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映画『シャン・チー テン・リングスの伝説』感想(ネタバレ)

映画『シャン・チー  テン・リングスの伝説』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

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マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。
アベンジャーズ/エンドゲーム』にて大ボス、サノスを倒し、『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』をエピローグとしてフェーズ3が一区切りし、フェーズ4へ突入しました。

そのフェーズ4の劇場公開第1弾が『ブラック・ウィドウ』で、第2弾が本作、『シャン・チー  テン・リングスの伝説』となります。Disney+のドラマ含むこれまでのフェーズ4の作品は、既存のキャラの掘り下げや、新しい展開への種蒔きみたいな感じでした。『ブラック・ウィドウ』も一見さんに比較的優しい作品ではありましたが、MCU初期からいるキャラだし、時系列的にも過去作とのつながりが深い作品でした。
しかし本作はMCUとしては完全新規のヒーローなので、過去作とのつながりはほぼ無し。なので、見る前にコレ見といたほうがいい、通称“MCUラソン”も本作には不要。強いて言うなら『アイアンマン』1~3を見ておくとより楽しめる程度。なんだかいよいよ本格的に次のフェーズが始まってきたぞ、という感じがしてワクワクしますね。
この作品を機に、MCUデビューしてみてはいかがでしょうか。

 

ちなみに『ブラック・ウィドウ』に関しては以下にて感想を記しておりますので、良かったら読んでみてください。

blacksun.hateblo.jp

既に至る所で言われていますが、本作のすごいところは、ハリウッドの超大作映画でアジア系俳優を主役に起用している点。
これまでMCU作品に登場したアジア系といえば、メインキャラだとドクターストレンジの兄弟子であるウォンくらいしかいません。20作品を超える映画を公開していてコレなんですから、アジア人がハリウッド進出するために越えるべき壁はまだまだ高いんだなぁ…という気分にもなります。

しかし、それももう過去の話。
本作では、シャン・チー役に大抜擢されたアジア系カナダ人のシム・リウのほか、香港映画界では大スターであるトニー・レオンミシェル・ヨーなど、アジア系俳優が多く出演しています。具体的にどこがどうすごいとか細かいところは僕には知識が全然ないので書きません(書けません)が、とりあえず同じアジア系人種として大変喜ばしいというか、誇らしいというか。
メインビジュアルが解禁されたとき、なんかシャン・チーの見た目が地味ということで、公開前から見ない宣言してる人がちらほらいたらしいですが、僕は見た目とかどうでもよくて、MCUのスーパーヒーローアクションとアジアン映画のカンフーアクションが融合することでどんな化学反応を起こすのか、楽しみで仕方ありませんでした。

見て率直に感じたことは、序盤~中盤はカンフー映画の良さが色濃く出ていて、後半はスーパーヒーロー映画らしい感じになってたなーと。見た目がどうとかで見ないのは非常にもったいない作品であることは間違いないです。

 

さて、本編の感想に入りますかね。

本作のあらすじは、家を飛び出してアメリカで楽しくやっていた主人公が、裏社会の犯罪組織のボスである父親がヤバいことをしようとしていると知り、それを止めるためにがんばる。というもの。

僕もストーリー丸ごと文字に起こさずに感想だけ書けるようにがんばる。

 

序盤。
場所はアメリカ、サンフランシスコ。
ショーン(演:シム・リウ)という名の青年は、ホテルマンとして働きながら、同僚であり親友のケイティ(演:オークワフィナ)と、仕事終わりに飲みに行ったり朝までカラオケで騒いだりと、楽しい生活を送っていました。

ある日、バスに乗って出勤していると、レーザー・フィスト(演:ロリアンムンテアヌ)ら見知らぬ男たちから「首にかけてるペンダントをよこせ」と言われ、襲われます。ショーンは、そんな暴漢たちを見事なカンフーで撃退。喧嘩も出来ない優しい人物だと思っていたケイティを驚かせます。

このバス内での格闘シーン、ジャッキー・チェンを彷彿とさせる大変見応えのあるバトルでした。狭い車内をスルスルと移動しながら、車内の小物を活用したりしてちょいちょいコミカルなシーンも挟んでくるとことか、モロですよね。ガッチリとこちらの心を鷲掴みにする非常に楽しいバトルでした。予告編とかでよく流れるポーズ決めるとこもメチャクチャカッコいい。日本の特撮に慣れ親しんでいる身としては、ああいう見栄を切るシーンがテンション上がるんですよ。「○○レッド!(ドカーン!)」みたいな。

あと、何と言ってもショーン(シャン・チー)とケイティのキャラクターがいい。2人とも何不自由ない暮らしというわけではないけれど、性格も明るくて、とても楽しく毎日を送っているのが伝わってきて、羨ましいなぁ…と思いました(意味深)。特にケイティは底抜けに明るくて存在感抜群でした。こういうキャラが作品内に一人でもいると、作品全体の空気も明るくなって良いですね。2人は男女だけど恋愛感情とかは一切なく、本当にただただ仲のいい親友、って感じだったのもよかった。別に恋人同士とかでも問題なかったと思うけど、それだとなんかありきたりになっちゃう気がしますし。

 

場所は変わり、中国、マカオ
行きの飛行機の中でショーンは自分の過去や、本当の名前はシャン・チーであることをケイティに明かします。
この移動の飛行機の中で話すっていうのが、なんか絶妙ですごい良かった。しっとりとしたバーで雰囲気たっぷりに話すとか、重要キャラに「実はお前は○○なのだ!(デデーン)」みたいな感じで明かされるのではなく、割とあっさりめな感じ。

ともあれ、妹を助けにマカオに来てみたら、妹のシャーリン(演:メンガー・チャン)は、刃牙の地下闘技場やらHUNTER×HUNTERの天空闘技場みたいな(ビルの上層階なので後者の方が近いかも)、ヤバ目の人達が金を賭けて戦い合うナイトクラブ「ゴールデン・ダガー」のオーナー兼最強のファイターとなっていました。しかも自分を置いていった兄シャン・チーに対して、恨み骨髄に徹すって感じでスゲー怒っています。

ここではMCUファンへのサービスが満載で、前述したウォン(演:ベネディクト・ウォン)と『インクレディブル・ハルク』のヴィランだったアボミネーション(声:ティム・ロス※クレジット無し)が戦っていてめっちゃ興奮したんですが、その他にも『ブラック・ウィドウ』に出てきたウィドウの一人や『アイアンマン3』に出てきたエクストリミスの被験者が戦ってたりしていたようで。なんか見たことある人いる気がするな…くらいの感じであまり気に留めていなかっただけに、後で知って驚きました。

ここでの見どころはやはり超高層ビルの側面で戦うシーン。ここもジャッキー映画とかの影響を色濃く受けているところですね。若干高所恐怖症気味の僕は心の中で「ひぃぃぃっ!」と叫びながら見ていました。

しばらく戦っていると、かつてシャン・チーの師だったデス・ディーラー(演:アンディ・リー)が登場。シャン・チーと激しいバトルを繰り広げます。まさに目にも止まらぬ超スピードでのアクションが最高。でも結局この人が何考えてるのか最後までイマイチわかりませんでした。喋んないし、死に様もめっちゃあっさりやられちゃうし。見た目は最高にカッコいいんですけどね。

そんなこんなで、最後はシャン・チー及びシャーリンの父親であり組織のボスであるシュー・ウェンウー(演:トニー・レオン)が登場し、3人はアジトへ拉致されます。

 

シュー・ウェンウー。
世界的犯罪組織「テン・リングス」のリーダー。組織名の由来でもある伝説の武器“テン・リングス”を所有し、世界の覇者となるべく、ひたすらに権力を追い求めている。
10個の腕輪からなる“テン・リングス”は彼に絶大なパワーと不老不死をもたらしており、1000年の時を生きているとされる。
彼には数多くの異名がある。“ウォーリアー・キング”、“マスター・カーン”、“世界一危険な男”、そして、“マンダリン”。

この「テン・リングス」という組織は、MCU1作目『アイアンマン』にてトニー・スタークを拉致した組織。また、マンダリンという名前は原作でもアイアンマンの最大のヴィランとして立ちはだかる存在ですし、『アイアンマン3』のメインヴィランでもあります(まぁ偽物でしたが)。
こんな風に、過去作を見なくても全く問題ないけど、見てると更に楽しむことが出来るつくりは本当に見事。

彼の武器であるテン・リングスは、原作では10個の指輪でしたが、映画では10本の腕輪にアレンジされています。2004年公開の『カンフーハッスル』に出てきた洪家鐵線拳(ほんけてっせんけん)の影響を受けているのだとか。こうしたアジア映画へのリスペクトを随所に感じられるところが素晴らしい。ロケットパンチのように飛ばしたり鞭のように振り回して矢を弾いたり、使い方も非常にカッコいい。

それにしても、トニー・レオンがカッコよすぎる…。激マブですよ…(年齢を感じさせるワード)
間違いなく悪者なんだけど、ただの純粋悪ではなく、優しさや家族への深い愛情も持ち合わせてるところがたまらない。その深い愛ゆえに、それを失ってしまったときに堕ちるとこまで堕ちてしまうという、『北斗の拳』のサウザーの愛を拒んでないバージョンみたいなキャラでしたね。

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「退かぬ!媚びぬ!顧みぬ!」の人。

ウェンウーの目的は、妻でありシャン・チー及びシャーリンの母であるイン・リー(演:ファラ・チャン)が生まれ育った村へ行き、そこに閉じ込められているという彼女を助け出すこと。既に亡くなっているのは明らかなんだけど、ウェンウーは助けを求める声が聞こえてくると譲らない。深い悲しみを利用され、闇に心を囚われてしまっていたのでした。憂いを帯びたトニー・レオンの表情がたまらない。

その村への道は不思議な力で守られており、通常の方法では辿り着くことが出来ない。シャン・チーとシャーリンが幼いころに母にプレゼントされたペンダントを龍の像の目の部分にはめ込むことで、村へ行くための道筋が示される仕組み。ここの水がバシャ―!と出てきて道を示してくれるとこ、すごいきれいでよかったです。VFX万歳。

もし村の人たちが歓迎してくれないときはどうすると聞かれ、「その時は村ごと焼き払う」と答えるウェンウーに、反発するシャン・チー。なら仕方ないと、牢獄に閉じ込められてしまいます。牢獄の奥には、トレヴァー・スラッタリー(演:ベン・キングズレー)がいました。彼こそ、『アイアンマン3』でマンダリンを演じていた男。僕は見たい映画は出来る限り予告編も見ないようにして前情報を入れないようにしているので、出てくることを全く知らなくてビックリしました。
彼は友達としてモーリスという不思議な生き物(顔が無いのにめちゃくちゃ可愛い!)を連れており、この生き物が村への行き方を知っているというので、一行は脱獄してレーザー・フィストの車を奪って村へ向かいます。車体に自分の名前をデカデカと入れてたり、レーザー・フィストが意外とギャグキャラだとわかるナイスなシーン。

 

村へ行く道は不思議な竹林に守られているのですが、この意志を持っているかの如く動く竹林、『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』だかの迷路のシーンを連想しました。植木が勝手に動いて道がどんどん変わっていくヤツ。
なぜかモーリスと正確に意思疎通できるトレヴァーの案内で、辿り着いた神秘の村、ター・ロー九尾麒麟鳳凰獅子など、東洋神話の生物がたくさんいて村人と共生している、不思議な村。これまでリアル寄りのカンフーアクション映画だったのが、ここに来て急にファンタジック満載な映画になりました。村人たちは最初はシャン・チー達を拒絶して追い返そうとしますが、イン・リーの姉、つまりシャン・チー達の伯母であるイン・ナン(演:ミシェル・ヨー)によって、温かく迎え入れられます。彼女はこの後来るウェンウーに対抗すべく、竜の鱗(ドラゴンスケイル)を使用した戦闘服を用意してくれたり、シャン・チーに修行をつけたりと、とても良くしてくれます。

イン・ナンの戦闘シーンはこの修行の場面くらいなんだけど、太極拳のような流麗な動きを見せてくれてとてもカッコよかったです。固く握りしめたシャン・チーの拳を開いて柔らかい構えにしてくれるところとか、目指すべき方向へ導いてくれているようでグッときました。

シャーリンも、これまでは武道を習うことを禁じられていたけど「ここではそんなこと言うやつは誰もいない」と言われ、元々得意武器だった縄鏢を極めるべく修行に励む。

(実はこれまでずっとついてきていた)ケイティも、村の住人であり弓の名手であるグアン・ボー(演:ユン・ワー)に、成り行きとはいえを教わることに。

個人的に村のシーンで一番良かったと思ったのは、シャン・チーがケイティに真実を告げるシーン。かつて父のもとで暗殺拳を叩きこまれていた時に、最初の任務として母を殺した犯人を探し出して仇をとれと言われ、家を出ます。その後、犯人を見つけ出すことは出来たものの、殺すことが出来なかったと言っていました。ですが、実はしっかり殺していたことをここで打ち明けます。殺せなくて父に顔向けできなくて家に帰らなかったのではなく、手を汚してしまって母に顔向けできなくて家に戻れなかったのでした。優しい人間には違いないけど、完全無欠のヒーローではないところをうまく表しているというか、キャラクター作りに誠実というか。短いけどすごく意味のあるシーンでした。
とまぁ、そんな感じでウェンウーが来るのに備えて準備を進めていきます。

 

ウェンウーたちテン・リングスの面々とのラストバトルは、さながらドラ○ンボールのようなド派手バトルでした。特にテン・リングスを自分のものにしてウェンウーにとどめを刺そうとするシャン・チー、完全にかめはめ波やんけ!と誰もが思うところ。そのあと「やっぱやーめた」とばかりにポイっと捨てるシャン・チーもなんかすごい良かった。いっそのこと龍拳爆発やってくれと思ったけど、さすがにそこまでは無かったですね。それに近しいとどめではあったけど。

このラストバトル、というか村に着いてからの展開、不思議とちょっと乗れない自分がいました。なんだろう、急にリアリティラインが下がったから荒唐無稽に感じたのかな。緑の巨人とか雷出す神様とかは特に何とも思わなかったんですけどね。自分でもよくわからない。。
あとデス・ディーラーとかグアンとかさらっと死んだのもなんだかなぁと思った感はあります。

ウェンウー、というかトニー・レオンはずっと最高でした。村についてまず妻に線香あげるとことか、最期は息子をかばってテン・リングスを託して逝くとことか、ずっと良かった。
テン・リングスがどうしてシャン・チーを選んだ(?)のかはイマイチわかりませんでしたが、今後明かされたりするのかな。

 

MCU恒例のエンドクレジット後のおまけは、ウォンが再び登場し、キャプテン・マーベル/キャロル・ダンヴァース(演:ブリ―・ラーソン)とハルク/ブルース・バナー(演:マーク・ラファロ)と共にテン・リングスについて話すシーン。ブルースが腕をケガしてたのはインフィニティ・ガントレットを使った後遺症なんだろうと思ったけど、ブルースの姿に戻ってたのが気になりました。ハルクと融合したのでは?…うーん、今後の展開が気になりますね。
最後はシャン・チーとケイティとウォンも交えて3人で『ホテル・カリフォルニア』を熱唱して、映画は終わってました。僕もピンチの時やクタクタな時に歌いたいと思いました(笑)

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書いたり消したりを繰り返してたらすっかり記事を上げるのが遅くなってしまった…。
非常に楽しい映画であることは間違いないので、まだやっている劇場があれば、ぜひ見てほしいです。

 

ということで、映画『シャン・チー  テン・リングスの伝説』の感想でした。

ではまた。