GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『シン・ウルトラマン』感想(ネタバレ)

映画『シン・ウルトラマン』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

ウルトラマン
名前だけなら、日本人であれば知らない人はいないのではないでしょうか。銀色の体に赤い模様が特徴的な正義の巨人が、宇宙からやってきた凶悪な怪獣と戦うという、日本の特撮界の礎を築いた偉大なヒーローです。

ヒーローに憧れた少年たちは皆、自宅の階段の上で「しゅわっち!」とジャンプしてケガをした経験がおありの事と思います。そうです、僕の事です。

 

前身となる『ウルトラQ』を経て、1966年に第1作目『ウルトラマン』の放送が開始。その後も様々なウルトラマンが製作され、人気を博しました。

しかし、製作会社である円谷プロダクションの経営難により、一時期はシリーズ存続も危うい状況に。それでもなんとか持ち直し、最近はライダーや戦隊のようにコレクタブル要素を付与して玩具の販売促進を重視する方針や、過去作の怪獣を積極的に登場させたり先輩ウルトラマンの力を借りて変身するヒーローを登場させたりといった、既存のIP(ビジネス用語でいうところの知的財産)を活かすような方針で、新作が製作され続けています。そのおかげか、何なら今が一番盛り上がっているかもしれないというほどに、人気も回復しました。

 

特撮オタクを自認する僕も、当然のごとくウルトラマンは大好きでして。シリーズ全て見ているわけではありませんが、よく見させて頂いております。ティガ・ダイナ・ガイアの平成3部作がちょうど世代だったので見るようになり、中でも『ウルトラマンガイア』は今でも大好きな作品。以降の作品だと『ウルトラマンネクサス』辺り、最近のいわゆる“ニュージェネレーション”枠だと、『ウルトラマンX』、『ウルトラマンR/B(ルーブ)』辺りが好きな作品です。『ウルトラマンタイガ』の途中から視聴が止まっているので、早く見なければ…。

 

そんな初代ウルトラマンのストーリーをベースに、舞台を現代社会に置き換えてリブートした作品、それが本作、『シン・ウルトラマン』となります。

 

↓予告編貼っときますね。

www.youtube.com

 

名前から察せられる通り、2016年に公開された『シン・ゴジラ』の製作陣が多く参加しており、企画・脚本・その他諸々の庵野秀明氏を始め、監督の樋口真嗣氏、音楽の鷺巣詩郎氏など、おなじみの顔ぶれが揃っています。

来年には『シン・仮面ライダー』が公開予定で、『シン・エヴァンゲリオン』も含めたこれらの作品群を総称して『シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース(SJHU)』と呼ぶんだとか。今後クロスオーバーとかもするんだろうか…?

 

「現実世界に怪獣が出現したとき、人類はどうするのか」を政治・社会的観点から描くという斬新な切り口で、特オタ以外の人にも高く評価されたシンゴジなので、そのスタッフが作る本作にも期待が高まっておりました。また、『新世紀エヴァンゲリオン』で数多のオタク達の性癖を歪めた庵野さんが携わる作品なので、オタク界隈の注目度が非常に高かった本作。初日の朝一の上映で見に行って感想をTwitter等で上げる、という人が多くいたおかげで、出遅れた僕はネタバレを回避するのに必死でした。

てな訳で、詳しい感想や考察は他の方々に任せるとして、僕は軽めに感想を書いていきたいと思います。

 

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とある宇宙の、地球、日本。
ここでは、宇宙から来た人型の知的生命体である外星人や、巨大な不明生物群、通称“禍威獣(カイジュウ)”が相次いで出現していました。それらに対抗するために、日本政府は防災庁とともに、禍威獣特設対策室、通称“禍特対(カトクタイ)”を設立。

そのメンバーは、各省庁から出向してきたエキスパート達。
対策室室長、宗像 龍彦(演:田中哲司)。
防衛省防衛政策局より出向した班長田村 君男(演:西島秀俊)。
文部科学省より出向した汎用生物学者船縁 由美(演:早見あかり)。
城北大学理学研究科非粒子物理学専攻、滝 明久(演:有岡大貴)。
公安調査庁より新たに出向してきた分析官、浅見 弘子(演:長澤まさみ)。
そして、警察庁公安部より出向した作戦立案担当官、神永 新二(演:斎藤工)。

ある日、禍威獣第7号、ネロンガが出現。強力な電撃を発する相手に対し、禍特対が対処に苦心する中、彼方より謎の飛翔体が落ちてきます。
土煙が立ち昇るその中にいたのは、正体不明の銀色の巨人――。

というのがあらすじ。

 

まず、円谷の暗黒時代をある程度知っている世代の人間として、ウルトラマンの新作がこれだけの規模で製作されるという事がなんというか、感無量の思いです…。よくぞここまで立ち直ってくれました…本当にありがとうございます(涙)

本作は簡単に言うと、初代ウルトラマンの第1話~最終話の中からいくつかのエピソードをピックアップして組み合わせ、そこに庵野作品らしい理屈っぽさというかオタクっぽさをミックスした作品になっています。『STAND BY ME ドラえもん』と似たような作り、とも言えるかもしれない。アレと似てるというと悪い意味に聞こえそうですが決してそうではなく、オリジナルへのリスペクトと愛に溢れた映画になっていると思いました。てか『STAND BY ME~』も1作目はめちゃくちゃ泣いたし、良かったと思ってますよ僕は。2作目は“大人の願望”が見え見えで不快に感じてしまいましたけど…。

とまぁそんな事はどうでもよくて、現代風にアレンジしながらも、非常に納得感の高い流れのストーリーになっていると思いました。とはいえオタクっぽさはシンゴジ以上に強く感じたので、この辺は好き嫌いが分かれるかもしれません。

 

そーいやパンフレットの監督インタビューに「ファンへのサービスはほとんどやっていない」と書かれていましたが、僕は「え…そうなの…?むしろサービスまみれだったような気が…」と思ってしまいました。

一番最初の、マーブル模様みたいなのがグネ~となってからのタイトルバーン!とか、アバンに出てくる巨大生物が『ウルトラQ』に出てくる怪獣たちだとか、人形感丸出しのグルグル回転キックとか、最初に登場した時のウルトラマンは顔がちょっといびつないわゆる“Aタイプ”なのに対し、神永と融合した後は“Bタイプ”以降の顔つきになっているとか、ニセトラマンの頭チョップして痛がるウルトラマンとか、とかとか。挙げればキリが無いほどにファンをニヤッとさせる要素に溢れていたように思いました。いや、僕はファン側の人間なので終始超楽しかったんですが、ファン以外の人はどうなんだろうか…。

ひょろっと細長い異星人感を強調したフォルムや、最初は体色が銀一色だとか、カラータイマーが無い代わりに活動限界が迫ると赤い部分が緑色に変化するとか、本作ならではのアレンジはどれも非常に好みでした。

 

あと思ったのが、庵野さんはキャラ付けが本当に上手いなーと。
メフィラス(演:山本耕史)の「私の好きな言葉です」や、キャッチコピーにもなっている「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン」などのキャッチ―なセリフや、職場のデスクに特撮の模型を置きまくってるとか(どの模型を置くかとかも全部庵野さんが指定していたらしい)、ストレスが溜まるとお菓子を爆食いするとか、各キャラクターの個性をちょっとしたセリフや描写ひとつで表現しているのがすごい。

…あーでも、それもまたアニメっぽさを際立たせてオタクっぽく見える要因になってしまってるんじゃないかと今思ってしまった。シンゴジはいい意味でキャラの個性を消してましたもんね(カヨコ等一部を除く)。

 

それから、既にいろんなところで言われている、長澤まさみ演じる浅見の性的描写について。
気合を入れる時の自分の尻を叩くところをやたらアップで何度も映したり、巨大化した際の見えそうで見えないあおりのアングルだったり、体臭を嗅がれたりなど、ちょっと露骨でしたね…。

僕は当事者ではないので何とも言えないですが、昨今の映画業界の性被害やパワハラが問題視されている中でのこの描写は、あまり良くないのではないかと思いました。映画の中で必要な描写であればまだ許容出来ますが、特に必要性は感じませんでしたし。声のデカい人が「今回も強要されてやったんじゃないのか!」とか言い出しかねないので、そういうのは(特に今は)避けるべきだったんじゃないかと思いました。

 

終盤ではゾーフィ(声:山寺宏一)も登場。しかも、外星人に地球人が兵器利用されることを危惧し、その前に地球ごと消してしまおうと、天体制圧用最終兵器ゼットンを起動するという、オリジナルとは異なる展開を見せてきて驚きました。まさかウルトラマンと同郷である光の星の人が、地球人を滅ぼそうとするとは…。恐らく、同志たちの意思に背いてまで地球人を守ろうとする姿を見せる事で、ウルトラマンの地球人に対する愛情をより強調するのが狙いなんだと思います。上手いですねホント。

そして最後は、地球人の叡智を結集し、「ウルトラマンの巨大化の原理である“βシステム”を応用して、ゼットンを別の次元へ飛ばす」という方法を考え出します。ウルトラマンありきの作戦ではあるものの、「我々地球人が自分達で地球を守っていかなくてはならない」という、オリジナルのラストを想起させる展開に、胸が熱くなりました。

ラストカットはいかにも庵野作品らしい、含みを持たせるようなブツ切りっぽいシーンで幕を閉じます。戦いの直後なのかしばらく時間が経過しているのか、神永の記憶はどうなんだとか、妄想を膨らませる余地が残されているのがなんともいいですね。

 

そんな感じでした。
もっと短くするつもりでしたが、思ったより長くなってしまいました。
話題性の高い作品ですが、それにふさわしい見応えたっぷりの作品になっていると思います。

続編もあるとかないとかだし、まだまだ特オタはやめられそうにないな…。

ということで、映画『シン・ウルトラマン』の感想でした。

ではまた。