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Vシネクスト『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲインド』感想(ネタバレ)

Vシネクスト『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲイン』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

仮面ライダー555(ファイズ)』は、2003年~2004年にかけてテレビ朝日系列にて放送された、仮面ライダーシリーズの1作。

人類の進化系ともいえるオルフェノク仮面ライダーとの戦いが描かれ、善と悪に明確な線引きをしないシリアスな作風と、人間側、オルフェノク側双方の様々な人物が織りなす群像劇が描かれました。また、これまであまり語られてこなかった「怪人(オルフェノク)側の物語」が本格的に描かれるなど、のちの作品に大きな影響を与えた作品と言えます。

本来のターゲットである児童向けの話で言うと、携帯電話やカメラなどといった、日常生活で使われるガジェットをモチーフにした変身ベルトは非常に好評を博し、当時の歴代最高売り上げを記録する大ヒット商品となりました。

 

TVシリーズ終了後も様々な作品でゲストとして出演していますが、中でも特に印象深いのはやはり、2015年公開の『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』のスピンオフとしてdビデオにて配信された、『dビデオスペシャ仮面ライダー4号』でしょう。

僕は確かyoutubeで期間限定公開されたときに見たのですが、『3号』の後日談でありながら『ファイズ』の後日談ともとれる作りで、しかもそれが非常に納得度の高いものだったので、個人的にめちゃくちゃ好きな作品です。何なら本編である『3号』よりも好きかもしれない。(いや、『3号』も好きですけどね。歴史改変ビーム(笑)とか)
今思えば、あれは「夢の続きの第一歩」だったのかもしれませんね。鑑賞するには少々ハードルの高い作品ですが、TTFCでも見れますし、ファイズファンはぜひ見ていただきたいです。

 

もくじ

 

概要

そんなファイズTVシリーズから20周年を記念して、新作が製作されることとなりました。

それが本作、『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲイン』です。

仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』と同様、現実と同じ時間(20年)が経過した世界を舞台に、TVシリーズの“その後”が描かれています。

 

監督を務めるのは、田崎竜太
平成ライダー第2作目『仮面ライダーアギト』より仮面ライダーシリーズに監督として携わり、その後も数多くの作品に監督として参加。最新作『仮面ライダーガッチャード』でもパイロット監督を務めているなど、大ベテランの監督さんです。

脚本は、井上敏樹
鳥人戦隊ジェットマン』や『超光戦士シャンゼリオン』のメインライターとして知られるほか、『仮面ライダーアギト』『仮面ライダー555』『仮面ライダーキバ』の脚本を(ほぼ)全話執筆し、最近では『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』でその豪腕をふるった、特撮ファンで知らぬ人はいないほどの御大ですね。

 

キャスト陣も、TVシリーズに出演していた方々が多数出演しています。

主演はもちろん、半田健人
ファイズで初主演を務めて以降、今や俳優のほか、バラエティへの出演や歌手としての顔も持つなど、マルチに活躍しています。

ヒロイン役も変わらず、芳賀優里亜
俳優として多くの作品に出演しているほか、特撮作品にも多数出演。『仮面ライダーキバ』でも重要な役を演じています。

そのほか、村上幸平唐橋充藤田玲といった、当時出演していた俳優陣が同役を演じています。それと、ほとんどの平成ライダーで主役ライダーのスーツアクターを務めたレジェンド、高岩成二が一瞬だけ出演しており、ベテラン特オタの笑いを誘ってきます。

更に、福田ルミカ浅川大治柳川るい土師野隆之介松澤可苑といった若手俳優陣や、アニメ『Bang Dream!(バンドリ!)』などに出演している声優の進藤あまねらが、新キャストとして出演しています。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

オルフェノクとの死闘から、20年。

園田真理(演:芳賀優里亜)は、菊池啓太郎の甥である菊池条太郎(演:浅川大治)と、死んだはずの草加雅人(演:村上幸平)と共に、菊池クリーニング店を切り盛りしながら、絶滅寸前のオルフェノクを庇護する活動をしていました。

かつてオルフェノクの巣窟であったスマートブレイン社は政府によって企業再生され、社長の北崎(演:藤田玲)のもと、オルフェノクの殲滅を掲げ日々狩りを行っています。

海堂直哉スネークオルフェノク(演:唐橋充)は、菊池クリーニング店の2号店を勝手にラーメン屋へ改装し、庇護されたオルフェノクたちを従業員として雇っていました。そこへ、胡桃玲菜(演:福田ルミカ)率いる殲滅隊が強襲してきて、戦闘となります。玲菜は新たなライダー、仮面ライダーミューズへと変身し、彼らを追い詰めようとしますが、草加仮面ライダーカイザへと変身し、応戦。

そこへ駆けつける、1台のバイク。
乗っていたのは、数年前から行方不明となっていた、乾巧(演:半田健人)でした。
巧は仮面ライダーネクスファイズへ変身すると、なぜか海堂たちを攻撃し始め――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

夢の続き、見届けさせていただきました。

まず、20年経ってるのにみんな全く容姿が変わらないの、一体どういうことだってばよ…?
特に草加。あなたもう50近いのになぜそんなに若々しいの…?真理ちゃんは変わらぬ可愛さの中に大人の色気を感じさせてなんかもう色々とヤバい(意味深)。たっくんに至っては、20年前と変わらぬイケメンぶりに、更に渋さもプラスされててほんとスゴイ。「年齢は老いではなく、レベルアップだ」という言葉は彼らのためにあるのですね。

啓太郎はなんで出てこないんだろと思ったら、俳優さんが最近芸能界引退されてたんですね…。あとは、木場さんもここにいてくれたら…(涙)

 

内容に関しても、まさに「夢の続き」という感じでした。

みんなで集まってワイワイ、という感じは一切なく、終始シリアスな雰囲気はまさしくファイズ。命が容赦なく散っていくところも、裏切り裏切られなところも、うん、ファイズだ。たっくんが流されるままあっち行ったりこっち行ったりなところも、草加の顔芸も、そうそう、やっぱファイズですわ。

更に、人が細切れになって爆発四散したり、たっくんと真理が遂に行為に至ったりなど、PG12ならではの踏み込んだ演出もあって、オッサンな僕には見応えがありました。オルフェノク同士でそういう行為をして生まれる子供はどうなるんだろう?という点はシンプルに気になる。

 

新キャラは、やっぱり玲菜が一番良かったです。パンフを見ると、監督も彼女のキャラクター描写には力を入れていたようで、「変身を恥ずかしがる」とか、たっくんへの愛憎にも似た感情とか、すごくキャラが立っていて良かったです。ただまぁ、なんで彼女がたっくんに対してそんな一方的に思いを寄せているのかは、もうちょっと掘り下げて欲しかった気もしますけども。

あと、玲菜と終盤では北崎が変身する、仮面ライダーミューズのデザインも良かったですね。色や肩はちょっとガタックを思わせますが、本作だけの登場ではもったいないと思うくらいに良デザインだと思います。AI予測機能や、変身時のフォトンブラッドが血管のように細く不規則に伸びていく演出も、次世代感を出していてナイスでした。

ネクスファイズも、見る前はそれほどでもないかなーと思っていましたが、動いてるとこ見たらやっぱカッコよかったです。アクセルフォームも、顔がちょっとカッコ悪くなるのはアレですが、加速中のフォトンブラッドが虹色に光るところとか、『パラロス』で僕が最も好きなシーンである連続クリスマっぽいことをやってくれたりとか、演出がとにかくカッコよかったです。

ネクストカイザは、正当に進化した感じで良き。真骨彫の写真にあった、ネクストカイザのアクセルフォームらしきものは本作には出てきませんでしたね。TTFCで配信されている『仮面ライダー555殺人事件』の方に出てきたりするのかしら。見てないのでわからん。

 

あとは、真理ちゃんですよね。
本作は「真理の物語」といって差し支えないのではないかと。

正直、僕は真理ちゃんには“人間”でいて欲しかったですが、ワイルドキャットオルフェノクはかわいさとカッコよさと怖さが共存する素晴らしいデザインでしたし、彼女の葛藤や絶望、そこからの決意みたいなものが描かれていたので、あまり不満はないです。

「巧と真理との間にあるのは恋愛感情とは違うのではないか」というところから、2人が行為に至るのに解釈不一致を感じた人も多いかと思います。でも、「死期を引き延ばされ、利用され、助けを求められる人もいない」たっくんと、「人間ではなくなり、多くの命を奪ってしまった。今後もいつ本能に任せて人を襲うかもわからない」真理ちゃんが、それぞれ抱える負の感情を埋め合うようにお互いを求めあうというのは、非常に納得度の高いものだと僕は思いました。

 

草加や北崎がなんで生きてるのかと思ったらアンドロイドでした」というちょっと安直なオチとか、スペックでは遥かに劣るはずの旧型のファイズが、AIの予測を超える動きをしたり、ミューズやネクストカイザを圧倒する戦闘力を発揮したりするのはなぜ?とか(いくらでも脳内補完は出来るけど、劇中でちょっとくらい説明が欲しかった)、思うところもありましたが、おおむね楽しむことが出来ました。

オルフェノクは人種的マイノリティのメタファーであり、本作では現代的に進歩しているどころか前より弾圧・迫害を進めているじゃないか、みたいなポリコレ的な話は、ニチアサ作品ではしなくていいじゃないですか。『キングオージャー』ではある程度うまくやってるとか、そんなこと言わんといてください。

 

おわりに

以上になります。

なんやかんやワーワー言うとりますが、「ファイズの新作が当時と変わらぬクオリティで見れる」というだけで、リアルタイムで楽しんできたファンとしては大満足だったりするのです。もうライダーは卒業して久しい大人の皆さんも、当時を懐かしんで鑑賞してみては。

ということで、Vシネクスト『仮面ライダー555 20th パラダイス・リゲイン』の感想でした。

ではまた。