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映画『ザ・フラッシュ』感想(ネタバレ)

映画『ザ・フラッシュ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

DCコミックを原作とした実写映画のシネマティック・ユニバース、それが『DC・エクステンデッド・ユニバース(DCEU)』。

本作は、DCコミックに登場し、映画『ジャスティス・リーグ』にも出演したスーパーヒーロー、フラッシュを主役とした作品になります。コロナ禍やら何やらで幾度もの公開延期を経た末、ようやく今年公開と相成りました。

 

本作の特徴は、最近ブームになっている、マルチバースを舞台としていること。

映画ではMCUの『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』や『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』、ソニーの『スパイダーマン:スパイダーバース』、アメコミ以外でも、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』といった作品に先を越されてしまいましたが、DCもいよいよマルチバースを描いた作品を出してきました。

まぁ、DCはTVドラマの方では、「アローバース」シリーズでマルチバースをいち早く取り入れていたんですけどね。今後展開されていく『DC・ユニバース(DCU)』の再編にあたり、ドラマは打ち切りになってしまいました。DCは主に内部のゴタゴタのせいで、結果的に後れを取っているようなイメージ。でもま、それを自覚しているからこそ今の体制にしたんでしょうし、今後に期待ですね。

 

もくじ

 

フラッシュとは

フラッシュは、超高速で動くことが出来る能力を持ったスーパーヒーロー。
初登場は、1940年に刊行されたコミックから。

フラッシュを名乗った人物は現在4名おり、最も有名、かつDCEUで登場しているのは、2代目であるバリー・アレン

 

速く動けるといっても単にものすごい脚力があるわけではなく、スピードフォースと呼ばれる次元へとアクセスすることで、超高速移動を可能とするほどの運動エネルギーを生み出している、とかなんとか。なるほど、よくわからん。
腕や体を高速で回転させて竜巻を起こしたり、体を高速で振動させることで物質を透過したり、運動エネルギーを時空エネルギーに変換することで時間移動まで出来るなど、その能力は多岐に渡ります。スピードフォースを利用して高速移動を可能とするヒーローはフラッシュのほかにも複数おり、彼らのことを総称してスピードスターと呼ぶんだそうです。へぇ~。

ちなみに、スピードフォースはDCヒーロー特有の概念らしく、マーベルコミックに登場する、X-MENクイックシルバーや『エターナルズ』のマッカリなどは、純粋に自身の身体能力で高速移動しているらしいです。

 

本作概要

THE BATMAN -ザ・バットマン-』の記事でも少し書いてますが、主演のエズラ・ミラーが暴力事件を起こすなどの奇行を繰り返し、一時期本作の公開も危ぶまれていました。ヤバイ人なのか純粋な人なのか実際のところはわかりませんが、芸能界はある意味「信用を売る」職業みたいなものだと思うので、ほどほどにしていただきたいものです。なんにせよ、本作が無事に公開されて本当に良かった。

 

本作の監督を務めるのは、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり』などでも知られる、アンディ・ムスキエティ
今後公開予定の新たなバットマン映画『ブレイブ・アンド・ボールド』でも監督を務めるとのことで、非常に楽しみ。

脚本は、『バンブルビー』や『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY』でも脚本を書いた、クリスティーナ・ホドソン

 

主演は上記の通り、エズラ・ミラー
ファンタスティック・ビースト』シリーズの、クリーデンス・ベアボーン役としても有名ですね。

本作のヴィランとして、DCEU1作目『マン・オブ・スティー』でもヴィランとして登場した、ゾッド将軍が再び登場。演じるのは変わらず、マイケル・シャノン。『ブレッド・トレイン』のラスボス、ホワイト・デス役での出演が記憶に新しいです。

DCEUでは初登場となるヒーロー、スーパーガール役に抜擢されたのは、コロンビア系の俳優、サッシャ・カジェ。昼ドラへの出演経験はあったようですが、長編映画への出演は本作が初のようです。アメリカン・ドリーーム…!

そして本作の最注目ポイントが、1989年の『バットマン』、及び1992年の『バットマン リターンズ』、通称ティム・バートンにて主演を務めた、マイケル・キートンが31年ぶりに同役で出演していること。これ以降、キートンバッツはニック・フューリー的な立ち位置で複数の映画に出演する、とか言われてましたが、その計画は今も生きてるんでしょうかね?

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

セントラルシティ。

警察法医学捜査官として働きながら、ジャスティス・リーグのメンバーとして人々の平和を守っているバリー・アレンフラッシュ(演:エズラ・ミラー)。

彼はある日偶然にも、自身に時間を遡る能力がある事に気付きます。ジャスティス・リーグのリーダー、ブルース・ウェインバットマン(演:ベン・アフレック)に相談し、バリーが幼少期に殺害された母、ノラ・アレン(演:マリベル・ベルドゥ)と、母を殺害した容疑で服役中の父、ヘンリー・アレン(演:ロン・リビングストン)を助けることが出来るかもしれないと持ち掛けるも、「過去を改変したら、我々がいる現在にどんな影響が及ぼすのかわからない」と言われてしまいます。

しかし諦めきれないバリーは、母が殺害される直前の時間まで戻り、過去を改変。現在に戻ろうとしますが、突然何者かに吹き飛ばされてしまい、現在よりも少し前の時間軸へ辿り着いてしまいます。そこでは母は生きており、父と仲睦まじい生活を送っていましたが、18歳のバリー・アレン(演:エズラ・ミラー)はまだパワーを手に入れておらず、甘やかされて育ったせいか性格もより一層クセが強くなっていました。更に、過去を改変した影響で、この世界にほかのヒーローたちの姿はなく…。

そこへ、元居た時間軸ではスーパーマンに倒されたゾッド将軍(演:マイケル・シャノン)が、地球へ侵攻してきます。しかしこの世界ではスーパーマンは存在しておらず、どうすれば…と思っていたところ、“とある人物”の話を耳にします。

その人物に会いに、古い屋敷を訪ねる2人のバリー。そこにいたのは、現役を退いて久しい伝説のヒーロー、ブルース・ウェインバットマン(演:マイケル・キートン)でした――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

全編がファンサービスに溢れる、最高過ぎる作品でした。
若干駆け足気味に感じるところもありましたが、むしろこれだけの要素をよく大きな破綻も無く2時間ちょいにまとめたな、と思います。

ただ、ところどころCG感丸出しなシーンがあって、監督は「バリーにはこう見えているというのを表現しただけで、意図的にやってるんだ」と言っていたそうですが、僕は「別にそんな言い訳しなくていいのに…」と思ってしまいました。

 

DCEU版ジャスティス・リーグ有終の美

本作は冒頭から既にトップスピード。最初の病院のシーンからもう、大変素晴らしかったです。

超カッコいいバットサイクルに乗って犯人を追うベンアフバッツ、ピタゴラスイッチの如く鮮やかに赤ちゃんたちを救出するフラッシュ、そしてピンチに颯爽と登場する、ダイアナ・プリンスワンダーウーマン(演:ガル・ガドット)の美しさたるや。『シャザム!~神々の怒り~』の記事で「これでダイアナの姿も見納めか…」と書きましたが、またまた出てきてくれました。出演時間はごくわずかでしたが、全く知らなかったので驚いたと同時に、ありがたい気持ちになりました。

基本的に最高なシーンしかなかったんですが、ダイアナの“真実の縄”の効果とはいえ、バッツがなんかヘラヘラしてたのだけ、ちょっと気にくわなかったです。なんとなく、ダイアナにうだつが上がらない、というか、媚びへつらっているように見えて、そんな姿見せて欲しくなかった、と言いますか。縄をほどこうとして、ちゃっかり童○をカミングアウトするバリーには爆笑を禁じえませんでした。

 

アクアマン』続編にチラッと顔出す可能性もありますが、恐らくこれがベンアフバッツとガルダイアナの最後の出演になるかと思いますので、めちゃくちゃいいシーンだっただけに寂しさもひとしお、といった感じ。ベンアフといいガルガドットといい、更に言えばヘンリー・カヴィルレイ・フィッシャーといい、個人的にこの上ない最高のキャスティングだと思っているので、彼らを失ったことをワーナーはもっと悔いて欲しい。パワハラ問題とかあったのでどのみち実現不可能だったとは思いますが、サイボーグも単体映画やってほしかったな…。

エズラジェイソン・モモアに関しては今後どうなるかまだわかりませんが、もっと俳優を、何より作品を大事にしていって欲しいものですね。

 

2人のフラッシュ

現在のバリーと18歳のバリー、どちらもエズラ・ミラーが演じているわけですが、演じ分けがお見事で、ちゃんと別人(いや、同一人物なんですけども)に見えるのがすごい。思ってた以上に二役で出ずっぱりだったので、その分ギャラも2倍になったりするのだろうか…?

今のバリーはJLの時よりも大人びていて、ウザさもだいぶ軽減されていました。対して18歳のバリーは更にウザさを増しており、対照的でとても面白かったです。今のバリーはド陰キャ○貞ですが、18歳バリーはシェアハウスするくらいの陽キャで、もしかして童て○卒業してる?

 

そんな2人が師弟関係といいますか、特殊なバディ・ムービーのような感じで話が進んでいきます。「えっ、僕ってこんなウザい感じで見られてたの?…見られてたんだろうなぁ」と自身のウザさをまざまざと見せつけられてしまう現在バリーには笑いました。

18歳バリーにも能力を獲得させるつもりが、現在バリーの能力が18歳バリーに移行する形になってしまい、仕方なくスーツを貸したり、力の使い方を教えたりと、現在バリーはホントしっかりした人間になったなぁ、としみじみ。その分、コメディ担当は18歳バリーに全振りになり、暴れ放題でしたね。銃弾を食らいそうになった現在バリーを18歳バリーが回避させるものの、能力のない現在バリーはスピードに体が耐えられずに吐きまくるシーンとか、結構好きでした。

 

激シブのキートンバッツ

まさかの再演となったキートンバッツですが、渋みがマシマシになっていて最高でした。ティム・バートン版のバッツと完全に同一人物なのかは明言されませんでしたが、多少濁しておくくらいの方が後々融通も効きやすくなるでしょうし、良い判断だと思います。スパゲッティを例えにしてマルチバースについて説明してくれたり、やたらと詳しいようでしたが、このバッツは過去にマルチバース関連で何かやらかしてたりするんでしょうかね。

個人的にグッと来たのが、マントを盾にして銃弾から守るシーンが何度も出てきたのと、戦闘後のケガをしてボロボロの姿を見せてくれたところ。おそらくこの世界ではアルフレッドは既に他界していて、自分で傷口を縫ったりしてるのも、すごく人間味があって良かったです。あとラストバトルで、ゾッド将軍の部下(なんとか大魔神とか呼ばれてた)の背中に爆弾つけて起爆するという戦法が、エグくてすごい良かったです。しかもそれを何回やっても倒せない、というのがまた良き。

本当にこのキートンバッツは最高だったので、概要で書いたニック・フューリーポジでなくてもいいので、また何らかの形で出てきてほしいなぁ。

 

あまりにも良すぎる、スーパーガール

フラッシュもバッツも最高だったんですが、それをぶっちぎる程に良かったのが、サッシャ・カジェ演じる、カーラ・ゾー=エルスーパーガール。もうね、一発で虜になりました。

彼女はカル=エル、またの名をクラーク・ケントスーパーマンの従姉であり、まだ赤子だった彼を守護するために地球に来たのですが、どういうわけか地球のどこにも彼の姿はなく、更にロシアの軍隊に捕まって長い間幽閉されていた、という設定。その境遇から地球人を全く信用しておらず、とにかく目つきが悪い。そしてむちゃくちゃ美人。はい最高。大勝利。

 

自分を助けてくれたバリーへの恩義、そしてすっかり変わってしまったゾッド将軍を止めるために共に戦う決意をしてくれますが、この辺は若干の唐突さを感じてしまいました。彼女のドラマを描く時間が無かったのはわかりますが、もう少し理由付けをしっかりして説得力が欲しかったところ。

ラストバトルにて、カル=エルが既にゾッド将軍によって殺害されていたことが判明し、感情を爆発させるカーラの姿も、本当に素晴らしかったです。そして、どうやってもカーラはゾッド将軍に勝てない、というのもまた良かった。

この最高過ぎるスーパーガール、本作1回限りの出演ではもったいなさすぎる。今後スーパーガールの単体映画が製作予定らしいですが、ぜひとも主演はサッシャ・カジェでお願いしたいところ。

 

そしてDCUの世界へ…

過去へ戻り、やり直しを試みる18歳フラッシュ。しかし、何度やっても結果は同じ。この世界はどうあがいても滅びる運命にあるのだと悟る、現在フラッシュ。止めようとするも、「うまくいくまで、何度だってやり直せばいいだろ」と聞かない18歳フラッシュ。幾度となく過去を改変した影響か、やがて次元が崩壊を始めてしまいます。

ここでマルチバースのフラッシュやスーパーマンの姿が確認出来るのですが、ここはもう、ファンサービスの塊のようなシーンの連続。僕はそこまでではありませんが、ずっと昔から楽しんできたファンにとっては、号泣必至だったのではないでしょうか。某有名俳優のスーパーマンの姿には、事情を知らない僕は「えっ、なんで!?」と思ってしまいました。どうやら、公開まで至らなかった幻のスーパーマン映画があったらしく、それに出演予定だったのがあの人らしいですね。そんなところまで拾うか普通…?

↓詳しく解説した記事を貼っときます。僕が言うのもなんですが、ネタバレ注意です。

theriver.jp

 

そこへ、序盤に登場した謎の人物が乱入。正体はまさかの…。
いやまぁ、なんとなく予想はついていましたけどね。やっぱそうなっちゃうかー、という感じでした。

「時には変えてはいけない運命もある」といった着地は、日本では同日公開の『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(のちほど感想記事をアップする予定です)とは対照的であり、最後のバリーの行動は、2004年公開の映画『バタフライ・エフェクト』を彷彿とさせるものでした。

 

しかし、結局はちょっとだけ過去をいじってしまうバリー。それによって、ブルースがあの人になっていたり、現在に少なくない影響を及ぼしてしまいます。これに関しても、今後はベンアフに代わってあの人がブルースを演じるというわけではなく、あくまでファンサービスのひとつでしょうね。

そしてこの改変は、要は「今後はこの世界でDCUをやっていきますよ」ということなんでしょう。DCEUが残した不都合なことは全て、「あの時バリーが改変した影響ですよー」って感じでシレっとなかったことに出来るわけですね。うまいこと考えるもんだ。

 

ミッドクレジットでは、アーサー・カリーアクアマン(演:ジェイソン・モモア)もチラッと登場。最後の最後まで、ファンへの気配りが行き届いておりました。

 

おわりに

まだまだ書き足りないですが、こんなもんにしときます。

ファンサービスを抜きにしても、各キャラクターが本当に魅力的で、見せ場も盛りだくさんで、大変素晴らしい作品だと思いました。それだけに、本作で登場したキャラ、本作で起こった出来事を、DCUとしてリブートさせる際に全て無かったことにせず、少しでも活かしていただきたいなぁと。特にサッシャ・カジェは続投させてほしいと、切に願っております。

ということで、映画『ザ・フラッシュ』の感想でした。

ではまた。