GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『BLUE GIANT』感想(ネタバレ)

映画『BLUE GIANT』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

もくじ

 

概要

BLUE GIANT (ブルージャイアント)』は、2013年よりビッグコミックにて連載されている、ジャズを題材とした漫画。
作者は、『岳(がく) みんなの山』でも知られる、石塚真一氏。

世界一のジャズプレイヤーを目指す主人公が成長していく姿が描かれており、2016年からはヨーロッパを舞台にした第2部『BLUE GIANT SUPREME (ブルージャイアント シュプリーム)』が、2020年からはアメリカを舞台にした第3部『BLUE GIANT EXPLORER (ブルージャイアンエクスプローラー)』が連載中。

胸を熱くするストーリーや演奏シーンの圧倒的な表現力から、“音が聞こえてくる漫画”と呼ばれ、累計発行部数920万部を記録する、大人気の作品となっています。作品名を冠したコンピレーション・アルバムが発売されたり、超有名ジャズクラブであるブルーノート東京にてライブイベントが開催されたりと、現実のジャズシーンにも大きな影響を与えています。

 

僕は、この漫画が本当に大好きでして。

読み始めたきっかけは、最初の舞台が僕の地元である宮城県仙台市で、主人公が毎日練習していた広瀬川の河川敷は、僕が以前住んでいた家のすぐ近くだったことでした。なので自然と主人公に感情移入出来て、彼らの織り成す熱い物語にすぐに引き込まれました。それから、上記の通り僕もこの漫画から音が聞こえてきたクチであり、圧巻の演奏シーンには何度も泣かされました。現在連載中の漫画の中で一番好き、と言ってもいいくらいに、オススメの作品です。

 

そんな『BLUE GIANT』がアニメ映画として映像化されたのが、本作となります。

読者の脳内で鳴り響いていた音が、実際に吹き込まれることとなったわけです。それもただの音ではありません。詳しくは後述しますが、超一流のジャズプレイヤーたちが奏でる、“本物の音”です。

 

監督を務めるのは、アニメ制作会社マッドハウス出身の、立川譲
2018年の『名探偵コナン ゼロの執行人』のほか、今年4月に公開される最新作『名探偵コナン 黒鉄の魚影』でも監督を務めています。

脚本を書いているのは、漫画でも原作・原案を務める、NUMBER 8
これは作者である石塚さんの担当編集者の別名義なんだとか。作者と編集者、二人三脚で執筆しているということですね。

 

3人の主要キャラクターの声を担当するのは、豪華俳優陣。

主人公のサックス奏者を演じるのは、山田裕貴
海賊戦隊ゴーカイジャー』のゴーカイブルー役でデビューし、その後も『HIGH & LOW』シリーズや実写版『東京リベンジャーズ』などに出演する、大人気俳優です。どーでもいいですが、僕は彼と誕生日一緒です(無駄に誇らしげに)

主人公のバンド仲間となるピアノ奏者を演じるのは、間宮祥太朗
TV、映画、舞台と幅広く活躍しており、見ない日は無いというくらいの大人気俳優ですね。バラエティ番組でもしっかり爪痕を残している印象があり、器用なんだなーと思っています。

主人公の幼馴染であるドラム奏者を演じるのは、岡山天音
高い演技力から数々の映画やドラマなどに出演している、これまた大人気俳優です。個人的に、2014年のドラマ『家族狩り』での衝撃的な最期が印象に残っています。

そのほか、木下紗華乃村健次木内秀信東地宏樹といった、豪華な声優陣が脇を固めています。

 

そしてなんといっても、本作の音楽。

まず、映画音楽および、劇中で演奏されるオリジナル楽曲の作曲、さらにキャラのピアノ演奏を担当するのが、日本のジャスシーンのトップランナーであり、世界的ジャズピアニストの、上原ひろみ。ジャズに疎い僕でも知っている、超有名人です。

サックス演奏を担当するのは、バンドJ-Spuadのメンバーとして報道ステーションのテーマ曲を手掛け、ドリカムなどとも共演経験のある、馬場智章

ドラム演奏を担当するのは、millennium paradeくるりのサポートメンバーのほか、数々のPVや映画の音楽などを担当している、石若駿

こうした世界的にも有名なジャズプレーヤーたちが音楽を担当しており、相当なこだわりが窺えます。

 

なので、出来るだけ良い音響設備の映画館で見ることを強くオススメします。僕はTOHOシネマズ新宿のDOLBY ATMOS上映にて鑑賞しましたが、大迫力のサウンドが感動をもう一段階底上げしてくれているように思いました。

FIRST NOTE

FIRST NOTE

  • provided courtesy of iTunes

さて、熱量が高くてすっかり前置きが長くなってしまいましたが、そろそろ感想に移らせていただきます。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

仙台出身の宮本大(声:山田裕貴)は、世界一のジャズプレイヤーになることを夢見て、雨の日も風の日も、大雪の日もテナーサックスを吹き続けました。

高校卒業を機に上京した大は、東京の大学に通う幼馴染の玉田俊二(声:岡山天音)の家に転がり込みます。

大の演奏に圧倒された凄腕ピアニスト、沢辺雪祈(声:間宮祥太朗)と、大に感化されてドラムを始めた玉田と共に、3人はバンド“JASS”を結成。

彼らの目標は、日本最高のジャズクラブ、So Blueのライブに10代で出演すること。それは「階段を100段飛ばしするようなもの」「高校球児がメジャーリーガーに勝つようなもの」であり、限りなく不可能に近いことでした。

しかし、彼らの熱意が、全力で挑む姿勢が、次第に奇跡を起こしていく――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

最高でした。それ以外にないです。

鑑賞中、ほぼずっと泣いていました。そしてクライマックスでは、余りの感動に体がガクガクと震えだしました。そんなんなったの初めてなので、自分でもビックリです。

 

本作は無印の仙台編~東京編までを描いていますが、序盤の仙台編はごっそりカットされ、開始数分でもう上京します。

兄ちゃんが初任給全額はたいて一番いいサックスをプレゼントするとことか、仙台編も号泣ポイント盛りだくさんでめちゃくちゃ面白いので、映像で見てみたかった気持ちはあります。また、大が努力してきた過程をすっ飛ばしてしまうと、雪祈を泣かせるほどの演奏技術を持っていることに、原作未読の人は若干の説得力不足を感じてしまいそうだなぁと。ですが、最も映像化すべきはやはりJASSの話であり、そこにフォーカスを絞ることで彼ら3人の物語がより際立っていたので、個人的にはとても良い判断だと思いました。

尺の都合もありどうしても省かれてしまうところがあって、駆け足気味に感じるところもあります。ですが、要所要所は押さえていたかなと思うし、かえって疾走感のようなものを生み出しているようにも思えたので、あまり不満は感じませんでした。

 

本作で最も重要な要素である音楽ですが、これがもうあまりにも素晴らしすぎました。

僕の頭の中でイメージしていた音が、そのイメージ以上のパワーでもって耳から聞こえてくるので、演奏シーンは毎回鳥肌が止まらなかったです。僕はジャズには全く詳しくないですが、なんとなく音から感情まで伝わってくるような気がして、これは漫画を読んでいるときには得られなかった感覚なので、更に感動出来ました。

あと、玉田のドラムが最初はちゃんとヘタクソで、その後どんどん上達していく様がちゃんと表現されていて、演奏の演技力?(正確な言い方かはよくわからん)が本当に秀逸だと思いました。

 

それから、この作品の良いところは何といってもその熱い物語ですが、映画でもその熱さはしっかりと表現されていました。

JASSの3人は、決して才能豊かな人物というわけではないんですよね。そんな彼らが、目標に向かってひたむきに努力していく姿が、胸を熱くさせるわけです。また、玉田が他の2人との実力差を痛感してしまうところとか、雪祈がボロッカスに言われてへこむところとか、“持たざる者”である彼らが、時に挫折を経験したりしながらも前に進んでいくところが、僕がこの作品を好きな理由なんです。その辺は映画でもちゃんと描かれていたので、違和感なく物語に没入することが出来ました。

 

そうして毎日を全身全霊で突き進んでいくことで、少しずつ周りからの支持を獲得していき、遂に彼らは目標であるSo Blueへの出演を実現させます。

しかし、ここでそう上手くいかないのがニクイところ。
雪祈が交通事故で重傷を負ってしまい、出演は絶望的に。メンバーのひとりが出演出来ず、代わりもいないとなれば普通はライブは中止となりそうなもんですが、大と玉田は2人だけで出演することを決断します。それを許してくれる平さんの熱さとかもまた泣けるんだこれが。

普段からあまりネガティブな感情を表に出さない大ですが、病院にいる雪祈から解散を告げられた時に、この映画で初めて涙を流すんですよね。原作ではそれ以前にも何度か大が泣くシーンはあった気がしますが、映画ではここまで取っておくことで、感動をさらに増幅させていました。

WE WILL

WE WILL

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ライブで演奏する『WE WILL』はもうね…
2人の演奏から伝わってくる悲しさと、それでも前に進み続けるという強い思いに、涙がちょちょぎれるほどに泣いてしまいました。これまで実力不足からソロをやらせてもらえなかった玉田の、満を持してのドラムソロがまた本当に良かった。

ただ、映像化するうえで仕方ないとはいえ、演出面はちょっと過剰なところがあったので、視覚よりも聴覚の方に意識を集中させて鑑賞するといいかもしれません。(僕がそうしたので)

 

で、最後の展開は、原作とは少々違ったものになっております。
詳しくは是非見ていただきたいところなので伏せますが、こっちもアリだなと思わせる、とても良いものでした。

 

おわりに

はい、こんなもんにしときます。
しっちゃかめっちゃかな文章になってしまい、申し訳ありません。好きな作品ほど上手いことまとめられないのはなんとも歯がゆい。

THE FIRST SLAM DUNK』から間を置かずにこんなにも素晴らしいアニメ映画が連続で公開されるというのは、とても喜ばしいことですね。あ、あとアニメ映画と言えば『かがみの孤城』もとても良いものでした。こちらもいずれ感想書きたいと思います。

ジャズに触れたことが無いという方でも間違いなく感動出来る作品になっていると思いますので、ぜひ多くの方々に見てほしいです。

僕もサントラ絶対買おう。

BLUE GIANT

BLUE GIANT

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ということで、映画『BLUE GIANT』の感想でした。

ではまた。