GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』感想(ネタバレ)

映画『ダンジョンズ&ドラゴンズアウトローたちの誇り』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

1974年、TRPG(テーブルトークロール・プレイング・ゲーム)の元祖と言われる、『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』が発売されました。
僕はTRPGってあまり馴染みが無いんですが、自分達で世界観やルールを設定し、ゲームマスターとプレイヤーが会話をしながら物語を進めていく、ボードゲームの一種らしいです。人生ゲームみたいなもん…?(よくわかってない)

『D&D』は、モンスターやトラップが配置されたダンジョンを、戦士や魔法使いなどのキャラクターを組み合わせたパーティを組んで探検し、ダンジョンの奥に眠るアイテムを獲得する、というゲームで、現在のRPGの基礎を作りあげたと言ってもいい、歴史的な作品なんだそうです。ドラクエとかもかなり影響受けてそうですね。

 

このゲームを題材とした映画は過去にも製作されたことはあったらしいのですが、このたびリブート作として再び映画化されることとなりました。
それが本作、『ダンジョンズ&ドラゴンズアウトローたちの誇り』です。

架空の世界を舞台に冒険を繰り広げる、ファンタジー・アドベンチャー作品となっています。

 

僕は最初、本作はスルーしようかと思っていました。なんだかこう、地雷っぽい雰囲気をひしひしと感じるし、サブスクとかで配信されたら見ればいいかな、と。
しかし、思った以上に僕好みな感じっぽかったし、世間の評判も割と良さげだったので、見てみることにしました。感想としては…後述します。

 

もくじ

 

概要

本作の製作が発表されたのは2013年だそうで、そこから公開までに10年もかかってるんですね。
どうやらコロナ禍の影響と、製作陣や配給元がコロコロ変わったのが原因とのこと。そういう紆余曲折あった作品って結局とりとめが無くなってあまり上手くいかない印象があるのですが、本作は…後述します。

 

監督・脚本は、『スパイダーマン:ホームカミング』の原案・脚本や、6月公開予定の『ザ・フラッシュ』の原案などを務めるジョナサン・ゴールドスタインと、『くもりときどきミートボール フード・アニマル誕生の秘密』の脚本などで知られるジョン・フランシス・デイリー

原案は、『レゴバットマン ザ・ムービー』や『トゥモロー・ウォー』の監督であるクリス・マッケイと、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』や『アントマン』などの製作総指揮を務めたマイケル・グリロ

製作に、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』などのジェレミー・レイチャム、『アトミック・ブロンド』などのニック・メイヤー

何気にMCUをはじめとした、アメコミ映画に携わる方々が多く参加してるんですね。知らなんだ。

 

キャストは、J.J.エイブラムス版『スター・トレック』や『ワンダーウーマン』などのクリス・パイン、『LOST』や『ワイルドスピード』シリーズなどのミシェル・ロドリゲス、『移動都市/モータル・エンジン』や『レイマン』などのレゲ=ジャン・ペイジ、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』や『名探偵ピカチュウ』などのジャスティス・スミス、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり』や『ノット・オーケー』などのソフィア・リリス、そして『ノッティングヒルの恋人』や『ブリジット・ジョーンズの日記』などで知られる名俳優、ヒュー・グラントら、豪華俳優陣が主要キャストを演じています。

 

予告編


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あらすじ

人間、エルフ、魔物など、様々な種族が存在する世界、フォーゴトン・レルム

盗賊のエドガン(演:クリス・パイン)は、相棒の女戦士(バーバリアン)、ホルガ(演:ミシェル・ロドリゲス)と共に投獄されていましたが、隙を見て脱獄。その目的は、娘のキーラ(演:クロエ・コールマン)に会うこと、そしてかつて入手に失敗した“よみがえりの石板”を手に入れ、殺された妻を蘇らせること。

キーラは、かつての仲間であり、現在は一国の主となっている詐欺師(ローグ)、フォージ(演:ヒュー・グラント)のもとで、何不自由なく暮らしていました。

しかし、そもそもエドガンたちが投獄されるよう仕向けていたのがフォージであり、捕まるきっかけを作った強力な魔法使い、ソフィーナ(演:デイジー・ヘッド)とも、始めからグルだったことが判明。石板もフォージが持っていましたが、渡すつもりはない様子。

そこでエドガンは、かつての仲間で自分に自信のない魔法使い、サイモン(演:ジャスティス・スミス)、様々な動物へ変身する能力を持つ祭司(ドルイド)、ドリック(演:ソフィア・リリス)、冗談の通じない超真面目な聖騎士(パラディン)、ゼンク(演:レゲ=ジャン・ペイジ)ら、クセの強いメンバーたちとパーティを組み、娘と石板を取り返すため、フォージへと立ち向かっていくのでした――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

完全に嘗めてました。めっっっちゃくちゃ面白かったです。

壮大な世界観、王道なストーリー、魅力的なキャラクター、ところどころ挟まれる気の利いたギャグ、そして感動のクライマックス。面白くなる要素しかない。更にそれらが過不足なくテンポよく展開されるので、誇張抜きで最初から最後までずーっと楽しい映画でした。

 

まず冒頭の監獄の場面、エドガンが自身の過去を語るとこ、「いやコレ恩赦受けるための嘘だろ絶対」と思ってヘラヘラして見てたら、全部本当だったというね。スマン、人の話を信用出来ないほどに、僕の心は薄汚れているんだ…。
フォージと違ってエドガンは嘘つきではない、というキャラ分けにも一役買っていて良かったと思います。

エドガンはパーティのリーダーながら、恐らく戦闘力は最も低い、というのもいいですよね。機転を利かせ、瞬時に作戦を練り、仲間に指示を出してピンチを脱するというのが彼の強さで、それがしっかりと描写されていて好印象でした。

 

序盤の兵士に処刑されそうになるシーンでは、ホルガことミシェロドの魅力が大爆発していて最高でしたね。肉弾戦ではパーティ中最強のキャラを、キレッキレのアクションで体現してくれています。もーホントカッコいい。ミシェロド大好き。

あとエドガンとホルガは男女の間柄ですが、お互い恋愛感情は一切なく、各々愛する人が別にいて、あくまで「信頼のおける相棒」って感じだったのがすごく良かったです。落ち込んだホルガを慰めるのに、空気を読まずに明るい歌を歌ってあげるエドガンとかも、信頼関係が伝わってきてとても良き。

あと余談ですが、ホルガの元夫の小人族マーラミン、どこかで見たことある顔だなーと思ったらブラッドリー・クーパーだったのね。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のロケットといい、ちんまくて可愛いキャラを最近よく演じてる気がする。本人がゴツくてダンディーだからかな。

 

魔法使いのサイモンは、自分に自信がないというキャラクターがすごく共感出来ました。そして“魔法破りの兜”のくだりでは、「自分の可能性を潰しているのは自分自身」「そしてそれを打ち破るのも、やはり自分自身」というメッセージを感じて、なんかすごくジーンと来てしまいました。個人的に、サイモンが本作で一番好きなキャラかもしれない。

どーでもいいけど、“ここ・そこの杖”、モロにポータルガンやないか…。

 

ドルイドのドリックは、どことなく『アベンジャーズ』1作目あたりのブラック・ウィドウみたい(多分髪型のせい)でしたが、顔があまりにも可愛すぎて気絶するかと思いました。

ハエに変身して潜入するも見つかって、いろんな動物に変身しながら街の外へ逃走するシーンは、ワンカット(風)で見せていて見応えがすごかったです。あそこ本作で一番の名シーンではないかと。ポータルの出口に入るために、地面をコンコン削って頑張って隙間作るのとかもめっちゃ可愛かった…。

ソフィア・リリスって名前も、天使みたいに可愛い名前だな、と思いました(リリスは悪魔ですが)。

 

そしてパラディンのゼンク、まさかコイツが一番のギャグキャラだと、一体誰が想像出来ただろうか…。

冗談が通じなさすぎるシーンはまんまと笑ったし、別れる時の、「見ろ、どこへともなく真っ直ぐ歩いていくぞ…どこに向かってんのアレ」「あっ、前に大きな石があるぞ…どうすんだろ、避けるのかな」「いや上から行くんかーい」のくだりは、シアター全体に笑いが起きるほどでした。

 

ペテン師のフォージは、胡散臭さがしっかりと滲み出ていましたね。流石はベテラン俳優のヒュー・グラントというべきか。最初から最後まで一貫してクソ野郎なのも、悪役として非常にキャラが立っていて良かったです。

彼のキーラへの思いは実際のところどうだったんでしょうね。「自分の思い通りに成長させられるのは、神になった気分だ」みたいに言ってましたが、キーラがものすごくいい子に育っていたのはやはり愛情からなんじゃないのかなー、とか思ってみたり。

 

メインヴィランであるソフィーナは…顔が怖い。以上。

 

そうしたクセ強なキャラたちが、その特徴をいかんなく発揮しながらストーリーが進んでいくので、もう終始楽しくて楽しくて。

いかにもなダンジョンも出てきて、そこで出てくるドラゴンもいかにもな…と思いきやすごいメタボで、重すぎて飛べなかったりゴロゴロ転がって移動したりと、愛嬌があって可愛かったです。

いかにもな墓地も出てきて、甦らせた死者に5つ質問しなきゃだけどもう聞くことないから、「好きな食べ物は?」とか「愛読書は?」とか適当なこと聞くくだりとか、いちいち面白かったです。
そーいや、僕は字幕で見ましたが、吹替版の死者たちの声優が異常に豪華なのも笑えました。どこに力入れてんねん。

 

クライマックスでは、これまでの冒険で得たものが結実し、即席で組んだパーティが一丸となって抜群のチームワークで戦ったりして、しっかりと盛り上げてくれます。魔力を封じる腕輪とか、レッド・ウィザードの刃で付けられた傷は回復出来ないとか、ラストで集約する伏線も見事で、ホントよく出来てるなーと。

「悪者倒したら全部まるく収まる」エンドは、まぁご愛嬌ということで。

 

おわりに

感想はこんな感じです。
「スルーせずに見て正解だった」という点では、現時点での個人的「2023年見てよかった映画」の筆頭かもしれない。

目新しさや斬新さはそんなに無いけれど、「これでいい、いやこれがいい」をとことん突き詰めたような、普遍的な面白さが詰まった作品だと思います。老若男女問わずオススメできる、素晴らしいエンターテイメントムービーでした。

パンフレット作ってくれー。

ということで、映画『ダンジョンズ&ドラゴンズアウトローたちの誇り』の感想でした。

ではまた。