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映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』感想(ネタバレ)

映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2022/10/09:軽く加筆修正しました。

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DCコミックを原作とした実写映画のシネマティック・ユニバース、それが「DC・エクステンデッド・ユニバース(DCEU)」。

マーベルのMCUに対抗して始めたはいいものの、いかんせんひとつひとつの映画の完成度があまりよくなく、興行収入は高いけど評価は散々、といった状態でした。そこで最近は、「映画の完成度を優先する」といった方針となり(当たり前でしょ、って話ですが…)、映画同士のつながりを緩くし、それが功を奏してかだんだんと評価を上げていっている印象。

 

その低評価時代のDCEUの作品のひとつに、2016年に公開されたデヴィッド・エアー監督作の『スーサイド・スクワッド』がありました。死刑や終身刑を求刑された悪党達が、減刑と引き換えに「自殺部隊(スーサイド・スクワッド)」を結成し、超危険なミッションに挑む、といったお話。公開前は非常に期待されていたのですが、これがまぁ見事に大爆死。上記のような方針転換のきっかけになった作品となってしまったわけです。

僕も当時映画館へ見に行き、鑑賞直後はそれなりに面白かったと思っていて、今でもそんなに嫌いではないのですが、改めて思い返してみると、ハーレイとカタナは良かったけど、ここはテンション上がった!ってシーンがなかったような気がします。てかどんな話だったか全然思い出せないや。

後から知ったのですが、なんかワーナー(配給会社)側のテコ入れがあったとかで、監督としても不本意な作品になってしまったとか。なんだか大人の事情を感じますね…。
で、ワーナーは現在そうした黒歴史を全力で無かったことにしようとしており、『ジョーカー』は役者を変更して単体作を作り見事アカデミー賞にノミネート、『ジャスティスリーグ』は『ザック・スナイダーカット』としてほぼ作り直し、『スーサイド・スクワッド』は続編ともリメイクとも取れる本作で仕切り直しを図っています。

 

 『ザック・スナイダーカット』に関しては過去に記事を書いていますので、大変拙い文章ですが良かったら読んでみてください。

blacksun.hateblo.jp

 そんな本作。
監督および脚本は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(以降GotG)などでおなじみのジェームズ・ガン。ちなみに同じDCEU作品である『アクアマン』はジェームズ・ワン。紛らわしい…。
GotGでハチャメチャでノリノリな楽しい作風を見せてくれただけに、本作も非常に期待が高まっておりました。結果、ハチャメチャでノリノリな非常に楽しい作品となっておりました。

 

てな訳で、前置きは以上。本編の感想を書いていきたいと思います。
あ、本作はR15+でゴア描写モリモリなので、苦手な人はご注意ください。

 

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あらすじは前作と大体同じ。投獄された悪党たちが、政府の役人であるアマンダ・ウォラー(演:ヴィオラデイビス)の手引きで、減刑と引き換えに「タスクフォースX」、通称「自殺部隊(スーサイド・スクワッド)」を結成し、超危険なミッションに挑む、というもの。今回のミッションは、とある島国で進められている「スターフィッシュ計画」と呼ばれるプロジェクトの壊滅。

 

まず島へ上陸したのは、

ブライアン・ダーリンサバント(演:マイケル・ルーカ―)、
リチャード・“ディック”・ハーツブラックガード(演:ピート・デイヴィットソン)、
ガンター・ブラウンジャベリン(演:フルーラ・ボルク)、
コリー・ピッツナーT.D.K.(演:ネイサン・フィリオン)、
ウィーゼル(演:ショーン・ガン)、
モンガル(演:メイリン・ウン)、
ジョージ・“ディガー”・ハークネスキャプテン・ブーメラン(演:ジェイ・コートニー)、
そして、ハーリーン・クインゼルハーレイ・クイン(演:マーゴット・ロビー)。
そんな彼らをまとめるのはエリート軍人のリック・フラッグ大佐(演:ジョエル・キナマン)。しかし、上陸していきなりブラックガードがさも当然のように裏切り、彼を通じて情報を得ていた敵から一斉砲火を浴びることに。

まー初っ端からキャラが死ぬ死ぬ。しかもゴア描写全開でどんどん肉塊になっていきます。上に敢えていっぱいキャラ名書きましたが、ものの数分でハーレイとリック以外全員死にます。もう笑っちゃうくらい酷い。悪趣味丸出しで最高です。キャプテン・ブーメランは前作にも出演しているのですが(ハーレイが「ブーミー」と愛称で呼んでて一応繋がりがあることを匂わせてるのが偉い)、そんな彼もここで瞬殺されるのにはちょっと驚き。

 

一方その頃、別のチームも島へ上陸。こちらのメンバーは、

クリストファー・スミスピースメイカ(演:ジョン・シナ)、
アブナー・クリルポルカドットマン(演:デヴィット・ダストマルチャン)、
クレオ・カゾラットキャッチャー2(演:ダニエラ・メルシオール)、
ナナウエキング・シャーク(声:シルベスター・スタローン)、
そしてアマンダよりスーサイド・スクワッドのリーダーに(強制的に)任命された、ロバート・デュボアブラッドスポート(演:イドリス・エルバ)。
先に上陸したチームが陽動になったおかげで、こちらはとても静か。彼らはまず捕まったリックを救出するために動きます。

敵らしき奴らをブラッドスポートとピースメイカーがどちらが鮮やかに殺せるか競ったり、ナナウエが食べたりしながら殲滅し、リックの捕まっているテントへ行くと、手当てを受けて談笑しているリックの姿が。さっき殺したのは敵ではなく、反政府組織の人達(つまり味方)だった…。リーダーのソル・ソリア(演:アリシー・ブラガ)は当然ブチ切れまくりますが、リックの説得もあって、反政府組織とも協力することに。

 こんな感じで終始進んでいきます。
おバカで、下品で、ポップな作風が、スーサイド・スクワッドというワルモノ集団にピッタリハマっていてめちゃくちゃ楽しいです。ガン監督は「愛おしくて笑えるイカレたキャラ」を描くのが抜群に上手い印象なので、本作にこれほどふさわしい人はいないんじゃないですかね。

 

各キャラクターも非常に魅力的。

大人気の悪カワヒロイン、ハーレイ・クイン
ほぼほぼ鼻血垂らしてるんですが、それでもずっとカワイイのはなぜなのか。神か?神聖存在なのか?

武器と戦闘のエキスパートである、ブラッドスポート
とにかくシブい。激シブ。全身のアーマーがカチャカチャ変形して武器がアップグレードされるのとか滅茶苦茶カッコいい。それでいてネズミ恐怖症とかいう弱点もあってカワイイ。

同じく武器と戦闘のエキスパート、ピースメイカ
なかなかいい感じにサイコパス。平和維持の為なら女子供も容赦なく殺すといった偏屈した正義感は、非常にガン監督らしいキャラなのかも。ブラッドスポートとのキャラ被り天丼も笑った。あと寝るとき白ブリーフ一丁なのもウケる。

宇宙ウィルスに感染したことで水玉を飛ばす能力を得た、ポルカドットマン
ポップな衣装やひ弱そうな見た目とは裏腹にエゲつない能力でビビりました。彼の視点だと人の顔がみんなママの顔に見えるところ、怖っ!爆笑!が同居していて不思議な感覚でした。ゲロ吐くみたいに水玉出すのやめーや(笑)

父から受け継いだ道具でネズミを操ることのできる、ラットキャッチャー2
ハーレイとはまた違ったタイプで超絶カワイかったです。特にバーに潜入する時に私服に着替えたときとか、「えっ、カワイイ…」って声出そうになりました(いや出てたかもしれない)。ネズミのセバスチャンもめっちゃカワイイ。

あとはもう、サメ人間のナナウエカワイイが過ぎる超癒しキャラ。それでいて戦闘時は素手で人間を真っ二つに引きちぎったり丸呑みにしたり銃は効かなかったりクソ強いから、いろんな意味で最強キャラでした。

なんかカワイイしか言ってない気が…でもホントの事だから仕方ない。

 

敵に捕まったハーレイは、きれいなドレスに着替えさせられ、敵のボスであるシルヴィオ・ルナ将軍(演:フアン・ディエゴ・ボト)のもとへ案内されます。アメリカに敵対心を持つ彼は、法律≒アメリカに従わず自由奔放なハーレイの大ファンでした。

結婚を申し出る彼に一度はOKするハーレイでしたが、彼が「自分に従わないものは女子供だろうが容赦しない」と口にした瞬間、「いや子供はダメだろ」と一切の躊躇なく射殺。「子供を大事にする」という点は、前作『ハーレイクインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』との繋がりを匂わせていて好印象。逃げ出したハーレイは、ちょうど救出作戦をするところだったリックらと合流します。ハーレイが捕まってる建物に突入しようとしたら、「ヤッホー何してんの?」と後ろから本人が現れ、「今からハーレイを救出するんだよ…ってお前なんでココにいんの!?」という、お約束なやり取りがあって爆笑しました。

 

その後、「スターフィッシュ計画」の中心メンバーであるガイウス・グリーヴスシンカー(演:ピーター・カパルディ)を脅して、ヨトゥンヘイムと呼ばれる秘密の実験を行っているとされる施設へ潜入。そこにはスターロという地球外生物がおり、それを兵器として利用しようというのが「スターフィッシュ計画」の全貌でした。そこでは大量の人間が実験台にされ、なんともおぞましい光景が…。

しかもそれは元々はNASAが宇宙で発見したものであり、アメリカでは倫理的に研究が出来ないのでこの島国の政府と極秘裏に協定を結んで研究をしていたことが判明。政権がルナ将軍率いる軍に奪われたため、計画が世界中に知られることを恐れたアメリカ政府は、スースクを使って証拠隠滅しようとしていたのでした。

 

ピースメイカーの裏切り、リックの死など、色々あってヨトゥンヘイムは倒壊。そしてスターロが街に解き放たれます。スターロは中心に目玉のついた超巨大なヒトデの化け物のような出で立ち。ちょっとウルトラマンガイアのガンQを連想しました。

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ガンQ。ちょっとカワイイとことかが似てる。

スターロは小さな分身を大量にばら撒き、軍隊や民間人らの顔に貼りついて精神を乗っ取ります。本体もまさに怪獣といった巨大さで、銃などの攻撃も効かず、手も足も出ないような状況。ゾンビものやら怪獣特撮やら、いろんな要素が混ざり合っててとても楽しかったです。

勝敗を決する切り札となったのは、まさかのネズミ。ラットキャッチャーが超大量のネズミを操り、ハーレイが開けた目玉の穴からネズミが入り込んで中から外からスターロを食い破り、遂に倒してしまいます。最初からそれやっとけば良かったんじゃ…と言ってはいけない

 

スースクが軍隊を引き付けている間にソリアら反政府組織が軍を掌握。ブラッドスポートはリックが命懸けで入手したアメリカ政府が計画に関与していた証拠映像をアマンダへ突き付け、これを公にしない代わりに生き残ったスースクメンバーの自由を保障させます。

 

最後はなぜかウィーゼルが蘇生して逃げ出し、死んだと思われていたピースメイカーが実は生きてて病院で治療を受けている場面が流れて、映画は終わってました。

 

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いやー、ホントにずっと楽しい映画でした。
前作はなんというか監督がやりたいこととワーナーがやりたいことが噛み合っていない印象でしたが、本作は監督が好き勝手やりたいことをやっている感じで、見ている側もとても楽しい気分になりました。

他のDCEU作品との直接的な繋がりはほとんどないので、これまでDC映画を見たことなくても全く問題ありません。ハチャメチャで楽しい映画が好きな方、バイオレンス描写が大丈夫な方にはぜひ見てほしい一作です。

今後ピースメイカーの単体作も作られるようで、とても良いキャラクターだったので楽しみです。

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ということで、映画『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』の感想でした。

ではまた。