GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『ブレット・トレイン』感想(ネタバレ)

映画『ブレット・トレイン』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

世界的大スター、ブラッド・ピット主演最新作が本作、『ブレット・トレイン』になります。
タイトルのブレット・トレイン(直訳で弾丸列車)は、日本の新幹線の事を指す言葉なんだとか。そう言われてみれば確かに弾丸みたいな形してますね。

原作は伊坂幸太郎の小説、『マリアビートル』。これは“殺し屋シリーズ”と呼ばれるものの1作だそうで、このシリーズは累計発行部数300万部を記録するほどの人気なんだとか。ちなみにシリーズ1作目の『グラスホッパー』は、生田斗真主演で実写映画化されています。

 

伊坂さんは東北大学卒で宮城県仙台市在住ということもあり、仙台を舞台にした小説を数多く執筆しています。『アヒルと鴨のコインロッカー』や『ゴールデンスランバー』など、仙台をロケ地に撮影された映画も多く、同じく地元が仙台である僕は勝手に親近感を覚えています。まぁ、活字の羅列を見てると眠くなってくるタチなので小説も読めてないし、映画もタイミングが合わなくて全然見れてないですけど…。

そうした日本の小説を原作とした映画がハリウッドで製作され公開される、しかも僕の大好きな「海外の人が思い描くNIPPON(勝手にコレジャナイジャパンと呼んでいます)」が舞台ということで、面白そうだなーと思い、見てきました。率直な感想としては、ハラハラドキドキのスリリングな展開がずっと続く、とても楽しいエンターテインメント作品になっていると思いました。

 

本作の監督は、元々ブラピのスタントダブル等をしていた、スタントマン出身のデヴィッド・リーチ
2014年の『ジョン・ウィック』の共同監督(クレジットなし)としてデビューし、近年では、2017年の『アトミック・ブロンド』、2018年の『デッドプール2』、2019年の『ワイルド・スピードスーパーコンボ』など、話題作の監督を多く務めています。
ちなみに、ドラマ『ツイン・ピークス』等で知られるのはデヴィット・リンチ。紛らわしい…。

 

俳優陣に関しては、ブラピと我らが真田広之が出演してる、くらいしか知らない状態で見たんですが、『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』のアンドリュー・小路、『キック・アス』『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のアーロン・テイラー=ジョンソン、『ゴジラ vs コング』『エターナルズ』のブライアン・タイリー・ヘンリー、『デッドプール2』のジー・ビーツ、『マン・オブ・スティー』のマイケル・シャノン、といった豪華俳優陣が出演していました。あとはチョイ役で『HEROES』のマシ・オカや、『スーサイド・スクワッド』『ザ・ボーイズ』の福原かれんが出ていたりと、ほぼ僕の好きな俳優さんしか出てなくて最高でした。

 

↓予告編はこちら(全年齢版っぽいヤツを貼ってます)


www.youtube.com

 

なんかもう書きたいこと全部書いちゃったような気もしますが、ぼちぼち本編の感想に参りたいと思います。

 

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舞台は、日本。東京。

息子に瀕死の重傷を負わせた相手へ復讐するため、キムラファーザー(演:アンドリュー・小路)は、東京発・京都行の高速鉄道に、銃を片手に乗り込みます。

時を同じくして、復帰したての殺し屋、レディバ(演:ブラッド・ピット)も、とあるブリーフケースを回収する依頼を受け、列車へと乗車。殺し屋コンビのタンジェリン(演:アーロン・テイラー=ジョンソン)とレモン(演:ブライアン・タイリー・ヘンリー)、イギリス人女子学生のプリンス(演:ジョーイ・キング)も乗っています。

更に、メキシコ人の殺し屋ウルフ(演:ニート・A・マルティネス・オカシオ)、毒使いの殺し屋ホーネット(演:ジー・ビーツ)、キムラの父エルダー(演:真田広之)らも、それぞれの思惑で続々と列車へ途中乗車してきます。

そうして、同じ列車に乗り合わせた殺し屋たちの運命が交錯していく――。

というのがあらすじ。

 

まず、上でも書いてますが、世界観が大変僕好みでした。
「辺り一面ネオンがギラギラに光り輝くTOKYO」「世紀末な人達がヒャッハーしてるSHIZUOKA」「江戸時代にタイムスリップしたかのようなKYOTO」といった、いろんなコレジャナイジャパンが見れて、「そうそう、コレコレ!」とひとりでテンションブチ上がってました。

ストリートビューとかでいくらでも日本の風景は見れますし、実際こんな街並みじゃない事はすぐにわかりそうなもんだけど、わざとこういう風にしてるんですかね?まぁ、海外の人にはこう見えてる、って事なんだと思います。僕としては「これでいい。むしろこれがいい」って感じだし、「ドモアリガトゴザマス(劇中のブラピっぽく)」という思いです。

 

舞台となる高速鉄道は、原作では東京発・盛岡行の東北新幹線がモデルらしいですが、映画では東海道新幹線をモデルとしたであろう、京都行に変わってました。列車のデザインも、リニアモーターカーみたいにアレンジされていました。

東北人の僕としては「なんで盛岡やないねん!盛岡いいとこやんけ!」となりますが、海外の人からしたら盛岡ってどこ?って感じでしょうしね…。京都の方がわかりやすいだろうし、映像化もしやすいだろうし、致し方無しかと。

余談ですが、「新幹線に“ファーストクラス”は無いんやで…!あるのは“グランクラス”やで…!」というツッコミは野暮なのでやめときましょう。そういう世界観なんですから。

 

各キャラクターに関しては、一癖も二癖もあるような人ばかりで、非常にキャラが立っていて面白かったです。

ブラピ演じるレディバグは、『ダイ・ハード』のようなとにかくトラブルに巻き込まれまくる運が悪い系の主人公で、おかげで話がどんどん進んでくれるのが心地良かったです。間抜けになりがちなキャラクター像も、ブラピが演じるとその溢れ出るスターオーラのおかげか、ちゃんと主人公らしく見えるからすごい。

タンジェリンとレモンの殺し屋コンビも、掛け合いがずっと楽しくて良かったです。『きかんしゃトーマス』ネタをいちいち持ち出してくるのが笑えました。原作では双子のようにそっくりな見た目らしいですが、映画では全く違う見た目になっています。僕は原作読んでないので何とも思いませんでしたが、ファンの人はどうなんだろうか…。

プリンスは、原作では男子中学生らしいですが、映画では若干年齢を上げており、大人を手玉に取るほどの頭脳の持ち主という設定に説得力を増していました。演じるジョーイ・キングの制服姿は、ムチムチしていて堪りませんでしたな(色々とアウトな文章)。ちょっとゴスっぽいメイクや、人を見下したような喋り方も、キャラにマッチしていて良かったですね。

キムラは、悪いヤツらに利用されまくってしまうというキャラクターが、なんとも日本人らしいというか…。演じるアンドリュー・小路は、顔は日本人なのに日本語あまり上手くないのが、とても愛嬌があって好きです。『G.I.ジョー』続編、楽しみにしてます。

キムラの父である元任侠のエルダーは、演じてるのが我らが真田広之なので、最高というほかない。霧煙る米原駅で列車に乗り込む姿はシブすぎて泡吹いて倒れるかと思いましたし、アクションも還暦越えてるとは思えないキレで、相変わらずお見事でした。強いて不満を挙げるとしたら、もっと出演時間増やしてくれ、というくらい。

新幹線の車掌役でマシ・オカがちょっとだけ出てましたが、いくら切符失くしたからって客にあんな失礼な態度取るヤツいるのか?と思ってしまいました。そもそも、今はネットでチケット買う人も多いし、今時電車の中で「切符拝見しまーす」なんて言う人いない気もしますが…。まぁ原作でもそんな感じらしいですけど。

福原かれんも、車内販売員の役でちょっとだけ登場。バックヤードに入り込む客にまでにこやかに「失礼いたしまぁす」とか言ってんのはなんかちょっと違和感ありました。そこは毅然と「出てってください」でいいのでは。実はコイツも殺し屋なのでは…と思いましたが、特にそんなことはなかったんだぜ。

それにしても、我らが真田、マシ・オカ福原かれん辺りは、ちゃんとした日本語が話せる海外で活躍中の俳優さんという事で、日本人キャラを出すときとか日本が舞台のときとかに重宝されている印象。同じ日本人として喜ばしい限り。もっとこういう人が増えていってくれるといいなぁ。

ウルフはあまり見せ場なくやられてしまいましたが、結婚式の回想シーンの人の死にっぷりが地獄絵図過ぎてビビりました。

そしてその大虐殺の犯人であるホーネットは、演じてるのが『デッドプール2』の個人的MVP、ドミノを演じたザジー・ビーツなので、ちょっと色眼鏡で見ちゃいました。某五輪のマスコットキャラを絶妙にキモくしたようなゆるキャラ(?)、モモもんの着ぐるみの中にずっと入ってた、というのもナイスでした。ブラピに思いっきり殴られて着ぐるみの頭ベコッてなるとこ、めっちゃ面白かったです。でも正体を明かしてからは割とあっさりやられちゃうのがちょっと残念。
ちなみにホーネットの日本語吹き替えは、フワちゃんがやっているらしいですね。うん、心底どうでもいい。字幕で見る派で良かった。
あ、そういや毒の抽出元であるヘビは最後まで生き残ってましたね。「※この映画では動物に危害は加えられていません」てヤツでしょうか。

殺し屋たちを列車に乗り込むよう仕向けていた首謀者であり、裏社会で知らぬ者はいないほどの超大物である、ホワイト・デス(演:マイケル・シャノン)。この人どっかで見たことある気がするなー、と思ったら、『マン・オブ・スティール』でゾッド将軍を演じた人でした。ロシア人だからロシアンルーレットが好き、というダジャレっぽい発想も面白いし、自分のこめかみに銃口当てて迷いなく引き金を引く、という狂人っぷりも相まって、なかなか良いボスキャラでした。

彼が乗り込んできてからのクライマックスは、列車同士が衝突するわ、猛スピードで脱線して京都の町に突っ込むわで、スペクタクルとしてはものすごかったけど、「とんでもねぇ大惨事やんけ…しばらくニュースはこの話題で持ちきりになるだろうな…」とか要らんこと考えちゃいました。あと、モモもんの着ぐるみがクッションになった悪運の強いレディバグをはじめ、「あれだけの事故なのにみんな生存してるのすごすぎない?(特にプリンス…)」とかこれまた要らんこと考えちゃいました。

あと最後の最後に、レディバグに電話でずっと指示を出していたハンドラー、マリア・ビートル(演:サンドラ・ブロック)がちょっとだけ登場します。サンドラ・ブロックだったのか…!とちょっと驚きましたが、よくよく考えてみると、ただ電話してるだけのこのキャラ、別に要らなくね?と思いました。実は重要なキーキャラクターだったとか、実は裏切ってたとかならまだしも、全くそんなこともなかったですし。原作でも出てくるみたいですが、別に削っても良かったのでは…。

 

各キャラについてはこの辺にしときまして。

あとひとつだけ言いたいのは、原作では日本人という設定のキャラクターを白人に置き換えたことに対して、ごく一部の声のデカい人達が「ホワイトウォッシングだ!」と批判しているらしい、という話。

「原作の“日本が舞台”という点は踏襲しているのに、キャラだけ白人に置き換えるのは日本人差別じゃないのか!アジア人が主役ではヒットしないと思ってるんだろ!今や『シャン・チー テン・リングスの伝説』等でアジア人を主役にした映画が世界中でヒットしてるじゃないか!人種差別だ!そうに違いない!」というのが、彼ら彼女らの論調らしい。

なんというか、何言ってんだコイツら…ヒマなの?と思ってしまいますね…。
原作者の伊坂さんは、ハリウッドでの映画化にあたり「日本にこだわらなくていいですよ」って言ってたらしいですし、映画の出来にも満足しているらしいです。それに大多数の日本人は、「日本の小説がハリウッドで映画化!?しかもブラピ主演!?すげぇぇぇ!!」と思うだろうし、少なくとも本作を見て「え、ウチら見下されてない?」なんて思う日本人はほとんどいないと思います。あからさまに差別してるんだとしたらそれは許せませんが、上述の通り本作には日本人キャストも多く、差別的な意図は何も感じませんでした。当人たちが何とも思わない事を、無関係の人達がギャースカ騒いでるのは、お門違いもいいところじゃないですかね。

なんすかね、こういうこと言う人達って疲れてるんですかね?ちょっと前に、ヴィーガンの人がものすごい剣幕で何かを叫んでいる目の前で、幸せそうに無言で肉を食う人の動画が話題になりましたが、アレと同じな気がします。心にゆとりがないから、ヒステリックになっちゃうといいますか。だからもう、おいしいもん食ってゆっくり寝てください、としか言えないし、そんなくだらないことでいちいちデカい声出さないでもらえますか、楽しんでいる人達の迷惑なので…というのが個人的な意見。
ちょっと語気が強くなっちゃいましたが、なんでもかんでも目くじら立てるのやめようよ、というお話でした。

 

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そんな感じで、個人的満足度の高い映画でした。

ハイテンションなアクションをノンストップで楽しめる作品になっていると思いますので、そういった作品が好きな方は見に行って損なしかと。

ということで、映画『ブレット・トレイン』の感想でした。
ではまた。