GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『トゥモロー・ウォー』感想(ネタバレ)

映画『トゥモロー・ウォー』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

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ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』や『ジュラシック・ワールド』ですっかりお馴染みのクリス・プラットが、主演だけでなく制作総指揮を務めた本作。

Amazon Prime Videoでの配信という公開形態ですが、かなりのお金がかかっているようで、配信限定ではもったいない、劇場公開向きのすごいスケールの映画になっております。なんでも、本来は劇場で公開予定だったものの、コロナ禍で断念せざるを得ず、結局Amazonへ売却されたのだとか。おのれコロナめ…。

 

しかし実際見てみると、恐らく劇場公開されてたら他の作品に埋もれてしまってたろうし、アマプラ限定配信という話題性がある分むしろ良かったのでは…?という思いが。つまりアレだ、率直に言うと、面白かったけど魂を揺さぶるようなパンチ力はあまり無かったかな…という感想です。

というわけで、これより本題に入ります。
よし、今回は前置きを短めにすることに成功したぞ。(書くことなかっただけ)

 

超ざっくりとしたあらすじとしては、滅亡しそうな未来を救うために、現代から主人公らが未来へ行って戦う、というもの。
人類を滅ぼすために未来から敵が来るとか、未来を変えるために過去で戦うとかは割とありがちですが、未来へ行って戦うというのはありそうでなかったような気がします(僕が知識不足なだけかもだけど)。

 

良かった点としては、緊迫感が持続していたところ。
まず、初めて未来へ行く直前、
「敵がどういうやつなのかどうして教えてくれないんだ?」
「知らない方がいい。知ってしまうと志願者が減ってしまうから。」
みたいなやり取りがあって、「いや余計に怖いわ」って感じで笑えました。

それから転送の際、地上3メートルくらいの高さに転送するはずが座標が狂ってはるか上空への転送になってしまい、主人公含めビルの屋上やプールに着地できた人は助かったけど、それ以外の人がバンバン転落死していくシーンも、ビックリ度が高くて良かったです。しかも結構ちゃんとエグイ。

 

その後、なんかよくわからん薬品(※毒薬のサンプル)の回収と研究員の安否確認ミッションを課せられます。研究員はすぐに死体で見つかりますが、その後も結構動き回ってるのに、敵がなかなか出てこないんですよね。それがなんというか、敢えて見せないことで得体の知れないものに対する恐怖感を増幅させていて、この辺りはすごいドキドキしながら見てました。しかも出てきたら出てきたでウジャウジャとめっちゃ出るというね。

敵エイリアンのデザインも大変気持ち悪かったです(褒めてる)。触手から銃弾みたいに棘を発射するのも良かったし、複数体で小隊みたいになってて時折指示出しながら戦略的に攻撃してくるところ(そう見えたのは最初だけだったし気のせいかもですが…)も、今までに無い感じで良いと思いました。

 

そして中盤から後半にかけて、

  • 一回り大きくて超強いメス個体の捕獲
  • 捕まえたメス個体の細胞を基に、ヤツらを確実に殺すことが出来る毒薬を作成する(でもなかなか成功しない)
  • 眠らせたはいいけどいつ起きてくるかもわからないメス個体の恐怖
  • 主人公が未来に滞在できるタイムリミットが迫ってくる
  • 起きたメス個体の咆哮を機に雪崩のように押し寄せてくる大群
  • エイリアンに見つからずにヘリまで辿り着くスニーキングミッション

等々、あの手この手で緊迫感を演出していました。

 

現代に戻ってきてからは、妻の「飛来と襲撃は別々なんじゃないか」のひとことをきっかけに、
→奴らの体の一部とかがあれば何かわかるかも
→アイツが爪持ってる
→アイツは成分の分析とか出来る
→爪から火山灰のような成分が検出された
→火山の事ならアイツが詳しい
→実はエイリアンはずっと昔から地球にいたんじゃないか(ずっと氷漬けになってたけど未来で地球温暖化の影響で解凍された)
→将来的に氷が溶ける予想図から場所を特定!
→しかしそんな話信用出来るかと軍の協力は得られず、国境を越えることが出来ない
→親父なら飛行機出せる
→雪山に到着
→ヤツらの祖先を発見!コイツらを殺せば未来が救われる!
といった、登場人物ピタゴラスイッチみたいな感じでとんとん拍子に話が進みます。これをテンポが良いと取るか、ご都合主義と取るかは微妙なところ…。ちなみに僕は若干後者寄りかな…。

 

そんなこんなで雪山でのラストバトルは、これまでの追われる立場から追う立場となり、また違った緊迫感がありました。未来では娘と、現代では親父と、主人公を軸とした親子協力プレイがグッときましたね。J.K.シモンズの親父、ガタガタ震えてた割に立ち直り早くね?と思ったけど、ルックスがカッコいいので万事OK。

そんな親父との協力プレイで逃げたメスを追い詰め、娘が作り上げた毒薬を腕?触手?に打ち込み、体の崩壊が始まってやった!となるも、腕?触手?を引きちぎって全身に毒が回るのを何とか防ぐメス。

最後は主人公がエイリアンの爪で腹と喉を切り裂き、更に崖から突き落とす!岩肌に激突したメスは肉塊に。こうして、未来の平和は守られたのでした。

 

雑なあらすじと共に良いところを書いていきましたが、続いてよくないと思ったところを。

たぶん脚本がよくないのかな…語彙力がなくて言語化が難しいのですが、なんかほんのりとした違和感をいろんなところに感じるんですよね。

 

主人公が元軍人とはいえやたら強いのは主人公補正だからと目をつぶるとして。
まず、娘が研究していた毒について。なんであの時点で作れなかったのだろうか…。手当たり次第に試して数日?で出来るのであれば、もうとっくに出来てないとおかしいのでは?サンプルの入手も、メスの捕獲も、主人公がいなくちゃ不可能だったとも思えないし。

それから、毒を現代に持ち帰ることには成功したものの未来の娘は助けられず落ち込んで帰ってきたけど、割とすぐに立ち直りましたね。てっきりその後、毒の量産の為に憑りつかれた様に研究に没頭、家族をないがしろにして離婚、そして数年後交通事故で死亡、という序盤の伏線回収の流れかと思いきや、全然そんなことは無かったんだぜ。

あと敵のエイリアンも魅力はあるんだけど、人類を滅亡の危機に追いやるほどの強さを感じないというところは残念ポイント。腹か喉以外は攻撃が効かないみたいに言われてましたが、普通に銃で倒せてるように見えたし、なんならチェーンソーでぶった斬ったりしてるし。その程度で倒せるのであれば、未来で有効な武器とかいくらでも作れそうな気がする…。更に、敵に強さを感じないということは、人類滅亡の危機というキモの部分にも説得力を感じないという悲しい流れ。

あとあと、未来の人類を救うために国境とか関係なく全世界の人々が一致団結するとか、絶対ありえないだろうな、と思いました。むしろこういう非常事態でこそ国家間のしがらみとかが浮き彫りになりそう。悪い言い方をすると、脳みそお花畑な人が考えたお話って感じ。
特に日本なんかはトップの人間が世論に流されて、「私たちは兵士送りません」とか平気でのたまうと思う。で、そんなこと言って何もしないもんだから真っ先に滅びそう。(そういやアジア人出てない気がするな…)

 

 まぁ、なんやかんや言ってますが、細かいことは気にせずに、大きなスケールのSFアクションを楽しむ分にはいいんじゃないかと。少なくとも、『アルマゲドン200X』的なB級映画よりかははるかによくできた作品であることは間違いないです。
僕も普通に楽しめましたし、アマプラ入っている人は見て損は無いと思います。

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 ということで、映画『トゥモロー・ウォー』の感想でした。

ではまた。