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映画『ジャスティス・リーグ ザック・スナイダーカット』感想(ネタバレ)

映画『ジャスティス・リーグ ザック・スナイダーカット』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。 

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 DCコミックを映画化したシネマティック・ユニバース、それが「DC・エクステンテッド・ユニバース(DCEU)」。

MARVELのMCUに対抗して始めたはいいものの、暗すぎるなどといった理由からあまり評判はよろしくなく…。全てのアメコミヒーローの中でもバットマンが一番好きといっても過言ではない僕なのでDCEUも大好きなんですが、何度も方針転換をしているイメージがあるし、MCUと比べて前途多難なユニバースだなぁという印象。

 

ともあれ、そんなDCヒーローが一堂に会した作品が『ジャスティス・リーグ』。MARVELでいうアベンジャーズと同じで、ヒーロー同士がぶつかりあいながらも団結してチームになるお話。

そんな『ジャスティス・リーグ』は、2017年に劇場公開されました。しかしなかなかの難産であり、途中まで監督をしていたザック・スナイダーが家庭の事情で降板してしまい、後任としてなんと『アベンジャーズ』の監督であるジョス・ウェドンが招聘され(一応クレジットでは脚本という扱いになっている)、追加撮影などをしてなんとか完成、公開にこぎつけました。(以降、2017年に公開された方はウェドン版と呼びます。)
これ、どういうことかというと、週刊少年ジャンプの編集長が、週刊少年マガジンの編集長もやるみたいなことです。…イマイチわかりにくいですかね。『ワンピース』の作者が『FAIRY TAIL』も同時に描くみたい…と言った方がわかりやすいか?

 

僕は見に行きたいと思いつつもタイミングが合わなくて行けず、レンタルで見ました。あまり評判の良くないウェドン版ですが、テンポの良いストーリーや楽しい掛け合いが僕は結構好きなんですよね。

ただ、キャラの掘り下げが足りなくてあまりキャラが魅力的に見えなかったり、敵が弱くないはずなのにすごく弱く見えたり、説明不足で整合性が取れないところがあったり、不満もあったのは事実で。でもまぁ、きっと限られた期間で色々無理難題を押し付けられたんだと思うし、本当によくまとめたなぁと。

 

しかし、そんな紆余曲折あって公開されたウェドン版はやはりというかなんというか不評が多く、なんとシリーズ最低の興行収入となってしまいました。その後いろいろあってファンの中で「ザックが最後まで監督したものが見たい」といった声が高まってきた訳です。

僕はといえば、『300(スリーハンドレッド)』『ウォッチメン』『ガフールの伝説』などザック監督作は好きでよく見ていて、前作となる『マン・オブ・スティー』と『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』も評判はともかく個人的には面白かったと思っていて。だからウェドン版も結構好きとはいえ、ザック版がもし作られるならぜひ見たいな…と思いつつも、でもウェドンが監督したシーンを使わないとなると、ディレクターカットとはわけが違ってほとんど作り直すことになるだろうし、実現はしないだろうな…と思っていたので、制作決定が発表されたときは普通に嬉しかったです。 

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このポスター、かっこよすぎるよね…。

前置きが長くなりましたが、ついに公開された『ジャスティス・リーグ ザック・スナイダーカット』。上映時間はまさかの4時間超え。全7章の構成になっており、映画というより連続ドラマをノンストップで流しているような感覚。劇場ではなく配信での公開となりましたが、そりゃこの長さじゃ劇場では出来んわな…。

 

 あらすじとしては、世界を滅ぼす力を持った3つのインフィニティ・スト…ではなくマザーボックスが地球に存在しており、それを取り戻すために宇宙からサノ…ではなくダークサイドの尖兵であるステッペンウルフが攻めてきたので、それに対抗するために地球にいるヒーローがなんやかんやあって団結して立ち向かう、といった内容。

 

ストーリーの大枠はウェドン版と変わりありませんが、各ヒーローのバックボーンなどがしっかり描かれていたり、シーンが大幅に追加されていたりと、完成度が爆上がりしているように思いました。やりたいこと全部やってやろうという気概が感じられましたね。

何より、ザック作品の特徴ともいえる「スローを多用したスタイリッシュなアクション」と「どこで止めても絵になりすぎる絵作り」がこれでもかと過剰供給されるので、満足度は非常に高いです。4時間以上あるので何日かに分けて見ようと思っていたのですが、ついつい一気に見てしまうくらい面白かったです。

ストーリーについて書いてるとキリがないので、各キャラクターについて僕が感じたことを書いていこうと思います。

 

  • ブルース・ウェインバットマン
    今作のバットマンは、自分が死なせてしまったスーパーマンの遺志を継ごうと、強大な敵から世界を守るために懸命にヒーロー同士を団結させる役割を担っています。自分ひとりでは世界を守れないと、自身が一番痛感しているんですよね。戦闘では後方支援に徹しているのも好感が持てるところ。「あなたの能力は?」とバリーに聞かれて「金持ちだ」と答えるやりとりが死ぬほど好きなので、今作でもそのシーンがあってよかったです(ここザックが監督したシーンだったのね)。『バットマンvsスーパーマン』では短気で頭悪く見えたり、ウェドン版ではイマイチ何がしたいのかわからないところがありましたが、今作ではしっかりと信念に基づいて行動しているように見えました。ベン・アフレック演じるゴリゴリマッチョなバットマンがすごい好きだったので、単体映画も楽しみだったんですが、降板してしまって残念。

  • ダイアナ・プリンスワンダーウーマン
    バットマンと共にヒーロー同士を繋ぐ役割のほか、戦闘では最前線に立つくらいに強い人。みんなのお母さん的な立場。演じるガル・ガドットがとにかく美しく、本当にハマり役ですよね。序盤の裁判所?でのテロリスト制圧シーン、動きがめちゃくちゃスピーディになっていてすごい良かった。それとテロリストを壁に叩きつけた際、壁にはヒビが入り床には血だまりもできていて、しっかり殺してるっぽいところも好感が持てました。あんな超パワーの人に普通の人間が壁に叩きつけられて無傷ってのも嘘くさいですしね。あと、ステッペンウルフへの最後のとどめをワンダーウーマンが刺すのが最高でした。

  • バリー・アレンフラッシュ
    ウェドン版では本当にただ速く走れるだけの人って感じでしたが、今作では“時間や次元を超えられる”という能力(スピードフォースとかいうらしい)が出てきて、まさに戦況をひっくり返すキャラクターになっています。序盤のスーパースローの中で女の子助けるシーンは、なんかもうすごかったですね…。どうやって撮ってるんだ…?寝ぼけたクラークとのクロックアップさながらのバトルも、シーンが追加されていてとても良かった。演じるエズラ・ミラーは『ファンスティック・ビースト』では根暗な役だったのに、今作では常に喋ってるようなキャラで、役者ってスゴイと思いました。

  • アーサー・カリーアクアマン
    単体映画でシリーズNo.1のヒットを叩き出した彼ですが、今作でもアトランティスの描写が増え、彼のバックボーンがしっかりと描かれることによって、ウェドン版と比べてキャラの魅力がものすごく上がっているように思いました。演じるジェイソン・モモアがとにかくセクシーかつユーモラスで最高。あとメラを演じるアンバー・ハードがカワイイ。ウィレム・デフォー演じるバルコが出てきたのにも驚きました。ウェドン版には出てないので、追加撮影したんですかね?

  • ビクター・ストーンサイボーグ
    もうほとんど今作の主役といってもいいくらいに描写が増えていました。将来有望なアメフト選手だったことも、母親と事故に遭ったことも、ウェドン版では描写がなかったですしね。(僕が覚えてないだけかもですが)望まぬ力を手にしてしまった悲哀なんかも描写されていて、一緒に戦うまでがサラッとしてた感はあれど、サイボーグのオリジンとしても非常に見応えがありました。あと何と言っても父親とのドラマには感動しちゃいましたね…。
    敵がマザーボックスの最後のひとつを奪いに来た!→奪われるくらいならと、父親がマザーボックスを自身もろとも破壊しようとする→父親は消し炭に…しかもマザーボックスは無傷で、結局敵に奪われる→実は壊せないことも奪われることもわかってて、場所が分かるように内部を超高熱にしていた!
    という展開は「親父…なんて(おとこ)なんだ…(号泣)」となりました。父親の生死に関してはウェドン版とは明確に異なる点。サイボーグを演じたレイ・フィッシャージョス・ウェドンといろいろあったみたいですが、今後も頑張ってほしい。

  • クラーク・ケントスーパーマン
    寝起きの悪い人。

  • ステッペンウルフ
    ウェドン版ではどうにも小物感が否めなかったのですが(最期が雑魚兵にやられるって…)、今作では存在感抜群でした。ビジュアルもブラッシュアップされていて、実写トランスフォーマーみたいなカチャカチャする鎧がカッコよかった。また、どういう立ち位置なのかウェドン版ではイマイチよくわかりませんでしたが、今作では大ボスであるダークサイドも登場し、その尖兵であることも明確になり、更に過去に何かやらかしてその汚名を返上したいという目的もあり、キャラが非常に立っていました。やはり敵に魅力があるほどバトル物は面白くなりますよね。

  • ダークサイド
    ほとんど顔見せ程度でしたが、底の知れない強敵というのはいいもんですね。今後出てくることはあるのだろうか…。この映画自体はDCEUの正史には含まれないことが明言されていますが、設定や登場人物もそうであれば、今作限りってことになりますよね。それは嫌だな…。

  • マーシャン・マンハンター
    原作には詳しくないので、中盤にいきなり出てきて、「え、誰!?」となりました。最後にまた出てきた時も、「え、結局コイツは誰なの…」となりました。次作以降でもっと活躍させる予定だったのかもしれませんが、ダークサイド同様、今後出てくるかわかんないし、なんだかなぁ…という気分になりました。

  • ジョーカー
    エピローグにてちょっとだけ登場。このエピローグ、唐突なディストピアに悪堕ちスーパーマンと、良くも悪くもいかにもザックの趣味といった感じでしたね。演じるジャレット・レトは、『ミスター・ノーバディ』(2009)という映画(最近やってたのとは全然違うヤツ)を見てからすっかりファンになりまして、『スーサイド・スクワッド』の時に新しいジョーカーになると発表されたときは嬉しかったものです。でもスースクの評判も良くないし、ホアキン・フェニックスの『ジョーカー』がものすごく評価されたりして割と不遇な扱いになってしまっていてちょっと残念。でも今作のジョーカーは出番は少なめながら、バッツとのこじらせまくった因縁が垣間見れてなかなかの存在感でした。きっとこれからどんどん活躍していくのでしょう。していく…んですよね…?今後がとても楽しみです。 

 

とまぁ、まだまだ書きたいことはありますが、こんなところにしておきます。

ザックが本当にやりたかったのはこれだったのか、という感じ。それはあくまでザックの自己満足なのかもしれませんが、ファンとしても「これが見たかった!」というものになっていると思いました。ウェドン版でモヤモヤした人、4時間の長尺でも大丈夫という人はぜひ見てほしいです。

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 ということで、映画『ジャスティス・リーグ ザック・スナイダーカット』の感想でした。

ではまた。