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映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』感想(ネタバレ)

映画『ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2023/01/07:目次を付けました。

マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

本作は、マーベルコミックに登場するヒーローのひとりであるドクター・ストレンジを主役にした映画となり、単体主演作としては、2017年公開の『ドクター・ストレンジ』に続く第2作目となります。とはいえ、2018年公開の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(以降IW)や、1月に公開されたばかりの『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(以降NWH)等でも抜群の存在感を発揮しているので、あれ、まだ2作目だっけ?という感じ。

 

もくじ

 

ドクター・ストレンジとは

ティーブン・ストレンジドクター・ストレンジの特徴は、医者であり、魔法使いであること。(なんか“魔法使い”って書き方だと童○みたいだな…って事で以降は“魔術師”にしとこう)
性格は非常にプライドが高く、傲慢で、自信過剰。正しい心を持った人格者ではあるけれど、その性格からたびたびとんでもないことをやらかすという、なかなかに魅力的なキャラクターとなっています。

元々は天才的な神経外科医だったものの、自動車事故で腕に大怪我を負ってしまったことで、精密な腕の動きが出来なくなり、その輝かしいキャリアを失ってしまいます。あらゆる治療法を探す中で、ネパール・カトマンズにあるカマー・タージに辿り着き、そこで神秘の力を操る指導者エンシェント・ワンと出会い、その力に衝撃を受けた彼は、ワンに弟子入りすることに。過酷な修行の末に魔術師として生まれ変わった彼は、闇の魔術師カエシリウスによって殺害されたワンに代わり、“至高の魔術師(ソーサラー・スプリーム)”となる――。
というのが彼のオリジンであり、前作のあらすじ。

その後IWにて、強敵サノスを倒すために1400万605通りの未来の中からたったひとつの勝ち筋を見つけ出し、勝利に貢献。しかしNWHでは、異なる次元(マルチバース)からヴィランを呼び寄せるわ、次元の侵食を起こしかけるわ、やらかし放題でした。
そんな彼の新たな戦いが、本作で描かれています。

そんなストレンジを演じるのは、イギリス出身の俳優、ベネディクト・カンバーバッチ
2010年のドラマ『SHERLOCK(シャーロック)』にて主人公シャーロック・ホームズを演じ、英国アカデミーテレビ賞主演男優賞にノミネート。その後、2014年公開の映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』に主演し、その年の「俳優による演技トップ10」で第1位を獲得。2021年公開の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ではアカデミー賞はじめ様々な賞にノミネートされるなど、人気、実力ともに非常に高いお方です。

 

スカーレット・ウィッチとは

もうひとり、非常に重要なキャラクターとして登場するのが、ワンダ・マキシモスカーレット・ウィッチ
MCU作品では、2015年公開の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(以降AoU)にて初登場。ヒドラによってテレキネシスやマインドコントロールなどの能力を強化され、トニー(アイアンマン)への恨みから、序盤はアベンジャーズと敵対。しかし終盤、クリント(ホークアイ)の言葉をきっかけに共に戦うことになり、以降はアベンジャーズの一員として活躍します。

その後、人造人間であるヴィジョンと恋仲になるも、IWにて彼に埋め込まれたマインド・ストーンをサノスに奪われぬよう、泣く泣くストーンを破壊。しかしサノスはタイム・ストーンを使って時間を巻き戻し、結局ストーンは奪われてしまいます。最愛の人が死ぬところを目の前で二度見せられ、決死の思いでやったことは見事に打ち砕かれるという、トラウマ必至な体験をしてしまいます。
アベンジャーズ/エンドゲーム』(以降EG)では、ヴィジョンを殺された怒りからサノスを圧倒する戦闘力を見せるも、戦いが終わった後は行方知れずに。

MCU初のドラマシリーズとなった『ワンダヴィジョン』では、EG後のエストビューという町で、ヴィジョンや2人の子供との仲睦まじい生活が描かれている…と思いきや、心を病んだワンダが現実を書き換えて自身の妄想する世界を作り出し、住民たちには彼女が与えた役を無理矢理演じさせていた、という衝撃的な展開を見せました。このドラマで、彼女の能力が“カオス・マジック”であり、AoUヒドラに与えられた能力ではなく元々持っていた能力がヒドラの実験で増幅されたとされ、また“スカーレット・ウィッチ”の名称が使われたのもこのドラマが初、だったはず。最終話では、闇の魔女アガサ・ハークネスを返り討ちにし、禁断の魔導書ダーク・ホールドを手にするという、先が気になりすぎる結末を迎えました。

そんなワンダを演じるのは、アメリカの俳優、エリザベス・オルセン
2011年公開の『マーサ、あるいはマーシー・メイ』で注目を集め、2014年公開の『GODZZILA ゴジラ』にてメインキャストで出演。2015年からは上述の通り、本格的にMCU作品へ参加しています。AoUの時はメイクのせいかあんまりかわいく見えなかったんですが、それ以降の作品ではどんどんかわいく見えてきて、今では大好きな俳優になりました。しかし、MCUのワンダは悉く酷い目に遭っているので、そろそろ救われてほしい…。

 

新キャラクター、アメリカ・チャベス

本作から登場する新キャラクターが、アメリカ・チャベス
マルチバースを行き来できる能力を持った、本作のカギとなる少女です。

演じるのは、若干16歳のラテン系俳優、ソーチー・ゴメス。全く知らない役者さんでしたが、すんごいかわいくて最高でした。良く知らんけど、TikTokでも注目を集めているんだとか。ダンス動画なんかが人気で、フォロワーも100万人いるとかいないとか。MCUのキャストでTwitterInstagramをやっている人は珍しくないですが、TikTokをやっている人はほとんどいないらしいので、なんというか新世代、って感じがしますね。
これが若さか…。

オジサンついてけないよ…。

本作について

本作の監督を務めるのは、サム・ライミ
アメコミファンとしてはやはり、2002年~2007年の『スパイダーマン』3部作の監督としての印象が強いと思います。しかし、元々は『死霊のはらわた』シリーズなどのカルト映画で人気を獲得し、『呪怨』のハリウッドリメイク版や『ドント・ブリーズ』の製作を務めるなど、ホラー映画監督としても有名だったりします。そのため本作も、ホラー描写がふんだんに盛り込まれた、でも怖くなり過ぎない、非常にエンタメ度の高い作品になっています。ちなみに前作の監督であり、生粋のアメコミファンでもあるスコット・デリクソンは、本作では製作総指揮に回っています。

これまでのMCU作品では、レイティングの関係で不自然なほどに血が出てきませんでした。あまりにも出なさすぎるので最近はちょっと不満に感じていたんですが、本作では監督が直談判したとかで、人外の生物だったり人型のロボットだったり、絶妙に人から血が出るのは避けつつも(とはいえ人の血もちゃんと出てくる)、しっかりと流血描写もあって、リアリティを感じました。

タイトルにも入っている通りマルチバースが重要な要素になると聞いていたので、見る前はややこしくなりそうだなーと思っていましたが、蓋を開けてみればそこまで複雑というわけでもなく、それでいてしっかりとまとまっており、上映時間も2時間ちょっとなので、最近のMCU作品の中では比較的見やすい作品になっていると思いました。
マルチバースって何ぞや?」という方は、「パラレルワールドみたいなものだよ」と思っていただければよいかと思います。

 

MCU作品に触れてこなかった人が二の足を踏む原因筆頭の、通称MCUラソンに関しては、1作目はもちろん、MCU以外のマーベル作品も見といた方がいいし、難易度としては過去最高かもしれません。もはや、「みんな過去作見てるよね?」と割り切った作りになっている、と言えるかもしれません。

でも、今や作品数がとんでもない事になってるし、製作陣もその辺を自覚したうえで、そういう人も楽しめるような作品作りをしていると思うし、今さら予習とかする必要ないかなと。少なくとも、本作はこれだけ見ても全然楽しめると思います。たぶん。
MCUって作品数多すぎて手を出しにくい」というのはもうほんとその通りだと思うし、「見る前にあの作品やこの作品見といたほうがいい」ってのもキリが無い。なので、とりあえずなんでもいいからひとつ見てみて、興味が出たら他の作品も見てみる、くらいのスタンスでいいんじゃないかと思います。
てなわけで、今後はMCUラソンという言葉はなるべく使わないようにしよう、うん。

 

すっかり前置きが長くなりましたが、感想に参りたいと思います。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

舞台は、NWHから5ヶ月後
ティーブン・ストレンジドクター・ストレンジ(演:ベネディクト・カンバーバッチ)は夢の中で、謎の怪物から少女と共に逃げていました。何とか状況を打開しようとその少女から能力を取り上げようとするも、怪物から致命傷を負わされ、その瞬間夢から飛び起きます。今のは夢だったのか、それとも…。

スーツをビシッと着こなしたストレンジが向かったのは、元恋人クリスティーン・パーマー(演:レイチェル・マクアダムス)の結婚式。未だにクリスティーンの事を引きずっているストレンジでしたが、彼女の方は「どうせ長く続かなかった」と冷めた様子。

そんな折、外の様子が騒がしいことに気付きます。見えない何かが街で暴れている模様。その正体は、巨大な一つ目にタコのような触手を持った、ガルガントスという怪物。その怪物の狙いは、夢で見た少女、アメリカ・チャベス(演:ソーチー・ゴメス)でした。駆け付けた兄弟子ウォン(演:ベネディクト・ウォン)と共に怪物を撃退し、チャベスを救出。彼女はマルチバースを移動する能力を持っており、その能力の為に狙われたとの事。また、ストレンジが見た夢は実際に起こった事であり、夢というのは別宇宙の自分が体験したことなんだと教えてくれます。

チャベスをカマー・タージで保護するようウォンに告げ、ガルガントスの体にルーン文字が刻まれていたことから、その筋に詳しいワンダ・マキシモスカーレット・ウィッチ(演:エリザベス・オルセン)を訪問し、話を聞くことに。

しかし、ワンダにはストレンジも知らない思惑が――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

やらかしおじさん、ストレンジ

今回のストレンジおじさんはどんなやらかしをするのかと思いきや、彼自身がやらかしているわけではありませんでしたね。チャベスの制御できない能力に、一緒になって翻弄されている感じでした。

本作には、異なる次元のストレンジが多数登場します。これがまた楽しい。
向う見ずな性格でスペイン語が堪能な、ポニーテール姿のディフェンダー・ストレンジ
ショートヘアーに青いマントが特徴的な、地球を護った英雄として語られている、スプリーム・ストレンジ
ダーク・ホールドの力に飲み込まれた、乱れたロングヘアーに長い髭を持ったシニスター・ストレンジ
「ひとつの選択の違いで、同じ人物でも全く異なる道を歩む事になる」というのを体現していて、とても面白かったです。これぞマルチバース
あとラストで、ゾンビ・ストレンジを彷彿とさせる姿が出てきます(デッド・ストレンジというらしい)。死者の魂がマント状になっているとか、厨二心をくすぐられて良かったです。

そーいや、マントの留め具みたいにして使っているアガモットの眼、もうタイム・ストーンは無いはずなのになんでまだつけてるんだろ、と思いましたが、「得体の知れない怪物の正体を暴く」という能力があるらしく、ガルガントスを見えるようにしたのはこの能力のおかげっぽい。知らなんだ。

 

それから、カマー・タージの書庫の管理人であり、現ソーサラー・スプリームである、ストレンジの兄弟子ウォンとの、漫才みたいな掛け合いも健在でホッコリしました。
ウォンは『シャン・チー/テン・リングスの伝説』にも出てくるし、最近やたらと登場の機会が多いですね。本作では、カマー・タージで修業をする人たちの師範としての顔も見せてくれました。全く忙しい人ですな。
演じるベネディクト・ウォンは、未だMCUでは数少ないアジア系俳優のひとりなので、これからも頑張って欲しいです。

 

将来有望、アメリカ・チャベス

本作のキーパーソンとなる、アメリカ・チャベス
どうでもいいですが、アメリカ・チャベスの呼称は劇中ではアメリカ”でしたが、国名なのか人名なのかごっちゃになりそうなので、この記事ではチャベスと呼称しています。

上でも少し書いてますが、演じるソーチー・ゴメスが滅茶苦茶かわいくて、一気に大好きなキャラになりました。マルチバースを移動する能力も、星形のゲートを発現させる形になっていて、非常にカッコよかったですね。ストレンジおじさんはピーター(スパイダーマン)の良き“メンター(指導者)”にはなれませんでしたが、ぜひチャベスのメンターとして頑張ってもらいたいものです。

そーいや劇中で明言はされませんでしたが、彼女は同性愛者(レズビアン)のヒーローになります。母親らしき人が2人いましたが、彼女の故郷は女性(のような容姿をした人)しかいないという設定なんですかね。

 

誰かワンダに救いの手を…

とにかく幸薄いMCUのワンダですが、本作でもその悲哀っぷりは変わらず。
本作では、なんと黒幕になってしまいました。その目的は、今いる次元では存在しない2人の子供をマルチバースから連れてくること。『ワンダヴィジョン』でも元凶となっていましたが、あちらは無自覚なところがあったのでまだいいとして、今回は完全にわかった上でやってるのでタチが悪い。

 

序盤、リンゴ園に話を聞きに行って、
ス:「とある能力を持った少女をカマー・タージに匿ってるんだが…」
みたいな流れから、
ワ:「で、アメリカは…。あれ?私あなたに名前聞いたっけ?」
ス:「いや…聞いてない…(まさか…)」
ワ:「ふーん…。バレたら仕方ないわね」
みたいな、あからさまな悪役ムーブ。

これ以上不幸になってほしくない気持ちはあれど、なんかもう悪役としてスゲェカッコよくて、楽しくなっちゃいました。ここでワンダにチャベスの居場所を教えちゃう、ってのがストレンジおじさんが本作で唯一やらかしたところかもしれない。
その後は、チャベスの能力を狙うワンダからひたすら逃げ続ける、というのが本作の流れになります。

 

余談ですが、序盤に登場したガルガントスという怪物。姿はまんまシュマゴラスなんですが、大人の事情で別キャラの体裁を取らざるを得ないという、ちょっと不遇なキャラクターです。アラサー以降の格ゲーマーには「キャーシュマチャーン」でピンとくるはず。
まぁ、原作のシュマゴラスは「数百の次元を支配していた」とされるほどに強大なキャラなので、あっさりやられちゃう本作においては、むしろガルガントス名義で正解だった気がします。

格ゲーではこんな扱いです。かわいい、かわいいよシュマちゃん。
しっかりとまとまったストーリー

上でも書いた通り、マルチバースを扱うという非常にややこしくなりそうな題材ながら、わかりづらさはほとんどなく、全体的に良くまとまっていると思いました。ただ個人的には、「結局、最初にディフェンダー・ストレンジを襲ってたのって誰だったの?あれもワンダの仕業なの?」と思いながら見ていたので、そこだけモヤっとしました。単に僕がワンダがやってるんだと信じたくない気持ちが強すぎただけかもしれないですが。

 

上述の通り序盤でストレンジはワンダにチャベスの居場所を教えてしまったので、カマー・タージでワンダを迎え撃つ事になります。始めは修行僧たちが団結して防御壁を張り、攻撃が通らず攻めあぐねるワンダでしたが、修行僧のひとりをマインドコントロールして隊列を乱し、ほころびが生じたところで一気に攻め落とすという、戦略的な戦い方を見せてくれます。その後は、無双シリーズばりの一騎当千っぷり。

本作のワンダは一切の容赦なく人を殺しまくるし、ウォンを尋問する時には生き残った修行僧の命をちらつかせるなど、行動が完全にヴィランでした。ワンダには幸せになって欲しい、でもそんなことしたらどんどん幸せから遠のいてしまう、でも悪役としてあまりにもカッコいい…というジレンマ。

 

迫りくるワンダに恐怖を感じ、チャベスの能力が発動。ストレンジと共に別次元へと逃げることになります。ここでのいろんなマルチバースを通り抜ける場面、恐竜がいたり、ペンキになったり、キューブ状にバラバラになったり(新手のスタンド能力かッ!?とちょっと思った)、視覚的楽しさが満載でした。
いろんな次元を通り過ぎたのち、近未来風の次元へと辿り着いた2人。ここではマルチバースの研究が進んでいる、というのも、恐らく物語を円滑に進めるためにそうしたんだと思いますが、よく考えられてるなーと。研究者として働いているこの次元のクリスティーンによると、今いる次元は“アース838”で、ストレンジたちが来た(MCU本来の)次元は“アース616”と定義されているらしい。あと、こっちではウルトロンが警備ロボットになってました。

 

秘密結社、イルミナティ

ここで本作のサプライズとして登場するのが、イルミナティのメンバー。ここではS.H.I.E.L.D.アベンジャーズも存在せず、彼らが地球を護っているんだとか。
イルミナティは原作コミックにも登場したグループで、アベンジャーズやミュータントなどの各界のリーダーが集結した秘密結社なんだそうです。

本作に登場するイルミナティのメンバーに関しては、敢えてここでは詳しく書きませんが、サプライズの連続で、ファンであれば興奮必至です。
以下の記事で詳しく書かれていますので、鑑賞後に読むことをおススメします。

virtualgorillaplus.com

 

“ドリーム・ウォーク”という、マルチバースの自分自身の精神を乗っ取る技を駆使し、どこまでもチャベスを追ってくるワンダの姿は、ホラー映画そのもの。イルミナティの各メンバーも、彼らの土俵で真っ向から叩き潰すワンダが恐ろし過ぎる。ウルトロンの血(オイル?)かイルミナティのかはわかりませんが、血みどろになりながら目を光らせて迫ってくるワンダ。扉を閉めて、「これで大丈夫か…?」と思ったら横からヌッと出てくるワンダ。どうやって入ってきたのか…。めっちゃこわい…。でもめっちゃ面白い…。

 

三者三様の結末

ダーク・ホールドに対抗出来る唯一の手段として登場する“ヴィシャンティの書”の在処を捜したり、チャベスがワンダに攫われてすったもんだあったりしつつ、最後は、子供たちを連れ去ろうとした次元のワンダに「(この子たちは)私が愛します」と言われ、MCU次元のワンダは諦めるしかなく…。

これ、「私が愛します(ので、テメェには金輪際絶対手出しさせねぇからな次同じことしようもんなら覚悟しとけよ)」って事だと僕は解釈しました。これからも子供たちを愛し抜くという“覚悟”というよりは、お前の思い通りにはさせねぇという“圧”のようなものを感じました。ちなみにこのセリフ、吹き替え版だとちょっとニュアンスの違うセリフになっているらしいですね。僕は基本字幕で見る派なので詳細はよくわかりませんが、どちらかというと上でいう“覚悟”寄りの言い方になっているみたいです。

過ちに気付いたワンダは、同じ過ちを繰り返させぬよう、全ての次元からダーク・ホールドを消し去り、その原書であるワンダゴア山を破壊。自身もその下敷きになり、生死不明に。
というのがワンダの結末。

ちくしょう、まだか…ワンダが救われる未来はまだ来ないのか…。これでワンダ死亡、で終わってほしくないので、まだ生きている、と信じたい…。
『ワンダヴィジョン』最終話にて、本来の人格を取り戻してどこかに飛び去ったままのホワイトヴィジョンが、今後のカギになってくるのではないかと睨んでいます。とにかくどうにか救われてくれワンダ…。

 

対して、これまでどの次元にも居場所のなかったチャベスは、MCU次元のカマー・タージにて、ストレンジとウォンの指導のもと魔法の修行を始めるという、希望に満ち溢れた結末に。力もある程度制御できるようになり、自在にゲートを出現させてました。修行僧が着てる道着みたいなやつがブカブカだったのが、また可愛いのなんのって…。
マルチバースを自在に行き来できて、更に魔法も使いこなせるとなれば、今後は相当な強キャラになっていきそうですね。非常に楽しみです。

 

そしてストレンジは、ダーク・ホールドを読んだ影響で、シニスター・ストレンジのような3つ目が発現し、なんじゃこりゃ~~~!?という感じの結末。このまま闇にのまれてしまうのか…?と思いきや、直後のシーンではケロッとしてたので、全然平気なんかい!と突っ込まざるを得ませんでした。

 

ミッドクレジットシーンでは、ストレンジの前に謎の女性が現れます。なんでも、別宇宙同士がぶつかり合うことで対消滅してしまう、“インカージョン”という現象を修復するのを手伝ってほしい、との事。
この女性を演じるのが、なんとシャーリーズ・セロン。ついに来たか、という感じ。
彼女はクレアというキャラクターで、原作コミックではあのドルマムゥの姪という設定なんだとか。ドルマムゥといえば、映画第1作目のラスボス。あまりの強大さに倒すことは出来ず、ストレンジのトンチのような戦法でどうにか追い返した、という恐ろしい存在です。彼女が今後どのようにMCU世界に絡んでくるのか、楽しみが尽きませんなぁ。

ポストクレジットは、ストレンジに“3週間程度自分を殴り続ける”魔法をかけられたオジサンの魔法が解けるところ、というなんとも笑えるシーンで幕を閉じます。
このオジサンを演じているのがブルース・キャンベルという方で、サム・ライミ監督作『死霊のはらわた』にて主人公を演じた方なんだとか。こういう形でのカメオ出演、ホント面白いですね。

 

おわりに

思った以上に長くなってしまいましたが、感想は以上になります。

大変面白い作品になっていると思いますので、これまでMCUに触れてこなかった人も、興味があればぜひ鑑賞して頂きたいです。見たうえで、「これってどういうこと?」とか「あのキャラってどんなキャラなの?」とか思ったが最後、ようこそMCU沼へ…。

ということで、映画『ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス』の感想でした。

ではまた。