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ゴルゴムのしわざか!

映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』感想(ネタバレ)

映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

2025年のマーベル映画は豊作。『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』、『サンダーボルツ*』に続く3作目が、本作ファンタスティック4:ファースト・ステップです。

アメコミ史上初となるヒーローチーム、ファンタスティック・フォーを原作とした、アクション大作となっています。

 

もくじ

 

ファンタスティック・フォーとは

彼らの初登場は、1961年刊行のコミックから。

それ以前のコミックでは、ヒーローはそれぞれ個別に活動しているものでした。対して、始めからチームアップして活動しているヒーローとして初めて登場したのが、ファンタスティック・フォーです。未知の宇宙線を浴びたことにより身体に変化が生じ、様々な能力を獲得した4人の活躍が描かれています。

ヒーローものでありながら「家族の物語」を大きく打ち出したこの作品は読者に親近感を与え、高い人気を獲得。このヒットを機に、スパイダーマンやアイアンマンなどの大人気ヒーローが続々登場してきたことから、現在のマーベル・コミックの礎を築いたと言われるほどの作品です。

 

各々の特徴・能力は以下の通り。

  • リード・リチャーズMr.ファンタスティック
    天才的な科学者であり、冷静沈着なチームのリーダー。身体がゴムのように自在に伸び縮みする能力を持っている。ゴムゴムの実とか言ってはいけない

  • スー・ストームインビジブル・ウーマン
    チームの紅一点で、リードの妻。自身や触れたものを透明化出来るほか、フォース・フィールドという特殊な力場を発生させて、攻撃や防御に使用することが出来る。

  • ジョニー・ストームヒューマン・トーチ
    スーの弟。全身から炎を発生させることができ、体を炎で包んで高速で空を飛ぶことが出来る。無類の女好きという一面も。

  • ベン・グリムザ・シング
    リード、スーとは学生時代からの親友で、優秀なパイロット。岩のように頑丈な体と、ハルクに匹敵するほどの怪力の持ち主。

 

映像化の歴史

ファンタスティック・フォーは、これまでも何度か映像化されています。ネットで大人気の『宇宙忍者ゴームズ』などのアニメ作品は抜きにして、ここでは実写作品のみ言及させていただきます。

  • ザ・ファンタスティック・フォー』1994年
    こんなのあったのか、全然知らなかった…と思ったら、劇場未公開、ビデオ未発売のほぼ世に出ていない作品だそうで。コレに出ていた俳優陣が本作にカメオ出演しているらしいですが、誰かわからんのでどこに出てたとかもさっぱりわからん。

  • ファンタスティック・フォー[超能力ユニット]』2005年
    今は亡き20世紀フォックスが製作したシリーズ。僕はこのシリーズかなり好き。ジェシカ・アルバ演じるスーが思いっきりお色気要因なのは、時代を感じさせます。

  • ファンタスティック・フォー:銀河の危機』2007年
    2005年版の続編。シルバーサーファーがカッコよかった思い出。あと原作者のスタン・リーが、リードとスーの結婚式のシーンにカメオ出演していたのが強烈に印象に残っています。

  • ファンタスティック・フォー』2015年
    これまでの作品とは繋がりのないリブート版。コレは正直、酷かったですね…。なんか終始暗くて面白味が無いし、オリジンをタラタラやって話が全然進まない。最終的に、映画が始まらないまま終わった、という感じ。続編を匂わせる前に、ちゃんとした作品を作ってくれよ…。
    コレが面白ければデップーのように続編的立ち位置でMCU入り出来たかもしれませんが、この出来ではそうなるはずもなく、再リブートという形に。

  • ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』2022年
    ここからはMCUでの登場作品について。
    この作品では、別次元のヒーローチーム、イルミナティのメンバーとして、ジョン・クラシンスキーが演じるリードが登場しています。しかし、ワンダに舐めた口をきいたことで瞬殺され、いいとこなしで即退場してしまいました。

  • デッドプール&ウルヴァリン』2024年
    次元の墓場、虚無空間(ヴォイド)にて、2005,2007年版のクリス・エヴァンス演じるジョニーが登場。クリエヴァMCUではキャプテン・アメリカ役でおなじみの俳優であるため、劇中においても観客にとっても大きなサプライズでした。

 

概要

そんなこんなで、本作。
本作はこれまでの実写版とは全く関係のない、再リブート作品となります。

 

本作の特徴は、なんといってもその世界観。

“神聖時間軸”だの“アース616”だの言われてもワケわからんと思いますので割愛しますが、これまで描かれてきた世界とは別の次元=マルチバースを舞台としているため、ほかのMCUヒーローとの繋がりは全くありません。冒頭に出てくるマーベルスタジオのロゴも、マルチバースだからなのか特別仕様になっていて、まんまとテンション上がりました。また、時代も1960年代をモチーフとしているそうで、レトロ・フューチャー感が溢れる、新しくもどこかノスタルジーを感じさせる世界観を楽しむことが出来ます。

さらに、世界の命運を握る壮大な戦いが描かれているのとは対照的に、原作同様、核にあるのが「家族の物語」であるという点も特徴的。家族や身近な人物への愛情が重要な要素となっており、ヒーロー作品でありながら非常に親近感を感じさせる物語となっています。

 

監督を務めるのは、元子役という経歴を持つ、マット・シャックマン
MCU初のドラマシリーズ、『ワンダヴィジョン』の製作総指揮を務めたことでも知られています。

脚本は、トム・クルーズ主演の『宇宙戦争』や『猿の惑星』最新作などの脚本も務めたジョシュ・フリードマンと、『ゴジラvsコング』や『トランスフォーマーONE』のほか数々のMCU作品でも脚本を書いている、エリック・ピアソン

 

キャストはいつも通り超豪華。

超人気シリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』、スター・ウォーズのスピンオフ『マンダロリアン』、人気ゲームを実写化した『THE LAST OF US』など、ドラマを中心に数々の話題作で主演を務めている、ペドロ・パスカル

Netflixのドラマ『ザ・クラウン』で英国アカデミー賞を受賞し、その後は『ワイルド・スピード』や『ミッション:インポッシブル』などの人気シリーズに出演している、ヴァネッサ・カービー

Netflixのドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』への出演で知られ、『クワイエット・プレイス:DAY1』や『グラディエーター』など話題作への出演が続く、ジョセフ・クイン

MARVELのNetflixシリーズ『パニッシャー』にも出演しており、『一流シェフのファミリーレストラン』ではエミー賞助演男優賞を受賞した、エボン・モス=バクラック

これら俳優陣が、メインキャストを務めています。

 

予告編


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あらすじ

アベンジャーズらのいる世界とは異なる時間軸の世界。

未知の宇宙線を浴びたことで特殊な能力を獲得したヒーローチーム、ファンタスティック4は、この世界で唯一のヒーローとして、世界を守っていました。

チームリーダーのリード・リチャーズMr.ファンタスティック(演:ペドロ・パスカル)とスー・ストームインビジブル・ウーマン(演:ヴァネッサ・カービー)との間に新たな命が誕生するというニュースは、瞬く間に世界中に知れ渡ります。スーの弟ジョニー・ストームヒューマン・トーチ(演:ジョセフ・クイン)と、2人の親友ベン・グリムザ・シング(演:エボン・モス=バクラック)も、すっかり歓迎ムード。

そんな時、銀河の彼方より謎の存在、シルバー・サーファー(演:ジュリア・ガーナー)が現れ、「ギャラクタスにこの星は喰われ、滅亡する」と告げられます。突如訪れた世界の終焉を防ぐため、リードたちは“世界を喰らうもの”ギャラクタス(演:ラルフ・アイネソン)のもとへ向かい、地球を滅ぼさないよう説得を試みます。

しかし、滅亡を回避する条件として提示されたのは、「産まれてくるスーの子供を差し出す」こと。彼らは世界の命運と家族の命という、究極の選択を迫られることに――。

というのがあらすじ。

 

感想

素直に、とても面白かったです。

最近のMCU作品は感想を書くときに、「僕は好きだけど~」とか「面白かったけど~」とか、含みのある言い方ばかりになっていましたが、今回は率直に「面白かった!」と言える作品になっていると思いました。

 

満を持してのMCU登場

上で書いている通り、ファンタスティック・フォー(以降F4)は何度も映像化されているほどの大人気ヒーローチームであるため、当然MCUへの登場も熱望されてきました。ただ、版権の問題などがあり、なかなか実現には至らず。しかし、2019年にディズニーが21世紀フォックスを買収したことで版権が整理され、ついにMCU入りが実現しました。
余談ですが、「21世紀フォックス」というエンタメ会社があって、その中の映画製作スタジオが「20世紀フォックス映画(現:20世紀スタジオ)」なんですね。ややこし知りませんでした。

ちなみに、デップーやX-MENも、同様の理由でMCU入りしています。スパイディはソニーが版権を持っており、「期間限定レンタル」という形でのMCU入りなので、ちょっと事情が違います。

 

そうした大人の事情もあり、ようやくMCUへ登場したF4。

しかしそうなると、「F4ほどのヒーローチームを今更新参者として出すのか?」「古参だとしたら、今までMCUに出てこなかったことをどう説明するのか?」といった、メンドクサイオタクたちの疑問がどうしても出てきてしまいます。

それらの疑問を、製作陣はMCUで現在展開中の“マルチバース”を利用する形で、半ば強引に解決してみせました。「彼らはマルチバースの住民だから、アベンジャーズたちとはこれまで無関係だったんだよ」ということですね。うまいっちゃうまいけど、であればもうちょい早く登場させられなかったのか…?と思ってしまう。いろいろ大変だったのかもしれませんが、観客側はそんなこと知ったこっちゃないですからね。

 

そういえば、これまでのMCUはメインの時間軸からマルチバースへ行く、もしくはメインの時間軸にマルチバースが干渉してくる、というパターンだったと思いますが、今回は完全にマルチバースが舞台なんですよね。時間軸の外が主な舞台だった『ロキ』や『デップー3』のような作品はありましたが、最初から最後まで別の時間軸が舞台なのは、もしかしてF4が初めてかも?

正直、今思うとマルチバースが舞台でも良かったんじゃ?と思う過去作品いっぱいありますけどね。『シャン・チー』とか、『ムーンナイト』とか、『シー・ハルク』とか、他のキャラとの関わりがほとんどない作品とか特に。

 

余計なことをしていない

先日公開されたDCUの『スーパーマン』と同様、本作でもF4のオリジンに関しては、TV番組のオープニングという形でダイジェストでサラッと終わります。あちらよりは長かったですが、そこまで長過ぎない、いい塩梅だったかと。TV番組という見せ方もオシャレで良かったです。

それと、F4は既に活動開始して4年経っているという設定なので、メンバーそれぞれがしっかり成熟しており、未熟さからくる余計な諍いや苦悩などがなかったのも、個人的には良かったと思います。そういうのがあった方が、キャラの成長が垣間見れて物語として面白くなる、という意見もよくわかるんですけどね。これはこれで良かった、というのが僕の感想。

 

ストーリー的にも、無駄のない良くまとまったものだったと思います。

面白味がない、と言ってしまえばそれまでなんですが、そもそも複雑なストーリーや、国際問題やら人種問題やらをヒーローものに求める必要はないわけで。ヒーローがカッコいいアクションで市民を助け、悪者を懲らしめてくれればそれでいいんです。そういう意味では、本作はしっかりとそれに応えてくれたのではないかと思います。「こういうのでいいんだよこういうので」と、僕の中の五郎さんもニッコリです。

まぁ、妊婦を宇宙へ連れて行くのとか、いくら出産予定まで日があるからとはいえ、船の中になんの設備も用意してないのは流石にどうなんだ、というのはちょっと気になりましたけど。

 

F4はみんないい人

頭でっかちで常識はずれなところがありつつも、誠実で正直なリード。正直すぎるあまりに要らんこと言っちゃうところも、愛嬌があって面白かったです。

最も大人で、実質チームリーダーなスー。そういやサーファーに「この星の守護者はお前たちか?」と聞かれたときに、「そうよ」と返事したのもスーでしたね。家族のこととなると、声を荒げたり情に訴えたり火事場の馬鹿力を発揮したりと、とにかくすごかった。

軽口叩きで女好きな面は控えめになり、「気になる人の本当の気持ちを理解しようとし、その思いに寄り添える男」という感じに成長していたジョニー。シルバーサーファーを説得する場面は鳥肌ものでした。

「気は優しくて力持ち」をそのまま形にしたようなベン。みんなの気持ちを汲んで、意見は尊重しつつ、優しくアドバイスする彼は、まさにチームの大黒柱として機能していました。

こんな感じで、各キャラに嫌なところがほぼない、というのも、とても良いと思いました。リードは不必要なほど正直すぎて若干ストレスでしたし、スーの情に訴えるスピーチは「いやそんなん言われても誰も聞く耳持たんやろ」と思っちゃいましたし、ジョニーやベンは「面白味がない」と言われればそれまでだし、思うところがないわけではないんですけども。それでも、総じて好きになれるくらいにはみんな良いキャラだったと思います。

 

なんか、公開前に俳優陣の失言や政治的な発言がどうのこうのとかありましたが、ぼくはそういうのあまり興味がなくて。ジョナサン・メジャースの暴力事件とか、エズラ・ミラーの奇行とか、目に余るものは流石に反応しちゃいますが、基本的には「作品が面白ければ良し」なスタンスです。おかげで僕は、変なフィルターとかかけずに素直にキャラクターに感情移入することが出来ました。

最近そういうのやたら気にする人が増えたような気がしていて、「別にどうでもいいやんそんなこと」と過剰に逆張りしているところもあるかもしれません。いやでも、わざわざ自分から作品を楽しめなくする必要なくないですか?悪いところばかり探す批評家みたいなことはしたくないんですよね。せっかくなら最大限作品を楽しみたい。だから僕はずっと、減点方式ではなく加点方式で映画を見るようにしています。(そういう見方しか出来ない、ともいう。)

 

これからどうなるヴィランたち

いきなりオチから言ってしまいますが、最後はギャラクタスを時空の彼方へ追いやることで、地球を救ってみせました。

「いや倒さないんかい」という声が聞こえてきそうですが、僕はなんとなく、トンチでドルマムゥを追い返した『ドクター・ストレンジ』1作目を彷彿とさせて、ニヤリとしてしまいました。アレ好きなんですよね、終わらない無間地獄に誘い込んで「もういいって!わかったから!」ってやるあのオチ。「どうやっても倒せない相手を知略(とスーの根性)で追い返す」という本作のラストも、それに似たものを感じて、なんかすごく良かったです。

 

それにしても、今回のヴィランは今後どうなるんですかね。

特にシルバーサーファーは、最後にギャラクタスに反旗を翻して一緒に時空の彼方へ飛んでいきましたが、今後味方として登場したりするんでしょうか。でもあの銀色の体やサーフボードはギャラクタスから与えられたものっぽいし、それを取り上げられたら生きていられなさそうで、ちょっと心配。

ギャラクタスはまぁ…どうでもいいかな(笑)

 

どのようにアッセンブルするのか

ポストクレジットにて、次のアベンジャーズに繋がるであろう“あのキャラクター”がチラッと登場しました。

このキャラはF4と同じ時間軸にいるのか?だとしたらその正体は?リードとスーの息子、フランクリンに隠された秘密とは?『サンダーボルツ*』のポスクレでF4がチラッと出てきましたが、彼らはどのようにしてアベンジャーズのいる時間軸へ行くことになるのか?

この辺がカギになってきそうで、非常に楽しみです。

これまでに登場してきたヒーローたちが一堂に会する超大作、『アベンジャーズドゥームズデイ』は、来年末に公開予定。それまでは、僕も何としてでも生き延びねばなるまい。

 

…って、次のMCU映画はアベンジャーズだとばかり思っていましたが、スパイディ4作目、『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』がその前に公開予定らしいですね。最近の評価の低迷を受けて、大人気のスパイディで盛り返したろ!って感じで早めに公開することにしたのかな。楽しみだけど、公開を急ぐあまり作品のクオリティがおざなりに…ってのだけはやめて欲しいところ。

 

おわりに

最後に、お手伝いロボットのハービー(H.E.R.B.I.E.)が可愛すぎた、ということだけ付け加えて、以上になります。

MCU全盛期とまではいかずとも、フェーズ2あたりの作品を見ているときのような、そんな印象。良くも悪くも「奇をてらっていない」というか、「実直に作られている」というか、そんな感じです。…って伝わりますかね。少なくとも、2015年版より遥かに面白いのは間違いないかと(小声)。

MCU入門、ひいてはヒーロー映画入門としてもちょうどいい作品だと思いますので、夏休みのお供に、鑑賞してみてはいかがでしょうか。無限のお城で鬼退治もいいけど、コッチも楽しいですよ。

ということで、映画『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』の感想でした。

ではまた。

映画『スーパーマン(2025)』感想(ネタバレ)

映画『スーパーマン(2025)』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

DCコミックを原作とした実写映画のシネマティック・ユニバース、それが『DCユニバース(DCU)』。

低迷し続けていた『DC・エクステンデッド・ユニバース(DCEU)』より仕切り直しが図られ、新たなユニバースとして生まれ変わりました。まぁ、一部は残留したり別の世界観として継続したり、まだ尾を引いているようですけど。未練がましいというかなんというか…。

 

賛否両論(否多め)だったDCEUですが、個人的には好きな作品いっぱいあったし、打ち切り漫画みたいな終わり方でもったいないなぁという思いが強かったり。まぁ、それ以上にDCUへの期待感も高いですけどね。

DCEU作品はいくつか感想を書いておりますので、良かったら併せてお読みいただけますと嬉しいです。

DCEU カテゴリーの記事一覧 - GORGOM NO SHIWAZAKA

あ、『ブルービートル』見るの忘れてた…。これだから劇場スルーは困る…。

 

そんなこんなで、紆余曲折ありつつも新生したDCUの劇場作品第1弾が、本作スーパーマン

これまで幾度となく映画化されてきた元祖スーパーヒーロー、スーパーマンを主役とし、彼の新たな活躍を描いたリブート作になっています。

 

もくじ

 

スーパーマンとは

スーパーマンを知らない人はいないと思いますが、一応。

 

1938年刊行のコミックで初登場した世界で最初のヒーロー、それがスーパーマンです。

「空を見ろ!鳥だ!飛行機だ!いや、スーパーマンだ!!」

のキャッチフレーズはあまりにも有名。

 

太陽光をエネルギー源とし、ビルを軽々と持ち上げる怪力、銃弾を受けても傷ひとつ付かない耐久力、ジェット機より速い飛行能力などなど、強そうな能力は大体持っています。目から熱光線を出したり、吐く息で竜巻を起こしたりといった実用的な能力や、スーパー催眠術やスーパー数学といったトンチキ能力まで、もはやヤケクソのように強さが盛られ続けているのが面白い。

そのエポックメイキングな存在は当然、後年のコミック、映画、アニメに多大な影響を与えています。『ドラゴンボール』の孫悟空とか、ほぼまんま同じ出自ですし。スーパーマンがいなければ、日本の漫画文化もこれほど発展しなかったと言っても過言ではないんじゃないでしょうか。

 

本作でもそうした設定はほぼそのまま活かされていますが、彼が地球に来た経緯やスーパーマンとして活動を始める経緯などはバッサリカットされ、最初に字幕でサラッと語られるだけとなっています。映画が始まった時点で既にスーパーマンとして市民に認知されているし、ロイスとは恋人同士だし、ルーサーとは敵対しています。

「いちいち描き直さなくてもみんな知ってるよね?」という制作側の思いを感じますし、何より細かい設定なんて知らなくても十二分に楽しめる作品になっているので、全く問題ない、むしろ正解だと思いました。

 

概要

DCEUでヘンリー・カヴィルが演じたスーパーマンは、さながら全知全能の“神”のように描かれていましたが、今回のスーパーマンは感情的になったりそれによってピンチに陥ったりと、非常に“人間”らしく描かれているのが特徴。それによって親近感が湧き、応援したくなる魅力を生み出しています。まぁ、僕は強すぎて恐怖すら感じるカヴィルマンも大好きですけどね。

 

本作にて監督・脚本を務めるのは、ジェームズ・ガン

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズや『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』などの監督として知られ、現在はDCスタジオの代表としてDCUを総括する立場となっています。そんなガン監督が手掛ける本作は、今後のDCUの方向性を決める非常に重要な作品であると言えます。

 

今回スーパーマンを演じるのは、Netflix配信のドラマ『ザ・ポリティシャン』などに出演した、デイビッド・コレンスウェット
ヒーロースーツを着る際には肉襦袢を下に着用して体を大きく見せるのがお約束ですが、デイビッドはそれをせず、過酷なトレーニングによって筋肉を大幅に増強し、その鍛え上げた己の肉体のみであの見事なバルクを実現しています。『ブラックアダム』のドウェイン兄貴と同じですね。兄貴は映画のために鍛えたわけではなく、普段から鍛えてますけど。

そのほか、AmazonPrimeVideo配信のドラマ『マーベラス・ミセス・メイゼル』で主演を務めたレイチェル・ブロズナハン、『X-MEN』シリーズや『マッドマックス 怒りのデス・ロード』などに出演しているニコラス・ホルト、ガン監督作品常連のネイサン・フィリオン、『トワイライト』シリーズなどに出演したエディ・ガテギ、『マダム・ウェブ』にて3人娘のひとりを演じたイザベラ・メルセドといった俳優陣が出演しています。

 

予告編


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あらすじ

アメリカ・メトロポリス(※架空の都市)

この街でデイリー・プラネット新聞社の記者として働く、クラーク・ケント(演:デイビッド・コレンスウェット)。その正体は、人々を守る最強のヒーロー、スーパーマン

しかし、中東の小国、ボラビア共和国の内紛に介入したことで、国際問題に発展。スーパーマンは自身の力の使い方を問われることに。また、新聞社の同僚であり恋人であるロイス・レイン(演:レイチェル・ブロズナハン)とも、その件で喧嘩になってしまいます。

さらに、スーパーマンを毛嫌いしている大富豪、レックス・ルーサー(演:ニコラス・ホルト)も、この機に乗じて彼を社会的、精神的に追い詰めてきて――。

というのがあらすじ。

 

感想

これが見たかった…。

まさに、僕が見たかったものが詰まった作品でした。

 

等身大のスーパーマン

まず、あのスーパーマンが負けるところから始まるのが衝撃的で。開始数分で、いきなりググっと心を掴まれてしまいました。

これまで描かれてきた、「完全無欠・絶対無敵のスーパーマン」ではないと、冒頭からいきなり宣言しているわけです。これが非常に面白いと思いました。DCUにおけるスーパーマン、ひいては彼をはじめとする全てのヒーローは、決して“人間を超越した存在”ではないんだと。映画を見ている皆さんと同じように、彼らも“ひとりの人間”なんだよと。そういう制作側の思いが伝わってきました。超然としたヒーロー像も素敵ですが、こちらの方がより今風な感じがします。

その後も、怒ったり迷ったり悩んだりするけれど、それは全て彼の根底にある、市井の人々だけでなくイヌやネコ、さらにリスまでも救おうとする“優しさ”によるもの。その優しさは、地球の父ちゃん母ちゃんが愛情たっぷりに育ててくれた賜物なのがまた泣ける。彼自身も知らなかった出生の秘密が明かされ、存在意義を問われることになっても、「どう生まれたか、どう生きてきたかじゃない。これからどう生きるかが大事」という父ちゃんの言葉は非常に普遍的で、だからこそ心に響きました。すぐ泣く地球の父ちゃんと一緒に、僕もボロボロ泣いてしまいました。

 

また、今回のスーパーマンは、結構苦戦することが多いのも特徴かなと。スーパーマンが弱くなったわけではなく、敵が強すぎるって感じなのがまたなんともうまい。コレ、今後やるかもしれないクロスオーバーの際にも活きてくるように思いました。

あまりにも強すぎると↑みたいになるし、チームアップする意義がわからなくなりそうなので、今回のスーパーマンは非常にいい塩梅なのではないかと思いました。

まぁ、クロスオーバーはまだやるのかわかりませんけどね。過去の失敗から、恐らく慎重になっていると思いますし。

 

スーパードッグ・クリプト

開始早々ボロボロのスーパーマンに呼ばれて参上するのが、スーパードッグ・クリプト。とある人物より預かっている犬で、スーパーマンに匹敵する身体能力や飛行能力などを持っています。

 

このクリプトがね、もうね、かわいすぎるって!!

しつけはなってないし、本来の飼い主ではないスーパーマンに完全になついてはいないけれど、ちゃんとやることはやってくれるとってもいい子。途中ちょっと酷い目に遭ったりして胸が痛かったですが、最初から最後まで大活躍してくれて、犬好きとしては嬉しい限り。

コミックなどではラブラドール系の大型犬として描かれることが多かったクリプトですが、本作ではテリア系の小型~中型くらいの長毛の犬種になっています。ガン監督の飼っている愛犬がモデルになっているそうで、原作ファンからは賛否の声が上がっているんだとか。僕はかわいけりゃ万事OK!朝起きたらお腹の上で尻尾フリフリしながら上目遣いで見つめてくるとか、反則級のかわいさ!ボコボコにされる勢いでじゃれつかれても、家中を破壊されても、このかわいさの前では全部許しちゃう。

 

意外にも、実写映画でクリプトが登場するのは本作が初なんだそうで。2022年のCGアニメ映画『DC がんばれ!スーパーペット』では主役だったので、てっきり前々から出てるものだと思っていました。(クリストファー・リーヴ版とかも見てはいるんですが、細かいところは覚えてない…。)スーパーマン映画の歴史に、また新たな1ページが刻まれたわけですね。

 

ヒーローチーム、ジャスティス・ギャング

と、このままではクリプトのかわいさだけ書いて感想終わっちゃいそうなので、この辺にしといて。

雇われヒーローチーム、ジャスティス・ギャング(JG)も最高にいいキャラたちでした。

  • ガイ・ガードナーグリーン・ランタン(演:ネイサン・フィリオン)
    宇宙の治安を守る自警団的な組織、グリーン・ランタン・コァのメンバー。指にはめたパワー・リングから発せられる緑色の光は、彼がイメージした通りの実体になる。要は何でも作り出せる能力の持ち主。JGの名称は彼の考案で、ほかのメンバーは反対してたり。

  • Mr.テリフィック(演:エディ・ガテギ)
    天才的な科学者であり、発明家であり、アスリート。JGの実質的なリーダー。様々機能を持つ金属球・Tスフィア、移動用ビークルTクラフトなどを駆使して戦う。メカニック担当っぽいけど、バリバリ前線に出るし、戦うとめちゃくちゃ強い。

  • ホークガール(演:イザベラ・メルセド)
    特殊な金属・エヌスメタルで出来た翼で空を飛び、同じ金属製のメイスで敵をなぎ倒すパワーファイター。コミックでは、『ブラックアダム』に登場したホークマンと同様、古代エジプトの王族が転生した存在であり、彼とはどんなに転生を繰り返しても結ばれる運命にあるらしいけど、DCUでもその設定なのかはまだ未知数。

これらのメンバーで構成されたチームで、映画でもスーパーマンに対抗心を燃やしたり共闘したり、存在感を発揮してくれています。

 

彼らのちょっとやさぐれてるというか、ドライというか、ヒーローなのにちょっとヒーローらしからぬ感じが、非常にガン監督作品らしいキャラに仕上がっていて、とっても良かったです。みんな最高でしたが、個人的にはホークガールが特にお気に入り。『マダム・ウェブ』でクールなキャラを演じてた子が、今度はワイルド系のキャラを演じてるのがすごい。そしてかわいい。

テリフィックはワンカット(風)で大量の軍人たちをノックアウトするシーンが見応え抜群でしたし、グリーン・ランタンはファ○クサインで軍隊を蹴散らすシーンが最高。

 

宿敵、レックス・ルーサー

今回ヴィラン(敵役)として立ちはだかるのは、コミックでも映画でもたびたび登場する宿敵、レックス・ルーサー

演じるニコラス・ホルトがまた、バッチリ役にハマっていました。多分、彼がスーパーマンと対立する理由って「自分より目立ってるのが許せない」みたいなめちゃくちゃ幼稚なもので、それが端々から見えてくるのがすごく良かったです。誰よりも頭がよく、誰よりも金持ってるのに、自分を悪く言うやつを牢獄に閉じ込めたり、大量のお猿さんを使ってスーパーマンの悪口をSNS等に書かせるネガティブキャンペーンをやってみたり、絶妙に小者感を演出していて素晴らしかったです。

 

最後の涙も、「負けた…」って感じではなく、「マジでムカつくわアイツ…」って感じだったのがとても良き。

 

ちょっと気になったところ

本作は良いところばかりで、清廉潔白で優等生的な作品に仕上がっていると思いました。ですがそれゆえに、ガン監督らしいブラックさがもう少し欲しい、と思ってしまったのも事実。

いやまぁ、スーパーマンでそれをやるのはどうなんだと自分でも思いますし、ちゃんとJGの面々でガン監督らしさを見せてくれたしで、不満というほどのものでもないんですけどね。これ以上やったら「こんなのスーパーマン映画じゃない!」ってなるだろうし、本作が絶妙なバランスを保つよう考え抜かれているであろうことはわかっています。要は無いものねだりですわ。

 

それと、最後にDCU次作『スーパーガール』で主演を務めるミリー・オールコックがチラッと出てきてテンション上がったんですが、それと同時に『ザ・フラッシュ』に登場したサッシャ・カジェ版のスーパーガールはもう見れないのかな…と寂しい気持ちになりました。

あのやさぐれスーパーガール、ホント好きだったんです。キートンバッツみたいに、どうにかこうにかまたあのスーパーガール出てきてくれないかなぁ。

 

おわりに

以上になります。

某鬼退治アニメの公開が始まる前に見てきたんですが、なかなか感想が書けませんでした。『ファンタスティック4』も鑑賞済みなので、なるべく早く感想書きたい、と思ってはいます。

 

ともあれ、本作はDCUの始まりにふさわしい、大変見応えのある作品でした。全てのヒーローの原点にして、頂点。その新たな物語を、ぜひ多くの人に見届けて欲しいです。

犬好きは必見!

ということで、映画『スーパーマン(2025)』の感想でした。

ではまた。

映画『JUNK WORLD』感想(ネタバレ)

映画『JUNK WORLD』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

監督・脚本・音楽・撮影・編集など、すべてをほぼひとりで担当し、約7年もの歳月をかけて完成されたストップモーション・アニメーション作品、『JUNK HEAD』。

インディーズ作品ながら世界の様々な映画祭で高く評価され、『シェイプ・オブ・ウォーター』などで知られるギレルモ・デル・トロ監督も絶賛したとかしないとか。
デル・トロさん日本好き過ぎるのか、割と何でもかんでも絶賛してて信憑性怪しくなってるのおもろいですよね(笑)

 

僕も大大大好きな映画で、布教のために感想を書いた現時点で唯一の作品です。

blacksun.hateblo.jp

そして、その待望の続編が、本作JUNK WORLD

全三部作構想の2作目となり、前作から1000年以上前の世界を描いた、前日譚となっています。

 

もくじ

 

概要

ストップモーション、中でもパペット・アニメーションに分類される本シリーズ。ミニチュアで制作されたセットの中で、発泡ゴムなどで作られた人形を動かしては撮影、またちょっと動かしては撮影、といった風に、大変労力のかかる手法で作られています。それをほぼひとりで、しかもほかの劇場公開作品と遜色ないクオリティで作ってるんですよ?ヤバくないですか?

ストップモーションについてよくご存じないという方は、以下リンクをご参照ください。
ストップモーション・アニメーション - Wikipedia

 

撮影で使われたセットや人形は、前作では全てハンドメイドで作られているそうですが、本作では3Dプリンターによる造形や、3DCGなども使用されているのが特徴。そのおかげで、前作を遥かに超える緻密で壮大な世界観を堪能することが出来ます。

また、主人公以外の人間キャラが一切登場しなかった前作に対し、本作ではモブを含め人間が多数登場するのも特徴。前日譚なので前作と物語的な繋がりは薄いですが、“生命の樹”など前作に繋がる要素も散りばめられており、ファンを喜ばせてくれます。

 

本作でも監督・脚本・絵コンテ・編集・撮影・音楽・人形制作など、ほぼ全てに携わっているお方が、堀貴秀
控えめに言ってバケモンですよね。

そのほか、主要なスタッフが5,6名、全て合わせても10数人ほどのごくごく少人数で、本作は制作されています。キャラクターの声を当てているのも、プロの声優さんではなく堀さんはじめスタッフさんたちが全てやっています。

前作がヒットして、さぞ予算やスタッフも増えてるんだろうなぁ…と思っていたのですが、どうやら予算・スタッフ共にほんの少し増えた程度だそうで。これほどの傑作がどうして…。とか言ってる僕も、クラファンの存在は知ってたのにすっかり忘れてて、何の貢献も出来なかった人間ですけど。次こそ、次こそは必ず。

 

予告編


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あらすじ

核戦争により地上が汚染され、荒廃した世界。
人類は生活圏を地下に求め始めました。

そして、地下開発のための労働力として、人工生命体マリガンを開発。しかし、人類と同等の高度な知能を持つマリガンは自我に目覚め、人類に反旗を翻し、戦争に。結果、人類は地上を、マリガンは地下を支配することとなりました。

それから、約280年後。

地下にて、謎のエネルギーを感知。新兵器の開発を疑う人類と、それを否定したいマリガンとで、合同調査が行われることに。人類からは女隊長トリスと、彼女の世話係のロボットロビンが、マリガンからは彼らのオリジナル(始祖)であるダンテが、調査に向かうこととなります。

エネルギーを感知した場所は、かつてマリガンたちの中心都市だった、カープバール。過去に発生した大事故により、現在はゴーストタウンと化しているはずのその場所で、一体何が起こっているのか――。

というのがあらすじ。

 

感想

全人類義務教育にすべき。

…いやスミマセン、それはさすがに言い過ぎか。割と下ネタはキツイし気持ち悪いクリーチャーがわんさか出てくるしで、人を選ぶ作品だとは思います。でも少なくとも、もっともっと評価されるべき作品であることは間違いないです。だからもっと公開劇場増やして!!

 

パワーアップした世界観

まず特筆すべきは、唯一無二の世界観。

退廃的で薄暗く、スチームパンクディストピアな雰囲気の漂う美術類は、もう本当に素晴らしいとしか言いようがない。そんな世界で生きているキャラクターたちは、エイリアンやデル・トロ作品を思わせるような異形でグロテスクな見た目をしているヤツらばかりなのですが、どこかユーモラスで可愛らしく、魅力に溢れています。実写ともアニメとも異なる、独特な温かみを感じさせるストップモーションで作られているがゆえに、気持ち悪さがマイルドになっている部分は大いにあるかと。

 

そんなJUNKなワールドが、本作ではさらに進化・深化していました。

概要でも書いてますが、本作から3Dプリンターなども導入しているだけあって、特にメカや建物の造形が緻密でカッチリしたものになっていて、説得力がさらに増しています。キャラクター数も増えているので、画面がにぎやかで見ていて楽しい。

狭い通路の閉鎖的なシチュエーションが中心ながら、様々なクリーチャーやギミックを用意することで差別化を図っていた前作。それに対し、本作ではいかにもSFチックな建造物や、岩場、宗教施設、有機物のような何かに汚染された町、さらには異世界と、たくさんの舞台が用意されており、ロケーションにおいても大作映画と遜色ないクオリティに仕上がっています。この壮大な世界を堪能するだけでも、見応え抜群です。

 

余談ですが、肉肉しい何かに侵食されたカープバールの街並み、あれ発泡ウレタンで表現されているんですね。家を建てる際に隙間を埋めて気密性を高めるためによく使われている素材で、最近大工さんが家を建てる動画にハマっていてよく見ていたので、なんとなくシンパシーを感じてしまいました。まぁ、本編見ている間は全然気付かず、エンドロールのメイキング映像見てようやく気付いたんですけど。

 

字幕版(ゴニョゴニョ版)と吹替版

今回、シリーズおなじみの謎の言語で話しているのを字幕で日本語に翻訳した「ゴニョゴニョ版」と、みんな日本語で会話する「吹替版」が用意されています。僕はどちらも鑑賞しました。日本の作品なのに字幕版と吹替版があるのがなんともシュール。てか二度手間…。でもそれを敢えてやっちゃうのがまた面白い。しかも、わざわざ違う人が声当ててたりするのが芸コマ。

 

ゴニョゴニョ版はその名の通り、基本適当にゴニョゴニョ言ってるだけなのですが、ところどころ聞き馴染みのあるワードが出てくるのが、なんとも笑いを誘ってきます。この謎の言語が本シリーズの良さのひとつだと思っているので、絶対ゴニョゴニョ版の方が良いだろうな、と考えていたのですが、両方見てみるとなかなかどうして、吹替版も非常に良かったです。

プロの声優さんではないので、やはりどうしても演技力では劣るところがあり、吹替版だとそれがさらに顕著になっていました。ただこれ、最初こそ「ん?」と思ったものの、不思議とすぐに違和感を感じなくなりました。むしろそれが独特の味になっていて、作品とマッチしていてすごく良かったんですよね。ドラマや映画でも、棒読み気味なのにどこか味があって存在感のある役者さんっているじゃないですか。たぶんそんな感じなんだと思います。

とはいえ、やはり個人的には面白さがもうひとつプラスされるゴニョゴニョ版の方がオススメ。

 

ゴリゴリのハードSF

本作は、全4章構成となっています。

第1幕は割とシンプルなロードムービーで、トリス、ロビン、ダンテ、それとモース大使とそのお供テリアがカープバールに向かうまでの道中が描かれます。それとなく会話の中で用語や世界観の説明をしてくれるのがなんともうまい。ギュラ教の面々も、オネエ口調やSM風の衣装など、変態っぽい感じがキャラが立っていてすごく好き。ですが、なんだか御都合主義のような展開も多く、正直そこまで面白味を感じられずにいました。

 

しかし第2幕からは、マルチバースタイムリープタイムパラドックスが織り交じる、ゴリゴリのSF作品へと変貌します。御都合主義的だった理由も明かされ、一気に目が離せなくなるほど夢中になりました。一度下げてからぶち上げてくるとは、ニクいことしてくれるぜまったく。

ここで出てくるバステトちゃんがまたかわいくてね…。おてんば且つどこか抜けているところがあるお姫様ながら、ロビンを慕う気持ちから一生懸命がんばる彼女の健気な姿に、すっかり感情移入してしまいました。それ故に、彼女の最期には目頭が熱くなってしまったり。

 

第3幕は完全に悪ふざけパート。

タイムパラドックスにより元の次元が消滅し、主役はモース大使と腰巾着のテリアに。金根瘤のくだりはお下劣過ぎて爆笑でした。モザイクの位置わざわざずらすな(笑)

この2人がまぁークズ過ぎて清々しい。最後は簡単に騙されて、最悪のオチに。「お上は何も考えていない無能(に見える)」という、現代日本への皮肉とも取れる、のかもしれない、ような気もする。

 

そして、全てが集約する最終幕へ。

全てを思い出した子ロビンにより一切の無駄が省かれ、ギュラ教は襲撃前に撃墜、スムーズにゲートまで辿り着きます。バステトちゃんたちを死なせないために「一切関わらない」ルートを選んだ子ロビンの判断は、傑作『バタフライ・エフェクト』を思わせてグッときました。そーいや続編はクソらしいので見てないや。あと『ドニー・ダーコ』も同じパターンで続編見てない。あ、『スキャナーズ』も同じパターンだった。…ってどうでもいいですね。

 

最後にひとつ。

不満というほどのものでもないですが、前作の『人類繁盛』のような、キャッチーで中毒性抜群なエンディング曲があれば尚良かったかなと。まぁ、気合の入ったピロピロも拝めましたし、高望みしすぎかもしれないですね。


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物語は完結編へ

ラストにて、三部作の完結編、『JUNK END』の製作開始が発表されました。

『JUNK HEAD』が公開されたときは、「興行収入によっては続編作れるかも…」みたいな感じだったので、それと比べたらものすごい進歩ですよね。公開が何年先になるのかわかりませんが、それまでは僕も絶対に死ねないな。生きる理由がまたひとつ増えました。

 

しっかし、本作がこんなにも複雑なSF作品だとは思わなかったので、完結編がどうなるのか、ますます予想がつかなくなりました。1作目のようなドッタンバッタン珍道中になるのか、本作のようなハードSFになるのか、そのどちらとも異なるものになるのか、はたまた。

生命の樹となり、マリガンにクローン以外の繁殖能力を生み出したダンテ。ギュラ教残党に撃ち落され、生ける屍となったトリス。機能停止に陥り、朽ち果てたボディはパートンへ受け継がれることとなるロビン。これらのキャラが、パートンやニコちゃんとどのように邂逅し、どんな結末を迎えるのか。今から楽しみでなりません。

 

おわりに

以上になります。

このシリーズを映画館で見れる時代に生まれて本当に良かった。僕にとっては、そう思わせてくれるだけの作品でした。次のクラファンには絶対参加しようと思うし、グッズもいっぱい買って、今後も応援していきたいと思います。

これをお読みいただいた方も、1作目はアマプラやネトフリでも見れますので、もしまだ鑑賞していないようでしたら、騙されたと思って是非一度見てみて欲しいです。そしてあわよくば、一緒に沼民(=本シリーズのファン)になりましょう。

ということで、映画『JUNK WORLD』の感想でした。

ではまた。

Amazon.co.jp: JUNK HEAD(字幕版)を観る | Prime Video

Junk Head | Netflix

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』感想(ネタバレ)

映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2025/06/20 追記:ちょっと修正しました。

トム・クルーズ製作・主演のスパイアクション作品、『ミッション:インポッシブル』シリーズ。

シリーズ8作目となる最新作が、本作ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニングです。

前作『デッドレコニング』から続く前後編の後編であり、過去作の様々な要素が集約する、集大成的な作品になっています。

 

前作も感想書いてるので、良かったら併せてどうぞ。

blacksun.hateblo.jp

 

もくじ

 

概要

当初は、2022年に公開予定だった本作。

しかし、コロナ禍により撮影がままならず、度重なる延期を経て前作が2023年にようやく公開。後編である本作はそれほど間を空けず2024年に公開予定でしたが、今度は労働組合が起こしたストライキの影響により、撮影がストップ。さらにいろいろとトラブルもあったようで、今年ようやく公開となりました。まぁ、約4億ドル(=570億円以上)もの製作費がかかっているらしいとてつもない規模の作品ですし、何もトラブルが起きないわけはないですわな。無事に完成・公開してくれてなにより。

『デッドレコニング PART TWO』から『ファイナル・レコニング(最後の審判)』へタイトルが変更されたことからもわかる通り、本作はファイナル、つまりシリーズ最終章と言われています。そのため、過去の作品に登場したキャラが再登場したり、これまでうやむやになっていた伏線が回収されたりと(後付けともいう)、約30年続いた物語が終局へと向かっていくのが特徴となっています。

 

スタッフ・キャストは、大半が前作から続投。

監督・脚本は、クリストファー・マッカリ―。共同脚本に、エリック・ジェンドレセン

キャストは言わずと知れた世界的大スター、トム・クルーズをはじめ、ヘイリー・アトウェルヴィング・レイムスサイモン・ペッグイーサイ・モラレスポム・クレメンティエフらが出演。

 

余談:シリーズ全作品について

前作鑑賞時、5,6作目をちゃんと見た覚えがなくて。以前金ローでやってたのを流し見したような覚えはあるのですが、全然記憶に残っておらず。

で、本作上映を記念して4,5,6作目をまた金ローでやるってことで、いい機会なのでそれを見た…わけではなく、テレビでやってるのと同じタイミングで、サブスクで同じ作品の字幕版を見る、という謎のムーブをかましてました。どうしても字幕版で見たくて…。なんとなく、字幕の方がセリフのニュアンスとかストーリーが頭に入ってきやすいんですよね。僕だけかな。

とまぁ、そんなこんなでようやくシリーズ全てちゃんと見たので、超簡単に僕の個人的な好き嫌いを書いときます。

こんな感じです。

僕は基本的に加点方式で映画を見るので、あまり嫌いな作品ってないんですが、それでも『M:I-2』だけはちょっと苦手でした。あと『デッドレコニング』に関しては、前後編の前編ということで、これ単体ではどうしても評価が付けづらいところがあります。これだけ見ても十分に楽しめる作品であることは間違いないんですけどね。

 

予告編


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あらすじ

前作のあらすじ

ロシアの次世代型潜水艦に搭載されていた最新鋭のAIが、突如暴走。“それ=エンティティ”と呼ばれるそのAIは、全世界の金融や防衛などのデータに入り込み、人類の脅威となるほどに成長していました。

IMF(Impossivle Missions Force)エージェントのイーサン・ハント(演:トム・クルーズ)は、とある2本の“鍵”を入手せよとの指令を受けます。その鍵は、“エンティティ”を制御するために重要なアイテムでした。また、ミッションを進める中で、イーサンがIMFに入るきっかけを作った男、通称ガブリエル(演:イーサイ・モラレス)が“エンティティ”の手足として暗躍していることが判明。

大切な仲間のひとりである、元MI6のイルサ・ファウスト(演:レベッカ・ファーガソン)の死や、スリの達人であるグレース(演:ヘイリー・アトウェル)の加入などがありつつ、最終的に鍵は2本ともイーサンの手に。なんとかミッションを達成したイーサンですが、この鍵を誰にも使わせてはならないと、そのまま行方をくらますのでした。

 

本作のあらすじ

前作から2ヶ月後。

ずっと姿を消していたイーサンでしたが、元CIA長官で現アメリカ大統領、エリカ・スローン(演:アンジェラ・バセット)の呼びかけにより、再び“エンティティ”を止めるために動き出します。

“エンティティ”の目的は、全世界の核施設を乗っ取り、世界中にミサイルを落とし、自身が支配する世界に生まれ変わらせることでした。それを止めるには、海底に沈んだロシアの潜水艦から例の“鍵”を使用してソースコードを抜き出し、仲間のルーサー・スティッケル(演:ヴィング・レイムス)が作成したマルウェアポイズン・ピルをそこに流し込むほかない。しかし、潜水艦のもとへ辿り着くためには、国家規模の協力が必要不可欠でした。

世界の命運をかけた最後の戦い。その結末は――。

というのがあらすじ。

 

感想

シリーズ集大成、見届けさせていただきました。

 

1作目の公開が、1996年。

そこから約30年の時が経ち、トム・クルーズは既に還暦を過ぎています。

それなのに、どうしてあんなにハンサムなのか。どうしてあんなにマッチョなのか。どうしてあれだけのアクションが出来るのか。到底信じられません。人間やめてるんかな、と疑いたくもなります。

 

回を重ねるごとにアクションの無茶苦茶さが増していくことでおなじみのこのシリーズ。本作はそれが天元突破しており、常人であれば何回死んでるかわからないくらいにとんでもないです。てか実際劇中で1回死んでましたね。蘇生してもらってましたが。

ハラハラドキドキが絶え間なく押し寄せてくるので、ずっと「ヒィー(;´Д`)」って顔で鑑賞してたと思います多分。毎回思いますが、どうして五体満足なんですかねあの人。この辺も、「トム石仮面かぶった説」を裏付けるのに一役買っているとかいないとか(適当)。

トムは吸血鬼だった…?

「世界で最も高価な映画のひとつ」と言われるほどに多額の製作費がかかっているそうなので、当然スケールの大きさも天元突破しています。陸・海・空と世界中至るところへ飛び回っており、「変わり映えしなくて退屈」などという言葉が出てくる余地は一切ありません。

 

金かかってんな―と思う場面は何度もある、というか金かかってない場面なんて存在しないだろってくらいなんですが、まずは空母のシーン。

あれ、本物の空母をレンタルして撮影したそうです。そんなレンタカーみたいなこと出来るんか。空母から戦闘機が飛び立つところは、どうしても「トップガンかな?」という考えが頭をよぎってしまいました。『Danger Zone』が流れだしたらどうしようと思いましたが、さすがにそんなことはなかったです。そりゃそうだ。

Danger Zone

Danger Zone

  • provided courtesy of iTunes

空母から海へダイブするシーンも、トムがスタント無しで実際に飛び込んでいるらしいです。まるで合成かのようにピッタリとトムが画角に収まっていましたが、恐らくうまいこと撮れるまで何度も飛び込んだってことですよね…?あの高さからただ飛び込むってだけでもとんでもないことなのに。ヤバすぎる。

訂正:空母からじゃなくてオスプレイからのダイブでした。記憶が曖昧になってました。申し訳ないです。

そーいや前作のバイクで崖からダイブするシーンも、リハや本番で何度も飛んでるんですよね。もちろんトム本人が。いやー、ヤバすぎる。

 

潜水艦のシーンもすごかったですね。

あれ全部セット、なんだよね…?潜水艦丸ごと作ってるんか?という規模感。しかもそこに大量に水入れてますし、さらに水入れたまま回転してましたし、一体どれだけ金かければあんな画が撮れるのか、想像もつきません。

潜水艦のスクリューに巻きこまれそうになったり、深海でウェットスーツ脱いだり酸素ボンベ外したりしてましたが、恐ろしすぎて気を失いそうになりました。深海でスーツ脱いで水圧に耐えられるわけなくない?とか(そこまで深くはなかったんでしょうけど)、ボンベ無しで水面まで上がってこれるわけなくない?とか(上がってこれてない)、色々考えちゃいました。が、そこはトムですからね。何とかなっちゃうんですよね。だって石仮面かぶって以下略。

 

クライマックスの飛行機上でのアクションは、もうね、イカレてます(笑)

飛び回る小型飛行機の羽の上でアクションするとか、正気の沙汰とは思えないです。5作目でも離陸する輸送機にしがみついてましたが、今回はそれよりも遥かに狭い場所で、しかもただしがみついてるだけじゃなく、結構動き回ったり、ガッツリアクションしてましたからね。さらにそれを還暦過ぎた人がスタント無しでやってるという。何度でも言うけど、ヤバすぎる。やはりトムは吸血鬼以下略。

トムは吸血鬼というか、もはや究極の生命体(アルティミット・シィング)なのでは。

 

トムのヤバさについて言及するのはこれくらいにしておいて。

このシリーズは、まず「こういうアクションシーンを撮りたい」というところから決めて、それに合わせて脚本を執筆する、という変わった作り方をしているそうです。そのおかげか、ストーリーに関しては大味、言い換えれば行き当たりばったり、もといライブ感のあるものになっているのがひとつの特徴と言えます。

本作も同様の作り方で制作されているそうですが、確かに場当たり的なものを感じはするものの、「3作目で妻を救うためにイーサンが盗んだものが、実は“エンティティ”の原型だった」とか、「1作目で機密情報をイーサンに盗まれたキャラが再登場する」とか、過去作の要素をうまいことストーリーに落とし込んでいて、なかなか秀逸だなぁと思いました。少なくとも僕はニチアサで“ライブ感”というものには慣れているので、特にガバいとかは思わず。「イーサンは今回も出たとこ勝負で無茶苦茶やってんなぁ」と素直に楽しむことが出来ました。

 

とはいえ、不満が全くないわけではありません。

鑑賞前、「タイトルに『ファイナル』って付いてるし、もしかしてこれで最後なのかな。まさかルーサー死んだりしないよな…」なんて思っていましたが、ホントにそうなるとは思いませんでした。チューバッカを雑に殺した…と思ったら「やっぱ生きてました~☆」というやらかしを犯した、某EP9を彷彿とさせるというか。いや、アレと比べたら全然良かったですけどね。

あと、ガブリエルとイーサンの因縁って結局何だったの?「大事な人を殺された」っぽいことは語られていましたが、もうちょっと何かしら欲しかった、というのが正直なところ。回想でガブリエルに殺されてたあの人って、結局誰だったの?僕が覚えてないだけ?それから、本作のガブリエルがただのイーサン任せの狂人に成り下がってたのも、ちょっとモヤる。ってあれ、それは前作でもそうだったかも。

あとあと、4,5作目に登場したウィリアム・ブラント(演:ジェレミー・レナー)や、6,7作目に登場したアラナ・ミツソポリスホワイト・ウィドウ(演:ヴァネッサ・カービー)が本作に出てこなかったのも、ちょっと残念ポイント。

レナーは6作目の脚本を読んで自分が死ぬのが嫌で出演を辞退したらしいですが、ハンリー長官が殺されるとこ、あそこが本来レナー演じるブラントが死ぬシーンだったんでしょうね。長官、CIAからIMFに来て速攻殺された!?って思っちゃいましたもん。今回再登場しても良かったと思いますが、撮影期間はまだ怪我の療養中だったのかな。だとしたら仕方ない。

ヴァネッサ演じるアラナは登場予定で撮影もしていたそうですが、出演シーンはカットされてしまったんだとか。どこか愛嬌があってすごく良いキャラだったので、また見たかった。ただでさえ長い上映時間(約3時間)がさらに長くなっちゃうってことで、泣く泣くカットした、と信じたい。10~20分くらい長くなってもいいので、彼女の登場シーンを追加したバージョンとか上映してくれても、いいのよ…?

ガブリエルの手下だったパリス(演:ポム・クレメンティエフ)が、今回は仲間として再登場してくれたのはとっても嬉しかったです。マンティスちゃんの時も思ってたけど、やっぱりいい俳優さんですよね。鍛え抜かれた腹筋が美しいのなんの。

と、少々思うところはあるものの、全体的にはほぼ文句のつけようのない、よく出来た脚本だったと思います。さすがは『ユージュアル・サスペクツ』のクリストファー・マッカリ―と言うべきか。その豪腕で見事にまとめてみせた、という感じ。

 

あ、そういえば僕はいつも通りIMAXで鑑賞したのですが、本編開始前にトムの「この映画はIMAXで見るべき作品です。見てくれてありがとう。これからもよろしくね」といった内容のメッセージが流れていました。「映画は映画館で楽しむべきもの」を重視している、なんともトムらしいメッセージですよね。僕も本当にそう思います。なるべく大きな画面、良質な音響で鑑賞するのが、本作を最大限に楽しむ方法ではないかと。ちょっと高くついてしまいますが、それだけの価値があると思います。

 

おわりに

そんな感じで、以上になります。

今のところこれが最後と言われていますが、どうなんですかね。トムは完全にプロデュースにまわって、ベンジー主体でチーム全体としての活躍を描く原点回帰的なスピンオフとかあってもいいかもしれません。

気になっている人は、絶対に映画館で見た方がいいです。まだまだ上映している劇場はありますので、シリーズ集大成を、ぜひ映画館で楽しんでください。

ということで、映画『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』の感想でした。

ではまた。

映画『サブスタンス』感想(ネタバレ)

映画『サブスタンス』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

「あの頃に戻りたい」

「私も昔は若くてピチピチ(死語)でキレイだったのに」

年齢を重ねてくると、誰しもがそんな風に考えるものですよね。健康診断で毎回何かしら引っかかるたびに、僕もそんなことを考えてしまいます。

 

そんな「全盛期の自分」を、もう一度取り戻せるとしたら…?

本作サブスタンスは、そうした願望に憑りつかれた女性の姿が、非常に生々しくグロテスクに描かれた、ホラー作品です。

 

もくじ

 

概要

加齢により落ち目となったひとりの女優が、“美”に妄執するさまを描いた本作。

身体が得体の知れないものに変容していく“ボディホラー”というジャンルは、現在ヨーロッパを中心にトレンドになっているらしいです。知らんけど。そうしたトレンドの最先端ともいえる本作は、カンヌ国際映画祭脚本賞ゴールデングローブ賞主演女優賞、アカデミー賞メイクアップ&スタイリング賞といった、数々の映画賞を獲得しています。

 

監督・脚本は、2017年の『REVENGE リベンジ』で注目を集めたフランス出身の女性監督、コラリー・ファルジャ

キャストは、『ゴースト/ニューヨークの幻』で一躍スターとなった名優デミ・ムーア、ネトフリ版『デスノート』への出演やドラマ『メイドの手帖』の主演などで知られる新進気鋭の俳優マーガレット・クアリー、『僕のワンダフル・ライフ』など様々な映画に出演しているデニス・クエイドなど。

 

なお、本作はR指定作品(R15+)であり、キツめのグロ描写がありますので、苦手な方は覚悟のうえでご鑑賞ください。

後述しますが、僕は痛い目見ました…。

 

予告編


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あらすじ

元トップ女優、エリザベス・スパークル(演:デミ・ムーア)。

かつてはオスカーなど数々の賞を獲得してきた彼女も寄る年波には勝てず、長年レギュラーを務めてきたフィットネス番組を降板になるなど、落ち目を迎えていました。

そんなある日、「より若く、美しく、完璧なもうひとりの自分を作り出す」という薬物、“サブスタンス”の存在を知ったエリザベスは、藁にも縋る思いでそれを注文。指示通りに活性剤を注射するとみるみるうちに細胞分裂が始まり、もうひとりの自分、スー(演:マーガレット・クアリー)が誕生します。

完璧な美貌とエリザベスの培ってきた経験を併せ持つスーは、瞬く間にスターダムを駆け上がっていきます。かつての栄光を取り戻した彼女は、年老いた自分に戻りたくないと、次第に用法・用量を守らない使い方を始め――。

というのがあらすじ。

 

感想

いろんな意味で、やられました。

 

感想の前に、ひとつ小噺をば。

鑑賞前に時間があったので、喫茶店でコーヒーを飲んでから映画館へ向かったんです。いつも直前にトイレに行って万全の態勢を整えており、今回も例に漏れずしっかりトイレで出すもの出してやれ爽快な状態でシアターに入った…

はずだったんですけども。

HOT LIMIT (feat. Heartsdales)

HOT LIMIT (feat. Heartsdales)

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コーヒーの利尿作用のせいか、本編開始前の予告編の時点でちょっと怪しくなってきまして。

おかしい…ついさっきしたばっかなのに…。念のためもう一回行っといたほうがいいか…?いや、これくらいであれば最後までもつだろう。経験上、映画に没頭してれば意識しなくなるはず。

 

そんな風に考えていた時期が、僕にもありました。

うん、ダメでした。

中盤くらいからは、「今のうちに行っとかないとヤバいかも…」と「でも少しでも見逃すと後悔しそうだし…」のせめぎ合い。それでもどうにか耐えていたんですが、終盤はもう、展開のあまりのおどろおどろしさと襲い来る激しい尿意が合わさって、吐きそうになってきてしまいまして。このままでは上から下から色々出てしまう危険があったので、生まれて初めて、途中リタイアをしてしまいました。ちょうど「2回目を打った」あたりです。

 

ぐぬぬ…悔しい……なんたる不覚…。

アバター』でも『エンドゲーム』でもこんなことにはならなかったのに…。※どちらも約3時間

次に見に行くであろう『ミッション:インポッシブル』も3時間くらいあるみたいだけど、大丈夫かな…。

 

いやー、カフェインの力を甘く見ちゃダメですね。でも家だとデカフェ(カフェインを除去したヤツ)を飲んでるんですが、それでもトイレ近くなるんだよなぁ。刷り込み的なもんなんですかね。

↓ちなみに今飲んでるのはコレ。イマイチなのでリピートはしないと思う。

ということで、「ちょっとでも怪しいと感じたら本編始まる前にトイレ行っといた方がいいよ」という、実にくだらないお話でした。

 

余談はさておき、改めて映画の感想をば。

 

結局、後日もう一度見に行きまして。

僕はグロとかホラーとか苦手な方で、『SAW』シリーズとか、見たいけど怖くて尻込みしてる作品が結構あったりします。本作もまさにそういう映画なんですが、「もうこれ以上見たくない…」とはならず、不思議と「最後までちゃんと見たい!」という気になったんですよね。バチバチにキマッた映像や中毒性のある音楽など、引き込まれる要素が多かったからだと思います。

2回見たので、ウチには活性剤が2つあります。これで僕もモンストロに…

鑑賞前に念入りに絞り出したおかげで、2回目は最後まで作品に集中することが出来ました。リベンジ成功やったぜ。

また、フィットネス番組のシーンでは、良くも悪くも昔ながらの淡々とした感じだったエリザベスに対し(スーと比較してものすごく貧相に見える、という意味での良い)、スーのは映像や音楽が今風で華やかになっているだけでなく、横にいる人たちの年齢層も下がっているほか、女性だけでなく男性(半裸)も加わっている、といった、2回目で気付く新しい発見があったのも良かったです。

↓多分劇中で使われてる楽曲。脳が溶けるほどの中毒性。

Pump It Up (Mixed)

Pump It Up (Mixed)

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「性的搾取」「男社会」「ルッキズムやエイジズム」といった、今でも根付いている社会問題を過剰なまでに強調して描くことで、痛烈に皮肉っている本作。

スマホとか出てるし時代設定は現代なのでしょうが、なんか価値観がすごく前時代的だと思いました。プロデューサーの男の言動とか、今なら即刻セクハラパワハラで訴えられるでしょうし、そもそも「人気者になりたい!」から「エアロビ番組に出たい!」とは今の時代誰も考えないんじゃないですかね。知らんけど。

敢えて古臭い価値観の残るファンタジーハリウッド的な世界にすることで、上記のような社会問題をどストレートに描いても違和感を感じにくくしてる、とかなのかな。だとすれば、少なくとも僕にとっては効果抜群でした。僕はスムーズに世界観に入り込めたので。

 

エリザベスが“若さ”や“美しさ”に固執するのは、そうした環境やプロデューサーをはじめとした周りの人間のせい、というのは大いにあると思います。

だって、エリザベスは50歳としては相当キレイじゃないですか。薬に頼る必要なんてこれっぽっちもないはずなんです。ついでに言うと、演じるデミ・ムーアは還暦超えてるんですね。それであの美貌は、ちょっと到底信じられないレベル。それでも彼女を突き動かしたのは、ルッキズムやエイジズムに支配された芸能界、そして彼女自身の承認欲求のせいなんでしょう。

エリザベスが常に着ている黄色いコート。あれも、ゆったりめのサイズ感で体型を誤魔化したい、今の自分を覆い隠したいという思いと、派手目な色合いからはそれでも少しでも目立ちたいという虚栄心が現れていると思いました。

 

そうした彼女の願望を完璧に叶えてくれる薬、“サブスタンス”。

てっきり「若返る」薬なのかと思っていましたが、蓋を開けてみれば「完全上位互換の分身を生み出す」薬だったのには驚きました。でもこうすることで、“産まれる”際の気持ち悪さも表現出来ますし、エリザベス側に何のメリットもなく、ただただ搾取されていくだけという哀れさも描けるので、なんとも上手いなーと思いました。

「1週間ごとに体を入れ替えなければならない」「活性剤は絶対に2回使ってはいけない」といったルール付けも、エリザベスに戻った際のみじめさや、ダメなのは理解しつつも美しさのためなら後先考えずに破っちゃうという、堕ちていく様を描くのに一役買っていて面白かったです。

 

そーいや、エリザベスとスーは意識は共有しているようだけど、記憶は共有してないんですかね。お互いが何をして何を言ったのか、覚えてないっぽい描き方をされてましたけども。僕はなんとなく、実際は記憶も共有してるはずなんだけど、肉体や周りの反応に引っ張られて、別人と思い込んでしまってるんじゃないか、と思ってみたり。だから薬の売人は「どちらもあなた自身だ」というのを繰り返してたのかなと。

というか、売人は「ルール破るだろうな」って分かったうえで薬を提供してますよね絶対。活性剤とか、1回分だけ処方すればいいものを、わざわざそれ以上の量を最初に提供してますし。入れ替えルールも、効率的に顧客の精神を壊すために、敢えてそういう作りにしてるんじゃないかと思えてきます。薬の効能と併せて、「精神的に追い詰められた人間がどういう行動を取るのか」も見ているみたいな、何かしらの人体実験なのかも。そういう意味では、エリザベス/スーの行動は売人の思惑通りの結果だったのかもしれませんね。まったく憎たらしいぜ本当にありがとうございます。

 

何度か、“エリザベス”としての精神のバランスを取り戻せるチャンスを与えてるのも良いですよね。でも結局そのチャンスも逃してしまう、というのがまた物悲しくてとても良かったです。

特にかつてのクラスメイト、フレッドとの食事の約束を反故にしてしまうところ。何度も衣装を整え、化粧を直し、出発しようとするも、若く美しいスーと今の自分を対比してしまい、結局外へ出ることが出来ず…というあの場面は、デミ・ムーアの迫真の演技と相まってこの映画の一番の見所なんじゃないかと思います。

きっとあそこで彼と会えていたら、「今(50歳)の自分も悪くないんじゃないか」と考えることができ、心のバランスを保つことが出来たんじゃないか。そう思うと本当に悲しい。でも映画としては行かない方が間違いなく面白くなるのがまたなんとも。

てか、フレッドはこの作品の登場人物の中で唯一と言っていい、まともな人間ですよね。泥水に落としたビチャビチャの紙を渡すのはどうかと思いましたけど。お隣さんとか、清々しいほどのどクズで笑えました。初対面の人に「デカい“ハンマー”持ってるぜ」とかよく言えるな(笑)

 

ラストに関してはここでは詳しく書きませんが、凄まじかったですね…。

堕ちるところまで堕ちた者の成れの果て。その結末もまたド派手で、最悪なものでした(褒めてます)。中には子役の子もいましたが、あれ撮影とはいえトラウマにならないかしら…。

 

おわりに

そんな感じで、以上になります。

「ホラー苦手な僕でも面白いと思えた」とか、「途中退席してまた戻るのは意気地なしの僕には出来なかった」とか、「やっぱり薬はダメ!ゼッタイ」とか、いろんな経験をさせてもらえる作品でした。

かなり人を選ぶとは思いますが、アイロニックな作品が好きな方、ボディホラーというジャンルが好きな方は、とても楽しい鑑賞体験になると思います。

ということで、映画『サブスタンス』の感想でした。

ではまた。

映画『サンダーボルツ*』感想(ネタバレ)

映画『サンダーボルツ*』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

MCU最新作となる、本作サンダーボルツ*

キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』がまだ記憶に新しいなか公開となった本作は、過去作に登場したキャラクターがチームアップして困難に立ち向かう、アクション作品となっています。

 

もくじ

 

概要

“サンダーボルツ”というチームは、コミックでは1997年に初登場したそうで。

その後、幾度かのシリーズ終了とメンバーを変えての再始動を繰り返し、2023年より開始した最新シリーズが本作のベースとなっている模様。過去のシリーズでは、ホークアイデッドプールレッドハルクパニッシャーなどがメンバーだったみたいです。なんと危険なかほりのするメンツ。

 

本作の特徴としては、「ヒーローが登場しないヒーロー作品」という点でしょうか。

今回登場するキャラクターは、悪の組織に利用されていたり、栄光の時代から落ちぶれてしまったりと、“ヒーロー”の称号とはかけ離れた人物ばかり。そんなキャラたちがいかにしてチームとなるのかが、本作の見どころとなっています。ヴィラン(敵役)側にいたキャラがチームを組んでなんかするというのはまさしくマーベル版『スーサイド・スクワッド』といったところですが、割と軽いノリでヒャッハーしていたあちらに対し、本作は過去に過ちを犯してしまった人間の後悔や苦悩が描かれる、シリアス寄りな作風になっているのも特徴と言えるかと思います。

 

スタッフ

監督を務めるのは、ジェイク・シュライアー
ディズニー傘下繫がりでは、スター・ウォーズの最新TVシリーズスター・ウォーズ:スケルトン・クルー』の監督も務めています。

脚本を務めるのは、『マイティ・ソー バトルロイヤル』や『ブラック・ウィドウ』といったMCU作品、あとは『ゴジラvsコング』でも脚本を書いているエリック・ピアソンと、Disney+で配信中のドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』シリーズで監督・脚本・製作総指揮を務めているジョアンナ・カロ

 

キャラクター・キャスト

今回はキャスト紹介も兼ねて、主要キャラの簡単な遍歴と登場作品を紹介したいと思います。この辺の内容はパンフレットにもっとわかりやすくまとめられているので、読み飛ばしていただいても全く構いません。僕は文字数稼ぎのためにやっているだけです(笑)

なお、本作を見る前にこれらの作品群を見とかないとダメ!というわけでは決してないです。予備知識無しでも、本作は十分楽しめます。鑑賞後に「このキャラのバックボーンをもっと知りたい」と思った際の参考程度に考えていただければと。

 

  • エレーナ・ベロワブラック・ウィドウ(演:フローレンス・ピュー)
    登場作品:『ブラック・ウィドウ』『ホークアイ
    長年MCUを支えてきた、ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウの義理の妹。
    ソビエトのスパイ訓練施設レッドルーム出身で、洗脳を受け暗殺者として活動していた過去があり、人間としては最高レベルの身体能力を持っています。
    現在はヴァルのもとで、様々なトラブルを秘密裏に処理する仕事を請け負っていますが、ナターシャの死後、深い孤独感や喪失感からメンタルが不安定になっている様子。

  • バッキー・バーンズウィンター・ソルジャー(演:セバスチャン・スタン)
    登場作品:『キャプテン・アメリカ』シリーズ、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』など
    スティーブ・ロジャースキャプテン・アメリカの同僚であり、親友であり、元相棒。
    超人血清によって常人を超える身体能力を持っており、さらに左腕の義手サイバネティック・アームは鋼鉄も破壊出来るほどの凄まじいパワーを持っています。
    かつては悪の秘密結社ヒドラの洗脳を受けていましたが、現在は完全に解放され、アメリカ下院議員として活動中。

  • エイヴァ・スターゴースト(演:ハナ・ジョン=カーメン)
    登場作品:『アントマン&ワスプ
    幼少期に量子トンネルの暴走事故に巻き込まれ、あらゆる物質を通り抜けることが出来る量子フェージング能力を身につけた女性。
    はじめはこの能力を制御出来ず生命の危機に陥っていましたが、ジャネット・ヴァン・ダイン/初代ワスプの能力により症状が緩和。その後は逃亡生活を送っていましたが、現在はエレーナと同様、ヴァルのもとで裏稼業をしている模様。

  • ジョン・ウォーカーU.S.エージェント(演:ワイアット・ラッセ)
    登場作品:『ファルコン&ウィンター・ソルジャー
    引退したスティーブに代わり、盾とキャップの称号を受け継いだ元軍人。
    陸軍にいた頃から類まれなる戦闘スキルを持ち、超人血清によってそれが更に高められています。
    しかし、血清によって感情が不安定となり、公衆の面前で怒りに任せて人を殺めてしまったことで、キャップの称号は剥奪。その名声は地に落ちてしまいました。

  • アレクセイ・ショスタコレッド・ガーディアン(演:デヴィッド・ハーバー)
    登場作品:『ブラック・ウィドウ
    大戦中、ソ連がキャップに対抗するべく生み出した超人兵士。
    任務でナターシャやエレーナと偽装家族を演じていたことがあり、本当の親を知らない彼女たちにとって父親代わりの人物。キャップに匹敵するほどの身体能力を持ちながら、終戦後は不要と切り捨てられ、20年以上投獄されていた過去を持ちます。
    現在は警備員やリムジン運転手として生計を立てているようで、エレーナとは1年以上連絡を取っていないようです。

  • アントニア・ドレイコフタスクマスター(演:オルガ・キュリレンコ)
    登場作品:『ブラック・ウィドウ
    かつてレッドルームを支配していた、ドレイコフの一人娘。
    ナターシャがドレイコフを暗殺するために仕掛けた爆発に巻き込まれ瀕死の重傷を負ったのち、改造・洗脳を施され、最強の暗殺者として仕立て上げられました。その際に獲得したフォトグラフィックス・リフレックス(写真的反射)能力により、対象の動きを観察するだけで完璧にコピーすることが出来ます。
    レッドルーム壊滅後は、こちらもヴァルのもとで仕事をしている模様。

  • ヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌ(演:ジュリア・ルイス・ドレイファス)
    登場作品:『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』『ブラック・ウィドウ』『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
    ニックネームは“ヴァル”。
    表舞台に上がれない人物をスカウトし、表沙汰に出来ないような仕事を与え取りまとめる、謎の人物。『ブラックパンサー』シリーズに登場しているCIAエージェントのエヴェレット・K・ロスとは元夫婦であり、現在はCIA長官を務めていることが明かされました。本作ではそうした暗躍を怪しんだ議員たちから弾劾裁判を開かれ、少々危うい立場にあります。

 

そのほか本作からの新キャストとして、『トップガン マーヴェリック』などに出演しているルイス・プルマン、『ハラ』『ブロークン・ハート・ギャラリー』の主演などで知られるジェラルディン・ヴィスワナサンが出演しています。

 

予告編


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あらすじ

今の仕事にうんざりしていたエレーナは、ヴァルより最後の仕事を与えられます。

僻地にある研究所の研究データを盗もうとしている人物の抹消。エレーナにとっては簡単な仕事。のはずでした。

現場へ到着すると、同業者であるウォーカー、エイヴァ、アントニアと鉢合わせ、戦闘になります。どうやら、都合の悪い人物を同士討ちさせてまとめて処分しようという、ヴァルの策略のようです。なぜかその場にいた記憶を失った謎の人物、ボブ(演:ルイス・プルマン)と共に、どうにかその場を脱する一同。しかし、自ら囮になったボブは捕まってしまいます。

ヴァルはかつて“セントリー計画”と呼ばれるものを推し進めており、どうやらボブを使ってまた良からぬことを企んでいる様子。そうはいくかと、渋々エレーナ達は協力することに。

果たして、“ならず者”と呼ばれた彼らは、“ヒーロー”になることが出来るのか――。

というのがあらすじ。

 

感想

許せないところはあるけど、面白さがそれを遥かに超えてくる

そんな作品でした。

 

スケールに反して…

MCU作品らしい、スケールの大きさは本作でも健在。

冒頭ではビルの屋上からダイブしたりワンフロア丸ごと爆破したりしてますし、終盤ではNYの街が丸ごと闇に呑み込まれてしまいます。

それに対し、メインキャラはみんな派手なスーパーパワーを持っていないので、アクションに関しては比較的地味目。バッキーがターミネーターの時のシュワちゃんみたいな風貌で車をドッカンドッカン吹っ飛ばすところはめちゃくちゃカッコよくて見応え抜群でしたが、それくらい?今回立ちはだかる相手が全知全能レベルのとんでもないパワーを持っているので、尚更主人公サイドの地味さが際立っていたように思います。

 

ただこれ、わざとこういう風にしてると思いますし、それがマイナスポイントには一切なっていないです。これでいい、むしろこれがいい。「力では敵わなくても、団結して立ち向かえば打ち倒せる」というのを描いているわけですから、非常に説得力がありました。

 

余談ですが、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』も、アクションは地味ですが抜群に面白いですからね。まぁ、あちらは派手さこそないけど最高にカッコいいアクションですし、どちらかというとタクティカル・サスペンスの色が濃いので、本作とはだいぶ違うんですけど。

 

何が人を“ヒーロー”たらしめるのか

「ヒーローはいない。アベンジャーズは来てくれない。」というのを、本作では少々強引なくらいに強調していたように思います。「サムおるやん…?」とちょっと思っちゃいましたが、まぁそれは置いといて。

 

終盤、倒壊する建造物から身を挺して市民を守るエレーナ達は、紛れもなく“ヒーロー”でした。

場所がNYの旧アベンジャーズタワーの前ということもあり、おあつらえ向きに「アベンジャーズ1作目の再演」をやってるんですよね。ベタかもしれないけど、「ヒーローとは何か」をもう一度描きなおしてくれたこのシーンが本当に良くて。まんまと感動してボロボロ泣いてしまいました。

 

ヴァルは人工的にヒーローを作り、そしてそれを管理することで権力を誇示しようとしていたようですが、そうではないんだと。行動がヒーローを作り、それが人々の称賛に繋がるのだと。その対比も面白いと思いました。

 

誰しもが抱える苦悩

本作はヒーロー映画ではありますが、どちらかというと内面的な部分が重点的に描かれています。中でも、各々が心に抱えるネガティブな側面をしっかりと描いているのが、大変素晴らしいと思いました。

 

エレーナは、姉の死に対する喪失感から鬱状態であり、さらにそれを誰にも打ち明けられず孤独感にも苛まれています。

アレクセイも、エレーナとどう接して良いかわからず、自身もこのまま燻ったままでいいのかという思いをずっと抱えていました。

ウォーカーは、栄光の時代と今の自分を対比しては、やり切れない思いを抱えているんだろうなと。短気な性格にそうした思いが現れているように思えます。

バッキーはだいぶ克服していると思いますが、それでもかつて“伝説の暗殺者”であった事実はどうしてもついて回ります。

エイヴァに関してはよくわからん。S.H.I.E.L.D.時代に嫌々やらされてたこととほぼ同じことを今もしていて、全然前に進めていないことに苦悩している、とかかな。

 

とまぁ、そうした面々がチームを組むことで何が変わるのか、どのようにネガティブな気持ちと折り合いをつけるのか。そういう部分に重点が置かれているのが本作最大の特徴であり、すごく良いところではないかと思うわけです。

 

トラウマを受け入れる物語

本作におけるボブが特に顕著で、幼少期に父親から受けていた激しいDVが原因で重度の躁鬱を患っており、それを紛らわすためか薬物依存にも陥っていました。躁か鬱か、どちらかに振り切っている状態が、セントリーであり、ヴォイドなんでしょうね。

 

では、どうすればトラウマを克服出来るのか。

その問いに対し、最後にエレーナが出す「誰かに話しちゃえばいい」という回答。それはつまり「そばにいてくれる人がいることが大事」ということであり、「どうしてチームを組むのか」といった本作のテーマとバッチリ合っていて、胸を打たれました。トラウマをなくすことは出来ないかもしれないけれど、楽にすることは出来る。その塩梅もまた、非常に秀逸だと思いました。

ポスクレでボブが戦えなくなっていたのも、チームにいることで精神的に安定していることの証なのではないかと。

 

どうしても許せない点

全体的に満足度の高い作品ではあるのですが、冒頭で書いた通り、ひとつどうしても許せない点がありまして。

それは、「タスクマスターの扱いが雑過ぎる」というところ。

せっかくの再登場なのに、あれで出番終わり…?そりゃないよ…。ほかのキャラは本作である程度救われたけど、彼女に関しては何の救いもないままなの…?サイボーグみたいなもんだと思うし、「実は生きてました」でアベンジャーズの映画にしれっと出てきてくれることを願っている…。

でももし再々登場したとしても、本作での扱いを許すことは今後も出来そうにない。絶許。

 

舞台はフェーズ6へ

どういう基準でフェーズを区切っているのかよくわかりませんが、どうやら本作でフェーズ5は終了で、次の『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』からはフェーズ6に突入するらしいですね。いよいよ本格的にクロスオーバーが始まってくるのかな。ポスクレで言ってた“余剰次元”というのはなんなんだろう。7月の公開が楽しみでならない。

そして来年は、いよいよアベンジャーズ最新作『アベンジャーズドゥームズデイ』が公開予定。シャン・チーとかシーハルクとか、蔑ろにされてるキャラの再登場にも期待。

 

そういえば、僕は今回もIMAXで鑑賞したんですが、IMAX上映が始まるときのカウントダウンがファンタスティック4仕様になっていて、テンション爆上がりしました。確かホムカミの時とかも特別仕様になっていてすごく良かったと記憶しているのですが、あれあんまやらないのなんでなんですかね。IMAXで見ない人もたくさんいるだろうし、費用対効果が低いとかかな。

 

おわりに

以上になります。

不満もありますが、本当に面白いと言える作品でした。本作は意図的にほかの作品との関連性を薄くしているようなので、MCU作品を見たことない人でも全く問題ありません。魅力的なキャラたちがたくさん出てくるので、きっと楽しめると思います。

合成でタスクマスター足してんじゃねぇ。絶許。

ということで、映画『サンダーボルツ*』の感想でした。

ではまた。

映画『Flow』感想(ネタバレ)

映画『Flow』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

ラトビア出身の監督が作り上げた、長編アニメ映画Flow(原題:Straume)

地表の大部分が水没した世界を舞台に、一匹の猫と様々な動物たちの冒険が3DCGアニメーションで描かれる、ポストアポカリプス・ロードムービーとなっています。

 

※注意!※

本作には、津波や洪水の描写があります。
精神的につらいという方は、鑑賞を控えた方が良いかと思います。

 

もくじ

 

概要

無知な僕は「ラトビアとは…?」となってしまいましたが、どうやら北ヨーロッパバルト海沿岸に位置する共和国らしいです。

原題の「Straume」は、ラトビア語で「流れ」「流水」「河」といった意味だそうで。英語で言うところの「Stream」と同義とのことですが、だいたい同じ意味とはいえどうして「Flow」の方をチョイスしたのかは謎。動画再生でよく聞く「Streaming」とか、PCゲームを販売してる「Steam」とか、なんとなく語感が似てるけどそうした電子系の作品ではないですよ、ということなのかな。

 

僕のような日本の古のオタクは、「Flow」と聞くとどうしてもこっちが思い浮かんでしまう。


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NARUTOでもコードギアスでも、曲は何でもいいんですけど。

しかし、エウレカももう20周年かぁ…。

 

本作は低予算で製作されたインディペンデント映画ながら、ピクサー作品『インサイド・ヘッド』や、ドリームワークス作品『野生の島のロズ』といったビッグタイトルを抑え、2024年のアカデミー長編アニメ映画賞を受賞するという快挙を達成しました。

インディペンデントアニメでアカデミー賞を獲るのは史上初、更にラトビア出身の人がアカデミー賞を獲るのも史上初なんだとか。すごくすごい。

 

そんな偉業を成し遂げた監督の名は、ギンツ・ジルバロディス
2019年公開の『Away』という映画をたったひとりで制作し、世界を驚かせました。今回も監督・脚本・音楽・撮影・編集など大部分を務め、そのほか少人数のスタッフで制作されています。これを齢30そこそこの人がやってるんだから、驚くほかない。人生何回目やねん。

 

なお、本作には人間のキャストはいません。人間は一切登場せず、動物たちも鳴き声以外は発しません。字幕も吹替も必要としないという点では、ワールドワイドな作品と言えるかと思います。

ちなみに、主演を務めた声優猫はこちら。可愛すぎィ!

 

予告編


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※こちらの監督のチャンネルでは、本作のメイキングやベースになったと思われる短編『aqua』なども見れるので、良かったら併せてどうぞ。

 

あらすじ

人の気配が一切ない、静かな森の中。
廃墟となった一軒の山小屋で、一匹の黒猫が暮らしていました。

ある日、どこからともなく大量の水が押し寄せ、津波となって森の動物たちを襲ってきます。水位はみるみる上がっていき、森は完全に水没。猫は流れてきたボートに乗り込み、どうにか難を逃れました。

先客のカピバラをはじめ、ボートにはイヌキツネザルヘビクイワシら、様々な動物が乗り合わせることに。最初は仲違いしていた動物たちも、様々な困難を乗り越えるうち、次第に絆が生まれていきます。

彼らは、一体どこへ向かうのか。
そして、この旅路の果てには何が待っているのか――。

というのがあらすじ。

 

感想

癒されました。

企業が様々なネタ広告を投下し、それによって称賛されたり炎上したりしていたエイプリルフールの日、僕はファーストデイを利用して本作を鑑賞しました。ただ、新生活を始めたばかりということもあってゴタゴタしており、なかなか感想を書けず。日も空いちゃったしもういいかな、とも思ったのですが、せっかくなので簡単に感想を書いていこうと思います。

 

監督の前作『Away』も見たんですが、結構好みな感じでした。

舞台は主人公の精神世界なんですかね。セリフはないので細かくは語られませんが、飛行機墜落事故をただひとり生き延びた主人公の少年が、幻想的な世界での旅を通じて、トラウマを乗り越えるお話なのかな、と思いました。

少年を執拗に追いかける、もののけ姫デイダラボッチのような巨大な人型の黒い影は、少年の罪悪感とか、孤独感とか、そうした負の感情を表したものではないかと。黒い影に呑み込まれたとき、まるでお腹の中の胎児のような表現がされていましたが、あれは「生まれ変わる」ということの比喩かな?

最後は、精神世界に閉じこもり心を閉ざしていた少年が、港町に辿り着く=人との関わりを取り戻す、と解釈しましたが、どうでしょうか。敢えて説明を省いて解釈の幅を持たせているようなので、どう受け取っても良い、ということなのでしょう(と言い訳してみる)

 

そんな感じで非常に楽しませていただきましたが、アニメーションのクオリティはまだまだ、と思ったのも事実。

当時25歳の人がたったひとりで作ったというのは本当に驚愕するほかないのですが、やっぱりどうしても粗は出てしまうかと。綺麗なんだけどいかにもCGっぽくて、インディーズゲームのプレイ映像を見ている感覚になりました。チャプター分けしてるのも、ステージクリア型のゲームっぽかったですし。実際、『風の旅ビト』や『ワンダと巨像』などのゲームからもインスピレーションを受けているそうなので、ゲームっぽいというのも間違いではないんでしょうけど。

あとは、「長編作品として劇場公開するのは予算的に難しいかもしれないので、チャプターごとに短編作品として公開出来るような構造にした」という、大人の事情もあるみたいです。

 

今ならアマプラで見れますので、気になった方は是非見てみてください。

 

で、本作なんですが、映像に関しては大作映画に引けを取らないほどのクオリティになっていると思いました。

特に水の表現。流れとか飛沫とか反射する光とかが見事に表現されていて、『モアナと伝説の海』にも劣らぬ美しさでした。いやそれは流石に言い過ぎか…でもそれくらい良かった、ということにしておいて下さい。水中の色鮮やかな魚たちも、とても美しくて見とれてしまいました。『Away』では、川に飛び込もうが水面をバイクで走ろうが飛沫が上がらなくて不自然さを感じてしまいましたが、本作では違和感は全く感じませんでした。

動物たちも非常に良かったです。毛並みとか細かい部分は流石に大作映画に劣りますが、動きや仕草は非常にリアル。ゆらゆら動く尻尾や鏡に反射した光を追っかけちゃう猫チャンとか、可愛くて可愛くて仕方なかったです。ほかの動物たちも、その動物らしさみたいなものがしっかりと表現されていて、実際に存在しているかのようなリアルさでした。まぁ、動物が船の操舵なんて出来るわけないし、あんな複数の動物が仲良くすることも実際にはあり得ないんだろうけど、ギリギリリアリティラインを保っているような、絶妙な塩梅になっていると思いました。

 

前作『Away』は旅を通じてトラウマを克服するようなお話でしたが、本作はどういうお話だったんだろう。

人類がいない(いなくなった)のはなぜ?とか、洪水はなぜ発生し、終盤で突然水が引いたのもなぜ?とか、作中で明らかにされない点も多いです。コレに関して、動物愛護の観点とか、地球温暖化による海面上昇への問題提起とか、そういう見方をする人もいるかもしれません。実際どうなのかは調べてないのでわかりませんけども。

 

でも僕はなんとなく、そういう小難しいことは置いといて、「ひとりでは出来ないことも、仲間と協力することで乗り越えられるかもしれないよ」と言いたいのかな、と思いました。

監督は『Away』をたったひとりで作り上げましたが、本作は50人ほどのスタッフと共に作り上げたそうです。縦横無尽なカメラワークでダイナミックに動き回る森の中のシーンとか、ひとりでは到底作れない、出来たとしても何年かかるかわからなかったでしょう。恐らく『Away』の主人公も少なからず自身を投影しているんだと思いますが、本作でもそうした監督自身の経験が反映されているのかな、と。猫が水面を覗きこむ場面が印象的で、はじめは自分しか映り込んでいなかったのが、ラストでは旅の仲間たちが寄り添っていましたね。

ただ、水が引いた直後、イヌやキツネザルはこれまでずっと共に旅をしてきた猫ではなく、自分と同種の動物たちとつるんでいるんですよね。目的が同じだったから行動を共にしていただけで、それが達成されたらまた自分のいるべき場所へ帰っていく。本作を一緒に制作したクリエイターも、仕事が終わればまた別の作品作りの現場へ行くことになるわけで。「オレたち、これからもずっ友ダゼ☆」で終わらせるのではなく、こういう面も描いているのが、ファミリー向け作品とは異なる点であり、インディペンデントだからこそ出来る良さなのではないかと。そんな風に思った次第です。

 

あとは、ヘビクイワシさんが天に召される場面に関しては、あそこだけリアリティラインがだいぶ下がったように感じて、ちょっと「おん?」と思ってしまいました。悪い意味でゲームっぽさが出てしまってるといいますか。ですが、「あれは猫が見た幻」という解釈をされている感想を目にして、あぁなるほどな、とも思いました。

それにしても、ヘビクイワシさんが旅に同行した目的って、「死に場所を探す」ってことだったのかな。最期の最期まで猫チャンを気遣う優しいお方だったので、そう考えるとなんとも悲しい…。

 

おわりに

こんなもんにしときます。

センセーショナルな事柄であったり、ストーリーテリングの巧みさだったりを重視する人は、もしかするとあまり面白さを見出せないタイプの作品かもしれません。しかし、美しい映像美や空気感、様々な解釈が出来る点などを重視する人には、刺さる作品なのではないかと思います。

まだまだ上映している劇場はあるみたいなので、本作を見てどのように感じたか、想像を膨らませてみてはいかがでしょうか。

ということで、映画『Flow』の感想でした。

ではまた。

引っ越ししししました

どうも、ブラックさんでございます。

 

blacksun.hateblo.jp

前に引っ越しをしたとき、

正直相当しんどかったので、次に引っ越すのはいつになるやら。その時に同じ轍を踏まないよう、気を付けたいと思います。

引っ越しししました - GORGOM NO SHIWAZAKA

こんなことを書いてましたが、意外と早くその時は来ました。

そして、「同じ轍を踏む」どころか今回もいろいろとやらかしまくって、下手すると以前より酷い有様だったような気がします。なので「皆様はこんな人間になっちゃいけないよ」という思いを込め、再びブログに記録として残しておくことにしました。今回も盛大に恥を晒していきたいと思います。

 

もくじ

 

きっかけ

かれこれ10年以上、東京で生活をしていたんですけども。

このたび、地元に帰ることになりました。家族みんな地元で生活しているので、何かあったときにすぐに駆け付けられられるようにしたいと思った、というのが主な理由です。

※写真はフリー素材を使用しております。どこかわかりません。

というかもともと、こんなに長いこと東京にいるつもりはなかったんです。どうして東京に行くことになったかは前の引っ越しの時のを読んでいただくとして、いずれは帰らなきゃなぁ、という思いはずっと頭にあって。でも僕のような計画の立てられない人間の「いずれ」はすなわち「永遠」と同義であり、あれよあれよと時だけが過ぎていき、いつの間にやら10年以上もの月日が経過しておりました。

 

東京がイヤになったとかでは決してなく、むしろ大変住み心地が良かったです。

電車でどこにでも行けるし、どこに住んでもスーパー等のお店が充実してるし、テレ東やTOKYO MXが見れるし、etc...

中でも、映画館の選択肢が非常に多い、というのが僕にとって一番デカい。複数の映画館の中から都合の良い上映時間のヤツを選んで見に行く、みたいなのは今後出来なくなるので、それだけで映画館へ足を運ぶ意欲がモリモリ減ってしまうのがなんとも。そもそも地元じゃ上映すらしてない、みたいなパターンも今後増えてきそうで怖い。特にミニシアター系とか、再上映系。「映画館での鑑賞体験」をとても大事にしている人間なので、割と切実にキツイ。

 

やらかし①:家探し

そんな感じで未練タラタラながらも地元に帰ることは確定してしまったので、まずは住む場所を探さねば。

しかし、若者たちが新生活の準備を始める時期と重なってしまったおかげで、まーなかなか部屋が決まらない。事前に内見予約をして当日不動産屋に行ったら「その物件埋まりました」とか、物件に移動して鍵開けてもらおうと思ったら「たった今その部屋埋まりました」とか、いろいろあって大変でした。

 

すったもんだありつつもどうにか部屋が決まり、今住んでる部屋の退去申し入れやら、ライフラインの解約手続きやら、引っ越し業者の選定やら諸々進めていたとある日、問題が発生しました。

不動産屋から、「あの部屋、ワケあってダメになりました」との連絡。

ウソやん…。そんなんアリかよ…。
ワイはこれからどこに住めっていうんや…。

とまぁ、ダメになってしまったものは仕方ないので、改めて部屋を探しなおすことに。既に退去の日時は決まっていたので、それまでに決めなければならず、大慌てで別の部屋に決めることになりました。ほんとはもっとじっくり検討してから決めたかったのに…。

 

やらかし②:引っ越し

どうにか新居は決まりました。次は引っ越し。

上でも書きましたが、時期としてはちょうど若者たちが新生活の準備を始めるタイミング。つまり、引っ越し業者としては繁忙期に当たります。で、全然知らなかったんですが、繁忙期に業者に依頼すると、費用が倍以上に跳ね上がるんですね。何社かに見積もり出してもらったんですが、大手じゃないところでもものすごい金額が提示されてたまげました。

とはいえ、荷物は多いし、自力で運ぶなんて出来っこないし、業者にお願いするしかない。金銭面は未来の僕(=分割払い)に任せるとして、どのみち高くつくならと、大手の業者にお願いすることにしました。

 

こうして、避けられたかもしれない余計な出費がかさんでいく…。

 

ちょっと良かったこと

業者に依頼は済んだ。あとはもう、引っ越しの準備を進めるばかり。

まずは、荷物を減らさなければならない。
ということで、断捨離のお時間がやってまいりました。

この断捨離に関しては、比較的うまくいったのではないかと思います。

 

1.家具家電類の処分

家具・家電類は、東京に来た時=10年以上前に買ったものばかりで相当年季が入っているので、軒並み処分することに。冷蔵庫、洗濯機などはリサイクル料金がかかるので、引っ越し業者へ一緒に依頼。大きな本棚などのひとりで運べないものに関しては、別の業者へ依頼。あとは可能な限り、自力で粗大ごみとして出しました。

引っ越し自体の費用よりも不用品回収の費用の方が遥かに高くつきましたが、まぁ致し方無し。

引っ越しししました - GORGOM NO SHIWAZAKA

前の引っ越しの時は上記の通り、時間が無さすぎて家具類の処分もすべて業者にお願いしたのですが、今回はある程度自分で出来たのは良かった。僕が住んでいたところでは、炊飯器とかは「粗大ごみ」でもなくて、普通に「燃えないごみ」として出せる、というのが知れたのも良かったです。

あ、「えっ?そんなことも知らないの?」というご意見は無しでお願いします。

 

2.フィギュア類の売却

前の引っ越しで減らしに減らしたはずのフィギュア類は、すっかり元通りの量、いやそれ以上の量になっていました。特にガンプラとか、ご時世的に欲しいものが手に入りづらくなって、売ってるとこ見ると考え無しについつい買っちゃったりして。

なので今回も、前と同じ業者へ出張買取を依頼。

ひとつひとつ取捨選択しつつ売るものを選んでいったのですが、それでも相当な量が残ってしまいました。新居はそれほど収納スペースがないので、このままでは部屋に入りきらない。そのため、スーパー戦隊のミニプラやSHODO、ウルトラアーツ、アメヤマのヒロアカシリーズは、迷った末すべて手放すことに。仮面ライダーも、フィギュアーツは主役を除いてすべて売却。ガンプラも大部分を手放しました。

残したもの。(氷山の一角)

今回も新品未開封のものがほとんどということで、査定額は僕の月収を超えるほどのとてつもない金額になりました。いやぁ、まさかこれほどとは…。高くついた引っ越し代に充てられて何より。

 

3.その他不用品の売却

買ったはいいけどまったく使わなかったガスコンロなんかも、新居には備え付けのものがあるので、別の業者へ出張買取を依頼。

来てくれた業者さんが「せっかくなので、ほかにも何かあれば引き取りますよ」なんて言うもんだから、荷物を漁って出てきたデジカメ、めっきりやらなくなったPS4、DS、3DSなども一緒に売却。そこそこいいお値段で買い取っていただきました。

 

前に漫画500冊+αで「0円ですね」とかほざきやがったあの業者はマジでなんだったんだ…。もちろんあの業者は二度と使わないし、あの一件以来、漫画はすっかり電子派になりましたよ。

ほんと、今回は良い業者さんに巡り合えて良かったです。

 

やらかし③:引っ越し後

荷物の整理はスローペースながらも進んでいき。

「引っ越し当日までに梱包が間に合わず、載せられなかった分は別途配送する」などという過去の過ちを繰り返すわけにはいくまいと、毎日少しずつ作業を進めました。おかげさまで、ちょっとだけ梱包しきれないものがあったものの、作業員さんが荷物を運んでいる間にどうにかこうにかして、なんとかかんとか全部載せてもらいました。てか、作業員さんの手際が良すぎて、だいぶ助けられた感。

あと、ひとりじゃ運べないからと依頼した不用品回収も、来てくれた人がひとりでひょいっと運んでいって驚愕すると同時に、自分の貧弱なフィジカルに絶望しました。僕にもあれだけの筋力があれば、高い金払わずとも自力でどうにかできたのに…。

 

いやまぁ、ここまでは全然いいんです。問題はこの後。
荷物が新居に、全然入りきらないっちゅーね。

特にテレビラック。ウチのラックは棚と一体になっているタイプで、高さも結構あるヤツだったんですけども。

だいたいこんな感じのヤツです。

処分するのはもったいなかったし、置けるかなぁと思って持ってきたんですが、いや置けないのかよと。壁の上部に梁?みたいなのがあるのを見落としていて、高さが微妙に足りないというね。なのでしばらくの間、テレビは床に直置き状態。ちゃんと寸法図っとけよ、って話ですわ。今は、ラックの上の方切ればどうにかなるのでは?と気付き、やってみたら確かにどうにかなったので、どうにかなってます(笑)

あと、フィギュア類が入った大量のダンボールも、あれだけ減らしたのに結局全然入りきらず。そのため、今もキッチンはダンボールでほぼ埋まっています。

 

てかなんだろう、なんか今の部屋は微妙に寸法が足りなくて中途半端にスペースが余る、みたいなのが多い気がします。高さ的にも、幅的にも。専有面積は前の部屋よりも広いはずなんですが、シューズボックスやキッチンスペースが不必要に広かったりするおかげで、体感的には前よりも狭くなったような感覚。まぁ、そのおかげでキッチンにダンボールを積み上げることが出来ているとも言えますが…。住環境の快適さにこだわりたい超インドア人間の僕なので、こういうの結構気にしちゃうんですよね。

「住めば都」という言葉もありますし、住んでいけば慣れてくるのかな、とも思っています。10数年前に東京に来た時も、部屋に不満タラタラだったくせに8年住み続けたわけですし、どうせ今回もズルズルと住み続けるのでしょう。

 

おわりに

そんな感じで、今に至ります。

コレを書いている今現在、新居に住み始めて1ヶ月ちょっとという状況ですが、やっぱ「東京ってすごい」という思い。


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これくらいから行動し始めた方がいいですよみたいな、具体的なことは一概には言えないですが、少なくとも言えるのは「しっかりと計画を立てたうえで行動した方が良い」ということ。「いつまでに引っ越しを完了させる必要があるか」というところから、「荷物の整理にどれくらい時間がかかるか」⇒「いつまでに業者に予約の連絡するべきか」⇒「いつまでに新居を決めるべきか」といった感じで、逆算して考えていくといいような気がします。

 

ということで、引っ越しに限らず何事もそうですが、計画的に、じっくりと時間をかけてやった方がいいよ、というお話でした。(前と全く同じ帰結)
次に引っ越しする機会があったら、その時こそ余裕を持ったエレガンスでジェントルマンな立ち振る舞いがしたいなぁと思っております。

ではまた。

映画『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』感想(ネタバレ)

映画『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠(ひねずみ)』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2007年にフジテレビのノイタミナ枠にて放送されたホラーアニメ作品、『モノノ怪』。

日本の古典的怪談をモチーフに、色彩豊かな映像美と、濃密な人間模様が描かれたこのアニメは、今でもカルト的な人気を誇る作品となっています。

 

そんなアニメの劇場版第2弾となるのが、本作劇場版モノノ怪 第二章 火鼠(ひねずみ)

前作『劇場版モノノ怪 唐傘』より地続きに繋がる物語となっており、全三部作の第二章となります。

 

『唐傘』も感想書いておりますので、併せてお読みいただけますと幸いです。

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もくじ

 

概要

前作に引き続き、舞台は大奥。華やかで美しい印象のある大奥と、ビジュアルに特徴のある本シリーズとの相性は抜群です。

あ、お分かりかと思いますが、このシリーズにおける大奥は、実在のものとは全く違いますからね。僕は歴史に詳しくないですが、「こんな大奥あってたまるか」って感じなのはなんとなくわかります。なので、歴史ものとしての見方は出来ないと思いますので悪しからず。あくまで架空の舞台としてお楽しみいただければと。

 

上で書いた通り、本作は三部作の2作目となりますが、ひとつひとつのエピソードは独立しているので、ここから見ても十二分に楽しめる作りになっています。上映時間も1時間ちょっとですし、何より本作はTVシリーズ含めた歴代の話の中でもかなりわかりやすいと思いますので、『モノノ怪』入門編としても最適かと。つまりみんな見ろ(暴論)

 

TVシリーズや前作で監督・脚本を務めた中村健治は総監督に回り、本作のメイン監督は鈴木清崇が務めています。
鈴木さんは『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の総演出や、タツノコヒーロー版アベンジャーズというべき『Infini-T Force』の監督などを務めたお方。中村さんが監督を務めた『ガッチャマン クラウズ インサイト』では助監督などもやっているようで、そうしたご縁が今回の起用に繋がったと思われます。

脚本を務めるのは、ライトノベル作家新八角(あたらし やすみ)。
アニメ脚本としては、スター・ウォーズのアンソロジーアニメ『スター・ウォーズ:ビジョンズ』の一編、『タトゥイーン・ラプソディ』や、YouTubeで配信されているポケモンのWebアニメ、『POKÉTOON』シリーズの脚本などを執筆しています。

 

キャストは、主演の神谷浩史をはじめ、日笠陽子戸松遥梶裕貴細見大輔堀内賢雄堀川りょうらが出演。豪華声優陣にござりまする。

 

予告編


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あらすじ

モノノ怪・唐傘の事件から、ひと月。

“退魔の剣”を携えし薬売り(声:神谷浩史)が、再び大奥に姿を現します。

未だ混乱の渦中にある大奥では、老中・大友の娘、ボタン(声:戸松遥)が御年寄の後継に就任。ボタンは厳格な態度で采配を行い、町人出身の御中臈・フキ(声:日笠陽子)はそれに反発。ふたりの溝は深まるばかりでした。

そんな中、フキの妊娠が発覚。世継ぎを巡り、陰謀が加速する事態に。さらに時を同じくして、女中のひとりが消し炭と化す、人体発火事件が発生。フキとお腹の子を狙う人物が、次々と炎に包まれていきます。

全てを焼き尽くす、その情念の正体。
そこには、大奥に蠢く、負の歴史が関係しており――。

というのがあらすじ。

 

感想

最高。最高というほかない。
今年の個人的見て良かったリストに名を連ねるのは間違いないです。

 

最高峰のアニメーション

前作からそうですが、まーとにかくアニメーションのクオリティがヤバい。作画の綺麗さは、現代アニメの中でもトップクラスかと。薬売りさんのお美しく妖艶なお顔が崩れる瞬間など、一瞬たりともありはしません。それでいて、アクションシーンはヌルヌルと、ダイナミックに、そしてド派手に動き回るので、見応えが半端ない。今回は特に素早いモノノ怪が相手ということで、スピード感溢れるアクションシークエンスがいっぱい見られて、大変眼福でございました。

 

絢爛豪華な大奥の背景美術の美しさは、もはや言わずもがな。画面の隅から隅まで書き込まれた凄まじい情報量が、見る者を圧倒してきます。色彩も相変わらず素晴らしく、「極彩色」や「色鮮やか」という言葉では足りないくらい。なんというか、さながらオラオララッシュのように色彩を叩きつけられるような、そんな感覚。これはもう、「色彩の暴力」ですよ。色に滅多打ちにされて、あたしゃもう完全にノックアウトですわ。

…うん、自分でも何言ってるかよくわかんないので、ぜひご自身の目で確かめていただきたい。好き嫌いは分かれるかもしれませんが、好きな人はめちゃくちゃハマるヤツです。

 

さらに深化した世界観

新人女中であるアサとカメの目線で描かれた前作に対し、本作は御年寄のボタンと御中臈のフキがメインで描かれています。そのため、大奥のかなり内部、跡目争いやお家騒動などに踏み込んでおり、世界観が深掘りされていて非常に面白かったです。まぁ、どの人が名家出身で、誰が誰の子供なのかとか、少々ごっちゃになりがちでしたけど。

公式Xにて相関図を出してくれてるので、コレを見れば関係性が整理出来るかと思います。ちなみに、これにさらにネタバレを含んだものがパンフレットにも載っています。

個人的には、前作でも登場した坂下にも結構スポットが当たっていたのが嬉しかった。「行けぇー!薬売りぃぃー!!」のシーンは、本作イチのテンション爆上がりポイント。

 

そーいや僕だけだと思いますが、ボタンのことを最初アサと勘違いしていて、「もう御年寄かぁー、出世早いなぁ」なんて思ってたのは内緒。

 

合成の誤謬」というテーマ

劇場版三部作の共通のテーマとして掲げられているのが、合成の誤謬(ごびゅう)」というもの。誤謬とはなんぞや、って感じですが、要は「良かれと思ってしてきたことが、ほかの誰かにとって苦痛となることもある」という意味合いっぽい。合ってるかは知らん。

この誤謬というキーワードが、本作ではボタンとフキとの確執という形で表れています。大奥全体のことを第一に考えるボタンと、ひとりの人間としての幸せを第一に考えるフキ。どちらかが間違いということではなく、人の考えというものは千差万別なので、こういった意見の食い違いというものはどうしても発生してしまう。

 

そして、そうしたすれ違いが歪みを生み情念となり、膨れ上がった情念がモノノ怪を形作る。

大奥で働く覚悟を決めさせるため、自身の最も大事にしているものを井戸に投げ込ませた結果、「本当はこんなことしたくなかった」という思いが積もり積もって生まれた、モノノ怪・唐傘。

世継ぎは名家出身の者から選出するという古くからの習わしを守るため、名家ではない者から候補者が出そうになれば生まれる前に排除してきた結果、子を奪われた怒りが燃え上がり生まれた、モノノ怪・火鼠。

 

単純な恨みつらみではなかった唐傘に比べ、火鼠はきっかけが比較的わかりやすいものだったので、物語がスムーズに入ってきました。なので、登場人物の心理状態などもすぐに理解でき、感情移入することが出来ました。特に、クライマックスで明かされる「何が許せないのか」の正体には、ボロボロ泣いてしまいました。なんというか、元々は本当に優しい人だったんだなぁ、と。だからこそ余計に悲しくなりましたね。

 

最後、出世のためではなくひとりの母として、生まれてくる命を守ることを決めたフキと、利権や保身のために守られてきた習わしから脱却し、柔軟さを身に着けたボタン。そんなふたりの、お互いを尊重し合うような「ごきげんよう」の言葉はなんとも優しく、これまた涙を誘ってくる締めくくりでした。

 

次回作について

さて、次はいよいよ三部作の最終章、『蛇神(へびがみ)』。

未だ明かされていない“御水様”とは何なのか、そしてそれを守る“溝呂木家”とは何者なのか。この辺の核心に迫ってきそうな予感。来年まで待ちきれないぜ…!

 

おわりに

以上になります。

ジャンルは一応ホラーですが、苦手な人でも全然大丈夫だと思います。僕も苦手なクチですが、人間ドラマが主体ですし、画面が美しすぎて恐怖の意識が薄れるのではないかと。気になっている人は、今すぐに映画館へ行くことを強くオススメします。前作『唐傘』もネトフリで配信中なので、どちらが先でもいいのでぜひ見てください。

ということで、映画『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠(ひねずみ)』の感想でした。

ではまた。

映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』感想(ネタバレ)

映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー:ワールド』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

本作は、MCUの劇場公開作品としては『デッドプール&ウルヴァリン』以来の作品であり、マーベルコミックを代表するヒーロー、キャプテン・アメリカを主人公とする作品のひとつ。MCUでその名を冠する作品としては第4作目となりますが、現在キャップを名乗っているのはこれまでとは別人であり、新キャップの映画としては本作が第1作目となります。

 

もくじ

 

キャラクターについて

キャプテン・アメリカとは

キャプテン・アメリカの初登場は、1941年刊行のコミックから。
マーベルヒーロー最古参のキャラクターのひとりです。

コミックでは多くの人物がこの名を名乗っていますが、最も有名なのが、初代であるティーブン・グラント・“スティーブ”・ロジャース。強い正義感と愛国心を持つものの、徴兵基準を満たせないほどの虚弱体質だったスティーブは、軍の「超人兵士計画」に参加。そこで投与した人間を超人に変える(ただし理性を失う危険もある超ヤバい)血清を打ち、常人を遥かに超える身体能力を獲得するに至りました。その強靭な肉体と習得した様々な格闘技、そして彼を象徴する武装である円形の大型シールドを駆使した近接格闘が、彼の最大の持ち味です。近接戦闘においては歴代マーベルヒーローの中でもトップクラスの実力を持っているのに加え、洞察力、判断力、統率力にも優れ、アベンジャーズのリーダーを務めるなど、部隊を率いる指揮官としても非常に高い能力を持っています。

 

MCUでも長年スティーブがキャップを務めており、シリーズを象徴するヒーローとして活躍していました。血清を打つまでの過程など、設定もほぼコミック準拠。演じるクリス・エヴァンスの好演も相まって、「キャプテン・アメリカといえばこの人!」と思っている方が大半かと思います。

 

ファルコンとは

とはいえ、今のMCUにおけるキャップはスティーブではありません。

ファルコンのヒーロー名で活躍していたサミュエル・ウィルソンが、『アベンジャーズ/エンドゲーム』のラストでスティーブから盾を受け継ぎ、新たなキャプテン・アメリカとして活動しています。ちなみに2代目はジョン・ウォーカーで、サムは3代目。ウォーカーがキャップを継いで即剥奪されるまでの一部始終、そしてサムがキャップを襲名するまでの苦悩や葛藤などは、Disney+で配信中のドラマ『ファルコン&ウインター・ソルジャー(F&WS)』にて描かれています。

 

ファルコンの初登場は、1969年に刊行されたコミックから。

マーベルコミックに登場する黒人系ヒーローとしては、最初期のキャラクターなんだそうです。コミックでは当初、レッドウイングというハヤブサを連れた一般人だったようですが、スティーブとの出会いをきっかけに、自身もヒーロースーツを着て戦うようになります。その後も長年スティーブの相棒を務め、アベンジャーズの主要メンバーとしても活躍。スティーブが不在の時には、彼に代わってキャップを名乗ったこともあるようです。

そんな彼の最大の特徴が、背中に装備した巨大なウイング・ユニットを駆使した飛行能力。超人血清は打っておらず、身体能力は通常の人間と同等であるものの、空を自在に飛び回って敵を翻弄し、優れた格闘スキルで制圧するのが彼のスタイルとなっています。ただ、作品によってはスティーブから輸血を受けたことで血中の超人血清がサムの体にも入り、超人的な身体能力を獲得したこともあったみたいです。この辺は、色んな人が同一のキャラクターを描いていて、描く人によって設定が微妙に違ったりするアメコミの面白いところですね。

 

概要

本作の特徴としては、キャップ2作目『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』を思わせる、ポリティカル・サスペンス色の強い作品であること。謎が謎を呼ぶ、ダークな雰囲気が見どころとなっています。

『ウィンター・ソルジャー』は個人的にMCU作品でトップクラスに大好きな作品なので、すごく期待していた…というか、「頼む…どうか面白くあってくれ…」と祈るような気持ちで公開を待っていました。いやその、僕はいつも非常に楽しく鑑賞させていただいているんですが、世間的には最近のMCU作品って評価がアレなの多くなってきてるじゃないですか。なので、大衆的にも高く評価される作品であって欲しいなと。

 

監督を務めるのは、ジュリアス・オナー
Netflix配信の映画『クローバーフィールドパラドックス』の監督などで知られています。

脚本は、『プリンセスと魔法のキス』のロブ・エドワーズ、『F&WS』でも脚本を務めたマルコム・スペルマンダラン・ムッソンなど。

 

主演はクリス・エヴァンスに代わり、アンソニー・マッキー
『ウィンター・ソルジャー』からずっと同役を演じ続けており、俳優としても人間としても大きく成長しているのがよくわかります。

本作のメインヴィランを演じるのは、ティム・ブレイク・ネルソン
2008年公開のMCU第1作目(※日本公開順)インクレディブル・ハルク』でも同役で出演しており、なんと17年ぶりの登場となりました。

我が国日本からも、『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』や『SHOGUN 将軍』などに出演している平岳大が出演しています。

あとはなんといっても、知らない人はいない大俳優、ハリソン・フォードの出演も外せません。
インクレディブル・ハルク』からたびたび登場しているキャラクターを演じていたウィリアム・ハートが亡くなったことにより、ハリソンがその役を引き継ぐ形で出演しています。

 

予告編


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あらすじ

世界は今、インド洋に突如出現したセレスティアル島で採れる未知の鉱物、アダマンチウムを巡り、緊張状態にありました。

新たなキャプテン・アメリカとなったサム・ウィルソン(演:アンソニー・マッキー)は、アメリカ大統領となったサディアス・E・“サンダーボルト”・ロス(演:ハリソン・フォード)より、アベンジャーズの再建を依頼されます。そんな中、首脳陣が出席する国際会議にて大統領暗殺未遂事件が発生したことで、各国の対立は更に大きくなり、世界大戦に発展しかねない事態に。しかもその犯人がサムの友人であるイザイア・ブラッドリー(演:カール・ランブリー)であったために、アベンジャーズ再建も白紙となってしまいます。

世界を揺るがすこの危機は、あるひとりの人間によって仕組まれたものでした。
さらにその渦中、大統領の体にも異変が起こり始め――。

というのがあらすじ。

 

感想

率直に、僕はとても面白いと思いました
でも残念ながら、世間的にはデップーほどの人気は獲得出来ていないようで…。なぜ…なぜなんや…。

 

僕が本作を見たのは、公開してさほど経っていない2月中旬頃。いろいろゴタゴタしていて鑑賞から日が空いてしまいましたが、なんとか記憶を振り絞って感想を書いていきたいと思います。

 

サム・ウィルソンという男

まず僕は、サムというキャラクターが当初から大好きでして。
どこが好きかというと、彼が非常に“等身大のヒーロー”であるところ。

 

ティーブは肉体も精神も非常に強靭で、自分の信念は絶対に曲げず、それを実現するだけの実力も持っている。自ら先頭に立ち、みんなを率いていくことも出来る。しかもルックスも非常に端正ときた。まさしく、“理想的なヒーロー像”を体現しているわけです。

ですがサムは、肉体は普通の人間と変わらないし、割とリアリストなところがあるので、自分ひとりの力だけでは限界があることを重々理解している。『F&WS』で描かれた通り、未だ根付いている黒人差別問題が、彼をそういう人間にした一因となっているのは言うまでもありません。あとはスティーブに何度も「左から失礼」されて、超人と凡人の差をさんざん思い知らされたせいもある気がする…(そう考えるとちょっと笑える)。ルックスはスティーブに負けないほどカッコいいと思いますけどね個人的に。

 

そんな等身大の人間が、必死に努力し、もがき、苦しみ、人々を守るために懸命に戦う。そんなサムの姿が、なんともグッとくるんです。

超人血清を打ち、ヴィランをその力でもって制圧すればいいところを、彼はそれをしない道を選んだ。それは「相手と同じ目線に立つ」ということで、その相手とは市井の人々=守るべき人だけでなく、ヴィラン側の気持ちにも寄り添えるということなのかなと。悪者たちは殺意剥き出しで挑んでくるので、常に死と隣り合わせの戦いを強いられる。更に偉大なる先駆者、スティーブとどうしても比べられ、常に完璧以上を求められる。そうしたプレッシャーに圧し潰されそうになりながらも、自ら茨の道を歩む。イザイアの件もあって、こういう人たちにこそ寄り添っていかなければ、という思いがより強くなったのではないかと、そんな風に思えます。

ティーブと自分は違う。違うからこそ、自分にしか出来ないことがあるはず。今のサムからはそうした覚悟が伝わってくるような気がして、そこがすごく魅力的なんです。

 

何度も「あぁー、やっぱり血清打っとくんだったぜ!」って弱音を包み隠さず出すところとか、リムジンの中でめっちゃはしゃいじゃうところとか、そういうところも“普通の人間らしさ”があって非常に良かったです。元から大好きだったサムのことが、本作でより好きになりました。

 

ニュー・ファルコン

サムが今まで使っていたファルコンのスーツは、『F&WS』でサムをサポートした空軍中尉、ホアキン・トレス(演:ダニー・ラミレス)へと引き継がれ、本作では彼が2代目ファルコンとして活躍しています。今は軍を離れ、サムのサポートに徹している模様。

このトレスがまたいいキャラなんですよね。サムは元々カウンセラーをやっていただけあって精神的には最初から成熟していましたが、トレスはまだ若く、それ故に向こう見ずなところがある。そのため時々サムの指示を聞かずに無茶をするところがあり、ヒヤヒヤさせてくれます。でもそれは強い正義感と熱い心を持っている何よりの証であって、だからこそサムも彼にウイングを託したんでしょうね。

ラストで彼が言う「あんた(=サム)はスティーブのように、みんなの“希望”にはなれないかもしれない。でもあんたは、みんなの“目標”になれる。」というセリフは、サムという人間を、そして本作そのものを象徴する言葉だと思いました。きっとトレスが目指しているヒーロー像も、スティーブではなくサムのそれなんでしょうね。「なんていいヤツなんだトレス…!」と思って涙が溢れましたよ。本作で大怪我を負ってしまいましたが、きっと回復して今後も活躍してくれることでしょう。楽しみです。

訂正:
このセリフ、トレスじゃなくてバッキーのでしたね。「お前それ(言おうと思って)書いてきただろ?」「最後の方はな。」ってやり取りが最高でした。ラストでトレスが「俺が憧れてるのはスティーブじゃない、あんたなんだ」みたいなことを言っていた気がしますが、それと混同してしまったようです。

 

余談ですが、サムの装備なんだからレッドウイング付いてるでしょ?使わないの?サムの声にしか反応しないのかな?とか考えてましたが、そういや確か『F&WS』で壊されてたような。見終わってから気付きました。

 

暗躍するヴィラン、リーダー

本作のメインヴィランサミュエル・スターンズ(演:ティム・ブレイク・ネルソン)。確か劇中では呼ばれていなかったと思いますが、ヴィラン名はリーダーだそうです。

インクレディブル・ハルク』でブルースの血液が額の怪我から入り込み、その影響で脳が肥大化。常人離れした頭脳と、あらゆる事象を確率に換算し、未来を予測する能力を獲得しました。「ギニューみたい」と思ったアラフォーは僕だけではないはず。

…え?僕だけ?

ギニューと違って(笑)戦闘能力は皆無に等しいですが、知略で攻めてくるところなんかは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』のヘルムート・ジモのようで、不気味な存在感を放っていました。

とはいえ、サムが「相手はオレがこういう行動をすると思ってる。だからあえて逆の行動を取る!」みたいなのに簡単に引っかかるところは、なんだかなぁ…と思いました。策士策に溺れる、的な?そういうのも含めて予測しなきゃダメじゃない?しかもめっちゃすぐブチ切れてたのもあって、小者感がイナメナス

 

がんばってる大統領

これまではアメリカ陸軍将軍だった、ロス大統領。

将軍時代は、「スーパーパワーはすべて軍が管理する!うまく使ってやるから感謝しろ!」といったスタンスでしたが(※個人の見解です)、今は「国のために一番最善の方法を考えよう」みたいに、考えが軟化。そこには、自身の老い先がそう長くないことを知り、死ぬ前にすっかり嫌われてしまった娘にもう一度好かれるような父になろう、という思いがありました。悟りの境地みたいなもんですかね。現実のお方も少しは見習ってほしいものです。

結局はそうした思いもスターンズに利用され、最悪のタイミングでレッドハルクへ変貌し、暴走状態に。あっという間に大統領の地位を失うことになります。ロスの失脚がスターンズの目的だったので、その目的は見事に果たされる結果となりました。

しかし、自ら収監されることを選んだロスの顔は、どこか晴れやか。なんやかんやあったけど、停滞していた国が再び前に進みはじめた。その妨げにならないよう、ここ(刑務所)にいるのが“最善”なのだと。その決断は娘の心をも溶かし、親子の絆を取り戻すに至りました。結果だけ見るとヴィランの企みは成功したように見えますが、内面的にはむしろその企みは打ち砕かれているというのが、なかなか気の利いたオチだなぁと思いました。

 

過大評価されすぎな我が国、日本

セレスティアル島で新たに発見された未知の鉱物、アダマンチウム。それを世界で唯一精製することに成功したのが、我らが日本。そのため、日本を味方につけることが、世界情勢のカギを握っている、とのこと。

ちなみに、セレスティアル島とは何なのかを知りたい方は、映画『エターナルズ』を見ましょう。見なきゃダメ!というわけではないけれど、単体でも楽しめる作品なので、良かったらぜひ。そして感想書いてるので、良かったらこちらもぜひ…!

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そんなこんなで、本作における日本は、非常に重要な立ち位置にいます。

…でもさ、日本を高く評価してくれるのはとても嬉しいけれど、現実の今の日本に、そんなこと出来るわけないよね、というのが正直なところ。ニンジャ・サムライ・ゲイシャ・スモウが闊歩しているネオンギラギラな日本と同じくらい、完全なファンタジー・ジャパンですよね、悲しいけれど。

 

下町ロケット』みたいな日本の町工場が、熱い情熱をもって不可能を可能にしてきたのは、今やもう昔の話。全く存在しないわけではないかもしれないですが、そうした中小企業を国は一切守ろうとしないので、衰退していく一方。ましてや、新しい技術にチャレンジしていこうなんて、そんな気概が今の日本にあるはずがない。

さらに言うと、劇中のような「日本はあなた方の思惑には乗らない!」といった毅然とした態度がとれるとは、到底思えないですよね。「アッアッ、アメリカさんのおっしゃることなら、その通りにしますぅ、ハイィ…」って感じですわな現実は。カッコいい描き方してくれるのはありがたいことこの上ないですが、ちょっと買いかぶり過ぎですって。

なんだかんだで僕は日本が大好きなので、本作のような国になっていってくれることを心のどこかでは願ってはいますが、どんなに政権交代しても一向に国は良くならないし、今後も期待出来るとは口が裂けても言えないんだよなぁ…。

 

…と、作品と無関係な愚痴はこの辺にしときます。大変失礼しました。

 

おわりに

意外とたくさん書けました。
関係ない話が多かった気もしますが、以上になります。

「新しさがない」とか「保守的で、変化に乏しい」みたいな評価が多いようですが、そうかなぁ…?というのが個人的な思い。言わんとしていることはわかるけれど、「新たなキャプテン・アメリカ像」という部分ではしっかり差別化していたと思いますし、僕はとても楽しめました。ただ、欲を言えばポスクレはもうちょいワクワクするものを用意して欲しかったかな。

今年はたくさんMCU作品が劇場公開されますし、今から非常に楽しみです。

ということで、映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー:ワールド』の感想でした。

ではまた。