GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『ソー:ラブ&サンダー』感想(ネタバレ)

映画『ソー:ラブ&サンダー』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2023/01/06:少々追記と、目次を付けました。

マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

本作は、アベンジャーズの初期メンバーであるソーを主役とした作品であり、単独主演作品としては4作目となります。これまでMCUの単独作は3作までしか作られてきませんでしたが、遂に記録更新となりました。
ちなみに、これまでの日本語版タイトルは『マイティ・ソー~』でしたが、今回は原題に倣う形で『ソー』だけの表記になっています。まぁこれは原題に合わせるというよりかは、今回のマイティ・ソーはジェーンであって、主役はあくまでも“ソー”の方ですよってことで、このタイトルになっているんだと思います。

 

もくじ

 

ソーというキャラクターについて

ソーは、北欧神話の“雷神”トールをモデルとするキャラクター。
フルネームはソー・オーディンソンで、年齢は1500歳以上。神の国アスガルドの国王オーディンとその妻フリッガを両親に持つ、アスガルドの第1王子です。

その戦闘力はアスガルド最強と謳われるほどで、身体能力は人間の比ではなく、並の攻撃では傷ひとつ付けることが出来ない強靭な肉体と、ハルクに匹敵するほどの腕力を持っています。更に、武器とする神秘のハンマー、ムジョルニアから凄まじい威力の雷撃を放つことが出来るなど、マーベルヒーローの中でも屈指の実力を持つキャラとなっています。

性格は、始めはその強さに胡坐をかいていて、自信過剰で傲慢な、考えるより先に手が出る脳筋タイプでした。しかし、地球人との交流や数々の戦いを経て、王に足る存在でいようと、性格もどんどん丸くなっていきました。現在は、自由に生きたいと王位から退き、自分探しをしている最中で、性格も豪快さ(アホさとも言う)を取り戻してきています。作品を重ねるごとに、悩んだり落ち込んだりといった繊細な部分も描かれるようになり、どんどんキャラクターとしての魅力が上がっていっているように思います。

 

これまでの活躍

簡単に、MCUにおけるこれまでのソーの遍歴を書いていきたいと思います。

  • マイティ・ソー』2011年
    オーディンにより地球に追放され、ムジョルニアを持ち上げることが出来なくなってしまったソー。しかし、出会った地球人と交流を深め、特に天文物理学者のジェーン・フォスターとは互いに惹かれ合うほどの仲に。なんやかんやあって反省したソーは再びムジョルニアに認められ、雷神としての威厳と精神を取り戻すのでした。

  • アベンジャーズ』2012年
    弟である“悪戯の神”ロキを捕えるため、再び地球へやってきたソー。そこで出会ったアイアンマンキャプテン・アメリカたちと、時折ケンカしながらも共にアベンジャーズの一員として戦い、ロキ率いるチタウリ軍をボッコボコにしました。

  • マイティ・ソー/ダーク・ワールド』2013年
    偶然にも体内にエーテル(=インフィニティ・ストーンのひとつであるリアリティ・ストーン)を吸収してしまったジェーン。エーテルを狙って、ダークエルフマレキスが攻めてきます。母フリッガが殺害されたりしつつも、投獄されていたロキと共にマレキスを撃退します。

  • アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』2015年
    トニー(アイアンマン)が開発していた人工知能ウルトロンが突如暴走、人類に反旗を翻します。ソーは、裸で水浴びをしていたら何かを閃き(非常に語弊のある文章)、雷撃で人口生命体ヴィジョンを起動させ、甚大な被害を出しながらもどうにかウルトロンを撃破するのでした。

  • マイティ・ソー バトルロイヤル』2017年
    オーディン亡き後、ソーの姉である“死の女神”ヘラによってムジョルニアは破壊され、右目も失います。雷の力も失われたかと思われましたが、自身の内にある雷神の力を呼び覚まし、ハンマーがなくとも自在に雷を操れるようになります。ラグナロクによってアスガルドは崩壊してしまうも、ソーは生き残った民を避難船に乗せ脱出。地球へと向かいます。

  • アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』2018年
    民と共に地球へと向かう道中、サノスの軍勢からの襲撃に遭います。ソー、ロキ、ハルクの3人をもってしても強敵サノスには及ばず、ロキはソーをかばって殺害され、生き残ったアスガルドの民も大多数が犠牲に。サノスに対抗するため、ソーはムジョルニアに代わる新たな武器、ストームブレイカを作り上げます。しかし、善戦虚しく、サノスは全てのインフィニティ・ストーンを手に入れ、指パッチンことデシメーションを発動。全生命体の半分が消滅し、完全敗北を喫します。

  • アベンジャーズ/エンドゲーム』2019年
    サノスに勝ち逃げされ、自身の無力を痛感したソーは絶望して引きこもり、すっかりメタボ体型に。しかし、“タイム泥棒作戦”にて2013年のアスガルドへ向かい、母と再会。全てを察していた母より叱咤激励され、再び戦うことを決意します。戦いが終わった後は、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと共に宇宙へと旅に出ました。

とまぁ、遍歴はこんな感じです。

 

当初のソーはなんというか、キャラとしては大人気だけど、作品としては不人気、という感じでした。個人的にも、MCU作品で順位をつけるとしたら一番下に来るのが『ダーク・ワールド』だったりするので、その評価も頷けてしまうといいますか。だってなんかお話的にも画的にもずっと暗くて、面白みに欠けるというか、厨二感がすごかったという印象しか無いんですもん。

しかし、『バトルロイヤル』では作風をガラリと変え、コメディ色を強くし、明るいテイストに。ソーの葛藤や悩みを描くなどしてキャラクターに深みを増したのもあって、これまでとは一転、高評価を獲得しました。あと『バトルロイヤル』は、大人の事情で単独作が作れないハルクの物語としても非常に重要な作品となっているので、その辺も高評価の一因になっているように思います。

あとはやはり、『エンドゲーム』でのソーの姿は衝撃でしたね。自分の無力に絶望し、引きこもって毎日酒飲んでゲームするだけ、体はすっかりなまって見る影もなく…という、非常に人間らしい姿が描かれました。この辺りでようやくソーのキャラクターが確立したような気がします。そして戦意を取り戻してからも、神様パワーで雷ドーンしたら元のマッチョボディに…とはならず、最後までメタボのままだったのもとても良かったです。

 

本作概要

そんなこんなで、物語は本作へと至ります。

前作『バトルロイヤル』に引き続き、本作の監督を務めるのは、タイカ・ワイティティ
監督業のほか、俳優としても数多くの作品で活躍しており、前作及び本作でも、コーグという岩男役で出演しています。2019年の『ジョジョ・ラビット』では監督・脚本・主演を務め、アカデミー賞6部門にノミネート、脚色賞を受賞するなど、才能の塊のような人物です。

ソーを演じるのは、おなじみクリス・ヘムズワース
ソー役で一躍スターダムへと躍り出たのち、その誰もが羨む端正なルックスとマッスルなボディを活かし、主にアクション映画などで活躍。リブート版『ゴーストバスターズ』ではコメディアンとしての一面を開花させ、それが今のソーのキャラクターにも活かされています。

新生マイティ・ソーこと、ソーの元カノ、ジェーン・フォスターを演じるのは、ナタリー・ポートマン
映画『レオン』にて鮮烈なデビューを果たし、『スター・ウォーズ』エピソード1~3、通称プリクエルトリロジーにて、パドメ・アミダラ王女を演じました。また、2010年の『ブラック・スワン』では、狂気に染まっていく主人公を見事に演じ、アカデミー主演女優賞を獲得するなど、世界でもトップクラスの実力を持つ俳優さんです。

頼れる仲間、ヴァルキリーを演じるのは、テッサ・トンプソン
全然見てないのでよくわかりませんが、アメリカのTVドラマへの出演が結構多いみたいです。
そーいや2019年の『メン・イン・ブラック インターナショナル』でも、クリヘムとバディを組んでましたね。

本作のヴィラン(敵役)、ゴアを演じるのは、クリスチャン・ベール
ダークナイト』3部作にてブルース・ウェインバットマンを演じた彼が、今度はヴィラン側を演じることになりました。2004年の映画『マシニスト』では、役作りのために30キロ減量して撮影に臨み、撮影終了後は『バットマン ビギンズ』のためにまた半年で30キロ増量するなど、とにかく役作りが半端ないと言われている俳優さんです。

そのほか、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーや、様々な俳優が出演しております。

 

てな感じで、そろそろ感想を書いていきたいと思います。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

かつては信心深かったものの、信仰していた神に裏切られ、娘を亡くしたゴア(演:クリスチャン・ベール)。
彼は、暗黒の剣ネクロソードを手に、“神殺し(ゴッド・ブッチャー)”となって、神々への復讐を開始します。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと共に宇宙を旅していた“雷神”ソー(演:クリス・ヘムズワース)は、ゴアの次の狙いがアスガルドである事を知り、ガーディアンズ達と別れ、地球にあるニュー・アスガルドへと向かいます。かつて共に戦ったヴァルキリー(演:テッサ・トンプソン)が統治するその地にも、ゴアが操る影のモンスターが迫っていました。そこへ、砕け散ったはずのムジョルニアを操る、謎の女性が現れます。その正体はなんと、ソーの元恋人、ジェーン・フォスター(演:ナタリー・ポートマン)だったのでした――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

本作も前作同様、笑いあり、涙ありの、非常に愉快な作品となっています。
今回も80年代辺りのロックナンバーを多数使用し、新しくも懐かしいような、それでいてハイテンションな作風となっており、とても楽しかったです。『トップガン マーヴェリック』の歴史的大ヒットといい、ハリウッドでの80年代ブームはまだまだ続きそうですね。

 

キャラの魅力マシマシのソー

ソーは本当にいいキャラクターになりましたね。
まず序盤の、ガーディアンズとのやり取りからして最高でした。本人としては「神様っぽくてカッコいい」と思ってやってることが、周りからしたらただただ空気読めなくてウザいヤツになっていて、ずっとドン引きされてるのがめちゃくちゃ面白かったです。別れの時も、元はと言えば強引に船に乗り込んだくせして「この船をお前らにやるよ。年代物だけど、悪くないだろ」とか言っちゃうとことか「ホントそういうとこだぞ」って感じだし、誰ひとりとして別れを惜しんでないとことかも、みんなにウザがられてたんだろうな…というのが伝わってきて、見てるこっちは楽しくて仕方なかったです。
ガーディアンズの各メンバーに関しては、本作ではあくまでゲストって感じで序盤だけの出演だったし、今後『ホリデースペシャル』や『Vol.3』が公開されたときのために取っときたいので、ここでは割愛。

本作のソーはメタボ体型から鍛えなおして過去最高レベルのボディになっており、中盤で衣服を全部消し飛ばされるとことか、こっちまで「フヮーオ♪」と言いたくなるような見事なマッスルを披露してくれます。大変眼福でございました。あと、ストームブレイカーとの掛け合い?というか、ムジョルニアに嫉妬してヘソを曲げるストームブレイカーに、「アイツとはもう終わってるって…今はお前一筋だからさ」みたいな、元カノに嫉妬する今カノをなだめるようなシーンがちょくちょく挟まれて、それがいちいち面白かったです。

 

ハイテンションキャラに変貌、ジェーン

久々の登場となるジェーンは、ステージ4の末期ガンを患っていることが明かされます。
原作に疎い僕にとっては結構な衝撃だったんですが、原作のジェーンもそういうキャラらしいですね。友人のダーシー・ルイス(演:カット・デニングス)が励ましてくれたり、エリック・セルヴィグ博士(演:ステラン・スカルスガルド)が懸命に治療法を探してくれてたり、過去に登場したキャラをちゃんと出してくれるところも好印象でした。

ムジョルニアに「健康な肉体に戻す力」があるというのも、破綻の無い設定で良かったと思います。てかこれも原作にあるらしいですしね。あくまでも「ムジョルニアを持っている間だけ健康な体になる」のであって、「戦うことで急激に体力を消耗し、病の進行が早くなる」というのも、現実味があって良かったです。原作では「ムジョルニアを持っている間は病の進行が止まる」という設定らしいので、真逆にアレンジされたという事ですね。ジェーンを今後も登場させるのもアレですし、クライマックスの展開にも繋がってくるので、良いアレンジではないかと思います。

マイティ・ソー状態のジェーンは、若干ハイテンションキャラになっており、本作の作風ともマッチしていてとても楽しかったです。知能指数も下がっているような気がしましたが、それもムジョルニアの効果なのか…?戦うときも、砕けたムジョルニアの破片を飛ばして攻撃するなど、個性的ですごくカッコよかったです。

 

最高にイカスぜ、ヴァルキリー

ヴァルキリーは、前作の時も超カッコよくて最高でしたが、本作では更にその魅力を増しており、ホント惚れ惚れするようなカッコよさでした。
彼女は元々バイセクシャルのキャラクターでしたが、以前はそれを匂わすようなシーンはカットされていたらしいです。しかし本作では、「彼女(ジェーン)の事狙ってるのか?」といったセリフがあったり、女性の恋人がいたことをほのめかしていたり、ゼウスの取り巻きの女性の手にキスをしたりと、そういった描写が増えていて、それが彼女の魅力を底上げしていたように思いました。もともと女性戦士で構成された“ヴァルキリー部隊”のメンバーだったわけですし、女性に惹かれるというのも何らおかしくはないですよね。

ちなみに、演じるテッサ・トンプソン自身も、バイセクシャルである事を公言しているらしいです。

 

『エンドゲーム』の時はさびれた漁港みたいだったニュー・アスガルドも、子供が増えていたり、空飛ぶ船が頻繁に行き来していたり、観光ツアーが組まれていたりと、発展している様子がしっかり描写されていました。ヴァルキリー自らシャンプー?香水?のCMに出演していたりするのも、がんばって町をPRしているのが伝わってきてすごく良かったです。

このアスガルドの子供たちが全編にわたって物語に絡んでくることになり、特にヘイムダルの息子のアクセル(演:キーロン・L・ダイヤ―)は、今後も活躍していってくれそう。父の跡を継いでくれたりしたらアツいですね。

余談ですが、序盤でアスガルドを題材にした演劇をやっている場面があり、前回に引き続きソーを演じる役者にクリヘムの兄ルーク・ヘムズワース、ロキを演じる役者にマット・デイモン、追加キャストとしてヘラを演じる役者にメリッサ・マッカーシー(来年公開予定の実写版『リトルマーメイド』でアースラを演じるらしい)がカメオ出演しています。なんという豪華キャストの無駄遣いwって感じで爆笑しました。

 

俳優力を痛感、ゴア

ヴィランであるゴアも、元から悪いヤツじゃないという、多面性のあるキャラになっていました。超絶陽キャのソーに対し、超絶陰キャのゴア、という対比になっていたのも面白いなーと。

チャンベー(って略してんの僕だけ?)の演技も、流石としか言いようのない見事な怪演っぷりでした。てか、ネクロソード持ってる時のゴアは言われなきゃチャンベーだと気付かないレベルの変貌ぶり。やはりスゴイ俳優さんだなぁ、と。

 

ゴッド・オブ・ゴッズ、ゼウス

中盤では、神々が集うオムニポテンスシティにて、ギリシア神話最高神であるゼウス(演:ラッセル・クロウ)が登場。それほど出番は多くありませんでしたが、ものすごい存在感を放っていました。まぁ、演じてるのがあのラッセル・クロウですしね…。

本作のゼウスは不遜な神様の典型みたいなキャラで、神としての強大な力を弱き人々を護るために使おうとするソーと、私利私欲の為だけに使おうとするゼウス、とここでも対比になっていて良かったです。

 

ここで改めて気づくのが、ソー自身は、「オレは王様なんてガラじゃないし、自由に生きたい」と思っているようですが、一切の迷いなく人々を助けるために行動したり、幽閉された子供たちを懸命に励ましたりと、実は誰よりも王様にふさわしい存在になってるんですよね。全く、ニクいヤツだぜ。(空気は読めないけどw)

成り行きでゼウスからサンダーボルトとかいう武器を奪い、ヴァルキリーが使ったり、ストームブレイカーを使えない状態のソーが使ったりします。あの武器はやっぱり、ムジョルニアやストームブレイカーよりも強力だったりするんですかね。取り回しよさそうっていうのと、2つに分かれて双剣みたいになるくらいしかメリットがなさそうでしたが、今後隠された能力とか明かされたりするのかな。

 

そのほか、雑多に

キャラ以外の部分で印象的だったところを少々。

後半の“色の無い星”での戦いは、フィルムノワールのような白黒映像が不気味さを演出していたほか、雷撃で照らされた箇所だけぼんやり色づいてるところとか、芸コマだなーと思いました。個人的に今イチオシの漫画『カラーレス』を彷彿とさせて、すごく好みな演出でした。

あとはやはり、ラストの展開。

遂に辿り着いた“永久の門(エタニティ)”は、ウユニ塩湖のような、ゲーム『MOTHER』のマジカント王国のような、幻想的で美しい空間でした(ここでマジカント王国を連想するのは僕くらいだろうな…)。このエタニティが場所そのものを指すのか、願いをひとつだけ叶えてくれる神龍的な存在の事を指すのかはよくわからん。

エタニティで叶えたいゴアの願い。それは、「全ての神々を消す」こと…ではなく、ソーに見透かされたその奥にある真の願いは、「ただひとりの娘を甦らせる」ことでした。冒頭で「娘をお救い下さい」と神に祈っていた、そこへ立ち返るという円環構造…。最期は甦った娘、ラブをソーに託し、息を引き取るゴア。泣ける、泣けるでぇ…。

てか、ゴアの娘、ラブ(演:インディア・ローズ・ヘムズワース)がめっちゃかわいい!…と思ったらこの子、クリヘムの娘さんだったのね。て事はラストシーンとか、ただのホームムービーやないか…。

そーいや、冒頭に出てきた幼少期のソーを演じたのも、クリヘムの息子であるサーシャ・ヘムズワーストリスタン・ヘムズワースらしいですね。クリヘム、なんかウィル・スミスみたいになってきたな…。

 

ジェーンは、結局病には勝てず、神様としてその生涯を終えます。
エタニティに「ジェーンの病を治してくれ」と願うような展開にならなくて、個人的には良かったと思っています。最初に辿り着いた者(=ゴア)のみに願いをかなえる権利があったわけで、そのゴアが娘よりもジェーンを選ぶとはちょっと考えづらいですしね。それに、「正義は必ず勝つ」じゃないですけど、スーパーヒーローだからって特別扱いするのは違うというか、時代にそぐわないような気がしますし。

ところで、実はMCUにおけるソーの物語は、一貫して“喪失”を描いているんですよね。
1作目は王の資格を失い、2作目では母を失い、3作目では右眼と父と祖国、そしてムジョルニアを失い、本作では最愛の女性を失う…といった感じで、何気にどんどんつらい境遇になっているという。しかし、ソーのキャラのおかげで、全く悲壮感が無いというのが本当にすごい。僕もソーくらい前向きに生きられたらどんなにいいことか…。

 

ミッドクレジットシーンは、ちゃっかり生きていたゼウスが、ソーへの報復のために息子のヘラクレス(演:ブレッド・ゴールドスタイン)を差し向ける、というもの。ヘラクレスは…まんま『300(スリーハンドレッド)』みたいでしたね…。正直あまり魅力を感じなかった…。次に出てくるときには衣装とか色々変わっててくれるとありがたいかも。

ポストクレジットでは、勇敢に戦った末に死を迎えた神のみが辿り着くと言われるヴァルハラにて目を覚ましたジェーンが、『インフィニティ・ウォー』にてサノスに殺害されたヘイムダル(演:イドリス・エルバ)に迎えられたのち、「ソーは帰ってくる」の文字が出てきて、映画は終了。おぉっ、まだ続いてくれるのか!と嬉しくなりました。

 

おわりに

はい、こんな感じです。

始めの方でも書いてますが、笑って泣けて楽しめる、非常に満足度の高い作品になっていると思いました。上映時間も120分弱くらいなので、最近のMCU作品の中では見やすい方かと(120分が普通の人にとって果たして“見やすい”のかどうか既にわからなくなっている節がある…)

魅力的なキャラ、ほどよく時流に乗ったストーリーなど、MCUの良いところが詰まった作品でもあると思うので、MCU作品を見たことがない人も気軽に見れるのではないかと!

という事で、映画『ソー:ラブ&サンダー』の感想でした。

ではまた。