GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『シャザム!~神々の怒り~』感想(ネタバレ)

映画『シャザム!~神々の怒り~』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

DCコミックを原作とした実写映画のシネマティック・ユニバース、それが『DC・エクステンデッド・ユニバース(DCEU)』。

本作は、DCコミックに登場するヒーローのひとり、シャザムを主人公とした作品であり、2019年公開の『シャザム!』に続く第2作目となります。ひょんなことからスーパーパワーを与えられた少年とその家族が、その力を狙う神の娘たちと激闘を繰り広げる、アクション・エンターテインメント作品となっています。

 

もくじ

 

シャザムとは

シャザムは、魔術師より6つの神々の力を与えられ、そのパワーを駆使して戦うヒーローです。
1940年に、フォーセット・コミックより刊行されたコミックにて初登場。

当初のコミックのタイトル及びヒーロー名は、キャプテン・マーベル。あれ、どこかで聞いたことありますね…。「シャザム(SHAZAM)」は彼の力の源であるギリシャ神話の神々の頭文字から来ており、ヒーローに変身する際の呪文となっています。

  • Solomon(ソロモン)の叡智
  • Hercules(ヘラクレス)の剛力
  • Atlas(アトラス)の体力
  • Zeus(ゼウス)の全能
  • Achilles(アキレス)の勇気
  • Mercury(マーキュリー)の神速

1950年代に、売り上げ低迷からフォーセット・コミックは廃刊。その後、1970年代にDCコミックが版権を獲得することになりますが、その間にマーベル・コミックが“マーベル”の名称を商標登録していたために、コミックのタイトルを『Shazam!』へと変更。ヒーロー名は長らくキャプテン・マーベルのままだったようですが、2011年の新展開に伴い、シャザムへと改められたんだとか。

ブラックアダム』の記事では「マーベルコミックに訴えられた」とか書いてますが、全然違いましたね…。大変失礼いたしました。

 

概要

僕は前作を見ていなかったので、休日の午前中に家で前作を見て、午後から映画館へ行って本作の鑑賞に臨みました。前作はなんというか、非常にステレオタイプと言いますか、すごくいかにもって感じの作りだったんですが、嫌いになれない魅力のある作品でした。最後とか、悪の力に飲み込まれてしまうのか…?みたいになったと思ったら、「なーんちゃって!ウソだよ~ん!」みたいにスカしてきたのがすごい面白くて。DCEUにつきまとっていた暗いイメージを払拭していて、なんかすごい好きな作品でした。

こうした「ザ・スーパーヒーロー映画!」って感じの作りは、『ブラックアダム』にも受け継がれているように思います。

 

前作のおさらい

14歳の少年、ビリー・バットソンは、幼少期に母と生き別れてから、孤児として育ちました。里親と馴染めず、母を探すために家出を繰り返す毎日。新しい里親のバスケス夫妻の家で、他の孤児たちと共に暮らすことになりますが、やはりそこでも馴染めずにいました。

ある日、ビリーは義兄弟のフレディがいじめられているところを助けたのがきっかけで、魔術師シャザムよりスーパーヒーローへと変身する力を授けられます。動画サイトに動画をアップしたりして、子供らしく好き勝手にその力を楽しんでいましたが、七つの大罪の力を得たDr. デウス・シヴァナより、その力を狙われてしまいます。

ビリーはフレディ達に自身の力を分け与え、シヴァナを撃退。新たな家族と共に暮らしていく決意を固め、映画は幕を閉じるのでした。

 

本作について

そうして、物語は本作へと繋がっていきます。

監督は前作同様、スウェーデン出身のデヴィッド・F・サンドバーグ
元々はアニメやドキュメンタリーの製作をしていたそうですが、自身が製作した短編のリメイクである2016年の『ライト/オフ』にて、長編映画の監督に初挑戦。その後、2017年の『アナベル 死霊人形の誕生』の監督に抜擢され、前作『シャザム!』で監督3作目と、キャリアは浅めながらしっかり実績を残しているお方です。

脚本は、『ワイルドスピード』シリーズなどの脚本を執筆したクリス・モーガンと、前作でも脚本を務めたヘンリー・ゲイデン

 

キャストも基本的には前作から続投しており、主人公のヒーロー状態をザッカリー・リーヴァイ、本来の姿をアッシャー・エンジェルが演じています。
ザッカリーはディズニー映画『塔の上のラプンツェル』にて、主人公と恋に落ちる大泥棒、フリン・ライダーの声を演じていることでも知られています。

また、今回の敵役として、2021年のスピルバーグ版『エスト・サイド・ストーリー』で主役を演じたレイチェル・ゼグラー、『キル・ビル』などで知られるルーシー・リュー、そしてイギリスの大女優ヘレン・ミレンが出演し、物語を盛り上げてくれています。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

アメリカ、フィラデルフィア

魔術師より神々の力を授けられたビリー・バットソン(演:アッシャー・エンジェル)が、悪の科学者Dr. デウス・シヴァナ(演:マーク・ストロング)の野望を阻止してから、3年が経過。
ローラ(演:マルタ・ミラン)とビクター(演:クーパー・アンドリュース)のバスケス夫妻の家にすっかり馴染んだビリーは、力を分け与えた義兄弟たちと共に、ヒーロー活動に勤しんでいました。しかし、いつも失敗ばかりのビリーたちに市民からつけられた呼び名はフィラデルフィアの恥”という、なんとも不名誉なもの。

そんな時、“元素”を操る長女ヘスペラ(演:ヘレン・ミレン)、“カオス”の力を操る次女カリプソ(演:ルーシー・リュー)、“軸”の力を操る三女アンテア(演:レイチェル・ゼグラー)ら、アトラスの娘を名乗る人物がやってきます。

彼女らの目的は、ビリーの持つ神々の力を、自分たちのもとへ取り戻すことでした。
果たしてビリーたちは、自身に宿る力を、そして街を守り抜くことが出来るのか――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

前作よりもあらゆる面でスケールアップしている、非常に楽しい映画でした。

スーパーパワーをしょーもないことに使いまくる前作も最高でしたが、本作ではずっとバトルしていて、更に「ザ・スーパーヒーロー映画!」していたように思います。あと、直前に前作を見たので、ビリーたちがデカくなっていてちょっと驚きました(笑)

 

とにかくスペクタクルなシーンが大幅にパワーアップしていて、見応えが半端なかったです。どうやら予算規模がかなりアップしたらしいですね。

特にアンテアが空間を操って建造物をパズルのように組み替えるとこは、ビジュアル的にも素晴らしかったです。クライマックスでは、黄金のリンゴをスタジアムに埋めて巨大な生命の樹?が生えてきたり、その根っこからミノタウロスやらサイクロプスやらのモンスターが生まれてきたり、ラドンというドラゴンが暴れまわったりと、ド派手な映像のオンパレードで、目が釘付けになりました。

 

敵キャラ3人も非常に存在感を放っていて、冷静に怒りを燃やすヘスペラ、残忍で人間など滅ぼしてしまえばいいと思っているカリプソ、フレディとの交流を通じて人間に愛着を持っているアンテアと、各キャラにしっかりと個性があるのも非常に魅力的でした。やはり敵キャラに魅力があると、作品全体としてもグッと面白くなりますよね。

 

ギャグシーンは前作も最高に面白かったんですが、本作も負けず劣らずでした。

ビリーが束縛強めのメンドクサイヤツになってるのには笑ったし、魔術師のいた“永遠の岩”をバットケイブのような隠れ家にするのですが、家具を持ち込んだり飾りつけしたり、前作でやっとの思いで封印した七つの大罪の像にも落書きし放題だったりと、めちゃくちゃ好き勝手やってて爆笑を禁じえませんでした。

冒頭の橋の場面では、市民を救出した後に「よし、僕らにはまだ大仕事が残っている。それはこの橋の倒壊を止めることだ!」とカッコよくキメたと思ったら、次のカットでは見事に倒壊した橋のニュース映像が流れて「いや失敗してるんかい!」となったり、いちいち最高でした。

 

笑いだけでなく、「ビリーの物語に一区切りつける」という点においても、想像以上に秀逸だったように思います。

前作でも一応の区切りはついていましたが、「今の暮らしを受け入れる」といった感じの着地で、新しい里親であるバスケス夫妻や共に暮らす義兄弟たちとの絆はまだ未完成という感じでした。それが本作では彼らが完全に“家族”となるまでを描いており、「血の繋がりだけが家族じゃない」みたいなのがしっかりと描かれているように思いました。終盤にビリーがローザを「ママ」と呼ぶシーンには、図らずも感動させられてしまいましたよ。

まさかシャザムで泣かされることになるとは、不覚…(失礼)。

 

最後、ビリーは自身の命と引き換えにカリプソを倒し、真のヒーローとなります。
亡骸は神の地に埋葬され、悲しみに暮れる一行。甦らせるには神の力が必要だが、その力を持つ者はもうおらず、どうすることも出来ない…。

と思いきや、そこへなんと雷神ゼウスの子供である、ダイアナ・プリンスワンダーウーマン(演:ガル・ガドット)が!
中盤あたりで出てきたと思ったら首から上が魔術師の顔になっていて「キモッ!(笑)」となったのと同時に、「まぁ、やっぱ本人が出ることはないのかな」と思っていたら、最後にちゃんと出てくるとは!これは非常に嬉しいサプライズでした。

 

ただ、ガル・ガドットが演じるワンダーウーマンは恐らくこれで見納めになるので、ちょっと寂しさも感じてしまいました。6月公開予定の『ザ・フラッシュ』にてDCEUは一旦終了し、以降はジェームズ・ガン率いる『DC・ユニバース(DCU)』でDC映画はリスタートとなるようですが、ワンダーウーマンの今後については未だ情報なし。『ワンダーウーマン』3作目の企画は立ち消えになったそうですし、少なくともガル・ガドットの続投はなさそうなので、すごく残念。

アクアマン』続編は引き続きジェイソン・モモアでやるみたいだし、キャストはそのままじゃダメなのだろうか…?スーパーマンヘンリー・カヴィルといい、多大な貢献をしてくれた俳優たちを中途半端な形で切ってしまうのは、ちょっとどうかなと思ってしまいます。
ベンアフバッツは…本人がイヤみたいだから仕方なし。

今後が楽しみなのは間違いないんですけどね。ちょっとしこりが残ってしまうような、そんな気持ち。

 

そんなこんなで、ダイアナの力でビリーは無事復活。めでたしめでたし。
ジャスティス・リーグに入りたいビリーでしたが、そこは上手いことはぐらかされます。

その後ミッドクレジットにて、遂にヒーローチームからの勧誘を受けるビリー。二つ返事で承諾し、「やった!遂にオレもジャスティス・リーグの一員だ!」と喜びますが、そのチーム名はジャスティス・ソサエティだったのでした…てな感じで映画は幕を閉じます。
JSAの単独映画、期待してもいいのかな…?

本作では尺の都合か4人だけの登場でしたが、今後シリーズが続いていけば、他のメンバーとかも登場するのかな。大変素晴らしいキャラばかりだったので、出来ればJSAの単独作作って欲しい。

映画『ブラックアダム』感想(ネタバレ) - GORGOM NO SHIWAZAKA

 

おわりに

最後ちょっと脱線しちゃいましたが、感想は以上になります。
なんか感想部分はとっても短くなっちゃったような気がしますが…まぁいいや。

日本での知名度はそれほど高くないし、スーパーマンと似すぎな部分も否めないので(フォーセット・コミックが廃刊になったのはその辺の事情もあるとかないとか)、僕も正直あまり期待していなかったんですが、想像以上に面白く、いい意味で期待を裏切られる作品でした。

ということで、映画『シャザム!~神々の怒り~』の感想でした。

ではまた。