましたね。『10 YEARS AFTER』の時も「世代交代」は大きなテーマであったものの、あのときは結局後輩が悪者と通じていましたし、「まだまだ若者には負けないぜ!」みたいなオチでした。ただ、10年ならまだそれでいいけれど、20年ともなるとそうはいかない。ベテランらしく落ち着くべき所へ落ち着いて、後進に活躍の場を譲るべきなのか、それともずっと変わらず現役でいるべきなのか。それがさらに重みを帯びて、バンの心にのしかかっていました。その先でバンが下した決断は、「いくつになっても人は輝けるんだ!」といった、リアルタイムで楽しんでいた僕らオッサン世代へのエールのようなものを感じて、なんだか元気が出ました。…こんな重く受け止めてるの僕だけ?

いやしかし、全員40超えてるとは到底思えないあの若々しさはなんなんだってばよ。時止まってるんか?

 

おわりに

ドラマとしての面白さは『10 YEARS AFTER』に軍配が上がるかとも思いますが、デカレンジャーの1エピソードとして遜色のない面白さになっていると思いました。何より、地方で活動していたり、俳優引退していたりと、あの頃とは全く状況は違うのにきちんとメンバー全員そろって出演してくれるのとか、キャスト陣のデカレン愛をひしひしと感じられて、デカレン大好き人間として嬉しく思います。

この調子で、30周年、40周年とやってくれても…いいのよ?

ということで、Vシネクスト『特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター』の感想でした。

ではまた。

映画『マッドマックス:フュリオサ』感想(ネタバレ)

映画『マッドマックス:フュリオサ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

マッドマックス』は、1979年に第1作目が公開された、オーストラリアのアクション映画シリーズ。

この作品と言えば、『北斗の拳』など数多くの作品に影響を与えた、核戦争によって荒廃した世界、いわゆる“世紀末”な世界観が大きな特徴。
…なのですが、1作目は割と普通の現代社会で、ストーリーも警察vs暴走族のカーアクションがメインなんですよね。いちおー、終末戦争で荒廃する直前の世界が舞台らしいですけども。北斗の拳が大好きな僕なので、もちろんマッドマックスも全部見てるくらい大好きなシリーズですが、2作目からいきなり世界観が変わってビビった覚えがあります。ちなみに、北斗の拳で一番好きなキャラはアインです。

そういや過去にも何度か北斗の拳ネタ出してましたね。

1985年に第3作『マッドマックス/サンダードーム』が公開されてから、度重なる撮影延期や製作中止を経て、実に30年ぶりとなる2015年に、第4作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が公開。全世界が待ち望んでいた続編は、アカデミー賞10部門ノミネート6部門受賞、その他数々の賞を受賞するほどの特大ヒットを記録しました。

 

そんな『怒りのデス・ロード』の前日譚であり、メインキャラクターのひとりであるフュリオサを主人公としたスピンオフ作品、それが本作、『マッドマックス:フュリオサ』です。

彼女の幼少期から物語が始まり、動乱の時代をどのように生き抜いてきたかが描かれる、バイオレンス・アクション作品となっています。

 

もくじ

 

概要

監督は皆さんご存じ(?)、ジョージ・ミラー
『マッドマックス』シリーズ全てで監督を務めているほか、子ブタが大冒険を繰り広げる『ベイブ』シリーズや、ペンギンが歌って踊る『ハッピーフィート』シリーズも手掛けているなど、漢(OTOKO)向けバイオレンスからファミリー向けまでこなせる、非常に振り幅の大きい御大です。

脚本はミラー監督のほか、『マッドマックス』1作目で俳優として出演し、以降ミラー監督作の多くで作家や脚本として参加しているニコ・ラソウリスが共同で執筆。

 

主演を務めるのは、モデルとしても活躍している、アニャ・テイラー=ジョイ
M・ナイト・シャマラン監督の『スプリット』『ミスター・ガラス』への出演で注目され、近年では『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のピーチ姫の吹替など、活躍は多岐にわたっています。

主人公の敵(かたき)となる男を演じているのが、クリス・ヘムズワース
マーベル作品『マイティ・ソー』シリーズにて、アベンジャーズのメンバーであるソーを演じていることでも知られています。

そのほか、TVドラマ『私立探偵ストライク』で主演を務めるトム・バーク、『マトリックス』シリーズに出演しているラッキー・ヒューム、『怒りのデス・ロード』でも同役で出演しているアンガス・サンプソン、モデルや大ヒットラブコメ恋するプリテンダー』への出演でも知られるチャーリー・フレイザー、といった俳優陣が出演しています。

 

余談ですが、本作は本来、『怒りのデス・ロード』と同時にアニメ作品として公開される予定だったというのを、パンフレットを読んで初めて知りました。しかもその監督として、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』などで知られる前田真宏氏が予定されていたというのだから驚き。結局その計画は頓挫してしまったようですが(同時公開ってのはそもそも無理がある気がする)、もし実現していたら本作とは全く異なるものになっていたと思いますし、アニメ版も見てみたかったなぁ。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

核戦争によって荒廃した世界。
水や資源は失われ、砂漠だらけになったこの世界で人々は秩序を失い、暴力がすべてを支配していました。

奇跡的に草木や水が豊富に残る“緑の地”と呼ばれる場所で暮らしていた、幼いフュリオサ(演:アリーラ・ブラウン)。しかしある日、武装したバイカー集団に、フュリオサは拉致されてしまいます。母のメリー・ジャバサ(演:チャーリー・フレイザー)が助けに駆け付けますが、残虐で暴力的なリーダー、ディメンタス(演:クリス・ヘムズワース)によって無残に殺害されてしまいます。怒りと悲しみに打ち震えるフュリオサ。それでも、彼女は決して“緑の地”の場所を口外しませんでした。

その後、イモータン・ジョー(演:ラッキー・ヒューム)が治める“砦(シタデル)”にて、部隊の大隊長まで上り詰めていくフュリオサ(演:アニャ・テイラー=ジョイ)。誰にも心を開かない彼女の胸の中にはいつも、母を殺したディメンタスへの復讐と、故郷へ帰るという強い思いがあり――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

最高にヒャッハーでした。

やはり、このシリーズが作り上げた、最高にパンクでクレイジーでエネルギッシュな世界観は本当に素晴らしい。今やポストアポカリプスもののひとつのテンプレとして確立されてますもんね。本作でも、その魅力を十分に堪能することができました。特にディメンタスが乗る、バイクを3台繋げて後ろのリアカーで操縦する乗り物のバカさ加減たるや(褒めてます)。「そうそう!コレコレ!」って感じでした。“ディメンタス・チャリオット”という名前らしいですねアレ。

それと、本作で特に力を入れたという、走行中のウォー・タンクの上で繰り広げられる激しいバトルシーンは、見応え抜群で最高でした。手を変え品を変え次々と襲ってくる敵を、類まれなる戦闘スキルと機転で切り抜けていくフュリオサの姿には、否応なしにテンション爆上がりでした。

ただ、前作『怒りのデス・ロード』で既に世界観は極まっていた感があるので、新鮮な驚きは薄いかもしれません。

 

キャラクターは非常に良かったです。

まずフュリオサですが、アリーラ・ブラウン演じる幼少期のフュリオサがまーかわいいったらない。まじで「妖精さんかな?」と思いましたもん。それでいて、成長した姿を演じるアニャ・テイラー=ジョイとしっかり同一人物に見えるのもすごい。よくあんな子見つけてきたなぁ、と感心しきり。…と思ったら、役者が変わってもなるべく違和感が生まれないよう、お互いの目元などをCG処理でいじっているんだとか。全然気づかなかったぜ。

アニャは『スプリット』を見たときから大好きな俳優さんでしたが、今回も見事な演じっぷりでした。おでこをオイルで真っ黒に塗りたくっても、坊主頭にしても、どうしても美しさが滲み出るところとか、『怒りのデス・ロード』で同役を演じたシャーリーズ・セロンに通ずるところがあって、大変良かったです。なんというか、これまでは本作のような泥臭い役をやるイメージがありませんでしたが(シャーリーズ・セロンもそうだけど)、また新境地を開拓してきたな、という感じ。左腕に故郷の場所をタトゥーとして残しているのも、腕を失う=帰れないというのを視覚的に表していて良いと思いました。

ディメンタスは、非常にこのシリーズらしい敵キャラで面白かったです。今までの敵キャラは、独りよがりで支配欲が強く自惚れ屋な性格で、「俺様がこの世界を支配する!」って感じの分かりやすいキャラが多かった気がしますが、ディメンタスはさらに「俺はみんなのためを思ってやってるんだ!だから俺のやることは正義!」みたいな、自己陶酔型な味付けがされていて、ナイスなキャラに仕上がっていました。明らかに後先のこと一切考えてないのもまた良き。演じるクリヘムもバッチリハマってましたね。なんか「ソーはもうあんまやりたくない」みたいな話も聞くし、こっち路線で行くのもいいかもしれませんね。

フュリオサが唯一心を許す人物、警護隊長ジャック(演:トム・バーク)。
彼がシリーズ通しての主人公であるマックスを彷彿とさせるキャラであることは言うまでもないですが、あんな時代でも“誇り”や“仁義”のようなものを失っていないキャラクターは非常に魅力的でした。しかし、その律儀な性格ゆえに、最悪な結末を呼び込んでしまうことになろうとは。なんてぇ時代だよ、まったく。
そーいや、どこかのシーンで一瞬、マックスらしき人物とその愛車インターセプターが映りこんでましたね。絶妙なファンサービスだなーと。

もうひとり特筆すべきキャラといえば、フュリオサの母、メリー・ジャバサ。
命懸けで子供を守る、強くたくましいキャラクターで、めっちゃカッコ良かったです。ただ、射撃スキル、暗殺スキル、乗馬スキル、バイクスキル、修理スキルと全てにおいてスペックが高すぎて、すさまじい万能キャラになっていたのはちょっと気になりました。まぁ、悪い言い方をすると「殺されるために産み出されたキャラ」なわけですし、あまりバックボーンを掘り下げてもアレですしね。

イモータン・ジョーさんは、今回は大暴れすることは無く、管理職のポジションに収まっていました。確かにあれだけのコロニーをやりくりしていくにはただのイカれ野郎では無理でしょうし、納得度は高かったですが、あまりジョーさんのそういう姿を見たくなかったような気もするようなしないような。

 

ストーリーもなんというか、ヒャッハー(?)でしたね。

どんなに厳しい状況でも必死に生き抜き、成り上がっていくフュリオサの姿は、応援したくなる魅力がありました。それと、基本的に登場人物全員クレイジーでアホなので、何をしでかすかわからないというハラハラドキドキが常にあって、最後まで飽きることなく見れました。

とはいえ、ちょっと思うところもあったのは事実で。
本作の根幹にあるのは“復讐劇”なわけですが、クライマックスでは復讐や争いという行為の虚しさ、愚かしさを描いていて、良い言い方をするとテーマに真摯に向き合っている、悪い言い方をするとちょっとテンション下がっちゃうなー、という印象を受けました。悪いヤツはドッカーン!やったぜ大勝利!でいいのに、という思い。ま、これはあくまで僕の好みの問題です。

あと、全編通してバイオレンス描写たっぷりな割に、母やジャックなど、重要なキャラが死ぬ瞬間の描写は避けていて、結局死んでんだか生きてんだかよくわかんないままだったのは、少々モヤっとしました。観客になるべく不快な思いをさせたくないという配慮なのかもしれませんが、こういうシーンが凄惨であればあるほど、復讐を遂げたときのカタルシスも大きくなると思うのです。なのでこのシリーズでは特に、観客への忖度など不要。「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」の精神でいいのになー、と思ってしまうのです。いやまぁ、実際どうしてそういう描き方にしたのかはわかりませんけども。

マッドマックスを作る側はこういうマインドでいてほしい。

 

おわりに

そんな感じで、非常に楽しむことが出来ました。

プライベートで色々あってちょっとテンション落ち気味、かつあんまり見たい映画がなくて映画館から足が遠のきそうになっていましたが、無事に引き戻してくれました。(ちなみに、映画館へ行かない代わりに、未視聴だった仮面ライダースーパー戦隊Vシネマなどを家で見漁ってました笑)

本作は前日譚なので、本作を見ることで『怒りのデス・ロード』が更に楽しく見れるようになること請け合い。しかも、シリーズ見ていないとわからないといったこともないので、これまでマッドマックスに触れたことの無い方も安心して鑑賞できると思います。頭を空っぽにしてヒャッハーしましょう。

ということで、映画『マッドマックス:フュリオサ』の感想でした。

ではまた。

映画『ゴジラ×コング 新たなる帝国』感想(ネタバレ)

映画『ゴジラ×コング 新たなる帝国』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

レジェンダリー・エンターテインメントワーナー・ブラザーズ・ピクチャーズが共同で制作している怪獣映画のユニバース、それが『モンスターバース』。

現在、劇場映画4作と、Netflixにてアニメ『髑髏島』が、AppleTV+にてドラマ『モナーク:レガシー・オブ・モンスターズ』が展開されており、シェアード・ユニバースとしては割と成功しているようです。DCのように興収はいいけど評価は散々という感じではなく、ちゃんと評価も高いようですし。でも出来れば配信する媒体は統一して欲しいかな…。僕は映画は全て見ていますが、配信の方はネトフリもAppleTV+も登録してないので未見です。

 

そんなモンスターバース第7弾(映画だけであれば第5弾)が、本作『ゴジラ×コング 新たなる帝国』。

前作は「vs」だったのが、本作では「×」となっているのがポイント。前作で対決したゴジラとコングが再び相まみえる、壮大なアクション超大作となっています。

 

いちおう前作の感想も書いていますので、併せてお読みいただけるとありがたき幸せ。

blacksun.hateblo.jp

ついでに、先日アカデミー賞を獲った日本のゴジラの感想も載せときます。

blacksun.hateblo.jp

 

もくじ

 

概要

監督は前作同様、アダム・ウィンガード
Netflix版『デスノート』の監督としても知られています。

脚本は、『シュレック』シリーズや『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズでも知られるテリー・ロッシオ、『サプライズ』や『V/H/S』シリーズなどのサイモン・バレットMCU作品『ムーンナイト』やアダム監督の『デスノート』などで知られるジェレミー・スレイターが共同で執筆しています。

 

キャストは、『それでも恋するバルセロナ』や『トランセンデンス』などのレベッカ・ホール、『エターナルズ』や『ブレット・トレイン』などのブライアン・タイリー・ヘンリー、前作で俳優デビューしたケイリー・ホトルらが前作に引き続き出演。

また、実写版『美女と野獣』で野獣を演じたダン・スティーヴンス、『シャン・チー テン・リングスの伝説』で主人公の母、イン・リーを演じたファラ・チェンらが、新キャストとして出演しています。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

ゴジラコングの死闘から、3年。

ゴジラは地上でほかのタイタン(怪獣)たちの脅威を抑え込み、コングは生まれ故郷である地底世界で生活し、お互い干渉しないようにすることで、どうにか均衡を保っていました。

そんな時、地底の前線基地のひとつが、何者かに襲撃され、壊滅。時を同じくして、コングと心を通わせることのできる少女ジア(演:ケイリー・ホトル)も、不思議なビジョンで危機を感じ取っていました。さらに、ゴジラ原子力発電所などのエネルギーが多く集まる場所で、まるで何かに備えるかのように、自身の力を増幅させ始めます。

一体、何が起ころうとしているのか。
その答えは、地底のさらに奥深くにあるのでした――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

「悪いヤツがシマ張ってる場所に辿り着いた正義のヤンキー(コング)が、強敵(とも)である別の学校のヤンキー(ゴジラ)に協力してもらいながら、テッペン獲るまでの物語」

本作はまさにコレです。つまり最高でした。

 

前作もそのきらいはありましたが、本作はより“コングが主役”な作品だったように思います。なんなら単体映画である『髑髏島の巨神』より矢面に立って活躍してたんじゃないでしょうか。おかげで、怒ったり悲しんだり驚いたり疲れたり、様々な表情のコングを拝むことが出来ました。まぁ今回の敵がコングと同じサル族タイタン(オランウータン?)のスカーキングと、そのペット(?)である氷結怪獣シーモなので、仕方ないっちゃ仕方ないですね。かわいい子ザル(と言ってもタイタンなので超デカい)のスーコの罠にはまってヤバい敵と戦わされた…と思いきや瞬殺して逆に食料にしちゃうとことか、おなかすいたスーコに何のためらいもなくその食料を分けてあげるコングは、惚れ惚れするほど完全に“漢(OTOKO)”でした。

ゴジラはなんかもう、いろんなところからエネルギーを吸収してチート級のキャラになっていました。予告編で赤くなってるゴジラを見たとき、「まさかいつもの青いゴジラのほかにもう1体出てくるのか?」と思いましたが、特にそんなことはなく。ちょっと残念。本作のゴジラはコングに次ぐ2番手というか、コングのサポートキャラのような立ち位置になっていましたが、強すぎて逆に扱いに困ったので出番減らされた、というのもあるかも。あ、でも、コングにボコボコにされかけてるシーンもあったような。ガントレットひとつでそこまで強くなるとは思えないけどなぁ…。コングを見るなり「テメェなにこっち(地上)来とんじゃコラァァ!」って感じで突撃してきて、コングは「ちょ待て!話聞けって!」ってなってたのには笑いました。あと、コロッセオで丸くなって寝てる姿はちょっとかわいかったです。

 

敵キャラのスカーキングさんは、北斗の拳のシンとかサウザーみたいな、いかにもな悪者でしたね。悪いヤツは立場の弱い者を奴隷のように働かせ、よくわからない石運びをさせるのは定石。ピラミッド作るわけでもないですし、あれは何のためだったんでしょうね。背骨で出来た鞭状の武器を使ったりと面白いところはありましたが、スーパーヴィランと呼ぶには物足りない、よくいる悪者って感じのキャラでした。

スカーキングの隠し玉、冷凍ビームを放つ怪獣シーモは、セントバーナードとかアラスカン・マラミュートといった大型犬のようで、なんだかとってもかわいかったです。ルパン・ザ・ファイヤーでマタアイマショウな人ではないので悪しからず。スカーキングはよくわからん結晶で苦痛を与えることでシーモを操っていましたが、コングがその結晶を破壊して呪縛が解けた後の「え?アレ?」って感じでキョドってる姿がなんとも愛くるしかったです。最後は普通にコングを背に乗せてたので、優しく言えば聞いてくれるいい子なんだと思います。

 

前作に引き続き、相変わらず人間はほぼおいてけぼり。モナークは今回も仕事しない。地震を検知してアワアワしたり、画面の表示がバグってアワアワしたり、監視カメラの映像を見逃したりしてるだけでした。コングの歯を治療したり、ガントレットつけてあげたりしてるだけまだ前よりマシかな、という感じです。あ、でもそれどっちもトラッパーの仕事だ。トラッパーしか仕事しとらんやんけ。

コングと話が出来る唯一の人間、ジアちゃんは、劇中で活躍している唯一の人間でもありました。今回はなんと、モスラとまで心を通わせていました。ひとりだけどんどん人間離れしていく…。てかモスラって、『キング・オブ・モンスターズ』の時に消滅してませんでしたっけ?別個体ということなのかな。まぁ、細かいことは気にしない。前作ではまだ小っちゃいあどけない少女だったジアちゃんが、たった数年ですっかり美しい女性になっていて、子供の成長は早いなぁと思いました(前作と同じこと言ってる人)。

 

あとは、地上と地底を繋ぐ道がワープゲートみたいな扱いになっていて、未発見のゲートがどこに繋がっているのかわからないという設定にすることで、世界各地の色んなロケーションを楽しめるのはいいなぁと思ったとか、ジアちゃんの民族の生き残りが地底にいて、おかあちゃんが「ここに残ってもいいのよ」と言うと、「なんでそんなこと言うの?絶対離れないって言ってたじゃん」「あなた(おかあちゃん)が私の居場所」って返してくれるの、ちょっとウルっときちゃったとか、いろいろありました。

 

おわりに

短いですが、この辺にしときます。

頭空っぽにして楽しめる、僕の大好きな痛快娯楽作品でした。恐怖や災害の具現化というべき日本のゴジラも好きですが、ド派手な怪獣プロレスが繰り広げられるこっちのゴジラも僕は大好きです。もし応援上映とかあれば、お子さんと一緒に「こんぐー!がんばえー!」と叫びながら鑑賞するのも楽しそうですね。ゴールデンウィークの楽しみのひとつとして、映画館へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

ということで、映画『ゴジラ×コング 新たなる帝国』の感想でした。

ではまた。

映画『カラオケ行こ!』感想(ネタバレ)

映画『カラオケ行こ!』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

カラオケ行こ!』は、2019年に発表された、日本のコメディ漫画。

作者は『夢中さ、きみに。』や『女の園の星』でも知られる、和山やま

 

全然知らなかったのですが、最初は同人誌即売会COMITIAで同人作品として発売された作品なんですね。あまりの人気に入手困難となるほどの話題作でしたが、2020年にKADOKAWAから加筆修正されたものが単行本として発売された、という経緯を持っているらしいです。僕は単行本で初めてこの漫画を知ったので、ありがたい限り。

現在は月刊コミックビームにて、続編である『ファミレス行こ。』が不定期連載中。こちらもめちゃくちゃ面白いです。いつか同じキャストで実写化して欲しい。

 

和山さんの作品は全部読んでいるほどに大好きなのですが、この方の描く漫画の何がいいって、ゲラゲラではなく、クスっと笑える独特のコメディセンスだと思っていて。誰も大げさにボケたりツッコんだりしないけれど、絶妙な“間”とかワードセンスとかでじわじわとツボを突いてくるような、そんな感じ…って伝わりますかね。読んだ人ならきっと伝わるはず。

とにかく本当に面白いので、気になった方はぜひ読んでみてください。

 

もくじ

 

概要

そんな超面白い漫画を実写映画化した本作。

監督を務めるのは、映画では『天然コケッコー』や『苦役列車』、TVドラマでは『深夜食堂』などで知られる、山下敦弘

脚本は、TVドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』『アンナチュラ』『MIU404』や、映画『罪の声』『犬王』などで高い人気を誇る、野木亜希子
余談ですが、もともとこの方の脚本が大好きだった僕は、本作の脚本を執筆すると知って大歓喜しました。

 

主演を務めるのは、若干16歳の俳優、齋藤潤
TVドラマなどでも、主要キャストの少年時代の役とかで良く出ているみたいです。

もうひとりの主演は、言わずもがなの名俳優、綾野剛
出演作品が多すぎるので、代表作と言ったら何になるのかわからない…。最近だと、Netflix版『幽☆遊☆白書』で戸愚呂弟を演じていたりと、漫画の実写版によく呼ばれてるイメージ。僕は特オタなので、どうしても『仮面ライダー555』のスネークオルフェノクが最初に浮かんでしまいます。

そのほか、北村一輝橋本じゅんやべきょうすけ吉永秀平などのコワモテ俳優のほか、芳根京子坂井真紀といった豪華俳優陣が出演しています。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

とある合唱コンクールの会場。

森丘中学校で合唱部部長を務める岡聡実(演:齋藤潤)は、先生が忘れたトロフィーを取りにひとり戻ってきていました。そんな聡実の前に現れたのは、四代目祭林組若頭補佐、早い話がヤクザの成田狂児(演:綾野剛)。

狂児は聡実をカラオケへ誘うと、組のカラオケ大会で最下位にならないよう、聡実に歌のレッスンをしてほしいと頼んできます。狂児の勝負曲は、X JAPANの『紅』。聡実は渋々ながらも歌を教えることとなり――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

最高でした。

本作の公開は今年の1月で、公開直後に見に行ってたんですが、その後コロナに感染しちゃったりして感想を書くことが出来ず、もういいやってなっていました。ですが、最近お気に入りの映画館である柏のキネマ旬報シアターで先日より公開が始まり、もういちど見てきてやっぱり最高だったので、感想を書くことにした次第です。

 

と、いざ書き始めたはいいものの、本作の良さを上手く文章化する自信がないので、僕が良いと思ったところを箇条書きで書いていきたいと思います。

  • 聡実くんかわいすぎ
    聡実くん役の齋藤潤くんがハマりすぎててヤバい。あんなかわいい子、どこで見つけてきたの…。ビクッとするとき子犬みたいでかわいすぎるし、まだ子供っぽさの残る体の大きさとかも絶妙。制服にパーカー羽織るのとかも、いかにもって感じで良き。最後の歌も感情がこもってて最高でした。アレ先がわかっててもウルっとしちゃいますね。

  • 狂児イケメンすぎ
    もし実写化するなら…みたいなのはどうしても考えてしまうものですが、狂児のキャスティングはあまりにもドンピシャすぎる。歳不相応な若々しさ、シュッとした抜群のスタイル、優しさと怖さを兼ね備えた雰囲気、シリアスもコメディもできる超絶イケメン。それらすべてを持ち合わせた俳優なんて、綾野GOしか考えられん。いやしかし、あんなに歳不相応に若々しいスタイル抜群の優しくてでもちょっとミステリアスな超絶イケメンなヤクザなんて、この世におらんやろ。

  • キティちゃん恐怖症のおじさん出てくれた
    上で貼ったX(旧Twitter)にも書いている通り、漫画に出てくるキティちゃん恐怖症のおじさんが大好きで、実写化するならぜひ出て欲しいと願っていました。そうしたら、ちゃんと出てくる上に、キャスティングがチャンス大城というバチバチのハマりっぷり。最高以外の何物でもない。出てきただけでめちゃくちゃ笑いました。

  • アニキたちのキャスティングも最of高
    ハイエナのアニキが橋本じゅんでノリノリでももクロ歌ってたり、プロのアーティスト(湘南乃風)であるRED RICEが「声が汚い」と言われてたり、やべきょうすけのアニキの『白日』があまりにもカスすぎて大爆笑ものだったりと、アニキたちのキャスティングも納得感しかない最高のものでした。唯一、組長の北村一輝だけちょっと若すぎるかなーと思いましたが、違和感というほどのものでもないし、聡実くんにすごむところはさすがの迫力だったし、全く問題なし。
    ってあれ、「北村一輝が若すぎる」って前にも言った気がするな…と思ったらるろ剣でした。

    今回の敵である闇乃武のリーダー、辰巳は原作では結構なジジイなので、演じるのが北村一輝では若すぎる、とこのシリーズでは珍しくキャスティングに不満がありました。が、意外と違和感なくて良かったですね。

    映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』感想(ネタバレ) - GORGOM NO SHIWAZAKA

    そうした最高のキャストの皆さんの歌が、原作を読んでいて自分が何となくイメージしていたその通りなのが、また最高でして。「終始裏声が気持ち悪い」狂児の『紅』をはじめ、ビブラートのクセが強すぎたり声が汚かったりうるさかったりカスだったり、マジで僕が思い描いたそのまんまで笑いが止まらなかったです。
    主題歌であるリトグリの『紅』も、合唱アレンジがハマりまくっててめちゃくちゃ良い!


    www.youtube.com



  • 原作再現度が高すぎる
    上手く言葉に出来ないのですが、原作の持つ空気感というか雰囲気というか、そういったものが本作でもしっかり再現されていると思いました。ところどころテンポがイメージと違うなーと思うところもありましたが、特段気にするようなものでもなし。製作陣の原作愛のようなものが感じられて、なんだか嬉しくなりました。

 

おわりに

副部長の「和田ぁ~」が良すぎるとか、「愛って、与えるものなんやで」「何を与えるん?」「…なんやろ?わからん」のやり取りと、その後の母ちゃんが父ちゃんに鮭の皮あげるとこで「これが…!?」ってなるとこが悶絶するほどかわいすぎるとか、まだまだ挙げればいくらでも出てきますが、この辺にしときます。

僕の中で、早くも今年の邦画ベスト筆頭と言っても良いくらいに素晴らしい作品でした。アマプラ等でレンタルが始まってるみたいですし、ぜひ多くの方に見ていただきたいです。

ということで、映画『カラオケ行こ!』の感想でした。

ではまた。

映画『デューン 砂の惑星 PART2』感想(ネタバレ)

映画『デューン 砂の惑星 PART2』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

1965年に第1作目が出版され、『スター・ウォーズ』などの多大な作品へ影響を与えたとされる、フランク・ハーバード著のSF大河小説シリーズ、『デューン(Dune)』。

そのあまりの壮大さゆえに実写化不可能といわれていた小説を、見事に映像化してみせた前作、『DUNE/デューン 砂の惑星』。そして、その続編となるのが、本作『デューン 砂の惑星 PART2』です。

前作の直後からストーリーが展開され、一族を滅ぼされた主人公の復讐劇、そして宇宙で最も価値があるとされるスパイスを巡る争奪戦を、壮大なスケールで描いたスペースオペラとなっています。

 

いちおう前作も感想書いてますので、良かったらどうぞ。今見るとなんともイマイチな文章なので、いずれ書き直したい。

blacksun.hateblo.jp

ちなみに、本作では邦題の『DUNE/』が消えてますが、コレが公式です。なぜ付いたり消えたりするのかは謎。日本の配給会社の偉い人とかが考えてる(どちらかというと考えなしに決めてる)のでしょう。そういうとこやぞホンマ。

 

もくじ

 

概要

監督は前作と同様、ドゥニ・ヴィルヌーヴ
2016年の『メッセージ』や2017年の『ブレードランナー2049』などで知られ、スケールが大きすぎて映像化不可能といわれるSF作品は、全部この人に任せておけば大丈夫だろう、というイメージ。

脚本も前作同様。ドゥニ監督と、『プロメテウス』などのジョン・スペイツ、『フォレスト・ガンプ/一期一会』などのエリック・ロスが、共同で執筆しています。

 

主演も引き続き、ティモシー・シャラメ
2017年の『君の名前で僕を呼んで』での演技が絶賛され、アカデミー賞主演男優賞などにノミネート。昨年末に感想を書いた『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』でも、主演を務めています。

そのほか、MCU版『スパイダーマン』シリーズのゼンデイヤ、『ミッション:インポッシブル』シリーズのレベッカ・ファーガソン、『アベンジャーズ』シリーズのジョシュ・ブローリン、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのデイヴ・バウティスタ、『007 スカイフォール』などのハビエル・バルデム、『マイティ・ソー』シリーズのステラン・スカルスガルドといった、おなじみのキャストが出演。

さらに新キャストとして、2022年の『エルヴィス』にてエルヴィス・プレスリーを演じ話題となったオースティン・バトラー、『ミッドサマー』や『ブラック・ウィドウ』などで知られるフローレンス・ピューらが出演しています。フランス版『美女と野獣』でベルを演じたレア・セドゥと、5月公開の『マッドマックス:フュリオサ』で主演を務めるアニャ・テイラー=ジョイもちょっとだけ出演していて、この2人の出演を知らなかった僕はビックリしました。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

遥か未来。
デューン(砂丘)という名でも知られる砂漠の惑星、アラキス。この星では、メランジと呼ばれる、抗老化・精神拡張などの作用を持つスパイスが宇宙で唯一産出され、アラキスを制する者は宇宙をも制すると言われていました。

宇宙帝国よりアラキスの統治を命じられたアトレイデス一族は、帝国とハルコンネン一族の仕組んだ陰謀に巻き込まれ、滅亡してしまいます。生き残ったアトレイデス公爵家の後継者、ポール・アトレイデス(演:ティモシー・シャラメ)は、一族を滅ぼされた復讐のため、アラキスの原住民族フレメンと共に、彼らの暮らしを学びながら、フレメンの戦士“フェダイキンとなるべく訓練を積んでいました。

一方、ポールの母、レディ・ジェシ(演:レベッカ・ファーガソン)は、ポールをフレメンの間で伝説の預言者として語り継がれる“リサーン・アル=ガイブ(外世界からの声)とするべく、暗躍を始めます。

その頃、ウラディーミル・ハルコンネン男爵(演:ステラン・スカルスガルド)は、甥であるフェイド=ラウサ・ハルコンネン(演:オースティン・バトラー)へフレメンの殲滅を命じ、アラキスへと送り込みます。それを阻むのは、“ムアディブ(トビネズミ)という戦士の名を授かったポールたち。

スパイスを巡る争奪戦は、いつしか宇宙の覇権を巡る争いへと発展していく――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

見応えの塊のような、すさまじいスケールの作品でございました。

やはりなんといっても素晴らしいのが、作りこまれた世界観。
設定とかに関しては原作があるので置いとくとして、僕が言いたいのはビジュアル面の話。広大な砂漠のロケーションやVFXもさることながら、衣装であったりセットであったり、至る所が妥協無く作りこまれていて、「遥か未来の彼方の惑星を舞台にしている」のがひと目でわかるビジュアルの数々は、素晴らしいとしか言いようがないです。『スター・ウォーズ』とかみたいに宇宙中を駆け回ったりせず、ひとつの惑星を舞台にした作品ではありますが、壮大さでは全く引けを取らないと思います。

作品を象徴する“サンドワーム(砂虫)も、前作ではなんというか、マリオでいうドッスンのような、さながらステージギミックのような扱いだったように思いますが、本作ではフレメンと交流を深めるのもあって、死体処理に使ってみたり、乗りこなしてみたりと、色々と活用されていて非常に面白かったです。後半、フレメンたちが操るサンドワームの大群が敵を蹂躙するとことか、その大きさ、得体の知れなさ、恐ろしさがビシビシと伝わってきてマジで怖かった。襲われる側はたまったもんじゃないですわな。もう絶望しかない。

 

ストーリー面で言うと、あらすじで書いたような専門用語が飛び交いまくるので混乱しそうになるのですが、大枠は「悪いヤツら(つるっぱげオッサン軍団)に家族を皆殺しにされた主人公(超絶美少年)が、奪われたものを取り返すためにみんなと協力して立ち向かう」というものなので、そこまでわけわからなくならないのもいいなぁと。ルッキズムは良くない。それと、ポールが戦士になるための修行?儀式?に出発したと思ったら、次のシーンではもう戦士として戦いに参加してるみたいな、見ようによってはブツ切りともとれる場面が結構あったのですが、それでもそこまでわかりにくさは感じませんでした。3時間近くある大作ですが、「すごいがんばっていろいろ削って、どうにかこの時間に収めてるんだな」という印象。それでもちゃんと成立させているのは、脚本というか、セリフや展開の組み立てが優秀なんでしょうねきっと。

ベネ・ゲゼリットとかいう、カルト宗教のような秘密結社のあれやこれやに関しては、相変わらず雰囲気はすごいけど何言ってるかわからん(笑)ので、最悪無視してもいいかもしれません。そこまで本筋に関わってこないですし。母ちゃんだけはガッツリ関わってきますが、息子のポールを預言者として祀り上げてアラキスを牛耳り、ゆくゆくは宇宙全体も牛耳ろうとしてる、というのはわかりました。そして結局、最後までその目論見通りに事が運んでいるのが恐ろしい。

 

そーいや鑑賞後、劇場を出る時に「余計なシーン多すぎて長い!」みたいなことをデカい声で話してる人がいました。「主人公強すぎ!ナルトかよと思った!」だのなんだの、ワーワー言うておりました。デカい声でそういうこと話してると、僕みたいな根暗ぼっち野郎に全部聞かれてるから気を付けてくださいね。盗み聞きみたいなマネしてほんとごめんなさいね。声がデカかったのでね、聞こえてしまったんです。すみませんね。とりあえず言えるのは、本作はデートムービーには向かないと思うので、おとなしく家でナルトを見てください。映画館で見るのなら、『恋わずらいのなんちゃら』や『変なアレ』の方が良いかと思いますよ。

 

おわりに

なんか最後の方、我ながらすごくキモくなったので、この辺でやめときます。
ティモシーが見たいだけなら『ウォンカ』の方が良いと思いますよ(恥の上塗り)

壮大なスペクタクルに没入したい!という方は、IMAXなどの出来るだけ大きいスクリーンと高品質な音響で鑑賞をオススメします。本作の大ヒットを受けて続編の制作も決定したそうですし、僕も公開されるまではがんばって生きていこうと思います。

ということで、映画『デューン 砂の惑星 PART2』の感想でした。

ではまた。

Vシネクスト『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』感想(ネタバレ)

Vシネクスト『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

仮面ライダーギーツ』は、2022~2023年にかけてテレビ朝日系列で放送された、仮面ライダーシリーズの1作。

人々の“願い”をテーマに、生き残りをかけた熾烈なバトルロワイヤルと、それに挑む多数の仮面ライダーたちの人間ドラマが描かれました。

 

ギーツに関してはたくさん記事を書いていますので、併せてお読みいただけると嬉しいです。

blacksun.hateblo.jp

blacksun.hateblo.jp

blacksun.hateblo.jp

 

そんなギーツの正統続編、および真の最終章として製作されたのが、本作『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』です。

東映Vシネマシリーズ、Vシネクスの1作として、DVD/Blu-rayの発売に先行して期間限定で劇場公開されています。

 

もくじ

 

概要

Vシネクストという名称が使われ始める前から、仮面ライダーVシネマシリーズでは、主役ではなく、2号・3号ライダーと呼ばれる、いわゆるサブライダーにスポットを当てた作品が作られることが通例となっています(例外もあり)。本作もその慣習に倣い、ライバルキャラとして登場した吾妻道長仮面ライダーバッファをメインに据えた作品となっているのが特徴。

TVシリーズのその後を舞台に、人類を滅亡に導く最凶の相手との最後の闘いが描かれています。

 

監督を務めるのは、坂本浩一
スタントマンとして活動したのち、映画監督を志し渡米。長年にわたり『パワーレンジャー』シリーズの監督や製作総指揮を担当しました。2009年に帰国し、『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE』の監督を務めて以降、日本を拠点に『仮面ライダーフォーゼ』『獣電戦隊キョウリュウジャー』『ウルトラマンギンガS』のメイン監督を務めるなど、今や日本の特撮界においても欠かすことの出来ない人物です。

脚本は、TVシリーズと同様、高橋悠也
仮面ライダーエグゼイド』のTV・映画・Vシネ全ての脚本を執筆し、『仮面ライダーゼロワン』でもメイン脚本を担当。ギーツでも、全話の脚本を書いています。

 

キャスト陣は、簡秀吉杢代和人佐藤瑠雅星乃夢奈青島心志田音々など、TVシリーズと変わらぬ面々のほか、実写版『暗殺教室』などに出演している松永有紗、舞台『仮面ライダー斬月』への出演や声優としても活躍している萩谷慧悟、『炎神戦隊ゴーオンジャー』でゴーオングリーンを演じた碓井将大らがゲストとして出演しています。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

浮世英寿仮面ライダーギーツ(演:簡秀吉)が“神”となって世界を作り変えてから、しばらくの時が流れた世界。かつてデザイアグランプリに参加し生き残りをかけて戦っていた者たちも、それぞれの“願い”を叶えるべく、穏やかながらも充実した日々を過ごしていました。

しかし、そんな日々に終わりを告げるかのように、鳴り響く一発の銃声。

宇佐神清春(演:碓井将大)という青年が警官によって撃ち殺され、妻の葉月(演:松永有紗)は激昂し、クイーンジャマトとなって人々を襲い始めます。吾妻道長仮面ライダーバッファ(演:杢代和人)、桜井景和仮面ライダータイクーン(演:佐藤瑠雅)、鞍馬祢音仮面ライダーナーゴ(演:星乃夢奈)が止めようと立ち向かっていると、そこへ現れたのは白い髪をした英寿。彼は「人類を滅亡へ導くゴッドジャマトを止める」と言い、仮面ライダードゥームズギーツへ変身。そして、なぜか道長たちを攻撃してくるのでした。

どうにかその場を脱するも、戸惑いを隠せない道長たち。そこへ、ジャマトのスポンサーとしてライダーたちを何度もピンチに陥れてきた、あのベロバ(演:並木彩華)が現れます。

ベロバが道長に執拗に付きまとう、その目的とは。白髪の英寿が言う“人類の滅亡”とは。そして、ゴッドジャマトの正体とは――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

大変見応えのある作品でした。

特筆すべきは、やはり素晴らしいアクションの数々。ダイナミックなカメラワーク、大技をくらった後の吹っ飛び方、役者に激しいアクションさせがち、などなど、特撮ファンは見てたら「あ、コレ坂本監督だな」とわかるくらいに特徴的なアクション演出が、本作でもいかんなく発揮されていました。道長を演じる杢代くんや景和を演じる佐藤くんは、ダンスをやってるだけあって魅せるアクションが上手い。袮音を演じる夢奈ちゃんもしっかり頑張ってました。

中でも、ダムでのバトルシーンは本当に凄かった。お得意のワイヤーアクションや、ウルトラ系を彷彿とさせる寄りの画を多用したど迫力の撮り方など、日本三大ヒーロー(ライダー・戦隊・ウルトラ)すべてに携わっている坂本監督だからこそできる、カッコいいシーンをいいとこ取りしたような、大変素晴らしいものでした。

 

あとはなんと言っても、女の子たちがとにかくかわいい。

ひとつ前の『マダム・ウェブ』の感想でも書いてるし、なんか最近コレばっか言ってる気がしますが、実際かわいいんだから仕方ない。TVシリーズに出演した女の子たちがほぼオールスターで再出演してくれて、なんとも眼福でした。仮面ライダーロポこと、小貫莉奈ちゃんも出てくれたら完璧だったのに。プロアクティブのCM、めっちゃかわいいよね。

さらに、本作のゲストキャラ、葉月を演じる松永有紗ちゃんも、また顔が良いのなんの。幸薄い役が似合いそうな感じとか、どことなく山本千尋ちゃんに似た雰囲気を感じるので、きっと坂本監督の趣味なのでしょう(笑) いいぞもっとやれ。

 

脚本も、個人的には良かったと思います。

ゴッドジャマトの正体は早い段階で察しがついてしまったものの、何度もミスリードを誘う話運びは素直に面白かったです。相手がジャマトだろうが悪いヤツじゃなければ戦わず、逆に悪いヤツであればトリプルライダーキックをお見舞いして容赦なくぶっ倒すところも、派手な見せ場をしっかり用意してくれるという点でも良かったし、各キャラ(主に道長)の成長も感じさせて、いろんな意味で良かったです。

満を持しての登場であるバッファの最強フォーム、プロ―ジョンレイジも、既存のスーツを流用しつつちゃんと別物に見せていて、めちゃくちゃカッコよかったです。下半身は靴以外まるごとモンスター、肩はコマンド、武器(盾?)はゲムデウスクロノス、頭と胴体だけ新規かなと思いましたが、どうだろう。最早忘れかけていた、道長の中のジャマトの力を活かしてくれたのもグッときました。

白髪の英寿が変身するドゥームズギーツも、強者感がよく出ていてカッコよかったですね。男の子はみんな金×黒が大好き。

仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』では異種族間の溝が埋まるどころかむしろ悪化していましたが、本作ではその辺にも少し踏み込んでいて、好感が持てました。おそらく、「罪を憎んで人を憎まず」からの「未来はいくらでも変えられる」的なことを言いたいのだと理解しましたが、つい最近まで放送していた、小さい子供の観客も多くいるであろう作品では、たとえ綺麗事だとしてもこうした展開が適切なんだろうなぁと。ファイズに関してはもう20年も前の作品で、メインの客層はオッサンでしょうから、多少ドライな展開もアリだと判断したのかもしれないですね。

 

おわりに

毎度まとまりのない感想ですが、以上になります。

僕がギーツ大好きというのもあり、本作も非常に楽しめました。ギーツファンは一見の価値ありかと。Vシネクストにしてはハードな展開も控えめなので、お子さんも十分に楽しめるのではないでしょうか。

ということで、Vシネクスト『仮面ライダーギーツ ジャマト・アウェイキング』の感想でした。

ではまた。