映画『バブル』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。
本作『バブル』は、日本のトップクリエイターたちが集結して製作された、オリジナル・アニメーション映画。
企画・プロデュースは、『君の名は。』や『天気の子』などの川村元気。
アニメ制作は、『進撃の巨人』や『SPY×FAMILY』などで知られるWIT STUDIO。
脚本は、『魔法少女まどかマギカ』や『仮面ライダー鎧武』などの虚淵玄。
キャラクターデザイン原案は、『DEATH NOTE』や『バクマン。』などを描いてきた、漫画家の小畑健。
音楽は、『七つの大罪』や『プロメア』、あと最近のガンダムシリーズでおなじみの、澤野弘之。
そして監督は、『進撃の巨人』や『甲鉄城のカバネリ』などを手掛けた、荒木哲郎。
漫画やアニメをよく見る方はみんな知ってると言っても過言ではないほどの、超有名人たちです。
↓予告編はこちら。
www.youtube.com
僕はパルクールを題材にした作品が割と好きで、それで本作も公開前から気になっていました。
ちなみにパルクールとは、走る・跳ぶ・登るといった移動動作を、いかに素早く、いかにカッコよく出来るかを追及したスポーツの一種。映画では『YAMAKASI ヤマカシ』をはじめ、『アルティメット1&2』などの様々な作品でパルクールが取り入れられています。近年の映画の、敵から走って逃げたり、逆に追いかけたりするチェイスシーンは、だいたいパルクールと思って差し支えないかと(差し支えある)。映画が始まる前に流れる『NO MORE 映画泥棒』でも、めっちゃパルクールやってますね。
ゲームでも、『Mirror's Edge(ミラーズエッジ)』という、近未来の都市を舞台にパルクールでビルの上とかを駆け回る一人称アクションゲームがあって、一時期めちゃくちゃハマってました。最近のヤツだと、『GHOSTRUNNER(ゴーストランナー)』というサイバー忍者一人称パルクールアクションゲームがあって、僕の好きな要素がてんこ盛りなのですげーやりたいんですけど、最近めっきりゲームをやらなくなってきているので、買おうか悩んでいる…。
余談ですが、本作は劇場で公開される前にNetflixで先行配信されたんですが、僕は『トゥモロー・ウォー』みたいに劇場公開が出来なくなって配信に行ってしまったのかと思ってしまい、不要なショックを受けてました。ネトフリ登録してないし、見れないじゃん、と。まぁそれは僕の勘違いで、無事に劇場でも公開されたので良かった良かった。
ただ、「ネトフリで見れるならわざわざ映画館行かなくていいじゃん」、もしくは「映画館行くつもりだったけどもうネトフリで見ちゃったしいいや」と考える人が多かったのか、僕が劇場に入った時ほかの観客誰もいない、結局その後も数人しか入ってこないみたいな状況になっていたので、ネトフリ先行配信からの劇場公開はあまり良い手ではなかったような気がしました。僕も登録してたらきっと同じこと考えると思いますし。
とまぁ、前置きはこれくらいにして、短めに感想を書いていきたいと思います。
.。o○.。o○.。o○.。o○ .○o。.○o。.○o。.
ある日、世界中に謎の<泡>が降り始めました。重力を歪ませる謎の泡により、世界は大混乱に陥ります。
しばらく泡が降り続いた後、東京タワーにて謎の大爆発が発生。それを契機に泡が集まってきて、東京全体がひとつの大きな泡に包まれたような状態に。細かい泡は都市に降り積もり、弾けた泡は水となり、東京は冠水。重力異常も相まって人が住めるような環境ではなくなった東京は、立ち入り禁止区域となりました。
そんな東京に、大爆発によって身寄りを亡くした子供たちが集まり、立ち入り禁止命令を無視して住み着くように。彼らは“東京バトルクール”と呼ばれる、5vs5で互いのフラッグを奪い合うパルクールの大会を開催し、食糧などを賭けて日々戦い合っていました。
バトルクールのチームのひとつであるブルーブレイブ(BB)のメンバー、ヒビキ(声:志尊淳)は、非常に高いパルクールの技術と、泡を自在に乗りこなす才能を持つ、チームのエース。彼は、爆心地である東京タワーから、誰にも聞こえない謎の<歌>が聞こえると言います。その歌の正体を探るべく何度もタワー中心部へ行こうと試みるものの、そこは特に重力の歪みが酷く、ヒビキのパルクール技術をもってしても行くことが出来ずにいました。
再度タワーへチャレンジするヒビキでしたが、強力な重力の歪みによって吹き飛ばされ、海へ墜落。服が引っ掛かり浮かび上がることが出来ず、意識が遠のいていく中、謎の少女によって助け出されます。どこから来たのかもわからない、言葉もわからない様子のその少女をヒビキはウタ(声:りりあ。)と名付け、BBのメンバーと共に暮らし始めることに。パルクールを通じて仲を深めていくヒビキとウタでしたが、彼女と謎の泡の間には、重大な秘密があるのでした――。
というのがあらすじ。
まず、映像は非常にキレイでした。
崩れたビル群に生い茂る草や、ふわふわと浮かぶ泡などによって、色鮮やかでファンタジックな世界観が作り出されていたように思います。
他にも、周りを水に囲まれたフィールドや、歪んだ磁場によって作られた渦(通称:蟻地獄)、辺りに浮かぶいかにも足場になりそうな岩、至る所に浮かんでて上手くいけば一発逆転の可能性があるも、扱いが非常に難しい泡など、世界観全体がなんというかゲームっぽいというか、東京バトルクールを魅せるために練り上げたのであろう世界観の数々が、そのビジュアル含め大変面白かったです。
パルクールアクションも、滑らか且つダイナミックな動きで、とても見応えがありました。また、泡の影響で重力が歪んでいるという設定によって、いきなり超人的なジャンプとかを繰り出してきても「まぁ、重力歪んでるしな」と納得(言い訳)出来ますし、上手い設定だなーと思いました。いきなりナルト走りしだすところはちょっと噴き出しそうになりましたが…(笑)
あ、そういや、顔のアップになったときとかに、やたらエロいというかフェティッシュな感じの作画になる場面がいくつかありましたが、アレなんだったんでしょうね。よくわからん。
各キャラクターも、悪いヤツがひとりもいなくて、なんか良かったです。強いて言えば、動画配信サイトの再生数稼ぎの為にチートアイテム使うやつがいるくらいで、それくらいならかわいいもんです。
聴覚過敏のヒビキとか、義足のシンさんとか、ハンディキャップのある人を悲劇的に描いたりしてないのも好印象でした。まぁ、ヒビキの過去とかはちょっと悲しめでしたけど、ウタとの交流を通じて克服出来てましたし。
ヒビキの声は俳優の志尊淳が演じていますが、トッキュウジャー等でアフレコは経験してたろうし、今回もそつなくこなしていました。
ウタを演じたりりあ。は、本職が歌手なので演技はアレでしたが、歌は上手だし、そんなに喋るキャラでもないし、キャラにも合っていて良かったと思います。子供っぽい声質も可愛かったです。
あと、BBのお姉さん的なキャラ、マコトの声を女優の広瀬アリスが演じているんですが、めっちゃ上手で違和感なくてビックリしました。てかエンドロール見るまで全く気付きませんでした。
他のキャラはこちらも豪華メンバーな声優さんたちが演じているので、言うことなし。素晴らしい演技でした。
ただ、ストーリーに関しては、ちょっと微妙だったかな…。
ハイパーざっくりいうと、本作はセカチューやキミスイ的な、「ヒロインが最後犠牲になって主人公が号泣する」パターンのヤーツ。確かに感動するはするけど、このフォーマットはもうよくないですか…。古臭さを感じてしまうと言いますか。
あと本作は『人魚姫』の物語がベースになっているらしいですが、絵本を音読してみたり、ウタが自分を指差して「人魚姫。」、ヒビキを指差して「王子様。」って言ってみたり、その後もちょいちょいセリフの中に出てきたりして、ちょっとあからさま過ぎて萎えてしまいました。そこまで説明しなくてもわかるし、なんとなく匂わせる程度でいいのになー、という思い。
それから、最後に出てきた“お姉さま”の存在は、マジでよくわからなかったですね…。
ウタとヒビキが通じ合ってしまったことでお姉さまの怒りにふれ、東京タワーの大爆発を引き起こしたっぽいですが、何が気にくわなかったのかもよくわからんし、その後東京タワーを陣取るのもよくわからん。ウタを連れ戻そうとしているのはわかりましたが、連れ戻してどうしたいのかもさっぱりわからん(なんか融合しようとしてたような気もする)。得体の知れない感じを出したかったのかもしれませんが、あまりにも何もわからないもんだから、僕の頭にはただただ「?」が浮かぶだけでした。
「宇宙は数万年~数億年ごとに爆発を繰り返し、そのたびに生命は生まれ変わってきた」みたいなのが終盤に語られますが、それと泡の関係性もすごいわかりづらかったです。恐らく、泡は世界そのものであり、泡が弾けるさまと爆発をリンクさせている、ということなんだと思いますが、なんでそれが意思を持っているのかとか(しかもウタとお姉さまのふたつ)、なぜ「歌を聞いてくれたから」ってだけでヒビキを好きになったのかとか、なんでウタはヒビキに触れたときだけ泡に戻るのかとか、よくわからん要素が邪魔して理解を阻んでいるような、そんな印象。全部「作劇上の都合」と言ってしまえばそれまでなんですが、それを感じさせない理由付けを求めてるんですよこっちは…。
↓EDテーマのMVになります。なかなかいい曲。
www.youtube.com
と、意外と長くなってしまったので、こんなもんにしておきます。
いろいろ言ってはいますが、美麗な映像と見応えのあるアクションが楽しめる作品となっています。ネトフリで見れますので、登録している方は見てみてはいかがでしょうか。
ということで、映画『バブル』の感想でした。
ではまた。