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映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』感想(ネタバレ)

映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

本作は、マーベルコミックに登場するヒーローチーム、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーを題材とした作品であり、MCU作品としては2014年の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』、2017年の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』に続く第3作目、及び最後の作品となります。

このシリーズは比較的他のMCU作品との関わりが薄く、それでいて全MCU作品中トップクラスといってもいいくらいに面白い(※個人の感想です)ので、「MCU見たことないんだけどどれ見たらいいの?」と聞かれたら、恐らく「『アベンジャーズ』1作目かガーディアンズのシリーズ」と答えるだろうというくらい、自信を持ってオススメ出来るシリーズです。

 

もくじ

 

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーとは

初登場は1969年に刊行されたコミックですが、設定やメンバーは別物であり、MCUでベースになっているのは2008年より開始した2代目の方のようです。ヨンドゥやスタカーは、コミックでは初代の方のメンバーだったんですね。

2代目ガーディアンズは、銀河を守るためにスター・ロードが各メンバーを招集して結成されたチームだそうで、銀河の荒くれたちが成り行きで結成した映画版とは少々異なっています。そのメンバーは、スター・ロードをリーダーとして、アダム・ウォーロック、ドラックス、ガモーラ、ロケット、グルート、マンティス、コスモ…といった映画に登場しているキャラのほかにも、何人ものヒーローが加入したり脱退したりしているようです。

最近だと、アイアンマンやキャプテン・マーベル、エージェント・ヴェノム等がメンバーに加わったりしているらしいですね。

 

これまでの変遷

MCUにおける彼らの活躍を、簡単に書いていきます。

  • ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』 2014年
    キルン刑務所という場所に投獄されたピーター・クイルスター・ロードガモーラロケットグルートドラックスの一行は、脱獄の為に手を組みます。その後、宇宙の破壊を企むロナンからオーブ(インフィニティ・ストーンのひとつであるパワー・ストーン)を取り返し、その力を利用してロナンを倒すことに成功。銀河を救ったクイルたちはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと呼ばれ、団結した彼らは新たな旅へと旅立ちます。

  • ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』 2017年
    ガーディアンズのもとに、天界人(セレスティアル)のエゴと、世話係のマンティスが現れ、クイルがエゴと地球人の母との間に産まれた子供であると明かします。エゴの野望を知ったクイルは、ガーディアンズと共にそれを阻止。最後はクイルをかばって、彼のもうひとりの父親といえるヨンドゥが死亡。生みの親、育ての親の両方を失うという結末に。

  • アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』 2018年
    サノスの攻撃で宇宙を漂っていたソーを救出したガーディアンズは、彼よりサノスの目的を聞き、二手に分かれて動くことに。しかしサノスの強さに太刀打ちできず、更に彼の娘であるガモーラは、ソウル・ストーンを手に入れるための犠牲となってしまいます。インフィニティ・ストーンを全て手に入れたサノスは、デシメーション(通称:指パッチン)を発動。ガーディアンズのメンバーもほとんどが消滅してしまいます。

  • アベンジャーズ/エンドゲーム』 2019年
    “タイム泥棒作戦”のさなか、2014年に飛んだ現代のネビュラは、その時代のネビュラと繋がってしまったことでその時代のサノスに作戦を知られてしまい、彼らの軍勢が現代にやってきてしまいます。そこには、まだ命を落とす前のガモーラもいました。トニー・スタークアイアンマンの犠牲によってサノス軍を消滅させることに成功しますが、ガモーラはそのまま姿を消してしまいます。

  •  ソー:ラブ&サンダー』 2022年
    半ば強引にガーディアンズと宇宙に出たソー。惑星を渡り歩き、そこに住む人たちを救って周っていました(ほとんどガーディアンズがやってた気もしますが)。しかし、旧知の仲であるシフからの救難信号を受け取ったことで、ガーディアンズと別れ、ソーは単身シフのもとへ急ぐのでした。

  • アイ・アム・グルート』 2022年
    『リミックス』時のベビー・グルートを主役とし、彼の日常をコミカルに描いた、1話5分程度の短編。いかにも子供向けといった感じの作りで、なーんにも考えずに楽しめます。

  • ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャ』 2022年
    ウェアウルフ・バイ・ナイト 』に続く、マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーションの第2弾。
    ソーと別れた後、未だガモーラを喪った悲しみが癒えないクイルのために、地球のクリスマスというイベントを知ったマンティスたちが、彼を元気づけるためにクリスマスプレゼントを探しに行くのですが…。ケヴィン・ベーコンが本人役として出演したりと、相変わらずのやりたい放題ぶりでした。ラストでは、マンティスもエゴの娘、つまりクイルと異母兄妹であることが明かされます。

 

本作概要

そうして、物語は本作へと繋がってきます。

壮大で色とりどりな宇宙を舞台に、魅力が有り余るキャラクターたちがブラックなユーモアを挟みつつも団結しながら困難に立ち向かっていく作風は、本作でも健在。更に本作では、とあるキャラのバックボーンが掘り下げられており、それを主軸としてストーリーが展開されるのが特徴となっています。

 

監督、脚本は、これまでと同様、ジェームズ・ガン
一時マーベルをクビになったりして本作の製作が危ぶまれることもありましたが、俳優陣の直訴などもあって復帰し、無事に最後まで監督を務めあげてくれました。『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』よりDCコミック原作の映画にも参加しており、今や新設されたDCスタジオの統括をする立場となっています。

 

俳優陣も、おなじみのメンバーが揃っています。

ガーディアンズのリーダー、ピーター・クイルを演じるのは、クリス・プラット
本シリーズへの出演を機に一躍スターダムへと登り詰め、『ジュラシック・ワールド』の主演や『トゥモロー・ウォー』では製作総指揮を務めるなど、飛ぶ鳥を落とす勢いの俳優です。

かつてクイルと恋愛関係にあったものの、現在はその記憶を失っている(経験していない、と言った方が正しい)女性、ガモーラを演じるのは、ゾーイ・ザルタナ
アバター』シリーズのネイティリや、リブート版『スター・トレック』シリーズへの出演でも知られています。

人間の言葉を話し、メカニックに強いアライグマ、ロケットの声を演じるのは、ブラッドリー・クーパー
アメリカン・スナイパー』の主演のほか、『アリー/スター誕生』では監督、脚本、製作も務め、アカデミー賞を受賞するなど、多岐に渡る活躍をしています。

樹木型ヒューマノイド、グルートの声を演じるのは、ヴィン・ディーゼル
ワイルドスピード』シリーズのドミニク、と言えばわかる方も多いかと思います。

頭が少々アレなパワーファイター、ドラックスを演じるのは、元WWEの人気レスラー、デイヴ・バウティスタ
現在は『ブレードランナー2049』『DUNE/デューン 砂の惑星』『ノック 終末の訪問者』への出演など、主に俳優として活躍しています。

『ホリデー・スペシャル』ではメインキャラとして活躍したマンティスを演じるのは、フランス人俳優のポム・クレメンティエフ
リメイク版『オールド・ボーイ』でハリウッドデビューし、今年公開予定の『ミッション・インポッシブル』最新作にも出演予定の、実力派俳優です。

ガモーラの義妹であり、サノスによって全身を改造されたサイボーグ戦士のネビュラを演じるのは、カレン・ギラン
リブート版『ジュマンジ』への出演や、最近では『デュアル』で主演を務めるなど、活躍の場をどんどん広げています。

亡きヨンドゥより“ヤカの矢”を受け継いだ元側近、クラグリンを演じるのは、ショーン・ガン
ジェームズ・ガン監督の弟であり、ガン監督作にはよく出てきます。ガーディアンズのシリーズでは、ロケットのモーションキャプチャーも担当しています。

 

本作のヴィラン(敵役)は、『エグザム』などのチュクウディ・イウジ、『ナルニア国物語』や『メイズ・ランナー』などのウィル・ポールター、『TENNET テネット』や前作にも出演したエリザベス・テビッキらが、魅力たっぷりに演じています。

それと、本作ではガーディアンズと協力関係にある宇宙海賊ラヴェジャーズのリーダー、スタカー役で、大俳優シルヴェスター・スタローンカメオ出演しています。

 

うーむ…。
登場キャラが多いのですっかり長くなってしまいました。俳優陣の紹介は特段書く必要も無いでしょうし、短くしようと意識しているんですけどね…。まぁそんなこと言い出したら、当ブログの存在意義も別に無いだろって話になっちゃいますし。今さら消すのもめんどいので、このままでいきます。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

惑星ノーウェア
ここは、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーの新たな拠点となっていました。

リーダーであるピーター・クイルスター・ロード(演:クリス・プラット)は、未だ愛する人を喪った悲しみから立ち直れず、酒浸りの日々。メンバーはそんな彼に呆れつつも心配していました。

ある日、そんな彼らのもとへ全身金色のソヴリン人、アダム・ウォーロック(演:ウィル・ポールター)が強襲してきます。その狙いはメンバーのひとり、ロケット(声:ブラッドリー・クーパー)でした。ものすごいパワーを持つウォーロックをメンバー全員でどうにか鎮静化させるも、攻撃を受けロケットは重傷を負ってしまいます。

すぐに医療キットで治療を施しますが、逆に苦しみだすロケット。どうやら、セーフティロックがかかっているようで、治療しようとしたり解析しようとしたりすると、体が崩壊するようプログラムされているようでした。一体誰がこんなむごいことを…。

彼の身体に識別番号が刻まれているのを見つけ、そこからオルゴコープ社という会社が関係していることを突き止めます。ガーディアンズ一行は、ロケットにかけられたセーフティロックを解除するため会社へと潜入。そして社内を探っていくうち、社長であるハイ・エボリューショナリー(演:チュクウディ・イウジ)による、非道極まりない実態が明らかになっていく――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

なんかサスペンスものみたいなあらすじになってしまいましたが、今回も笑って泣ける、大変素晴らしいエンターテインメント作品でございました。

 

活き活きとしたキャラクターたち

とにもかくにも、ジェームズ・ガン監督が作り出すキャラクターたちの魅力が半端ない。

特に、ネビュラ(演:カレン・ギラン)が世話焼きでいつもカリカリしてるみんなのお母さんみたいなキャラになってるのが、サノスに酷い仕打ちを受けていた頃と比べると、なんかこう、ジーンとくるものがありました。ロケットに左腕をよくわからん万能兵器にアップグレードしてもらってて(『ホリデー・スペシャル』でロケットにバッキーの義手をあげてたし、それ使ったのかな)、ロケットに恩義を感じてる、というのもまた良き。クイルに見つめられて「見てんじゃねぇ!!」ってなるのには爆笑しました。「目、黒かったんだな」って今更気付くのかよ(笑)

あと、マンティス(演:ポム・クレメンティエフ)がすっかり感情豊かな武闘派になってるところもいいなぁと。ドラックス(演:デイヴ・バウティスタ)とのおバカコンビもすっかり板についてきましたね。初登場時は淡々としたキャラだった気がしますが、まさかこんなにもたくましいキャラに育つなんて…。ラストでの彼女の決断も、これまで彼女が歩んできた人生を思うと非常に納得度の高いものだと思いました。

グルート(声:ヴィン・ディーゼル)は、エンドゲームの時に比べ、がっしりとした体つきになりました。体の中に重火器を隠し持っていたり、体を大きく見せる“怪獣モード”なるものがあったりなど、戦闘の面でも頼れる存在になっていましたね。

 

あとはなんといっても、ロケットですよ。
本作のロケットは終盤まで昏睡状態なのですが、彼の出生の秘密が明かされ、それが物語の縦軸として機能しており、完全にロケットが主役の映画となっていました。

彼の境遇は、レイティングの関係で直接的な描写こそ控えめなものの、ネビュラをもってして「私がサノスに受けた仕打ちより酷い」と言わしめるほど。ライラ(声:リンダ・カーデリーニ)、ティーフス(声:アシム・チャウドリー)、フロア(声:カエラ・フーヴァー)との友情、そしてその最期にはもうね、涙を堪えられませんでした。そうしたロケットの過去が本作内で途切れ途切れに描かれるのですが、直後がギャグシーンだったりするので、感情のふり幅がすごいのなんの。

 

その代わり、といっちゃなんですが、ロケットのキャラが掘り下げられた分、クイルに関しては少々割を食ってしまった感があります。と言っても、これまでは彼がメインの役どころだったのがそうではなくなったといった感じで、しっかりと存在感は発揮してくれていましたけども。「ガーディアンズ」の映画としては、みんなが主役みたいな本作の方が、むしろ好みのバランスかもしれません。

ガモーラ(演:ゾーイ・ザルタナ)は、今回はラヴェジャーズの一員となっており、なんというか初期のヒリヒリした関係性を再現していて面白かったです。でもやっぱりガモーラには違いないので、「アイアムグルート」しか言わないグルートに対し、最初は「は?(名前くらい)知ってるわよ」ってリアクションだったのが、最後はちゃんと意思疎通取れるようになっていて、「もぉ~~やっぱいいヤツじゃん~~好きぃ~~~」ってなりました。

あと、いつの間にかガーディアンズの仲間になってた、宇宙犬コスモ(声:マリア・バカローヴァ)が可愛すぎて最高でした。確か過去作にもチラッと登場してたと思うのですが、本作では大活躍でしたね。「悪い犬」って言われたのをいつまでも根に持ってるのも可愛いし、最後に「いい犬」って言われてキャッキャするのも可愛すぎました。

 

魅力的なヴィラン

そして、ヴィラン側もいいキャラ揃いでした。

メインヴィランであるハイ・エボリューショナリーは、なかなか見事なサイコ野郎でしたね。彼がロケットに固執していたのは、「自分が作ったものの分際で、自分を上回る頭脳を持ってるのが許せない」からなんでしょうね。だからその頭脳を、文字通り「自分のものにしよう」としていたんだと解釈しました。普段は冷静を装いつつも、全然装えてない激情っぷりが、恐ろしくも滑稽に見えました。あと顔の皮を被っているようなあの風貌、特殊メイクなんでしょうが、どうすりゃあんな風に出来るんだ…?と思いました。予告編で印象的だった、座禅のようなポーズで浮遊して移動するシーン、本編にはなかったような。僕が見逃しただけかな。

 

アダム・ウォーロックは、ものすごい強いんだけど産まれたばかりでオツムが弱いという、『フリー・ガイ』のラスボス、デュードのようなキャラになっていて面白かったです。捕まえたラヴェジャーズのメンバーを尋問するシーンでは、「ロケットの居場所を吐きなさい。さもないとどうなるかわかってるでしょうね」というやり取りから、「脅しじゃなく本気だってところを見せてやりなさい」と言われ、本気出し過ぎて消し炭にしちゃうとことか、ガン監督らしいなwと思って爆笑しました。

こういう「今後の生き方でどんなキャラにでもなれそうなヤツ」、最近かなり好みなので、彼の今後も非常に楽しみです。

 

シンプルだけど楽しさ満載のストーリー

ストーリーは割とシンプル。
ロケットが重傷を負ったので、治療のために彼を改造したヤツのところに行ってみたら、ソイツがとんだクソ野郎だったのでついでにぶっ飛ばしました、というもの。

そうしたシンプルな大枠を、あの手この手で最上級のエンタメに仕上げてみせる監督の手腕は、本当に見事というほかないです。監督の得意とするブラックなユーモアはガーディアンズのキャラクターともピッタリハマっていて、見ているこちらも楽しくて仕方ない。クライマックスの全員でのバトルシーンとか、まんまとテンション爆上がりでした。それでいて、感動させる部分も抜かりないんだから、もう僕らはすっかり監督の掌の上ですわ。

 

本作、ひいてはガーディアンズのラストとして、これまでずっと立場の弱い人々を救うために生きてきたクイルが、いよいよ自分の人生を歩むというのも、エンドゲームラストでキャップが選択した結末に通ずるところがあったからでしょうか、なんだかすごく感慨深いものがありました。
おじいちゃん、90超えてもまだご存命だったのね…。

最後の、「伝説のスター・ロードは帰ってくる」のメッセージにも胸が熱くなりました。ガーディアンズの単独作はこれで終わりだけど、今後出てこないとも限らないよ、ということでしょうか。確かに、地球にいるなら他のヒーローと鉢合わせする可能性は十分にありますしね。次のアベンジャーズとかにも顔出してくれたら嬉しいなぁ。

 

おわりに

感想はこんな感じです。

好きな作品ほど文章にまとまりがなくなる&無駄に長くなるのパターン。始めはひとりひとりのキャラ紹介まで書こうとしてたので、これでも少し短くした方なんです…。

 

ガン監督は今後はDCメインで動いていくんだろうし、もうガーディアンズの続きは見れないのか…と思うと寂しい気持ちになりますが、本作は有終の美を飾るにふさわしい、素晴らしい作品になっていると思いました。もちろん、ガン監督以外の人が続きをやってもいいと思いますが、ガーディアンズはやっぱりガン監督でないと、と思うし、それが無理ならきっぱり終わらせてくれた方がいいと個人的には思うので、これで終わりがベストだなと。

 

ありがとう、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

また逢う日までガーディアンズ・オブ・ギャラクシー!!

ということで、映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』の感想でした。

ではまた。