GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『THE BATMAN -ザ・バットマン-』感想(ネタバレ)

映画『THE BATMAN -ザ・バットマン-』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2022/06/07:全体的に気にくわなかったので、ごっそり書き直しました。

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DCコミックを原作とした実写映画のシネマティック・ユニバース、それが『DC・エクステンデッド・ユニバース(DCEU)』。

マーベルのMCUに対抗?便乗?するようにして始まったこのユニバースですが、当初は「暗すぎる」だのなんだのと、評価は芳しくありませんでした。
そこで配給元のワーナー・ブラザースは、製作途中の作品に対し「もっと明るい作風にしろ」とテコ入れを実施。具体的にどの作品が、といった詳細は不明ですが、『スーサイド・スクワッド』と『ジャスティス・リーグ』辺りはその影響をモロに受けている気がします。
しかし、作りかけの作品のテイストを無理矢理捻じ曲げたところで違和感しか出ない事は明らかで、結果的により一層評価を落としてしまいます。更なる方針転換を余儀なくされ、ここ最近は世界観を共有すること(クロスオーバー)にこだわらず、ひとつひとつの作品の完成度を重視する方針となり、それが功を奏してかだんだんと持ち直している印象。

そーいやDCEUって呼び方、公式が付けた訳ではなくてファンが愛称的に呼んでるだけだと思ってましたが、本作のパンフに普通にDCEUって書かれてたので、あれ、いつの間に公認の呼び方になったんだ…?と思いました。

ジャスティス・リーグ』は『ザック・スナイダーカット』の方の感想を書いておりますので、ご参考までに。

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そんなDCコミックに登場するヒーローの中でも特に人気の高いキャラクターである、バットマン
特別な能力を持たない普通の人間であるものの、コウモリを模したマスクやマントで闇に溶け込み、鍛え上げた肉体と様々なガジェットを用いて犯罪者に立ち向かう、クライムファイターです。また、その優れた頭脳や洞察力から、探偵としても超一流だったりします。

そんなバットマンを題材にした映画は、これまで数多く製作されています。
古くは1943年(なんと約80年前…)の短編連続活劇から始まり、ティム・バートン版、クリストファー・ノーラン監督のダークナイト3部作、そしてザック・スナイダー監督のDCEU版など、他に類を見ないほどリブートを繰り返している、大人気のヒーローです。

かくいう僕も、バットマンは全てのアメコミヒーローの中で最も好きなキャラクターで、特にダークナイト3部作はBlu-ray Boxを衝動買いするくらい大好き(ただ『ライジング』に関しては思うところもある)。ゲームでも、アーカムシリーズは寝る間を惜しむほどにハマっていました。「最高のキャラゲー」と言われるほどの超名作なので、興味があればぜひプレイしていただきたいです。適当に街をぶらついてチンピラをボコるだけでも滅茶苦茶楽しいです(笑)

本作もタイトルの通りバットマンを題材とした作品ですが、2019年公開の『JOKER ジョーカー』と同様、現在展開中のDCEUの本流とは切り離された、独立した作品となります。なので、アメコミ映画ってどれ見ていいのかわからない、という方でも気兼ねなく見れる作品になっているかと思います。
特徴としては、アメコミ大作映画史上一番といってもいいくらいに、陰鬱でダークな世界観。バットマンにはやっぱりこういう作風が最も似合う。ワーナーに「もっと明るくしろ」とか言われなくて本当に良かった。

↓予告編はこちら。

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本作の制作過程についてちょっと言及しますと、本来、DCEU版でバットマンを演じたベン・アフレックが主演・監督・脚本を務め、DCEUの各作品と連なる世界観で単体映画が製作される予定でした。しかし、2016年の『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』、2017年の『ジャスティス・リーグ』の相次ぐ不評を受け、気落ちしたベンアフは降板。代わりとして、マット・リーヴスが監督に、ロバート・パティンソンバットマン役に選ばれ、これまでの世界観とは一旦切り離してリブートさせることとなり、そうして製作されたのが本作、といった流れになります。ベンアフバッツはキャリア20年以上のベテランでしたが、本作のバッツは活動を始めてまだ2年目の、若かりし頃の姿が描かれています。

個人的には、ゴリゴリマッチョなベンアフバッツのビジュアルは非常に好みだったので、もう見れないのかと思うと残念。ただ、同じDCヒーローであるフラッシュの単体映画で、ティム・バートン版でバッツを演じたマイケル・キートンと共に出演予定らしいので、ものすごく期待しています。でも、フラッシュ役のエズラ・ミラーが暴行事件起こしたりしてて、今後どうなるかがわからないので不安…。まさか公開中止になんてならないよね…?(今のところちゃんと公開する予定らしいけども)

 

本作の監督を務めるマット・リーヴスは、『クローバーフィールド』シリーズや『猿の惑星(最近やってた方)』シリーズの監督を務めたお方。また、1995年公開のティーブン・セガール主演映画、『暴走特急』の脚本も書いていたと知って驚き。僕がこよなく愛するセガール映画に携わっていたとなれば、期待せずにはいられない。まぁ、セガール映画は脚本とかあって無いようなもんだけど…。

今回、主人公ブルース・ウェインバットマンを演じるのは、ロバート・パティンソン
ハリー・ポッターと炎のゴブレット』にて、魔法学校対抗試合でハリーと優勝争いをして例のあの人に殺されてしまう人、セドリック・ディゴリーを演じ、『トワイライト・サーガ』で一躍注目を集め、ノーラン監督作の『TENNET テネット』では、主人公をサポートする影の主人公というべきニールを演じた、スターダムを現在進行形で駆け上がっている俳優さんです。
見る前はあんなハンサムな好青年ではブルース役は合わないんじゃないかと思っていましたが、全くもって杞憂でした。いざ見てみると、いつ寝てるんだ…?と思うような疲れきった見た目と、心に闇を抱えたブルースの姿を見事に体現していましたね。普段は社交的なプレイボーイだけど、ひとたび仮面を被れば寡黙で謎めいた闇の騎士、というのがこれまでのブルース/バットマンのキャラクターだった気がしますが、本作では昼でも滅多に表舞台に現れない、半ば引きこもりのようなキャラクターになっています。

本作のメインヴィラン(敵役)である、リドラー
バットマンの原作コミックに登場するヴィランの中でも非常に有名なキャラのひとりで、1995年公開の『バットマン フォーエバ』でも、ジム・キャリー演じるリドラーが登場しています。全身緑タイツの変態ハイテンションリドラーは、未だに脳裏に焼き付いています(笑)
今回リドラーを演じるのは、『スイス・アーミー・マン』などに出演している、ポール・ダノ
オタクっぽい見た目に、狂気丸出しの目力。ゴッサム、ひいては現代社会の闇を体現したような、謎めいた猟奇殺人鬼といったキャラクターになっていました。1960-70年代に実際に起こった劇場型犯罪ゾディアック事件が、今回のリドラーのキャラクター作りのベースになっているんだとか。

バットマンのパートナーともヴィランともいえる、セリーナ・カイルキャットウーマン
1992年公開の『バットマン リターンズ』でも、ミシェル・ファイファー演じるキャットウーマンが登場しています。また、2004年にはハル・ベリー主演で単体映画も公開されました(結果は大爆死でしたが…)。2012年の『ダークナイト ライジン』ではアン・ハサウェイが演じていたりと、こちらも屈指の人気を誇るキャラクターです。
今回そんなセリーナを演じるのは、ゾーイ・クラヴィッツ
個人的に、今までで最も原作のイメージに近いビジュアルの俳優さんだと思いました。彼女は2017年公開の『レゴバットマン ザ・ムービー』でも、キャットウーマンの声を演じていたんだとか。早く見なければ…。
本作におけるセリーナは、生活のために渋々ナイトクラブで働いていたり、陰でよく泣いていたりと、まだ狡猾さというか世渡り上手な感じはあまり無かったですね。また、ルームメイトのアニカ・コスロフ(演:ハナ・ハルジック)と共に生活しており、劇中で明言はされていませんが、今回のセリーナは同性愛者(レズビアン)なんだそうです。
ちなみに、劇中で“キャットウーマン”という呼称は一切出てきません。全身黒づくめのスーツだったり、目出し帽をかぶった時に帽子の形状から猫耳っぽい感じになったり、家に猫がたくさんいたり、そういった要素からキャットウーマンであることがわかるようになっています。

原作コミックで非常に有名なヴィランからもうひとり、オズワルド・“オズ”・コブルポットペンギンも登場します。
バットマン リターンズ』ではダニー・デヴィートが演じており、非常に個性的で魅力的なキャラクターとなっておりました。僕も映画の内容はほとんど覚えてないのに、ペンギンのビジュアルはなんか覚えているくらい、インパクトのある見た目だったような気がします。
本作では、コリン・ファレルがペンギンを演じています。
…が、特殊メイクが凄すぎて誰だかわからない…(いい意味で)。コリン・ファレルが演じる意味あるのか?と思うくらいに別人でした。
キャラとしてはまだ“犯罪の王者”でもなんでもなく、裏社会のドンであるカーマイン・ファルコーネ(演:ジョン・タトゥーロ)の腰巾着、といった感じでした。このペンギンを主役としたスピンオフドラマも計画されているようで、そこで犯罪の王者に上り詰めていく過程が描かれるんでしょうね。どこで配信されるのかはわかりませんが楽しみ。

ウェイン家の執事であり、ブルース/バットマンを献身的にサポートする、ルフレッド・ペニーワース
リドラーが出した暗号を一緒に解いたりして、めっちゃ頼りになります。
これまで様々な俳優が彼を演じてきましたが、本作では『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでゴラムモーションキャプチャーを担当した、アンディ・サーキスがアルフレッドを演じています。『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』や『ブラック・パンサー』でヴィランであるユリシーズ・クロウを演じていた事もあって、最初見たとき「なんか悪そうな顔したアルフレッドだな…」と思ってしまいました。まぁすぐにそんな思いは吹き飛びましたが。

バットマンの心強い味方である、ゴッサム市警のジェームス・ゴードン警部補。
本作ではまだバットマンの存在は警察内でもイカレたコスプレ野郎”としか認識されていない中、事件現場に入れたり捜査資料を見せたりと、既にだいぶ信頼している様子。
演じるのは、ダニエル・クレイグ版『007』シリーズでフェリックス・ライターを演じた、ジェフリー・ライト
決して悪事に手を染めない、正しい倫理観を失わないキャラクターを、渋さ満点に演じています。個人的にフェリックス・ライターがとても好きだったので、ジェフリー・ライトは今後も応援していきたい。

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さて、キャラ紹介はこの辺にして、本編の感想に参りたいと思います。

 

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始まりは、ハロウィーンの夜。
ゴッサム・シティの市長であるドン・ミッチェルJr.(演:ルパート・ペンリー=ジョーンズ)が、何者かに殺害されるところから始まります。

現場に駆けつけるゴッサム市警のジェームス・ゴードン警部補(演:ジェフリー・ライト)。その後ろにいるのは、全身漆黒のスーツに身を包んだ、謎の男。警官に「部外者は立ち入り禁止だ」と制止されるも、ゴードンの権限で現場を見て回るその姿を見て、警官たちは「イカれてる」と愚痴をこぼします。

死体の顔はガムテープでぐるぐる巻きにされ、上から血の様なもので「嘘はもうたくさんだ」とのメッセージが書かれています。更に、現場には「バットマンへ」と書かれた便箋が残されており、中を見ると犯人からと思われる“なぞなぞ”が。犯人は自身をリドラーと名乗り、SNSに犯行声明やヒントを投稿したりと、まるでゲームを楽しむかのように、犯罪を繰り返します。

なぞなぞの答えが犯人の手掛かりとなる事に気付いたブルース・ウェインバットマン(演:ロバート・パティンソン)は、謎を解きながら犯人を追っていく――。

というのがあらすじ。

 

率直な感想としては、ザ・最高!ただ長い…(約3時間)。
アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』及び『エンドゲーム』(どちらも約3時間)を経験しているほか、『ザック・スナイダーカット』(4時間超)を一気見した僕は飽きることなく見ることが出来ましたが、訓練されたアメコミファン以外はこの上映時間は厳しいのでは…?『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(約2時間半)の時も、「トイレを我慢するのが大変だった」という声が続出してましたし。

 

とまぁそんな事はどうでもよくて、本作はブルース/バットマンの内面をしっかりと描いているのが特徴的だと思いました。

序盤のバッツは、倒れたチンピラにまで容赦なくパンチを浴びせる残忍さや、「俺は“復讐”だ」の言葉からもわかる通り、まだ“正義の味方”をやる気はさらさら無いんですよね。どこぞの小悪党に両親を殺害された恨みから、ただその矛先を悪党どもに向けているだけ。これまでのバッツとは一味も二味も違うぞと思わせてくれて、非常に好印象でした。

中盤では、“善良な市民”だと信じていた父、トーマス・ウェイン(演:ルーク・ロバーツ)が、市長選に当選するために邪魔になるものを排除しようとしていた事を聞かされ、ショックを受けます。更に、アルフレッドが自分の代わりにリドラーの爆弾によって重傷を負ってしまい、バットマンとしての行動原理が揺らいでしまいます。この辺りは、見ているこちらもつらい気持ちになる場面でした。

終盤のバッツは遂に、瓦礫に塞がれて身動きが取れず助けを求める人たちに対し、手を差し伸べます。これまではバッツもリドラーも、捕まえたリドラーのフォロワーがつぶやいた「俺は“復讐”だ」の言葉の通り、標的が異なるだけでやっていることは全く同じでした。バッツは犯罪者を捕まえることで、リドラーは不正を暴くことで「この街を良くしていきたい」という、根幹にある思いも共通していたように思います。しかし、ここでバットマンは人々を助ける道を選び、目論見が失敗に終わったリドラーは自分勝手に泣き叫ぶ、といった風に、二人の道は完全に分かれる事となります。“覚悟”の大きさがこの決定的な違いを生み出しているのかなーとか思ってみたり。このクライマックスにはカタルシスの様なものを感じて、気付いたら涙が…(泣)

こんな感じで、バットマンとなって日が浅い、まだメンタルが安定していない頃のブルースの心情の移り変わりを、上手く表現していたように思います。

 

そうしたヒーローとしてのバットマンの誕生を描いているだけでなく、原作コミックで描かれているような、探偵としてのバットマンの側面を描いているのも、本作の特徴かと。

犯行現場をくまなく見て回り、手掛かりを探し、暗号を解き、犯人=リドラーに迫っていく行程を丁寧に描いており、意外とこれまでのバットマン映画ではあまり無かった描写だったので、なんだか新鮮でした。ただ、暗号の解き方とかさっぱりわかんなかったし、僕らはただ彼らが謎を解いているところを見ているだけだったので、推理ものとして満足いくかと言われると、そこまでではないかな…。コナンの劇場版を見ているような感覚、とでも言いますか。

 

続いて、舞台となるゴッサム・シティについて。
本作のゴッサムは、これまでのバットマン映画の中でも特に腐敗しきっている様が描かれているのが印象的でした。殺人のターゲットになるのは決まって汚職やドラッグなどにまみれた人物で、更にそれが市長だったり警察署長だったり地方検事だったりと、そうした腐敗がいかに街の根深いところまで蔓延しているのかがわかります。

リドラーが出題したなぞなぞを解くと、その人らの裏の顔が世間に暴露される仕組みとなっているのがまた面白かったです。その暴露の仕方も、USBにウイルス仕込んで、ファイルを開くと勝手に中身をいろんなところにメールで送信するようにしていたりと(しかもゴードンのアカウントで)、ネットを有効活用しているところも、非常に現代的で良かったなぁと。

 

メインヴィランであるリドラーについて、少しだけ。
後半、リドラーは意外なほどあっけなく捕まります。もちろん、全て計算ずくなわけですが。
彼は元々孤児だったことがわかり、貧富の格差という現代社会における問題にも切り込んでいるのも良かったですね。
ものすごく頭は切れるものの、性格は非常に身勝手で、自信過剰。街の権力者たちの不正を暴くことで街を良くしたいという考えはあれど、それも自己顕示欲を満たすための方便に過ぎないように思えました。なんというか、匿名である事をいい事にイキリ散らかすネット住民みたいだな、と。

ちなみにリドラーの正体、エドワード・ナッシュトンは、原作では本名はエドワード・ニグマじゃなかったっけ?と思ったんですが、元々ナッシュトンだったのをニグマに改名した、という設定に最近なったんだとか。捕まった時に身分証が2つあって、「どっちが本物だ!?」「さぁ、どっちだろうね?教えてくれよ」というやり取りがあって、一瞬でよく見えませんでしたが、もしかしてナッシュトンとニグマの身分証だったのかも。

 

アクションシーンに関しても、最高なシーンの連続でした。
特に、新バットモービルお披露目からの、ペンギンの乗る車とのカーチェイスシーンは、鳥肌立ちっぱなしの大迫力。アメリカンマッスルカーをベースにしたかのようなバットモービルのデザインも、個人的にツボでした。これまでの映画に出てきた、普通の車とはかけ離れたデザインのモービルもいいですが、一見普通の車っぽいけど後ろのエンジンを始め中身はえげつない今回のモービルもまた最高。

それから、ファルコーネのアジトに乗り込むときの、暗闇の中マズルフラッシュの光でチカチカしながら戦うシーンとか、あまりのカッコよさに失神寸前でした。断片的にしか見えないのに、バッツが銃弾を弾きながらズンズン進んでいくのがちゃんとわかるのがスゴイ。ここでもブルースの“覚悟”の大きさが伝わってくるような気がしました。

 

最後、リドラーの謀略を見事に打ち砕き、自分がこの街を変えていくと決意を新たにしたバットマンと、自由に広い世界へ飛び出していくことを決めたセリーナが、バイクで別々の方角へ走り去っていくシーンで、映画は幕を閉じます。進む道は違えど、思いは同じである事を想起させる、希望に溢れたラストだったと思います。

 

ミッドクレジットでは、相変わらず泣きわめいているリドラーに、近くの独房から何者かが声をかけてくるシーンが流れます。ジョークを交えた口調、そして狂気を帯びた高笑い。正体は謎のままでしたが、バットマンの宿敵であるあの男であることは明らか。

ちなみにこの謎の男、『エターナルズ』のドルイグ役で出演したバリー・コーガンが演じてるんですね。ほぼ口元しか映んなかったし、全然気付かなかった…。今後本格的に登場したりするのかしら。うーん、楽しみですなぁ。

 

てな感じで、感想は以上になります。
非常に見ごたえのある、満足度の高い作品になっていると思います。

このバットマンも3部作の予定らしいので、続編も非常に楽しみ。今後も『ザ・フラッシュ』や『アクアマン』続編、『ブラックアダム』、『シャザム!』続編と、DCEU作品が続々公開予定との事で、この調子でDCも盛り返していってくれると嬉しいですね。

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ということで、映画『THE BATMAN -ザ・バットマン-』の感想でした。

ではまた。

映画『犬王』感想(ネタバレ)

映画『犬王』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

室町時代
日本の伝統芸能である能楽が、猿楽(さるがく)と呼ばれていた時代。
近江猿楽日吉座の大夫であり、猿楽能の名手として当時最も人気のあった実在の人物、それが犬王(いぬおう)です。道阿弥という名でも知られているとか。猿楽師として後世に多大な影響を与えたとされるものの、その作品は一切現存していないという、謎多き人物でもあります。

2017年に、そんな犬王を題材とした、『平家物語 犬王の巻』という小説が発売されました。そしてそれを原作とした映画が、本作『犬王』となります。

 

本作も『バブル』と同様、日本のトップクリエイターが集結して製作された作品となります。

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監督は、映画『夜は短し歩けよ乙女』や、TVアニメ『映像研には手を出すな!』などで知られる、湯浅正明
脚本は、ドラマ『アンナチュラ』や『MIU404』などの野木亜紀子
音楽は、朝ドラ『あまちゃん』や映画『花束みたいな恋をした』などの大友良英
キャラクター原案は、『ピンポン』や『鉄コン筋クリート』などを描いている、漫画家の松本大洋

この布陣、僕が大好きな人ばかりなので、本作も絶対見ようと思っていました。

湯浅監督は、『四畳半神話体系』ですっかり心奪われ、TVアニメ『ピンポン THE ANIMATION』の完成度の高さに驚愕し、『夜明け告げるルーのうた』では当時弱り気味だった僕の心に人魚たちの優しさが沁みて大号泣させられるなど、毎度僕の感情を揺さぶってくるお方。『DEVILMAN crybaby』や『日本沈没2020』といったネトフリ配信アニメに関しては見れてないですが、どうなんだろうか…。特に後者は散々な言われようだし…。

脚本の野木さんは、『アンナチュラル』を見てみたらすっかりハマってしまい、それ以降、自分の中で要注目の脚本家になりました。映画『罪の声』では、クライマックスでまんまと号泣させられてしまうというね。『MIU404』も早く見ないとなぁ。

松本大洋氏は、かねてより大好きな漫画家さん。僕が学生時代に卓球部だったことから『ピンポン』を読むようになり、他の作品も全てではないですがちょこちょこ読んでいます。映画『鉄コン筋クリート』に関しては、「好きなアニメ映画って何?」と聞かれたら恐らく真っ先に挙げるというくらいに、大好きな作品です。

そんな方々が作り上げる本作。見ないわけにはいくまい。

 

声優陣には、俳優が多く起用されています。

主人公、犬王の声を務めるのは、ロックバンド女王蜂のボーカルとして活躍している、アヴちゃん(薔薇園アヴ)。
もうひとりの主人公、琵琶法師の友魚(ともな)を演じるのは、俳優やダンサー等で活躍している、森山未來
そのほか、室町幕府第3代将軍、足利義満役に柄本佑、友魚の父役に松重豊、犬王の父役に声優としても人気の高い津田健次郎、などなど。
みんな演技も上手ですし、全く違和感はありませんでした。

 

そんな人たちが携わっている本作は、時代劇でありながら、世界観を大きくアレンジした、なんとも湯浅作品らしい映画となっております。史実とかは豪快に無視しているので、時代劇を期待して見に来た人はもしかすると不満に感じるかもしれません。しかし、カラフルな色使いや、壮大で派手な音楽など、ミュージカル映画(と言っていいのかはわかりませんが)として大変見応えのある作品になっていると思いました。

 

↓予告編はこちら。

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そんなこんなで、感想を書いていきたいと思います。
今回は過去イチ短い感想になるかもしれない。

 

🪕🎵🪕🎵🪕🎵🪕🎵🪕🎵🪕🎵🪕🎵

 

舞台は、室町時代の京の都。
猿楽の一座、比叡座の当主(声:津田健次郎)の家に生まれた犬王(声:アヴちゃん)は、その異形の姿から周囲より疎まれ、瓢箪の面で顔を隠して生活していました。父から忌み嫌われていた犬王は、芸の修行はさせてもらえなかったものの、見様見真似で舞や唄を身に着けていきます。

一方、壇ノ浦の漁師の家に生まれた友魚(声:森山未來)は、三種の神器のひとつである天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を海底より引き上げるよう依頼を受けた父(声:松重豊)に同行した際、剣から発せられた斬撃?で視力を失い、父は胴体から真っ二つになってしまいました。亡霊となった父と共に京へ向かう道中、琵琶法師の谷一(声:後藤幸浩)と出会い、彼の所属する覚一座へ弟子入りした友魚は、自身も琵琶法師となります。

とある夜に出会った犬王と友魚は、意気投合。
友魚が演奏し、犬王が歌い踊る、その独創的な舞台は民衆から高く支持され、彼らは猿楽師としてどんどん登り詰めていくのでした――。

というのがあらすじ。

 

本作は、時代劇という枠に囚われない、非常に斬新な作品となっています。
犬王や友魚を“ポップスター”としていますが、室町時代の日本にポップなんて言葉があるわけも無く。友魚の演奏は、映像こそ太鼓や和風チェロみたいな楽器でしたが、音はモロにドラムやエレキギターのそれで、曲調は完全にロックでした。犬王の舞もバレエやダンスの動きを取り入れていたりと、見ていて非常に楽しかったです。なので、舞台のシーンに堅苦しさとかは全く無く、さながらフェスを見ているようで、気分が高揚しました(フェスとか行ったことないですが)。『夜明け告げるルーのうた』でも演奏シーンにかなり力を入れていた印象があるし、湯浅さんは音楽とか好きなんでしょうね。

何より、犬王を演じたアヴちゃんの表現力が素晴らしかったです。声優としても非常に上手でしたし、歌唱力が抜群に高くて、最高のキャスティングでした。初日舞台挨拶で「(この作品を通して)自分の中に新しい人格が生まれた気がする」と言っていたそうですし、バンドでも『犬姫』という曲をリリースするなど、アヴちゃん自身も大きく影響を受けている事が窺えます。

natalie.mu

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僕は本作をとても素晴らしい作品だと思っているんですが、いざどこがどう良かったとかを言葉にしようにも、なかなか難しいんですよね…。雰囲気というか、インスピレーションというか、感覚的なもので楽しむタイプの作品なのではないかと。疾走感にステータス全振りした『マインド・ゲーム』をはじめ、湯浅作品って割とそういう作品が多い気がします。合う人には合うし、合わない人には合わない、的な。まぁそれっぽい事言ってますけど、単に僕の語彙力が足りないだけです。とにかくなんか良かったです(小並感)。
めっちゃMJのダンスやってんのウケるとか、呪いが完全に解けた時の犬王の顔がジョーカーみたいだったとか、しょーもない事は言えますが、それ言い出すと今度はキリが無くなるので割愛。

 

そんな感じです、ハイ。
室町時代にロックだのポップだのをスルー出来る方、予告編を見て面白そうだなと思った方は、ぜひ見てみてください。あまり深く考えず、美しい色彩や音楽に身を任せるようにして鑑賞すれば、きっと楽しむことが出来ると思います。

ということで、映画『犬王』の感想でした。

ではまた。

映画『バブル』感想(ネタバレ)

映画『バブル』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

本作『バブル』は、日本のトップクリエイターたちが集結して製作された、オリジナル・アニメーション映画。

企画・プロデュースは、『君の名は。』や『天気の子』などの川村元気
アニメ制作は、『進撃の巨人』や『SPY×FAMILY』などで知られるWIT STUDIO
脚本は、『魔法少女まどかマギカ』や『仮面ライダー鎧武』などの虚淵玄
キャラクターデザイン原案は、『DEATH NOTE』や『バクマン。』などを描いてきた、漫画家の小畑健
音楽は、『七つの大罪』や『プロメア』、あと最近のガンダムシリーズでおなじみの、澤野弘之
そして監督は、『進撃の巨人』や『甲鉄城のカバネリ』などを手掛けた、荒木哲郎

漫画やアニメをよく見る方はみんな知ってると言っても過言ではないほどの、超有名人たちです。

 

↓予告編はこちら。
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僕はパルクールを題材にした作品が割と好きで、それで本作も公開前から気になっていました。
ちなみにパルクールとは、走る・跳ぶ・登るといった移動動作を、いかに素早く、いかにカッコよく出来るかを追及したスポーツの一種。映画では『YAMAKASI ヤマカシ』をはじめ、『アルティメット1&2』などの様々な作品でパルクールが取り入れられています。近年の映画の、敵から走って逃げたり、逆に追いかけたりするチェイスシーンは、だいたいパルクールと思って差し支えないかと(差し支えある)。映画が始まる前に流れる『NO MORE 映画泥棒』でも、めっちゃパルクールやってますね。

ゲームでも、『Mirror's Edge(ミラーズエッジ)』という、近未来の都市を舞台にパルクールでビルの上とかを駆け回る一人称アクションゲームがあって、一時期めちゃくちゃハマってました。最近のヤツだと、『GHOSTRUNNER(ゴーストランナー)』というサイバー忍者一人称パルクールアクションゲームがあって、僕の好きな要素がてんこ盛りなのですげーやりたいんですけど、最近めっきりゲームをやらなくなってきているので、買おうか悩んでいる…。

 

余談ですが、本作は劇場で公開される前にNetflixで先行配信されたんですが、僕は『トゥモロー・ウォー』みたいに劇場公開が出来なくなって配信に行ってしまったのかと思ってしまい、不要なショックを受けてました。ネトフリ登録してないし、見れないじゃん、と。まぁそれは僕の勘違いで、無事に劇場でも公開されたので良かった良かった。

ただ、「ネトフリで見れるならわざわざ映画館行かなくていいじゃん」、もしくは「映画館行くつもりだったけどもうネトフリで見ちゃったしいいや」と考える人が多かったのか、僕が劇場に入った時ほかの観客誰もいない、結局その後も数人しか入ってこないみたいな状況になっていたので、ネトフリ先行配信からの劇場公開はあまり良い手ではなかったような気がしました。僕も登録してたらきっと同じこと考えると思いますし。

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とまぁ、前置きはこれくらいにして、短めに感想を書いていきたいと思います。

 

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ある日、世界中に謎の<泡>が降り始めました。重力を歪ませる謎の泡により、世界は大混乱に陥ります。
しばらく泡が降り続いた後、東京タワーにて謎の大爆発が発生。それを契機に泡が集まってきて、東京全体がひとつの大きな泡に包まれたような状態に。細かい泡は都市に降り積もり、弾けた泡は水となり、東京は冠水。重力異常も相まって人が住めるような環境ではなくなった東京は、立ち入り禁止区域となりました。

そんな東京に、大爆発によって身寄りを亡くした子供たちが集まり、立ち入り禁止命令を無視して住み着くように。彼らは東京バトルクール”と呼ばれる、5vs5で互いのフラッグを奪い合うパルクールの大会を開催し、食糧などを賭けて日々戦い合っていました。

バトルクールのチームのひとつであるブルーブレイブ(BB)のメンバー、ヒビキ(声:志尊淳)は、非常に高いパルクールの技術と、泡を自在に乗りこなす才能を持つ、チームのエース。彼は、爆心地である東京タワーから、誰にも聞こえない謎の<歌>が聞こえると言います。その歌の正体を探るべく何度もタワー中心部へ行こうと試みるものの、そこは特に重力の歪みが酷く、ヒビキのパルクール技術をもってしても行くことが出来ずにいました。

再度タワーへチャレンジするヒビキでしたが、強力な重力の歪みによって吹き飛ばされ、海へ墜落。服が引っ掛かり浮かび上がることが出来ず、意識が遠のいていく中、謎の少女によって助け出されます。どこから来たのかもわからない、言葉もわからない様子のその少女をヒビキはウタ(声:りりあ。)と名付け、BBのメンバーと共に暮らし始めることに。パルクールを通じて仲を深めていくヒビキとウタでしたが、彼女と謎の泡の間には、重大な秘密があるのでした――。

というのがあらすじ。

 

まず、映像は非常にキレイでした。
崩れたビル群に生い茂る草や、ふわふわと浮かぶ泡などによって、色鮮やかでファンタジックな世界観が作り出されていたように思います。
他にも、周りを水に囲まれたフィールドや、歪んだ磁場によって作られた渦(通称:蟻地獄)、辺りに浮かぶいかにも足場になりそうな岩、至る所に浮かんでて上手くいけば一発逆転の可能性があるも、扱いが非常に難しい泡など、世界観全体がなんというかゲームっぽいというか、東京バトルクールを魅せるために練り上げたのであろう世界観の数々が、そのビジュアル含め大変面白かったです。

パルクールアクションも、滑らか且つダイナミックな動きで、とても見応えがありました。また、泡の影響で重力が歪んでいるという設定によって、いきなり超人的なジャンプとかを繰り出してきても「まぁ、重力歪んでるしな」と納得(言い訳)出来ますし、上手い設定だなーと思いました。いきなりナルト走りしだすところはちょっと噴き出しそうになりましたが…(笑)

あ、そういや、顔のアップになったときとかに、やたらエロいというかフェティッシュな感じの作画になる場面がいくつかありましたが、アレなんだったんでしょうね。よくわからん。

 

各キャラクターも、悪いヤツがひとりもいなくて、なんか良かったです。強いて言えば、動画配信サイトの再生数稼ぎの為にチートアイテム使うやつがいるくらいで、それくらいならかわいいもんです。
聴覚過敏のヒビキとか、義足のシンさんとか、ハンディキャップのある人を悲劇的に描いたりしてないのも好印象でした。まぁ、ヒビキの過去とかはちょっと悲しめでしたけど、ウタとの交流を通じて克服出来てましたし。

ヒビキの声は俳優の志尊淳が演じていますが、トッキュウジャー等でアフレコは経験してたろうし、今回もそつなくこなしていました。
ウタを演じたりりあ。は、本職が歌手なので演技はアレでしたが、歌は上手だし、そんなに喋るキャラでもないし、キャラにも合っていて良かったと思います。子供っぽい声質も可愛かったです。
あと、BBのお姉さん的なキャラ、マコトの声を女優の広瀬アリスが演じているんですが、めっちゃ上手で違和感なくてビックリしました。てかエンドロール見るまで全く気付きませんでした。
他のキャラはこちらも豪華メンバーな声優さんたちが演じているので、言うことなし。素晴らしい演技でした。

 

ただ、ストーリーに関しては、ちょっと微妙だったかな…。
ハイパーざっくりいうと、本作はセカチューキミスイ的な、「ヒロインが最後犠牲になって主人公が号泣する」パターンのヤーツ。確かに感動するはするけど、このフォーマットはもうよくないですか…。古臭さを感じてしまうと言いますか。

あと本作は『人魚姫』の物語がベースになっているらしいですが、絵本を音読してみたり、ウタが自分を指差して「人魚姫。」、ヒビキを指差して「王子様。」って言ってみたり、その後もちょいちょいセリフの中に出てきたりして、ちょっとあからさま過ぎて萎えてしまいました。そこまで説明しなくてもわかるし、なんとなく匂わせる程度でいいのになー、という思い。

それから、最後に出てきた“お姉さま”の存在は、マジでよくわからなかったですね…。
ウタとヒビキが通じ合ってしまったことでお姉さまの怒りにふれ、東京タワーの大爆発を引き起こしたっぽいですが、何が気にくわなかったのかもよくわからんし、その後東京タワーを陣取るのもよくわからん。ウタを連れ戻そうとしているのはわかりましたが、連れ戻してどうしたいのかもさっぱりわからん(なんか融合しようとしてたような気もする)。得体の知れない感じを出したかったのかもしれませんが、あまりにも何もわからないもんだから、僕の頭にはただただ「?」が浮かぶだけでした。

「宇宙は数万年~数億年ごとに爆発を繰り返し、そのたびに生命は生まれ変わってきた」みたいなのが終盤に語られますが、それと泡の関係性もすごいわかりづらかったです。恐らく、泡は世界そのものであり、泡が弾けるさまと爆発をリンクさせている、ということなんだと思いますが、なんでそれが意思を持っているのかとか(しかもウタとお姉さまのふたつ)、なぜ「歌を聞いてくれたから」ってだけでヒビキを好きになったのかとか、なんでウタはヒビキに触れたときだけ泡に戻るのかとか、よくわからん要素が邪魔して理解を阻んでいるような、そんな印象。全部「作劇上の都合」と言ってしまえばそれまでなんですが、それを感じさせない理由付けを求めてるんですよこっちは…。

 

↓EDテーマのMVになります。なかなかいい曲。
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と、意外と長くなってしまったので、こんなもんにしておきます。

いろいろ言ってはいますが、美麗な映像と見応えのあるアクションが楽しめる作品となっています。ネトフリで見れますので、登録している方は見てみてはいかがでしょうか。

ということで、映画『バブル』の感想でした。

ではまた。

映画『シン・ウルトラマン』感想(ネタバレ)

映画『シン・ウルトラマン』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

ウルトラマン
名前だけなら、日本人であれば知らない人はいないのではないでしょうか。銀色の体に赤い模様が特徴的な正義の巨人が、宇宙からやってきた凶悪な怪獣と戦うという、日本の特撮界の礎を築いた偉大なヒーローです。

ヒーローに憧れた少年たちは皆、自宅の階段の上で「しゅわっち!」とジャンプしてケガをした経験がおありの事と思います。そうです、僕の事です。

 

前身となる『ウルトラQ』を経て、1966年に第1作目『ウルトラマン』の放送が開始。その後も様々なウルトラマンが製作され、人気を博しました。

しかし、製作会社である円谷プロダクションの経営難により、一時期はシリーズ存続も危うい状況に。それでもなんとか持ち直し、最近はライダーや戦隊のようにコレクタブル要素を付与して玩具の販売促進を重視する方針や、過去作の怪獣を積極的に登場させたり先輩ウルトラマンの力を借りて変身するヒーローを登場させたりといった、既存のIP(ビジネス用語でいうところの知的財産)を活かすような方針で、新作が製作され続けています。そのおかげか、何なら今が一番盛り上がっているかもしれないというほどに、人気も回復しました。

 

特撮オタクを自認する僕も、当然のごとくウルトラマンは大好きでして。シリーズ全て見ているわけではありませんが、よく見させて頂いております。ティガ・ダイナ・ガイアの平成3部作がちょうど世代だったので見るようになり、中でも『ウルトラマンガイア』は今でも大好きな作品。以降の作品だと『ウルトラマンネクサス』辺り、最近のいわゆる“ニュージェネレーション”枠だと、『ウルトラマンX』、『ウルトラマンR/B(ルーブ)』辺りが好きな作品です。『ウルトラマンタイガ』の途中から視聴が止まっているので、早く見なければ…。

 

そんな初代ウルトラマンのストーリーをベースに、舞台を現代社会に置き換えてリブートした作品、それが本作、『シン・ウルトラマン』となります。

 

↓予告編貼っときますね。

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名前から察せられる通り、2016年に公開された『シン・ゴジラ』の製作陣が多く参加しており、企画・脚本・その他諸々の庵野秀明氏を始め、監督の樋口真嗣氏、音楽の鷺巣詩郎氏など、おなじみの顔ぶれが揃っています。

来年には『シン・仮面ライダー』が公開予定で、『シン・エヴァンゲリオン』も含めたこれらの作品群を総称して『シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース(SJHU)』と呼ぶんだとか。今後クロスオーバーとかもするんだろうか…?

 

「現実世界に怪獣が出現したとき、人類はどうするのか」を政治・社会的観点から描くという斬新な切り口で、特オタ以外の人にも高く評価されたシンゴジなので、そのスタッフが作る本作にも期待が高まっておりました。また、『新世紀エヴァンゲリオン』で数多のオタク達の性癖を歪めた庵野さんが携わる作品なので、オタク界隈の注目度が非常に高かった本作。初日の朝一の上映で見に行って感想をTwitter等で上げる、という人が多くいたおかげで、出遅れた僕はネタバレを回避するのに必死でした。

てな訳で、詳しい感想や考察は他の方々に任せるとして、僕は軽めに感想を書いていきたいと思います。

 

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とある宇宙の、地球、日本。
ここでは、宇宙から来た人型の知的生命体である外星人や、巨大な不明生物群、通称“禍威獣(カイジュウ)”が相次いで出現していました。それらに対抗するために、日本政府は防災庁とともに、禍威獣特設対策室、通称“禍特対(カトクタイ)”を設立。

そのメンバーは、各省庁から出向してきたエキスパート達。
対策室室長、宗像 龍彦(演:田中哲司)。
防衛省防衛政策局より出向した班長田村 君男(演:西島秀俊)。
文部科学省より出向した汎用生物学者船縁 由美(演:早見あかり)。
城北大学理学研究科非粒子物理学専攻、滝 明久(演:有岡大貴)。
公安調査庁より新たに出向してきた分析官、浅見 弘子(演:長澤まさみ)。
そして、警察庁公安部より出向した作戦立案担当官、神永 新二(演:斎藤工)。

ある日、禍威獣第7号、ネロンガが出現。強力な電撃を発する相手に対し、禍特対が対処に苦心する中、彼方より謎の飛翔体が落ちてきます。
土煙が立ち昇るその中にいたのは、正体不明の銀色の巨人――。

というのがあらすじ。

 

まず、円谷の暗黒時代をある程度知っている世代の人間として、ウルトラマンの新作がこれだけの規模で製作されるという事がなんというか、感無量の思いです…。よくぞここまで立ち直ってくれました…本当にありがとうございます(涙)

本作は簡単に言うと、初代ウルトラマンの第1話~最終話の中からいくつかのエピソードをピックアップして組み合わせ、そこに庵野作品らしい理屈っぽさというかオタクっぽさをミックスした作品になっています。『STAND BY ME ドラえもん』と似たような作り、とも言えるかもしれない。アレと似てるというと悪い意味に聞こえそうですが決してそうではなく、オリジナルへのリスペクトと愛に溢れた映画になっていると思いました。てか『STAND BY ME~』も1作目はめちゃくちゃ泣いたし、良かったと思ってますよ僕は。2作目は“大人の願望”が見え見えで不快に感じてしまいましたけど…。

とまぁそんな事はどうでもよくて、現代風にアレンジしながらも、非常に納得感の高い流れのストーリーになっていると思いました。とはいえオタクっぽさはシンゴジ以上に強く感じたので、この辺は好き嫌いが分かれるかもしれません。

 

そーいやパンフレットの監督インタビューに「ファンへのサービスはほとんどやっていない」と書かれていましたが、僕は「え…そうなの…?むしろサービスまみれだったような気が…」と思ってしまいました。

一番最初の、マーブル模様みたいなのがグネ~となってからのタイトルバーン!とか、アバンに出てくる巨大生物が『ウルトラQ』に出てくる怪獣たちだとか、人形感丸出しのグルグル回転キックとか、最初に登場した時のウルトラマンは顔がちょっといびつないわゆる“Aタイプ”なのに対し、神永と融合した後は“Bタイプ”以降の顔つきになっているとか、ニセトラマンの頭チョップして痛がるウルトラマンとか、とかとか。挙げればキリが無いほどにファンをニヤッとさせる要素に溢れていたように思いました。いや、僕はファン側の人間なので終始超楽しかったんですが、ファン以外の人はどうなんだろうか…。

ひょろっと細長い異星人感を強調したフォルムや、最初は体色が銀一色だとか、カラータイマーが無い代わりに活動限界が迫ると赤い部分が緑色に変化するとか、本作ならではのアレンジはどれも非常に好みでした。

 

あと思ったのが、庵野さんはキャラ付けが本当に上手いなーと。
メフィラス(演:山本耕史)の「私の好きな言葉です」や、キャッチコピーにもなっている「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン」などのキャッチ―なセリフや、職場のデスクに特撮の模型を置きまくってるとか(どの模型を置くかとかも全部庵野さんが指定していたらしい)、ストレスが溜まるとお菓子を爆食いするとか、各キャラクターの個性をちょっとしたセリフや描写ひとつで表現しているのがすごい。

…あーでも、それもまたアニメっぽさを際立たせてオタクっぽく見える要因になってしまってるんじゃないかと今思ってしまった。シンゴジはいい意味でキャラの個性を消してましたもんね(カヨコ等一部を除く)。

 

それから、既にいろんなところで言われている、長澤まさみ演じる浅見の性的描写について。
気合を入れる時の自分の尻を叩くところをやたらアップで何度も映したり、巨大化した際の見えそうで見えないあおりのアングルだったり、体臭を嗅がれたりなど、ちょっと露骨でしたね…。

僕は当事者ではないので何とも言えないですが、昨今の映画業界の性被害やパワハラが問題視されている中でのこの描写は、あまり良くないのではないかと思いました。映画の中で必要な描写であればまだ許容出来ますが、特に必要性は感じませんでしたし。声のデカい人が「今回も強要されてやったんじゃないのか!」とか言い出しかねないので、そういうのは(特に今は)避けるべきだったんじゃないかと思いました。

 

終盤ではゾーフィ(声:山寺宏一)も登場。しかも、外星人に地球人が兵器利用されることを危惧し、その前に地球ごと消してしまおうと、天体制圧用最終兵器ゼットンを起動するという、オリジナルとは異なる展開を見せてきて驚きました。まさかウルトラマンと同郷である光の星の人が、地球人を滅ぼそうとするとは…。恐らく、同志たちの意思に背いてまで地球人を守ろうとする姿を見せる事で、ウルトラマンの地球人に対する愛情をより強調するのが狙いなんだと思います。上手いですねホント。

そして最後は、地球人の叡智を結集し、「ウルトラマンの巨大化の原理である“βシステム”を応用して、ゼットンを別の次元へ飛ばす」という方法を考え出します。ウルトラマンありきの作戦ではあるものの、「我々地球人が自分達で地球を守っていかなくてはならない」という、オリジナルのラストを想起させる展開に、胸が熱くなりました。

ラストカットはいかにも庵野作品らしい、含みを持たせるようなブツ切りっぽいシーンで幕を閉じます。戦いの直後なのかしばらく時間が経過しているのか、神永の記憶はどうなんだとか、妄想を膨らませる余地が残されているのがなんともいいですね。

 

そんな感じでした。
もっと短くするつもりでしたが、思ったより長くなってしまいました。
話題性の高い作品ですが、それにふさわしい見応えたっぷりの作品になっていると思います。

続編もあるとかないとかだし、まだまだ特オタはやめられそうにないな…。

ということで、映画『シン・ウルトラマン』の感想でした。

ではまた。

映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』感想(ネタバレ)

映画『ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2023/01/07:目次を付けました。

マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

本作は、マーベルコミックに登場するヒーローのひとりであるドクター・ストレンジを主役にした映画となり、単体主演作としては、2017年公開の『ドクター・ストレンジ』に続く第2作目となります。とはいえ、2018年公開の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(以降IW)や、1月に公開されたばかりの『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(以降NWH)等でも抜群の存在感を発揮しているので、あれ、まだ2作目だっけ?という感じ。

 

もくじ

 

ドクター・ストレンジとは

ティーブン・ストレンジドクター・ストレンジの特徴は、医者であり、魔法使いであること。(なんか“魔法使い”って書き方だと童○みたいだな…って事で以降は“魔術師”にしとこう)
性格は非常にプライドが高く、傲慢で、自信過剰。正しい心を持った人格者ではあるけれど、その性格からたびたびとんでもないことをやらかすという、なかなかに魅力的なキャラクターとなっています。

元々は天才的な神経外科医だったものの、自動車事故で腕に大怪我を負ってしまったことで、精密な腕の動きが出来なくなり、その輝かしいキャリアを失ってしまいます。あらゆる治療法を探す中で、ネパール・カトマンズにあるカマー・タージに辿り着き、そこで神秘の力を操る指導者エンシェント・ワンと出会い、その力に衝撃を受けた彼は、ワンに弟子入りすることに。過酷な修行の末に魔術師として生まれ変わった彼は、闇の魔術師カエシリウスによって殺害されたワンに代わり、“至高の魔術師(ソーサラー・スプリーム)”となる――。
というのが彼のオリジンであり、前作のあらすじ。

その後IWにて、強敵サノスを倒すために1400万605通りの未来の中からたったひとつの勝ち筋を見つけ出し、勝利に貢献。しかしNWHでは、異なる次元(マルチバース)からヴィランを呼び寄せるわ、次元の侵食を起こしかけるわ、やらかし放題でした。
そんな彼の新たな戦いが、本作で描かれています。

そんなストレンジを演じるのは、イギリス出身の俳優、ベネディクト・カンバーバッチ
2010年のドラマ『SHERLOCK(シャーロック)』にて主人公シャーロック・ホームズを演じ、英国アカデミーテレビ賞主演男優賞にノミネート。その後、2014年公開の映画『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』に主演し、その年の「俳優による演技トップ10」で第1位を獲得。2021年公開の『パワー・オブ・ザ・ドッグ』ではアカデミー賞はじめ様々な賞にノミネートされるなど、人気、実力ともに非常に高いお方です。

 

スカーレット・ウィッチとは

もうひとり、非常に重要なキャラクターとして登場するのが、ワンダ・マキシモスカーレット・ウィッチ
MCU作品では、2015年公開の『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(以降AoU)にて初登場。ヒドラによってテレキネシスやマインドコントロールなどの能力を強化され、トニー(アイアンマン)への恨みから、序盤はアベンジャーズと敵対。しかし終盤、クリント(ホークアイ)の言葉をきっかけに共に戦うことになり、以降はアベンジャーズの一員として活躍します。

その後、人造人間であるヴィジョンと恋仲になるも、IWにて彼に埋め込まれたマインド・ストーンをサノスに奪われぬよう、泣く泣くストーンを破壊。しかしサノスはタイム・ストーンを使って時間を巻き戻し、結局ストーンは奪われてしまいます。最愛の人が死ぬところを目の前で二度見せられ、決死の思いでやったことは見事に打ち砕かれるという、トラウマ必至な体験をしてしまいます。
アベンジャーズ/エンドゲーム』(以降EG)では、ヴィジョンを殺された怒りからサノスを圧倒する戦闘力を見せるも、戦いが終わった後は行方知れずに。

MCU初のドラマシリーズとなった『ワンダヴィジョン』では、EG後のエストビューという町で、ヴィジョンや2人の子供との仲睦まじい生活が描かれている…と思いきや、心を病んだワンダが現実を書き換えて自身の妄想する世界を作り出し、住民たちには彼女が与えた役を無理矢理演じさせていた、という衝撃的な展開を見せました。このドラマで、彼女の能力が“カオス・マジック”であり、AoUヒドラに与えられた能力ではなく元々持っていた能力がヒドラの実験で増幅されたとされ、また“スカーレット・ウィッチ”の名称が使われたのもこのドラマが初、だったはず。最終話では、闇の魔女アガサ・ハークネスを返り討ちにし、禁断の魔導書ダーク・ホールドを手にするという、先が気になりすぎる結末を迎えました。

そんなワンダを演じるのは、アメリカの俳優、エリザベス・オルセン
2011年公開の『マーサ、あるいはマーシー・メイ』で注目を集め、2014年公開の『GODZZILA ゴジラ』にてメインキャストで出演。2015年からは上述の通り、本格的にMCU作品へ参加しています。AoUの時はメイクのせいかあんまりかわいく見えなかったんですが、それ以降の作品ではどんどんかわいく見えてきて、今では大好きな俳優になりました。しかし、MCUのワンダは悉く酷い目に遭っているので、そろそろ救われてほしい…。

 

新キャラクター、アメリカ・チャベス

本作から登場する新キャラクターが、アメリカ・チャベス
マルチバースを行き来できる能力を持った、本作のカギとなる少女です。

演じるのは、若干16歳のラテン系俳優、ソーチー・ゴメス。全く知らない役者さんでしたが、すんごいかわいくて最高でした。良く知らんけど、TikTokでも注目を集めているんだとか。ダンス動画なんかが人気で、フォロワーも100万人いるとかいないとか。MCUのキャストでTwitterInstagramをやっている人は珍しくないですが、TikTokをやっている人はほとんどいないらしいので、なんというか新世代、って感じがしますね。
これが若さか…。

オジサンついてけないよ…。

本作について

本作の監督を務めるのは、サム・ライミ
アメコミファンとしてはやはり、2002年~2007年の『スパイダーマン』3部作の監督としての印象が強いと思います。しかし、元々は『死霊のはらわた』シリーズなどのカルト映画で人気を獲得し、『呪怨』のハリウッドリメイク版や『ドント・ブリーズ』の製作を務めるなど、ホラー映画監督としても有名だったりします。そのため本作も、ホラー描写がふんだんに盛り込まれた、でも怖くなり過ぎない、非常にエンタメ度の高い作品になっています。ちなみに前作の監督であり、生粋のアメコミファンでもあるスコット・デリクソンは、本作では製作総指揮に回っています。

これまでのMCU作品では、レイティングの関係で不自然なほどに血が出てきませんでした。あまりにも出なさすぎるので最近はちょっと不満に感じていたんですが、本作では監督が直談判したとかで、人外の生物だったり人型のロボットだったり、絶妙に人から血が出るのは避けつつも(とはいえ人の血もちゃんと出てくる)、しっかりと流血描写もあって、リアリティを感じました。

タイトルにも入っている通りマルチバースが重要な要素になると聞いていたので、見る前はややこしくなりそうだなーと思っていましたが、蓋を開けてみればそこまで複雑というわけでもなく、それでいてしっかりとまとまっており、上映時間も2時間ちょっとなので、最近のMCU作品の中では比較的見やすい作品になっていると思いました。
マルチバースって何ぞや?」という方は、「パラレルワールドみたいなものだよ」と思っていただければよいかと思います。

 

MCU作品に触れてこなかった人が二の足を踏む原因筆頭の、通称MCUラソンに関しては、1作目はもちろん、MCU以外のマーベル作品も見といた方がいいし、難易度としては過去最高かもしれません。もはや、「みんな過去作見てるよね?」と割り切った作りになっている、と言えるかもしれません。

でも、今や作品数がとんでもない事になってるし、製作陣もその辺を自覚したうえで、そういう人も楽しめるような作品作りをしていると思うし、今さら予習とかする必要ないかなと。少なくとも、本作はこれだけ見ても全然楽しめると思います。たぶん。
MCUって作品数多すぎて手を出しにくい」というのはもうほんとその通りだと思うし、「見る前にあの作品やこの作品見といたほうがいい」ってのもキリが無い。なので、とりあえずなんでもいいからひとつ見てみて、興味が出たら他の作品も見てみる、くらいのスタンスでいいんじゃないかと思います。
てなわけで、今後はMCUラソンという言葉はなるべく使わないようにしよう、うん。

 

すっかり前置きが長くなりましたが、感想に参りたいと思います。

 

予告編


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あらすじ

舞台は、NWHから5ヶ月後
ティーブン・ストレンジドクター・ストレンジ(演:ベネディクト・カンバーバッチ)は夢の中で、謎の怪物から少女と共に逃げていました。何とか状況を打開しようとその少女から能力を取り上げようとするも、怪物から致命傷を負わされ、その瞬間夢から飛び起きます。今のは夢だったのか、それとも…。

スーツをビシッと着こなしたストレンジが向かったのは、元恋人クリスティーン・パーマー(演:レイチェル・マクアダムス)の結婚式。未だにクリスティーンの事を引きずっているストレンジでしたが、彼女の方は「どうせ長く続かなかった」と冷めた様子。

そんな折、外の様子が騒がしいことに気付きます。見えない何かが街で暴れている模様。その正体は、巨大な一つ目にタコのような触手を持った、ガルガントスという怪物。その怪物の狙いは、夢で見た少女、アメリカ・チャベス(演:ソーチー・ゴメス)でした。駆け付けた兄弟子ウォン(演:ベネディクト・ウォン)と共に怪物を撃退し、チャベスを救出。彼女はマルチバースを移動する能力を持っており、その能力の為に狙われたとの事。また、ストレンジが見た夢は実際に起こった事であり、夢というのは別宇宙の自分が体験したことなんだと教えてくれます。

チャベスをカマー・タージで保護するようウォンに告げ、ガルガントスの体にルーン文字が刻まれていたことから、その筋に詳しいワンダ・マキシモスカーレット・ウィッチ(演:エリザベス・オルセン)を訪問し、話を聞くことに。

しかし、ワンダにはストレンジも知らない思惑が――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

やらかしおじさん、ストレンジ

今回のストレンジおじさんはどんなやらかしをするのかと思いきや、彼自身がやらかしているわけではありませんでしたね。チャベスの制御できない能力に、一緒になって翻弄されている感じでした。

本作には、異なる次元のストレンジが多数登場します。これがまた楽しい。
向う見ずな性格でスペイン語が堪能な、ポニーテール姿のディフェンダー・ストレンジ
ショートヘアーに青いマントが特徴的な、地球を護った英雄として語られている、スプリーム・ストレンジ
ダーク・ホールドの力に飲み込まれた、乱れたロングヘアーに長い髭を持ったシニスター・ストレンジ
「ひとつの選択の違いで、同じ人物でも全く異なる道を歩む事になる」というのを体現していて、とても面白かったです。これぞマルチバース
あとラストで、ゾンビ・ストレンジを彷彿とさせる姿が出てきます(デッド・ストレンジというらしい)。死者の魂がマント状になっているとか、厨二心をくすぐられて良かったです。

そーいや、マントの留め具みたいにして使っているアガモットの眼、もうタイム・ストーンは無いはずなのになんでまだつけてるんだろ、と思いましたが、「得体の知れない怪物の正体を暴く」という能力があるらしく、ガルガントスを見えるようにしたのはこの能力のおかげっぽい。知らなんだ。

 

それから、カマー・タージの書庫の管理人であり、現ソーサラー・スプリームである、ストレンジの兄弟子ウォンとの、漫才みたいな掛け合いも健在でホッコリしました。
ウォンは『シャン・チー/テン・リングスの伝説』にも出てくるし、最近やたらと登場の機会が多いですね。本作では、カマー・タージで修業をする人たちの師範としての顔も見せてくれました。全く忙しい人ですな。
演じるベネディクト・ウォンは、未だMCUでは数少ないアジア系俳優のひとりなので、これからも頑張って欲しいです。

 

将来有望、アメリカ・チャベス

本作のキーパーソンとなる、アメリカ・チャベス
どうでもいいですが、アメリカ・チャベスの呼称は劇中ではアメリカ”でしたが、国名なのか人名なのかごっちゃになりそうなので、この記事ではチャベスと呼称しています。

上でも少し書いてますが、演じるソーチー・ゴメスが滅茶苦茶かわいくて、一気に大好きなキャラになりました。マルチバースを移動する能力も、星形のゲートを発現させる形になっていて、非常にカッコよかったですね。ストレンジおじさんはピーター(スパイダーマン)の良き“メンター(指導者)”にはなれませんでしたが、ぜひチャベスのメンターとして頑張ってもらいたいものです。

そーいや劇中で明言はされませんでしたが、彼女は同性愛者(レズビアン)のヒーローになります。母親らしき人が2人いましたが、彼女の故郷は女性(のような容姿をした人)しかいないという設定なんですかね。

 

誰かワンダに救いの手を…

とにかく幸薄いMCUのワンダですが、本作でもその悲哀っぷりは変わらず。
本作では、なんと黒幕になってしまいました。その目的は、今いる次元では存在しない2人の子供をマルチバースから連れてくること。『ワンダヴィジョン』でも元凶となっていましたが、あちらは無自覚なところがあったのでまだいいとして、今回は完全にわかった上でやってるのでタチが悪い。

 

序盤、リンゴ園に話を聞きに行って、
ス:「とある能力を持った少女をカマー・タージに匿ってるんだが…」
みたいな流れから、
ワ:「で、アメリカは…。あれ?私あなたに名前聞いたっけ?」
ス:「いや…聞いてない…(まさか…)」
ワ:「ふーん…。バレたら仕方ないわね」
みたいな、あからさまな悪役ムーブ。

これ以上不幸になってほしくない気持ちはあれど、なんかもう悪役としてスゲェカッコよくて、楽しくなっちゃいました。ここでワンダにチャベスの居場所を教えちゃう、ってのがストレンジおじさんが本作で唯一やらかしたところかもしれない。
その後は、チャベスの能力を狙うワンダからひたすら逃げ続ける、というのが本作の流れになります。

 

余談ですが、序盤に登場したガルガントスという怪物。姿はまんまシュマゴラスなんですが、大人の事情で別キャラの体裁を取らざるを得ないという、ちょっと不遇なキャラクターです。アラサー以降の格ゲーマーには「キャーシュマチャーン」でピンとくるはず。
まぁ、原作のシュマゴラスは「数百の次元を支配していた」とされるほどに強大なキャラなので、あっさりやられちゃう本作においては、むしろガルガントス名義で正解だった気がします。

格ゲーではこんな扱いです。かわいい、かわいいよシュマちゃん。
しっかりとまとまったストーリー

上でも書いた通り、マルチバースを扱うという非常にややこしくなりそうな題材ながら、わかりづらさはほとんどなく、全体的に良くまとまっていると思いました。ただ個人的には、「結局、最初にディフェンダー・ストレンジを襲ってたのって誰だったの?あれもワンダの仕業なの?」と思いながら見ていたので、そこだけモヤっとしました。単に僕がワンダがやってるんだと信じたくない気持ちが強すぎただけかもしれないですが。

 

上述の通り序盤でストレンジはワンダにチャベスの居場所を教えてしまったので、カマー・タージでワンダを迎え撃つ事になります。始めは修行僧たちが団結して防御壁を張り、攻撃が通らず攻めあぐねるワンダでしたが、修行僧のひとりをマインドコントロールして隊列を乱し、ほころびが生じたところで一気に攻め落とすという、戦略的な戦い方を見せてくれます。その後は、無双シリーズばりの一騎当千っぷり。

本作のワンダは一切の容赦なく人を殺しまくるし、ウォンを尋問する時には生き残った修行僧の命をちらつかせるなど、行動が完全にヴィランでした。ワンダには幸せになって欲しい、でもそんなことしたらどんどん幸せから遠のいてしまう、でも悪役としてあまりにもカッコいい…というジレンマ。

 

迫りくるワンダに恐怖を感じ、チャベスの能力が発動。ストレンジと共に別次元へと逃げることになります。ここでのいろんなマルチバースを通り抜ける場面、恐竜がいたり、ペンキになったり、キューブ状にバラバラになったり(新手のスタンド能力かッ!?とちょっと思った)、視覚的楽しさが満載でした。
いろんな次元を通り過ぎたのち、近未来風の次元へと辿り着いた2人。ここではマルチバースの研究が進んでいる、というのも、恐らく物語を円滑に進めるためにそうしたんだと思いますが、よく考えられてるなーと。研究者として働いているこの次元のクリスティーンによると、今いる次元は“アース838”で、ストレンジたちが来た(MCU本来の)次元は“アース616”と定義されているらしい。あと、こっちではウルトロンが警備ロボットになってました。

 

秘密結社、イルミナティ

ここで本作のサプライズとして登場するのが、イルミナティのメンバー。ここではS.H.I.E.L.D.アベンジャーズも存在せず、彼らが地球を護っているんだとか。
イルミナティは原作コミックにも登場したグループで、アベンジャーズやミュータントなどの各界のリーダーが集結した秘密結社なんだそうです。

本作に登場するイルミナティのメンバーに関しては、敢えてここでは詳しく書きませんが、サプライズの連続で、ファンであれば興奮必至です。
以下の記事で詳しく書かれていますので、鑑賞後に読むことをおススメします。

virtualgorillaplus.com

 

“ドリーム・ウォーク”という、マルチバースの自分自身の精神を乗っ取る技を駆使し、どこまでもチャベスを追ってくるワンダの姿は、ホラー映画そのもの。イルミナティの各メンバーも、彼らの土俵で真っ向から叩き潰すワンダが恐ろし過ぎる。ウルトロンの血(オイル?)かイルミナティのかはわかりませんが、血みどろになりながら目を光らせて迫ってくるワンダ。扉を閉めて、「これで大丈夫か…?」と思ったら横からヌッと出てくるワンダ。どうやって入ってきたのか…。めっちゃこわい…。でもめっちゃ面白い…。

 

三者三様の結末

ダーク・ホールドに対抗出来る唯一の手段として登場する“ヴィシャンティの書”の在処を捜したり、チャベスがワンダに攫われてすったもんだあったりしつつ、最後は、子供たちを連れ去ろうとした次元のワンダに「(この子たちは)私が愛します」と言われ、MCU次元のワンダは諦めるしかなく…。

これ、「私が愛します(ので、テメェには金輪際絶対手出しさせねぇからな次同じことしようもんなら覚悟しとけよ)」って事だと僕は解釈しました。これからも子供たちを愛し抜くという“覚悟”というよりは、お前の思い通りにはさせねぇという“圧”のようなものを感じました。ちなみにこのセリフ、吹き替え版だとちょっとニュアンスの違うセリフになっているらしいですね。僕は基本字幕で見る派なので詳細はよくわかりませんが、どちらかというと上でいう“覚悟”寄りの言い方になっているみたいです。

過ちに気付いたワンダは、同じ過ちを繰り返させぬよう、全ての次元からダーク・ホールドを消し去り、その原書であるワンダゴア山を破壊。自身もその下敷きになり、生死不明に。
というのがワンダの結末。

ちくしょう、まだか…ワンダが救われる未来はまだ来ないのか…。これでワンダ死亡、で終わってほしくないので、まだ生きている、と信じたい…。
『ワンダヴィジョン』最終話にて、本来の人格を取り戻してどこかに飛び去ったままのホワイトヴィジョンが、今後のカギになってくるのではないかと睨んでいます。とにかくどうにか救われてくれワンダ…。

 

対して、これまでどの次元にも居場所のなかったチャベスは、MCU次元のカマー・タージにて、ストレンジとウォンの指導のもと魔法の修行を始めるという、希望に満ち溢れた結末に。力もある程度制御できるようになり、自在にゲートを出現させてました。修行僧が着てる道着みたいなやつがブカブカだったのが、また可愛いのなんのって…。
マルチバースを自在に行き来できて、更に魔法も使いこなせるとなれば、今後は相当な強キャラになっていきそうですね。非常に楽しみです。

 

そしてストレンジは、ダーク・ホールドを読んだ影響で、シニスター・ストレンジのような3つ目が発現し、なんじゃこりゃ~~~!?という感じの結末。このまま闇にのまれてしまうのか…?と思いきや、直後のシーンではケロッとしてたので、全然平気なんかい!と突っ込まざるを得ませんでした。

 

ミッドクレジットシーンでは、ストレンジの前に謎の女性が現れます。なんでも、別宇宙同士がぶつかり合うことで対消滅してしまう、“インカージョン”という現象を修復するのを手伝ってほしい、との事。
この女性を演じるのが、なんとシャーリーズ・セロン。ついに来たか、という感じ。
彼女はクレアというキャラクターで、原作コミックではあのドルマムゥの姪という設定なんだとか。ドルマムゥといえば、映画第1作目のラスボス。あまりの強大さに倒すことは出来ず、ストレンジのトンチのような戦法でどうにか追い返した、という恐ろしい存在です。彼女が今後どのようにMCU世界に絡んでくるのか、楽しみが尽きませんなぁ。

ポストクレジットは、ストレンジに“3週間程度自分を殴り続ける”魔法をかけられたオジサンの魔法が解けるところ、というなんとも笑えるシーンで幕を閉じます。
このオジサンを演じているのがブルース・キャンベルという方で、サム・ライミ監督作『死霊のはらわた』にて主人公を演じた方なんだとか。こういう形でのカメオ出演、ホント面白いですね。

 

おわりに

思った以上に長くなってしまいましたが、感想は以上になります。

大変面白い作品になっていると思いますので、これまでMCUに触れてこなかった人も、興味があればぜひ鑑賞して頂きたいです。見たうえで、「これってどういうこと?」とか「あのキャラってどんなキャラなの?」とか思ったが最後、ようこそMCU沼へ…。

ということで、映画『ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス』の感想でした。

ではまた。

ドラマ『ムーンナイト』感想(ネタバレ)

Disney+にて配信中のドラマ『ムーンナイト』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2023/01/08:目次を付けました。

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マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

この書き出しも久しぶり…と思ったけど、スパイディの記事書いたのほんの数ヶ月前なんですよね。去年が異常なペースだったせいで、感覚がおかしくなってるような気がします。とはいえ、間に『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』や『モービウス』なんかも挟まっているので、マーベルコミック原作の作品という点では、ずっと絶え間なく供給されているような感覚もあります。全く、いい時代になったものだ。

世紀末はとうに過ぎましたが…

もくじ

 

概要

タイトルの通り本作は、マーベルコミックに登場するヒーローのひとりである、ムーンナイトを主役にしたドラマになります。ムーンナイトの特徴はなんと言っても、解離性同一障害、いわゆる多重人格者であること。彼の中には複数の人格があり、時折それらを切り替えながら戦うというのが、原作における彼の戦闘スタイルとなります。一時期には、キャプテン・アメリカスパイダーマンウルヴァリンの人格を持っていた事もあるんだとか。

本作は、そんな多重人格者という設定を存分に活かしたアクション・サイコスリラーとなっており、これまでのMCU作品にはないサスペンスチックな作風になっているほか、精神に問題を抱えた人たちに対するメンタルヘルスといった点に関しても、丁寧に描かれたドラマとなっています。また、エジプト神話が随所に登場し、『インディ・ジョーンズ』や『ハムナプトラ』シリーズの様な、宝探し冒険ものとしても楽しめるような作りになっています。

正真正銘MCUのドラマシリーズである本作ですが、他の作品との繋がりは見事なまでに全くありません。「独立した作品にしたい」という製作陣の想いがあり、意図してそういう作りにしているんだとか。そのため、「この作品を楽しむためにはあの作品やこの作品を見とくべき」といった、通称MCUラソンも全く必要なし。「いっぱいありすぎてどれから見たらいいのかわからない」といった方でも、気兼ねなく見れる作品となっています。まぁ、他の作品とは毛色が違い過ぎるので、本作を見て「MCUってこんな感じなのかー」と思うのもまた違うような気がしますが…。

 

主演、および製作総指揮を務めるのは、オスカー・アイザック
スターウォーズ』エピソード7、8、9、通称シークエル・トリロジーの、ポー・ダメロン役が有名ですね。アメコミ作品でいうと、2016年公開の『X-MEN:アポカリプス』にて、ラスボスであるアポカリプスを演じていました。アポカリプス、原作だとサノス級の強敵なはずなのに、映画だとあんまり強さを感じなかったなぁ。すごい力を持っている描写とかは結構あったのに、それがかえってかませ犬感を増幅させていたような…なんでだろ…。よくわからん。少なくとも、ひとつの映画で終わらせてしまうのはもったいないなぁと思いました。

敵として立ちはだかる男を演じるのは、イーサン・ホーク
言わずと知れた名俳優ですね。色々出てるので、代表作といったら何になるんだ…?『レーニング・デイ』や『6才のボクが、大人になるまで。』でアカデミー賞にノミネートされたらしいので、その辺になるのかな。個人的には、『プリデスティネーション』という映画を最近見たので、印象に残っています。いろんな意味でイーサン・ホークのひとり舞台、って感じの映画で面白かったです。

監督を務めるのは、エジプト出身のハメド・ディアブ
カイロ678』や『クラッシュ』など、エジプト文化を描く映画を撮ってきた、新進気鋭の監督だそうです。本作もエジプトに深い関わりを持つ作品なので、ピッタリの人選ですね。
また、2話、4話では、『モンスター 変身する美女』や『アルカディア』等のアーロン・ムーアヘッドジャスティン・ベンソンのコンビが監督を務めています。見てない作品ばかりですが、調べてみるとなかなか面白そう。彼らの最新作『シンクロニック』は、主演がファルコンでおなじみのアンソニー・マッキーみたいだし、今度見てみようかしら。

 

とまぁ、前置きはこのくらいにして、ざっくりとしたあらすじと感想を書いていきたいと思います。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

国立博物館のショップ店員であるティーブン・グラント(演:オスカー・アイザック)は、睡眠障害に悩まされていました。朝起きると全く知らない場所にいたり、数日が経過していたりと、日常生活にも支障をきたすほどに。

ある日、目を覚ますと、またもや知らない場所にいました。手の中には、見覚えのない黄金のスカラベ。どこからともなく、不気味な声も聞こえてきます。更に、謎の男たちが銃を向けてきて、すごい形相で追いかけてくるではありませんか。訳も分からず町へ逃げ込んだスティーブンでしたが、そこにはアーサー・ホロウ(演:イーサン・ホーク)という謎の男が。先程自分を追ってきた男たちはこの男の手下らしい。アーサーに言われてスカラベを渡そうとした瞬間、またも気を失うスティーブン。気付くと、手下の男たちが倒れており、自分の手は血で真っ赤に染まっていました。いったい何が起こったのか?

どうにか追手から逃げ切り、日常生活に戻ろうとするスティーブンでしたが、ヤツらは職場である博物館にまでやってきます。巨大な犬のような化け物に襲われ、トイレに逃げ込むも、絶体絶命のピンチ。その時、鏡の中からもうひとりの自分である、マーク・スペクターが話しかけてきます。
「俺に任せろ。俺が救ってやる。」
その声に従い、意識をマークに預けると、彼は白いスーツとマントを身に纏ったダークヒーロー、ムーンナイトへと変身する――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

キャラクターについて

気弱であまり仕事の出来る方ではなく、同僚のドナ(演:ルーシー・サッカレー)に怒られてばかりいる、国立博物館のショップ店員、ティーブン・グラント。しかし、歴史や神話、遺跡などに詳しく、その知識がストーリーの中で役立つことも。
彼のもうひとつの人格、それがマーク・スペクター。元傭兵で、コンスのアバターとしての契約を結び、ムーンナイトの力を授ったのはこの人格。戦闘に秀でており、敵に対しては容赦しない性格。

原作ではマークが主人格のようですが、本作ではスティーブンの状態から物語が始まるのが面白いですね。原作のスティーブンは富豪の人格らしいですが、ごく普通の人にしているのも特徴的。そうすることで、「何が起こっているのかわからないけど、何かとんでもない事態に巻き込まれている」という状況を一般人目線で表現出来るので、ナイスな判断ではないかと。

それと、やはりオスカー・アイザックの演技力がすごい。表情だけで今どの人格なのかがすぐにわかるし、ビックリしたときの反応(スティーブンはたじろぎ、マークは反射的に身構える)とか、僕は英語わかんないのでなんともですが、スティーブン状態の時にレイラに「何そのイギリス訛り!?」ってツッコまれたりと、しゃべり方も変えているようで、表現力がすごいな、と。おかげで、多重人格という設定に説得力が生まれているように思いました。

ムーンナイトに変身するときの、目が白く光って、包帯のような衣装を身に纏っていくシーンがまたカッコいいのなんの。3話でコンスがアレしちゃって、それ以降は最終話まで変身能力を失ってしまうのがなんとも惜しい。もっと活躍を見たかった。でもドラマとしては非常に面白いので、甲乙つけがたし。
ティーブンがスーツを召喚する時は、Mr.ナイトという、白い背広に覆面といった姿になるのもとても良い。レイラに「早く“スーツ”を呼び出して!」って言われて咄嗟に背広の方を思い浮かべたからこうなった、というのもまた面白い。防御力は高いけど、スティーブンの人格なので戦闘力はめっちゃ低い、というのも最高。でも最終話ではやたら強くなってましたね。

 

ティーブン/マークと敵対するのは、元々はコンスのアバターだったものの、現在はアメミットの復活を目論む、アーサー・ホロウ
イーサン・ホークの渋さ満点な演技で非常に魅力的なキャラになっていました。
アメミットは、神というよりは幻獣のようで、死者が冥界から転生する際に、真実の羽と死者の心臓を秤にかけて、心臓の方が重かった時にそれを貪り食う、という獣なんだとか。心臓を食われた死者は二度と転生することが出来ない=永遠の破滅(完全な死)、というところから、「将来悪人になる可能性があると見なされた者の命を奪う」という能力にアレンジされたようですね。うーん、実に面白い。

眠たくなっちゃいました。…ってこっちじゃねぇ。

マークと契約を結び、ムーンナイトの力を授ける、古代エジプトに伝わる月の神、コンス(声:F・マーリー・エイブラハム)。
頭が鳥の頭骨のようになっていて、身長はかなり高く、不気味な容姿。神話では隼の頭を持った姿で描かれているらしく、それが活かされているんでしょうね。夜に三日月の刃で罪人に制裁を与える恐ろしい神、と言い伝えられており、本作でも罪人を処刑する役割を担っています(直接手を下すのはアバターであるムーンナイト=マークの役割)。暦を司る神ともいわれているようで、古代エジプト時代の星座の配置を覚えている、というのもそこから来ているのかな。そーいや最終話で「夜空を司る神」って言ってましたね、
本作でのコンスは事あるごとに「殺せ!」とか言ってくるヤバイ神様ですが、マークにもスティーブンにも反発されちゃうし、自身が封印されることを承知の上でスティーブンに力を貸したりするし、どこか憎めないキャラになっていました。とはいえ、瀕死の状態で冷静に物事を考えている余裕なんてないマークに、更にダメ押しで弱みに付け込んだうえで契約するよう持ち掛けるなど、決して良い神様ではなさそうですが…。

 

ティーブンの前に現れる謎めいた女性、レイラ・エル=フォーリー(演:メイ・カラマウィ)。
考古学者兼冒険家であり、なんとマークの奥さんだったという、要素盛りだくさんの人。マークとは肩を並べ、スティーブンをグイグイ引っ張っていくような、非常に強くたくましい女性として描かれています。でも笑顔とかはとってもキュート。魅力も盛りだくさんなキャラになっていました。

最終話では、家庭と出産を司る女神タウエレト(声:アントニア・サリブ)のアバターとなり、まさかのヒーローに。『キング・オブ・エジプト』を思わせるコスチュームが非常にカッコよかった。この時の彼女はスカーレット・スカラベという名前らしいのですが、これは彼女の父親のモデルとなった人物のヴィラン名なんだとか。ドラマでは父は既に亡くなっており、葦の楽園(たぶん天国みたいなとこ)に導かれたらしいので、きっと善人だったんでしょう。まぁ原作でもエジプトを守護する戦士らしいので、一概にヴィランとも言えないですが。
タウエレトはやたら明るい性格で、すごいかわいかったですね。近所にいる気のいいおばちゃん、て感じ。

これが原作のスカーレット・スカラベ

これが本作に登場した方。めちゃめちゃカッコよくなってる。

 

ストーリーについて

1、2話は、スティーブンの主観で描くことで、自分の中に別の誰かがいる、という恐怖を描いたサイコスリラーになっていました。
3、4話は主観がマークに移り、アメミットの墓の場所を探すアクションアドベンチャーに。
そして4話の終盤から一気にテイストが変わり、マークとスティーブンが自身の内面と向き合う、メンタルヘルスの要素が強くなります。

特に、4話終盤からのどんでん返しにはビックリしました。「これまでの話は全て妄想だったのか?」という切り口は、なんとも不気味でゾッとする展開でしたね。

そこから、自身の過去と向き合う中で明かされる、更なる真実。
これまでスティーブンが主人格のような描かれ方をしていましたが、実はマークこそが主人格(オリジナル)であり、弟の死をきっかけに精神を病んだ母親からの、激しい罵倒や暴力から逃れるために作り出した人格、それがスティーブンでした。
原作を知っている人からすれば「あぁ、やっぱりね」って感じでしょうが、知らない人からしたら衝撃でしょうね。あ、はい、僕がそうです。
そして、スティーブンが舟を降りる(いなくなる)事でマークの精神のバランスが取れるというのは、確かにスティーブンは本来存在するはずのない人格なので、非常に納得度の高い展開だと思いました。

しかし、このドラマはそんな安易な着地で終わりません。
最終話で、マークは自ら舟を降り、スティーブンに「お前がオレを救ってくれた。お前こそがスーパーパワーなんだ」と告げます。きっとマークにとってスティーブンは負の象徴みたいだったと思うのですが、そんなスティーブンを認め、許し、必要なんだと。
ティーブンも、当初はマークの事を“乱暴でよくわからない怖いヤツ”くらいに思っていたのが、最終的に自分の身を顧みずにマークを助けようとするまでになります。
問題を排除するのではなく、認め合い、許し合い、折り合いをつけるという、メンタルヘルスのひとつの形を見せてくれて、なんだかすごい感動しました。

その後は、まさかの大怪獣バトルに、マークとスティーブンを自在に切り替えながらのひとりバディアクション、レイラの翼を利用したカッコいいアクションと、大変見応えのあるアクションシーンが満載。「うおぉー!サイコー!」と言いながら見てました。

最終的にアメミットを再度封印することは出来たものの、かなり謎を残したままエンドロールに突入。「えっ?これで終わり!?」と思ってたら、ミッドクレジットにて、隠されていた第3の人格、ジェイク・ロックリーが一瞬だけ出てきて終わるという、再びサイコスリラーに立ち返るラストに。これには鳥肌ブワーでしたわ。

 

おわりに

てな感じで、なんとも異色なMCUドラマで、大変楽しむことが出来ました。
MCU作品が好きな人もそうでない人も、新鮮な気持ちで見ることの出来るドラマとなっております。Disney+に登録している方は、是非見てみてはいかがでしょうか。

ドクター・ストレンジ/MoM』も見てきたので、そちらの感想記事も近々更新予定です。そちらも読んでいただけると非常に嬉しいです。

ということで、ドラマ『ムーンナイト』の感想でした。

ではまた。

映画『JUNK HEAD』感想(ネタバレ)

映画『JUNK HEAD』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

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JUNK HEAD』は、2021年に公開されたストップモーション・アニメーション映画。

基本的に新作映画の感想を書いている当ブログですが、本作は新作ではありません。僕自身も去年(ブログ始める前)に見た映画ではあるものの、今月からアマプラ見放題に追加されたし、個人的に去年見た映画で一番「見て良かった!」と思った映画なので、ちょっと布教させてください。

gaga.ne.jp

そもそもストップモーションとは、少しずつ動かして撮影した静止画を連続して見せることで、あたかも動いているかのように見せる映像技法の事を指します。その技法を用いて作られた映像作品がストップモーション・アニメーションで、人形を用いたパペットアニメや、粘土を用いたクレイアニメなど、種類も豊富。古くは『ピングー』や、ディズニーの『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』、近年ですとスタジオライカの『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』辺りが有名かと思います。あとは去年バズりまくった『PUI PUI モルカー』もそうですね。『ロボコップ』や『仮面ライダーZO』など、まだCG技術が発展していない頃の特撮系の作品でも用いられていたりします。
ちなみに僕は、ライカの『パラノーマン ブライス・ホローの謎』が大のお気に入り。

ストップモーション作品を作る際には、ちょっと動かしては撮影、またちょっと動かしては撮影、という作業が必要となり、相当な手間がかかる事は想像に難くありません。ライカ作品では確か表情パーツだけで何千何万通りも用意していた、はず。そんな面倒なことしなくても、今はCG技術も発展してるし、CGで作ればいいじゃん、と考える人もいるかと思いますが、ストップモーション作品にはなんというか独特の温かみみたいなのがあって、それが今でもこの技法が使われる理由なのかな、とか思ったりします。

 

そんな大変手間暇のかかる作業を、堀貴秀というお方は、7年もの歳月をかけてほぼ1人でやってのけました。

今や『君の名は。』でおなじみの新海誠が、かつて『ほしのこえ』をたった1人で製作したことに感銘を受け、自分にも出来るかも、と思って映画製作を始めたんだとか。本職は内装業だそうで、映画に関しては専門的な知識など一切無く、完全に独学。独学で映画製作にチャレンジしようと思うことがすごいし、ストップモーションという気の遠くなるような作業をほぼ1人でやり遂げたということが本当にすごすぎる…。

まずは約4年かけて『JUNK HEAD 1』という30分の短編を1人で製作。それが世界中で絶賛された事を受け、そこから3~4人のスタッフで約3年かけて修正や追加撮影を行い、長編として完成させたのが本作、となります。監督、脚本、人形や背景などの作製、撮影、編集、声の出演、全部堀さんがやっているので、スタッフロールがすごいことになっています。さながらヤッタ―マシンの声を全部やってた山寺宏一のよう…。
※もちろん他のスタッフさんの名前もあるし、一部キャラの声は別の方が演じてます。

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って1人50役なんてのもあったのね…(彼岸島X)

あと、本作のパンフには製作に使用した機材とかも載っているのですが、特別な機材とかは一切使っておらず、一般的な一眼レフのカメラで撮影し、一般的なノートPCで編集などをしているようで、マジでどうなってんだよ…オーパーツか?と疑いたくなります。堀さんの愛と努力のなせる業、としか言いようがない。逆に言えば、愛と努力があればこれだけのものが作れるという事…かな?いや流石にこのクオリティはそれだけでは難しい気がする。
パンフは少々お高くて(確か1500円くらい)、見る前は買わなくていいかなと思っていたのですが、見た後は「ヤバイ!コレはパンフ買わねば!」となりました。同じ事思った人が多かったのか、上映後のレジ前には長蛇の列が出来ていたのを覚えています。上記の機材の事とか、設定とか、かなり事細かに書かれていたので、心の底から買ってよかったです。

 

余談ですが、僕は去年、閉館間近のアップリンク渋谷にて本作を鑑賞しました。僕はその頃、アップリンクに関するゴタゴタとか、そもそも閉館間近だった事も全く知らなかったので、普通にいい映画館だなーと思いました。いや色々知った今でも、実際に撮影に使われた人形とかが展示されていたりして、映画館自体はとても良かったと思ってますけどね。

bunshun.jp

なんか今も某俳優某監督のあれやこれやが問題になっていますが、かなり根が深そうですし、なかなか根絶は難しそうですよね…。詳しい事情や真偽のほどはわかりませんが、イチ映画ファンとしては、こういうニュースを見るたびに残念な気持ちになります…。

 

本作に話を戻しまして。
ほぼ1人で作っているからといってチープさは全く無く、退廃的な世界観に、ギレルモ・デル・トロ作品を思わせるようなグロテスクなクリーチャーデザインと、どこかポップで可愛らしいキャラクター、ヌルヌル動くアニメーションなど、魅力を挙げればキリが無いほどにハイクオリティな作品になっております。デル・トロ監督も本作を絶賛していたとかしないとか。

てな感じで、あらすじと感想をざっくりと書いていきたいと思います。

 

――――――――――――――――――

 

遠い未来。
環境破壊によって、地上は人が住めないほどに汚染されてしまいました。人類は地下へとその生活範囲を広げ、労働力の為に人口生命体マリガンを開発。しかし、自我を持ったマリガンは人類に対し反乱を起こし、地下を乗っ取ってしまいます。

それから、1600年後
人類は生殖機能を失う代わりに、不老不死の体を手に入れました。しかし、新種のウィルスによって、人類は絶滅の危機に陥ってしまいます。生殖機能を持つマリガンに可能性を見出した人類は、独自に進化したマリガンの調査を開始することに。

調査員として志願したパートン(声:堀貴秀)は、地下へ潜って探索を始めるが――。

というのがあらすじ。

 

本作のストーリーは至ってシンプル。主人公が地下世界を探索する、というだけのお話です。
しかし、ミニチュアとは思えないほどに壮大な世界観、ストップモーションとは思えないほどの滑らかな動き、ダイナミックなカメラワークなどで、グイグイ物語に引き込まれます。

キャラクターもとても良いです。ちょいちょいグロかったり下品だったりするので人を選ぶかもですが、上でも書いた通りどこかポップで可愛らしくて、応援したくなるような魅力があります。
アレクサンドルフランシスジュリアンの3人、通称3バカ兄弟が特に可愛い。もうホント最高。あとニコちゃんも、見た目だけだとそうでもないのに、見てるとどんどん可愛く見えてきます。

それと、本作では日本語は一切出てきません。みんなよくわからない謎の言語で話をします。なので、字幕が無ければ何言ってるかわからないんですが、ところどころ聞きなじみのある単語が出てきてクスっとなるし、「コイツ今こんな感じのこと言ってるんだな」と絶妙に文脈が読み取れるようになっています。これがなんだか不思議な世界観を作り出していると同時に、この辺が世界的に評価されている理由のひとつなのかな、とか思ったりします。

話が進むごとに、主人公の姿がどんどん変わっていくのも面白いです。
地下へ出発して速攻でロケラン撃たれてボディが木っ端微塵になり、頭だけの状態に。3バカに拾われ、博士によって急造されたボディは子供のよう。記憶も失っています。
その後、また大破したボディは、バルブ村にてありあわせの材料で作り直され、ポン太の名で呼ばれる事になります。頭は四角い箱で覆われ、体は錆だらけでなんとも頼りない。声を出せないので、ジェスチャーで意思疎通をするしかない状態に。
後半、3バカと再会した主人公は、“人間=創造主=神”と信じ込まれ、高級な素材でしっかりとしたボディを作ってもらいます。頭身は少年くらいになり、記憶も統合され、発声機能も回復してコミュニケーションも取れるようになります。こんな感じで、だんだん成長していくのが視覚的にも表現されていて、非常にわかりやすい。
あとマリガン達の、「はるか昔に先祖が反乱を起こした事なんてすっかり風化していて、人間が自分達を作ったというざっくりした認識しか残ってない」みたいなのも、却ってリアリティを感じてすごく良かったです。僕らも約1600年前=古墳時代の事なんかほとんどわかんないですもんね。

終盤の、めっちゃ強い異形生物トリムテとのバトルは、もうほんと最高の極み。
“地獄の三鬼神”の存在は割と早い段階から語られていましたが、その正体があの3バカだったというね。あの可愛らしいマスコット的な体型が、よくわからん薬剤を注射することでムキムキマッチョマンへとビルドアップし、一時的に驚異的な戦闘力を発揮するという。
ここのバトルシーンのアニメーションがとにかくすごくて、見応えの塊の如しでした。ここだけでも一見の価値ありです。

最後はブツ切りっぽい感じで終わります。「えっ?これで終わり??」と思っちゃいました。ここだけはちょっと不満点かな。

 

↓エンドロールで流れる「人類繁盛」。一時期ヘビロテしてました。

www.youtube.com

本作は3部作の構想があって、予算の都合がつけば続編も製作する、との事。
絶対に続編作って欲しいので、この記事を読んでくださったアマプラ登録しているお方は、是非とも本作を鑑賞して頂いて、いろんな人に広めていただけると嬉しいです。

 

ということで、映画『JUNK HEAD』の感想でした。

ではまた。

映画『モービウス』感想(ネタバレ)

映画『モービウス』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

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2018年公開の『ヴェノム』、2021年公開の『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』に続く、『ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)』の第3弾となるのが本作、『モービウス』になります。
スパイダーマンの原作コミックに登場するヴィラン(敵役)のひとりである、モービウス・ザ・リビング・ヴァンパイアを主役に据え、彼がその特殊な能力を手にするまでのオリジンを描いています。

SSUに関しての詳細は以下の記事で書いていますので、良かったら見てみてください。

blacksun.hateblo.jp

本作は本来、2020年1月に公開される予定でした。しかし、コロナ禍の影響で公開が延期となったため、「延期になったことだし、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の後に公開にしたろ!ついでに今後のSSUのためにそっちとの繋がりを匂わすシーン入れたろ!」みたいな感じになったようです。知らんけど。
そうしたスケジュール調整の結果、2022年4月の公開と相成った訳ですが、コウモリ繋がり、かつその人気はアメコミヒーロー界のトップオブトップと言うべき『ザ・バットマン』と公開時期が見事に被ってしまうというね…。かたやこちらはそこまで知名度もないし、ヒーローでもないというね…。ドンマイ…。

ちなみに次のSSU作品は、2023年に『クレイヴン・ザ・ハンター』が公開予定との事。SSUはヴィラン側を描くユニバースになるんすかね。MCUDCEUとの差別化も図れるし、良い試みなのではないでしょうか。そーいや、『クレイヴン~』は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』でピエトロ・マキシモ/クイックシルバーを演じたアーロン・テイラー=ジョンソンが主演らしいですが、『スーサイド・スクワッド』でジョーカーを演じたジャレッド・レトが主演の本作といい、他のアメコミ映画で死んだ(もしくは無かったことにされた)キャラクターを演じた俳優を起用する方針なんでしょうかね。知らんけど。

 

本作の監督は、スウェーデン出身のダニエル・エスピノーサ
2017年公開の、宇宙ステーションという閉鎖的空間で未知の生命体にクルーがドンドン殺されていくSFスリラー、『ライフ』の監督を務めたお方らしいです。『ライフ』、我らが真田広之も出てるし見たいと思ってるんだけど、そういえばまだ見てないや。

主演は上述の通り、ジャレッド・レト。スースクのほかにも、『ブレードランナー2049』や『ハウス・オブ・グッチ』など、多数の作品に出演している実力派の俳優です。

主人公の親友を演じるのは、イギリスの俳優、マット・スミス。イギリスのTVドラマ『ドクター・フー』が有名らしいですが、見てないのでわからない…。顔の凹凸がすごくて、最初見たとき特殊メイクかと思いました。

そのほか、『パシフィック・リム:アップライジング』に出演したアドリア・アルホナや、『ワイルド・スピード』シリーズのタイリース・ギブソンなどの俳優が出演しております。

 

そんな本作、本国アメリカの批評家の評価がすこぶる悪いようで。
かくいう僕も見る前は、「ヴェノムみたいにダークさとポップさどっちつかずになってたらやだなー、でもSSUの事だからそうなってそうだなー」と思っていて、正直期待値低めでした。

そんな心持ちで鑑賞した直後の感想がこちら。

 
 
 
 
 
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A post shared by ブラックさん (@blackson3110)

僕は普通に面白い映画として楽しめました。

確かに、『アベンジャーズ』や『ノー・ウェイ・ホーム』のような作品と比べるとスケールが小さく感じますし、予想を遥かに超える面白さ!とまではいかないんですが、粗はありつつもモービウスというひとりのキャラクターをじっくり描写していて、好感が持てました。ゴア描写は物足りないですが、ヴェノムの時よりも頑張ってたと思うし、ポップさは無く終始ダークな雰囲気だったのも、個人的に良いと感じた点。批評家の評価も参考にはなりますが、やっぱり実際に見てみない事には面白さはわからないもんですな。

てな感じで、感想に参ります。

 

🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇🦇

 

マイケル・モービウス(演:ジャレッド・レト)は、若くしてノーベル賞を受賞するほどの天才医師。彼は血液の難病を患っており、同じ病で苦しむ人たちを救うために、必死で治療法を研究していました。

マイケルは、コウモリと人間のDNAを結合させることで、この病を治療出来るのではないかと考えていました。血液を食糧とするコウモリの体内には血の凝固を防ぐ成分が含まれていて、それが人間のDNAと合わさる事でなんとかかんとか(うろ覚え)。法的にも倫理的にもアウトな治療法でしたが、同僚のマルティーヌ・バンクロフト(演:アドリア・アルホナ)に協力してもらい、マイケルは自身の体でその治療法を実行に移します。

その結果、杖を使わないと歩くことさえままならなかった体は、筋骨隆々な肉体へと変化。症状の回復だけでなく、アスリート並みの(って劇中で言ってたけどどう考えてもそれを遥かに超える)身体能力や、コウモリの様に超音波を発して反響で対象の位置を察知する能力などを手に入れます。しかし、常に血の渇きが収まらなくなり、定期的に血液を摂取しないと自我を失い見境なく人を襲ってしまう、非常に危険な体になってしまいました。自身の開発した人工血液でどうにか凌ぐも、その効果は長く続きそうにありません。

同じ血液の病に苦しむ幼い頃からの親友であるマイロ(演:マット・スミス)は、変貌したマイケルに驚き、自分にもその治療を施すよう懇願します。この治療法が「大きな過ちだった」と考えているマイケルは、友人まで同じような体にするわけにはいかないと、それを拒否。しかし、マイケルのいない間にマイロは血清を打ち、欲望のままに人を襲っては血を吸う怪物と化してしまう――。

というのがあらすじ。

 

まず。
ジャレッド・レト50歳なん…?うせやろ…?
あの美しい顔立ちに、血清打った後の見事なマッスルボディ。“彫刻のよう”とはまさにこのことで、アラフィフにはとても見えない。そんなレト氏の美貌を存分に堪能する映画としても、大変見応えがあるかと思います。もちろんルックスだけでなく演技力も抜群なので、病気で苦しんでいるときのマイケルにも非常に説得力がありました。
あの肉体、血清打つ前も打った後も、合成とかではなくジャレッド自身の体らしいですね。まず減量をして序盤の撮影に臨み、そこから30kg増量をして以降の撮影をしたんだとか。キャプテン・アメリカ第1作目のクリス・エヴァンスでも痩せてる時の体は合成だったので、今回もそうなんだろうなーと思ってましたが、まさかどっちも本人とは…。役作りがすごいとよく言われるジャレッドですが、噂に違わぬ驚愕の肉体改造です。

余談ですが、超音波を発して対象の位置とかを探る能力。これを発動する時のブォーンって重低音が体中に響いてきてめっちゃ良かったので、これは是非とも映画館の音響で体感して頂きたいところ。てかこの能力、公開前は“バットレーダー”と呼称していましたが、本編を見ると“エコーロケーション”みたいな呼び方になってましたね。バットマンが使うガジェットが“バット○○”みたいなネーミングなので、混同するのを避けたのかな。

それから、マット・スミス演じるマイロの存在感が凄かったです。
本作の感想を漁っていると必ずといっていいほど出てくる“クソデカ感情”という言葉。その言葉の通り、彼はとにかくマイケルが好きで好きでたまらないようで、「お前の為ならなんだってする」とか「お前の頼みを断ったことがあったか?」とか、狂気すら感じるほどの想いが伝わってきました。
また、彼が血清を打ったのは、もちろん自分を苦しめてきた病から解放されたいという思いからですが、それと同等かそれ以上に、“マイケルと同じになりたい”という願望があったように思います。マイケルと戦ってたのも、「お前の力で俺たちすごい存在になったんだぜ!最高だろもっと楽しめよ!」みたいな思いからですし。うーんイカれてますねー。
マルティーヌとキスしてるマイケルを遠くから恨めしそうに見てるマイロとかも、なかなかにヤバイストーカーっぷりでした。
あと、中盤のマイロのダンスシーン。服着ながらノリノリで踊って、合間合間にカメラ目線で「シャーッ」ってやるの、面白すぎて笑いをこらえるのに必死でした(笑)

 

映像表現も良かったです。
高速で動くときの、煙みたいなエフェクトを纏うヤツがなんともカッコ良かったです。それと、序盤の傭兵たちを皆殺しにするシーンで、ところどころスローになるヤツも、なんというかケレン味があってカッコ良かったですね。ただそれ以降、刑務所から脱獄するとこと、あとはラストバトルくらいしかその演出が出てこなかったので、もうちょっとやってほしかったなーという思い。
地下鉄のシーンでは逆に、マイロが追っかけてきてんのをずーっとスローにしていて、いつまで追っかけてんねん…ギャグでやってんのか…?と思いました。

ラストバトルに関しては、何やってんのかわからないというほどではないものの、動きが早いのとゴチャゴチャしてるのとで、見辛さを感じてしまいました。特に地面に叩きつけて地下まで貫通するとこと、コウモリがウジャウジャしてるとこ。キメ技になった、大量のコウモリを操って敵(マイロ)に叩きつけるヤツは、コウモリ版かめはめ波みたいで僕は好きです。

 

ストーリーも、ツッコミどころはあれど、決して悪いものではなかったと思います。
まず冒頭の洞窟のシーン。予告編を見た感じ、あそこでコウモリに噛まれまくったことで能力に目覚めるのかと思ってましたが、特にそんな事は無く(なぜか全く噛まれない)。入口にやたら仰々しい罠を仕掛けてましたが、めっちゃ出てきてたので、何の意味も無く。たぶんここでコウモリを捕まえて研究所に持ってったんだと思いますが、そういった描写も無く。あそこで起こったことがのちに何かの役に立ったり、伏線になってたりもせず。
結果、このシーン全体に何の意味も無かったな、と。
「この映画はコウモリが主役ですよー」と言いたいがためだけのシーンな気がしました。

次に研究所のシーンで、大量のコウモリがいる事がマルティーヌにバレて、「あーいや、これはその…」みたいになってましたが、直後に普通に看護師が入ってきてたし、なんならそれ以降コウモリを一切隠したりしなくなったのにはちょっと笑いました。あくまでマルティーヌだけに秘密にしてた、って事なんですかね。

それから、FBIの取り調べを受けるシーンで、「あの傭兵どもは犯罪者だから、殺してくれてありがたいくらいだ。でも、あの看護師は違う」とか言っててビビりました。要は死んでいい人と悪い人がいるという事で、あまつさえそれを警察機関の人間が堂々と言うって、この映画の登場人物の倫理観ヤベェな…と思いました。キャップとかが聞いたらブチ切れそう。

その後、研究所はよくある「CAUTION」て書かれた黄色いテープが張られて、警察が立入禁止にしていると思われるのですが、みんな何事も無いかのように普通に入ってるし、血清もテーブルに置きっぱにしていて、セキュリティという概念は無いのか?と思いました。
後半からは拠点を使われなくなった地下鉄の駅に移し、元々いたヤンキーたちを「I am... Venom! Gao!!」って追っ払って、彼らが使っていた偽札づくりのための機械を組み替えて研究用の機械にするとこなど、楽しい場面もありました。

あと最後、「すべてを終わらせる」とか言って毒薬を2つ持ってラストバトルに臨んだマイケルでしたが、マイロに毒を打ち込んで殺した後、自分は夜の街に飛び去って終わり…ってそれじゃ何も終わらせてなくないですか(汗)
血清打った者を生かしてはおけない、だからマイロに毒を打った後自分にも…それが“すべてを終わらせる”という事、と理解していましたが、ラストで豪快に放り出していたのでビックリしました。今後ユニバース展開するために死なせるわけにいかないのはわかりますが、それならもうちょい上手いやり方があったのでは、と感じざるを得ない。

マルティーヌも死んだと思ったら、最後に目見開いて赤く光ってましたね。本当の吸血鬼みたいに血を吸われた人も吸血鬼になる、みたいなのは無かったはずなので、マイケルが駆けつける前にマイロが血清を打ったのかな。実験でマウスに血清打った時、一時的に死んだ状態になった後に蘇生してたのが伏線だったりするのかしら。そういえばマイケルが研究所に戻った後、2つ血清が残ってた気がする。ひとつはマイロ、もうひとつはマルティーヌの分、て事かな。
とまぁその辺のロジックはともかくとして、あからさまな続編匂わせ、あんま好きになれないんだよなぁ…。

…ってついツッコミどころばかり書いてしまいましたが、全体的には大きな破綻も無く、楽しく見ることが出来ました。

 

最後に、ユニバース展開について。
ミッドクレジットにて、『スパイダーマン:ホームカミング』のヴィランだった、エイドリアン・トゥームス/バルチャー(演:マイケル・キートン)が登場します。
『ノー・ウェイ・ホーム』では、スパイディの正体を知っている別の次元の人がMCUの次元に呼び寄せられてましたが、逆にMCUの世界でスパイディの正体を知っている人は別の次元に飛ばされる(事もある)、とか?細かく考えるとどんどんおかしなとこが出てくるからやめとこう。
少なくとも、次元の裂け目が出てきた後、空室だった監房に突然現れた、つまり彼は別の次元(マルチバース)から来た=MCUの次元とSSUの次元は明確に異なる、という事ですね。いやそりゃそうだろ、って話なんですが。

こっちの次元では罪状が何も無いという事で即釈放されたトゥームスは、その後ホムカミで着てたウイング・スーツを着てマイケルと会うのですが、チタウリの技術が無いこの世界でどうやってそのスーツ拵えたんだ…?と誰しもが思うところ。まぁこの辺も積極的に思考停止していきましょう。

恐らく、『アメイジングスパイダーマン』の時に構想はあったものの実現しなかった、『シニスター・シックス』を改めてやろうとしているのではないかと思います。でも、本作のマイケルは悪事には参加しなさそう。ヴェノム(というかエディ)もしかり。トゥームスも根っからの悪人ではない。という事は、『スーサイド・スクワッド』のような、悪を以て悪を征す的な感じになるのかな。実現してくれたら嬉しいですが、SSUにそれを実現させるだけのパワー(魅力)があるかと言われると…うーん…。

あ、そうだ、予告編でトゥームスと何か会話してるっぽいシーンがありましたが、そこはごっそりカットされていました。それはまだいいとして、トビー版と思われるスパイディが壁に描かれているシーンもありましたが、これに関しては監督の意図したものではないらしいですね。本編にないシーンを勝手に作って入れるってそれ正真正銘の予告編詐欺なので、マジで良くないと思います。マジで良くないと思います(大事なことなので2回)。『ノー・ウェイ・ホーム』のCMでアンドリューのシーンをトムホに差し替えた事といい、ソニーはこういうとこでやらかしますね。そもそもトゥームスを予告編に出してる時点でやらかしてる気もします。

 

はい、てな感じで、色々言いたいことはあれど、大いに楽しむことが出来ました。
豪華なコース料理もいいけど、大衆料理屋のご飯もいいじゃない。そんな感じです。
他の作品との繋がりもほとんど無いですし、アメコミ映画って敷居が高そう…と思っている方でも気軽に見れる作品だと思いますので、興味があればぜひ見てみてはいかがでしょうか。

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ということで、映画『モービウス』の感想でした。

ではまた。

Vシネクスト『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』感想(ネタバレ)

Vシネクスト『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

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仮面ライダーオーズ/OOO』は、2010年~2011年にかけて放送された、仮面ライダーシリーズの1作。
“欲望”をテーマとし、キーアイテムであるオーメダルを巡る、人間、怪人入り乱れての争奪戦が描かれました。このオーメダルの玩具が当時ものすごい人気で、リアルでも争奪戦が繰り広げられたのを覚えています。確か「最も売れた玩具」としてギネスにも載ったんじゃなかったっけ。

 

そんなオーズ、今でもカルト的な人気を誇る作品だったりします。かくいう僕もオーズは平成ライダーで1,2を争うほど大好きな作品で、最後の方は毎週涙を流しながら見ていました。平成1期ならクウガ、2期ならオーズをベストに挙げるかなー。

TVシリーズ最終回、誰よりも“命”を欲したアンクは、最後は文字通り“自分の身を犠牲にする”という、自身の欲望とは相反する行動をとり、消滅。一方、“どこにでも届く手”という、一人の人間としてはあまりにも大き過ぎる欲を持っていた映司は、隣の人と手を繋ぎ、それを繰り返していけば、どこにだって手は届くのだと再確認します。割れたタカメダルを握りしめ、アンクとまた会える日を願いながら、映司は再び旅に出る――というラストは、数多くのメンドクサイオタク(僕もその一人)を生み出すほどに素晴らしいものでした。

その後、『仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGAMAX』や、『仮面ライダー 平成ジェネレーションズFINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー(タイトル長すぎ!)などで客演した際に、映司とアンクが再会したりしていますが、あくまで一時的なもので、アンク復活はこれまでずっとぼかされたままでした。

 

そして、TVシリーズ終了から10年の節目で、東映VシネマブランドであるVシネクスの枠にて、完全新作が公開されることが発表されました。それが本作、『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』になります。
現実の時間経過と同様、TVシリーズ終了から10年後の世界を舞台に、アンクの復活と、オーズの物語の完結が描かれています。

諦めかけていた真のハッピーエンドが描かれることを喜ぶ声、“いつかの明日”はあえて描かないからこそ素晴らしいのではないかという声、それぞれの想いから、メンドクサイオタクの間では公開前から賛否両論が巻き起こっていました。ちなみに僕は後者だったので、製作が発表されたときも、嬉しさ7割、不安3割、という心持ちでした。

しかし、公式が「やる」と言った以上、それがどのようなものであれ、我々はそれを見届けねばなるまい。
そんな覚悟を持って、僕も本作の鑑賞に臨みました。

 

鑑賞直後の僕の感想は以下。

 
 
 
 
 
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ハッピーエンドとはいかなかったものの、僕の中では非常に納得度の高いものでした。

こんなブログなんかよりもずっと詳細でわかりやすく的確に言語化した感想が至る所にあるのでね、僕は軽めに感想を書いていきたいと思います。

 

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2021年。
アンク(演:三浦涼介)は、自分を呼ぶ誰かの声を聞き、荒廃した街で目を覚まします。
確かに“死んだ”はずの自分が、なぜ再び目を覚ましたのか?

考えるのもつかの間、近くで爆発が。
後藤慎太郎/仮面ライダーバース(演:君嶋麻耶)、伊達明(演:岩永洋昭)、泉信吾(演:三浦涼介)、泉比奈(演:高田里穂)、白石知世(甲斐まり恵)らレジスタンスが、何者かと戦っています。その相手は、ウヴァ(演:ヤマダユウスケ)、カザリ(演:橋本汰斗)、メズール(演:矢作穂香)、ガメル(演:松本博之)ら、こちらも死んだはずのグリード達。
どうして奴らまで生き返っているのか?

グリードの攻撃によって車の下敷きになりそうになった信吾を、取り憑いて間一髪助け出すアンク。
一体世界はどうなってしまったのか…?疑問は尽きません。

そこへ、「これが今の世界だよ」と、聞きなれた声が。
振り返ると、そこには火野映司/仮面ライダーオーズ(演:渡部秀)がいました。

「おかえり、アンク」
そう言うと、再会を喜ぶ間もなく、映司は姿を消します。

アンクは比奈たちが生活しているアジトへ行き、800年前に封印されたはずの古代オーズが甦ったこと、グリード達を復活させて破壊の限りを尽くしている事を聞きます。そして、映司が戦いの中で重傷を負い、そのまま行方不明となっている事も…。
先程映司と会ったことを話し、その時に聞いた隠れ家へと向かう一行。傷を治していたと語る映司ですが、その言動や行動にはどこか違和感が。

実は映司は、鴻上ファウンデーションによって造られた人造グリードであるゴーダ(声:日野聡)に体を乗っ取られており、先の戦いで映司の体は非常に危険な状態であることが明かされます。ゴーダは映司の欲望から生まれたらしく、映司の欲望を叶えることが自分の目的だと言います。
かつて信吾がそうだったように、ゴーダが映司から離れてしまうと死の危険がある事から、アンク達レジスタンスは渋々ながらゴーダと協力する事に。

果たして、古代オーズを止めることは出来るのか。
そして、映司の運命は――。
というのがあらすじ。

 

まず本作は、恐らく尺や予算の都合から、プロローグやエピローグをバッサリと割り切っています。なので、なぜ古代オーズが甦ったのかとか、その後どうなったのかとか、そういったことは一切描かれていません。これも賛否両論あるかと思いますが、僕は英断だと思いました。

ただ、TTFCで前日譚が配信されているようですが、僕は登録してないので見れないし、出来れば本編に捩じ込んでほしかったという思いはある…。

 

思うところはまぁそれなりにあります。
本作での映司くんはずっとゴーダに乗っ取られているので、映司くんとしての出番はラスト以外無い、というのはまだいい…というか何ならTVシリーズ序盤の“信用ならない協力関係”が再現されてて良かったとすら思ってるんですが、それにしてもアンク丸くなりすぎでは?とか、知世子さんは前線に出ないでアジトで料理作る担当とかの方が合ってたのでは?とか、比奈ちゃんは兄貴の事ないがしろにし過ぎでは?とか、グリードの皆さんもせっかくフルメンバーで出演してくれたのに扱い雑過ぎでは?とか、古代オーズの最期あっけなさ過ぎでは?とか、バースX活躍しなかったなぁとか、オーズドライバー増殖問題とか、とかとか。

それと、ゼロワンVシネの感想で「人気キャラを無闇に死なせないで欲しい」みたいな事を書いたし、セイバーVシネの感想では「整合性が取れないところが目立つ」みたいな事を書いたんですが、ぶっちゃけ本作はこれらの両方とも当てはまっちゃってるように思います。しかも後者に関しては、人気キャラどころか主役ですもんね。

blacksun.hateblo.jp

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しかしそれでも上述の通り、本作は非常に納得度が高かった。
それはひとえに、“オーズの物語を完結させる”という部分に関しては、しっかり妥協無く作っていたように思えたからです。

“オーズの完結”とはつまり“映司くんの旅の終わり”を意味していて、アンクの復活は確かに旅の大きな目的のひとつではあるんだろうけど、きっと映司くんの事だから、アンクが復活した後も困っている人を助けるために旅を続けると思うんですよね。なので、旅を終わらせるためにはあの結末しかなかったのではないかと思います。

 

本作のラストは賛否がものの見事に真っ二つに分かれていて、否定派の意見で多いのが、「TVシリーズラストで命の尊さを理解した映司くんが、自分の命を軽視するのはおかしい」というものな気がします。ですが、僕が感じた印象はむしろ逆で、命の尊さを理解しているからこそ、あの場面で少女の命を諦めたくなかったのでは、と思っています。

ああいったギリギリの場面においても、迷いなく誰かを助けるために手を伸ばす、それが映司くんという人間なのではないかと。だから、「いずれはこうなる時が来るよな…」と納得出来たし、「そりゃそうなるよな…映司くんらしいや…(泣)」と僕は思いました。

 

「自分の命を犠牲にしてアンクをよみがえらせた」というのもちょっとニュアンスが違うと思っていて、「命が尽きる間際でも誰かを助けたい気持ちがあって、最期に頭に浮かんだのがアンクだった」、という事じゃないのかな。決して自分の命を軽視していたわけではなく、もうすぐ自身の命が尽きることを悟ったから、最期にアンクによみがえってほしいと強く願った。その“欲望”にタカメダルが反応して、復元したのかな、と。だから“自己犠牲”とは違うと思ってます。

 

それともうひとつ、最後にアンクを追い出した事について。
「自分の都合でアンクを生き返らせて、満足したから自分の都合で死んだ」という解釈はちょっと悲しすぎませんかね…。アンクにはこの世界を自由に羽ばたいていって欲しい。自分の中に繋ぎとめる事によって、その枷になりたくない。だから自分の事は顧みずに、アンクを追い出したんじゃないかと。

いつだって誰かの事を思いやれる、とても映司くんらしい選択だなぁと思いながら、アンクと一緒に僕も号泣していました。

 

そのほか、精神世界?で本物の映司くんに会ってからのアンクはずっと号泣してたな…全く人間らしくなりやがって…(涙)とか、メズール様、おうつくしや…とか、なんだかんだゴーダは魅力的なキャラだったなとか、鴻上社長は相変わらずだなとか、まだまだ言いたい事はありますが、この辺にしときます。

 

🔴🟡🟢🔴🟡🟢🔴🟡🟢

 

『オーズ』という作品を深く愛している人ほど、本作の結末は受け入れられないかもしれません。そういう意味では、非常に人を選ぶ作品になっているかと思います。僕は本作を肯定的に受け取る事が出来ましたが、否定的な意見が出るのも非常によくわかります。
でも、そういう否定的な声が上がるのも覚悟の上で、しっかりとオーズの物語を完結させようと、物語に真摯に向き合ってくれた製作陣には感謝しかないです。

仮面ライダーオーズ/OOO』、本当に素晴らしい作品でした。
どうもありがとう。そして、さようなら。

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ということで、Vシネクスト『仮面ライダーオーズ 10th 復活のコアメダル』の感想でした。

ではまた。

映画『アンチャーテッド』感想(ネタバレ)

映画『アンチャーテッド』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2023/08/12:加筆修正と、もくじを付けました。

アンチャーテッド』は、PS3PS4などで発売されている、アクションアドベンチャーゲーム

題材としてはモロに『インディー・ジョーンズ』な謎解き冒険ものですが、ロード時間を挟まずにシームレスに繋がるフィールドや、アクション映画さながらのド派手な演出など、独自の魅力もたくさんあります。その特徴から「プレイする映画」と呼ばれ、ゲーム・オブ・ザ・イヤーを受賞したりと、世界中のゲーマーから高い評価を獲得しているシリーズです。

ちなみに、「Un-Charted」(直訳:地図に無い)は、日本語で「未知の領域」という意味なんだとか。カックイー

 

開発元はノーティードッグという会社で、僕は過去に同社が開発した『ジャック×ダクスター』というゲームに一時期ハマっていました。『スーパーマリオ64』や『クラッシュバンディクー』みたいな、各ステージに隠されているキーアイテムを集めることで次のエリアに進めるようになるタイプの箱庭系アクションゲームですが、割と古いゲームにもかかわらず2では疑似オープンワールド的なゲーム性を実現していて、非常に面白いです。今だとDL版が各機種で購入可能なので、興味があれば是非。(3だけなぜか海外版しかないですが…)

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やりたくなった方はこちらからどうぞ!

アンチャーテッドに関しても前々からプレイしている…んですが、まだ3作目の途中までしか進んでない…。本作を見る前にせめて3作目まではクリアしてから臨もうと思っていたのですが、間に合いませんでした。

基本は謎を解きながら探索するアクションアドベンチャーなのですが、地味にTPS(三人称視点のシューティング)としてもかなり出来の良いゲームなのではないかと思っています。一度やりだすとやめ時がわからなくなるくらいしか欠点の見当たらない、非常に完成度の高いゲームだと思います。僕がこういうゲームをやると、休日丸ごと潰れたり寝不足になったりして日常生活に深刻な影響を及ぼすので、ちょっと控えている面があったり。

↓最初、股間に弾を当てるのが「歴史的シューター!」の条件なのかと思った…。

 

もくじ

 

概要

そんな「プレイする映画」が本当に実写映画となったのが、本作。

しかも主演は、MCU版『スパイダーマン』ですっかりお馴染みの、トム・ホランド
更に、実写版『トランスフォーマー』シリーズなどに出演している、マーク・ウォールバーグが相棒役で出演しています。

ゲームも好き、出演している俳優も好き、となれば、最早見ない手は無し。トムホもマークもゲーム版のキャラと比べて若すぎる感はありますが、本作は主人公がトレジャーハンターになるまでのオリジン、つまり前日譚を描いているほか、ゲームのような生きてるのが不思議レベルの超人的なアクションをこなすとなれば、アレくらい若くなきゃ厳しいだろうな…と納得。

余談ですが、トムホよりもマークがネイト役やった方がゲーム版のイメージに近いのになー、と思ったら、最初はその予定だったようですね。紆余曲折あってトムホが起用されることになり、それに伴って主人公たちの若かりし頃を描くストーリーになったんだとか。どのような事情があったのかはわかりませんが、ぶっちゃけトムホの方が若くて華があって集客も見込めそうなので、英断ではないかと。

そのほかのキャスト陣は、『マスク・オブ・ゾロ』などのアントニオ・バンデラス、『トゥルース・オア・デア~殺人ゲーム~』などのソフィア・アリ、『絵文字の国のジー』などのタティ・ガブリエル、といった俳優陣が出演しております。

 

本作で監督を務めるのは、同じソニー作品である『ヴェノム』も手掛けた、ルーベン・フライシャー
『ヴェノム』はホラーテイストを入れようとして結局どっちつかずになっていたように思うので、終始明るいテイストの本作の方が、かえってこの監督に合っているような気がしました。

脚本は、『エージェント・オブ・シールド』などのレイフ・リー・ジャトキンス、『アイアンマン』や『トランスフォーマー/最後の騎士王』、『メン・イン・ブラック:インターナショナル』などのアート・マーカムと、マット・ホロウェイが執筆しています。ちなみにゲームとは異なる、オリジナルストーリーだそうです。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

アメリカ、ニューヨーク。

ここで暮らすネイトことネイサン・ドレイク(演:トム・ホランド)は、幼少期に唯一の肉親である兄、サムことサミュエル・ドレイク(演:ルディ・パンコウ)と生き別れとなり、ずっと手掛かりを探していました。

ネイトはバーテンダーとして働きながら、金持ちそうな客から金品をスッたりしながら生活しており、それを見抜かれたトレジャーハンターのサリーことビクター・サリバン(演:マーク・ウォールバーグ)に、一緒に宝探しをしないかとスカウトされます。
サリーを一切信用しないネイトですが、財宝を追っていけば兄の手掛かりも見つかるかもしれないと言われ、協力することに。サリーと顔見知りだというトレジャーハンター、クロエ・フレイザー(演:ソフィア・アリ)とも協力しながら、500年前に失われた海賊船と、そこに積まれた黄金の行方を追っていきます。

しかし、大富豪のサンティアゴ・モンカーダ(演:アントニオ・バンデラス)もその財宝を狙っているようで、手下のジョー・ブラドック(演:タティ・ガブリエル)らの妨害を受けることに。

最後に財宝を手に入れるのは、一体誰なのか――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

超人的なアクション

まず特筆すべきは、本作のアクション。ものすごい見応えがありました。

特に主演のトムホのアクションは、マジで放射能浴びたクモに噛まれたんじゃないかってくらいに超人的。上でも書いている通り、ゲームでは生きているのが不思議レベルの大スペクタクルの連続で超楽しいのですが、本作でもそれをかなり忠実に再現していると思いました。『インディー・ジョーンズ』や『ナショナル・トレジャー』等、謎解き冒険ものの映画は好きでよく見ていますが、アクション面に関しては本作が一番なんじゃないかと。

 

序盤でネイトのトレーニングシーンが出てきますが、そこで拝めるトムホのマッスルが仕上がりまくりで、大変眼福でございました。本来マークがネイトを演じる予定だったというのは上で書いた通りですが、マークも演じるにあたってかなり体を鍛え上げたそうで、結局準主役とはなったものの、相当体を仕上げていたんだそうです。で、自分もそれに見合う体にしなきゃダメだと、トムホもトレーニングを積んであの見事なボディを作りあげた、とかなんとか。もちろん見た目だけでなく、あれだけのアクションをこなすとなれば、それ相応の筋肉は必要でしょう。まぁ、全部トムホがやってるわけではないと思いますけど。

こういうひたむきなところが、トムホが起用される理由なのかなー、とか思ってみたり。

 

しっかりとツボを押さえたストーリー

お話も、ライバルより先にお宝を見つけ出せ!ってだけの、至極シンプルなものです。だが、それでいい。むしろ、それがいい。

クロエとのちょっとしたロマンスや、悪いヤツはすぐに裏切るとことか、良くも悪くもテンプレ通りって感じの、間違いないヤーツでした。まぁ、モンカーダがあっさりと死んだのはちょっと驚きましたけど。きっとあの人も自分の資産や功績を増やしたい、あとは父をギャフンと言わせたいという一心で、それ以外のオツムは少々弱かったんでしょう。

 

宝探し系の醍醐味ともいえる謎解きに関しては、しっかりとゲームとは異なるものを用意していて、好感が持てました(僕が覚えてないだけかもですが)。難易度とか現実的かどうかとかは、基本脳死で見ているのでよくわかりません(爆)

ちょっと細かいところで言うと、海賊であり冒険家でもあるフランシス・ドレイクの子孫を自称していることもあり、サムとネイトは幼少期からずっとお宝への探求心を持っていていろいろ勉強してたとか、火であぶることで隠されたメッセージが浮かび上がるという、アバンでのシーンが謎を解くカギになっていたりとか、意外と伏線回収や細かいところの説得力がちゃんとしていたように思います。よく考えれば「いやそうはならんやろ」と思うとこもあるような気がしますが(主にアクション面)、僕はよく考えない人間なので、楽しく見れました。

 

魅力的なキャラクター

ネイトは決して善良な人間という訳ではありませんが、息をするように女性からブレスレットを盗む姿とか、なんか良かったです。

“トレジャーハンター”なんてカッコいい肩書きを名乗っていても、所詮は泥棒なんだよなぁ、という見方も出来ますが、それくらいしたたかじゃないと生き残れないような世界で、そしてそんなネイトを見たからこそ、サリーはスカウトすることを決めたのかなとか、NYでは普通に働くだけじゃ生計を立てていけないのか…と世知辛い気持ちになったりとか、色々と思うところがありました。

別の映画のネタバレをぶっ込んで大変申し訳ないですが、マンハッタンで勤務する警官は物価が高すぎて給料だけではとても生活出来ない、だから警察署全体がグルになって裏で麻薬の取引をして生計を立てていた、という、チャドウィック・ボーズマン最後の主演作『21ブリッジ』を連想しました。

あ、ネイトの見た目でいうと、革ジャン→黒シャツ→白シャツ→ホルスター装備と、映画が進むごとにネイトの服装がゲーム版の姿に近づいていくところも、オリジン!って感じがしてすごく良かったです。

 

サリーも、お宝至上主義ではあるものの、サムを見殺しにしたと責め立てられても、そこに至るまでに恐らくいろいろあったはずなのにその辺は特に言及せずに素直に認めるところとか、いざお宝を前にしても、決して「じゃ、お前はもう用済みだアバヨ」とか言わずに、「俺たちやったぜ!」って言うところとか、頭のネジぶっ飛んでるところもあるけど決して悪いヤツではない、というキャラクターをしっかり表現していたのではないかと。最後、お宝を取るかネイトを取るかで、お宝をぶん投げてネイトを助けるところとかも、予想通りではあれどグッときました。

 

クロエは、ゲームからそのまま飛び出してきたかのようなルックスがすごい良かったです。見た目の再現度は間違いなくナンバーワンかと。キャラクターとしては、裏切ったくせにシレっと戻ってきたり、お宝の在処を記したメモ(偽物)を見つけて、こっそり抜け出して独り占めしようとしたりと、なかなかのクズでしたね。なので、全然別の座標に向かわせられて「サイッテー!」と捨て台詞吐くところも、「テメェの蒔いた種やろがい(*´з`)ププーッ」と溜飲の下がる思いでした。

あ、別に嫌いというわけではなく、むしろゲームの雰囲気を良く再現していてめっちゃ良かったと思っています。

 

ド迫力のアトラクションムービー

飛んでいる飛行機から落ちてきた積荷を飛び移って機内へ向かうシーンや、ヘリで吊り上げられた海賊船2隻の上でのラストバトルは、ハラハラドキドキの連続で、素晴らしいアトラクションムービーっぷりでした。トムホのアクションもキレッキレの最高潮。

500年前の船がほぼそのままの形で残ってるって相当歴史的価値の高いもので、だからこそヘリで吊り上げてなるべく傷付けないように運んでいたと思うんですが、終盤に向かうにつれてどんどん扱いが雑になっていくのには笑いました。ブンブン揺らして岩や船同士でぶつけたり、しまいには真っ二つにして海に墜としちゃってましたもんね。ジョーに「(船の中で銃撃って)穴開けたりしたら、お前の体に風穴開けるぞ」とか言われてたのに、みんな普通にバンバン銃撃ってて爆笑しました。まぁ、船に積まれていた黄金こそがお目当てだった、ということにしておきましょう。それもサリーに奪われましたけど。

 

最後は船と共にお宝も全て海に沈んだ…と思いきや、ネイトがいくつかくすねており、サリーとキャッキャウフフして幕を下ろします。始めは渋々協力していたネイトも、最後はすっかりいっぱしのトレジャーハンターになっているのが微笑ましい。

ミッドクレジットでは、どうやらサムの形見の指輪はとんでもないお宝の手がかりだったらしく、悪そうな人たちにそれを譲る代わりに古代ナチス(?)の地図を入手してました。指輪もちゃっかり取り戻し、サリーと共に新たな冒険の旅へ…てな感じで映画は終了。よくある続編匂わせオチでした。

 

追記:ソニーのゲーム映画化について

ソニーは現在、PlayStationのゲームを続々映像化していこうという計画を立てているようで、本作はその先陣を切った形になります。『THE LAST OF US』はドラマが配信され好評だったようですし、もうすぐ映画『グランツーリスモ』も公開になるなど、着々と計画は進んでいる様子。

今後も、『Horizon Zero Dawn』や『God of War』など、計10作の映像化が予定されているんだとか。いうなれば、“プレステバース”といったところでしょうかね。流石にクロスオーバーはしないと思いますが、どこまで実現するのか、今後の展開が楽しみです。

 

おわりに

感想は以上になります。
なんだか見出しが公式サイトのそれっぽくなってしまいましたが、まぁいいや。

正直、突き抜けた面白さは無いし、大体が過去の映画で見たようなシーンばかりではありますが、見応え抜群のアクションなど、見て損はない作品だと思います。謎解き冒険ものが好きな方、トムホが好きな方は、きっと楽しめるのではないでしょうか。

興行収入も結構良かったらしく、続編も検討されているとのことなので、公開される日を楽しみに待ちたいと思います。

という事で、映画『アンチャーテッド』の感想でした。

ではまた。