TVアニメ『TRIGUN STAMPEDE』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。
『TRIGUN (トライガン)』は、1995年~2007年にかけて連載されていた、SFガンアクション漫画。
遥か未来の砂だらけの惑星を舞台に、とある双子の物語がガンアクション満載で描かれました。アメコミに強い影響を受けた画風と、SFと西部劇を織り交ぜたような世界観が最大の特徴となっています。
1995年~1997年にかけて、月刊少年キャプテンにて『TRIGUN (トライガン)』(以降:無印)が連載。同誌の休刊を機に連載誌をヤングキングアワーズへと移し、タイトルも『TRIGUN MAXIMUM (トライガン マキシマム)』(以降:マキシマム)となり、1997年~2007年と、およそ10年にわたり長期連載されました。同時期に連載されていた『HELLSING (ヘルシング)』と共に、雑誌の2大看板となっていたんだとか。
(この2作が看板って、なかなかどうしてニッチな雑誌だよなぁ…。)
1998年にはTVアニメ化もされ(以降:旧アニメ)、2010年には劇場版アニメ『TRIGUN Badlands Rumdle』も公開されるなど、非常に高い人気を博した作品です。
『DUNE/デューン 砂の惑星』の記事なんかでもチラッと名前を出している通り、僕はこの漫画が大好きでして。もう完結から10年以上経っている作品で、オッサン丸出しでお恥ずかしい限りですが…。
単行本も全巻持ってましたが引っ越しの時に売ってしまったので、本作の放送前に電子版で全巻買い直して、また読み直しました。絵柄にクセはありますが、何度読んでも色褪せない、本当に素晴らしい作品ですので、興味があればぜひ読んでみてください。
おそらく僕がアメコミに興味を持つようになったのは、トライガンとるろ剣の影響が強い気がします。なので、僕が今MCUにハマっているのは彼らのおかげと言っても過言ではない…かもしれない。
もくじ
概要
そんなトライガンが、再びTVアニメ化される事となりました。
それが本作、『TRIGUN STAMPEDE』です。
この漫画に魅了された人たちが成長して“見る側”から“作る側”になった、ということなんでしょうが、こうして一昔前に完結した作品が再び日の目を見るというのは、なんとも喜ばしいものです。
本作は原作をベースとしながらも、設定やストーリーは1クールに収まるよう、結構改変されています。とはいえ、まだ漫画が連載中であったことからオリジナル要素の強くなった旧アニメとは違い、本作は原作のストーリーラインから大きく逸脱しないような内容になっていると思いました。
また、大きな特徴として、アニメ制作を『宝石の国』『BEASTARS』『ゴジラ S.P.(シンギュラポイント)』を手掛けたオレンジが担当し、全編CGアニメで作られていることが挙げられます。この会社、『アクエリオン』や『.hack』などの3DCGを手掛けた人が設立した会社なんですね。へえ~。
スタッフ陣、声優陣も旧アニメから一新され、これまでとはまた一味違うトライガンの世界観が構築されています。
最初、細かく名前挙げようと文章作ってましたが、めっちゃ長くなってきてめんどくさくなったので、ばっさりカット。知りたい方は調べればすぐ出てくるので、そちらを参照頂ければと。。。
OPテーマ - Kvi Baba 「TOMBI」
あらすじ
5つの月と、地表のほとんどが砂漠で構成されているのが特徴の惑星、ノーマンズランド。
ホーム(地球)を離れて砂だらけのこの星に降り立った人類は、生きていくには過酷極まりないこの地で、細々と暮らしていました。
彼らの生活に欠かせないもの。それはプラントと呼ばれる、無から有を生み出すことの出来る生体ユニットの力でした。この星で生きていくのにはプラントの力が不可欠であるものの、既に生産技術は失われているため、限られたプラントを巡って、時に人類は銃を手に取り、奪い合いを繰り返していました。
そんな星の、砂漠のど真ん中。
逆さ吊りにされていたのは、行く先々でトラブルを起こすことから“人間台風(ヒューマノイドタイフーン)”と呼ばれる、派手な赤いコートに身を包んだ金髪碧眼の青年、ヴァッシュ・ザ・スタンピード(声:松岡禎丞)。彼はこんな星でただひとり、「愛と平和(ラブ&ピース)」を本気で掲げる酔狂な男でした。
彼にはミリオンズ・ナイブズ(声:池田純矢)という双子の兄がおり、2人の間には浅からぬ因縁があるようで――。
はるか時の彼方 まだ見ぬ遠き場所で 歌い続けられる 同じ人類のうた。
本編感想
映画かと思うほどのクオリティ
上記の通り本作は全編CGアニメで制作されていますが、そのクオリティの高さには驚きました。『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』や『THE FIRST SLAM DUNK』などの劇場版アニメに引けを取らないほどに、高品質なアニメーションだったと思います。
特に第1話冒頭の、ヴァッシュとナイブズが乗る脱出ポッドが墜落していく船(シップ)を掻い潜りながら飛んでいく場面には、いきなり度肝を抜かれました。あと最終回の街を飛び回りながらのバトルも、原作のように逆立った髪や黒くなったコートといった原作ファン興奮必至の要素も含め、見応えが半端なかったです。
『スーパーヒーロー』の記事でも書いてますが、最近の国産CGアニメのクオリティは本当にすごいですね。概要で書いたオレンジ制作のアニメは見たいと思いつつもまだ見れてないのですが、これほどのクオリティで見れるのかと思うと俄然興味が湧いてきました。
8月公開予定の『SAND LAND』とかも非常に楽しみ。
声優陣は本作の方が好み
僕としては、声優は旧アニメよりも本作の方が全体的に好きでした。
特にニコラス・D・ウルフウッドは、旧アニメの速水奨さんの声はあまりにもセクシー過ぎると思っていたので、本作の「止まるんじゃねぇぞ…」でおなじみの細谷佳正さんのちょいやさぐれた感じの声の方が好きでした。
※余談ですが、鉄血のあのシーンをネタ扱いすること自体は全然いいんですが、ちゃんと本編を見もせずにネタ動画だけ見て「クソアニメw」とか言ってる連中を僕は許さない。僕はボロッボロに泣かされた人間なので。
ヴァッシュは旧アニメの小野坂昌也さんが割と理想的だったので、本作の松岡さんはどうかなーと思ってたんですが、意外と違和感なく受け入れられました。他の声優さんもみんな僕のイメージと大差なくて、ストーリーにスッと入り込めたように思います。
あと、ナイブズはゴーカイシルバーで炎刃騎士ゼンの池田純矢さんだし、オリキャラのロベルトは斬鬼さんで雷鳴騎士バロンな松田賢二さんだし、特撮(特に牙狼)に所縁のある人が声優やってたのも個人的に嬉しいポイント。
トライガンとは違う、でも確かにトライガンだった
概要でも書いた通り、本作は原作とは大小いろんなところが変わっています。
例えば、原作ではヴァッシュがナイブズを追うようなストーリーだったのが、本作では逆にナイブズから逃げていたり、ミリィが登場せず代わりにロベルト・デニーロ(声:松田賢二)というオリキャラが出てきたり、ルイーダ(声:折笠富美子)とブラド(声:諏訪部順一)が“大墜落(ビッグフォール)”の生き残りになっていたり、その他諸々。
でも、なんというか言葉にするのが難しいんですが、ちゃんとトライガンしてたなー、という印象を受けました。変えている箇所も、限られた話数で原作の物語を描くためにそうしている、というのがなんとなく伝わってきました。原作の要素を一度バラバラにして、“トライガンらしさ”みたいな部分を選出して再構築したような、そんな感じ。…って伝わりますかね。
打ち合わせを重ね、作品の持つアイデンティティをしっかりと理解した上で製作されたそうで、原作ファンとしても納得のクオリティになっていると思います。
「ゲートの向こうにアクセスして意図的に自立種(インディペンデンツ)を産まれさせる」うんぬんに関しては「…つまりどういうことだってばよ?」ってなりましたけど。
まさかの結末
あくまで僕の個人的な思いなんですが、割と『マキシマム』に準拠してストーリーが展開していたので、結末もそっちの方向へ進んでいくもんだと思っていました。なので、“フィフス・ムーン”と“ロスト・ジュライ”を合わせたような本作の結末には驚かされました。つまり、この1クール丸ごと、『無印』であり、エピソードゼロに過ぎなかったのか、と。
ヴァッシュとナイヴズが最終的に出す“答え”は原作クライマックスのもので、“トライガンの物語”としてはちゃんと終局に向かっていただけに、原作ファンほど「ここ(この展開)で終わるのかよ!?」と驚いたのではないでしょうか。
更に、さながらMCU映画のようなポストクレジット映像と、「完結編製作決定」の発表。
このやり方については、某世界の破壊者さんがこれやって大顰蹙買ったのを記憶しているので(作品自体はビギンズナイトのおかげもあってそこそこ好評のようですが)、若干の抵抗があります。まぁでも、あっちは子供向け番組で、しかも「半年で終わらせます!」って言ってたのにちょっと延びて、それでも完結させられなくて「映画で完結させます!」ってなった結果だと思うので、今回はちょっと違う…と思いたい。
某進撃さんも、せっかく超クオリティのアニメで人気を獲得したのに、「The Final Season 完結編 前編/後編」みたいな終わる終わる詐欺連発したせいで、今やすっかりあの頃の熱は冷めちゃってますしね。同じ轍を踏まないようにしていただきたいものです。
ともあれ、完結編はどんな形になるんですかね。
TVアニメになるのか、劇場版になるのか。原作準拠の展開なのか、オリジナルなのか。
どのような形であれ、しっかりと見届けさせていただきます。
おわりに
まだまだ書き足りないですが、こんなもんにしときます。
最終回をなかなか見れなかったというのと、チマチマと書いては消してを繰り返していたら、すっかり遅くなってしまいました。
原作ファンとしてはとても素晴らしいものだったと思うんですが、それ以外の人にとってはどうなんですかね…?もしかすると主人公があまり戦わないしちょっと展開が地味目だしで、あまり良く思われないかもしれません。
でも出来ればここで判断を下さずに、完結編まで見たうえで最終的な評価をしてほしい、というのが僕の願いです。まだ完結編がどうなるかわかりませんが、本作を見る限り、トライガンのイズムみたいなものをしっかりと描ききってくれると信じているので。
…だから早く見せてくれー。
EDテーマ - Salyu×haruka nakamura 「星のクズα」
ということで、TVアニメ『TRIGUN STAMPEDE』の感想でした。
ではまた。