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映画『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』感想(ネタバレ)

映画『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ(TMNT)』は、1984年にミラージュ・スタジオより出版されたアメリカンコミック(アメコミ)。

突然変異によって人間のような体と知能を手に入れたカメたちが悪者たちと戦いを繰り広げる、SFアクション作品となっています。

 

元々は、マーベルコミックの『ニュー・ミュータンツ』と『デアデビル』のパロディだったらしいですね。知りませんでした。1回限りのパロディ企画のつもりが予想外にヒットしたため、シリーズ化されることになったんだとか。そして現在は、アニメ化、ゲーム化、実写映画化と、幅広く展開される大人気シリーズとなっています。元々はウルトラマンのパロディだったキン肉マンが、今やすっかり市民権を得ているのと似たようなもんでしょうか。

 

僕はといえば、小学生の頃に友達が持っていたスーファミのゲームをよくやっていて、その頃から漠然と好きになった感じです。「シューレッテッテーニンジャタートルズ(伝われ)」みたいな主題歌をいとことよく歌ってたっけ。

↓確かコレ。ファイナルファイトみたいで楽しかった思い出。

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1987年にはTVアニメ化もされ、日本では1991年から放送されていたそうです。各キャラの鉢巻き(目隠し?)が色分けされたのはこのアニメが初めてで、それが定着して今に至っている模様。僕は見た記憶ないです…すみません。

2003年にも再度アニメ化され、日本では2007年に放送されていますが、こちらも見た記憶ないなぁ。

2012年に3度目のアニメ化がされ、日本では2014年にTV放送されました。これは僕も結構楽しく見ていた記憶があります。でもどういう最後だったのか覚えてないな…と思ったら全部で120話以上あるうち、日本では最初の26話までしか放送されなかったようですね。おま国やめて!

2018年には『ライズ・オブ・ミュータント・タートルズ』というアニメが製作され、それの劇場版がNetflixで配信中だそうで。予告編見た感じかなり面白そうなので、いずれ見たい。

 

実写映画に関しては、1990年~1993年に3部作が公開され、大ヒットを記録しました。はるか昔にTVでやってたようなやってなかったような…くらいの認識。

2014年には、実写版『トランスフォーマー』などで知られるマイケル・ベイ製作でリブート版『ミュータント・タートルズ』が公開。2016年には続編となる『ミュータント・ニンジャ・タートルズ:影<シャドウズ>』が公開されました。タートルズがフルGCになっていてかなりリアルでキモイ(笑)けど、ベイ作品らしいド派手なアクション満載で、僕も大好きな映画です。どうでもいいですが、邦題は『ニンジャ』がついたりつかなかったりなのなんとかしてほしい。統一しろや。

 

もくじ

 

概要

前置きが長くなりましたが、本作について。
現代のニューヨークを舞台とし、これまでのシリーズとは異なる新たな世界観が構築されています。

特徴は何といっても、グラフィティアートがそのまま動いているようなアニメーションスタイル。『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』でもアメコミがそのままアニメになったような映像に驚きましたが、本作もそれに比肩する見応え抜群の映像美が楽しめます。また、忍者繋がりなのか、ところどころ日本のポップカルチャーが登場するのも大きな特徴となっています。

 

監督を務めるのは、ジェフ・ロウ
2021年のアニメ映画『ミッチェル家とマシンの反乱』で共同脚本・共同監督を務め、アカデミー賞にノミネートされるなど高い評価を獲得しました。単独で監督を務めるのは本作が初のようです。

脚本はジェフのほか、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』でドンキーコングの声を務めた俳優のセス・ローゲン(彼は本作でも声優として参加しているほか、プロデューサーも務めています)、『名探偵ピカチュウ』の共同脚本などで知られるダン・ヘルナンデス&ベンジー・サミットらが執筆しています。

声優陣は、メインキャストにはキャラと同様10代の俳優が起用されています。
そのほか、世界的ラッパーであるアイス・キューブ、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』やそのスピンオフ『ピースメイカ』でメインキャストを務めるジョン・シナMCU映画『アントマン』で主演を務めるポール・ラッド、そして香港映画界のレジェンド、ジャッキー・チェンといった、豪華キャストが出演しています。

僕は字幕版で見たので、日本語吹き替え版のキャストについては割愛。

 

予告編


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あらすじ

アメリカ、ニューヨーク。

15年前、不思議な液体に触れた4匹のカメはミュータントとなり、同じくミュータント化したネズミのスプリンター(声:ジャッキー・チェン)に育てられます。彼は過去の経験から人間を「恐ろしい存在」と認識しており、そんな人間たちから身を守るすべとして、タートルズに忍術を叩きこみました。

しかしそんな父の思いとは裏腹に、タートルズは人間の暮らしに憧れを抱いており、人間に自分たちを受け入れてもらいたいと思っていました。人間のエイプリル・オニール(声:アヨ・エデビリ)に「悪い奴らをやっつけて街のヒーローになればみんなも認めてくれるはず」と持ち掛けられ、世間を騒がせている連続強盗犯を捕まえようと行動を開始します。

ですが、その犯人グループの正体も、タートルズと同じミュータントで――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

本作の日本での認知度はイマイチな気がしますが、このまま埋もれてしまうにはあまりにも惜しい、非常に楽しい作品でした。

 

独創的な映像

まずなんといっても、特徴的な映像は圧巻の一言。

あえて輪郭を歪ませていたり、雑に塗ったような質感にしてみたりと、イラストがそのままアニメになったような映像はとにかく見応えが抜群でした。日本のアニメでこういうの全然見ないのは、やはり普通に作るよりはるかに手間暇がかかるからなんでしょうかね。それとも単に、日本でのアニメのトレンドが新海作品のような「美麗な作画と色鮮やかな色彩」といったものだからでしょうか。ジャパニメーションでもこういうの見てみたいなぁ。

 

見ていて楽しいキャラクターたち

個性豊かなキャラクター達も、本作の大きな魅力のひとつ。

タートルズの面々は、パーソナルカラーや得意武器の違いといったシリーズおなじみの要素だけでなく、ラファが鉢巻きからバンダナスタイルになっていたり、ドニーがメガネをかけていたりと、さらに個性が追加されていました。これいつからでしたっけ。『ライズ・オブ~』からっぽい?とにかくすごくいいと思いました。赤ちゃんの頃のタートルズはとにかく可愛くて、みんなでお風呂入ってるシーンとか、頬が緩みっぱなしでした。

それから、ひとり1台スマホを持っていたり、しっかり現代的にアップデートされているのも好印象でした。あと、マイキーが『進撃の巨人』の大ファンだったり、高校の掲示板だったかに『僕のヒーローアカデミア』のデクっぽいキャラが描かれていたり、そこかしこに現代日本サブカルチャーが出てきて、日本人として嬉しい限り。クライマックスでも、「巨大な奴の弱点は首の後ろの付け根と相場は決まってる!」みたいな展開があって笑いました。

 

タートルズにとって父であり師匠でもあるスプリンターも、結構第一線で活躍していてすごく良かったです。忍術を映画やyoutubeなどで学んでいたりと、こちらも現代的になっていました。ジャッキーが声優やってるからって、見てる映画もジャッキー映画中心だったのには爆笑しました。忍者どころか日本でもないというね。アメリカでの“忍術”の定義って何なんですかねw

子供たち(タートルズ)が何考えてるかわからず思い悩むといった、思春期の子供がいる方々が首ちぎれるほど頷くであろう悩みとかもすごく良かったです。そこまでシリーズ見てるわけではないですが、スプリンターの親としての目線ってこれまであまり見たことなかったので、すごく新鮮でした。

 

成り行きで助けられたことでタートルズの友人となるエイプリルも、これまでとはまた違ったキャラクターになっていて、非常に魅力的でした。2014年のリブート実写版ではミーガン・フォックスが演じていて、なんというかセックスシンボルみたいなキャラになっていましたが、本作では割とどこにでもいるようなルックスになっていました。いろいろ配慮してるんだろうかとか考えさせられますが、これも現代的にアップデートされているということでしょう。カメラの前に立つと緊張で吐いてしまう、というのもリアルでいいと思いました…が、吐く量が尋常じゃなくてビビりました(笑)

 

誰が見ても楽しめるストーリー

ストーリーに関しては、良く言えば王道、悪く言えば捻りがない、割とストレートなもの。ですが、これでいい、いやこれがいい、のです。タートルズの楽しい掛け合いに笑い、カッコいいアクションに興奮し、ピンチにハラハラし、ラストで感動する、老若男女みんなが楽しめるお話になっていると思います。

 

ちょっとだけメンドクサイところに言及すると、本作、というかタートルズというシリーズに共通して、「普通とは違った者は、虐げられたり社会から爪弾きにされたりする」といった、現代社会に確かに根付く問題をテーマにしているような気がします。人種とか宗教とか、そういった問題にも通ずる話ですね。そして、それを受けて「そんな自分たちでも人並みに生きれるように奮闘する」のか、「自分たち以外の存在を排除しようとする」のか、本作ではその思想のぶつかりを描いているのが特徴のように思いました。

ミュータントたちだけでなく人間側でもそれは描かれていて、冒頭でミュータジェン(本作では“ウ~ズ”と呼ばれてました)を開発した化学者は、「誰も自分を受け入れてくれないのなら、受け入れてくれる家族を自分で作る」のを目的としてウ~ズを開発し、最期は孤独に爆死していました。対して、学校で盛大に撒き散らかして疎まれていたエイプリルは、クライマックスで吐き気をグッと堪えて(ちょっと出てたけどw)タートルズのためにカメラの前で真実を報道し、称賛されました。こうした、現代社会で弱い立場に追いやられている人たちにスポットを当てているというのは、胸を打たれる人も多いのではないかと思います。少なくとも僕にはすごく響きました。

 

ラスト、そーいやシリーズを象徴するあの宿敵が出てきてないな…と思っていたら、ポストクレジットで後ろ姿がチラッと映って映画は幕を閉じます。ありがちな続編匂わせですが、期待してもいいんだよね…?いや絶対に作って欲しい。

 

おわりに

感想はこんな感じです。

本国アメリカでは大ヒットしているらしいですが、日本ではどうなんでしょうか。本当に素晴らしい作品だと思うので、ぜひ多くの方々に見ていただきたいです。

ということで、映画『ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック!』の感想でした。

ではまた。カワバンガ