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ゴルゴムのしわざか!

Vシネクスト『仮面ライダーセイバー 深罪の三重奏(トリオ)』感想(ネタバレ)

Vシネクスト『仮面ライダーセイバー 深罪の三重奏(トリオ)』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2022/03/01:ちょこちょこ追記しました。
2022/07/01:試験的に目次を入れてみました。

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仮面ライダーセイバー』は、2020年~2021年にかけて放送された、仮面ライダーシリーズの1作。

文豪にして、剣豪!」がキャッチコピーで、がモチーフとなっています。前作『仮面ライダーゼロワン』がSFな世界観だったのに対して、セイバーはファンタジックな世界観。小説家である主人公が聖剣を手にし、様々な力を秘めたワンダーライドブックを用いて、剣士として戦いに身を投じていく、といったお話となっています。各ライダーのデザインも、剣士という事で中世の騎士をイメージしており、非常にカッコよかったです。

 

もくじ

 

TVシリーズ総評

本作の感想を書く前に、まずはTVシリーズ全体の感想を書いておきたい。
ちょっと長くなりますが、お付き合いいただければ幸いです。

スタート当初、コロナ禍真っ只中の制作という事で、グリーンバックやCGの多用、変身シーンのバンク化など、撮影が困難な状況でも対応出来るよう、様々な工夫が凝らされているなー、という印象を受けました。
また、メイン脚本を務めたのが『仮面ライダーゴースト』と同じ福田卓郎氏で、ゴーストのストーリーの評価が良くないというのもあり、そのリベンジとなるか、はたまた同じ轍を踏んでしまうこととなるのか、期待と不安が入り混じったスタートとなったのを覚えています。ちなみに僕もゴーストの脚本に関してはあまり良く思ってないです。でも主人公タケル君のキャラクターは結構好き。

そんなセイバー、2021年8月にめでたく最終回を迎えたわけですが、残念ながら世間の評価はよろしくなく…。
その原因はやはり脚本にあるようで、「内容が薄い」「何がしたいのかわからない」「説得力が無い」「支離滅裂」「歴代ワースト1位」など、だいぶ酷評されているようですね。ゴーストのリベンジとはならず、でしたか…。

僕はといえば、2021年に入ってからニチアサを見ない日々が続いていました。セイバーが面白くないから、といった理由では断じてなく、確か溜まっていたバラエティ番組とかの録画を消費するのに時間を割いていて、ニチアサを後回しにしていたんだと思います。で、最終回後にようやく一気見して、「世間の評価の低さもわかるけど、そこまで悪いもんでもないな」と思いました。少なくともワースト1位ではないかなぁ。

現時点での個人的ワースト1位は、『仮面ライダーカブト』。
ライダーデザインは歴代1,2を争うほど好きなんですが、“赤い靴”などのぶん投げっぱなしで全く回収しない伏線とか、脚本があまりにもクソ過ぎて受け入れられませんでした。今見返したら評価は変わるかもしれないですが(というか絶対変わる)、現状その気は無いです…。

ちなみに、現在放送中の『仮面ライダーバイス』と『機界戦隊ゼンカイジャー』は、まだ1話も見れてないという…。

 

良かった点

セイバーでは10人以上ものライダーが登場しますが、龍騎、鎧武、エグゼイド等、多人数のライダーが登場する作品では、コストの都合などから変身ベルトやベースとなるスーツは共通のものになりがち。しかし、セイバー、ブレイズ、エスパーダはそのパターンなものの、他のライダーは変身アイテムやスーツをしっかり新規で作っていて、非常に個性的でした。カラーリングとかも相まって、並び立った時のぱっと見がスーパー戦隊みたいで楽しかったです。
どうやら、最初の3人以外は組織に属しておらず独自の力で変身する、みたいな構想があったようで、その名残らしいですね。

また、「本の力を引き出すこと(=フォームチェンジ)も大事だけど、剣の腕を磨くことも大事」みたいな描写をすることで、どんどんフォームチェンジして強くなっていく主人公に対して、他のライダーが見劣りする(弱くなっていくように見える)といった“ライダーあるある”も、幾分か軽減されていたように思います。噂によると、話が進むにつれて叩き売られる傾向にあるサブライダーの変身アイテムのおもちゃが、割と終盤になっても値段が下がらないままだったらしく、それは“聖剣”というアイテムの重要性をちゃんと描けていたおかげなのかな、とか思ってみたり。
まぁ、思い返すと最後の最後で重要性を損なっていた気もしますが…。

役者さんたちの演技もとても良かったです。特に芽依ちゃんなんかは、役者さんの魅力が無ければあそこまでのキャラクターにはなっていなかったと思います。あと神代兄妹も個人的に好きなキャラですね。

 

良くないと思った点

やっぱり脚本、ですかね…。
最初の1クール、カリバーとの決戦あたりまでは楽しく見ていました。ただ、カリバーの正体が先代炎の剣士である上條だった、というのはちょっとわかりやすすぎかなーとは思いました。あと、上條の目的が組織の闇を暴く事だったとはいえ、世界を滅ぼそうとする奴らと手を組むってのはナニユエ…?

続いて、特に酷評の多い内輪揉め編。まず真っ先に、「戦う前にもっとちゃんと話し合えよ」とは思いますわな。倫太郎とかいちいち感情的過ぎて、「とりあえず落ち着け」としか思えませんでしたし。でも、バスターとスラッシュのベテラン勢が、本の扱いに関してはセイバーの方が長けているけど、剣の扱いに関しては彼らが数段上、みたいな描き方をされていて、ここは良かったと思います。(上述の“ライダーあるある”の軽減を強く感じたのもこの辺。)あと、この時メンタルがボロボロだった剣斬がボコボコにやられるのも良かったです。剣斬の強さって“迷いのなさ”だと思うので、それが揺らいでいる状態では本来の強さを発揮出来ないってのをしっかり描いていたのかな、と。
まぁ、そこで勝ったセイバーがドヤ顔でなんか語ってるのが「ぽっと出のお前が何を偉そうに」と思ったのと、そこから立ち直るまでが長過ぎる感はありましたが。

その後、ソードオブロゴスのトップであるマスターロゴスがとんだサイコパス野郎であることがわかり、お話は彼との戦いになっていきます。が、その間、本来の敵であるメギドをほったらかしにしているのはいただけないなーと。「世界の均衡を守る」という使命はどこへやら。グダグダと内輪揉めしている間に、メギドは一般人を犠牲にしてアルターライドブックを着々と増やしていたのだから尚更。カリバーだけじゃなく、一旦メギドとの決着もしっかりとつけた後に組織の闇を暴いていく作りにした方が良かったのでは?

というか、割と序盤の方から「○冊の本と△本の聖剣を集めてルナがどーたらで□□の書となる」みたいなのが展開されますが、ややこしすぎてわけわからんかったです。しかも最後の方までこんな感じなクセして、説明が足りないからずっとよくわかんないままだし。本当に細かい設定とかならまだしも、重要な要素はしっかりと物語の中で明らかにして欲しいのに、それが出来ていないと言いますか。要は、設定と脚本が噛み合ってないという印象。しっかりと語ることが出来ないのであれば、そもそもそんな設定要らなくね?と思っちゃう。そうした設定の複雑さをストーリー上で整理出来ていない、という点は、まさにゴーストと同じ轍を踏んでいるとしか思えないんですよね…。

 

キャラクター造形に関して

主人公、神山飛羽真に関しては、すごくいい人なんだろうなぁというのは伝わってくるのですが、何も考えていない人にも見えてしまうと言いますか。
彼が事あるごとに口にする「約束だ」という言葉。「俺はあーしたい!こーしたい!約束だ!」と大仰な理想論を語ってましたけど、約束約束連呼しすぎて、お前さんソレ適当に言ってない?と思ってしまいました。というか、果たしてその約束は何回守れたのだろうか…。最後、あんなにこだわっていた「ルナと賢人と3人一緒に帰る」という約束も破ってますし。それなのにみんな無条件に飛羽真を「特別!特別!」と崇め奉るもんだから、ヤバい宗教の教祖か何かか?という気分になってきます。

尾上さんと大秦寺さんのベテラン勢、あと上でも書きましたが芽依ちゃんと神代兄妹はすごく良かったです。
ルナは最初から最後まで必要性を感じられないキャラでした。
他のキャラに関しては、良くも悪くも特段語るようなことも無いです。

敵であるメギドの扱いに関しても、不満が残るところ。
レジエルズオスの幹部級の2人は、取ってつけたようなドラマを用意してあっさりと退場してしまうのがなんだかなぁ、という感じ。死ぬ間際に笑顔が浮かぶとことかは…スミマセン、ギャグにしか見えなくて笑っちゃいました。
剣斬との奇妙な関係を築いたデザストも、再生能力とかを設定したせいでなかなか退場させられず、扱いに困ったので、同様に見せ場に困った剣斬と絡ませたように見えてならないです。最期も感動したはしたけど、イマイチ乗り切れない自分がいたのも事実。
ラスボスとなるストリウスも、急に出てきた「もともとは詩人だった」設定や、結局そこかよみたいなありきたりな目的など、終始パッとしないキャラだったように思います。

 

フォームチェンジについて

あとこれは好みの問題ですが、主人公=セイバーばっかりフォームチェンジするのはあまり好きじゃないです。「飛羽真は小説家だから特に本の扱いに長けている」といった理由はあれど、せっかくいっぱいライダーがいるんだから、もっと他のライダーのパワーアップも見たかったなぁ、という思い。エグゼイドとかはその点うまくやってたなーと。

最強フォームであるクロスセイバーは、これまで本によるパワーアップだったのが、最後は剣によるパワーアップ、という部分は非常に好みなものの、肝心のスーツのデザインがただのリペイントというのにはガッカリしました。その状態でライドブックを使用することで更に強くなるとか、セイバー、ブレイズ、エスパーダがそれぞれ別のスロットに本を差して変身する、って事は三位一体フォームが出てくるだろう、という視聴者の予想を一度は外しておいて、満を持して最後にフィーチャリングセイバーとして登場させるとか、試みは面白いと思いますけど…。

あとあと、最終話に登場したオールマイティセイバーも、ゼロワンのリアライジングホッパーが好評だったから初期フォームの姿で出しました感があって、好きになれなかったです。最後の最後で初期フォーム、というのは基本的に大好物なんですが、これはエグゼイドにおける「ラスボスにはレベル1の姿で戦うのが最も有効」みたいな理屈をこねた上で、本当に初期のスペックで戦うから良いんであって、セイバーに関しては実質的な最強フォームを手抜きでスーツ流用しているだけなので、「そういう事じゃねぇんだよなぁ…」と思ってしまいました。しっかし、何度も好例として挙がるエグゼイドって、やっぱりよく出来てたんだなぁと改めて実感。

どーでもいいけど、“ワンダーオールマイティワンダーライドブック”って、ワンダー言い過ぎてクリスタリア宝路かと。

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キラメイはキャラが本当に魅力的で、とてもいい作品でした。
まとめ

とまぁそんな感じで、主に脚本面の粗が目立っちゃうものの、いいところもあるにはあるし、そこまで嫌いなわけではない、というのが僕の個人的な感想。
wikiとか参考にしながら書いたんですが、そこに書かれていた「コロナ禍やら何やらで実現出来なかった本来の構想」が結構面白そうで、もし実現していたら評価は違っていたんだろうなぁと思いました。なんとも惜しい気持ちになります。(コロナうんぬん関係なく実現出来ていたかは怪しいところですが)

 

余談ですが、ゼロワン劇場版と同時上映だった『劇場短編 仮面ライダーセイバー 不死鳥の剣士と破滅の本』は、尺の都合からダイジェストみたいだったものの、結構面白かったです。
夏映画の『スーパーヒーロー戦記』はまだセイバーを一気見する前だったので見なかったんですが、見とけばよかったと後悔しております…。
その後悔を踏まえ、リバイス全く見てないのに『仮面ライダー ビヨンドジェネレーションズ』は見に行き、普通に楽しめました。セイバーの面々がほぼフルメンバーで出演してくれてたのも嬉しかったですね。

見た直後の僕の感想はこんな感じ。

 
 
 
 
 
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A post shared by ブラックさん (@blackson3110)

たぶん今後も記事にはしないと思います。

剣士列伝』や『セイバー×ゴースト』等のスピンオフは見てないので割愛。


と、気付けばここまで5000字超…。
いい加減TVシリーズの感想はこれくらいにして、ようやく本作の感想に参りたいと思います。

 

本編感想

本作は、東映VシネマレーベルであるVシネクスの1作。『仮面ライダーセイバー』のTVシリーズ最終回後の世界を描く、正当な続編となっています。
これまでのライダーのVシネはサブライダーを主役にしたスピンオフであることがほとんどでしたが、本作はセイバー、ブレイズ、エスパーダの3人がメインの作品なのが特徴。また、以前『バルカン&バルキリー』の感想でも、「Vシネは一部のマニア向けといった趣で、子供置いてけぼりなハードな展開があったりする」と書きましたが、本作に関しては子供置いてけぼりどころか子供は見ちゃダメ!レベルの描写があり、そこも大きな特徴となっていると思いました。

blacksun.hateblo.jp

 

あらすじ

メギドとの世界崩壊を賭けた戦いから、8年。平和を取り戻した世界で、剣士たちも平穏な日々を過ごしていました。

新堂倫太郎仮面ライダーブレイズ(演:山口貴也)は、売れっ子編集者となった須藤芽依(演:川津明日香)と、時折喧嘩しながらも仲を深めている様子。
富加宮賢人仮面ライダーエスパーダ(演:青木瞭)も、今は翻訳家として活躍しており、恋人の立花結菜(演:飛鳥凛)との結婚を控え、充実した日々を過ごしていました。
神山飛羽真仮面ライダーセイバー(演:内藤秀一郎)は、身寄りのない(演:嶺岸煌桜)という少年を養子に迎え、幼馴染である間宮(演:木村了)のサポートもありつつ、執筆活動をしながら懸命に子育てに勤しむ毎日。しかし、陸は過去の経験から心を閉ざしており、加えて剣と炎を見ると恐怖でパニックを起こしてしまうこともあり、なかなか大変な様子。
そのほか、尾上さんは小学校の教師になっていたり、蓮は武者修行に励んでいたりと、各々の人生を満喫していました。

そんな中、剣士たちが聖剣を残して次々と消えていく現象が発生。
消えたことはわかるもののその剣士が誰なのかを思い出せないことから、行方不明となっている無銘剣虚無が関係している事を疑い、倫太郎たちは調査を開始。そこへ、倫太郎の父親を名乗る男、篠崎真二郎(演:橋本さとし)が現れます。彼は仮面ライダーファルシオン アメイジングセイレーンへ変身し、「8年前の戦いで、何の罪もない人が大勢犠牲になった。戦いさえなければ、こんなことは起こらなかった。剣士という存在そのものを消すこと、それが自分の正義だ」と主張。その言葉に、何も言い返すことが出来ない倫太郎。
また、賢人や飛羽真たちの前にもファルシオンが現れ、襲い掛かってきます。

果たして、ファルシオンを止めることは出来るのか。
そしてその知られざる正体とは――。

というのがあらすじ。

 

良かった点

まず、本作では「戦いの中で助けられなかった人たちがいた」という現実を正面から描いており、子供向けヒーロー番組でここまでやるのか、と感心しました。TVでやるには厳しい内容だと思うので、Vシネマだからこそここまで踏み込めたのかと思うと、非常に有意義なシリーズだなーと。今後もこういった、TVシリーズでは描くことが出来ない側面をVシネマでやっていって欲しいものです。ゼロワンの時は「こんなに暗い話にしなくてもいいのに」と思いましたが、本作は不思議とそういった思いは湧きませんでした。無闇矢鱈と人気キャラを死なせたりしなかったのも良かったです。

また、上でも少し書いていますが、本作は子供が泣き出すどころかトラウマを与えかねないくらいのホラー描写が満載で、ここもオッサンの僕としては非常に良かったと思った点。
剣士が次々に消えていく過程を不気味に描いて不穏さを演出してからの、陸の頭をガシッと鷲掴みにしていきなり現れたり、ふと振り返ったら真後ろにいるなど、ファルシオンが出てくるシーンは大体全部怖い。極めつけが、篠崎が倫太郎に犠牲になった死者の幻影を見せるシーン。血みどろのゾンビのような人たちがブレイズにしがみついてきたりと、完全にホラー映画でした。
8年前の戦いで巻き添えになって亡くなった恋人の復讐が目的だったと明かした後の結菜の豹変ぶりも、違ったベクトルでの怖さがあってとても良かったです。

 

本作はドラマ主体でアクションシーンは控えめですが、少ないながらもなかなか魅力的でした。
特に、初登場の仮面ライダーエスパーダ アラビアーナナイトはとてもカッコよかったです。頭部以外はプリミティブドラゴンの色替えである事を感じさせないデザインも良かったし、稲妻の軌道が三日月のように弧を描く形になった必殺技なんかも非常に良かったです。
ファルシオンに至ってはマジでただの色替えなのに、ちゃんと違うフォームに見えるのがとても良かった。てかファルシオンって、TVシリーズでもそうでしたが変身者がコロコロ変わるのがいいですよね。無属性だから、適合する人間もいない=誰でも変身できる、ってことなんでしょうかね。

あと、やっぱり役者さんたちはみんな魅力的でとても良かったです。今後もどんどん活躍していってくれるといいなぁ。

 

良くなかった点

てな具合で、ここまで良かった点を書いていきましたが、続いて良くなかった点を。
本作でも、やはり設定と脚本が気になりました。

まずは、アメイジングセイレーンワンダーライドブックの能力について。「他人の人生を物語のように閲覧したり改竄したり出来る」ってまんまヘブンズ・ドアやんけ、というのは置いといて。なんか複製して篠崎や結菜へ渡していましたが、それも本の能力?それとも剣の能力?はたまた間宮の能力?イマイチよくわかりませんでした。「全ての人間から対象となる人物の記憶を消せば、存在そのものを消すことが出来る」というのは、『仮面ライダー電王』の時間の概念と似通っているけど、面白かったのでヨシ。

あと、篠崎が倫太郎の前に姿を見せたのは“倫太郎の覚悟を確かめる”という理由がありましたが、結菜が賢人を襲ったのってなんでなんすかね?本の力で自分の中から賢人の記憶を消せばそれで終わりだけど、復讐心と愛情どちらも持ち合わせていて、記憶消したいけど消したくない、自分でもどうしたら良いのかわからない…。で、気付いたら襲い掛かってました、って事なんだと思いますが…。気付いたら襲ってましたってのはちょっと無理があるような…。しかもそれが正体バレのきっかけになるので、脚本上の都合みたいなのを感じてしまう。

 

それから、やっぱりどうしても最後の展開はよくわからない…。

  1. 8年前、陸が無銘剣虚無を手にする
  2. 虚無を手に取った瞬間、未来の人格?である間宮と分裂する(なぜ?そもそも未来の人格って何?)
  3. 間宮は親父(飛羽真)が死んだときの未来の記憶を、飛羽真が親父を殺したシーンだと思い込む(なぜ?)
  4. 親父を殺された恨みから、8年かけてコツコツと飛羽真の存在を人々の記憶から消していく
  5. 飛羽真の記憶も改竄して、自分が幼馴染だという記憶を刷り込む
  6. 一人じゃ効率悪いから篠崎や結菜にも本を与えて記憶消去の手伝いをさせる(剣士を全員消すみたいになったのは篠崎の独断?)
  7. 最後に陸とラッキーを消せば、自分以外の全ての人間から飛羽真の記憶が消える=存在そのものが消える
  8. ので、殺しに行く(あえて飛羽真の目の前で殺すことで、最も大切な存在を奪われる絶望を味あわせるため)
  9. 烈火を手にした陸と剣を交えることで、ぼやけていた記憶がはっきりして、自分と陸が同一の存在であることを理解する(わかるようなわからんような…)
  10. 間宮と陸が同一の存在へ戻り、消える(なぜ?別に陸は死んでるわけじゃないのに…)
  11. 消された記憶が戻り、剣士たちの存在も戻る
  12. みんなの中からこの一件に関する記憶は消えている(なぜ?)

僕の解釈違いがあるかもしれないけど、ラストに明かされた流れはこんな感じ。最後はなんか『仮面ライダー龍騎』の最終回みたいだなーと思ってしまいました。

 

まとめ

たぶん、『君の名は。』みたいな「実は時間軸にズレがありました」的なのがやりたかったんだと思いますが、うまくないなぁ…と思う箇所がところどころにあって、そのたびに没入感が削がれていくような、そんな感じでした。百歩譲って陸と間宮に分裂したのはいいとしても、間宮が未来の記憶を持っていたくだりは、余計にややこしくするだけで必要性を感じられない…。やりたいこと(設定)と脚本が噛み合ってない…ってそれTVシリーズ見て僕が思ったことそのまんまやないかい。ゴーストの時からずっとそうなんだけど、いい加減うまく脚本に落とし込めない要素は削る、ということは出来ないのだろうか…。

 

おわりに

とまぁこんな感じで、また今回も脚本が足を引っ張っていたような気がするけど、良かったところも多かったので、プラマイでちょっとプラス、というのが僕の全体的な感想。

TVシリーズに拒絶反応を示した人には向かないかもしれないですが、重めのテーマや本格的なホラー描写など、見応えも十分な作品になっていると思いますので、興味があれば見てみてはいかがでしょうか。

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ということで、Vシネクスト『仮面ライダーセイバー 深罪の三重奏(トリオ)』の感想でした。

ではまた。