Disney+にて配信中のドラマ『ロキ シーズン1』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。
2023/01/08:目次を付けました。
マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。
最近は映画だけでなく、Disney+にてドラマシリーズも展開されています。ドラマだから映画よりもスケールダウンしているかというとそんなことは全くなく、映画と全く遜色のないスケールになっております。
ドラマというと既に『エージェント・オブ・シールド』や『エージェント・カーター』など、あとはNetflixで『デアデビル』や『アイアンフィスト』などがありますが、これらはあくまで外伝的なお話であって、MCUの本筋と絡むことはないらしいです。てかNetflixのドラマも一応世界観は共通なんですね、知らなかった。なので僕はいずれ見たいとは思いつつも、恥ずかしながら現状全くノータッチです。しかし、Disney+で展開中のドラマはガッツリと本流に乗っている、つまり正真正銘MCUのドラマシリーズとなるため、ファンとして見ないわけにはいくまい。
もくじ
2021年8月現在、アベンジャーズのメンバーであるスカーレット・ウィッチ/ワンダ・マキシモフとヴィジョンが主役の『ワンダヴィジョン』、ファルコン/サム・ウィルソンとウインター・ソルジャー/ジェームス・"バッキー"・バーンズが主役の『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』、そして今から感想を書く『ロキ シーズン1』の3作が配信されています。前2作に関してはいずれ記事を書きたいと思っているので詳細は割愛。とりあえず言えるのは、どちらも超面白いです。
概要
本作の主人公は、アベンジャーズのメンバーである“雷神”ソーの弟であり、“悪戯の神”の異名を持つロキ。
傲慢でプライドが高く、他人を見下し、自信過剰。平気で嘘をつき、人を騙すのが得意。『アベンジャーズ』1作目のメインヴィラン(敵役)であり、狡猾な手口でヒーローを追い詰めるも、団結したヒーローたちを前に惨敗。その後、なんだかんだあってソーと共に戦ったりと、ドラゴンボールでいうベジータ的な立ち位置のキャラです(ベジータほど完全に仲間になったって感じでもないけど)。
上記の通り割とクソ野郎なんですが、どこか抜けていたりと絶妙な小物感が漂っており、演じるトム・ヒドルストンのセクシーかつ愛嬌のある演技も相まって、なんとも憎めない愛されキャラになっています。かくいう僕も大好きなキャラです。
そんなロキですが、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の冒頭で、ソーをかばってサノスに殺されてしまいます。しかしその続編『アベンジャーズ/エンドゲーム』にて、タイム泥棒作戦で『アベンジャーズ』1作目の舞台である2012年のニューヨークへ飛んだ際に、連行されるところだった2012年のロキはどさくさに紛れて四次元キューブを奪って逃走。
本作は、その逃走したロキのその後を描くお話となっております。
僕は好きなものは最後まで取っとくタイプで、そのせいで楽しみにしてる作品ほど後回しにしてしまう悪い癖があるのですが、本作がまさにそれで、楽しみであるがゆえにしばらく見れずにおりました(というかMCUのドラマ全部そのパターン)。で、いざ見始めたら毎回先が気になりすぎる終わり方をするもんだから、朝までノンストップで全話一気見してしまいました。
と、前置きはこのくらいにして、感想を書いていきたいと思います。
全6話とそれほど多くないので、今回は1話ずつ簡単なあらすじと感想を書いていくスタイルで。
予告編
本編感想
第1話 ”大いなる目的”
四次元キューブを奪って逃走したロキ(演:トム・ヒドルストン)。ゴビ砂漠へテレポートしたはいいものの、時間変動機関(Time Variance Authority、通称TVA)の職員がすぐさま現れ、TVA本部へ連行されてしまう。流れ作業のような裁判で存在を消されそうになるも、メビウス・M・メビウス(演:オーウェン・ウィルソン)の計らいで、時間軸を乱す変異体という存在をTVAと共に探し出すことに。そしてその変異体の正体は、別宇宙のロキ=自分自身であることが明かされる――。
この第1話は、主に世界観の説明に時間を割いていました。マスコットキャラのミス・ミニッツ(声:タラ・ストロング)によってTVAの成り立ちや業務内容を説明される中で、神聖時間軸やタイムキーパー、マルチバースなどについてもわかりやすく解説してくれます。
ついに出てきましたねマルチバース。あんな展開やこんな展開、想像が無限に広がってワクワクします。にしても、アメコミといえばマルチバース、みたいな印象がありましたが、これまでのMCU世界では逆にマルチバースが発生しないようにしていた、というのは面白いですね。まぁこれまで出てこなかったことに辻褄を合わせるにはこうするしかなかったのかもですが。枝分かれした時間軸を元に戻すために変異体の存在を抹消することを”剪定”と呼んでいるのも、ワードセンスいいなーと思いました(小並感)。あと、TVAの使っている機械やら何やらがやたらレトロなデザインなのが個人的にツボでした。
あとは何と言ってもロキの魅力たるや。
冒頭、ゴビ砂漠でTVAに連行される際、時間の流れを遅くする(でも感覚は元の時間のまま=ずっと痛い)謎の棒で殴られて、面白い顔をスーパースローで見せてくれるロキ。カワイイ。
TVA本部にて、アズガルドの高級レザー製の服を自慢した瞬間、一瞬で服を消滅させられるロキ。カワイイ。そしてマッスルがすごい。
こっそり自分にこれから起こりうる運命(兄との共闘や自分の最期など)を見てしまい、ベソかいちゃうロキ。カワイイ。カワイイが過ぎる。
やっぱロキっていいキャラクターだなぁと改めて実感。
第2話 ”変異体”
TVAにて変異体の手がかりを探すロキ。生存者がひとりも出ないほど大きな災害が起きるタイミングでは、痕跡などが全て消えてしまうため分岐が起こらないことを突き止め、そこに変異体がいると推測。捜査の末、暴風雨で全壊する直前のスーパーマーケットに辿り着く。しかし、変異体の目的はTVAの壊滅であり、そこには罠が張り巡らされていた。そしていよいよ姿を現した変異体=別宇宙のロキは、女性の姿だった。奪った端末でどこかへ消える変異体。それを追って、ロキもタイムドアの向こうへ消えていく――。
物語が動きだす第2話。楽しい捜査パート、不気味なスーパーでの攻防、そして変異体の正体と目的。変異体は”ロキ”だと言われていたので、その姿が女性だというのは全然発想に無くてビックリしました。でも、ロキがバイセクシャルであることを明かしていたりと、女性の姿でも不思議ではない感じを出しているのがなんとも上手い。また、マインドジャックの能力や狡猾な性格など、しっかり”ロキ”なのもすごく良かったです。
第3話 ”ラメンティス”
TVA本部へ乗り込んできた変異体。ロキを後も追い、争っているうちにどこかへテレポートしてしまう。そこは、巨大隕石が衝突して星ごと消滅してしまう直前のラメンティスという惑星だった。変異体は、自分はシルヴィ(演:ソフィア・ディ・マルティーノ)だと名乗る。端末が使えなくなってしまったので、何とか自力で脱出しようとする二人。シャトルで脱出を試みるも、あと少しのところで隕石がぶつかって爆発してしまう。このまま惑星と共に消えてしまうのだろうか――。
比較的内容の薄い第3話。ラメンティスからの脱出方法を探しながら、少しずつ距離を縮めていくロキとシルヴィ。シルヴィが普通にカワイイ。しかも見てるうちにどんどんかわいくなっていく。基本的にずっと面白かったんですが、酔っぱらって暴れたりする、列車の中のくだりは正直なくても良かった気が…。酔っぱらうのもよくわからんし、なんで変装解いてるのかとかもよくわからんし…。何か策があってやってるのかと思いきや、特にそういうわけでもないようだし。お互いの魔法について教え合うとことかは良かったですけど。
第4話 ”分岐イベント”
死を悟った二人は、本音で語り合う。その中で、だんだんと惹かれ合っていく二人。しかし元々同一人物であるため、それはイレギュラー中のイレギュラー。災害の起きるタイミングでは時間軸の分岐は発生しないはずが、急激に分岐していく時間軸を測定したTVA。思いがけず二人の居場所を特定し、すんでのところで本部へ連行する。
再び尋問を受ける二人だったが、その中で、シルヴィはあくまで操る人間の記憶をもとに幻影を見せている、つまり操ったハンターたちの中にはハンターではない別の記憶があることがわかる。そこから、TVAの職員はタイムキーパーによって作られたとされていたが、実は全員元々変異体だったことが明らかになる。真実に近づいていくメビウスだったが、上司であるラヴォーナ・レクサス・レンスレイヤー(演:ググ・バサ=ロー)によって剪定されてしまう。
シルヴィとロキはついにタイムキーパーのもとへ辿り着くが、その正体はただのアンドロイドだった。では一体誰が何の目的でTVAを作ったのか?TVAという組織が根底から覆されていく…。その時、レンスレイヤーによって剪定されてしまうロキ。存在を抹消されたかと思われたが、見知らぬ場所で目を覚ます。そこには、ロキに似た格好をした複数の人物が――。
怒涛の勢いで真実が明らかになっていく第4話。サスペンスっぽくてとても見応えがありました。ロキとシルヴィが惹かれ合うというのは、ナルシストであるロキだからこその必然性を感じました。また、ハンターB15(演:ウンミ・モサク)が、話が進むごとにどんどんカッコよくなっていくのがすごく良かったです。最初はロキに出し抜かれるだけのキャラと思っていただけに、メインキャラに昇格していくのはとてもイカス展開。
第5話 ”未知への旅”
ロキが目覚めたのは、ヴォイドと呼ばれる虚無世界。TVAの剪定とは存在を抹消するのではなく、時空のゴミ捨て場のようなこの世界に転送することだった。そこにはアライオスという時空をも呑み込む怪物がいるのだが、かつて剪定された別宇宙のロキ達はどうにか生き延びていた。
ソーを殺害した時間軸のキッド・ロキ(演:ジャック・ヴィール)。幻術でサノスをも騙して逃げ延びた時間軸のクラシック・ロキ(演:リチャード・E・グラント)。ハンマーを持った黒人ロキ(演:デオビア・オパレイ)。そして、なぜかワニの姿のロキ。などなど。
一方、TVA本部では、剪定棒を自分に当てて自らヴォイドに飛ばされるシルヴィ。メビウスと合流し、その後ロキ達とも合流する。シルヴィは、アライオスをマインドジャックする策を立てる。TVAが何者かに作られたものであれば、アライオスがその黒幕の居場所を知っていると考えたのだった。クラシック・ロキが犠牲になりながらも、ロキと二人がかりでどうにかマインドジャックに成功。そして遂に、黒幕のいるどの宇宙とも異なる時空へとたどり着く――。
見応えの塊のような第5話。特に良かったのは、クラシック・ロキの意外な活躍。アライオスの気を引くために、幻術でアズガルドの街ごと作り出すというとんでもない能力を披露します。こんなすごい力を持っていたのかと驚きました。あと、ワニロキがカワイイ。ロキとシルヴィとのやり取りでは、かつての自己中心的で傲慢なロキはもうおらず、彼の精神的成長が見えてとても良かったです。
第6話 ”とわに時を いつでも”
ついに黒幕のいる洋館へと辿り着くロキとシルヴィ。そこに現れたのは、ミス・ミニッツ。彼女は黒幕を”在り続ける者”と呼び、彼のもとへ案内する。
”在り続ける者”(演:ジョナサン・メジャース)は飄々とした態度で、自分が30世紀の科学者であること、これまで起こった全ての出来事は全て自分のシナリオ通りであったことなどを明かす。戸惑う二人に彼は「疲れた」と言い、自分を殺すよう促す。しかし彼を殺すことは、彼が管理していた多元宇宙を解放し、宇宙に混沌をもたらすことになる。彼を殺すか生かすか、思い悩むロキ。しかしシルヴィは、自分の人生を滅茶苦茶にした彼を許すことが出来ず、迷いなく殺そうとする。まずは落ち着いてよく考えるよう促すロキ。しかし彼女の思いは変わらず、ロキをTVA本部へと飛ばし、”在り続ける者”を殺害。
その瞬間、無限に分岐していく時間軸。どうにかしなければとメビウスのもとへ向かうロキだが、彼らはロキに「誰だ君は」と言う。更に、TVA本部にあったタイムキーパーの像が、”在り続ける者”の像へと置き換わっていた。一体何が起こっているのか。真相は<シーズン2>へ――。
ほぼ会話劇だった最終話。とはいえ、次々と明かされる真実に全く飽きることなく見れました。
”在り続ける者”は要は本作のラスボスな訳ですが、やたらと明るい性格なのもなんだか新鮮。原作には詳しくないのですが、彼(正確には別宇宙の彼)は、今後サノスに代わるスーパーヴィランになるんだとか。楽しみだなぁ。
あとは、これまで手を握る程度だったロキとシルヴィが、遂にキスをする場面。もったいつけていた分、感動もひとしお。にしても、落ち着いて考えようとするロキに対し、絶ってぇ許さねぇ状態なシルヴィ。置かれた境遇が違えば同一人物でもこれほど考え方が違ってくるのかと、複雑な気持ちになりました。
余談ですが、個人的には終わり方がホラーとかサスペンスチックで割りと好みでした。なので、「ロキはシーズン2で帰ってくる」の部分は無くても良かったのでは、という思いが。いやシーズン2やってくれるのは大変ありがたいんですけど、それを先に伝えちゃうと「続くのかよ!」と思っちゃうというか、終わりを先延ばしにしただけに見えてしまうというか…って伝わりますかね。
おわりに
とまぁ、こんなところにしておきます。
マルチバースの誕生を描いた、今後のMCUにとって非常に大事な作品になっております。本作で起こったことが『ドクターストレンジ2』や『アントマン3』に繋がっていくようなので、ファンであれば必見の一作です。って、そんな大事な話をロキが主役のドラマでやっちゃうところがMCUのすごいところだよなぁ。シーズン2もですが、MCU全体の今後が非常に楽しみです。
ということで、ドラマ『ロキ シーズン1』の感想でした。
ではまた。