映画『デッドプール&ウルヴァリン』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。
マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。
本作は、マーベルコミックに登場するヒーローのひとり、デッドプールを主人公とした作品であり、2016年公開の『デッドプール』、2018年の『デッドプール2』に続く第3作目となります。
満を持してMCU入りしたデッドプールが、超有名ヒーローであるウルヴァリンとコンビを組み、マルチバースの垣根も第4の壁も越えて大暴れする、アクション超大作となっています。
もくじ
デッドプールとは
デップーことデッドプールのコミックでの初登場は、1991年と割と新しめ。
末期癌に侵された体を治療するためにとある実験へ参加し、そこでウルヴァリンから抽出したヒーリングファクターを注射されたことで、超回復能力を獲得した、という経緯を持っています。その不死身の体で数々の戦争を経験し、培われた刀を使用した剣術、銃を用いた射撃術が、彼の基本的な戦闘スタイルとなっています。また、コミックを読んでいる読者に話しかけてくる、編集者にクレームを入れるなど、いわゆる“第四の壁”を越えてくるのも、彼の大きな特徴です。
様々な作品にゲスト出演しており、多数のヒーロー、ヴィランと面識があります。精神面に問題はあるものの、破天荒なキャラクターを活かしたコメディ担当や、善にも悪にも転ぶトリックスターとして、アメリカ国内だけでなく日本でも高い人気を誇っています。
ウルヴァリンとは
ウルヴァリンの初登場は、1974年刊行のコミックから。
ミュータントと呼ばれる超人的な能力を持った人間のひとりであり、ミュータントで構成されたスーパーヒーローチーム、X-MENのメンバーです。X-MENの実写映画はこれまで数多く公開されていますし、ウルヴァリン単体の映画も複数公開されているほどの大人気キャラクターですので、ご存じの方も多いかと思います。
彼のミュータントとしての能力は、普通の人間であれば即死レベルの大怪我でもたちまち治ってしまうほどの、ヒーリングファクターと呼ばれる超回復能力。これにより、不老不死とまではいかないまでもかなり老化が遅く、筋力も強化されているんだとか。また、彼の骨格は世界最硬の金属であるアダマンチウム合金で構成されており、ほぼ破壊不可能。金属の重量によってパンチ力やキック力はさらに強化されているほか、腕に埋め込まれたアダマンチウムの爪を拳から出し、あらゆるものを切り裂くことが出来ます。近接戦闘においてはX-MEN内でも右に出る者はいないほど、高い戦闘能力を持ったキャラクターです。
これまでのおさらい
あまり参考にならないかもしれませんが、今回もこれまでの作品を簡単におさらいしていこうと思います。
- 『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』2009年
この作品で、デッドプールが実写映画へ初登場。といっても、複数のミュータント能力を人工的に移植された、命令だけを聞く自我の無い戦闘マシーンという、名前を借りただけの全くの別キャラクターです。映画のラスボスとして、ウルヴァリンと激闘を繰り広げました。正直、本シリーズとはあまり関係ないですが、セルフパロディとして劇中でもたびたびイジっているので、一応紹介させていただいた次第。 - 『デッドプール』2016年
上記のウルヴァリン単体作でデップーを演じたライアン・レイノルズは以前からデップー主役の映画を作りたがっていましたが、製作側はなかなかGOを出さなかったそうです。そこでレイノルズは、勝手に作った映像を勝手にネットに流し、それを見たファンが製作を熱望。やらざるを得ない状況を意図的に作り出したことで、ようやく製作側が重い腰を上げた…という経緯を持つ作品(※僕の脚色込みなので、事実とは異なるところがあるかもしれません)。
デップーのビジュアル、キャラクターは原作に忠実なものとなり、ファンにも好意的に受け入れられ、シリーズ化されることとなりました。 - 『デッドプール2』2018年
荒廃した未来を変えるため、タイムマシンでやってきた謎の男、ケーブル。彼は未来で妻子を殺害した、将来スーパーヴィランとなる少年を殺そうとしますが、デップーはそれを止めようとして対立、というのがメインの流れ。
最後はタイムマシンを使って亡くなった恋人や友人を救ったり、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のデップーを無かったことにしたり、大ゴケした映画『グリーン・ランタン』への主演を無かったことにしたりと、やりたい放題でした。ちなみに僕は『グリーン・ランタン』の映画、結構好きです。
本作概要
そんなこんなで、本作。
これまでとはだいぶ置かれている状況が変わり、それが作品にも大いに反映されています。
一番大きいのが、製作スタジオの変更。
前作までは、『X-MEN』シリーズや『ファンタスティック・フォー』シリーズなど、多くのアメコミ系ヒーロー映画を手掛けてきた20世紀FOX映画のもとで製作されてきました。しかし2019年、当スタジオはウォルト・ディズニー・スタジオに買収され、それに伴い、本作からはディズニー傘下のマーベル・スタジオ主導で製作されています。天下の20世紀FOXも時代の奔流には逆らえずか。時の流れとは無常ですね…。まぁ、そのおかげでデップーもMCU入り出来たわけですし、悪いことばかりじゃないんですけども。
監督を務めるのは、ショーン・レヴィ。
大ヒット映画『ナイトミュージアム』シリーズやTVドラマ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の製作・監督としても知られ、レイノルズとのコンビは『フリー・ガイ』『アダム&アダム』に続き3作目となります。
『フリー・ガイ』は僕も大好きな作品で感想も書いていますので、併せてお読みいただけますと幸いです。
脚本は、レイノルズ、レット・リース、ポール・ワーニックといった前2作も手掛けたメンバーのほか、スパイダーマンなどのコミックを描いているゼブ・ウェルスや、レヴィ監督も脚本協力している模様。
主演を務めるのはご存じ、ライアン・レイノルズ。
数多くのコメディ作品、アクション作品への出演のほか、ハリウッド版『名探偵ピカチュウ』では、ピカチュウの声と表情のモーションキャプチャーを務め、色んな意味で話題となりました。
もうひとりの主演もご存じ、ヒュー・ジャックマン。
ウルヴァリン役で一躍スターダムへ駆けあがり、『レ・ミゼラブル』や『グレイテスト・ショーマン』への出演でミュージカル俳優としての地位も確立。2017年の『LOGAN/ローガン』でウルヴァリン役を引退すると発表していましたが、本作で電撃復帰となりました。
そのほか、『プライドと偏見』のマシュー・マクファディン、Netflixのドラマ『ザ・クラウン』でダイアナ妃を演じたエマ・コリンらが出演。ほかにもあんな人やこんな人、驚きのキャストが多数出演していますが、それはのちほど。
ちなみに本作はR15+指定となっており、そこそこゴア表現がありますので、苦手な人はご注意ください。
予告編
あらすじ
無責任ヒーローとしてやりたい放題やってきた、ウェイド・ウィルソン/デッドプール(演:ライアン・レイノルズ)。
そんな彼も今、人生の岐路に立たされていました。
婚約者だったヴァネッサ・カーライル(演:モリーナ・バッカリン)とは心の距離が離れてしまい、破局。アベンジャーズ入りを熱望し、ハロルド・“ハッピー”・ホーガン(演:ジョン・ファヴロー)の面接を受けるも、「自分の身の丈に合う仕事をしろ」と一蹴。ウェイドはヒーローを引退し、中古車セールスマンとして働くことに。それでも、かけがえのない友人たちが自分のそばにいてくれる。そんなささやかで幸せな生活を送っていました。
そこへ突然、時間変異取締局(Time Variance Authority=TVA)を名乗る者たちが現れ、ウェイドは連行されてしまいます。タイムマシンで好き勝手やった件か…と思いきや、そうではない様子。TVAエージェント、ミスター・パラドックス(演:マシュー・マクファディン)曰く、ウェイドたちのいる時間軸にて、世界を構成するために最も重要な存在=アンカーが死亡したため、時間軸の消滅が迫っている、とのこと。ウェイドたちの世界におけるアンカーはもちろんウェイド…ではなく、『LOGAN/ローガン』にて壮絶な最期を遂げた、ローガン/ウルヴァリン(演:ヒュー・ジャックマン)でした。
今の生活を失くしたくないウェイドは、別次元(マルチバース)からローガンを連れてきてアンカーとして据えれば、世界の消滅を防げるのでは、と思いつきますが――。
というのがあらすじ。
本編感想
前に書いた『劇場版モノノ怪 唐傘』と同じ日に見たので、鑑賞から1か月以上経ってしまいました。X(旧Twitter)の感想投稿キャンペーンも終わってしまったようで。遅くなった理由は特になく、単にサボっていただけです。感想書きたい作品が溜まってきてしまっているので、とにかく何でもいいから形にしておこうと思い、記憶を頼りに書いてます。うろ覚えのところもありますが、どうかご容赦ください。
キャラ紹介やおさらいで結構文字数稼げたので、感想はさらっと済ませたいと思います(笑)
どうやら本作はかなりヒットしているようですが、僕の率直な感想としては、
なんでそんなにヒットしてるんだろう…?
といった感じ。
いやコレ悪い意味ではなく、僕は超楽しかったです。(強調)
ただ、決して万人受けする内容ではないというか、本作を最大限楽しむためにはそれ相応の知識というか、時を共にした“歴史”みたいなものが必要だと思いまして。
というのも、本作は「20世紀FOX映画への追悼(イジリともいう)」の意味合いが強く、過去20世紀FOXが製作してきた映画のキャストが多数登場します。なので、それらの作品を鑑賞してきた人は「うぉぉクリエヴァ!…ってそっちかよ!」とか、「パイロやセイバートゥース、同じ俳優だよね!?」とか、「スナイプスのブレイドがまた見れるなんて!(ブレイドだけは唯一20世紀FOXの作品ではないらしい)」とか、「エレクトラ相変わらずカッコよすぎ!」とか、「ローラ、おっきくなったね…(泣)」とかとか、大興奮間違いなしなわけです。
さらによりディープな人たちは、「原作準拠の小っちゃいローガン、露悪的過ぎてめっちゃウケる」とか、「ヘンリー・カヴィルwww(役名がカヴィルリンと知って大爆笑した)」とか、「チャニングのガンビットの“もともと存在すらしてなかったのかもしれない”ってそういうことか」とか、笑いどころには事欠かないわけです。
が…
普通の人は全部わかんないって!一見さんお断りか!!
と思ってしまいまして。
なんか、昔はこういうの素直に楽しめてたんですが、「アメコミ映画って作品数ありすぎて手を出しにくい」と言われて久しい最近では、もうちょっと知らない人にも配慮してやれよ…という気持ちが出てきちゃって、純粋に楽しめなくなってきました。「見てる人はみんな“知ってる人”でしょ?わかるよね?」ってことなんでしょうかね。知らない人は置いてけぼりでも、今はファンの数も膨大だし、勝手知りたるファンの方を大事にしていこう、って感じなのかな。既存のファンも新規の顧客も満足できる作品なんてそう簡単にできないのはわかりますけども。本作なんてひとつひとつ説明してたら時間がいくらあっても足りないし、何より全然面白くないですけども…。
上手く言葉に出来ないですが、なんだかモヤモヤしちゃう。
最近のMCU作品と同様、本作のヴィラン、カサンドラ・ノヴァ(演:エマ・コリン)はその強さの割にあまり大物感を感じなかった…けどビジュアルはめちゃくちゃ良かったしキャラクターとしては結構好きになれたので良かったとか、デップー軍団の登場とバトルは否応なしにテンション上がったとか、「スローで壮大な音楽(マドンナ)がかかったらそういうことなんだよ!」ってのはほんとそう(笑)とか、ほかにもいろいろいっぱい良いと思うところはありましたが、まぁそんな感じです(適当)
おわりに
ゴチャゴチャ言いましたが、楽しかったのはホントだよ!ホントにホントだよ!!
今年劇場公開されるMCU作品は、本作が唯一なんですね。年に数作公開されるのがセオリーになっていたので、なんだかさみしい気持ち。でも、粗製乱造だなんだと言われていたことを考えると、ひとつの作品の完成度を上げるという方針は間違いではないと思います。
来年は『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』、『Thunderbolts(原題)』、『Fantastic Four First Steps(原題)』、『Blade(原題)』など、多くの作品が公開予定。個人的に期待している作品ばかりなので、非常に楽しみにしております。
ということで、映画『デッドプール&ウルヴァリン』の感想でした。
ではまた。