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ゴルゴムのしわざか!

映画『ブラック・ウィドウ』感想(ネタバレ)

映画『ブラック・ウィドウ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2023/01/09:ほぼ1から書き直しました。

マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

2008年の『アイアンマン』から始まり、そこからなんと2021年現在に至るまでに23本もの映画が公開され、今や世界で最も成功を収めたユニバースとして、歴史に名を残しているMCU
これ以降、DCコミックのDCEU、ワーナー×レジェンダリーのモンスターバースなど、ライバル企業が追随してユニバース展開を始めるほどに、以降の映画の作り方に大きな影響を与えています。ダーク・ユニバース?知らんなそんなもの…。

 

MCUにはフェーズだのウェーブだのありますが、詳しくはWikipediaでも見てください(丸投げ)。
軽~く言っとくと、フェーズ1~3をウェーブ1(インフィニティ・サーガ)、フェーズ4~6をウェーブ2(マルチバース・サーガ)と定義しているそうで、現在はフェーズ4が始動したばかり。そしてその劇場公開作品第1作目が本作、となります。

 

もくじ

 

僕とMCU

スーパーヒーローが大好きな精神年齢5歳の僕ですので、当然MCUは大好きでして。というか僕が映画をよく見るようになったのは、間違いなくMCUにハマったのがきっかけですね。特に、2012年の『アベンジャーズ』1作目で、完全に心を持っていかれました。『エージェント・オブ・シールド』等のドラマは見れてませんが、映画に関しては全て鑑賞しており、Disney+で始まったドラマシリーズも見ています。いずれそっちの記事も書きたい。

語りだすとキリがないのでやめときますが、約10年追ってきているシリーズなので、思い入れは半端ないです。MCUファンは皆この10年という歴史を共に生きているが故に、思い入れが深くなるんだと思います。例えば仮面ライダースーパー戦隊でも、生まれる前にやってた作品よりも、子供の頃に毎週テレビにかじりついて見ていた作品の方が印象深いですよね?それと同じです。

積もる話はたくさんあるので、個人的な思い出とか、オススメ作品とか、もしかすると今後の記事で紹介させていただくかもしれません。

 

本作概要

そんなMCU、これまでは毎年複数本の映画が公開されてきましたが、2020年はコロナ禍の影響を受け、撮影もままならず、映画館も営業自粛が相次ぎ、公開がストップしてしまいました。毎年新作が公開されるってすごい事なんだなぁ、と改めて実感。
公開スケジュールを練り直し、元々本作の後に配信する予定だったDisney+のドラマシリーズを先に配信開始するなど、マーベル・スタジオがどうにか観客離れを防ごうと手を尽くしていたことが窺えます。

そうして今年、待ちに待って遂に映画館にMCUが帰ってきました。その記念すべき作品が本作、『ブラック・ウィドウ』です。

アベンジャーズの初期メンバーであり、これまで多大な貢献をしてくれた彼女の単独作をこのタイミングで持ってくるとは、なんとも感慨深いものがあります。本来予定されてた公開日は去年の4月とかだったはずなので、1年以上の延期を経て、ようやく公開となりました。

 

ただ、コロナ禍での外出自粛を鑑みて、Disney+のプレミアアクセス(追加料金払えば家でも見れますよ、てヤツ)でも同時公開としたことで、映画館側からの反感を買い、TOHOシネマズ系列では公開を取りやめるなど、ちょっとした波乱もありました。これ以降、あまり同時公開はやらなくなり、劇場公開の際は「映画館“のみ”で公開!」みたいにやたらと強調するような言い方になったような。

 

ブラック・ウィドウとは

原作では、1964年に刊行されたコミックにて初登場。
元々は、アイアンマンの敵であるロシアのスパイとしての登場でしたが、その後アメリカに亡命し、諜報機関S.H.E.I.L.D.のエージェントや、アベンジャーズの一員として活躍しました。スーパーパワーや特別な能力は持っていませんが、類まれなる身体能力と、スパイ仕込みの戦闘術などによって、非常に高い戦闘力を持つヒーローです。

MCUでもその設定は踏襲されていますが、S.H.E.I.L.D.のエージェントとしての登場が初であり、スパイとしての過去はあまり語られてきませんでした。

 

これまでの遍歴

簡単に、MCUにおける彼女のこれまでの活躍を書いていきます。

  • アイアンマン2』2010年
    ナタリー・ラッシュマンの名前でトニー・スタークアイアンマンに近づいてきますが、その目的は、彼がアベンジャーズにふさわしいかを見定めることでした。ラストバトルでは敵の拠点に殴りこんでハッキングを解除するなど、その高い能力の片鱗を見せてくれました。

  • アベンジャーズ』2012年
    インドに身を潜めていたブルース・バナーハルクを招集したり、クリント・バートンホークアイの洗脳を解いたり、最後はみんなで一緒に戦ったりと、八面六臂の活躍を見せてくれます。わずかな単語のみでしたが、メインヴィランであるロキによって、彼女の過去が少しだけ匂わされました。

  • キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』2014年
    S.H.E.I.L.D.のエージェントとして、スティーブ・ロジャースキャプテン・アメリカと共に、ヒドラと戦いました。スティーブを「女の子紹介するよ?」とからかってみたり、ニックの死に涙したりと、少しずつ彼女の内面が明らかになっていきます。

  • アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』2015年
    アベンジャーズの共同リーダーとして戦いながら、ブルースと恋愛関係に近い間柄になり、ハルクに変身して我を忘れた彼を落ち着かせ、元の姿に戻す役割を担いました。ワンダ・マキシモスカーレット・ウィッチによって過去のトラウマを呼び起され、苦悩する場面もあり、少しずつ内面が掘り下げられていきます。

  • シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』2016年
    アベンジャーズを家族のように思っているナターシャは、分断しそうなチームを守るために、アイアンマン陣営のひとりとして戦いました。しかし、最終的にスティーブは行方不明に、ナターシャも追われる身となってしまいます。

  • アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー&エンドゲーム』2018,2019年
    強大な力を持つインフィニティ・ストーンを狙うサノスに対し、ストーンを奪われまいと奮戦します。しかし、最終的にストーンは全てサノスに奪われ、完全敗北。その後、消滅した人々を取り戻すべく、“タイム泥棒作戦”にてナターシャとクリントはソウル・ストーンの回収に向かいますが…。

と、こんな感じです。
様々な作品に登場しており、アベンジャーズになくてはならない人物であったことがわかるかと思います。

 

本作に話を戻しまして。
時系列としては、『シビル・ウォー』の直後から、『インフィニティ・ウォー』の間までが描かれています。こうした「どこどこの間」みたいなのはMCU初だと思うので、見始めは少し戸惑いました。ですが見ていくうちにどんどん映画に引き込まれていくので、すぐに気にならなくなりました。

 

ちなみに、未視聴の方々が嫌がる、「コレ見る前にアレ見とけ」、通称MCUラソンですが、まぁ上記の作品は見といた方が良いでしょうね…。でもまぁ、見なくても十分に楽しめる作品になっていると思います。たぶん。

 

さて、前置きはこのくらいにして、ぼちぼち感想を書いていきたいと思います。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

仲睦まじい家族の風景。
姉妹は仲良く遊び、優しい母親は夕飯の準備をしています。そこへ父親も帰ってきて、みんなで夕飯を食べようとするのですが…。

食卓が片付く間もなく、家族は何者かから逃亡することに。追手の車には“S.H.I.E.L.D.”の文字が。なんとか逃げ切ることに成功しますが、家族はバラバラになってしまいます。母はケガをして病院へ。父はなぜか、そんな母を心配する素振りをあまり見せません。まだ幼い姉妹は、レッドルームと呼ばれるロシアのスパイ養成施設に入れられ、ウィドウと呼ばれる女性スパイとなるために、過酷極まりない訓練の日々を送ることになります。
妹の名はエレーナ。そして、姉の名はナターシャ

時は流れ、現代。
ナターシャ・ロマノフブラック・ウィドウ(演:スカーレット・ヨハンソン)は、アベンジャーズ同士での戦いののち、ソコヴィア協定に違反したとして、米国務長官サディアス・“サンダーボルト”・ロス(演:ウィリアム・ハート)らから追われる身となっていました。

ノルウェーのセーフハウスに身を隠していましたが、ある日、謎の刺客、タスクマスターの襲撃を受けます。狙いはナターシャではなく、郵便物に紛れていた小さなハードケースが目的の様子。辛くもその場を脱し、ケースを開けてみると、そこには謎の“赤い液体”が。挟まっていた写真に何かを察したナターシャは、以前拠点にしていたブタペストの部屋を訪れ、そこでかつて妹として共に暮らした、エレーナ・ベロワ(演:フローレンス・ピュー)と再会します。

エレーナより、レッドルームは未だ健在であること、そして以前ナターシャが殺害したはずのレッドルームのボス、ドレイコフ(演:レイ・ウィンストン)が生きていることを聞かされます。今度こそレッドルームを壊滅させようにも、本拠地の場所は誰にもわかりません。そこで、手掛かりを得るために、かつて親子として過ごした、アレクセイ・ショスタコレッド・ガーディアン(演:デヴィッド・ハーバー)、メリーナ・ヴォストコフ(演:レイチェル・ワイズ)と接触する2人でしたが――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

硬派で魅力的なアクション

本作のアクションは、ビームやら雷やらがドカーン!といったものではなく、キャップのシリーズのようなリアリティのあるものが大部分を占めていた印象。スーパーパワーの無いナターシャが主役なので、こっちの方がマッチするのは至極当然。『ウィンター・ソルジャー』がMCU作品の中でトップクラスに大好きな僕としては、非常に満足度の高いものでしたね。あ、でも前者のようなド派手な作品も、もちろん大好きですよ。

 

歪な家族の物語

ナターシャ、エレーナ、アレクセイ、メリーナ。彼女らには、血の繋がりはありません。アレクセイとメリーナは特に、任務のために疑似家族を演じていたに過ぎませんでした。なので、久々の再会の場面でもアレクセイは「キャップは俺のこと何か言ってたか?」と聞いてくるばかりだし、メリーナは豚の息を窒息死ギリギリまで止めさせることで、自身の研究の成果を語るばかり。ナターシャはレッドルームを止めることしか頭に無いようだし、そこには一見、家族愛なんてものがあるようには見えませんでした。

しかし、エレーナにとっては、あれが唯一の「家族の思い出」でした。
自分の主張ばかりの3人に対し、心のどこかで家族愛を信じていたエレーナはショックを受け、部屋に閉じこもってしまいます。

そこへ、空気を読まずに入ってきたアレクセイが、落ち込む彼女に昔大好きだった歌を歌ってあげます。「えっ、その歌…覚えてたの?」と驚く一行。そしてメリーナも、あの時の家族の写真をアルバムにして今も大事に持っていることがわかります。ナターシャももちろん、あの日々のことを忘れてはいませんでした。

 

そう、確かに偽物の家族だった。でも、そんな彼女たちの中にある、家族の愛情は本物でした。
この辺の流れが素晴らしすぎて、思わずホロっと来てしまいました。

 

新世代のヒーロー

ナターシャの義理の妹、エレーナ。
レッドルームで暗殺者としての訓練を受け、ウィドウの1人として任務に就いていましたが、“赤い液体”で洗脳を解かれたことで、組織から脱出。以降は、自分と同じように洗脳を受けたウィドウを解放するために活動していました。

とにかくエレーナのキャラクターが最高でした。カッコつけてないというか、自然体というか。いい意味でスパイっぽくない。ナターシャのスーパーヒーロー着地を茶化しまくるのが可笑しかった(それをさらっと流すナターシャもまたナイス)。終盤に自分でも一応やってみるけど「やっぱ無理」とか言っちゃうとこもとても良い。今後のMCUを担っていけるほど素晴らしいキャラ、そして役者さんだと思いました。

 

旧時代の象徴、ドレイコフ

スパイ養成機関、レッドルームの支配者。幼い少女に洗脳・訓練を施し、ウィドウと呼ばれる超一流のスパイに仕立て上げ、世界を裏から操っています。S.H.I.E.L.D.へ入るための最終試験として、レッドルームの壊滅を命じられたナターシャによって殺害された…はずでした。

このドレイコフってキャラはなんというか、男尊女卑の塊みたいな、ものすごく古い価値観の人間ですよね。しかも非常に不愉快なタイプ。ウィドウがみんな女性なのも、「男の俺様が女を支配してる」って事なんでしょうおそらく。そうした「時代遅れの“男”を、イマドキの“女性”がぶっ飛ばす!」というのがこの映画のテーマのひとつなんでしょうね。現代的で、とても良いと思いました。

 

まるでメインキャストなクリント

ナターシャがS.H.I.E.L.D.へ入ったのは、その才能を見込んだクリント・バートンホークアイによってリクルートされたのがきっかけでした。共に任務にあたることも多く、2人で数々の死線を潜り抜けてきたことが語られます。

本作にクリントは出演していませんが、ナターシャの話の中で何度も出てきたり、2人で潜入していた時に使っていた場所をまた使ったりしていて、まるでクリントもメインキャストとして登場しているかのような錯覚を起こしました。愛されてるなぁ、クリント…。

 

強敵、タスクマスター

本作のメインヴィランタスクマスター。相手の動きを見るだけで、その動きを完璧にコピーできる能力を持っています。

序盤でアベンジャーズの映像を見ているシーンがあり、それによって会得したと思われるキャップの盾投擲、ウィンター・ソルジャーのナイフ捌き、ホークアイの弓術、ブラックパンサーの爪を用いた格闘など、様々な戦闘スタイルを見せてくれます。これまで見てきたファンが「おぉっ!」となるような描写が満載で、興奮しっぱなしでした。

 

そんなタスクマスターの正体。それは、ナターシャがドレイコフを殺害する際に泣く泣く巻き添えにしてしまった彼の一人娘、アントニア(演:オルガ・キュリレンコ)でした。彼女を巻き添えにした事をずっと悔やんでいたナターシャでしたが、更にこんな意思のない改造人間のような姿にされたことを知り、打ちひしがれます。

 

スーパーヒーロー?ブラック・ウィドウ

色々とつらい状況に陥るナターシャですが、メンタル面では決して負けないのがすごい。レッドルームの本拠地である空中要塞にて、遂にドレイコフと顔を合わせることに成功。煽り散らかすドレイコフに対し逆に挑発をかまし、子供みたいにブチ切れる彼を手玉に取ってみせます。

世界中に配置されているウィドウの情報を得たナターシャ一行は、なんやかんやあって空中要塞を爆破。最後は落下する要塞の破片を飛び回りながらの、タスクマスターとの最終決戦へ。

 

ここでのナターシャの強さはスーパーソルジャーさながらで、あれ?超人血清打った?と思ってしまいました。まぁ、クライマックスにふさわしいド派手なバトルで、見応え抜群で最高でしたけど。最後はタスクマスターもといアレクセイの洗脳も解き、レッドルームは完全壊滅。ドレイコフは…確か逃げるために乗り込んだヘリのタービン?にエレーナがバトンを突き刺して爆死してた気がします(うろ覚え)。

 

自身の過去にケリをつけ、失われていた家族との絆も取り戻したナターシャ。最後はもうひとつの家族であるアベンジャーズを復活させるべく、エレーナにもらったベストを着用し、クインジェットに乗り込むところで、映画は終わります。

『インフィニティ・ウォー』でナターシャが着ていたベスト、あれエレーナからもらったヤツだったんかい…というのがわかり、いたく感動いたしました(涙)

 

MCU恒例のミッドクレジットは、『エンドゲーム』後にエレーナがナターシャの墓参りをしているシーン。そこへ、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』に登場した、ヴァルことヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌ伯爵夫人(演:ジュリア・ルイス=ドレイファス)が出てきて、ナターシャの死にクリントが深く関わっていることを明かし、彼の殺害を依頼するところで、幕を閉じました。
エレーナは今後も活躍してくれることと思いますが、アレクセイやメリーナは出てくるのだろうか…。いいキャラだったのでまた出てほしいなぁ。

 

おわりに

ずっと心のどこかにあった、「ナターシャ強すぎじゃね?」という思い。
超人血清打ってないし、アーマー着てないし、ガンマ線も浴びてないし、魔法も使えないし、蜘蛛に咬まれてもないし、怪しいハーブも使ってないし、宇宙人でも神様でもないし…。なのにそれらと対等に渡り合っているのすごすぎじゃね?と。まぁ、『アベンジャーズ』1作目でロキに洗脳されて弓矢1本でヘリキャリア墜としかけたクリントも相当ヤバいですけど。

そんなナターシャの強さの理由が、これまでも意味深にひとことふたこと語られることはあったものの、本作で「ロシアのスパイ養成施設で厳しい訓練を受けていた」「その中でも特に高い素質を持っていた」という感じで明言されたので、非常に意義のある作品だったのかなと。まぁそれにしても強すぎる気がしますが…特に最後。

 

これでナターシャの勇姿も見納めか…と思うとなんだかさみしい気持ちにもなりますが、この映画はナターシャ、ひいてはスカヨハへの感謝と賛辞が感じられて、とても良いものでした。そもそもはエミリー・ブラントがスケジュールの都合で出演出来ず、代わりとして選ばれたのがスカヨハだったらしいですが、いまやスカヨハ以外にナターシャ役は考えられないほどになりましたね。今まで本当にありがとうございました。

MCUらしい今後の展開が楽しみになる要素も散りばめられているので、それらがきっちり回収されるまでは、僕もまだまだ死ねないな…。

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ということで、映画『ブラック・ウィドウ』の感想でした。

ではまた。