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映画『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』感想(ネタバレ)

映画『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

007』シリーズと並んで、スパイ映画の金字塔となっている『ミッション:インポッシブル(M:I)』シリーズ。
その最新作となるのが、本作『デッドレコニング』です。

PART ONE』とついている通り、本作のみで完結せず、シリーズ初となる前後編の2部作構成で、人類全体を脅かすほどの強大な相手と立ち向かう、スパイ・アクション超大作となっております。

 

“Dead Reckoning”は日本語では“推測航法”といい、起点や進んだ距離などから現在の位置情報を推測する、船や飛行機の運航などに用いられる航法のことを指すんだそうです。カーナビのGPSなどでも利用されているんだとか。トンネル入ってもナビが問題なく動いているのは、コレのおかげっぽいです。

本作においては、「主人公の過去を起点とし、進むべき道を探っていく」という、これまでのシリーズの集大成的な意味合いとなっています。

 

もくじ

 

概要

このシリーズは、1960年代~70年代にかけて放送されていたアメリカのTVドラマシリーズ、『スパイ大作戦』がベースになっている、というか一応続編という扱いになっているらしいです。僕が生まれる遥か前にやっていたシリーズなので、全然知りませんでした。

映画の方は1996年に第1作目が公開され、『ターミネーター2』や『ジュラシック・パーク』を超えるほどの興行収益を記録。映画の大ヒットを受けシリーズ化され、これまで6作の映画が製作されてきました。

 

主演、及びシリーズ通して製作を務めるのが、皆さんご存じの大スター、トム・クルーズ
キレイな顔してるだろ。ウソみたいだろ。あのルックスで、60歳超えてるんだぜ。

「明言を汚すな」という声は聞かないことにします。(『タッチ』より)

近年では、彼の名を一躍有名にした『トップガン』の続編、『トップガン マーヴェリック』の大ヒットも記憶に新しいですね。

監督・脚本・製作を務めるのは、クリストファー・マッカリ―
「優れた脚本の映画と言えば?」と映画好きに聞くと必ずと言っていいほど名前が挙がるほどの名作、『ユージュアル・サスペクツ』の脚本を書いたお方です。トムとは2012年の『アウトロー』で初タッグを組み、『ローグ・ネイション』以降のM:Iシリーズ全てで監督を務めています。

その他のキャストには、『キャプテン・アメリカ』シリーズ等でペギー・カーターを演じたヘイリー・アトウェル、1作目から主人公の頼れる仲間を演じているヴィング・レイムス、コミカルなおじさん役で至る所に出演しているサイモン・ペッグ、『レミニセンス』や『DUNE/デューン 砂の惑星』などに出演しているレベッカ・ファーガソン、『マイアミ・バイス』『NYPDブルー』『クリミナル・マインド』などの多くのTVドラマに出演しているイーサイ・モラレス、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズのマンティス役で知られるポム・クレメンティエフなど、豪華な俳優陣が出演しています。

 

余談になりますが、僕は正直あんまりこのシリーズが好きじゃない時期がありまして。

2作目の『M:I-2』の時が顕著だったと思うのですが、トムのナルシズムが前面に出すぎているような気がして、イキリ散らしている感じというか、オレツエー感を強く感じてしまったといいますか。それがすごく鼻について、トムとこのシリーズをちょっと嫌いになってしまった…そんなふうに考えていた時期が、僕にもありました。

なぜか今回は漫画からの引用が多め。(『バキ』より)

ですが、以降の3作目の『M:I:III』や4作目の『ゴースト・プロトコル』ではそういうのが薄れてきたように見えたのと、トムが年齢とシリーズを重ねるごとにどんどん無茶苦茶なアクションに挑戦しているのが単純にすごいと思い、最近はだいぶ好きになりました。トムがサイエントロジーとかいう怪しげな宗教に傾倒しているのは、ちょっと心配になりますけども。

とか言いつつ、5作目『ローグ・ネイション』と6作目『フォールアウト』は見た記憶が無かったり…。『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』の時みたく、本作を見る前に過去作おさらいしてから行こうと思ったんですが、アマプラ見放題になかったので断念。…ってあれ、改めてチェックしてみたら全部見れるっぽいな…見間違いだったかな?まぁいいや、いずれ見よう。

本作には過去作に登場したキャラとかも出てきますが、特に見てなくても問題は無かったです。

 

そーいや、本作の撮影中、一部スタッフの新型コロナウィルスへの対策が不十分だったことに対し、トムが「F○ck」などのワードを連呼して激しく叱責した、というのが一時期話題になりましたね。もしかすると、トムとスタッフとの間で、映画にかける熱量に差があったのかもしれません。いつ事故ってもおかしくない(というか事故ってる)アクションをスタント無しでやっているトムは、誇張抜きで「命懸けて」ますもんね。

とはいえ、撮影中でいろいろナーバスになっていたのかもしれませんが、この行動はちょっと迂闊だったかな、と。こうして一挙手一投足が全てニュースになってしまうのは大変だなーと思いますが、それを自覚したうえで行動する必要があったのかなぁとも思いますしおすし。ま、外野がワーワー言うとるだけですけどね。

 

あ、あとあと、本作のプロモーションのために親日家でもあるトムが来日する予定だったものの、現在も続いている俳優や脚本家らの大規模なストライキの影響で、急遽来日がキャンセルされる、という一件もありましたね。コロナ禍もようやく落ち着いて、映画産業もこれから盛り返していこう、というこのタイミングで起こすことないのに…というのは、僕だけでなくみんな思っているようですね。どうやらストは年末まで続く可能性もあるとのことですし、その間は撮影もストップしてしまうらしいので、少なくとも来年公開予定の『PART TWO』は延びそうな予感…。本作が無事に公開されただけでも良かったと思うべきか。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

どこかの国の、海底。

試験運用中のロシアの次世代潜水艦、セヴァストポリは、高度なAIを用いた新型の航行システムを搭載し、敵に絶対に探知されない、最強の軍艦となることを期待されていました。しかし、突如AIが暴走を始め、自ら発射した魚雷によって、艦は沈没。消息不明に。
乗組員は全員死亡し、十字架をかたどった謎の2本の鍵だけが残されました。

IMF(インポッシブル・ミッション・フォース)のメンバー、イーサン・ハント(演:トム・クルーズ)は、CIA長官、ユージーン・キトリッジ(演:ヘンリー・ツェニー)より、その鍵の奪還を命じられます。セヴァストポリ号に搭載されていたAIは“それ=エンティティ”と呼ばれ、ネットワークに侵入して学習を続けた結果、世界中のあらゆる情報、金融、防衛などを操作することの出来る、全人類にとっての脅威となりうる存在にまで成長していました。そして、2本の鍵はエンティティを制御するための、文字通り“カギ”になるものであることが語られます。

イーサンは、凄腕ハッカールーサー・スティッケル(演:ヴィング・レイムス)、技術屋のベンジー・ダン(演:サイモン・ペッグ)、元MI6エージェントのイルサ・ファウスト(演:レベッカ・ファーガソン)らチームのメンバーと共に、鍵を手に入れるべく行動を開始。

その中で、イーサンの過去に深い関わりを持つ謎の男、ガブリエル(演:イーサイ・モラレス)の影がちらつき始めます。イーサンがIMFへ入るきっかけを作ったというこの男よりも先に鍵を手に入れ、エンティティの暴走を止めることが出来るのか――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

文句なしに楽しい、アクション・エンターテインメント作品でした。

ですが、ここまで約3000字ほどかけて長々と前置きを書いてきたのは、「とってもたのしかったです」以外に特に感想が無いからだったりするのです…。面白くない訳では断じてなく、何も考えずに見てもアクションを堪能するだけでお釣りがくるくらいの、いうなれば僕が一番好きなタイプの映画でした。

 

映画でも現実でもトムの敵は…

概要でも軽く書きましたが、現在、俳優や脚本家が起こしたストライキの真っただ中です。

その原因となったのは、動画配信サービスと、AIの台頭。
作品が映画館で公開されれば、その興行収入に応じた報酬が、俳優陣に支払われます。また、Blu-rayなどの媒体が発売された際にも、売り上げに応じて報酬が支払われます。しかし、動画配信サービスでの配信に関しては、それらに比べ俳優が貰う報酬が非常に低いのだとか。動画の再生数は基本的に公表されませんし、サービスを提供する側(ネトフリやアマプラなど)のさじ加減ひとつ、ということなのでしょうか。知らんけど。
ビデオなどが発売される際に俳優陣にお金が入る仕組みもストライキによって勝ち取ったものだそうで、今もそうした時代の移り変わりの時期なんでしょうね。早いとこ双方納得する形で決着がついて欲しいものです。

AIに関しては、自身が執筆した脚本がAIの学習に使われること、また俳優が演じなくてもAIが作成した映像で映画が作られること、これらに俳優や脚本家は反対しているのだとか。エキストラ雇わなくてもAIに映像作ってもらえばいいやーみたいになったら、エキストラ俳優たちはそりゃたまったもんじゃないですわな。

www.gizmodo.jp

そして本作でも、AIが人類の脅威として描かれています。過去にも『ターミネーター』や『マトリックス』などで機械が反乱を起こす映画は作られてきていますが、いよいよそれが現実になってきた感がありますね。しっかしこの計ったようなタイミング、トムたちの“意志”のようなものを感じざるを得ない…。どう考えても現実とリンクさせてるでしょこれ。

 

素晴らしいアクションの数々

とまぁ、そんな小難しいことを考えずとも、本作(というか本シリーズ)は十分に楽しめるよう作られています。

なんといっても、トムのスタント無しのアクションは本当にすごいとしか言いようがない。どうして還暦過ぎてるのにあんなに早く走れるのか、不思議でならないよアタシは。

 

超高層ビルの壁面に命綱なしで張り付いたり、ビルからビルへ生身で飛び移ったり、離陸する飛行機の側面に生身でしがみついたり、毎回目玉となるアクションシーンを用意しているのも、本シリーズの特徴のひとつ。今回の目玉は、バイクで崖からジャンプし、しばらく滑空したのちに、パラシュートで走行中の列車に降り立つ、というもの。予告とかでさんざん見てますが、やっぱりとんでもないシーンでした。ただ、わざわざあんな高いところからダイブしなくても…と思うと、トムがやりたいアクションを強引にストーリーにねじ込んだように思えてしまうのと、その後の降着シーンはちょっと荒唐無稽でギャグっぽくなっていたので、ちょっとすごさが目減りしてしまったような、そんな印象を受けました。

 

クライマックスの落ちていく列車から脱出するシーンも、さながらステージクリア型のアクションゲームのようで、大変見応えがありました。床に油が流れ出して滑ってうまく進めないとか、車両が落ちる衝撃で一瞬無重力になるとか、グランドピアノが落ちてくるのをすんでのところで回避するとか、各車両ごとに違ったギミックが仕込まれていて、見ていてすごく楽しかったです。

走行中の列車の側面にしがみつくとか、落ちる車両からギリギリ飛び移って片手一本で体重を支えるとか、さも当たり前のようにやってますけど、いや当たり前じゃねぇからな!

マジでどういう生活送ればあんなに若々しさを保てるのか…。今後ともトムには大きなケガとかしないように頑張って欲しいです。

 

物語は続く

最終的に鍵はイーサンの手に。しかし、イーサン自身が言っていたように、鍵を手に入れることは始まりに過ぎず、ここから物語は核心、『PART TWO』へ…というところで、本作は幕を閉じます。とはいえ、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のようなブツ切りという感じではなく、ちゃんとひと区切りついていたのは好印象。続きは今のところ来年6月公開予定との事ですが、実際いつになることやら。何はともあれ、公開を楽しみに待ちたいと思います。

 

おわりに

そのほか、黄色いフィアットでのカーチェイスシーンがちんまくて可愛くてチョロQみたいで良かったとか、ガブリエルの部下、パリス(演:ポム・クレメンティエフ)が結構出ずっぱりで服装もバリエーション豊富で最高に魅力的だったとか、前作にも出演してたらしい武器商人のアラナ・ミツソポリスホワイト・ウィドウ(演:ヴァネッサ・カービー)がすごい愛嬌があって良かったとか、まだまだ言いたいことはありますが、この辺にしときます。意外といっぱい書けました。

特に大きな不満も無い、非常によく出来た作品だと思います。細かいことは抜きにして、肩肘張らず、ポップコーンとコーラを手に、トムの超人的なアクションをぜひご堪能あれ。

ということで、映画『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』の感想でした。

ではまた。