GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『マトリックス レザレクションズ』感想(ネタバレ)

映画『マトリックス レザレクションズ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2022/02/11 追記:
なぜか「マトリックス キャデラックに乗っている人物」という検索ワード上位に本記事が…。
本記事にはそのような言及は一切ありませんので、あしからず。てかキャデラックに乗っている人物って誰…?僕も知りたい。

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マトリックス』という映画を知っている人は多いのではないでしょうか。

重厚なSF世界、スタイリッシュなアクション、“バレットタイム”を代表する革新的な映像表現など、現在の映画作りに多大な影響を与えている非常に有名な作品です。中でも、荒廃した未来世界の人類は機械に支配されており、卵の様なポッドの中で電気と熱を生み出すためだけに利用され、機械に接続された人類はマトリックスという仮想世界の中で仮初めの生活を送っている、という設定は、「自分たちが生きているこの“世界”は、本当に“現実”ですか?」と問いかけられているようで、世界に衝撃を与えました。今でこそVR等で仮想世界というものが広く認知されていますが、この頃はまだそうしたものは全く知られていなかったので、まさしく時代を先取りした作品だったということですね。

 

1999年に第1作『マトリックス』が公開され、その大ヒットを受けて、2003年に続編である『マトリックス リローデット』と、完結編である『マトリックス レボリューションズ』が公開されました。

僕は1作目はTVで見ましたが、2,3作目は映画館へ見に行きました。当時はあまり何も考えずに映画を見ていたので、いやー楽しかったなーくらいしか思っていませんでしたが、1作目は監督の思想が色濃く出ているのに対し、2,3作目は(配給会社のテコ入れのためか)エンタメに寄せられているという評価を目にして、今となってはその意見にすごく納得できます。確かに。まぁ僕はエンタメ度高めな2,3作目も大好きですけどね。

 

『レボリューションズ』で綺麗に完結したと思われたマトリックスですが、18年が経った2021年、更なる続編が公開されました。それが本作、『マトリックス レザレクションズ』です。“レザレクション”は、“復活”や“停止していたものが再び動き出す”といった意味だそうで、まさに本作にうってつけのタイトルですね。

 

本作の監督および脚本(の1人)は、ラナ・ウォシャウスキー。前3部作はアンディ(リリー)・ウォシャウスキーと共にウォシャウスキーズ2人での監督・脚本でしたが、本作ではラナ単独になりました。

ウォシャウスキー”は、もともと男性として生まれましたが、現在は2人とも性適合手術を受けているため、日本では“ウォシャウスキー姉妹”と呼ばれることが多いです。しかし、性別を区別する“姉妹”という表現は好ましくないとされ、アメリカ等では“ウォシャウスキーズ”と呼ばれているとかなんとか。ちなみに、前3部作の時はまだ手術前だったので、ラナもラリー・ウォシャウスキー名義で、2人での呼び名も“ウォシャウスキー兄弟”でした。うーむ、ややこしいですな…。

 

そんな2人が出掛ける作品なので、このシリーズ、特に1作目はトランスジェンダー的な要素を多く含んでいるらしいのですが、ごめんなさい、僕はその辺詳しくないので、詳細を知りたい方は他の方のブログをお読みください…。まぁ言われずともこんな辺鄙なブログ読む前に既に読んでいただいているかとは思いますが。

当ブログはアクション映画好きのオツムの弱い中年おじさんのやっているブログなのでね、感想もそうした視点でのものになってしまうのでご了承ください。

 

鑑賞後の僕の率直な感想は以下。

 
 
 
 
 
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A post shared by ブラックさん (@blackson3110)

前3部作の映像が多用され、更にネタにしているようなシーンもあり、続編なんだけど焼き直しを図っているように見受けられるところもあって、ちょっと悪い言い方としてセルフパロディという言葉を使っています。しかし実際そう思ったのもまた事実。でもそうしたところも含めて楽しかったのもまたまた事実。

オッス、そんじゃいっちょ感想いってみっか!

 

始まりは、とある女性が黒づくめの男たちに追われているところから。そしてそれを俯瞰から見ている別の女性。その女性も見つかってしまい捕まりそうになりますが、黒づくめの男の一人が助けてくれました。
誰なのかと問われた彼は、「自分はモーフィアスだ」と名乗ります。

舞台は変わり、とあるゲーム会社。
トーマス・A・アンダーソン(演:キアヌ・リーヴス)は、凄腕のゲームデザイナー。過去に『マトリックス』という3部作のゲームを手掛けて一躍有名になった彼は、現在は『バイナリー』というゲームを開発中。幻覚症状に悩まされているトーマスは、以前にゲームと現実が混同してビルから飛び降りそうになった経験がありました。精神科医アナリスト(演:ニール・パトリック・ハリス)のカウンセリングを受けつつ、青いカプセルを処方され、それを飲みながらどうにか暮らしている日々。

ある日、トーマスは社長のスミス(演:ジョナサン・グロフ)よりマトリックス4の制作を打診されます。既に完結している作品の続編を作ることに難色を示すトーマスでしたが、親会社であるワーナー・ブラザース(笑)の圧力もあり、制作を余儀なくされます。同僚は続編制作に大いに盛り上がっていましたが、気乗りのしないトーマスなのでした。

別の日、トーマスは行きつけのカフェでティファニー(演:キャリー=アン・モス)という女性と知り合います。彼女は家庭を持っていましたが、ゲーム内のトリニティというキャラクターにそっくりということもあり、トーマスは何か特別なものを感じている様子。ティファニーも、握手をした際に「以前会ったことある?」と言ってきます。その後も2人でお茶したりと、親睦を深めていくのでした。

後日、職場へ犯罪予告が届き、職員が慌てて避難をする中、トーマスのスマホにメッセージが。その指示通りにトイレへ駆け込むと、そこにはモーフィアス(演:ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)がいました。彼はトーマスに赤いカプセルを差し出し、現実世界へ戻るよう説得しようとします。が、自分が作ったゲーム内の出来事が現実で起こる訳がない、これは自分の幻覚だと、状況を呑み込めないトーマス。そこへ警官隊が突入してきて、銃撃戦に。そのさなか、落ちていた銃を手に取った社長も、エージェント・スミスの人格を取り戻して銃を向けてきます。なにがなんだかわからずパニック状態のトーマスは、「これは幻覚だ」と自分に言い聞かせ続けていると、いつの間にかアナリストの家にいる事に気付きます。犯罪予告も、警官隊との銃撃戦も、何事もなかったかのように。
先程の出来事は本当に幻覚だったのか、それとも…。

その後、またビルから飛び降りそうになったトーマスは、アバンでモーフィアスに助けられた女性のバッグス(演:ジェシカ・ヘンウィック)に救出され、ギリギリのところで転落を回避。彼女に連れられ、モーフィアスのいる部屋へと案内されます。赤と青のカプセルを選ばせる例のアレをやっていると、アナリストに居場所を察知され、またも警官隊が突入してきます。赤いカプセルを飲んで朦朧とする意識の中、警官隊やbotの妨害をかいくぐって鏡のゲートへ入ったトーマスは、荒廃した現実世界のポッドで目を覚ますのでした。

現実世界へと戻ってきたトーマスこと、ネオ。現実では、60年もの歳月が経過していました。
死んだはずの自分がなぜ生きているのか。なぜまたマトリックスの中に囚われていたのか。謎を追いながら、再び戦いに身を投じていく――。

長くなってしまいましたが、あらすじはこんな感じ。

 

まず、作品を自らメタ的に扱っている序盤がすごく面白かったです。
マトリックス4の企画会議で、同僚たちが「リブートやリメイクにはせえへんで!新しい伝説にするんや!」みたいに盛り上がっている中、それを冷めた目で見ているトーマスとか、本作の会議でも実際にあったのかと邪推してしまいます。あとまさかワーナー・ブラザースの圧力うんぬんを映画内でやってしまうとは…。めっちゃ笑いました。なんならこんな感じで最後までやってくれてもいいんじゃないかってくらい。まぁそれだと続編ではなく完全にパロディ作になってしまいますが…。

しかしそれも機械側、ひいては黒幕であるアナリストの思惑によってそう思い込まされていた、つまりはこれまでの出来事がゲームという“虚構”に閉じ込められていたということなので、トーマス=ネオとしてはゾッとしない話ですわな。この辺の、“今起こっているのが現実か幻覚かわからない”くだりが中盤くらいまで結構長く続くんですが、僕は不穏な感じが出ていて面白いなぁと思いました。

 

せっかくだから、俺はこの赤のカプセルを選ぶぜ!(※こんなセリフはありません)マトリックスを象徴するシーン、ここでも壁に過去の映像を流してたり、トーマスを安心させるためとかいう名目でわざと似たシチュエーションを作ってたり、完全に確信犯的にパロってて面白かったです。あと、わざとなのか大人の事情なのかはわかりませんが、モーフィアスやスミスが違う俳優になってたのも、個人的にパロディ感を強く感じた部分。でも、この辺りからなんというか“マトリックスらしさ”みたいなのが強くなり、正統な続編である事を感じました。

そういや余談なんですけど、モーフィアスの部屋に行く途中に東京の新幹線の車内を通るんですが、これまた僕の大好きなコレジャナイジャパンが炸裂していて、「そうそう、コレコレ!」となんだか嬉しくなりました。線路脇には桜が咲き誇っていて、背景には富士山が…ってだから東京にこんな場所ねぇって!最高!!

パシフィック・リム:アップライジング』でも最終決戦の舞台が東京でしたが、高円寺と書かれた場所から、巨大ロボとはいえ数歩歩いただけでお台場のユニコーンガンダム立像があって、更にそこから目と鼻の先に富士山があるという、ああいう「頑張って再現しようとしてるけどなんか違う日本の風景」、大好きなんですよね。富士山を出せばとりあえず日本っぽくなると考えてるとこも、オイラは好きダゼ。

映画『G.I.ジョー 漆黒のスネークアイズ』感想(ネタバレ) - GORGOM NO SHIWAZAKA

↑でも書いてますが、僕はこういう、海外の人がイメージする日本の風景が大好きなのです。

 

現実世界に戻ってからは、比較的シリアスな雰囲気に。
ネオが目を覚ましていきなり機械に連れ去られて、まぁそりゃすぐ見つかるわなと思ってたら、どうやら人間の味方だったようで、バッグスが船長をしている船に連れてってくれます。機械の中にも人間に味方するものが出てくるってところは、前3部作と明確に異なるところ。深読みすると、今までトランスジェンダーとかに否定的な風潮だったのが、時代が変化して少しずつ受け入れられるようになってきたことを表しているのかな。

新しい拠点に到着し、ネオはかつて共に戦ったナイオビ(演:ジェイダ・ビンケット・スミス)と再会。しかし、ナイオビは今の平穏な暮らしが再び戦火に巻き込まれるのを恐れ、バッグスに船長解任を言い渡し謹慎処分に、ネオは幽閉されることに。しかし、念願だった救世主の復活にバッグスたちが言うことを聞くはずもなく、船に乗ってネオを救出。セキュリティがザル過ぎるので、ベランダ的なとこからネオは普通に出れるというね。機械側もだけど、現実での危機管理意識甘過ぎない?

 

その後、なんやかんやあってトリニティの救出作戦を実行することに。彼女のポッドがネオのすぐ近くにあったのは、そうするのが最もエネルギーを生み出せるかららしいですが、マトリックス内でティファニーとして家族を持っていたのは、アナリストによって家族愛を植え付けられ、その愛情からマトリックスを離れられないように仕向けられていた為だったのでした。要はネオが復活したときの為の保険であり、人質ですな。ネオが現実へ戻るよう説得するも、一度はそれを拒否。しかしネオへの本物の愛情には勝てず、最後はトリニティとしてネオの元へ戻る決心をします。まぁ、そりゃそうなりますよね…。
余談ですが、作戦中「まだ飛べないのか!?」と言われて「フンッ!」ってやるも、「やっぱダメだわ」ってなるネオがすげー面白かったです。

その間、現実世界では機械に接続されたトリニティの肉体を救出するために動いていました。サティ(演:プリヤンカー・チョープラー)の助けもあり、肉体を機械から切り離すことに成功。バッグスの船へと移されます。

 

ここからは大スペクタクルの連続。
かつてのネオの活躍から“バレットタイム”を学習したアナリストは、自分以外をスローモーションにする能力を身に着けていました(正確にはネオの能力とかではないけどね…ここも非常にメタ的)。それによってピンチに陥るネオですが、スミスが乱入してきてアナリストを攻撃。自我を持ったスミスは、これまでさんざん利用されていた事に対する復讐をしようとしていたのでした。

結果的にスミスに助けられる形になったネオとトリニティは、バイクに乗って逃走。アナリストは、botとして配置していたマトリックス内の市民を操って、彼らを襲わせます。大量の人のような何かが襲い掛かってくる様はさながらゾンビパニック物のようで、気持ち悪くて最高でした。
どうにか振り切ったかに見えましたが、実は大通りに誘い込まれており、そこには軍事ヘリが。機銃やミサイルをガンガン撃ってきて、アベンジャーズばりの大爆発の連続。ネオはおなじみの銃弾を止める能力を駆使してどうにか凌ぎます。この辺は、「クライマックスだぜヒャッハー!」って感じの大盤振る舞いで、見応え抜群で素晴らしかったです。

ビルの屋上に追い詰められたネオとトリニティでしたが、飛べることを信じて2人でジャンプ。やはりまだ飛ぶことが出来ないネオに対し、なんと先にトリニティが飛べるようになるという驚き。これはきっと、男性が女性を引っ張っていくのが当たり前ではなく、女性が男性を引っ張っていってもいいんだ、というメッセージなんだと思いました。

最後は2人でアナリストの家に殴り込み、「これからは俺たちがこの世界を書き換えていくんで、ヨロシクぅ!」と吐き捨ててまたどこかへ飛び去って行き、映画は終わります。
自分の思うように生きていけるという事、いつでもそうした世界に飛び立っていけるという事を表現しているようで、なんとも清々しいラストでした。

 

こんな感じで大変楽しむことが出来ましたが、作品に込められたメッセージとかを読み解けなくとも楽しむことが出来たかと言われると、ちょっと首をかしげてしまうかもしれない…。まぁ込められたものを全て読み取ったかと言われると、そんなことは無いと思いますが。1作目はそういうのを全く読み取れなくても最高に楽しめる作品になっていたので、やっぱすごい作品だったんだなぁと痛感しますね。アクションも良かったのは間違いないんですが、特に目新しいものがあったわけではないし、何より全体に漂うパロディ臭が気になるっちゃ気になる…。

 

もし続きがあるとしたら、好き勝手にマトリックスをいじくって独裁者みたいになったネオとトリニティに対し、バッグス達が新たな救世主となって立ち向かう、みたいな展開があってもよいかも。
いや、それこそ二次創作感ムンムンか…。やっぱ無しで。

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ということで、映画『マトリックス レザレクションズ』の感想でした。

ではまた。