映画『モアナと伝説の海2』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。
2017年に日本で公開され、大ヒットを記録したディズニー映画『モアナと伝説の海』。
その続編となる、ディズニー映画最新作が本作、『モアナと伝説の海2』です。
前作から数年後を舞台とし、モアナたちの新たな旅が美しい映像や陽気な音楽と共に描かれている、ミュージカル・アドベンチャー作品となっています。
もくじ
概要
前作のあらすじ
舞台は温暖な気候の小さな島、モトゥヌイ島。
1000年前、命の女神テ・フィティの“心”が盗まれたことで世界は少しずつ闇に飲まれていき、その闇はいよいよモトゥヌイ島も蝕み始めます。
島で生まれ育った少女モアナは、島を、そして海を救うため、テ・フィティへ“心”を返すべく、大海原へ旅立ちます。その道中、無人島にて“心”を盗んだ張本人である半神のマウイと遭遇。彼の力の源である“神の釣り針”を取り戻すことを条件に、2人は協力することに。
ココナッツの海賊カカモラの一団を撃退したり、巨大なヤシガニのタマトアから釣り針を取り返したりと紆余曲折あり、ついにテ・フィティのもとへたどり着いた2人。女神に“心”が戻ったことで、世界から闇は消え去り、海は平和を取り戻しました。
旅を終え、モトゥヌイ島へ帰ってきたモアナ。彼女はこの旅で培った航海術を活かし、自分たちのような海で暮らす人々を繋ぐため、海を渡り島を開拓していくことを決意するのでした。
本作について
そうして、物語は本作へと続きます。
ポリネシア系の民族をモデルにした独自の世界観は、本作でも健在。映像美にはさらに磨きがかかっており、美しい自然、色鮮やかな花々、そしてなんといっても画面いっぱいに広がる海の景色は圧巻の一言。華やかな色彩はミュージカルとの相性も抜群です。
この続編は本来、Disney+で配信されるテレビシリーズとして製作が始まったらしいですね。それがいろいろあって劇場公開作品として作り直された、という経緯があるらしいです。最近Disney+のドラマ系全然見れてないし、映画にしてくれて個人的には大変助かる。
余談ですが、Disney+から足が遠のいたのは『シークレット・インベージョン』でモチベが下がったから、というのが大きい気がします。やっぱりあの消化不良感は良くない。
監督を務めるのは、モアナのためにディズニーに入社し、前作でストーリーアーティストを務めたデイヴィット・ダーリック・ジュニアと、前作や『ベイマックス』『シュガー・ラッシュ:オンライン』などでアーティストとして参加したジェイソン・ハンド、そしてNetflixなどの配信ドラマで製作総指揮などを務めているダナ・ルドゥ・ミラー。
脚本は、監督のひとりであるミラーと、『ミラベルと魔法だらけの家』の監督・脚本や『ラーヤと龍の王国』の製作総指揮を務めたジャレド・ブッシュ。
キャストは日本語吹き替え版をご紹介。
主人公、モアナの声を務めるのは、前作に引き続き屋比久知奈。
モアナ役に大抜擢されデビューし、その後は舞台やミュージカルで活躍されているようです。
モアナの頼れる相棒、マウイの声を演じるのも、前作と同じく尾上松也。
歌舞伎役者として子役時代から数多くの舞台へ出演し、近年ではドラマや映画などにも出演する、言わずと知れた人気役者です。
そのほか、数々の映画・ドラマに出演している小関裕太、映画『屋根裏のラジャー』でヒロインの声を演じたことも(僕の)記憶に新しい鈴木梨央、ジェイソン・ステイサムやヒュー・ジャックマンの吹き替えでもおなじみの山路和弘、タレントのソニンら、イカしたメンバーが新キャストとして出演しております。
予告編
あらすじ
前回の旅から3年が経過した、モトゥヌイ島。
19歳となったモアナ(声:屋比久知奈)は、船で周辺の島々を巡り、人がいた痕跡を探していました。島へ帰ると、新しい家族である妹のシメア(声:増留優梨愛)が出迎えてくれます。
陸と海を司る者、“タウタイ”の称号を与えられ、任命の儀式を受けるモアナ。その最中彼女は、伝承で語られる伝説の冒険者、タウタイ・ヴァサ(声:山野井仁)のビジョンを見ます。ヴァサによると、今の海は嵐の神ナロの呪いによって分断された状態であり、その呪いを解くためには全ての海を繋ぐ伝説の島モトゥフェトゥへ上陸する必要がある、とのこと。
その道のりは遥か遠く、どれくらいかかるのか、戻ってこれるのかわからない。それでもモアナは、海を守るため、そして海の人々を繋ぐため、旅立つことを決意するのでした。
その頃、頼れる相棒マウイ(声:尾上松也)は、どこかで謎の人物に捕えられており――。
というのがあらすじ。
感想
ディズニーらしい明るく楽しくハッピーな作品で、すっごく良かったです。
まず言いたいのが、僕は前作がめちゃくちゃ好きだということ。
CGとは思えない水の表現の豊かさとか、同じく海や南国を舞台とした 『リトル・マーメイド』や『リロ・アンド・スティッチ』などとはまた違う世界観とか、エンタメとして大変出来の良いストーリーとか、気丈に振る舞ってはいるもののプレッシャーに押し潰されて自信を無くしちゃうモアナと、そこから立ち直る様に勇気付けられたとか、好きなところは無数にあって、それら諸々が僕の琴線に触れたんだと思います。何がきっかけで見たのか全然覚えてないんですけど、一目ですっかり魅了されてしまって、それ以来大好きな作品です。
ただ、大ヒットした『ズートピア』の直後の作品で、興収的にもズートピアほどは振るわなかったというのもあってか、世間では今ひとつ影が薄いような気がしていて。面白さと知名度が比例してないような、そんな印象がありました。でも最近はそうでもないような気もしないでもないような。僕の気のせいだったらゴメンナサイ。
とまぁ、そうした思い入れの強い作品の続編となれば、期待しないわけにはいかないわけで。期待値そこそこ高めの状態での鑑賞となりました。結果、その期待にしっかりと応えてくれる作品になっていたと思います。
僕の作品への没入度のバロメータとして、「鑑賞中に尻の痛みを感じるか」というのがありまして。
要は、ずっと座ってるとどうしても尻が痛くなるもんだけど、それを忘れるくらい作品に没頭出来たかどうか、ということなんですけども。本作では中盤辺りで痛いなーと感じたので、集中が途切れる場面があったのは事実。でも、それ以外は全然気にならなかったので、それだけ鑑賞に集中することが出来たということかと思います。
ざっくりとしたストーリーは、モアナは世界を救うためにいつ戻れるかわからない旅へ出る…というもので、ついこないだ再上映を見てきた『インターステラー』に通ずるものがあり、ちょっと既視感を覚えてしまいました。ですが、そんなインターでステラーな物語を、本作はとてもライトにわかりやすくまとめていて、流石はディズニーといった非常に万人向けな味付けになっているなーと感じました。
このままでは世界が大変なことになるというのはビジョンで見せてくれるし、どこへ向かえばいいかは空にデカデカと見せてくれるし、その空の目印が爆破されるのは「進路を失う」というのと「誰かが人為的にやった」というのをわかりやすく表現してくれているし、その他諸々。何が起こっているのかわからない、というシーンは一切ありませんでした。
迷い込んだ先にちょうどマウイが捕まってるとか、そこが都合よく目的地へ向かうための正解ルートだったりとか、ご都合主義的なものも感じてしまったものの、それは前作もそうだったし、テンポよく物語が進んでくれるので良かったしで、あまり悪い印象は感じませんでした。謎めいた半神マタンギ(声:ソニン)さんが誘い込んだ、という理由付けもちゃんとしていましたしね。
そんな感じで、全体的に「わかりやすさ」に舵を切っているのは、普段映画をそれほど見ないような層でも楽しめるように、という配慮を感じさせてくれて、大変好印象でした。流石はディズニー(大事なことなので2回)。
ちなみに、インターステラーは3時間近くある大作ですが、鑑賞中一度も尻が痛いと感じませんでした。そういや『アバター』1作目を見た時もそうだったなぁ。どちらも同じ映画館での鑑賞だったので、僕のSiriとシアターの椅子の相性が良かった、というのもあるかもしれない。没入度という意味では、こうした作品と比べると本作は少し落ちると言えます。
本作でたびたび強調される「道はひとつじゃない」というメッセージも、多くの人が共感できる普遍的なもので、とても良かったと思います。
これまでのモアナの旅は、海が導いてくれたりマウイが引っ張ってくれたりで、目的地への道のりや何をしたらよいかはある程度はっきりしていたんですよね。でも今回の旅は、はじめこそ“空の炎”によってどっちに進めばいいのか示してくれるけれど、目的の島がどれくらい遠いのか、いつ戻ってこれるのか、そもそも島が本当に存在するのかすらわからないという過酷なもの。さらに途中で“空の炎”も焼失し、島に近づくにつれ海の助けも得られなくなってしまい、進むべき道を見失ってしまいます。
自身に課せられた使命が達成できないかもしれないという絶望感と、先の見えない不安が相まって、自信を失ってしまうモアナ。一度挫折する展開は前作にもありましたが、今回は自分の背負っているものの重みを理解しているからこそ、そのプレッシャーに押しつぶされそうになっており、大人になったことを感じさせて良かったなーと。そして、そんな彼女を励ましてくれるのが、巨大な二枚貝の中で出会ったマタンギの「迷いながらでも進んでいけばいい」という言葉と、マウイの「俺を変えてくれたお前に出来ないことなんてない」といった言葉。マタンギさんは甘い言葉でモアナを惑わし、罠にはめようとしてくる悪い人…と思いきや普通に助けてくれる良い人でしたね。良いキャラだったけど、「何だったんだあの人」感はイナメナス。マウイは全然変わってなくて安心しました。
そうして再び奮起したモアナが辿り着く、「道がひとつ絶たれたとしても、別の道で行けばいい」といった答えは、なんとも胸を打つものがありました。自身の進路や就職活動で悩む、若い人たちの背中を押してくれるようなメッセージではないかと思います。
あとは、おチビちゃんって呼ばれるシメアがかわいいとか、ちょっと出っ歯なシメアがかわいいとか、お姉ちゃま大好きなシメアがかわいいとか、一緒に行けなくてブーたれるシメアがかわいいとか、お姉ちゃまと離れたくないけどちゃんと送り出してくれるシメアがかわいすぎて泣いたとか(そういやシメアが渡したヒトデ、終盤で海に沈んでたけどどうなったんだろうね)、お姉ちゃまが帰ってきて飛び跳ねて出迎えるシメアがとにかくかわいいとか、いろいろ言いたいことはありますが、とりあえずシメアがあまりにもかわいすぎるということだけは言っておきます。
おわりに
以上になります。
なんかまだ続きそうな雰囲気出してましたが、どうなるんですかね。個人的にはどちらでもいいかなぁ、という感じです。でももし続編が製作されるなら、必ず見に行きたいと思います。
ということで、映画『モアナと伝説の海2』の感想でした。
ではまた。