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Vシネクスト『ゼロワンOthers 仮面ライダーバルカン&バルキリー』感想(ネタバレ)

Vシネクスト『ゼロワンOthers 仮面ライダーバルカン&バルキリー』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2022/01/16:文体を揃えたり気にくわない箇所を修正したりしました。

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仮面ライダーゼロワン』は、2019年~2020年に放送された仮面ライダーシリーズの1作。
元号が令和になってから初めてのライダーということで、通称“令和ライダー”の1作目という位置づけ。平成最期の怪物『仮面ライダージオウ』の次ということもあり、ライダーファンからの注目度も高かったように思います。

そんなゼロワンのテーマは“AI”。飛電インテリジェンスという会社が開発した人型AIロボットヒューマギアが、様々な分野で活躍している社会を描いています。

 

まずはTVシリーズについて軽~く。
特に前半~中盤にかけて、これまで人間がやってきたことをヒューマギアが代わりにやることで、社会にどんな影響を及ぼすのか、みたいなところを、(ちょっとやりすぎなくらい)丁寧に描いていたように思います。よく非難の的になる“お仕事5番勝負”も、個人的にはそこまで悪いものでもないと思っています。平成1期の中だるみは有名ですし、2期でも『仮面ライダーゴースト』とかマジでいつまでガンマイザーと戦ってんだよと思いましたしおすし。それらと比べればなんてことはない。何を描きたいかも伝わってきましたしね。

そして後半からはコロナ禍に見舞われ、撮影が思うように出来なくなってしまう事態に。それゆえに、途中で総集編を挟むしかなくなり本編の話数が減ってしまったり、最強フォームであるはずの仮面ライダーゼロツーの活躍が極端に少なくなってしまったり、制作側はさぞ大変だったろうなぁと。
そんな中で、「人間もヒューマギアも共に進化していく」といった決着を割としっかり描き切っていたので、トータルでとても良い作品だったと思っています。

 

今では夏と冬に毎年やっている劇場版。
夏映画は『仮面ライダーディケイド』で放送開始時期をずらして以降、TVシリーズが終盤のタイミングで公開されることから、作品全体の総決算といった意味合いが強く、冬映画は過去作とのクロスオーバーを描く作風で割と定着しています。
しかしゼロワンに関しては、コロナ禍によって夏映画の公開は叶わず。代わりに冬映画の枠にて、TVシリーズの総決算的な作品である『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』が公開されました。
これが本当に素晴らしい出来で、ゼロワンが1年かけて描いてきたテーマを1時間ちょいに凝縮した脚本、スタイリッシュなアクション、熱すぎるクライマックスなど、これまでの鬱憤を吹き飛ばすかのような作品になっておりました。

 

ちょっとここで脱線タイム。

僕は『仮面ライダー電王』辺りまでは毎年劇場版を映画館で見ていたのですが、それ以降はTVシリーズだけでいいやみたいになっちゃって全然見てなかったんですよね。
ですが、『平成ジェネレーションズFINAL』で、僕が平成2期でトップクラスに大好きな仮面ライダーオーズ仮面ライダーフォーゼオリジナルキャストで出るということで久々に映画館へ見に行き、それが大変素晴らしい作品だったこともあってまた熱が再燃し、以降の劇場版はほぼ映画館へ見に行ってる感じです。

これまで見てこなかった劇場版もアマプラとかで大体見た…はず。あ、でも最新作『スーパーヒーロー戦記』は見てない…。『仮面ライダーセイバー』を全然見てなかったもので…(つい先日ようやく全話一気見した)。うん、まぁ…嫌いではなかったよ、セイバー。

あと余談もいいところなんですが、『仮面ライダーW』は当時録画環境が無くて、最初の3話辺りまでしか見れてないんですよね。なので、劇場版やVシネも未見。同じ三条脚本の『仮面ライダードライブ』や『獣電戦隊キョウリュウジャー』も大好きで、Wも絶対に僕好みなのはわかっているので早く見なければ…。

出来れば僕が今日まで特撮を見続けるに至った経緯や個人的好きな仮面ライダーランキングとかも書きたいところですが、需要なぞあろうはずもないのでやめときます。

はい、脱線タイム終わり。

 

これも近年定番化してきたVシネマ
最近では東映Vシネマシリーズを“Vシネクス”という名でレーベル化しています。ライダーのVシネクストに関しては、主役以外のライダーにスポットを当てて、本編で描き切れなかったストーリーを映像化するのがセオリー。劇場で期間限定で先行公開され、その少し後にDVDが発売される、というのが最近の風潮。
全作見ているわけではないですが、こちらに関しては一部のコアなマニア向けといった趣で、子供置いてけぼりなハードな展開があったりするのが特徴な気がします。『仮面ライダースペクター』とか…。

本作はゼロワンのVシネクストの1作で、先に公開された『ゼロワンOthers 仮面ライダー滅亡迅雷』の続編となります。というか『滅亡迅雷』が前編、本作が後編って感じですね。
『滅亡迅雷』ではTVシリーズにて敵として立ちはだかった“滅亡迅雷.net”のメンバー4人にスポットを当てていましたが、本作ではシリーズ通して活躍した仮面ライダーバルカン仮面ライダーバルキリーを主役に据え、TVシリーズや劇場版の後日談を描いています。
前作『滅亡迅雷』は、劇場版でブチ上がったテンションをまたどん底まで突き落とすような話になっており、しかも終わり方もこれハッピーエンドは不可能なんじゃ…という展開を見せ、「続きはバルカン&バルキリーで!」てな感じで幕を閉じました。面白かったのは間違いないんですが、「続きを早よ見せろー!」という気分になりました。

 

そんなこんなで、本作。

ざっくりと、前作のあらすじという名の本作の導入。
かつて、“滅亡迅雷.net”としてヒューマギアの自由のために人類を滅ぼそうとしていた(演:砂川脩弥)、(演:中川大輔)、(演:山口大地)、(演:中山咲月)でしたが、飛電或人/仮面ライダーゼロワン(演:高橋文哉)らとの闘いを通じて「人類全てが悪ではない」とラーニングし、以降は人類やヒューマギアの中に悪が芽生えないよう監視していました。

そんな中、ZAIAエンタープライズの社長であるリオン=アークランド(演:ジェイ・ウェスト)が、ソルドと呼ばれる兵士型ヒューマギアを兵器運用しようとしていることがわかります。ヒューマギアを道具として利用していることが許せない“滅亡迅雷.net”はソルドたちを解放しようとするも、リオンの策略によって再び人類の敵として仕立て上げられてしまいます。

彼らはソルドシステムの中枢である集合知(マスブレインシステム)へアクセスし、その中で滅亡迅雷ドライバーを生成。それを使用して、4人の集合知ともいえる仮面ライダー滅亡迅雷へと変身。ソルド達をマスブレインシステムから切り離し、仮面ライダーザイアへ変身したリオンを圧倒し、最終的に殺害。更に本体であるはずの自分たちの肉体(ヒューマギアなので筐体?)をも破壊し、どこかへ消えてしまいます。
滅亡迅雷は再び人類の敵となってしまったのか。彼らの真の目的とは――。

と、この直後から本作は始まります。

 

冒頭。
刃唯阿/仮面ライダーバルキリー(演:井桁弘恵)は、“滅亡迅雷.net”をかばう発言をしたことから、責任を追及されてしまいます。また、現在の上司である国防庁長官の大文字茂(演:相島一之)より仮面ライダー滅亡迅雷の破壊を命じられ、厳しい判断を迫られます。そんな中刃は、自らが開発したAIを用いた照準システムによって民間人に犠牲を出してしまったことで大学を去った、かつての恩師のことを思い出すのでした。

不破諫/仮面ライダーバルカン(演:岡田龍太郎)と共に仮面ライダー滅亡迅雷を止めようと変身して立ち向かうも、圧倒的な強さの前に不破のショットライザーは破壊され、やむなく撤退。

 

とりあえず言えるのは、全体的に戦闘シーンが少ない。あっても、ほとんどやられてるシーン。
この時点で、子供は置いてけぼりでしょうな…。
ただ、回想で大学生時代の刃が出てくるのですが、これがまぁー可愛い。普段のクールな唯阿ちゃんも可愛いですが、地味眼鏡女子の唯阿ちゃんの破壊力たるや。僕含む大きな子供たちは大喜びでしょうな…(大変下品な文章)。正直この回想シーンや犠牲になった子供の幻とか全く不要な要素だったと思いますが、JD唯阿ちゃんが見れただけで万事OKです。

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かわいすぎるかよ…。

不破さんはTVシリーズでは「俺は正義の味方だー!」とか「俺がルールだー!」とか言ってた気がしますが、いつの間にかずいぶん達観しておられて、正義とか軽々しく口にしなくなっていたし、「誰に何と言われようと自分が正しいと思うことを貫き通す」みたいな考え方になっていて、すごいかっこよかったです。
キャプテンアメリカがソコヴィア協定に反対したのと同じような心境なのかなーと。
もしくは、るろ剣の師匠があえてどこの派閥にも属さずに自由の剣を貫く、みたいな。
多分そんな感じなんじゃないかと思いました。(適当)

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これ。師匠カッコいい。

序盤~中盤。
前作でマスブレインシステムから解放されたソルドたちは、各々が個人の判断で行動を始めます。
ソルド404(演:阿見201)率いる大多数のソルドは、“滅亡迅雷.net”が人類を敵とみなすのであればそれに従うべきだと判断し、一番の障害になりそうなA.I.M.S.を次々と襲撃。
ソルド9(演:菅原健)も、自分達を解放してくれた“滅亡迅雷.net”の意志を尊重しようとしますが、それが本当に正しい事なのか、疑問を持つように。
ソルド20(演:鳴海唯)は、自分達を産んでくれた人類につく判断をし、A.I.M.S.本部にて刃と合流。

その後、A.I.M.S.本部へ襲撃してきた滅亡迅雷を迎え撃つ刃とソルド20。直前の刃との会話で「命を守ること」をラーニングしたソルド20は、刃をかばって攻撃を受け、サーバルタイガーゼツメライズキーを託して機能を停止。そのキーを使用して、刃は仮面ライダーバルキリー ジャスティサーバルへ変身して立ち向かいます。最後は両者必殺技を撃ち合い、バルキリーも重傷を負うものの、滅亡迅雷もダメージを受け、撤退。

 

待望のバルキリーの新フォーム。しかし前述のとおり終始やられてるので、見せ場としてはイマイチ。デザインはめっちゃカッコいいのに…。

 

後半。
滅亡迅雷の真意に気付いた不破さんは、ショットライザーを修理してもらうために飛電インテリジェンスを訪問。しかし社長秘書のイズ(演:鶴嶋乃愛)より、「ショットライザーはZAIAの技術で作られているため、飛電ではどうすることも出来ない」と言われてしまいます。
そこへ、現在宇宙にいる社長の飛電或人(演:高橋文哉)から通信が。或人は「不破さんも社長になればいいんじゃない?」みたいなことを言って、“あるもの”を託します。

 

この辺、なんかよくわかんなかったです。社長を名乗りさえすればドライバー使えるの?じゃあ1000%の人含む全世界のシャッチョサンが変身出来てしまうじゃん。条件ザル過ぎない?とか思ってしまいました。まぁきっと社長うんぬんは或人の方便で、不破さんもドライバー使えるように以前から調整してた、ってことで脳内補完しました。

 

ソルド9は、ソルド404達が“滅亡迅雷.netの意志”として人類を襲っていることに違和感を感じ、やめるよう説得を試みます。しかし、彼らはソルド9を裏切り者だと断罪、破壊しようと襲ってきます。そこへ不破さんが駆けつけ、仮面ライダー滅亡迅雷の真意を明かすのでした。

行き過ぎた正義は、悪にもなりうる。そしてその暴走した正義は、自らの身を滅ぼす

それを自ら演じ自分を破壊させることで、ソルド達にラーニングさせようとしている。それが、滅亡迅雷の真の目的。バルキリーをターゲットにしたのは、そうすれば不破さんが自分を止めてくれると確信していたから。

 

コレ、とても崇高な考えだとは思いますが、そこまでしなきゃならんか?と率直に思いました。あと、TVシリーズや劇場版でせっかくいい感じに収まった人気キャラの滅亡迅雷にその役目を与えるのはいかがなものか、とも思いました。ソルドの誰かがその役割を担う、じゃダメだったんですかね。

 

終盤。
仲間たちによってボロボロにされたソルド9は、不破さんにダイアウルフゼツメライズキーを託し、機能停止。不破さんは、滅亡迅雷との最終決戦に挑みます。

覚悟を決めた奴を相手にするなら、こっちも覚悟決めねぇとな!

不破はソルド9に託されたキーと亡が残したアサルトグリップ、或人に託された飛電ゼロワンドライバーを使用し、仮面ライダーバルカン ローンウルフへと変身。
死闘の末、滅亡迅雷は爆発四散。不破さんの辛勝となりましたが、結局斃れてしまいます。

 

最後は、滅亡迅雷の脅威が去ったことを記者会見で発表する大文字の所へ、修理されたソルド9とソルド20を連れた刃が現れ、ヒューマギアと向き合い、話し合っていくことの必要性を訴え、その後ろで“滅亡迅雷.net”の4人が見守っているシーンが流れて、映画は終わります。

エンディングで、明らかに不破さんが死んでいるような描写が出てきます。これについては、ちょっと納得できないかな…。あんまり死なせる必要性を感じないというか、実は生きてたで良かったんじゃないかと。滅亡迅雷もだけど人気キャラ死なせるのやめてよ…という気分。というか、このゼロワンOthers自体にもあまり必要性を感じなかったかなーというのが正直なところ。こんな暗いテーマをゼロワンでやらなくてもいいじゃん、といいますか。劇場版がきれいに終わってくれただけに余計にそう思ってしまう。

 

うーん、なんか気になる点があるとそればっか書いちゃって、良い点をうまく書けないのがよくないなぁ。
良かった点としては、まず新ライダーや新フォームのデザインはどれもめちゃくちゃカッコよかったです。ゼロワンのライダーはどれもカッコよくて外れ無しでした。
それと、ゼロワンでやる意義は別として、「正義とは、悪とは何か」「そうした善悪をAIが正しく判断できるのか」といったテーマ自体はとても深いもので良かったのではないかと思います。古くはキカイダーとかでも描かれてきたので、永遠のテーマなのかな、と思いました。
ゼロワンが描いてきた「人間とヒューマギアの対話」みたいなのも、異なる民族同士の争いや、先住民族と移民、白人と黒人、といった現代社会の抱える問題にも通ずるものがあり、なかなかに踏み込んだテーマだったのかな、とも思います。
あとは不破さんがカッコよかったのと、唯阿ちゃんが可愛かったのがとにかく最高。

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なんかこれまで以上にまとまりのない文章になってしまったけど…まぁ僕の文章力なんてこんなもんでしょう。

 

ということで、『ゼロワンOthers 仮面ライダーバルカン&バルキリー』の感想でした。

ではまた。