映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。
2022/09/16:加筆修正と、『THE MORE FUN STUFF VERSION』の内容を追記しました。
マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。
はい、今年も早速やってまいりました、MCUのお時間でございます。
本作は、2017年公開の『スパイダーマン:ホームカミング』、2019年公開の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』に続くMCUスパイダーマンの3作目であり、“ホーム・シリーズ”の完結編となります。
本来はこれでスパイディのMCU参加は終了し、以降は版権を持っているソニー・ピクチャーズの『ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)』で活躍していく予定だったようですが、主演のトムホがいろんなところに掛け合って、MCUにて更に3部作を制作する事になったらしい。…けど、トムホが「やっぱ卒業したいかも」みたいな事言ってるみたいな話も聞くし、どーなることやら。個人的にはケヴィン・ファイギが関わってくれた方が絶対に面白くなると思っているので、MCUでもう少し頑張って欲しい気持ちです。
もくじ
スパイダーマン映画化の歴史
スパイダーマンの実写映画に関しては、これまで多くのシリーズが制作されています。
まず、2002年~2007年に公開された、サム・ライミ監督の『スパイダーマン1~3』。
この3部作が大ヒットを飛ばし、今日のスーパーヒーロー映画の基礎となったと言っても過言ではないほどの超名作です。僕も確かこのシリーズを見てからアメコミ映画に興味を持つようになったと記憶しています。
続いて、2012年と2014年に公開された、マーク・ウェブ監督の『アメイジング・スパイダーマン1,2』。
ユニバース展開も構想され、『シニスター・シックス』などのスピンオフも計画されていたそうですが、興行収入が予想を大きく下回ってしまったため、結局2作のみの公開となってしまいました。個人的にこのアメスパ2作はめちゃくちゃ大好きな映画なんですが、何がいけなかったんでしょうね…?まぁ、ハードルを高く設定しすぎた、ってことなんでしょうが…。
その後、ソニー・ピクチャーズはマーベル・スタジオとパートナーシップを結び、期間限定でMCUへスパイダーマンを登場させることが出来るようになりました。
スパイディのMCU初登場作品が、2016年公開の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』。
トニーに才能を見出された15歳のピーターが、アイアンマン陣営の一員として活躍します。実写映画としては史上最年少のピーターになるんだとか。この時はまだ出番はさほど多くありませんでしたが、MCU参戦は絶対に不可能だと思っていただけに、予告編を初めて見たときの衝撃は今でも忘れられません。
以降も、MCUとしては初の単独作である『ホームカミング』で、トニーに怒られたりしながらヒーローとは何たるかを学び、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンドゲーム』にて、(なし崩し的にとはいえ)アベンジャーズの一員として活躍。トニー亡き後のピーターの心の成長を描いた『ファー・フロム・ホーム』を経て、本作に繋がります。
また、こちらはMCUではないですが、アニメ映画として2019年に『スパイダーマン:スパイダーバース』も公開されました。こちらも今年続編が公開予定との事で、非常に楽しみにしております。
これだけたくさんのシリーズが制作されており、いかにスパイディというキャラクターが人気なのかが伺えます。どんなに人気のある作品でも、これだけ短期間で何度もリブートしている作品は他に無いですもんね。(あとはバットマンくらい?)
本作について
そんなこんなで、本作。
時系列としては、前作『ファー・フロム・ホーム』のポストクレジットシーンにて、クエンティン・ベック/ミステリオ(演:ジェイク・ギレンホール)によってスパイダーマンの正体がピーターであることが暴露されてしまい、更に“スーパーヒーロー・ミステリオ”を殺害した犯人に仕立て上げられてしまった直後から始まります。ちなみに実際はミステリオはヴィラン(敵役)であり、自業自得的な死に方をするのですが、フェイク映像によってさもピーターが殺したかのように演出されています。
本作の監督は、前2作と変わらずジョン・ワッツ。キャストも相変わらずの面々が揃っているほか、ドクター・ストレンジのベネディクト・カンバーバッチや、その他あんな人やこんな人、いろんな人が登場します(詳しくは後述)。
本作を見た後の僕の率直な感想は以下。
とんでもないものを見てしまった、いや見させていただいた…という思いで頭がいっぱいでした。それ以上の事は(ネタバレ回避の意味もあって)なんも言えねぇ…って感じです。
てなわけでこれより感想に参ります。
※マジでネタバレなしで見た方が絶対に良いので、まだ未見の方はこの先は読まない事をオススメします。
念の為、多めに改行入れときますね。
↓予告編はこちら。
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本編感想
あらすじ
これまでどうにか正体を隠してヒーロー活動を続けていたピーター・パーカー/スパイダーマン(演:トム・ホランド)でしたが、デイリー・ビューグルのキャスター、J・ジョナ・ジェイムソン(演:J.K.シモンズ)によってミステリオの告発は大々的に報道され、世界中の人達にスパイダーマンの正体が知られてしまいました。すぐに自宅も特定され、報道ヘリや野次馬に取り囲まれてしまいます。
ミステリオ殺害容疑で警察の捜査を受けるピーターでしたが、盲目の弁護士、マット・マードック(演:チャーリー・コックス)の尽力もあり、証拠不十分で不起訴。しかし、自宅にはマスコミやミステリオ信者が押し寄せてくるので、ハッピー・ホーガン(演:ジョン・ファヴロー)の家に匿ってもらうことに。
その後も、おばのメイ・パーカー(演:マリサ・トメイ)は、甥っ子をこんな危険な目に遭わせるなんて児童虐待ではないのか、保護者失格だなどと言われ、恋人のMJことミシェル・ジョーンズ(演:ゼンデイヤ)や親友のネッド・リーズ(演:ジェイコブ・バタロン)も、ピーターに近しい人物というだけで大学(MIT)を不合格になってしまいます。
自分だけでなく家族や友人たちが巻き込まれる事に耐えられなくなったピーターは、過去に戻って“スパイダーマンの正体が世間にバレる”のを無かったことに出来ないかと、かつてアベンジャーズとして共に戦った、サンクタム・サンクトラムにいる元・至高の魔術師(ソーサラー・スプリーム)、スティーブン・ストレンジ/ドクター・ストレンジ(演:ベネディクト・カンバーバッチ)を訪ねます。
ストレンジは、既にタイム・ストーンが失われていることからそれは出来ないと断ります。が、全世界の人達から“スパイダーマンの正体がピーターである”という記憶を消去することなら可能であると提案。それは危険な呪文であり、「現実と非現実の境界を壊しかねない」と、現・ソーサラー・スプリームでありストレンジの兄弟子であるウォン(演:ベネディクト・ウォン)が止めようとするも、「前にもやったことあるし、大丈夫だろ」とストレンジは聞く耳なし。
そうして始まった“禁断の呪文”の詠唱。しかし、合間に「MJから記憶なくなるなんてヤダ!あっネッドも!あとメイおばさんも!」とピーターがたびたび呪文の修正を求めたため、結果的に詠唱は失敗。暴走をどうにか抑えているような危険な状態に。しかもその影響で、“スパイダーマンの正体がピーター・パーカーである事を知っている者”が、別の次元(マルチバース)から呼び寄せられているというではありませんか。様々なヴィランたちが、ピーターを狙って次々と襲い掛かってきます。
このヤバすぎる状況を、スパイダーマンとやらかしおじさストレンジは収拾することは出来るのか――。
というのがあらすじ。
各キャラクターについて
本作のピーターは基本ずっとピンチで、話もシリアス寄りなんですが、やっぱりどうしても可愛さが溢れ出しちゃってて、ニッコリホッコリする場面が多数。トムホはあのスーパープリティな見た目と性格でガタイムッキムキ、運動神経抜群、更に頭もいいとか、ずる過ぎないですか?パラメータ全部カンストしてんじゃないのこれ。どれか1個分けてくれよホント。
スパイディのスーツについては、以前から着ている“アイアン・スパイダー・スーツ”や“アップグレード・スーツ”のほか、“ブラック&ゴールド・スーツ”と“インテグレート・スーツ”が新登場します。中でもブラック&ゴールドについては、ペンキで汚されて洗濯中のアップグレードのガワだけ取ったor裏返しただけというのには笑いました。でも回路のようなディテールや飛び出したケーブルなど、武骨な感じでカッコよかったです。インテグレートは、“インテグレート=統合”の通り、これまでのスーツの集大成的なデザインになっておりました。
MJはこれまでは割とツンツンキャラでしたが、前作ラストでめでたくピーターと付き合うことになり、本作では気丈にピーターを支える役目を担っています。ゼンデイヤさん、キャリアを積んでどんどん魅力が上がっていってますね。ネッドも相変わらずのムードメーカーっぷりで、本作からは二人っきりでイチャイチャ(死語)したいピーターとMJの間にズケズケと入っていくという、空気読めないキャラも確立していてとても面白かったです。
てか3人ともMIT入れるくらいに学力あったのね…。いやホムカミで学力コンテストとか出てたけど…すっかり忘れてたよ。それでも、スパイダーマンに深く関わりのある人物ってだけで学力関係なく落とされるってのは、世知辛いというかリアリティがあるというか。ただそこで大学のお偉いさんに掛け合ってどうにかなる、ってのはなんというかアメリカっぽいなーとか思ってみたり。
トニーの元秘書、ハッピーがしっかり登場してくれるのも嬉しかったです。ジョン・ファヴロー、監督業とかもやってて忙しいだろうに、このシリーズにはしっかり登場してくれてありがたい限り。
前作でメイおばさんといい感じになってたのも笑いましたが、本作で「グイグイ来すぎる」という理由でフラれてたのには更に笑いました。
メイおばさんは、本作では非常に重要なキャラになっています。ピーターを全力で支えてくれるのはもちろん、ヒーローとして、人として進むべき方向へと導いてくれます。また、スパイダーマンを象徴するあの言葉をピーターに残してくれます。(詳しくは後述)
「今回ちょっと首突っ込みすぎじゃない?」と思うところもありますが、本作での役割を考えると致し方なしかな、と。
ストレンジおじさんは、なんというか終始やらかしてましたね…。てっきりトニーに代わるピーターの良きメンター(指導者)になっていくのかと思いきや、呪文失敗するわ、ミラー次元に閉じ込められるわ、やらかし放題でした。事あるごとに「一緒に戦ったから忘れてたけど、コイツまだ子供やったわ(呆)」とか言うのも、大人げないなぁとか思ってみたり。まぁ、あの人はトニー以上に天上天下唯我独尊なお人ですしね…。誰かを導くなんてガラじゃないか。
メタ的に考えれば、ストレンジがいると何でも1人で解決しちゃいそうですし、本作はあくまでスパイダーマンの映画って事で、舞台装置としての役割以外の出番を減らされた感。
あ、そういえば、久しぶりにミラー次元の映像トリップが見られて良かったです。『インセプション』を更にすごくしたようなあの映像、万華鏡みたいで割と好きなんですよね。3D酔いするタイプの人はある意味閲覧注意な映像なのでご注意を…。
あと最初に出てきたマードックとかいう弁護士。彼はNetflixのドラマ『デアデビル』にて主演を務めた、デアデビルその人。
僕は「ん?盲目?弁護士?振り返らずにレンガを受け止めた!?まさか…」と見ているときに思い、後で調べて「やっぱりか!」となりましたが、ドラマ見てた人はすぐにわかったんでしょうなぁ。僕はネトフリ未登録なのでまだ見れてない…。
本作は消化しなきゃならないイベントが多過ぎるので彼の出番もさらっと終わっちゃいましたが、今後もっと活躍してくれることを期待します。
マルチバース展開について
とまぁキャストについて色々言うてますけど、本作における最大の目玉は、何と言ってもマルチバースからの敵の襲来ですよ。
『ファー・フロム・ホーム』でミステリオは「自分はマルチバースから来た」と言っていましたが、結局は嘘でした。しかし、Disney+のドラマ『ロキ』にてマルチバースが解き放たれ、本作では本当にマルチバースからヴィランたちがやってきます。しかもそれがこれまで公開されてきた別シリーズの実写映画からの参戦なのだから、もう驚くほかない。キャストも全て以前出演した人がそのまま演じているという、マーベルファンであれば誰もが思い描いた、しかし不可能だろうなと諦めていた事が、まさか実現する日が来るなんて…。
余談ですが、Twitterだかで「MCU見たいと思ってるけど、古参が“コレ見るならその前にアレ見た方がいい”とか言ってくるのがウザい」みたいなツイートを誰かがしているのを目にしたので、「だったらなんも言いません」と今は思っています。上述の通り、過去のシリーズからキャラが多数登場するのでそれらを見た方が本作を最大限楽しめると思ってはいますが、まぁ見るも見ないも好きにすればいいんじゃないですかね。ってこういうのがウザいんですよねきっと…。
(あんま良くない事書いてるので字薄くしとこ)
具体的に本作に登場するヴィランは以下。
🎃ノーマン・オズボーン/グリーン・ゴブリン(演:ウィレム・デフォー) - 2002年『スパイダーマン』に登場
🐙オットー・オクタビアス/ドクター・オクトパス(演:アルフレッド・モリーナ) - 2004年『スパイダーマン2』に登場
⏳フリント・マルコ/サンドマン(演:トーマス・ヘイデン・チャーチ) - 2007年『スパイダーマン3』に登場
🦎カート・コナーズ/リザード(演:リス・エヴァンス) - 2012年『アメイジング・スパイダーマン』に登場
⚡️マックス・ディロン/エレクトロ(演:ジェイミー・フォックス) - 2014年『アメイジング・スパイダーマン2』に登場
前作ラストで、サム・ライミ版で存在感抜群だったJ.K.シモンズ演じるジェイムソンが出てきた時は「ま、まさか!?」と思いましたが、本当にそのまさかでしたね…。しかもどの俳優も、ビジュアルも含め以前出演した時と全く変わらない見事な演じっぷりだったのもすごい(まぁサンドマンとリザードは最後以外ほぼCGでしたが)。
もう最初にドクオクが出てきた時点で目の前で起こっている“奇跡”に泣くことしか出来なかったんですが、それがあと4回あるのでずっと泣きっぱなしですよ。
さて、ここからは予告編にもなかった展開に関する感想になります。
更にネタバレ注意になりますのでご留意ください。
MCUスパイダーマンのオリジン
本作は真の意味での「トムホピーターのスパイダーマンとしてのオリジン」としても機能しており、MCUスパイディではこれまで(恐らく意図的に)避けられてきた、しかしスパイダーマンのオリジンには必要不可欠な、“自分の浅はかな行動に起因する大きな代償”を本作で払うことになります。ベンおじさんはMCU世界では既に他界しているので、その役目を担うのは、メイおばさんということになります。
あの場面、自身の命が尽きようとしていることに気付いていないのか、それともピーターに悟られたくなかったのかわかりませんが、「あー疲れた」って感じで息を引き取っていくメイおばさんの姿、もう辛くて辛くて見ていられなかったですよ…(号泣)
でも冷静になってから改めて考えると、これまでトニーの死や様々な経験を経ているピーターに、これ以上の犠牲は必要だったのか、とどうしても思ってしまいますね。ここに来て、トムホピーターはまだヒーローとして一人前ではなかったのか、と。
トニーがMCUスパイディにおけるベンおじさんのポジションだと勝手に思っていたので、そこでもうオリジンは描いていたものだと思っていました。あとは、すっかりピーター達を親戚のように思っていただけに、メイおばさんにはいなくなって欲しくなかった…という純情な感情。
まさかまさかの共演
それでですね…
こんなことを去年言ってたのですが…
サム・ライミ版のグリーンゴブリンとドックオクとアメスパのエレクトロが出てくる?
— シン・ブラックさん・SUN (@blackson3110) 2021年12月4日
んな馬鹿な…オタクの妄想でしょ?
…え?
…マジなの?ウソでしょ??
まさか…そんな事が可能なら、全世界のオタクが夢想した実写版スパイダーバースも現実味を帯びてしまうではないか…
この妄想、まさか僕が生きている間に現実になるとは思っていませんでした。
行方をくらませたピーターに会うために、なぜか修行せずポータルを開けるようになったネッドは、“ピーターのいる場所”へ繋がるポータルを開きます。
その先にいたのは、ピーターはピーターでも、なんとマーク・ウェブ版『アメイジング・スパイダーマン』のピーター・パーカー/スパイダーマン(演:アンドリュー・ガーフィールド)ではありませんか!!
更に、再度ポータルを開いた先には、サム・ライミ版『スパイダーマン』のピーター・パーカー/スパイダーマン(演:トビー・マグワイア)が!!
う、嘘だろ…信じられない…!
これこそ僕らが思い描いた『実写版スパイダーバース』ですよ…。
いや、上のツイートをしている時点で、予想はしているんですよ。でも、そうあってくれたら嬉しいな程度のファンの二次創作的な考えで、まさか実現するとは思ってなかっただけに、開いた口が塞がらないとはまさにこの事。僕は口をあんぐりさせたまま、静かに涙を流すことしか出来ませんでした。
その後、トムホピーターが行方不明であることを告げると、「何かあったときに行きそうな、落ち着く場所とかない?」と言われ、それならと向かった学校の屋上にてトムホピーターを発見。
MJとネッドに抱きしめられてボロボロ泣いちゃうトムホとかもうね…耐えられるはずがない…(大泣)。映画館だったから大号泣程度でしたが、家で見てたら嗚咽漏らして泣いてますよ。てか今も泣きながらコレ書いてます。
スパイディズ3人が集結し、「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という、トムホピーターがメイおばさんから託された言葉を、他の2人も亡くしてしまった大切な人(ベンおじさん)から託されていたことを知ります。この辺ももう、「そう…これだよ…これが見たかったんだよ…(涙)」って感じでずっと泣いてました。
最後の戦い
すっかり戦う気力を失っていたトムホピーターですが、別次元の自分から「俺たちのようになってほしくない」と激励され、再びヴィランたちを治療する決心をします。
3人のスパイダーマンとヴィラン達の最終決戦の舞台は、新しく建設中のキャップの盾を持った自由の女神。
ウェブスイングなどを駆使した立体的なバトルで、ものすごい見応えでした。ただ、動きがめちゃくちゃ早いうえに、ぱっと見スパイディ3人の見分けがつきにくいので、今誰が戦ってんのかわからなくなることが結構ありました。
チームプレイが上手くいかず、
「いや俺らチームで戦ったことないし!」
「僕やったことあるよ!自慢じゃないけど、アベンジャーズなんだ!(ドヤッ)」
「スゲェ!よくわかんないけど!」
「え、なに、バンドやってんの?」
みたいなやり取りには爆笑を禁じえませんでした。最終的には「むずむず(スパイダーセンス)を信じよう!」となるのも非常に“らしく”て良かったです。
奪ったアークリアクターを使って無尽蔵のエネルギーを得たエレクトロの、攻撃する瞬間に顔に原作の衣装のような星形の稲妻が浮かぶところとか、すごいカッコ良かったですね。リザードやサンドマンも3人のスパイディと激闘を繰り広げ、生死不明だったドクオクは、治療されて正気を取り戻したので、味方になってくれます。
そーいやサンドマンはなんで敵対してたんですかね?「娘に早く会いたい」とか言ってましたが、それならさっさと治療してもらって元の次元に帰れるようにしたらいいのに。あれ、でもエレクトロの電撃が周囲に行かないように砂でブロックしてるようなシーンもあったような…。電撃の範囲を狭めることで密度を上げてたとか?よくわかんないや。
戦いの中で、落下しそうになるMJをアンドリューピーターが救出する場面がありますが、あれは『アメイジング・スパイダーマン2』にて、恋人グウェン・ステイシーを助けられなかった場面と同じ構図。あの時は助けることが出来なかった、でも今度は“この世界のグウェン(にあたる人)”を助けることが出来た。アンドリューピーターに、ひとつの救いを与えているんですよね。
地面に降りて、助けられたMJではなく助けたアンドリューピーターが泣き出すところは、アメスパ2が大好きな自分としては堪らないものがありました(滝涙)。でもこのシーン、予告編では合成でトムホに置き換えられてるんですよね…。あんなのただのフェイク映像なので、マジでやめて欲しい…。
ラストは、トムホピーターとグリーン・ゴブリンとの一騎打ち。
メイおばさんを殺された怒りで、ゴブリンをボッコボコに叩きのめすトムホ。でも血が出ないどころか、顔が一切腫れたりもしないキレイな顔のままのゴブリン=オズボーン。レイティングのためとはいえ、ここはもう少しリアリティを重視して欲しかった。
最後は、とどめを刺そうとするトムホをトビーピーターが止める、という構図に。これは、『スパイダーマン』1作目でオズボーンを死なせてしまい、それが原因で親友だったハリーと殺し合うことになってしまった、トビーピーターへの救い。自分の世界ではグライダーが突き刺さって死んでしまうオズボーンを、この世界ではグライダーが突き刺さろうとするのを止める、という演出がまたニクい。
ただ、最終的には治療薬を打ち込んで治療したとはいえ、トビーが止めてなかったらトムホはあそこで確実にゴブリンを殺していたので、そこはちょっとモヤっとしました。上述した通り、トムホピーターはもう十分に精神的に成長していて、一人前のヒーローになっていると思っていただけに、自身で怒りを乗り越えて欲しかった、という思い。でもまぁ、感動が次から次へと襲い来るので、見ている間はそうした点は全く頭に無かったですけどね。
ともあれ、ヴィランたちだけでなくスパイダーマンたちまでフォローしている本作の構造は本当に素晴らしい。
結末
戦いは終わり、みんなを元の次元へ帰そうとなりましたが、いよいよ呪文の暴走が抑えられなくなり、時空が裂けて他の次元が押し寄せてきてしまう事態に。ここでトムホピーターは、自分を知っている者がどんどん呼び寄せられているのが原因ならと、改めて“自分の存在を全ての人間が忘れる”呪文をストレンジにお願いします。
最初のは“スパイダーマンの正体がピーターであることを忘れる”というものでしたが、最後はストレンジ含む全ての人間が“ピーターの存在自体を忘れる”という、さらに強力な呪文に。
呪文を詠唱し終わる前にMJとネッドの所へ行って、「すぐ会いに行ってまた僕のことを覚えてもらう」と言って号泣しながら抱き合うの、あぁもう…こっちの方が大号泣ですよ…(涙腺決壊)。
トムホピーターが被った“大いなる責任”によって、ヴィラン達やスパイディズは元の次元へ帰っていき、次元の侵食も収まりました。しかし、愛する家族を失い、更に誰も自分のことを覚えていないという、完全な天涯孤独、まさに“ノー・ウェイ・ホーム”な結末に。
これにはMJ役のゼンデイヤも、「この結末は寂しすぎる」と言っていたんだとか。
狭くてボロい部屋に引っ越したピーターは、新たに製作したレッドとメタリックブルーの非常に原作に近いカラーリングのスーツを身に着け、(恐らく盗聴している)警察無線を聞き、夜の摩天楼をスイングしていく…といったカットで、映画は幕を閉じます。『スパイダーマン』1作目のラストカットを彷彿とさせるような、とても良いシーンでした。
オマケ映像について
ミッドクレジットでは、エディ・ブロック(演:トム・ハーディ)とヴェノムが、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のラストで迷い込んだMCU世界にて取材をしているシーンが流れます。取材のさなか、体が光りだしてまたどこかの次元へ飛ばされてしまうも、カウンターには残されたシンビオートが…みたいな感じ。
これって、「トム・ハーディのヴェノムはウチら(SSU)のもんだけど、MCU世界でもヴェノム出せる可能性残しといてやるよ」、って事でしょうかね。トムホとトムハの共演も期待したんですが、それは(実現するかもわからない)今後のSSUまでおあずけのようです。ちょっと残念。
まぁでも、これだけのサプライズを用意してもらって更にヴェノムまで、というのは、コース料理をたらふく食った後に二郎ラーメンが出てくるようなものなので、もう十分にお腹いっぱいです…って感じ。
終わりに
すっかり長くなってしまいましたが、ほとんどずっと泣きっぱなしのものすごい映画でした。過去に公開された別シリーズのキャラを登場させるって、『アベンジャーズ』の制作よりもずっと難しいことだったんじゃないかと思います。アベンジャーズは最初から集結させるつもりで企画されていましたが、サム・ライミ版やマーク・ウェブ版が作られた時、本作の想定なんてしてなかったでしょうし、版権とかいろんな問題があったでしょうし。実現させてくれたマーベル・スタジオにはいくら感謝してもしきれない。
なんか最近のCMだと、「さようなら、親愛なる隣人」とか「シリーズ最終章」とか言ってるし、今後のトムホスパイディがどうなっていくのかまだわかりませんが、とりあえず次のMCU映画は本作でのやらかしが大いに影響していると思われる『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』が5月に公開。ポストクレジット代わりに予告編が流れてました。『ワンダヴィジョン』以来の登場となるワンダ・マキシモフ/スカーレット・ウィッチとの共演が果たしてどうなるのか、非常に楽しみです。
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追記:『THE MORE FUN STUFF VERSION』について
約11分の新規映像などを追加した実質ディレクターズカット版、『THE MORE FUN STUFF VERSION』が公開されたので、見てきました。
見た直後の率直な感想は以下。
劇場公開された作品が1年と経たずに再上映されるって、なかなか異例ですよね。本作の人気の高さが窺えます。
ただ、上映される劇場が日本国内でたったの5館(札幌、東京、名古屋、大阪、福岡)、というのはなんとも。今はサブスク等の動画配信サービスで見る人も多いだろうし、劇場押さえるのにも相当なお金がかかるんでしょうけど、出来れば全国で公開してほしかった…。
インスタでも書いてる通り、何度見ても感動できる、本当に素晴らしい作品でした。今回も案の定、号泣しながらの鑑賞に…わかってた、わかってたよ。
でもどこが変わったかと言われると、あまり明確にはわからなかった…。そんな何十回と見てるわけでもないし、細かいところは覚えてなくて…。
追加シーン
ここが変わったかなー、と思った箇所を箇条書きで以下に記しときます。
- 冒頭にトムホ、アンドリュー、トビーの3人からのメッセージが流れた
めっちゃ微笑ましくて、開始1分で泣きそうになりました。僕もあなたたちを愛してます…。 - 高校でのシーンが追加された?
バスケの授業中に、クラスメイトに「おい!壁登って見せろよ!」みたいに煽られて、渋々壁を上るピーター、というシーンが追加されてた気がします。あれ只のいじめじゃん…。「ぶっ○せピーター!」と思いました。 - マードックがハッピーの弁護も請け負ってた
スターク・インダストリーの技術流出の件について、ハッピーに対する捜査はまだ続くと告げられ、その弁護をマードックがやってるシーンが追加されてました。 - ベティのインタビューシーンが追加された?
校内で流れるニュース番組のシーンが結構追加されてた気がします。元カレのネッドに「夜中にメールするやつとかどう?」みたいにめっちゃプライベートな質問してて笑った。 - 暴力的な表現がマイルドになった気がする
もう少し直接的な描写が増えることを期待してましたが、更に減ってたような…。 - アンドリューピーターがMJを助けるシーンがちょっと変わった?
一回トムホピーターが助けようとする→ゴブリンに阻まれる→アンドリューピーターが代わりに助ける、みたいな流れに変わってた気がします。やはり予告編詐欺は苦情多かったんですかね。 - ポストクレジットシーンは丸々新規
またベティが出てきてワーワー言うとりました。にしてもベティ役のアンガーリー・ライス、最初は圧倒的ロリ美少女だったのが、今やあどけなさとブリー・ラーソンのような美しさとせつなさと心強さを兼ね備えた美少女に成長しててビビる…。(年齢を感じさせる文章)
たぶん、追加されたシーンはこんなもんだったかと思います。特にMJを助けるシーンは不満に思ってたところだったので、とても良い修正だったと思います。
あ、あとアンドリューピーターがトビーピーターに連絡先聞く会話シーンもあった気がする。別次元でも電話通じるのか…?
暴力シーンがさらに減ってしまったのだけは残念ポイント。…って、別に暴力が好きな訳ではないですからね。現実感が削がれる、って話です。
ただ今回、改めて見て気付いたのが、直接殴り合うシーンは中盤とラストのゴブリン戦くらいで、あとはウェブで拘束したり、スイングで蹴っ飛ばしたりするだけで、スパイディはほとんど人を殴ってない、という事。何気にコレ相当すごい事ですよね。ピーターの優しさのなせるわざ、なのかな。
それと、初見ではどうしてラストバトルでサンドマンが敵対してたのか疑問でしたが、改めて見て「自分は早く元の次元へ帰りたいのに、スパイディは(全員治療してから帰したいと思ってるので)そうさせてくれない。だから呪文を閉じ込めた箱を奪おうとしてる」ということなんだと理解しました。あと、「この世界に残りたいから、箱を壊したい」エレクトロを止めようとしてることもわかりました。だから電撃を砂でブロックしたりしてたのかー、と納得。
まとめ
本作への熱が高すぎて、大変長ったらしい文章になってしまいました。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。
まだ『ノー・ウェイ・ホーム』を見たことがない、出来れば映画館で見たい、そして札幌、東京、名古屋、大阪、福岡のいずれかにお住まいの方は、ぜひ見て頂きたい作品です(かなり絞られてしまいますが…)。個人的に、映画史に残って欲しいと思うほどの名作だと思っているので、ひとりでも多くの方に本作を見ていただけることを、1ファンとして願っております。
ということで、映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の感想でした。
ではまた。