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映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』感想(ネタバレ)

映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

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ヴェノムは、マーベルヒーローのスパイダーマンに登場するヴィラン(悪役)の1人。
非常に高い戦闘力を持っているキャラクターで、シリーズを代表するスーパーヴィランであり、その高い人気から様々な作品に登場しています。また、作品によっては味方になったりするなど、ダークヒーローとして描かれたりもしています。

僕の中ですごく印象に残っているのが、2007年公開のサム・ライミ監督作『スパイダーマン3』でのヴェノム。シンビオートのウニャウニャした気持ち悪さ(誉めてる)、ピーターに取りついてのイカしたブラックスーツ、エディに取りついてからの堂々たる悪役っぷり。当時映画館へ見に行ってすごい面白くて未だにお気に入りの映画なのですが、面白かっただけにサンドマンとニューゴブリンとヴェノム、それぞれ別々で映画作ってくれてもいいのに…勿体無い…と思ったのも事実(『ノー・ウェイ・ホーム』はもっとすごい事になりそうだけど)。後で知ったんですが、『スパイダーマン3』のヴェノムは割と原作に忠実なんですね。どうりで魅力的な訳だ。

出来れば2000年代以降の実写映画シリーズについてひとつひとつ書いていきたいところですが、めんどくさいのでその辺は割愛。

 

これから感想を書く『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』は、2018年に公開された映画『ヴェノム』の続編になります。この『ヴェノム』は、『ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)』なるものの第1作目なんだとか。SSUなんて、そんなんあったんか…と思いましたが、どうやら古くは『アメイジングスパイダーマン』の頃から企画はあったようで。サム・ライミがもう続編撮らないって事で、リブートついでにユニバース構想を描いていたものの、『アメイジングスパイダーマン2』が大失敗したために、一度企画倒れになってしまったとか。アメスパ2、めちゃくちゃ大好きな映画なんですが、失敗だったんすね…。あんなに素晴らしいラストは他に無いと思ってるんですが、何がダメだったんでしょうかね…?

ともあれその後、MCUが覇権を取ったのを機に、その人気にあやかって「そっち(MCU)にウチのスパイディ出させてやるから、世界観共有させろや」みたいな感じで協力関係を結び、MCUでも大活躍のスパイダーマンを軸としたソニーのシネマティック・ユニバース、という形で再び企画されたっぽい。あ、この辺の話、僕の脚色が入っててところどころ事実と違う気がするのであしからず。

元々は経営難からスパイディの版権をソニーに売却したマーベルでしたが、今やすっかり立場が逆転してしまいましたね。もういっそマーベルスタジオには21世紀FOXを買収したみたいに(正確には買収したのはディズニーですが)スパイディ絡みの権利買い戻してほしいんですが、さすがにそれは難しいのかしら。

 

と、話が逸れましたが、『ヴェノム』について。
ヴィランであるヴェノムを主役に据え、宿主であるエディとドッタンバッタン大騒ぎしながら、悪を持って悪を制す的なダークヒーローものになっておりました。そんな前作、僕は正直なところ、そこまで好きになれませんでした。

公開前はホラーっぽい雰囲気を押し出していて期待していたんですが、蓋を開けてみりゃスパイディ達と絡ませる時の事を考えたのか、R指定を避けるために捕食シーンとかの大事な部分は映らないし、血も全く出ない。
キャラの描写も全然足りてなくて、ボスキャラであるはずのライオットも“リーダーっぽいなんかすごいヤーツ”くらいしかわからずじまいだったし、凶悪宇宙生命体のはずのシンビオート=ヴェノムはエディに対しては始めっからデレデレのデレだし、そのくせ「お前が俺を変えたんだ」とか言ってて、どこにそんな要素ありました?って思いましたしおすし。
あと30分上映時間延ばしていいから、もっと各キャラをしっかり掘り下げてほしかったなぁ、と。最近のヒーロー映画の上映時間がどんどん長くなっているのを受けて、比較的短い時間でサクッと見られる映画を目指したらしいですが、面白さまで削ってしまってるというか、なんかあまり上手くいっていないような気がしました。

エディとヴェノムのバディムービーとしての面白さや、触手を標識に引っかけて強引に曲がるムチャクチャなバイクのチェイスシーンとか、良いシーンも無い事は無いんですけどね。ヴェノムが最初からいいヤツなのが最後まで納得出来ず、バディもの見せられてもなんだかなぁ…って感じでした。
あ、でも、公開後の反応を受けて、ホラーチックなCMから「ヴェノムかわいい!」「飼いたい!」みたいなCMに切り替えたのは(個人的な好き嫌いは別として)英断だと思いました。

 

長くなっちゃいましたが、本作。
鑑賞後の率直な感想としては以下の通り。

 
 
 
 
 
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A post shared by ブラックさん (@blackson3110)

本作でもヴェノムのデレっぷりは相変わらず、というか更にデレッデレになってましたが、なんかもういいやと思えて割とすんなり受け入れられました。

そーいや、頑張って見ないようにしてた『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の予告編が始まる前に流れて、
「ああああああああ!!やめろおおおおおお!!見せないでくれええええ!!」
ってなりました。まぁ既にTwitterとかで誰が出てくるとかネタバレくらってたけどさぁ…。あの興奮は公開された時まで取っておきたかったぜ…。

てな感じで、感想に参りたいと思います。

 

前作に引き続き、真実を追求するためには無茶な取材も厭わない新聞記者、エディ・ブロック(演:トム・ハーディ)と、そんな彼に寄生した宇宙生命体シンビオートヴェノム、このコンビが主人公。

前作のラストで死んだっぽい演出をされたけどなんだかんだ生きてたヴェノムは、その後もエディとイチャイチャしていました(誤解を招く文章)。シンビオートの力の源のとある成分が人間の脳かチョコレートにしか含まれていないらしく、しかもチョコでは全然足りないようで、たびたび人間を食べようとするヴェノム。エディは悪いヤツだけ食べていいと言い聞かせ、イヤイヤ期の子供みたいなヴェノムは、不満ながらも律儀にそれに従っている様子。

エディは、凶悪な猟奇殺人鬼の死刑囚、クレタス・キャサディ(演:ウディ・ハレルソン)になぜか気に入られ、彼の独占取材をしていました。その中で、ヴェノムの助けもあってこれまで発見されなかった被害者の遺体の在処を見つけ出すことに成功。エディは一躍時の人に。
そうして一気にクレタスの死刑執行の日程が確定するも、執行直前にエディの血を舐めたクレタスにもシンビオートが寄生し、その結果、最凶最悪の怪物、カーネイジが誕生してしまいます。看守たちを一瞬で惨殺したカーネイジは、そのまま脱獄。

街へ出たクレタスは、息をするように人を殺したり車を奪ったりしながら、幼い頃に引き離された孤児院の幼馴染である、音波で攻撃する能力を持つフランシス・バリソン/シュリーク(演:ナオミ・ハリス)と合流。エディとヴェノムは、この最凶の敵に勝つことが出来るのか――。
というのがあらすじ。

 

前作もそうでしたが、何も考えずに楽しめるタイプの作品で、普通に面白かったです。
エディとヴェノムは終始子供みたいにじゃれ合っててホッコリしました。予告でも印象的だった、落ち込むエディを励まそうと料理作って「ジャジャーン!」するヴェノムとか、最高に可愛かったです。あと、エディと喧嘩別れした後、成り行きでクラブの仮装パーティに混ざったヴェノムが「イェーイ!どうだ!オレカッコいいだろ!エディのバーカバーカ!(意訳)」とマイクパフォーマンスしてからの、外に出て「オレ、みんなに受け入れてもらえたぞ…お前にも見せてやりたいよ…」という流れには胸がキュンとしましたよホント。
こういうのが嫌いなわけではないんです…。ただそうなるまでの過程をしっかり描いてほしかっただけなんです…。そこが前作の不満点。
本作では既に関係性は出来上がっているので、その辺は特に不満には感じませんでした。

今回の敵はカーネイジとシュリークだけなので、ストーリーも非常にシンプル。カーネイジというすっげー悪いヤツが生まれちゃったから、エディとヴェノム(とダン)が頑張ってやっつける、というだけのお話。
ただ、シュリーク要る?と思いました。カーネイジだけだとヴェノムはどうやっても勝てないから、足枷として配置してるようにしか見えなかったです。最期も邪魔だから突き落とされました、って感じでしたし。どうせなら、最後にカーネイジを倒すために一瞬だけヴェノムと共闘するとかしてくれたらいいのに。しかし、シュリークを演じているのが『007』のマネーペニーと同じ人だなんて…役者ってすごい(小並感)

あと、パトリック・マリガン刑事(演:スティーヴン・グレアム)も、物語において必須って感じではなかった気がします。次回作以降の為の種蒔きとして登場させたキャラって感じでした。まぁ、『マイティ・ソー』1作目で、ほんの一瞬弓を構えるだけの登場だったホークアイが、今や単独主演のドラマが作られるくらいになってる訳ですし、マリガン刑事も今後に期待ですな。なんか目光ってたし。

あとあと、エディの血を舐めるだけでシンビオートに寄生されるのなら、触手でぶっ刺されたときはどーなんだとか、「赤いのはヤバい!」ってどうヤバいんだとか、カーネイジの猛攻にヴェノムがグロッキーになってましたがダメージ判定どーなってるんだ、魔人ブウみたいに同族同士だとダメージ受けるみたいな設定なのかとか、細かいとこが投げやりというか、痒いところに手が届かないところも前作同様という感じでした。

最後はヴェノムがカーネイジも食って、「バカじゃね!」ってクレタスの頭も食って、いやーよかっためでたしめでたし…となっていたところに、あのポストクレジットシーンですよ。の登場におしっこちびりそうになるくらいビックリしました。いや、確かにSSUだけど!お前もなのか!これが実現するのか!ウヒョー!となりました(見た人には伝わると信じている)。

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とまぁそんな感じで、単体としても楽しめるし、今後の展開にも期待できる作品でした。
「なんか怖そう」と思って見るのをためらっている人には、拍子抜けするくらい全然怖くないです、とお伝えしときます。むしろ、ウネウネした生物に萌えるという新しい扉を開くことが出来るかもしれないですよ。

 

ということで、映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の感想でした。

ではまた。