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映画『ブラックアダム』感想(ネタバレ)

映画『ブラックアダム』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

DCコミックを原作とした実写映画のシネマティック・ユニバース、それが『DC・エクステンデッド・ユニバース(DCEU)』。

DCEU作品としては、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』以来、約1年ぶり。DCコミック原作の映画という点では、今年3月に『THE BATMAN-ザ・バットマン-』も公開されましたが、一応あちらはDCEUとは切り離されているらしいので、ノーカウント。
ライバルであるマーベル・スタジオMCUがとんでもないペースで作品をリリースしている状況なのでちょっと影が薄いですが、こちらも頑張っています。

 

目次

 

ブラックアダムとは

本作は、DCコミックに登場するヴィラン(敵役)、ブラックアダムを主役とした作品になります。

原作では、1945年に刊行されたコミックにて初登場。
元々はDCヒーローのひとりであるシャザム(ちなみに当時の名称はキャプテン・マーベル。当然、マーベルコミックに訴えられて変更を余儀なくされた)の敵として登場。始めは世界征服を企むシンプルなヴィランだったのが、その後バックボーン等がどんどん設定され、単独作が作られたり、アンチヒーローとしてジャスティス・ソサエティスーサイド・スクワッド等のチームへ参加したりと、非常に高い人気を誇るキャラクターです。

能力もシャザムとほぼ同様で、魔術師シャザムより与えられた神々の能力を使用することが出来ます。シャザムがギリシャ神話の神々なのに対し、ブラックアダムはエジプト神話の神々の力を与えられているんだとか。その強さは、世界初のスーパーヒーローであり、アメコミヒーロー界最強であるスーパーマンにも匹敵するほど…らしい。

 

本作について

上記の通りシャザムとの関係が深いキャラクターですが、2019年に公開された映画『シャザム!』とのストーリー的な関連性はほぼありません。「作品間の繋がりを緩くする」のが今のDCEUの方針なので、そういう意味では安心ですね。僕は『シャザム!』を見てないのをすっかり忘れてたんですが、全く問題ありませんでした。来年はじめには続編も公開されるし、早く見なければ…。

 

本作で監督を務めるのは、ジャウム・コレット=セラ
2009年の『エスター』や、2018年の『トレイン・ミッション』などを手掛けたお方だそうで。2021年の『ジャングル・クルーズ』でも監督を務めており、ドウェインとのタッグは本作で2度目。

主演を務めるのは、プロレスラーザ・ロックとして絶大な人気を誇っていた、ドウェイン・ジョンソン
現在は俳優へと転向し、『スコーピオン・キング』や『ワイルドスピード』シリーズなど、枚挙にいとまがないほど多くの作品に出演しており、俳優としても大人気。

そのほか特筆すべき点として、『007』シリーズにて5代目ジェームズ・ボンドを演じたピアース・ブロスナンが出演しています。
僕は鑑賞前にTwitterでネタバレ画像を見てしまったんですが、最初はちょっと信じられず、でも実際見たらやっぱり本人だったので驚きました。

 

ほかにも多くの俳優が出演していますが、割愛。
感想に移らせていただきます。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

5000年前。
中東にあるカーンダックという国は、アクトン王(演:マーワン・ケンザリ)によって支配されていました。彼は悪魔の力を宿した“サバックの王冠”を作ろうとしており、その材料となるエタニウムという特殊な鉱石を採掘するために、国民を奴隷のように休みなく働かせていました。そんな圧政にフルート(演:ジャロン・クリスチャン)という少年が反発するも、捕らえられ、処刑されそうになります。刑が執行されそうになったその時、雷鳴と共に凄まじいパワーを持った男が出現。激しい戦いの末、男はアクトン王に勝利します。国を救ったその男を国民は勇者として讃え、その伝説は語り継がれることとなりました。

それから、5000年の月日が経過。
現在のカーンダックは、軍事組織インターギャングによって支配されていました。この国に暮らすアドリアナ・トマズ(演:サラ・シャヒ)とその弟カリーム(演:ハメド・アメル)、友人のイシュマエル・グレゴール(演:マーワン・ケンザリ)らは、祖国の自由のために活動していました。古文書を解読し、山中にある遺跡に“サバックの王冠”が隠されているとの情報を得た一行は、悪用を防ぐために遺跡に潜入。王冠を見つけることは出来たものの、同じく王冠の在処を探していたインターギャングによって包囲され、絶体絶命のピンチに。とっさにアドリアナは足元に刻まれた古代文字を解読し、「SHAZAM!」の呪文を唱えたその瞬間。雷鳴と共に、かつてアクトン王を倒した男、テス・アダム(演:ドウェイン・ジョンソン)が、5000年の眠りから目を覚ましました。

彼は再び国を救う救世主となるのか、それとも――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

アメコミキャラを体現する男、ドウェイン・ジョンソン

通常、アメコミ映画で俳優がヒーロースーツを着用する際には、ガタイを良く見せるために肉襦袢のようなインナースーツを身に着けるらしいです。そりゃアメコミヒーローのようなマッシブなボディを表現するためには、ある程度“盛る”必要があるのは当然のこと。
しかし、ドウェインの兄貴にそんなものは不要。己の肉体のみで、アメコミヒーロー、いやそれ以上の逆三角形マッスルを体現しています。バストアップになるたびに「首周りの筋肉えげつねぇな…」と思いながら見てました。

なんでも、ドウェイン自身がブラックアダム役を熱望していたらしく、撮影の半年以上前からトレーニングを積んでいたらしいですね。本作では製作総指揮も務めており、並々ならぬ熱意を感じます。ホントかどうかは定かではありませんが、幼少期からブラックアダムへの憧れがあり、プロレスラー時代もずっとその思いを胸にリングに上がっていたんだとか。

 

そーいや、『シャザム!』の映画化が決まった時、当然メインヴィランとしてブラックアダムを出す案が挙がったそうですが、ドウェインが出るならまずは単独作をやって、その後シャザムと共演させよう、となったとかなんとか。流石は超人気俳優なだけはある…て感じですね。

 

割とシンプルなストーリー

実は魔術師シャザムに選ばれたのはテス・アダムではなく息子のフルートであり、瀕死の父親を救うために力を譲渡した結果殺されてしまうとか、アクトン王と戦ったわけではなく、息子を殺された怒りに任せて暴れまわった結果殺しちゃっただけだったとか、伏線的なものもあるにはありました。しかし大筋は至ってシンプルで、「やはり暴力…!暴力は全てを解決する…!」って感じのお話でした。ポリコレへの配慮とか、社会風刺を織り交ぜたりとか、そういう作品が増えてきている昨今、これだけシンプルなのは逆に新鮮というか、すごく取っつきやすくて良かったです。

現代に蘇ったテス・アダムは、敵とみなしたヤツを容赦なくぶっ殺したりしていましたが、アンチヒーローというよりかは、ちょい悪オジサンって感じでしたね。アドリアナの息子、アモン・トマズ(演:ボディ・サボンギ)には優しいところとか、もちろん実の息子であるフルートと重ね合わせてる部分はあるんでしょうが、すごく微笑ましかったです。「過去に過ちを犯したとしても、ヒーローになれないわけじゃない。大事なのは、今なにをすべきかだ」というメッセージも、使い古された感はあれど、楽しめたので万事OK。

 

ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ(JSA)

復活したテス・アダムの力を危険視した政府高官のアマンダ・ウォラー(演:ヴィオラ・デイヴィス)に命じられ、ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ(JSA)というヒーローチームがカーンダックに派遣されます。アマンダは、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』などにも出演し、スースクに命令を出したりしていた人。ほかにもアモンの部屋にDCヒーローたちのグッズが飾ってあったりと、ゆるーく世界観が繋がっていることを匂わせているのが偉い。

このJSAというチームは、本作ではホークマンが選抜したメンバーで構成された急造のチームのようでしたが、原作においては『ジャスティス・リーグ』よりも歴史が古く、アメコミ史上初のヒーローチームなんだとか。

 

本作に登場したメンバーは以下。

  • カーター・ホールホークマン(演:オルディス・ホッジ)
    アマンダよりテス・アダム捕縛の命を受けた、JSAのリーダーであり、資産家。エヌスメタルという宇宙由来の金属で出来た鎧や翼を装備しており、飛行能力などを駆使して戦う。
    マーベルのファルコンっぽい人。でもたぶんファルコンよりもずっと強い。すぐ殺しちゃうテス・アダムとは対照的に、自分の手の届く範囲では絶対に人を死なせないようにしてたのが、いかにもヒーローらしくて良かったです(そのくせ自分の死を予言されたときにはスッと受け入れるというね)。
    あとどーでもいいですが、飛行機のデザインといい発進する時の演出といい、FOX版『X-MEN』にそっくりで笑えました。

  • ケント・ネルソンドクター・フェイト(演:ピアース・ブロスナン)
    JSA最古のメンバー。魔法のヘルメットの力で、様々な魔術や予知能力などを使用することが出来る。
    ドクター・ストレンジっぽい人。でもたぶんストレンジより強い。ピアース・ブロスナンが演じているので、とにかくシブい。イケオジ。各種魔術の演出も、ストレンジと上手く差別化していて良かったと思います。ホークマンとの友情にもグッときました。めちゃくちゃ僕好みのキャラだったので、本作で退場してしまうにはあまりに惜しい。

  • アルバート・ロススタインアトム・スマッシャー(演:ノア・センティネオ)
    ホークマンにスカウトされた、JSAの新メンバー。叔父から受け継いだスーツの力で、分子構造を変化させ、体を巨大化することが出来る。
    アントマンっぽい人。本作ではまだルーキーなので、戦ったらアントマンが勝つと思う。“燃費が悪い”らしく、常に何か食ってるとことか、軽口叩くわりにドジっ子属性なとことかが面白かったです。やらかすたびにホークマンに「あとで説教な」みたいに言われてシュン…てなるのも可愛かったですね。

  • マクシーン・ハンケルサイクロン(演:クインテッサ・スウィンデル)
    こちらも新メンバー。過去に人体実験で体内にナノボットを注入されており、その効果で風を自在に操れる(エアロキネシスというらしい)ほか、ナノボットを高度な医療にも用いることが出来る。
    ストームっぽい人。たぶんストームの方が圧倒的に強い。演じる俳優さんが滅茶苦茶可愛くて最高でした。風を操る時の色鮮やかなエフェクトもキレイでしたね。頭もよく、新人ながら冷静な性格で、アトムを先導してくれるところも好印象でした。

本作では尺の都合か4人だけの登場でしたが、今後シリーズが続いていけば、他のメンバーとかも登場するのかな。大変素晴らしいキャラばかりだったので、出来ればJSAの単独作作って欲しい。

 

いかにもな“悪い奴”、サバック

裏で手を引いていたのは、なんと友人のイシュマエルでした。実は彼はインターギャングのリーダーであり、アクトン王の子孫でもありました。アモンを人質にとることで、“サバックの王冠”はイシュマエルの手に。その力で、彼は悪の化身、サバックへと変身します。

このサバックが、設定といいルックスといい、絵に描いたような“悪い奴”で、清々しさすら感じました。最近でいえば『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のネイモアのような、闇堕ちした主人公的なキャラをヴィランに据える、というのはアメコミ映画の定石であり、サバックもまさしくブラックアダムの悪魔バージョンみたいなキャラではありますが、ここまでド直球なヴィラン、イマドキおらんやろ…。

JSA全員でかかっても歯が立たないので、仮死状態のテス・アダムが復活するまでの時間をフェイトが命懸けで稼ぎ、最後はいがみ合っていたテス・アダムとホークマンが共闘するという胸熱な展開に。ホークマンが「力を制御するんだー!」とか言って、テス・アダムがサバックを真っ二つに引き裂いて、決着。力を制御した結果そうなったのかはイマイチ謎。

 

ラスト、ホークマンはテス・アダムをひとりのヒーローとして認め、アンチヒーローブラックアダムが誕生。今後もカーンダックの人々を守護していく決意を固め、映画は終わってました。

 

余談:DC映画の今後について

ミッドクレジットにて、ブラックアダムとアメコミ界最強のあの男が対峙します。全く知らなかったので口をあんぐりさせて驚いてしまったのですが、どうやら彼が再登場する可能性はなさそうで、非常に残念。『ワンダーウーマン』の続編も立ち消えになったそうですし、ザック・スナイダーが遺したものを徹底的に排除するのが、ジェームズ・ガン率いる今のDCスタジオの方針なんですかね…。より良くなっていくことを期待する半面、ザックの作風が割と好きな僕としては、寂しい気持ちにもなります。

でもまぁ、役者を変えて登場する可能性もまだあると思いますし(というかキャラとして出さない選択肢はないでしょう)、ジェームズ・ガンの作り上げる世界観も非常に好みではあるので、今後も全力で応援していきたいと思います。

 

おわりに

てな感じで、感想は以上になります。
ザック・スナイダーっぽい神話的な雰囲気は残しつつも、暗くも難解にもならず、非常に見やすい作品だと思いました。

映画を見てスカッとしたい人、映画館の大画面でドウェイン・ジョンソンの筋肉を拝みたい人にはピッタリの作品かと思いますので、ぜひ鑑賞してみてはいかがでしょうか。

ということで、映画『ブラックアダム』の感想でした。

ではまた。