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映画『イコライザー THE FINAL』感想(ネタバレ)

映画『イコライザー THE FINAL』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

デンゼル・ワシントン演じる主人公が裏社会で暗躍する悪に制裁を与える、「舐めてたオッサンが実は最強でした」の代表格と言っても過言ではない『イコライザー』シリーズ。

その第3作目、及び最終章となるのが、本作『イコライザー THE FINAL』になります。

本シリーズのカテゴリはヴィジランテ・アクション・スリラーというらしく、シリーズおなじみの、悪い人たちがかわいそうに見えてくるほどに容赦なく皆殺しにされる様を、本作でも楽しむことが出来ます。

 

もくじ

 

これまでのおさらい

過去作見てないとわからないということはないので要らないっちゃ要らないんですが、文字数稼ぎのためにも前作までをおさらいしていこうと思います。

  • イコライザー』2014年
    ホームセンターの従業員、ロバート・マッコールは、優秀な仕事ぶりと気さくな性格で誰からも慕われる存在でした。読書が趣味である彼は、行きつけのダイナーで本を読んでいたところ、テリーと名乗る女性と知り合います。彼女は本名をアリーナといい、幼いながら生活のために娼婦をしていました。
    ある日、アリーナは客とトラブルを起こし、元締めであるロシアン・マフィアの手下であるギャングたちから激しい暴力を受け、意識不明の重体に。それを知ったマッコールは、ギャングのアジトへ赴き、彼らをたった19秒で瞬殺。実はマッコールは元CIAの凄腕エージェントであり、報復のために襲撃してくるマフィアの連中を次々と返り討ちにし、最終的にはマフィアのボス、ウラジミール・プーキシンまでをも殺害。マフィアを根こそぎ壊滅させてしまうのでした。

  • イコライザー2』2018年
    マッコールは、タクシーの運転手として生計を立てながら、裏ではイコライザーとして、助けを求める弱き人々のためにその力を使っていました。
    その頃、マッコールの友人でありCIAエージェントのスーザン・プラマーは、とある殺人事件を捜査していたところを、何らかの陰謀に巻き込まれて殺害されてしまいます。彼女の死に疑念を覚えたマッコールは、スーザンと共に事件を捜査していた、かつての相棒であるデイブ・ヨークと共に犯人を追います。しかし、実はデイブこそが黒幕であり、彼はマッコールがCIAを抜けたあと、悪の“イコライザー”として暗殺稼業をしていたことが判明。
    最後は、マッコールが亡き妻と暮らしていた町でデイブと決戦。マッコールは手下たちもろともデイブを殺害し、かつて暮らしていた家で妻との思い出に浸るのでした。

 

本作概要

そうして、物語は本作へと繋がります。

初めて知ったのですが、本シリーズは80年代にアメリカで放送されていた『ザ・シークレット・ハンター』というTVドラマの劇場版という立ち位置らしいですね。『ミッション:インポッシブル』シリーズと同じようなもんなんですね。知らなんだ。

 

本作ではこれまでのアメリカ・ボストンから舞台を移し、イタリアの小さな町を主な舞台としています。

また、シリーズ初のR15+指定となり、これまで以上にバイオレンス要素の強いアクションになっているのが大きな特徴。対して、ストーリーや作りは割と1作目に近いものになっており、原点回帰を窺わせます。

 

監督は1,2作目と同様、アントワーン・フークア
2001年の『トレーニング デイ』でもデンゼルとタッグを組んでおり、彼にアカデミー主演男優賞をもたらしました。

脚本も1,2作目と同じく、リチャード・ウェンクが執筆。
本シリーズのほかにも、『エクスペンダブルス2』『マグニフィセント・セブン』などの脚本を書いており、来年公開予定のSSU作品『クレイヴン・ザ・ハンター』の脚本も担当しています。

 

主演はおなじみ、デンゼル・ワシントン
数々の話題作に出演し、アカデミー賞をはじめ数多くの賞も受賞している、言わずもがなの名優です。てか、もう70歳近いんですね…。とてもそうは見えない。

主人公のバディ的立ち位置のキャラを演じるのは、ダコタ・ファニング
2001年の『アイ・アム・サム』で、若干7歳ながら各種新人賞を総なめにするほどの高い評価を獲得。その後も実力派女優として、数々の作品に出演しています。

そのほか、詳細は割愛しますが、イタリアが舞台ということでイタリア系の俳優陣が数多く出演しています。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

イタリア、シチリア島

とある農園に、元CIAエージェントのロバート・マッコール(演:デンゼル・ワシントン)はひとりで乗り込んでいました。そこはイタリア系マフィアのアジトであり、構成員たちをひとり残らず殺害して目的の品を奪還したマッコール。しかし、帰ろうとしたところをボスの孫と思しき少年に背後から銃撃され、重傷を負います。

イタリア南部の田舎町で気を失った彼は、憲兵ジオ・ボヌッチ(演:エウジェニオ・マストランドレア)によって町医者のエンゾ・アリシオ(演:レモ・ジローネ)のもとへ運ばれ、治療を受けます。CIAのエマ・コリンズ(演:ダコタ・ファニング)に通報してアジトの調査を任せ、傷の治療に専念するマッコール。その中で町の人々と交流を深め、愛着を深めていきます。

しかし、穏やかな町にも、悪の手が忍び寄ってきます。それは、町を一大リゾート地にするべく強引な地上げをしようとする地元マフィア、クアランタ兄弟とその一味。
そんな彼らに対し、静かに怒りを燃やすマッコール――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

本作ってアクション・スリラーでしたっけ?ホラーの間違いでは…?

と錯覚するくらいに、マッコールさんの惨殺っぷりが凄くて最高でした。なんかもう、『13日の金曜日』とか『ドント・ブリーズ』といった作品の方が近いのでは…。しっかりとしたバイオレンス描写も相まって、悪者たちが不憫にすら思えてきます。

 

まぁそれは半分冗談として、最速かつ最小限の動きで敵を葬っていくアクションの数々は、見事としか言えないです。デンゼルさん、ホントに70歳近いんか…?

日本ではアメリカ版『必殺仕事人』”などと呼ばれているそうですが、個人的に本シリーズはスティーヴン・セガール出演作品に近いものがあると思っていて。勧善懲悪なストーリーとか、無表情で敵をバッタバッタなぎ倒していくところとか、主人公がほぼ無傷のまま圧倒的な強さで勝利するところとか。とかとか。
なので、僕は勝手に本シリーズを“新世代のセガール映画”だと捉えています。つまり大好きということです。そうです、僕セガール大好きなんです。最近はロシア国籍を取得したりしているようでちょっと心配になりますが、まぁお元気でいてくれれば良いです。

 

そんな最強無敵のマッコールさんですが、子供には弱かった。「子供が自分を撃てるわけがない」という驕りがあったのかもしれません。それによって、シリーズ初かもしれないピンチに陥ります。撃たれた直後は「あちゃ~、やっちまった~」みたいなリアクションをしていたので、あれ?意外と大丈夫?防弾チョッキでも着てたのかな?と思いましたが、その後車内で気絶するくらいには重傷だったというね。

悪者を追ってたらイタリアまで来てましたって感じで、恐らく目的を果たしたらすぐにアメリカに帰るつもりだったのでしょうが、思わぬ足止めを食う形に。しかし、それがマッコールにとって今後の人生を左右するきっかけになるとは。

 

本作は、これまで数えきれないほどの人を手にかけてきたマッコールへの“救済”が、大きなのテーマになっています。それは“安住の地”であり、これまで“守る”立場だったマッコールが“守られる”立場になる、ということ。

前作はデイブという、自分と鏡写しとなる存在との対決という、バトルにおいては集大成ともいえるお話でした。それに比べると本作は、バイオレンス度は大幅に上がっているとはいえ前作ほど強い敵も出てきませんし、ストーリーもかなりシンプルにまとまっています。その代わり、本作では町の人々との交流が丁寧に描かれており、妻と暮らした家で孤独に幕を閉じた前作とは対照的です。

突然町にやってきたマッコールを町の人たちは気さくに受け入れ、特に素性を聞こうともしません。それどころか、魚屋の主人はエンゾ先生の知り合いだからと購入した魚の代金を受け取らなかったり、カフェの店員はこの町の料理をもっと知って欲しいと食事に誘ってくれたり、とても良くしてくれます。なんやねんこれ…惚れてまうやろ…!とマッコールさんじゃなくても思いますわ。

 

そんな人々がつらい思いをしようとしている…。そんなの許せるわけがない。
というのが、本作におけるマッコールの戦う動機になるわけです。

これまでも弱き人々を守るためにその力を行使してきたマッコールですが、今回はこれまで以上に個人的な感情によるところが大きいような気がします。そのせいか、敵に対する容赦のなさもシリーズ随一だったような。前までは悪者のターゲットを自分に向けて、殺そうと襲ってきたところを返り討ちにするようなスタイルだったのに対し、本作では襲われる前に自分から殺しに行ってますし。
「手下呼んで来い!ぶっ殺してやる!」→その直後に皆殺し
「明日だ!明日ヤツを殺す!」→その日の夜に皆殺し
といった感じ。まぁ、清々しさすら感じて最高でしたけどね。「犬のように殺してやる」と言っていた人が、最期は犬のように這いつくばって絶命させられるのとか、何とも皮肉が利いていて爽快でした。

 

悪党がじきに攻めてくるというときに礼拝みたいなことやっていたり、脅威が去った直後には町を挙げてサッカーチームの応援してたり、ちょっと町の人たちのんきすぎない?とちょっと思いましたが、些細なもんです。

これからもマッコールさんは、時折エマに応援を頼まれてこっそり協力したりしながらも、あの町で幸せに暮らしていくのでしょう。それが何よりです。

 

おわりに

感想は以上になります。

まだ続けられそうな終わり方でしたが、監督はこれで最後と明言しているようですし、おそらくもう続きはないのでしょう。ロバート・マッコール最後の勇姿を、ぜひ多くの方に見届けていただきたいです。

ということで、映画『イコライザー THE FINAL』の感想でした。

ではまた。