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映画『インディー・ジョーンズと運命のダイヤル』感想(ネタバレ)

映画『インディー・ジョーンズと運命のダイヤル』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

インディー・ジョーンズ』は、言わずと知れたアクション・アドベンチャー映画シリーズ。
スター・ウォーズ』で知られるジョージ・ルーカスが製作し、のちに『E.T.』や『ジュラシック・パーク』で世界的ヒットを飛ばすことになるスティーヴン・スピルバーグが監督をしたこのシリーズは、1981年に第1作が公開され、数々の賞を総なめにするほどの高い評価を獲得。映画史に残る名作のひとつとして知られています。

古代の遺跡などを探検し、謎を解き、その先に隠されたお宝や真実を見つけ出す、というプロットはのちの映画にも多大な影響を与え、『ハムナプトラ』シリーズや『ナショナル・トレジャー』シリーズなど、本シリーズにインスパイアされた(であろう)作品が数多く生み出されました。


もくじ

 

概要

そんな『インディー・ジョーンズ』シリーズの15年ぶりの続編、及び恐らく最終作であろう作品が、本作『インディー・ジョーンズと運命のダイヤル』です。
インディーが若かりし頃に入手したものの、その力の大きさゆえに解明を断念したとある秘宝を巡り、世界を股にかけて大冒険を繰り広げる、シリーズおなじみの謎解き冒険ものとなっています。

余談ですが、制作会社であるルーカスフィルムがディズニーに買収されたことで、本作より配給がパラマウントからディズニーに変わっています。パラマウントは製作協力という形で、配当の一部を受け取る契約になっているんだとか。うーん大人の事情。

 

スピルバーグは本作では製作にまわり、彼に代わって監督は『LOGAN/ローガン』や『フォードvsフェラーリ』などで知られる、ジェームズ・マンゴールドが務めています。

脚本はマンゴールドのほか、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』や『007 スペクター』などのジェズ・バターワーズジョン=ヘンリー・バターワーズが共同で執筆しています。

 

主演はもちろん、ハリソン・フォード
スター・ウォーズ』シリーズのハン・ソロ役で一躍スターとなり、本シリーズにてその地位を不動のものにしました。御年80歳の大ベテランですが、ハンサムで男らしいその姿は未だ健在。

もうひとりの主人公というべき女性を演じるのは、イギリスの俳優、フィービー・ウォラー=ブリッジ
ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』などへの出演のほか、脚本家やプロデューサーとしての顔も持っているそうです。多才ですねー。

本作で主人公たちに立ちはだかるキャラクターを演じるのは、デンマーク出身の俳優、マッツ・ミケルセン
“北欧の至宝”と呼ばれるほどの大人気俳優で、MCU映画『ドクター・ストレンジ』や、ゲーム『デス・ストランディング』など多数の作品に出演しており、2020年の映画『アナザーラウンド』では主演も務めています。また、『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』では、ジョニー・デップに代わりゲラート・グリンデルバルドを演じています。

そのほか、過去作にも出演しているジョン・リス=デイヴィスカレン・アレンのほか、『マスク・オブ・ゾロ』や『アンチャーテッド』などのアントニオ・バンデラス、『ハリー・ポッター』シリーズのドビーの声や、『ハンガー・ゲーム』シリーズなどに出演しているトビー・ジョーンズなどの俳優が出演しております。

 

予告編


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あらすじ

1944年、ドイツ。
若き日のインディアナ・ジョーンズ(演:ハリソン・フォード)は、旧友の考古学者バジル・ショー(演:トビー・ジョーンズ)と共に、ナチスに奪われた秘宝ロンギヌスの槍を奪還すべく、軍の列車に忍び込んでいました。槍は偽物でしたが、そこにあったもうひとつの秘宝、“アンティキティラのダイヤル”を取り返し、その場を脱出します。

時は流れ、1969年、アメリカ。
インディーは大学で考古学の教授として教鞭を取っていました。しかし、生徒たちは人類初の月面着陸に夢中になっており、考古学にはあまり興味を示していない様子。ひとり、考古学に詳しい生徒がいると思いきや、彼女は生徒ではなく、バジルの娘、ヘレナ・ショー(演:フィービー・ウォラー=ブリッジ)でした。彼女の目的は金のために例の秘宝を盗み出すことであり、インディーが保管していたダイヤルを奪い、競売にかけようとします。

そして秘宝を狙っているのは、もうひとり。
それは、元ナチスの科学者であり、ダイヤルを見つけた張本人である、ユルゲン・フォラー(演:マッツ・ミケルセン)。現在ロケット開発の権威として広く知られている彼は、そこで得たであろう財力とナチスの人脈を使い、手段を選ばずに秘宝を我が物にしようとします。インディ、ヘレナ、フォラーは、ダイヤルを巡る三つ巴の激しい争奪戦を繰り広げることに。

最後にダイヤルを手にするのは、一体誰なのか。そして、“時間をも超越する”という、ダイヤルに秘められた力とは――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

ハラハラドキドキワクワクの連続で、最高に楽しいエンターテインメント作品でした。

いつものことですが、インディーは劇中ずっとピンチに陥っています。ひとつ切り抜けたと思ったらまた別のピンチが襲ってきて、それも切り抜けたらまた…。コレの繰り返し。
それを8割のフィジカルと2割の機転で切り抜けていくのが、まさに「あの時代の映画」という感じでした。

 

恐らく敢えてやってると思うのですが、敵がナチスだとか、他にも全体的に古臭さを感じるところは多々あります。しかし、往年の名作でこれをやると、「そうそう、コレコレ!」となるのが不思議。伝統芸能みたいなものでしょうね。

激しいアクションあり、手に汗握るカーチェイスあり、古代遺跡での謎解きあり、ほんのちょっとの鞭アクションありで、シリーズファンが見たいものが過不足なく提供される、非常に良い続編だったと思います。

 

現在のインディーはすっかりおじいちゃんで、大学のシーンとかはそれを強調して描いているようにも思えます。特に自宅でのパンイチの姿は、そのボディが加齢を如実に語っていました。しかし、いつもの帽子に鞭を装備した姿は、完全にあの時のまま。なんなら更に渋味を増して、魅力が上がっているようにも見えます。「はぁー、なんてカッコいいんだろ」と溜息が出てしまうほどでした。

でもやっぱりジェネレーションギャップみたいなものはあって、鞭で威嚇して「さっさとここから立ち去れ!」ってやるのに、今時みんな銃を持ってるから全然ひるまないのとか、「ぶちかませ!インディアナ・ジョーンズ!」と言われて、「やってやんよ!」とばかりに振り返った瞬間タクシーに轢かれそうになるとか、「あの時代の映画」のありがちなシーンを逆手に取ったようなギャグにも、笑わせて頂きました。

 

冒頭に出てくる若かりし頃のインディーは、恐らくCG処理なのでしょうが、30年前にタイムスリップしたのかと思うほどに違和感が一切無くて驚きました。冒頭のナチスからダイヤルを取り返すシーンは結構長めに尺を取っていたのですが、若インディーがカッコ良かったのもあって、大変見応えがありました。“ロンギヌスの槍”と聞いて某アニメを連想してしまうのは、日本人特有の病気。

老インディーも、走行中の車を飛び移ったり、飛行機から飛び降りたりと、激しいアクションの連続。さすがに本人が全てやっているわけではないのでしょうが、むしろ体をいたわってこれからも末永くお元気でいて欲しいので、これでいい。むしろこれがいい。
某インポッシブルのように、歳を重ねるごとにアクションの荒唐無稽レベルが上がっていくのも、すごく魅力的ではありますけどね。あの人も還暦越えてるのにあの若々しさって、コールドスリープでもしとるんか…って感じですよね。こちらも新作が今月公開なので、絶対に見に行かなくては。

 

次世代を担うキャラクター、ヘレナも、非常に魅力的なキャラでした。
父親譲りの考古学の知識を持っているものの、歴史的発見などには興味が無く、お金が何よりも大事で、お宝を盗み出しては闇オークションで売りさばく、という生活をしていました。過去に逮捕歴があることも明かされます。峰不二子みたいな感じ?

今回、インディーからダイヤルを盗んだのも、売ってお金にするため。…という名目でしたが、その奥にあったのは、亡き父の長年の研究は間違っていなかったと、父は偉大な人物なのだと証明したい、という思いでした。なんだかんだ父親のこと愛してたんだな…というのがわかって、なんだかジーンと来てしまいました。相棒の少年、テディ(演:イーサン・イシドー)も、拘束されても自力で脱出したり、飛行機の操縦まで出来たりと、ちょっと有能過ぎるくらいに有能キャラで良かったです。

 

本作のヴィランであるフォラーも、非常に魅力溢れるキャラになっておりました。
というか、僕マッツ・ミケルセン大好きなんですよね。だって、あんなにセクシーな人類がこの世に存在していいのか?ってくらいにカッコいいじゃないですか(語気強め)。出演作全て追っているわけではありませんが、気になってる作品にマッツが出るとわかるとテンション上がる、というくらいには大好きな俳優さんです。

本作のフォラーのような、「頭が良くて真面目過ぎるがゆえに、ねじ曲がった考えに至る」キャラと、マッツの相性も抜群だと思っていて。それこそ『ドクター・ストレンジ』のカエシリウスとかも、似たようなキャラですし。フォラーに関してもマッツがバッチリハマっていて、紳士的な立ち振る舞いと時折顔を覗かせる狂気が、なんとも性癖ドストライクでした(誤解を招きかねない文章)
インディーと違って25年経っても容姿がほとんど変わらないのは、まぁご愛嬌ということで。もしかしてCG処理する予算が無かったとか?

ただ、1944年の列車のシーンで、頭ひしゃげてもおかしくないくらいの勢いで木?か何かにぶつかっていたのに、1969年に再び出てきたときに何の跡も残っていなかったのは、ちょっと違和感を感じました。超人血清打ったわけじゃないんだし。もしかすると傷跡とかあったのかもしれませんが、僕には判別出来なかった…。

 

なんやかんやあって、クライマックスで遂にダイヤルの真の力が解放されるわけですが、あの展開には個人的にはちょっと首をかしげてしまうかなー、という感じでした。

なんというか、リアリティラインがいきなりグンッと下がったように思えてしまって。これまでも、科学を超えた不思議な力は何度も出てきましたが、あくまで「信じるか信じないかは、あなた次第です」って感じだったと思うんです。でも今回は、映画内においては完全に“事実”ですし、もう信じる信じないの話じゃなくなってしまったというか。あのギリギリのラインが絶妙なリアリティを演出していたように思うので、そこだけは越えないでほしかったなー、と思ってしまったといいますか。伝わりますかね…?

インディーがそこに残る決断をしたのも、「歴史をこの目で見て、後世に残していきたい」という思いがあるんだろうと思ったし、歴史が改変される恐れがあることに対し「それがどうした?」と言うのも、彼がヒーローではなくひとりの人間であり、そんな彼の心の中の孤独感を感じさせて良かったし、結局ヘレナがぶん殴って連れて帰るのも、インディーがウジウジしてた分スカッとしてめちゃくちゃ良かったし、不満というほどでもないんですけどね。ちょっとしこりが残るような思いでした。

 

そうして現代に戻ってきたインディーは、ヘレナに対し「俺はこれからどう生きていけばいいんだ?」と吐露します。そこへ現れたのは、息子の死をきっかけにすれ違い、別居していた妻、マリオン・レイヴンウッド(演:カレン・アレン)。息子が死んだ設定にしたのは、シャイア・ラブーフが問題行動ばかりで出演させられないからかな…と邪推。

最後はインディーとマリオンが仲直りして、映画は幕を閉じます。前作とオチ一緒じゃない?というのと、おじいちゃんおばあちゃんの恋愛にどれほどの需要があるのだろう…とちょっと思ってしまいましたが、「過去に生きるのではなく、今を生きよう」というメッセージが感じられたし、なんだかホッコリしたのでヨシ!

 

おわりに

感想は以上になります。

往年の名作のリバイバルといった感じの作りなので、シリーズをリアルタイムで楽しんでいた人ほど楽しめる作品になっているのではないかと思います。かつてはよく通っていたけれど、最近はすっかり映画館から足が遠のいてしまったという人も、インディー・ジョーンズ最後の雄姿を、是非とも映画館で見届けてみてはいかがでしょうか。

ということで、映画『インディー・ジョーンズと運命のダイヤル』の感想でした。

ではまた。