映画『トランスフォーマー/ONE』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。
日本の変形ロボット玩具をアメリカで販売したところ空前の大ヒットとなり、日本にも逆輸入された経緯を持つ、トランスフォーマーシリーズ。
定期的に映像化もされている大人気コンテンツであり、TVアニメとしては先日まで『トランスフォーマー アーススパーク』が放送されていました。(僕は全然見れてないです、スミマセン…)
そして、劇場用作品としては『トランスフォーマー/ビースト覚醒』以来となる最新作が、本作『トランスフォーマー/ONE』です。
宿命の対決のオリジンを描く、トランスフォーマー始まりの物語となっています。
『ビースト覚醒』の感想も書いておりますので、併せてお読みいただけると嬉しいです。
もくじ
概要
本作は実写作品ではなく、全編CGアニメーションで製作されているのが特徴。『ビースト覚醒』など他の実写映画作品との繋がりは一切なく、完全に独立した作品となっています。正義のロボット集団オートボットのリーダー、オプティマスプライムと、悪のロボット集団ディセプティコンのリーダー、メガトロンがどのようにして誕生したのか、そしていかにして彼らが戦うことになったのかを描く、前日譚的な作品となっています。
また、舞台は地球ではなく彼らの故郷であるサイバトロン星であるため、人間は一切登場しないのも、ある意味特徴となっています。
監督を務めるのは、ジョシュ・クーリー。
ピクサー作品のストーリーボードアーティストを多数手がけ、『トイ・ストーリー4』の監督を務めたことでも知られています。
脚本は、『ゴジラvsコング』や『ブラック・ウィドウ』でも知られるエリック・ピアソンと、『アントマン&ワスプ』のアンドリュー・バレルとガブリエル・フェラーリが共同で執筆。
キャストは、僕が字幕版で鑑賞したのでそちらをご紹介。
未来の司令官となるロボットの声を担当するのが、『マイティ・ソー』シリーズや『マッドマックス:フュリオサ』などで知られるクリス・ヘムズワース。
悪のリーダーとなるロボットの声を、『エターナルズ』や『ブレット・トレイン』などに出演しているブライアン・タイリー・ヘンリー。
紅一点キャラを、『ブラック・ウィドウ』などのスカーレット・ヨハンソン。
お調子者ロボットを、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』でキノピオの声を務めたキーガン=マイケル・キー。
そのほか、『マトリックス』シリーズや『ジョン・ウィック』シリーズのローレンス・フィッシュバーン、『トップガン マーヴェリック』などのジョン・ハムなどなど、これはMCU作品なのか…?と思うほどに僕にとっておなじみの面々が出演しています。
予告編
あらすじ
地球から遠く離れた、惑星サイバトロン。
この星で暮らすロボット生命体のエネルギー源、エネルゴンは枯渇しており、鉱石からわずかに採れるエネルゴンを抽出することで、なんとか凌いでいました。
労働ロボットとして炭鉱で働く若い2人組、オライオンパックス(声:クリス・ヘムズワース)とD-16(声:ブライアン・タイリー・ヘンリー)。彼らは変形コグを持っていないため“変形(トランスフォーム)”が出来ず、上官たちから馬鹿にされていました。しかし、固い友情で結ばれた2人は互いにかばい、助け合いながら働いていました。
ある日、失われたマトリクスの在り処と思しき座標を入手した2人は、お調子者のB-127(声:キーガン=マイケル・キー)と元上官のエリータ-1(声:スカーレット・ヨハンソン)と共にその場所へ向かうことに。辿り着いたその場所でコグを獲得し、念願の変形能力を獲得した4人。同時にサイバトロン星の真実を知り、失意、戸惑い、そして怒りに打ち震えるのでした。
この星を救うため、迫りくる脅威に立ち向かうオライオンたち。
しかしその中で、固く結ばれていたはずの友情に、少しずつ綻びが生じていき――。
というのがあらすじ。
本編感想
これは、いいものだ…。
などと、マ・クベ風に言いたくなるほどに良い作品でした。
まず、エンターテインメント作品としての出来が良い。
なんといってもその映像美。最初はトランスフォーマーたちが多く暮らしている都会から始まりますが、ゴチャゴチャとしていながらも未来的でとてもキレイ。対して、オライオンたちが働く炭鉱は泥臭く退廃的で、スチームパンク的な美しさがありました。そしていよいよ地上に出るという場面では、息をのむほどの雄大な風景。そのどれもが非常に美しい映像で描かれていて、見応え抜群でした。ロケーションをこまめに変えることによって、観客を飽きさせないようにしている、という狙いもあったりするのかしら。
さらに、序盤のレースシーンや中盤以降のアクションシーンでは、たびたび一人称視点を用いることでさながらジェットコースターに乗っているかのような臨場感を味わうことができ、非常に興奮しました。映像がキレイなおかげか、激しく動き回る場面でも見づらさはさほど感じず、ちゃんと見やすいというのもとても良かったです。スローモーションを効果的に使っているのも、見やすさの一助になっている気がしました。
次に、キャラクターが良い。
トランスフォーマーシリーズにはものすごい数のキャラがおり、映像化される際にも毎回多数のキャラが登場してきました。しかし本作では、のちのオートボットリーダー、オプティマスプライムとなるオライオンパックス、のちにディセプティコンを率いる、破壊大帝メガトロンとなるD-16、初代アニメではオプティマスの恋人だったエリータ-1、単体作も作られるほどの大人気キャラ、バンブルビーの前身B-127の4人にキャラを絞っており、かなり少ない印象。敵含むメインキャラ以外では、名前が出てきたのはジャズくらい?あとはダークウイングか。でも知っている人はすぐにわかるキャラが画面に多数出てくるので、往年のファンも十分に楽しめるかと思います。
とまぁ、そうして人数を絞ることで、各キャラをしっかり丁寧に描くことが出来ており、この辺は非常に好印象でした。キャラをしっかり掘り下げてくれるほど感情移入しやすくなりますし、それがラストの悲しい結末を一層引き立ててくれると思いますしおすし。いわゆるエピソードゼロ的な作品なので、その後の展開は既に決まっていることなのですが、そうはならないでほしい…こんなに仲良いのにどうして…という思いを抱かせてくれるくらい、みんな良いキャラでした。
あと、ちゃんとストーリーが良い。
上で書いた通りラストは既に決まっており、あとはどのようにしてそこに持っていくかだけなのですが、その過程を本作では丁寧にじっくりと描いているため、違和感は感じませんでした。少し危なっかしいところがありつつも、勇敢さと柔軟な対応力を持ち、仲間想いのオライオンと、真面目な優等生タイプで、曲がったことが許せない、でもその人の良さから少々騙されやすいD-16。全く異なる性格だからこそ気の合う2人が、ひとつのきっかけで少しずつ距離が離れていき、ついには完全な決別、そして長い長い戦いの始まりへ…。といった流れを違和感なく物語にしていて、納得感は非常に高かったです。
本作の戦犯、センチネルプライムさんも非常に良いキャラでしたね。なんとなくスタスクとキャラ被ってるような気がしなくもないですが…。敵であるはずのクインテッサにこびへつらっているように見えましたが、今は言いなりになっているフリをしているだけ、という風にも見えたような。もしかすると、何か打開策を練っていたのかな。実は彼もサイバトロン星のためを思ってああいう行動に出ていたのかも…などと考えると、一概に悪いヤツじゃないのかもしれないと思えてきます。それもまた良き、ですね。
もし続編が作られるとしたら、この辺のセンチネルさんの掘り下げとかしてくれるとありがたいかも。あとはぜひともクインテッサとの決着をつけて欲しいですね。
おわりに
以上になります。
「初心者向けトランスフォーマー」などとも呼ばれている本作。確かに、シリーズを知らない人でも十分に楽しめる良作になっていると思いました。気になっている方はぜひ一度見てみて欲しいです。「ロボット萌え」という、新たな扉が開けるかもしれませんよ。
ということで、映画『トランスフォーマー/ONE』の感想でした。
ではまた。