GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』感想(ネタバレ)

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2022/09/16:加筆修正と、『THE MORE FUN STUFF VERSION』の内容を追記しました。

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マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。
はい、今年も早速やってまいりました、MCUのお時間でございます。

本作は、2017年公開の『スパイダーマン:ホームカミング』、2019年公開の『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』に続くMCUスパイダーマンの3作目であり、“ホーム・シリーズ”の完結編となります。
本来はこれでスパイディのMCU参加は終了し、以降は版権を持っているソニー・ピクチャーズの『ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)』で活躍していく予定だったようですが、主演のトムホがいろんなところに掛け合って、MCUにて更に3部作を制作する事になったらしい。…けど、トムホが「やっぱ卒業したいかも」みたいな事言ってるみたいな話も聞くし、どーなることやら。個人的にはケヴィン・ファイギが関わってくれた方が絶対に面白くなると思っているので、MCUでもう少し頑張って欲しい気持ちです。

 

もくじ

 

スパイダーマン映画化の歴史

スパイダーマンの実写映画に関しては、これまで多くのシリーズが制作されています。

まず、2002年~2007年に公開された、サム・ライミ監督の『スパイダーマン1~3』。
この3部作が大ヒットを飛ばし、今日のスーパーヒーロー映画の基礎となったと言っても過言ではないほどの超名作です。僕も確かこのシリーズを見てからアメコミ映画に興味を持つようになったと記憶しています。

 

続いて、2012年と2014年に公開された、マーク・ウェブ監督の『アメイジングスパイダーマン1,2』。
ユニバース展開も構想され、『シニスター・シックス』などのスピンオフも計画されていたそうですが、興行収入が予想を大きく下回ってしまったため、結局2作のみの公開となってしまいました。個人的にこのアメスパ2作はめちゃくちゃ大好きな映画なんですが、何がいけなかったんでしょうね…?まぁ、ハードルを高く設定しすぎた、ってことなんでしょうが…。

 

その後、ソニー・ピクチャーズはマーベル・スタジオとパートナーシップを結び、期間限定でMCUスパイダーマンを登場させることが出来るようになりました。
スパイディのMCU初登場作品が、2016年公開の『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』。
トニーに才能を見出された15歳のピーターが、アイアンマン陣営の一員として活躍します。実写映画としては史上最年少のピーターになるんだとか。この時はまだ出番はさほど多くありませんでしたが、MCU参戦は絶対に不可能だと思っていただけに、予告編を初めて見たときの衝撃は今でも忘れられません。

以降も、MCUとしては初の単独作である『ホームカミング』で、トニーに怒られたりしながらヒーローとは何たるかを学び、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンドゲーム』にて、(なし崩し的にとはいえ)アベンジャーズの一員として活躍。トニー亡き後のピーターの心の成長を描いた『ファー・フロム・ホーム』を経て、本作に繋がります。

 

また、こちらはMCUではないですが、アニメ映画として2019年に『スパイダーマン:スパイダーバース』も公開されました。こちらも今年続編が公開予定との事で、非常に楽しみにしております。

 

これだけたくさんのシリーズが制作されており、いかにスパイディというキャラクターが人気なのかが伺えます。どんなに人気のある作品でも、これだけ短期間で何度もリブートしている作品は他に無いですもんね。(あとはバットマンくらい?)

 

本作について

そんなこんなで、本作。
時系列としては、前作『ファー・フロム・ホーム』のポストクレジットシーンにて、クエンティン・ベックミステリオ(演:ジェイク・ギレンホール)によってスパイダーマンの正体がピーターであることが暴露されてしまい、更に“スーパーヒーロー・ミステリオ”を殺害した犯人に仕立て上げられてしまった直後から始まります。ちなみに実際はミステリオはヴィラン(敵役)であり、自業自得的な死に方をするのですが、フェイク映像によってさもピーターが殺したかのように演出されています。

本作の監督は、前2作と変わらずジョン・ワッツ。キャストも相変わらずの面々が揃っているほか、ドクター・ストレンジベネディクト・カンバーバッチや、その他あんな人やこんな人、いろんな人が登場します(詳しくは後述)。

 

本作を見た後の僕の率直な感想は以下。

 
 
 
 
 
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とんでもないものを見てしまった、いや見させていただいた…という思いで頭がいっぱいでした。それ以上の事は(ネタバレ回避の意味もあって)なんも言えねぇ…って感じです。

てなわけでこれより感想に参ります。

 

※マジでネタバレなしで見た方が絶対に良いので、まだ未見の方はこの先は読まない事をオススメします。

念の為、多めに改行入れときますね。

 

 

↓予告編はこちら。


www.youtube.com

 

 

 

🕷🕸🕷🕸🕷🕸🕷🕸🕷🕸🕷

 

 

 

本編感想

あらすじ

これまでどうにか正体を隠してヒーロー活動を続けていたピーター・パーカースパイダーマン(演:トム・ホランド)でしたが、デイリー・ビューグルのキャスター、J・ジョナ・ジェイムソン(演:J.K.シモンズ)によってミステリオの告発は大々的に報道され、世界中の人達にスパイダーマンの正体が知られてしまいました。すぐに自宅も特定され、報道ヘリや野次馬に取り囲まれてしまいます。

ミステリオ殺害容疑で警察の捜査を受けるピーターでしたが、盲目の弁護士、マット・マードック(演:チャーリー・コックス)の尽力もあり、証拠不十分で不起訴。しかし、自宅にはマスコミやミステリオ信者が押し寄せてくるので、ハッピー・ホーガン(演:ジョン・ファヴロー)の家に匿ってもらうことに。

その後も、おばのメイ・パーカー(演:マリサ・トメイ)は、甥っ子をこんな危険な目に遭わせるなんて児童虐待ではないのか、保護者失格だなどと言われ、恋人のMJことミシェル・ジョーンズ(演:ゼンデイヤ)や親友のネッド・リーズ(演:ジェイコブ・バタロン)も、ピーターに近しい人物というだけで大学(MIT)を不合格になってしまいます。
自分だけでなく家族や友人たちが巻き込まれる事に耐えられなくなったピーターは、過去に戻ってスパイダーマンの正体が世間にバレる”のを無かったことに出来ないかと、かつてアベンジャーズとして共に戦った、サンクタム・サンクトラムにいる元・至高の魔術師(ソーサラー・スプリーム)、ティーブン・ストレンジドクター・ストレンジ(演:ベネディクト・カンバーバッチ)を訪ねます。

ストレンジは、既にタイム・ストーンが失われていることからそれは出来ないと断ります。が、全世界の人達からスパイダーマンの正体がピーターである”という記憶を消去することなら可能であると提案。それは危険な呪文であり、「現実と非現実の境界を壊しかねない」と、現・ソーサラー・スプリームでありストレンジの兄弟子であるウォン(演:ベネディクト・ウォン)が止めようとするも、「前にもやったことあるし、大丈夫だろ」とストレンジは聞く耳なし。

そうして始まった“禁断の呪文”の詠唱。しかし、合間に「MJから記憶なくなるなんてヤダ!あっネッドも!あとメイおばさんも!」とピーターがたびたび呪文の修正を求めたため、結果的に詠唱は失敗。暴走をどうにか抑えているような危険な状態に。しかもその影響で、スパイダーマンの正体がピーター・パーカーである事を知っている者”が、別の次元(マルチバース)から呼び寄せられているというではありませんか。様々なヴィランたちが、ピーターを狙って次々と襲い掛かってきます。

このヤバすぎる状況を、スパイダーマンやらかしおじさストレンジは収拾することは出来るのか――。

というのがあらすじ。

 

各キャラクターについて

本作のピーターは基本ずっとピンチで、話もシリアス寄りなんですが、やっぱりどうしても可愛さが溢れ出しちゃってて、ニッコリホッコリする場面が多数。トムホはあのスーパープリティな見た目と性格でガタイムッキムキ、運動神経抜群、更に頭もいいとか、ずる過ぎないですか?パラメータ全部カンストしてんじゃないのこれ。どれか1個分けてくれよホント。

スパイディのスーツについては、以前から着ている“アイアン・スパイダー・スーツ”や“アップグレード・スーツ”のほか、“ブラック&ゴールド・スーツ”と“インテグレート・スーツ”が新登場します。中でもブラック&ゴールドについては、ペンキで汚されて洗濯中のアップグレードのガワだけ取ったor裏返しただけというのには笑いました。でも回路のようなディテールや飛び出したケーブルなど、武骨な感じでカッコよかったです。インテグレートは、“インテグレート=統合”の通り、これまでのスーツの集大成的なデザインになっておりました。

 

MJはこれまでは割とツンツンキャラでしたが、前作ラストでめでたくピーターと付き合うことになり、本作では気丈にピーターを支える役目を担っています。ゼンデイヤさん、キャリアを積んでどんどん魅力が上がっていってますね。ネッドも相変わらずのムードメーカーっぷりで、本作からは二人っきりでイチャイチャ(死語)したいピーターとMJの間にズケズケと入っていくという、空気読めないキャラも確立していてとても面白かったです。

てか3人ともMIT入れるくらいに学力あったのね…。いやホムカミで学力コンテストとか出てたけど…すっかり忘れてたよ。それでも、スパイダーマンに深く関わりのある人物ってだけで学力関係なく落とされるってのは、世知辛いというかリアリティがあるというか。ただそこで大学のお偉いさんに掛け合ってどうにかなる、ってのはなんというかアメリカっぽいなーとか思ってみたり。

 

トニーの元秘書、ハッピーがしっかり登場してくれるのも嬉しかったです。ジョン・ファヴロー、監督業とかもやってて忙しいだろうに、このシリーズにはしっかり登場してくれてありがたい限り。

前作でメイおばさんといい感じになってたのも笑いましたが、本作で「グイグイ来すぎる」という理由でフラれてたのには更に笑いました。

 

メイおばさんは、本作では非常に重要なキャラになっています。ピーターを全力で支えてくれるのはもちろん、ヒーローとして、人として進むべき方向へと導いてくれます。また、スパイダーマンを象徴するあの言葉をピーターに残してくれます。(詳しくは後述)

「今回ちょっと首突っ込みすぎじゃない?」と思うところもありますが、本作での役割を考えると致し方なしかな、と。

 

ストレンジおじさんは、なんというか終始やらかしてましたね…。てっきりトニーに代わるピーターの良きメンター(指導者)になっていくのかと思いきや、呪文失敗するわ、ミラー次元に閉じ込められるわ、やらかし放題でした。事あるごとに「一緒に戦ったから忘れてたけど、コイツまだ子供やったわ(呆)」とか言うのも、大人げないなぁとか思ってみたり。まぁ、あの人はトニー以上に天上天下唯我独尊なお人ですしね…。誰かを導くなんてガラじゃないか。
メタ的に考えれば、ストレンジがいると何でも1人で解決しちゃいそうですし、本作はあくまでスパイダーマンの映画って事で、舞台装置としての役割以外の出番を減らされた感。

あ、そういえば、久しぶりにミラー次元の映像トリップが見られて良かったです。『インセプション』を更にすごくしたようなあの映像、万華鏡みたいで割と好きなんですよね。3D酔いするタイプの人はある意味閲覧注意な映像なのでご注意を…。

 

あと最初に出てきたマードックとかいう弁護士。彼はNetflixのドラマ『デアデビル』にて主演を務めた、デアデビルその人。
僕は「ん?盲目?弁護士?振り返らずにレンガを受け止めた!?まさか…」と見ているときに思い、後で調べて「やっぱりか!」となりましたが、ドラマ見てた人はすぐにわかったんでしょうなぁ。僕はネトフリ未登録なのでまだ見れてない…。

本作は消化しなきゃならないイベントが多過ぎるので彼の出番もさらっと終わっちゃいましたが、今後もっと活躍してくれることを期待します。

 

マルチバース展開について

とまぁキャストについて色々言うてますけど、本作における最大の目玉は、何と言ってもマルチバースからの敵の襲来ですよ。

『ファー・フロム・ホーム』でミステリオは「自分はマルチバースから来た」と言っていましたが、結局は嘘でした。しかし、Disney+のドラマ『ロキ』にてマルチバースが解き放たれ、本作では本当にマルチバースからヴィランたちがやってきます。しかもそれがこれまで公開されてきた別シリーズの実写映画からの参戦なのだから、もう驚くほかない。キャストも全て以前出演した人がそのまま演じているという、マーベルファンであれば誰もが思い描いた、しかし不可能だろうなと諦めていた事が、まさか実現する日が来るなんて…。

 

余談ですが、Twitterだかで「MCU見たいと思ってるけど、古参が“コレ見るならその前にアレ見た方がいい”とか言ってくるのがウザい」みたいなツイートを誰かがしているのを目にしたので、「だったらなんも言いません」と今は思っています。上述の通り、過去のシリーズからキャラが多数登場するのでそれらを見た方が本作を最大限楽しめると思ってはいますが、まぁ見るも見ないも好きにすればいいんじゃないですかね。ってこういうのがウザいんですよねきっと…。
(あんま良くない事書いてるので字薄くしとこ)

 

具体的に本作に登場するヴィランは以下。

🎃ノーマン・オズボーングリーン・ゴブリン(演:ウィレム・デフォー) - 2002年『スパイダーマン』に登場
🐙オットー・オクタビアスドクター・オクトパス(演:ルフレッド・モリー) - 2004年『スパイダーマン2』に登場
フリント・マルコサンドマン(演:トーマス・ヘイデン・チャーチ) - 2007年『スパイダーマン3』に登場
🦎カート・コナーズリザード(演:リス・エヴァンス) - 2012年『アメイジングスパイダーマン』に登場
⚡️マックス・ディロンエレクトロ(演:ジェイミー・フォックス) - 2014年『アメイジングスパイダーマン2』に登場

前作ラストで、サム・ライミ版で存在感抜群だったJ.K.シモンズ演じるジェイムソンが出てきた時は「ま、まさか!?」と思いましたが、本当にそのまさかでしたね…。しかもどの俳優も、ビジュアルも含め以前出演した時と全く変わらない見事な演じっぷりだったのもすごい(まぁサンドマンリザードは最後以外ほぼCGでしたが)。

もう最初にドクオクが出てきた時点で目の前で起こっている“奇跡”に泣くことしか出来なかったんですが、それがあと4回あるのでずっと泣きっぱなしですよ。

 

 

さて、ここからは予告編にもなかった展開に関する感想になります。
更にネタバレ注意になりますのでご留意ください。

 

MCUスパイダーマンのオリジン

本作は真の意味での「トムホピーターのスパイダーマンとしてのオリジン」としても機能しており、MCUスパイディではこれまで(恐らく意図的に)避けられてきた、しかしスパイダーマンのオリジンには必要不可欠な、“自分の浅はかな行動に起因する大きな代償”を本作で払うことになります。ベンおじさんはMCU世界では既に他界しているので、その役目を担うのは、メイおばさんということになります。

あの場面、自身の命が尽きようとしていることに気付いていないのか、それともピーターに悟られたくなかったのかわかりませんが、「あー疲れた」って感じで息を引き取っていくメイおばさんの姿、もう辛くて辛くて見ていられなかったですよ…(号泣)

 

でも冷静になってから改めて考えると、これまでトニーの死や様々な経験を経ているピーターに、これ以上の犠牲は必要だったのか、とどうしても思ってしまいますね。ここに来て、トムホピーターはまだヒーローとして一人前ではなかったのか、と。
トニーがMCUスパイディにおけるベンおじさんのポジションだと勝手に思っていたので、そこでもうオリジンは描いていたものだと思っていました。あとは、すっかりピーター達を親戚のように思っていただけに、メイおばさんにはいなくなって欲しくなかった…という純情な感情。

1/3の純情な感情

1/3の純情な感情

  • provided courtesy of iTunes

 

まさかまさかの共演

それでですね…
こんなことを去年言ってたのですが…

この妄想、まさか僕が生きている間に現実になるとは思っていませんでした。

 

行方をくらませたピーターに会うために、なぜか修行せずポータルを開けるようになったネッドは、“ピーターのいる場所”へ繋がるポータルを開きます。

その先にいたのは、ピーターはピーターでも、なんとマーク・ウェブ版『アメイジングスパイダーマン』のピーター・パーカースパイダーマン(演:アンドリュー・ガーフィールド)ではありませんか!!

更に、再度ポータルを開いた先には、サム・ライミ版『スパイダーマン』のピーター・パーカースパイダーマン(演:トビー・マグワイア)が!!

う、嘘だろ…信じられない…!
これこそ僕らが思い描いた『実写版スパイダーバース』ですよ…。

 

いや、上のツイートをしている時点で、予想はしているんですよ。でも、そうあってくれたら嬉しいな程度のファンの二次創作的な考えで、まさか実現するとは思ってなかっただけに、開いた口が塞がらないとはまさにこの事。僕は口をあんぐりさせたまま、静かに涙を流すことしか出来ませんでした。

 

その後、トムホピーターが行方不明であることを告げると、「何かあったときに行きそうな、落ち着く場所とかない?」と言われ、それならと向かった学校の屋上にてトムホピーターを発見。
MJとネッドに抱きしめられてボロボロ泣いちゃうトムホとかもうね…耐えられるはずがない…(大泣)。映画館だったから大号泣程度でしたが、家で見てたら嗚咽漏らして泣いてますよ。てか今も泣きながらコレ書いてます。

スパイディズ3人が集結し、「大いなる力には、大いなる責任が伴う」という、トムホピーターがメイおばさんから託された言葉を、他の2人も亡くしてしまった大切な人(ベンおじさん)から託されていたことを知ります。この辺ももう、「そう…これだよ…これが見たかったんだよ…(涙)」って感じでずっと泣いてました。

 

最後の戦い

すっかり戦う気力を失っていたトムホピーターですが、別次元の自分から「俺たちのようになってほしくない」と激励され、再びヴィランたちを治療する決心をします。

3人のスパイダーマンヴィラン達の最終決戦の舞台は、新しく建設中のキャップの盾を持った自由の女神
ウェブスイングなどを駆使した立体的なバトルで、ものすごい見応えでした。ただ、動きがめちゃくちゃ早いうえに、ぱっと見スパイディ3人の見分けがつきにくいので、今誰が戦ってんのかわからなくなることが結構ありました。

チームプレイが上手くいかず、
「いや俺らチームで戦ったことないし!」
「僕やったことあるよ!自慢じゃないけど、アベンジャーズなんだ!(ドヤッ)」
「スゲェ!よくわかんないけど!」
「え、なに、バンドやってんの?」
みたいなやり取りには爆笑を禁じえませんでした。最終的には「むずむず(スパイダーセンス)を信じよう!」となるのも非常に“らしく”て良かったです。

 

奪ったアークリアクターを使って無尽蔵のエネルギーを得たエレクトロの、攻撃する瞬間に顔に原作の衣装のような星形の稲妻が浮かぶところとか、すごいカッコ良かったですね。リザードサンドマンも3人のスパイディと激闘を繰り広げ、生死不明だったドクオクは、治療されて正気を取り戻したので、味方になってくれます。

そーいやサンドマンはなんで敵対してたんですかね?「娘に早く会いたい」とか言ってましたが、それならさっさと治療してもらって元の次元に帰れるようにしたらいいのに。あれ、でもエレクトロの電撃が周囲に行かないように砂でブロックしてるようなシーンもあったような…。電撃の範囲を狭めることで密度を上げてたとか?よくわかんないや。

 

戦いの中で、落下しそうになるMJをアンドリューピーターが救出する場面がありますが、あれは『アメイジングスパイダーマン2』にて、恋人グウェン・ステイシーを助けられなかった場面と同じ構図。あの時は助けることが出来なかった、でも今度は“この世界のグウェン(にあたる人)”を助けることが出来た。アンドリューピーターに、ひとつの救いを与えているんですよね。

地面に降りて、助けられたMJではなく助けたアンドリューピーターが泣き出すところは、アメスパ2が大好きな自分としては堪らないものがありました(滝涙)。でもこのシーン、予告編では合成でトムホに置き換えられてるんですよね…。あんなのただのフェイク映像なので、マジでやめて欲しい…。

 

ラストは、トムホピーターとグリーン・ゴブリンとの一騎打ち。
メイおばさんを殺された怒りで、ゴブリンをボッコボコに叩きのめすトムホ。でも血が出ないどころか、顔が一切腫れたりもしないキレイな顔のままのゴブリン=オズボーン。レイティングのためとはいえ、ここはもう少しリアリティを重視して欲しかった。

最後は、とどめを刺そうとするトムホをトビーピーターが止める、という構図に。これは、『スパイダーマン』1作目でオズボーンを死なせてしまい、それが原因で親友だったハリーと殺し合うことになってしまった、トビーピーターへの救い。自分の世界ではグライダーが突き刺さって死んでしまうオズボーンを、この世界ではグライダーが突き刺さろうとするのを止める、という演出がまたニクい。

ただ、最終的には治療薬を打ち込んで治療したとはいえ、トビーが止めてなかったらトムホはあそこで確実にゴブリンを殺していたので、そこはちょっとモヤっとしました。上述した通り、トムホピーターはもう十分に精神的に成長していて、一人前のヒーローになっていると思っていただけに、自身で怒りを乗り越えて欲しかった、という思い。でもまぁ、感動が次から次へと襲い来るので、見ている間はそうした点は全く頭に無かったですけどね。

ともあれ、ヴィランたちだけでなくスパイダーマンたちまでフォローしている本作の構造は本当に素晴らしい。

 

結末

戦いは終わり、みんなを元の次元へ帰そうとなりましたが、いよいよ呪文の暴走が抑えられなくなり、時空が裂けて他の次元が押し寄せてきてしまう事態に。ここでトムホピーターは、自分を知っている者がどんどん呼び寄せられているのが原因ならと、改めて“自分の存在を全ての人間が忘れる”呪文をストレンジにお願いします。

最初のはスパイダーマンの正体がピーターであることを忘れる”というものでしたが、最後はストレンジ含む全ての人間が“ピーターの存在自体を忘れる”という、さらに強力な呪文に。
呪文を詠唱し終わる前にMJとネッドの所へ行って、「すぐ会いに行ってまた僕のことを覚えてもらう」と言って号泣しながら抱き合うの、あぁもう…こっちの方が大号泣ですよ…(涙腺決壊)。

 

トムホピーターが被った“大いなる責任”によって、ヴィラン達やスパイディズは元の次元へ帰っていき、次元の侵食も収まりました。しかし、愛する家族を失い、更に誰も自分のことを覚えていないという、完全な天涯孤独、まさに“ノー・ウェイ・ホーム”な結末に。
これにはMJ役のゼンデイヤも、「この結末は寂しすぎる」と言っていたんだとか。

 

狭くてボロい部屋に引っ越したピーターは、新たに製作したレッドとメタリックブルーの非常に原作に近いカラーリングのスーツを身に着け、(恐らく盗聴している)警察無線を聞き、夜の摩天楼をスイングしていく…といったカットで、映画は幕を閉じます。『スパイダーマン』1作目のラストカットを彷彿とさせるような、とても良いシーンでした。

 

オマケ映像について

ミッドクレジットでは、エディ・ブロック(演:トム・ハーディ)とヴェノムが、『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』のラストで迷い込んだMCU世界にて取材をしているシーンが流れます。取材のさなか、体が光りだしてまたどこかの次元へ飛ばされてしまうも、カウンターには残されたシンビオートが…みたいな感じ。

これって、「トム・ハーディのヴェノムはウチら(SSU)のもんだけど、MCU世界でもヴェノム出せる可能性残しといてやるよ」、って事でしょうかね。トムホとトムハの共演も期待したんですが、それは(実現するかもわからない)今後のSSUまでおあずけのようです。ちょっと残念。
まぁでも、これだけのサプライズを用意してもらって更にヴェノムまで、というのは、コース料理をたらふく食った後に二郎ラーメンが出てくるようなものなので、もう十分にお腹いっぱいです…って感じ。

 

終わりに

すっかり長くなってしまいましたが、ほとんどずっと泣きっぱなしのものすごい映画でした。過去に公開された別シリーズのキャラを登場させるって、『アベンジャーズ』の制作よりもずっと難しいことだったんじゃないかと思います。アベンジャーズは最初から集結させるつもりで企画されていましたが、サム・ライミ版やマーク・ウェブ版が作られた時、本作の想定なんてしてなかったでしょうし、版権とかいろんな問題があったでしょうし。実現させてくれたマーベル・スタジオにはいくら感謝してもしきれない。

なんか最近のCMだと、「さようなら、親愛なる隣人」とか「シリーズ最終章」とか言ってるし、今後のトムホスパイディがどうなっていくのかまだわかりませんが、とりあえず次のMCU映画は本作でのやらかしが大いに影響していると思われる『ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス』が5月に公開。ポストクレジット代わりに予告編が流れてました。『ワンダヴィジョン』以来の登場となるワンダ・マキシモスカーレット・ウィッチとの共演が果たしてどうなるのか、非常に楽しみです。

 

 

🕷🕷🕷💥🎃🐙⏳🦎⚡️

 

 

追記:『THE MORE FUN STUFF VERSION』について

約11分の新規映像などを追加した実質ディレクターズカット版、『THE MORE FUN STUFF VERSION』が公開されたので、見てきました。

 

見た直後の率直な感想は以下。

 
 
 
 
 
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A post shared by ブラックさん (@blackson3110)

劇場公開された作品が1年と経たずに再上映されるって、なかなか異例ですよね。本作の人気の高さが窺えます。

ただ、上映される劇場が日本国内でたったの5館(札幌、東京、名古屋、大阪、福岡)、というのはなんとも。今はサブスク等の動画配信サービスで見る人も多いだろうし、劇場押さえるのにも相当なお金がかかるんでしょうけど、出来れば全国で公開してほしかった…。

 

インスタでも書いてる通り、何度見ても感動できる、本当に素晴らしい作品でした。今回も案の定、号泣しながらの鑑賞に…わかってた、わかってたよ。
でもどこが変わったかと言われると、あまり明確にはわからなかった…。そんな何十回と見てるわけでもないし、細かいところは覚えてなくて…。

 

追加シーン

ここが変わったかなー、と思った箇所を箇条書きで以下に記しときます。

  • 冒頭にトムホ、アンドリュー、トビーの3人からのメッセージが流れた
    めっちゃ微笑ましくて、開始1分で泣きそうになりました。僕もあなたたちを愛してます…。

  • 高校でのシーンが追加された?
    バスケの授業中に、クラスメイトに「おい!壁登って見せろよ!」みたいに煽られて、渋々壁を上るピーター、というシーンが追加されてた気がします。あれ只のいじめじゃん…。「ぶっ○せピーター!」と思いました。

  • マードックがハッピーの弁護も請け負ってた
    スターク・インダストリーの技術流出の件について、ハッピーに対する捜査はまだ続くと告げられ、その弁護をマードックがやってるシーンが追加されてました。

  • ベティのインタビューシーンが追加された?
    校内で流れるニュース番組のシーンが結構追加されてた気がします。元カレのネッドに「夜中にメールするやつとかどう?」みたいにめっちゃプライベートな質問してて笑った。

  • 暴力的な表現がマイルドになった気がする
    もう少し直接的な描写が増えることを期待してましたが、更に減ってたような…。

  • アンドリューピーターがMJを助けるシーンがちょっと変わった?
    一回トムホピーターが助けようとする→ゴブリンに阻まれる→アンドリューピーターが代わりに助ける、みたいな流れに変わってた気がします。やはり予告編詐欺は苦情多かったんですかね。

  • ポストクレジットシーンは丸々新規
    またベティが出てきてワーワー言うとりました。にしてもベティ役のアンガーリー・ライス、最初は圧倒的ロリ美少女だったのが、今やあどけなさとブリー・ラーソンのような美しさとせつなさと心強さを兼ね備えた美少女に成長しててビビる…。(年齢を感じさせる文章)
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たぶん、追加されたシーンはこんなもんだったかと思います。特にMJを助けるシーンは不満に思ってたところだったので、とても良い修正だったと思います。
あ、あとアンドリューピーターがトビーピーターに連絡先聞く会話シーンもあった気がする。別次元でも電話通じるのか…?

暴力シーンがさらに減ってしまったのだけは残念ポイント。…って、別に暴力が好きな訳ではないですからね。現実感が削がれる、って話です。
ただ今回、改めて見て気付いたのが、直接殴り合うシーンは中盤とラストのゴブリン戦くらいで、あとはウェブで拘束したり、スイングで蹴っ飛ばしたりするだけで、スパイディはほとんど人を殴ってない、という事。何気にコレ相当すごい事ですよね。ピーターの優しさのなせるわざ、なのかな。

 

それと、初見ではどうしてラストバトルでサンドマンが敵対してたのか疑問でしたが、改めて見て「自分は早く元の次元へ帰りたいのに、スパイディは(全員治療してから帰したいと思ってるので)そうさせてくれない。だから呪文を閉じ込めた箱を奪おうとしてる」ということなんだと理解しました。あと、「この世界に残りたいから、箱を壊したい」エレクトロを止めようとしてることもわかりました。だから電撃を砂でブロックしたりしてたのかー、と納得。

 

まとめ

本作への熱が高すぎて、大変長ったらしい文章になってしまいました。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。

まだ『ノー・ウェイ・ホーム』を見たことがない、出来れば映画館で見たい、そして札幌、東京、名古屋、大阪、福岡のいずれかにお住まいの方は、ぜひ見て頂きたい作品です(かなり絞られてしまいますが…)。個人的に、映画史に残って欲しいと思うほどの名作だと思っているので、ひとりでも多くの方に本作を見ていただけることを、1ファンとして願っております。

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ということで、映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の感想でした。

ではまた。

明けまして2022

新年明けましておめでとうございます!

2022年、今年はいよいよ『仮面ライダーシノビ』が放送される年ですね。(本当に放送されたらどうしよう…)

 

そういや年賀状を送らなくなって何年経ったのだろうか…。こんな無礼極まりない僕に、毎年キチンと送ってくれる友人だけにでも送ろう送ろうと年末になると考えるのだけれど、気付けば年が明けていた…この繰り返し。本当に申し訳ない。

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「本当に申し訳ない。」

去年の6月から当ブログを始めて、早や半年。本当に早い。
現状、地味に毎月1本以上は記事を上げることが出来ています。正直、月1本いければいい方かなくらいに思っていたので、自分でも驚き。これも面白い映画をオールウェイズ制作し続けてくれている方々のおかげです。本当にありがとうございます。

いちおー映画の感想ブログの体裁を取っている当ブログですが、他のブロガー様たちがやられているような「2021年の総括」とか「僕の私のベスト10!」みたいなのは特にやりません。優劣なんかつけたくない、みたいな高尚な理由では全くなくて、「とってもおもしろかったです」以外の感想が特に無く、順位をつけるまでに至っていないというだけです。たぶん今後もやらないと思います。

 

個人的にブログ始めて良かったなと思う点が、作品のあらすじであったり、それを見たときの自分の感じた思いなんかが、文章に起こしてる中で頭の中で整理されて、そう簡単に忘れなくなったこと。むかーしに見たような覚えはあるんだけど、内容全然覚えてない映画とか山ほどありますしね…。備忘録として始めたブログなので、その役割を予想以上に果たしてくれています。

あとは、いい意味で肩の力が抜けていると言いますか、まだブログを書くことが重荷になったりしていないのも、個人的にいい状態だなと思っています。記事書くために映画見る、とかそんなの嫌ですもんね。

 

今年の目標も、「月に1本以上は書けるようにがんばる」程度で。それと、出来れば映画の感想以外にも記事を書ければと思っております。

まだまだ人にお見せできるような読み応えのある文章には程遠い当ブログですが、目にとめていただいた方に少しでも面白いと思ってもらえるよう、今後もゆるーい感じで努力していきたいと思っております。

 

ということで、本年もどうぞよろしくお願い致します!

ドラマ『ホークアイ』感想(ネタバレ)

Disney+にて配信中のドラマ『ホークアイ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2022/12/03:目次を付けました。

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マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

今年だけでもこの書き出し、何回やったのだろうか…。
映画、ドラマ合わせて怒涛のMCUラッシュだった2021年。新年明けてすぐに『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』というとんでもない作品が控えてますが、とりあえず今年はこれで最後。

 

本作は、アベンジャーズ初期メンバーであるホークアイを主役に据え、彼がローニンとして活動していた過去や、ナターシャ・ロマノフブラック・ウィドウの死について向き合うといった内容になります。

遂に来ましたね、ホークアイ単独作。これでアベンジャーズの初期メンバーは、全員単独作が作られたことになります。ずっと大好きなキャラだったので、待ってました!という思い。

 

目次

 

MCUにおけるこれまでの活躍

彼がMCUで最初に登場したのは、2011年公開の『マイティ・ソー』1作目で、「いつでも撃てるぜ」とか言ってソーに向けて弓構えてたけど結局撃たなかったってだけのシーン、だったはず。本当に出番がここだけだったので、なんだコイツ…と思ったのをなんとなく覚えています。

その後、2012年公開の『アベンジャーズ』1作目にて、最初はロキに精神を操られて敵対するも、洗脳が解けてからはアベンジャーズの一員として戦いました。洗脳されてた時のホークアイがマジで強くて、弓矢1本しかないスーパーパワーもないただの人間が単独でヘリキャリアを墜としかけててビビりました。そして味方になってからもまためっちゃ強くて、ここでも弓矢1本でチタウリ軍をバッタバッタと倒していき、まさしく八面六臂の活躍を見せました。

 

ちょっと話が逸れますが、僕はこういう、人間離れした奴らがウヨウヨいる中で、そうした力を持ってないキャラが互角以上に戦うっていうヤーツ、死ぬほど好きなんですよね…。

その性癖を作ったのは、『仮面ライダーアギト』の最終回で、氷川誠仮面ライダーG3-Xが敵の大幹部相手に互角の戦いを見せて、ビビった敵が「貴様…何者だ!?」って聞いたときに、氷川さんが「ただの…人間だ!!」って叫ぶシーンなんですけど、その話は長くなりそうなので割愛。

この氷川さんというキャラが本当に大好きでして。
平成ライダーの全ての劇場版で一番好きなシーンが、『劇場版 仮面ライダーアギト PROJECT G4』のラストで、装着者が絶命しているにもかかわらず動き出そうとするG4に対し、激高した氷川さんが「もう…もういいだろ!!」ってとどめを刺すとこ。何度見ても涙が溢れてきますわ。

あ、でも、『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』のラスト、龍騎リュウガの一騎打ちも捨てがたい。龍騎が本気で戦うのって(特に対ライダーでは)TV版でも結局最後まで見ることが出来なかったと思うので、龍騎がスペックをフルに発揮すると、王蛇を圧倒したリュウガにも打ち勝てるほど強いんか…と興奮したのを覚えています。

劇場版 仮面ライダーファイズ パラダイス・ロスト』の連続クリムゾンスマッシュも最高ですよね。満を持して復活した救世主=ファイズが、変身早々アクセルフォームになって消え、しばしの静寂…からの例の三角錐がドバーっと大量に出現して一瞬でライオトルーパー部隊を殲滅する流れは、カッコよすぎて痺れたシーンでいうと、未だにアレを超えるものは無いと思っているくらい大好き。

…ってダメだ全然割愛出来てないじゃん。やめやめ。
こうして文字に起こしているだけでも身震いするほど大好きなシーン達だということだけはお伝えしておきます。

 

話をホークアイに戻しまして。
その後もアベンジャーズのメンバーとして活躍していましたが、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』にて、サノスが全生命体をランダムで半分に減らすデシメーション(通称:指パッチン)を行い、ホークアイの妻や子供たちも消滅の対象となってしまいます。ホークアイは消滅を免れたものの、家族が消されたことに打ちひしがれ、ローニンとなって半ば自暴自棄のようにマフィアやヤクザなどの犯罪者を殺しまくるように(ちなみにローニンの語源は日本の浪人。そのまんま)。『アベンジャーズ/エンドゲーム』の序盤にて我らが真田広之をぶっ殺したりしていましたが、ナターシャの説得によってホークアイとして復帰。タイム泥棒作戦によって集めたインフィニティストーンで消された人々を元に戻し、サノス軍との大激闘を経て、以降は家族と睦まじく暮らしている様子。

本作は、そこから1年後のお話。

 

てな感じで、本編の感想に参ります。

ロキ』の記事では1話ごとに簡単なあらすじと感想を書いていくスタイルを取りましたが、各話で文章量を出来るだけ均一にしようとか余計なこと考えちゃって書きたいことをうまく書くことが出来なかったので、今回は雑多に書いていこうと思います。

blacksun.hateblo.jp

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

クリスマスを間近に控えたニューヨーク。
クリント・バートンホークアイ(演:ジェレミー・レナ―)は、家族でアベンジャーズを題材にしたミュージカルを観劇していました。彼はこれまで経験してきた数々の激闘の影響で難聴を患っており、補聴器を手放せなくなっていました。また、ナターシャを失った悲しみがまだ癒えていないようで、ナターシャ役の人が登場するシーンをまともに見ることも出来ません。しかし、家族とクリスマスまでの期間をどう過ごすのかを計画したりして、幸せに暮らしている様子。

一方その頃、大学生のケイト・ビショップ(演:ヘイリー・スタインフェルド)は、大学の時計塔を壊してしまったり、母親のエレノア・ビショップ(演:ヴェラ・ファーミガ)がよくわからない男と婚約したりと、様々な問題を抱えていました。彼女は2012年のNY決戦(『アベンジャーズ』1作目のラストバトル)にて父を亡くすも、チタウリ軍と戦うホークアイの活躍を間近で目撃しており、それ以来、彼に憧れて弓矢や武術の腕を磨いていました。

母の参加するチャリティオークションに嫌々参加させられるケイトでしたが、母の婚約者ジャック・デュケイン(演:トニー・ダルトン)が、会場の地下で怪しげな裏オークションに参加しているのを目撃。そこでは、アベンジャーズ本部の残骸から見つかった品々が出品されていました。そんな中、突然何者かが壁を破壊して強襲してきて、出品物のいくつかが盗まれてしまいます。ケイトは、とっさに出品されていたローニンの衣装を着て強盗と格闘。そのまま外に出て、車に轢かれそうになった一匹のゴールデンレトリバーを救出し、なんとかその場を脱出します。しかし、その姿がTVニュースで放送されてしまった事で、裏稼業の人達はローニンが復活したと思い込み、復讐心に火をつけてしまうのでした。

母がジャックの叔父であるアーマンド・デュケイン3世(演:サイモン・キャロウ)と言い合いになっていたのが気がかりだったケイトは、ローニンの衣装のままデュケイン邸へ潜入。そこで見たのは、剣で斬りつけられて死んでいるアーマンドの姿でした。驚きを隠せないケイトでしたが、使用人に見つかりそうになり、慌てて逃げ出します。

ニュースを見たクリントも、衣装を回収するためにすぐさま行動を開始。チンピラに絡まれているローニンの衣装を着た人物を発見し、チンピラを軽くのしてフードを取ってみると、若い女性の姿だったので驚き。ケイトも、憧れのホークアイが目の前にいる事にビックリ。

ローニンに恨みを持つトラックスーツ・マフィア(日本語訳ではジャージ・マフィアになってました)に目をつけられてしまったケイトのため、また自身の過去の清算のため、ホークアイは再び弓矢を手にする――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

基本は明るく楽しいテイスト

まず、本作はクリスマス・ムービーなので、基本的にコメディタッチな明るいムードで非常に見やすいです。
でも、数々の激闘により後遺症が残ってしまった上に、かけがえのない人を亡くした喪失感が未だに拭えないクリントや、一見裕福で何不自由ない暮らしを送っているようだけど、女手一つで育ててくれた母が犯罪組織と繋がっていたケイト、父を殺されてマフィアが唯一の家族となっていたのに、実はそのボスこそが父を殺させるよう仕向けていたマヤなど、各々の境遇は結構重め。だけどそんなに重く感じないのが演出の妙。

 

新キャラクター、ケイト

個人的に、エレノアに「あなたはこういう子なんだから、こうするのがいいのよ」と言われて、本当はそうしたくはないんだけど「…そうだね、その通りだわ」と従ってしまうケイトの姿にすごく共感してしまいました。

母は自分のためを思って言ってくれてるのはわかるし、別に無理強いされてるわけでもないんだけど、断るとすごい嫌な顔をされるのが目に見えてるので、とりあえず従っとくみたいな。親の期待?理想?そういうものが心の深いところで呪縛みたいになってしまって、でも自分に深い愛情を注いでくれていることも重々理解しているので、決して嫌いにはなれない、そんな感じ。

最終話でも、「あなたはこんな子じゃない」とか「わかるわよ、あなたのことは全部」とか、あぁ、なんにもわかってないんだなというのが伝わってきて、心苦しくなりました。子供の事を誰よりも理解しているようで、実は全く理解する気がない。悪気もないからそれに気付こうともしない。エレノアが悪い人物ではないだけに、非常に歯痒い気持ちになりました。だからこそ、「イヴの日に親にこんな事して満足?」という言葉には少し溜飲の下がる思いがあったり。少し痛い目見て今後どうしていくべきか見つめ直してくれ。

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僕の気持ちを代弁する画像がこちら。

そんなケイト、共感度が高いという事も相まって、大変お気に入りのキャラとなりました。
クリントに比べるとそこまで強くない、ヒーローとしては肉体的にも精神的にもまだまだ未熟で、あくまでケンカ強めなどこにでもいる女の子って感じなんですが、それでも向う見ずに突っ込んでいくところとか、そのくせ結構ドジ踏んじゃうところとか、とっても可愛い。あと、キョトンとした表情とか、ビックリした表情とか、目をウルウルさせたときの表情とかが堪らなく可愛い。それでいてタキシードとかカッコよく着こなしちゃったりして、どんだけ魅力あるんじゃ…って感じでした。

ケイトを演じるヘイリー・スタインフェルドは、2018年の『バンブルビー』でチャーリーを演じた子だったんですね。全然気付かなかったぜ…映画館へ見に行ってるのに…。てかチャーリーの時はまだ年端も行かぬ女の子だった気がするんですが、いつの間にあんなに大人びたのやら。あと、『スパイダーマン:スパイダーバース』でグウェンの声も演じてたんですね。これも映画館へ見に行ってるのに知らなんだ…。

とにかく、ケイトというキャラとしても役者さんとしても、今後の活躍が非常に楽しみです。

 

ベテランヒーロー、クリント

クリントも相変わらずの渋カッコよさ。歳取って更に渋味が増している気がしました。
しっかりと優しいお父さんを務めているし、妻のローラ・バートン(演:リンダ・カーデリーニ)への愛情が全く変わらないのも本当に素晴らしい。ローラも時に調べものしたりして陰からクリントをサポートしてて、いい夫婦だなぁと。あと子供たちも出番は少な目ながら、父ちゃんがまずい事態になってるのをなんとなく察していながら気付かないふりしてたりと、いい味出してましたね。

また、これまでの戦いの影響で耳が聞こえづらくなっているというのも、すごくリアリティがあって良かったです。クリントはあくまで“普通の人間”であることを表現したいという制作側の意図があるらしいですが、そりゃあんな近くでドッカンドッカンやられたら耳おかしくなりますわ。一戦交えた後は冷凍食品を体に押し当てて冷やしてるのも、リアルさと同時にクリント歳取ったなぁ…と感じさせてすごく良かったです。傷の消毒の仕方をケイトに丁寧に教えてあげるのも、歴戦の戦士感があって良き。

個人的に最も良かったのが、ケイトとのひっそりとしたクリスマスパーティの中で、「今までで最高のショットは何?」と聞かれて「撃たなかったショットだ」と答えるシーン。彼がナターシャをどれほど大切に思っていたのかが端々から伝わってきて、すごい感動しました。

そんなクリントおじさんは、そもそもは自分=ローニンが蒔いた種とはいえ、事態の収拾のため、それに巻き込まれて(正しくは首を突っ込んで)しまったケイトを救うために奮闘します。また、後半からはナターシャの死に関しても否応なしに向き合うことになります。

 

まさかの再登場、エレーナ

どうしてナターシャの死に向き合うことになるかというと、本作では『ブラック・ウィドウ』にて存在感を放っていたナターシャの妹、エレーナ・ベロワ(演:フローレンス・ピュー)が再び登場するからです。本当に大好きなキャラだったので、彼女の登場には「キタ――(゚∀゚)――!!」となりました。

とにかくエレーナのキャラクターが最高でした。カッコつけてないというか、自然体というか。いい意味でスパイっぽくない。ナターシャのスーパーヒーロー着地を茶化しまくるのが可笑しかった(それをさらっと流すナターシャもまたナイス)。終盤に自分でも一応やってみるけど「やっぱ無理」とか言っちゃうとこもとても良い。今後のMCUを担っていけるほど素晴らしいキャラ、そして役者さんだと思いました。

映画『ブラック・ウィドウ』感想(ネタバレ) - GORGOM NO SHIWAZAKA

彼女はサノスの指パッチンで消滅していたことがわかり、『ワンダヴィジョン』のモニカ・ランボーのように、消滅していた側の視点であの出来事が描かれていたのがすごく面白かったです。突然背景がブワーっと変わっていって、何事かと思ったらなんと5年が経過していた…というあのシーン、映像表現としても大変見応えのあるものでした。

『ブラック・ウィドウ』のポストクレジットシーンで、姉の墓参りをしてるエレーナのところへヴァルがやってきてクリントの写真を渡していたはずですが、本作はその後の話なんですかね?だとしたらヴァルの組織がエレノアの依頼を仲介したんですかね?あそこには『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』に登場したジョン・ウォーカーU.S.エージェントもいるはずだし、てっきりS.H.I.E.L.D.的な組織なのかと思ってましたが、実際は暗殺組織だったりするんですかね?原作には詳しくないのでわかりませんが、わからないからこそ却って妄想が膨らみますな。

 

今後に期待、マヤ

それから、トラックスーツ・マフィアのリーダー、マヤ・ロペスエコー(演:ラクア・コックス)もとても良いキャラクターでした。彼女は耳の聞こえないキャラですが、『エターナルズ』のマッカリのように実際に聴覚障害を持っている役者が起用されており、ここもまたリアリティの演出に一役買っていたように思います。クリントに「どうしてそんなもの(補聴器)を付けている?」と問いかけたりして、多様性も演出しておりました(どうしてありのままの自分を受け入れないの?みたいな事だと解釈しました)。彼女はダークヒーローとなって単独作が公開予定との事で、今後が非常に楽しみなキャラクターでもあります。

 

せっかくのサプライズなのに…キングピン

更に、本作では黒幕として、裏社会を牛耳る男、ウィルソン・フィスクキングピン(演:ヴィンセント・ドノフリオ)がサプライズ登場します。原作に疎い僕ですら知っている超有名なヴィランであり、スパイダーマンデアデビルの宿敵でもあるキャラクターです。また、Netflixのドラマ『デアデビル』で登場した時と同じ俳優さんが演じているということで、ドラマを見ていた人は発狂ものの衝撃だったようです。僕はネトフリ登録してないので未見…。ジョジョとかタイバニ2とか見たい作品がどんどん増えているので、そろそろ加入しなきゃかなとは思っている…。

まぁでも、本作のキングピンは正直影が薄いです。ヒーローじゃないケイトにやられちゃうし、最後はマヤに撃たれるし…。でも他の人の感想読むと、誰一人としてこれで死んだと思ってないのがなんだか面白かったです(しぶとさがこの人の強みでもあるらしい)。僕も絶対あれくらいでやられるようなタマではないと思ってます。よく知らんけど。マヤ主演のドラマとかで再登場するのかな。盲目のヒーローであるデアデビルとの共演とか、考えただけでも胸熱。

 

新たなヒーローの誕生

エレーナを通じて、エレノアがキングピンと繋がっている事を知ったケイト(どーでもいいけど、エレーナとエレノアがごっちゃになるときがしばしば…)。動揺を隠せず、「あとは私の問題。あなたは家族の元へ帰って」とまたひとりで突っ走ろうとするケイトに、クリントは「お前は俺の相棒だ。お前の問題は、俺の問題でもある」と諭してくれます。初めてクリントがケイトを“相棒”と呼ぶ感動的なシーン。でもどちらかというと、ケイトを落ち着かせるためにそういう言い方をしたんじゃないかと思いました。もちろん相棒と呼ぶに足る人物であると思ってはいたんでしょうけど。

その後、「ヒーローとしてやっていく以上、あらゆるものを失ってしまうこともある。お前にその覚悟はあるか」と問われ、「ヒーローとはスーパーパワーを持つ者ではなく、正しいことを勇敢にやり通せる者だ」と覚悟を決めたケイトと共に、命の危険が迫るエレノアを助けるために行動するのでした。

ここでの、DIYでトリックアローの矢尻を作るシーンがまた最高でした。てっきりスタークインダストリーとかに作ってもらってるもんだと思ってました(実際スタークインダストリー製の矢もありました)が、あれほとんど自分で作ってたのか…。

 

ラストバトルの舞台は、高層ビルで開かれていたよくわからんパーティ。ビシッとスーツを着こなしたクリントとケイトは、エレノアの到着を待ちます。

エレーナも、クリントを殺すために会場へ。しかしケイトに見つかって邪魔され、そのまま戦闘に。エレベーターのボタン全押しという妨害方法がまた可愛い。ここでケイトはエレーナと互角に戦ってる感じがしましたが、普通に考えてそれはあり得ないので、ケイトを気に入っているエレーナがめっちゃ手加減してたんでしょうな。

襲撃してきたトラックスーツ・マフィアによってスケート場に追い詰められたクリントとケイトが、ワラワラと湧いてくる輩を弓矢でバッタバッタ倒しまくるところも、これぞヒーロー物って感じの爽快感抜群なシーンでした。

 

最終的にはケイト vs キングピン、クリント vs エレーナという構図に。

キングピンは上述の通り、大した見せ場もなくケイトにやられます。というか、キングピンもケイトを本気で殺すつもりはなかったように見えました。現状のケイトは相手に手加減してもらってようやく対等に戦える、という事なんでしょうね。

クリントはナターシャを死なせてしまった負い目があるので、エレーナの攻撃を受ける事しか出来ません。クリントが姉を殺した張本人だと思っているエレーナは、何を言われても「嘘つくな!」と取り合わず。しかし、本当に信頼できる相手にしか教えない秘密の口笛をクリントが吹いたことで、姉は彼と長い事行動を共にし、信頼していたのだと悟ります。それがわかって号泣してしまうエレーナが何とも切ない。「受け入れて前に進むしかない」というクリントの言葉もまた切ない。クリントには救いは無いのだろうか…。
結局、殺しはしないまでも許したわけじゃねぇぞ、って感じで立ち去るエレーナ。彼女の今後も引き続き楽しみです。

 

最後はアーマンド殺害やクリントの暗殺依頼に関わっていたエレノアが逮捕され、行き場をなくしたケイトはクリントの家に迎えられます。クリントはローニンの衣装を燃やし、過去を清算。ケイトは、「レディ・ホークがいい?」とかまた可愛いこと言いながら、幕を閉じます。

MCU恒例のポストクレジットシーンは、なんと第1話冒頭のミュージカルシーンのフルバージョン。これがまた非常にクオリティが高くて、めっちゃ面白かったです。

 

おわりに

とまぁ、こんな感じです。
雑多な感じで書きますとか言って書きたいことつらつら書いてたら、ホントにものすごい雑多になってしまった…。

LARPSの人達も楽しそうで良かったとか、ジャックが小物だったとか、カジが切ないとか、ラッキーが可愛いとか、まだまだ書き足りなかったりもしますが、キリがないのでこの辺にしときます。

 

キングピンが全然強くないとか、エレーナの心変わりがちょっと急だったりとか、最後で若干尻すぼみ感がありましたが、とにかくケイトが可愛かったので、総じてこのドラマは最高。異論は認める。

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ということで、ドラマ『ホークアイ』の感想でした。

ではまた。

映画『マトリックス レザレクションズ』感想(ネタバレ)

映画『マトリックス レザレクションズ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2022/02/11 追記:
なぜか「マトリックス キャデラックに乗っている人物」という検索ワード上位に本記事が…。
本記事にはそのような言及は一切ありませんので、あしからず。てかキャデラックに乗っている人物って誰…?僕も知りたい。

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マトリックス』という映画を知っている人は多いのではないでしょうか。

重厚なSF世界、スタイリッシュなアクション、“バレットタイム”を代表する革新的な映像表現など、現在の映画作りに多大な影響を与えている非常に有名な作品です。中でも、荒廃した未来世界の人類は機械に支配されており、卵の様なポッドの中で電気と熱を生み出すためだけに利用され、機械に接続された人類はマトリックスという仮想世界の中で仮初めの生活を送っている、という設定は、「自分たちが生きているこの“世界”は、本当に“現実”ですか?」と問いかけられているようで、世界に衝撃を与えました。今でこそVR等で仮想世界というものが広く認知されていますが、この頃はまだそうしたものは全く知られていなかったので、まさしく時代を先取りした作品だったということですね。

 

1999年に第1作『マトリックス』が公開され、その大ヒットを受けて、2003年に続編である『マトリックス リローデット』と、完結編である『マトリックス レボリューションズ』が公開されました。

僕は1作目はTVで見ましたが、2,3作目は映画館へ見に行きました。当時はあまり何も考えずに映画を見ていたので、いやー楽しかったなーくらいしか思っていませんでしたが、1作目は監督の思想が色濃く出ているのに対し、2,3作目は(配給会社のテコ入れのためか)エンタメに寄せられているという評価を目にして、今となってはその意見にすごく納得できます。確かに。まぁ僕はエンタメ度高めな2,3作目も大好きですけどね。

 

『レボリューションズ』で綺麗に完結したと思われたマトリックスですが、18年が経った2021年、更なる続編が公開されました。それが本作、『マトリックス レザレクションズ』です。“レザレクション”は、“復活”や“停止していたものが再び動き出す”といった意味だそうで、まさに本作にうってつけのタイトルですね。

 

本作の監督および脚本(の1人)は、ラナ・ウォシャウスキー。前3部作はアンディ(リリー)・ウォシャウスキーと共にウォシャウスキーズ2人での監督・脚本でしたが、本作ではラナ単独になりました。

ウォシャウスキー”は、もともと男性として生まれましたが、現在は2人とも性適合手術を受けているため、日本では“ウォシャウスキー姉妹”と呼ばれることが多いです。しかし、性別を区別する“姉妹”という表現は好ましくないとされ、アメリカ等では“ウォシャウスキーズ”と呼ばれているとかなんとか。ちなみに、前3部作の時はまだ手術前だったので、ラナもラリー・ウォシャウスキー名義で、2人での呼び名も“ウォシャウスキー兄弟”でした。うーむ、ややこしいですな…。

 

そんな2人が出掛ける作品なので、このシリーズ、特に1作目はトランスジェンダー的な要素を多く含んでいるらしいのですが、ごめんなさい、僕はその辺詳しくないので、詳細を知りたい方は他の方のブログをお読みください…。まぁ言われずともこんな辺鄙なブログ読む前に既に読んでいただいているかとは思いますが。

当ブログはアクション映画好きのオツムの弱い中年おじさんのやっているブログなのでね、感想もそうした視点でのものになってしまうのでご了承ください。

 

鑑賞後の僕の率直な感想は以下。

 
 
 
 
 
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前3部作の映像が多用され、更にネタにしているようなシーンもあり、続編なんだけど焼き直しを図っているように見受けられるところもあって、ちょっと悪い言い方としてセルフパロディという言葉を使っています。しかし実際そう思ったのもまた事実。でもそうしたところも含めて楽しかったのもまたまた事実。

オッス、そんじゃいっちょ感想いってみっか!

 

始まりは、とある女性が黒づくめの男たちに追われているところから。そしてそれを俯瞰から見ている別の女性。その女性も見つかってしまい捕まりそうになりますが、黒づくめの男の一人が助けてくれました。
誰なのかと問われた彼は、「自分はモーフィアスだ」と名乗ります。

舞台は変わり、とあるゲーム会社。
トーマス・A・アンダーソン(演:キアヌ・リーヴス)は、凄腕のゲームデザイナー。過去に『マトリックス』という3部作のゲームを手掛けて一躍有名になった彼は、現在は『バイナリー』というゲームを開発中。幻覚症状に悩まされているトーマスは、以前にゲームと現実が混同してビルから飛び降りそうになった経験がありました。精神科医アナリスト(演:ニール・パトリック・ハリス)のカウンセリングを受けつつ、青いカプセルを処方され、それを飲みながらどうにか暮らしている日々。

ある日、トーマスは社長のスミス(演:ジョナサン・グロフ)よりマトリックス4の制作を打診されます。既に完結している作品の続編を作ることに難色を示すトーマスでしたが、親会社であるワーナー・ブラザース(笑)の圧力もあり、制作を余儀なくされます。同僚は続編制作に大いに盛り上がっていましたが、気乗りのしないトーマスなのでした。

別の日、トーマスは行きつけのカフェでティファニー(演:キャリー=アン・モス)という女性と知り合います。彼女は家庭を持っていましたが、ゲーム内のトリニティというキャラクターにそっくりということもあり、トーマスは何か特別なものを感じている様子。ティファニーも、握手をした際に「以前会ったことある?」と言ってきます。その後も2人でお茶したりと、親睦を深めていくのでした。

後日、職場へ犯罪予告が届き、職員が慌てて避難をする中、トーマスのスマホにメッセージが。その指示通りにトイレへ駆け込むと、そこにはモーフィアス(演:ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)がいました。彼はトーマスに赤いカプセルを差し出し、現実世界へ戻るよう説得しようとします。が、自分が作ったゲーム内の出来事が現実で起こる訳がない、これは自分の幻覚だと、状況を呑み込めないトーマス。そこへ警官隊が突入してきて、銃撃戦に。そのさなか、落ちていた銃を手に取った社長も、エージェント・スミスの人格を取り戻して銃を向けてきます。なにがなんだかわからずパニック状態のトーマスは、「これは幻覚だ」と自分に言い聞かせ続けていると、いつの間にかアナリストの家にいる事に気付きます。犯罪予告も、警官隊との銃撃戦も、何事もなかったかのように。
先程の出来事は本当に幻覚だったのか、それとも…。

その後、またビルから飛び降りそうになったトーマスは、アバンでモーフィアスに助けられた女性のバッグス(演:ジェシカ・ヘンウィック)に救出され、ギリギリのところで転落を回避。彼女に連れられ、モーフィアスのいる部屋へと案内されます。赤と青のカプセルを選ばせる例のアレをやっていると、アナリストに居場所を察知され、またも警官隊が突入してきます。赤いカプセルを飲んで朦朧とする意識の中、警官隊やbotの妨害をかいくぐって鏡のゲートへ入ったトーマスは、荒廃した現実世界のポッドで目を覚ますのでした。

現実世界へと戻ってきたトーマスこと、ネオ。現実では、60年もの歳月が経過していました。
死んだはずの自分がなぜ生きているのか。なぜまたマトリックスの中に囚われていたのか。謎を追いながら、再び戦いに身を投じていく――。

長くなってしまいましたが、あらすじはこんな感じ。

 

まず、作品を自らメタ的に扱っている序盤がすごく面白かったです。
マトリックス4の企画会議で、同僚たちが「リブートやリメイクにはせえへんで!新しい伝説にするんや!」みたいに盛り上がっている中、それを冷めた目で見ているトーマスとか、本作の会議でも実際にあったのかと邪推してしまいます。あとまさかワーナー・ブラザースの圧力うんぬんを映画内でやってしまうとは…。めっちゃ笑いました。なんならこんな感じで最後までやってくれてもいいんじゃないかってくらい。まぁそれだと続編ではなく完全にパロディ作になってしまいますが…。

しかしそれも機械側、ひいては黒幕であるアナリストの思惑によってそう思い込まされていた、つまりはこれまでの出来事がゲームという“虚構”に閉じ込められていたということなので、トーマス=ネオとしてはゾッとしない話ですわな。この辺の、“今起こっているのが現実か幻覚かわからない”くだりが中盤くらいまで結構長く続くんですが、僕は不穏な感じが出ていて面白いなぁと思いました。

 

せっかくだから、俺はこの赤のカプセルを選ぶぜ!(※こんなセリフはありません)マトリックスを象徴するシーン、ここでも壁に過去の映像を流してたり、トーマスを安心させるためとかいう名目でわざと似たシチュエーションを作ってたり、完全に確信犯的にパロってて面白かったです。あと、わざとなのか大人の事情なのかはわかりませんが、モーフィアスやスミスが違う俳優になってたのも、個人的にパロディ感を強く感じた部分。でも、この辺りからなんというか“マトリックスらしさ”みたいなのが強くなり、正統な続編である事を感じました。

そういや余談なんですけど、モーフィアスの部屋に行く途中に東京の新幹線の車内を通るんですが、これまた僕の大好きなコレジャナイジャパンが炸裂していて、「そうそう、コレコレ!」となんだか嬉しくなりました。線路脇には桜が咲き誇っていて、背景には富士山が…ってだから東京にこんな場所ねぇって!最高!!

パシフィック・リム:アップライジング』でも最終決戦の舞台が東京でしたが、高円寺と書かれた場所から、巨大ロボとはいえ数歩歩いただけでお台場のユニコーンガンダム立像があって、更にそこから目と鼻の先に富士山があるという、ああいう「頑張って再現しようとしてるけどなんか違う日本の風景」、大好きなんですよね。富士山を出せばとりあえず日本っぽくなると考えてるとこも、オイラは好きダゼ。

映画『G.I.ジョー 漆黒のスネークアイズ』感想(ネタバレ) - GORGOM NO SHIWAZAKA

↑でも書いてますが、僕はこういう、海外の人がイメージする日本の風景が大好きなのです。

 

現実世界に戻ってからは、比較的シリアスな雰囲気に。
ネオが目を覚ましていきなり機械に連れ去られて、まぁそりゃすぐ見つかるわなと思ってたら、どうやら人間の味方だったようで、バッグスが船長をしている船に連れてってくれます。機械の中にも人間に味方するものが出てくるってところは、前3部作と明確に異なるところ。深読みすると、今までトランスジェンダーとかに否定的な風潮だったのが、時代が変化して少しずつ受け入れられるようになってきたことを表しているのかな。

新しい拠点に到着し、ネオはかつて共に戦ったナイオビ(演:ジェイダ・ビンケット・スミス)と再会。しかし、ナイオビは今の平穏な暮らしが再び戦火に巻き込まれるのを恐れ、バッグスに船長解任を言い渡し謹慎処分に、ネオは幽閉されることに。しかし、念願だった救世主の復活にバッグスたちが言うことを聞くはずもなく、船に乗ってネオを救出。セキュリティがザル過ぎるので、ベランダ的なとこからネオは普通に出れるというね。機械側もだけど、現実での危機管理意識甘過ぎない?

 

その後、なんやかんやあってトリニティの救出作戦を実行することに。彼女のポッドがネオのすぐ近くにあったのは、そうするのが最もエネルギーを生み出せるかららしいですが、マトリックス内でティファニーとして家族を持っていたのは、アナリストによって家族愛を植え付けられ、その愛情からマトリックスを離れられないように仕向けられていた為だったのでした。要はネオが復活したときの為の保険であり、人質ですな。ネオが現実へ戻るよう説得するも、一度はそれを拒否。しかしネオへの本物の愛情には勝てず、最後はトリニティとしてネオの元へ戻る決心をします。まぁ、そりゃそうなりますよね…。
余談ですが、作戦中「まだ飛べないのか!?」と言われて「フンッ!」ってやるも、「やっぱダメだわ」ってなるネオがすげー面白かったです。

その間、現実世界では機械に接続されたトリニティの肉体を救出するために動いていました。サティ(演:プリヤンカー・チョープラー)の助けもあり、肉体を機械から切り離すことに成功。バッグスの船へと移されます。

 

ここからは大スペクタクルの連続。
かつてのネオの活躍から“バレットタイム”を学習したアナリストは、自分以外をスローモーションにする能力を身に着けていました(正確にはネオの能力とかではないけどね…ここも非常にメタ的)。それによってピンチに陥るネオですが、スミスが乱入してきてアナリストを攻撃。自我を持ったスミスは、これまでさんざん利用されていた事に対する復讐をしようとしていたのでした。

結果的にスミスに助けられる形になったネオとトリニティは、バイクに乗って逃走。アナリストは、botとして配置していたマトリックス内の市民を操って、彼らを襲わせます。大量の人のような何かが襲い掛かってくる様はさながらゾンビパニック物のようで、気持ち悪くて最高でした。
どうにか振り切ったかに見えましたが、実は大通りに誘い込まれており、そこには軍事ヘリが。機銃やミサイルをガンガン撃ってきて、アベンジャーズばりの大爆発の連続。ネオはおなじみの銃弾を止める能力を駆使してどうにか凌ぎます。この辺は、「クライマックスだぜヒャッハー!」って感じの大盤振る舞いで、見応え抜群で素晴らしかったです。

ビルの屋上に追い詰められたネオとトリニティでしたが、飛べることを信じて2人でジャンプ。やはりまだ飛ぶことが出来ないネオに対し、なんと先にトリニティが飛べるようになるという驚き。これはきっと、男性が女性を引っ張っていくのが当たり前ではなく、女性が男性を引っ張っていってもいいんだ、というメッセージなんだと思いました。

最後は2人でアナリストの家に殴り込み、「これからは俺たちがこの世界を書き換えていくんで、ヨロシクぅ!」と吐き捨ててまたどこかへ飛び去って行き、映画は終わります。
自分の思うように生きていけるという事、いつでもそうした世界に飛び立っていけるという事を表現しているようで、なんとも清々しいラストでした。

 

こんな感じで大変楽しむことが出来ましたが、作品に込められたメッセージとかを読み解けなくとも楽しむことが出来たかと言われると、ちょっと首をかしげてしまうかもしれない…。まぁ込められたものを全て読み取ったかと言われると、そんなことは無いと思いますが。1作目はそういうのを全く読み取れなくても最高に楽しめる作品になっていたので、やっぱすごい作品だったんだなぁと痛感しますね。アクションも良かったのは間違いないんですが、特に目新しいものがあったわけではないし、何より全体に漂うパロディ臭が気になるっちゃ気になる…。

 

もし続きがあるとしたら、好き勝手にマトリックスをいじくって独裁者みたいになったネオとトリニティに対し、バッグス達が新たな救世主となって立ち向かう、みたいな展開があってもよいかも。
いや、それこそ二次創作感ムンムンか…。やっぱ無しで。

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ということで、映画『マトリックス レザレクションズ』の感想でした。

ではまた。

映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』感想(ネタバレ)

映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

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ヴェノムは、マーベルヒーローのスパイダーマンに登場するヴィラン(悪役)の1人。
非常に高い戦闘力を持っているキャラクターで、シリーズを代表するスーパーヴィランであり、その高い人気から様々な作品に登場しています。また、作品によっては味方になったりするなど、ダークヒーローとして描かれたりもしています。

僕の中ですごく印象に残っているのが、2007年公開のサム・ライミ監督作『スパイダーマン3』でのヴェノム。シンビオートのウニャウニャした気持ち悪さ(誉めてる)、ピーターに取りついてのイカしたブラックスーツ、エディに取りついてからの堂々たる悪役っぷり。当時映画館へ見に行ってすごい面白くて未だにお気に入りの映画なのですが、面白かっただけにサンドマンとニューゴブリンとヴェノム、それぞれ別々で映画作ってくれてもいいのに…勿体無い…と思ったのも事実(『ノー・ウェイ・ホーム』はもっとすごい事になりそうだけど)。後で知ったんですが、『スパイダーマン3』のヴェノムは割と原作に忠実なんですね。どうりで魅力的な訳だ。

出来れば2000年代以降の実写映画シリーズについてひとつひとつ書いていきたいところですが、めんどくさいのでその辺は割愛。

 

これから感想を書く『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』は、2018年に公開された映画『ヴェノム』の続編になります。この『ヴェノム』は、『ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース(SSU)』なるものの第1作目なんだとか。SSUなんて、そんなんあったんか…と思いましたが、どうやら古くは『アメイジングスパイダーマン』の頃から企画はあったようで。サム・ライミがもう続編撮らないって事で、リブートついでにユニバース構想を描いていたものの、『アメイジングスパイダーマン2』が大失敗したために、一度企画倒れになってしまったとか。アメスパ2、めちゃくちゃ大好きな映画なんですが、失敗だったんすね…。あんなに素晴らしいラストは他に無いと思ってるんですが、何がダメだったんでしょうかね…?

ともあれその後、MCUが覇権を取ったのを機に、その人気にあやかって「そっち(MCU)にウチのスパイディ出させてやるから、世界観共有させろや」みたいな感じで協力関係を結び、MCUでも大活躍のスパイダーマンを軸としたソニーのシネマティック・ユニバース、という形で再び企画されたっぽい。あ、この辺の話、僕の脚色が入っててところどころ事実と違う気がするのであしからず。

元々は経営難からスパイディの版権をソニーに売却したマーベルでしたが、今やすっかり立場が逆転してしまいましたね。もういっそマーベルスタジオには21世紀FOXを買収したみたいに(正確には買収したのはディズニーですが)スパイディ絡みの権利買い戻してほしいんですが、さすがにそれは難しいのかしら。

 

と、話が逸れましたが、『ヴェノム』について。
ヴィランであるヴェノムを主役に据え、宿主であるエディとドッタンバッタン大騒ぎしながら、悪を持って悪を制す的なダークヒーローものになっておりました。そんな前作、僕は正直なところ、そこまで好きになれませんでした。

公開前はホラーっぽい雰囲気を押し出していて期待していたんですが、蓋を開けてみりゃスパイディ達と絡ませる時の事を考えたのか、R指定を避けるために捕食シーンとかの大事な部分は映らないし、血も全く出ない。
キャラの描写も全然足りてなくて、ボスキャラであるはずのライオットも“リーダーっぽいなんかすごいヤーツ”くらいしかわからずじまいだったし、凶悪宇宙生命体のはずのシンビオート=ヴェノムはエディに対しては始めっからデレデレのデレだし、そのくせ「お前が俺を変えたんだ」とか言ってて、どこにそんな要素ありました?って思いましたしおすし。
あと30分上映時間延ばしていいから、もっと各キャラをしっかり掘り下げてほしかったなぁ、と。最近のヒーロー映画の上映時間がどんどん長くなっているのを受けて、比較的短い時間でサクッと見られる映画を目指したらしいですが、面白さまで削ってしまってるというか、なんかあまり上手くいっていないような気がしました。

エディとヴェノムのバディムービーとしての面白さや、触手を標識に引っかけて強引に曲がるムチャクチャなバイクのチェイスシーンとか、良いシーンも無い事は無いんですけどね。ヴェノムが最初からいいヤツなのが最後まで納得出来ず、バディもの見せられてもなんだかなぁ…って感じでした。
あ、でも、公開後の反応を受けて、ホラーチックなCMから「ヴェノムかわいい!」「飼いたい!」みたいなCMに切り替えたのは(個人的な好き嫌いは別として)英断だと思いました。

 

長くなっちゃいましたが、本作。
鑑賞後の率直な感想としては以下の通り。

 
 
 
 
 
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本作でもヴェノムのデレっぷりは相変わらず、というか更にデレッデレになってましたが、なんかもういいやと思えて割とすんなり受け入れられました。

そーいや、頑張って見ないようにしてた『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の予告編が始まる前に流れて、
「ああああああああ!!やめろおおおおおお!!見せないでくれええええ!!」
ってなりました。まぁ既にTwitterとかで誰が出てくるとかネタバレくらってたけどさぁ…。あの興奮は公開された時まで取っておきたかったぜ…。

てな感じで、感想に参りたいと思います。

 

前作に引き続き、真実を追求するためには無茶な取材も厭わない新聞記者、エディ・ブロック(演:トム・ハーディ)と、そんな彼に寄生した宇宙生命体シンビオートヴェノム、このコンビが主人公。

前作のラストで死んだっぽい演出をされたけどなんだかんだ生きてたヴェノムは、その後もエディとイチャイチャしていました(誤解を招く文章)。シンビオートの力の源のとある成分が人間の脳かチョコレートにしか含まれていないらしく、しかもチョコでは全然足りないようで、たびたび人間を食べようとするヴェノム。エディは悪いヤツだけ食べていいと言い聞かせ、イヤイヤ期の子供みたいなヴェノムは、不満ながらも律儀にそれに従っている様子。

エディは、凶悪な猟奇殺人鬼の死刑囚、クレタス・キャサディ(演:ウディ・ハレルソン)になぜか気に入られ、彼の独占取材をしていました。その中で、ヴェノムの助けもあってこれまで発見されなかった被害者の遺体の在処を見つけ出すことに成功。エディは一躍時の人に。
そうして一気にクレタスの死刑執行の日程が確定するも、執行直前にエディの血を舐めたクレタスにもシンビオートが寄生し、その結果、最凶最悪の怪物、カーネイジが誕生してしまいます。看守たちを一瞬で惨殺したカーネイジは、そのまま脱獄。

街へ出たクレタスは、息をするように人を殺したり車を奪ったりしながら、幼い頃に引き離された孤児院の幼馴染である、音波で攻撃する能力を持つフランシス・バリソン/シュリーク(演:ナオミ・ハリス)と合流。エディとヴェノムは、この最凶の敵に勝つことが出来るのか――。
というのがあらすじ。

 

前作もそうでしたが、何も考えずに楽しめるタイプの作品で、普通に面白かったです。
エディとヴェノムは終始子供みたいにじゃれ合っててホッコリしました。予告でも印象的だった、落ち込むエディを励まそうと料理作って「ジャジャーン!」するヴェノムとか、最高に可愛かったです。あと、エディと喧嘩別れした後、成り行きでクラブの仮装パーティに混ざったヴェノムが「イェーイ!どうだ!オレカッコいいだろ!エディのバーカバーカ!(意訳)」とマイクパフォーマンスしてからの、外に出て「オレ、みんなに受け入れてもらえたぞ…お前にも見せてやりたいよ…」という流れには胸がキュンとしましたよホント。
こういうのが嫌いなわけではないんです…。ただそうなるまでの過程をしっかり描いてほしかっただけなんです…。そこが前作の不満点。
本作では既に関係性は出来上がっているので、その辺は特に不満には感じませんでした。

今回の敵はカーネイジとシュリークだけなので、ストーリーも非常にシンプル。カーネイジというすっげー悪いヤツが生まれちゃったから、エディとヴェノム(とダン)が頑張ってやっつける、というだけのお話。
ただ、シュリーク要る?と思いました。カーネイジだけだとヴェノムはどうやっても勝てないから、足枷として配置してるようにしか見えなかったです。最期も邪魔だから突き落とされました、って感じでしたし。どうせなら、最後にカーネイジを倒すために一瞬だけヴェノムと共闘するとかしてくれたらいいのに。しかし、シュリークを演じているのが『007』のマネーペニーと同じ人だなんて…役者ってすごい(小並感)

あと、パトリック・マリガン刑事(演:スティーヴン・グレアム)も、物語において必須って感じではなかった気がします。次回作以降の為の種蒔きとして登場させたキャラって感じでした。まぁ、『マイティ・ソー』1作目で、ほんの一瞬弓を構えるだけの登場だったホークアイが、今や単独主演のドラマが作られるくらいになってる訳ですし、マリガン刑事も今後に期待ですな。なんか目光ってたし。

あとあと、エディの血を舐めるだけでシンビオートに寄生されるのなら、触手でぶっ刺されたときはどーなんだとか、「赤いのはヤバい!」ってどうヤバいんだとか、カーネイジの猛攻にヴェノムがグロッキーになってましたがダメージ判定どーなってるんだ、魔人ブウみたいに同族同士だとダメージ受けるみたいな設定なのかとか、細かいとこが投げやりというか、痒いところに手が届かないところも前作同様という感じでした。

最後はヴェノムがカーネイジも食って、「バカじゃね!」ってクレタスの頭も食って、いやーよかっためでたしめでたし…となっていたところに、あのポストクレジットシーンですよ。の登場におしっこちびりそうになるくらいビックリしました。いや、確かにSSUだけど!お前もなのか!これが実現するのか!ウヒョー!となりました(見た人には伝わると信じている)。

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とまぁそんな感じで、単体としても楽しめるし、今後の展開にも期待できる作品でした。
「なんか怖そう」と思って見るのをためらっている人には、拍子抜けするくらい全然怖くないです、とお伝えしときます。むしろ、ウネウネした生物に萌えるという新しい扉を開くことが出来るかもしれないですよ。

 

ということで、映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』の感想でした。

ではまた。

Vシネクスト『テン・ゴーカイジャー』感想(ネタバレ)

Vシネクスト『テン・ゴーカイジャー』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

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海賊戦隊ゴーカイジャー』は、2011年~2012年にかけて放送された、スーパー戦隊シリーズの1作。
シリーズ第35作目のアニバーサリー作品であり、過去のスーパー戦隊とのクロスオーバーを最大の特徴としています。歴代のヒーローもオリジナルキャストで多数出演し、歴代戦士の力を継承したり、ヒーローとはなんたるかを学んだりと、本当に異色な作品でした。

また、レンジャーキーというアイテムを使用して「全ての戦隊ヒーローに変身できる」という彼ら特有の能力があり、色々な戦隊に変身して戦ったり、時には全員がピンク等の同じカラーで揃えてみたりと、毎週様々なお祭りを見せてくれました。クロスオーバーというジャンルにおいて、賛否両論のあった『仮面ライダーディケイド』の反省を生かして作品作りをしていた印象があり、そういった点も非常に好感が持てるところ。

僕はゴーカイの前年に放送されていた『天装戦隊ゴセイジャー』があまり好きになれなくて全然見ていなかったのですが、ゴーカイがあまりにも楽しくてまた引き戻されちゃいました。でも今思うとゴセイジャーも敵組織自体が変わったりとなかなか面白そうなので、見たいとは思っている…(断言は出来ない)。

TVシリーズ終了後も、『動物戦隊ジュウオウジャー』にてフルメンバーで再登場したり(しかも結構重要な役回りだったりする)、映画『スーパーヒーロー大戦』でディケイドと戦ったり、ちょいちょい登場しては存在感を放ってきました。

そんな彼らの初登場から、早や10年。この10年という年月があまりにもあっという間過ぎて、僕も歳取ったなぁ…としみじみ感じてしまう今日この頃。節目として彼らの新たな物語が描かれることとなりました。それが本作、『テン・ゴーカイジャー』になります。

過去にも『忍風戦隊ハリケンジャー』や『炎神戦隊ゴーオンジャー』等で、放送開始10年の節目で『10 YEARS AFTER』シリーズが制作されていますが、本作はそれらとはちょっと違った毛色になっているような気がします。見てないので実際どうなのかはわかりませんが、なんとなくあっちは同窓会的なイメージ。

出演するゴーカイジャーのメンバーは、今回もフルメンバー。キャスト陣の本作への愛情がにじみ出ているようで嬉しくなります。特に今、飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍している山田祐貴や、声優として第一線で活躍中のM.A.Oこと市道真央もしっかり出てくれているのがすごい。しかも、みんな見た目が全く変わっていないどころか、女性2人なんかは更に美しくなってるんじゃないかって勢いで若々しいのも本当にすごい。ゴイゴイスーです。

また、オタク丸出しで大変恐縮なのですが、ゴーカイジャースーツアクターも当時と全く同じ人が演じているそうで、オタク的にはこれがもしかすると本作最大の目玉なのではないかというくらい。ゴーカイレッドを演じる福沢博文氏は、数々の戦隊でレッドを演じており、ゴーカイレッドを最後にアクターからアクション監督へ転向し、以降全ての戦隊でアクション監督を務めているお方。まさに伝説級のお方であり、「福沢さんのゴーカイレッドがまた見れるなんて!」と思っている特オタは僕だけではあるまい。また、ゴーカイブルーを演じる押川善文氏は、既にアクターを引退されてる…と思いきや『ドゲンジャーズ』で復帰してたんすね知らんかった。でも今はJAE(ジャパンアクションエンタープライズ)の所属ではないようで。そうした現在は違う立場にいる人たちも、再びこの作品の為に集結してくれています。

更に、監督は中澤祥二郎氏、脚本は荒川稔久氏と、こちらもTVシリーズのメイン担当だった方々。特に荒川さんに関しては、『仮面ライダークウガ』や『特捜戦隊デカレンジャー』などの僕が特に好きな作品でメイン脚本を担当されていた方なので、この人が脚本ってだけで期待値が跳ね上がります。オタクは監督や脚本が誰なのかをやたらと気にする。

今回のレジェンド枠(過去作に出演していた人)はちょっと変わっていて、戦隊だけでなく仮面ライダー等で出演経験のある俳優陣が、違った役で多数出演しています。恐らく唯一ちゃんとした役で出演しているのは、『魔進戦隊キラメイジャー』のクリスタリア宝路/キラメイシルバー(演:庄司浩平)くらいなんじゃないかと。しかもすげーチョイ役…。『魔法戦隊マジレンジャー』のマジイエローや、『特命戦隊ゴーバスターズ』のビートバスター役で出演していた、スーパー戦隊親善大使の松本寛也松本寛也役で出演しているのには笑いました。他にも、TVシリーズで非常に印象的だったバスコ・タ・ジョロキアを演じた細貝圭や、『仮面ライダーアギト』に出演していた山崎潤、『仮面ライダー鎧武』にて鳳蓮・ピエール・アルフォンゾ/仮面ライダーブラーボを演じた吉田メタルなど、特オタであれば反応せずにいられないキャスティングが目白押しです。また、変身アイテムのモバイレーツ等の音声を担当した声優の関智一がリングアナ役でしれっと出演していたりします。あとWiki見て初めて知ったんですが、ギャンブルに熱中する女子高生2人組、あれトッキュウジャーでミオとカグラの幼少期を演じてた人だったんですね…。おっきくなったなぁ…。

とまぁ、キリがないのでぼちぼち本作の感想を書いていきたいと思います。

 

舞台は、TVシリーズから10年後の地球。
ゴーカイジャーが去った後の地球では、スーパー戦隊ダービーコロッセオという、歴代ヒーローが戦い合ってどちらが勝つかを予想するという公営ギャンブルが大流行。地球の人々のほとんどがそのギャンブルに夢中になっており、得られる収益の8割は地球の防衛費に使われる形で平和を維持していました。久しぶりに地球を訪れたハカセことドン・ドッゴイヤー/ゴーカイグリーン(演:清水一希)も、羽目を外して楽しんでいる様子。

誰もが幸せになれるはずのこのシステムでしたが、キャプテン・マーベラス/ゴーカイレッド(演:小澤亮太)が、運営に対し挑戦状を叩きつけてきます。そんな彼の前に、運営側に協力している伊狩鎧/ゴーカイシルバー(演:池田純矢)が立ちはだかるのでした。

そんなマーベラスを、敵意のような眼差しで影から見ているルカ・ミルフィ/ゴーカイイエロー(演:市道真央)。ジョー・ギブケン/ゴーカイブルー(演:山田裕貴)やアイム・ド・ファミーユ/ゴーカイピンク(演:小池唯)らも、それぞれの目的で地球を再訪。

果たして、マーベラスたちの思惑とは、そしてコロッセオに隠された陰謀とは――。
というのがあらすじ。

 

率直に、あの頃のゴーカイジャーそのまんまだったのが最高と言う他ない。
上述の通り、スタッフも同じだしメンバーの見た目も全くと言っていいほど変わっていないのもそうなのですが、雰囲気というか、空気感というか、そういったものが10年前のままで、TVシリーズの1エピソードを見ているような安心感がありました。

あと、ゴーカイジャーは既にレンジャーキーを手放してたりするので、結構変身前の素顔の状態で行動するのが多かったのも良かったです。役者に積極的にアクションさせるというのは、坂本浩一監督回や、『牙狼』シリーズを彷彿とさせるような感じ。まぁマーベラスはレンジャーキー持ってたので、100人組手の時に鎧が出てくるまで変身しなかったのはただの舐めプだと思いますが(笑)

スーパー戦隊ダービーコロッセオも非常に楽しかったです。忍者対決や教師対決など、各戦隊の中に共通点を見出してそれらをマッチアップしたりしていて、まさしく夢の対決。バスコが使用していたラッパを応用した、歴代ヒーローを召喚するシステムも面白かったです。

それから、Vシネマとかだと予算の都合からどうしても敵怪人のスーツが過去作の流用になってしまったりするのですが(というかそもそもクロスオーバー自体が過去のスーツを流用出来る=予算削減の側面があったりする)、本作の敵であるバクート海賊団のスーツはちゃんと新規で製作しているっぽかったのも良かったです(違ってたらスミマセン)。あと、ゴーカイジャーの新装備であるクロスアーマーも新規で製作していて、気合入ってるなーと思いました。まぁその代わりか、吉田メタルの怪人態がただ肌を青く塗っただけになってしまってましたが…。

成り行きでハカセがイエローに、ルカがグリーンに変身するシーンも、『烈車戦隊トッキュウジャー』の乗り換え変身を彷彿とさせて面白かったですね。イエローが男性の時もよくあるし、グリーンが女性ってのも最近増えてきているので、色のチョイスも上手いなーと思いました。

最終的にしっかりと期待通りみんなで協力して戦ってくれるのも最高。銃+剣1つずつの基本装備をメンバー間でスイッチして二刀流や二丁拳銃にして戦う、他の戦隊には無いあのスタイルもきっちり見せてくれて、めっちゃ興奮しました。アレホント好きなんですよね。

TVシリーズで1年間かけて地球という星の守るべき価値を学んできた彼らが、本作では逆に地球人に地球を守る価値を説く、というのにもグッときました。しかもそれを教えてくれた相手に敢えて同じ言葉で返す、というね。感涙ものですわこんなん。

 

そんな感じで、オタク心を刺激するとても楽しい作品になっておりました。
ゴーカイジャー辺りまでは見てたけど今は特撮見てない、みたいな人でも楽しめる作品になっているかと思います。通常こういうVシネマ系の作品は劇場公開はすごい短いんですが、本作はまだ劇場でやってたりするくらい評判がいいようなので、興味があれば鑑賞してみてはいかがでしょうか。

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ということで、Vシネクスト『テン・ゴーカイジャー』の感想でした。

ではまた。

映画『エターナルズ』感想(ネタバレ)

映画『エターナルズ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2022/01/30:ところどころ文章を修正しました。
2023/01/08:目次を付けました。

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マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

今年からフェーズ4に突入しているMCU。去年はコロナ禍での公開延期もあり停滞していましたが、いざ始まったらまぁー早い早い。映画とドラマあわせて今年だけでも既に、
ワンダヴィジョン
ファルコン&ウィンターソルジャー
ロキ
ブラック・ウィドウ
シャン・チー テン・リングスの伝説
ホワット・イフ…?
が公開されています。

更に、11/24よりDisney+にて『ホークアイ』が、来年1月には劇場にて『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が公開予定となっており、怒濤のMCUラッシュに追い付くのがやっとといった感じ。

 

もくじ

 

概要

本作の特徴は、やはり多様性なのかな、と思います。エターナルズのメンバーを演じる俳優陣は、白人、黒人、アジア系などの様々な人種が出演しているだけでなく、耳の聞こえないキャラや同性愛のキャラが出てくるなど、多様性に溢れています。

ブラックパンサー』では初の黒人系主役のヒーローを、『キャプテン・マーベル』では女性が主役のヒーローを、『シャン・チー』では初めてアジア系人種を主役にするなど、これまでも挑戦的な作品を作ってきたMCUですが、本作はそれら全てを合わせた上に更に踏み込んでいると言いますか、今まで以上にチャレンジ精神を感じられる作品になっていると感じました。

過去作の要素はおしゃべりの中でちょろっと出てくるだけなので、見る前にコレ見といた方がいい、通称“MCUラソン”も全く必要なし。ヒーロー同士のクロスオーバーを楽しむことは出来ませんが、シリーズとしてでなく単体の作品として楽しめる作品となっております。ただあまりにも繋がりが無さすぎるので、MCU入門編としてはあまりオススメは出来ないかもしれない…。

 

そんな本作の監督は、『ノマドランド』でアカデミー賞を受賞した、中国出身のクロエ・ジャオアカデミー賞を獲っているとはいえ、ドキュメンタリー色の強い作品を撮る人にスーパーヒーロー映画を任せるという、こういったところにもマーベルスタジオのチャレンジ精神を感じます。

 

観賞後の僕の率直な感想は以下インスタに投稿した通り。

 
 
 
 
 
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上述の通り本作は非常に多様性に溢れているのですが、それがただ単に時流に乗っているだけではなく、各キャラクターの強みになっているような気がして、すごくいいなぁと思った次第です。

てな訳で、これより感想に参ります。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

宇宙を創造したとされる、セレスティアルズという存在。そして、遥か太古に彼らにより産み出されたエターナルズという不死の種族。紀元前に地球へと派遣されたエターナルズは、ディヴィアンツと呼ばれる宿敵から人類を守り、時に導きながら戦いを繰り広げていました。その過程で、人類は文明を進化させ、繫栄していくこととなります。

長く激しい戦いの末、遂にディヴィアンツを殲滅。その後は散り散りになって人類に紛れてひっそりと暮らしていたのですが…。
現代になってなぜか再びディヴィアンツが出現。理由はともかく、その脅威に立ち向かうために、再度メンバーを召集していくのですが――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

エターナルズのメンバーは10人。全員新規のキャラクターです。そのため、中盤くらいまではメンバー召集という名のキャラ紹介に時間が費やされています。でも、キャラ紹介とストーリーの進行をリンクさせるような作りになっていて、全く飽きることなく見れました。各キャラはソーのように神話に出てくる神様などがモチーフになっているので、元ネタが何か予想しながら見るのも楽しかったです。

 

各キャラクターについて

各キャラの紹介と思ったことを、簡単に書いていきたいと思います。

  • セルシ(演:ジェンマ・チャン)
    人類に対して最も愛情を持っているエターナルズのメンバー。モデルはギリシャ神話の魔女キルケ。岩を砂にしたり、何もない荒れ地から水を生成したり、手で触れた生物以外の物質をほかの物質へ変化させる能力を持っている。
    この能力、ちょっと『鋼の錬金術師』を連想しました。イカリスと恋仲だったものの、イカリスが突然いなくなってしまったために、現在はデイン・ウィットマン(演:キット・ハリントン)という人間の男性と交際中。遅刻癖があったり、ちょっと天然な一面があったり、性格も人間らしくて可愛らしかったです。
    ちなみに演じるジェンマ・チャンは『キャプテン・マーベル』にてミン・エルヴァという役でも出演していたんだとか。全然覚えてない…。

  • イカリス(演:リチャード・マッデン)
    エターナルズの戦術的リーダー。モデルはギリシャ神話のイカロス。超人的なパワー、目からビーム、飛行能力と、完全にスーパーマンな人。つまりチート級に強い。
    でもスーパーマンというよりどちらかというと『ザ・ボーイズ』のホームランダーみたいだな…と思ってたら、終盤の展開がソレっぽくなっちゃったのでちょっとビックリしました。『ザ・ボーイズ』、シーズン3まだかな…。
    エターナルズ側からすると終盤の彼は裏切り者ですが、客観的に見ると誰よりも使命に忠実なだけで、一概に悪い奴とも言えないのが切ない。最後に太陽に飛び込んでいくところとか、太陽に近づきすぎて蝋で出来た翼が溶けて墜ちてしまう、というイカロスの神話を反映してるんだなぁ、とか思ってみたり。

  • スプライト(演:リア・マクヒュー)
    12歳の少女のような容姿をしたエターナルズ。神話に出てくるエルフや妖精、ピーターパンがモデルとの事。自在に幻影を作り出す能力を持つ。
    役者さんの演技力のおかげで、「見た目は12歳だけど実際は何千年も生きている」という設定に何の違和感も感じませんでした。回想で、幻影を使って臨場感たっぷりに神話を語るシーン、キンゴに影響を与えるのも納得の素晴らしさでした。成長しない見た目をコンプレックスに感じているところとか、実はイカリスがずっと好きだったけどセルシがいるから我慢してたりとかも、非常に人間味があって良かったです。

  • エイジャック(演:サルマ・ハエック)
    エターナルズの精神的なリーダー。モデルはギリシャ神話の英雄アイアースや、アステカ神話の風の神ケツァルコアトル。治癒能力を持つ。唯一セレスティアルズと交信することができ、その知恵と指導力をもってメンバーや人類を導いてきた。
    人類が現在のような文明を築けたのは、彼女らが人類を導いてきたおかげ、という設定。まさにみんなのお母さん的存在。なので割と早い段階で死んでしまうのには驚きました。でも死んだ後もずっと存在感を放っているのがすごい。そしてセレスティアルズとの対話と精神的リーダーの役割は、セルシに引き継がれるのでした。

  • キンゴ(演:クメイル・ナンジアニ)
    インド系の容姿の陽気なエターナルズ。モデルはバビロニア神話のキングやら、日本の金剛(こんごう)やら。原作では二刀流の侍でしたが、本作ではボリウッドスターにアレンジされていました。「BTSが出演するのに!」のシーンや、ギルガメッシュの唾液ビールを吹き出すところなど、笑いに事欠かないキャラで楽しかったです。
    指からエネルギー光弾を放つ能力を持っており、これは『幽遊白書』が大好きな監督が霊丸(れいがん)をイメージしたんだとか。僕はどちらかというと『HUNTER×HUNTER』のフランクリンみたいだなと思ってしまいました。

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    威力が上がる“気がする”という理由で指を切り落とした人。しかもそれで本当に威力が激増するというのが念能力の面白さ。

    あと無限にカメラを生み出せる能力を持っているかのような普通の人間のマネージャー、カルーン(演:ハーリッシュ・パテル)も非常にいい味を出していましたね。地球が滅びるとかそういう話をしているときに「皆さんの幸せを祈っています」みたいなこと言うの、「お前…(泣)」という気持ちになりました。エイジャックやセルシが人類に愛情を抱くのって、こういうところだよなぁ。

  • ドルイグ(演:バリー・コーガン)
    ちょっと根暗な感じのエターナルズ。モデルはドルイドなどといわれていますが、詳細は不明。他人の心を操る能力を持っている。
    回想シーンで、争いを止めるために心を操った人をぞろぞろ引き連れて去っていくところ、教徒を引き連れて歩くイエス・キリストブッダみたいだなと思いましたが、意識してるのでしょうかね。冷徹なようで実は人類に対して深い愛情を持っているところとか、マッカリとの若者っぽいじゃれ合いとか、見ていくごとに好感度が上がっていくキャラでした。

  • セナ(演:アンジェリーナ・ジョリー)
    自在に武器を作り出して使いこなす能力を持ち、非常に高い戦闘力を持つエターナルズ。モデルはローマ神話の女神ミネルヴァ
    アラサー以降の人にはギリシャ神話のアテナといった方がわかりやすいかと思います(聖闘士星矢とか、KOFとか)。見た目も一番神々しい感じでした。演じるのが強い女性の代表格というべきアンジーなので、ちゃんと強いキャラに設定しつつ、精神面が不安定で本来の強さが発揮出来ない設定にしてパワーバランスを取ってるのが上手いなーと思いました。そして「暴走したときに止められるのは俺しかいない」ということで一緒にいることになったギルガメッシュとの、愛情のような友情のような関係性もとても良かったです。

  • ギルガメッシュ(演:ドン・リー)
    「気は優しくて力持ち」を具現化したようなエターナルズメンバー。シュメール神話の古代メソポタミアの王、ギルガメッシュがモデル。ソシャゲとかやってる人は良くご存じなんじゃないですかね知らんけど。外骨格を生成する能力を持ち、その防御力とそこから繰り出される超パワーのパンチで、トップクラスの強さを誇る。
    演じるのはドン・リーこと韓国の大スター、マ・ドンソク。温厚な性格で料理も上手という、みんなのお父さん的なキャラ。スプライトをからかった仕返しに赤ちゃんの服に変えられるとことか、劇場内に爆笑が巻き起こるほど面白かったです。

  • ファストス(演:ブライアン・タイリー・ヘンリー)
    大柄な黒人の容姿をしたエターナルズ。モデルはギリシャ神話の鍛冶の神ヘパイストス。発明の能力で、イメージするものは何でも作り出せる。その力で、人類の科学技術の発展を密かに支えてきた。しかし、その結果人類が史上最悪のあの兵器を作り出してしまったため、人類に絶望してしまう。
    日米最大のトラウマであるあの大惨事を、アメリカ側がああいった形で描くというのは前代未聞なのではないでしょうか。監督が中国出身だから?
    その後、なんだかんだで人類の男性とカップルになり、養子も迎えて睦まじく暮らしていました。キスシーンも出てきたりと、MCU初のゲイのスーパーヒーローとして話題になりましたね。ちなみに家の机はIKEAの秋の新作(そしてイカリスに叩き割られる)。

  • マッカリ(演:ローレン・リドレフ)
    超スピードで動くことが出来るエターナルズ。あと本読むのもめちゃくちゃ早い。モデルはギリシャ神話の旅と商売の神マーキュリー
    MCU初の聴覚障害を持ったスーパーヒーローで、手話で会話する。でも、そのお陰で超スピードで発生する衝撃波(ソニックブーム)の影響も受けない。戦闘時にはクロックアップからのオラオララッシュのような連続攻撃(パンチではなく体当たりか衝撃波で攻撃している感じだった気がします)を繰り出したりして、めっちゃ派手でカッコよかったです。あと彼女が耳が聞こえないのをみんなが当然のように認識してて、余計な気遣いや遠慮とか一切なく接しているのがすごくいいなぁと思いました。

はい、エターナルズメンバーについてはこんな感じです。

 

ストーリーについて

中盤以降、この宇宙を創造したとされるセレスティアルズ、アリシェム・ザ・ジャッジ(声:デビッド・ケイ)によって、エターナルズやディヴィアンツの出生の秘密や、セレスティアルズの目的が明かされます。地球を卵に新たなセレスティアルズを誕生させるとか、誕生には大量の生命エネルギーが必要になるので、生命体を増やすために地球の繁栄を促していたとか、スケールがでかすぎてちょっと引きました(笑)

サノスの指パッチンで生命体が半分になったことでセレスティアルズの誕生が遅れたとか、それを自分達の力でひっくり返した人類にエイジャックが可能性を見出したとか、その辺のロジックはほーんなるほどなーと思いました。

 

最後、大きくなり過ぎたスケールにどうやってオチをつけるのかと思っていましたが、エターナルズみんなで力をセルシに集約して、生まれてくるセレスティアルズの体組織を石?氷?に変えて殺すという最後に。最終的にセレスティアル自身も力を貸す形(=ほぼ自殺?)になりましたが、その理由はよくわからなかった…。地球に愛着を持っていたということなのでしょうか。

その後、地球に平和が訪れ地球に残ったエターナルズも平穏な時を過ごす…と思いきや、「やってくれるやんけお前ら、どうなるかわかっとんのやろな」とばかりに現れたアリシェムに、セルシ達何人かは連れ去られてしまいます。まだわかんないけど、もしセレスティアルズが敵になったらどうやって勝つんだろ…。無理ゲ―過ぎない?

 

毎度おなじみエンドクレジット後のおまけは、創造主のもとへ向かうセナ、ドルイグ、マッカリのところへ、サノスの弟だというエロス/スターフォックス(演:ハリー・スタイルズ)とその家臣のピップ(声:パットン・オズワルト)が現れ、「他のエターナルズに危機が迫っているからその場所教えたる」と言うシーン。原作知らないのでサノスに弟がいたことにも驚きましたが、危機が迫っているというのはセルシ達の事なのか、別宇宙(マルチバース)のエターナルズの事だったりするのかとか、妄想が膨らみましたぐへへ。

それから、複雑な家系であることを明かしていたセルシの今彼デインが、目の前で連れ去られたセルシをなんとかしようと、家に保管されていたエボニーブレイドなる呪われた剣を手に取ろうとするところで映画は終わります。原作知らないのでよくわかりませんが、彼も今後スーパーヒーローになっていくのか?この辺はどうやらMCU版『ブレイド』の伏線らしいですね。うーん、楽しみは尽きないですな。

 

おわりに

とまぁ、こんな感じです。
他のヒーローたちとの繋がりはほとんどないけど、全くないとも言い切れないバランスがとても良かったです。死んでしまったメンバーも記憶は保管されているようなので、違った役割とかで再登場してくれると嬉しいなぁ。

上述の通り他のMCU作品との繋がりはほとんどないので、どれ見ればいいのかわからない、という人も十分に楽しめる作品になっております。非常に現代的なテーマの作品になっていると思いますので、見るなら今!です。

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惑星を超えるサイズのセレスティアルズ。こんなのに勝てるわけない。

ということで、映画『エターナルズ』の感想でした。

ではまた。

映画『G.I.ジョー 漆黒のスネークアイズ』感想(ネタバレ)

映画『G.I.ジョー 漆黒のスネークアイズ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

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G.I.ジョーとはそもそも、「兵士A」のような“アメリカ兵”を指す一般的な呼称なんだとか。
また、モノポリートランスフォーマーの海外展開で知られるハズブロが、1960年代より展開している男児向け着せ替えアクションフィギュアシリーズの事でもあります。

 

そのフィギュアシリーズをベースに、1980年代に『地上最強のエキスパートチーム G.I.ジョー』というアニメが放送されました。
で、そのアニメをベースに、2009年に実写映画『G.I.ジョー』が、更に2013年には続編の『G.I.ジョー バック2リベンジ』が公開されました。
んでんで、本作はその実写映画をベースに、映画に登場したスネークアイズというキャラクターのオリジンを描く、前日譚およびリブート作となります。

 

なんかややこしいですが、特に繋がりとかはないので、過去のアニメや映画を見る必要はないかと思います。というかこれまでの作品もただ悪いヤツを懲らしめるってだけなので、繋がりがあったとしても問題ない気がします。

僕は過去の実写映画2作も見てますが、1作目はなんかパワードスーツ着て暴れてたなー、2作目はウィリスとか出てきて暴れてたなー、くらいの印象しかないですし。(※誉め言葉です)
本作も、なんにも考えずに楽しめる僕好みの痛快娯楽アクション映画となっておりました。

 

今回の舞台は、東京。
そのため、敵役の平岳大や、アキコ役の安部春香、セン役の石田えりなど、日本から多くの役者が出演しています。撮影も、つくばみらい、大阪、姫路などで長期ロケが行われたそうです。更に、本作のアクション監督には『るろうに剣心』などでおなじみの谷垣健治が抜擢されるという、日本と非常に縁の深い作品となっております。

てな訳で、なんとなくふんわりとした感想をさらりと書いていきたいと思います。

 

アバンは、過去の話。
とある父子が山小屋で暮らしているところに、謎の男達が襲ってきます。サイコロを2つ振って出た目によっては生かしてやると言われるも、出た目は1のゾロ目(スネークアイズ)だったために(演:ティーヴン・アレリック)は殺され、家も焼かれてしまいます。小さい息子はなんとか逃げることに成功するも、父を殺された恨みをずっと抱えて生きていく事に。

それから時は経ち、現代。
成長した青年(演:ヘンリー・ゴールディング)は自らをスネークアイズと名乗り、いろんな闘技場を渡り歩いて賞金稼ぎをしておりました。そこへ、ケンタ・タカムラ(演:平岳大)という男が訪ねてきて、「父親を殺したヤツを見つけてやるから、俺んとこで働け」と言われ、渋々ながら働くことに。

腹を開いた魚の中に銃を詰めるヤバい仕事に従事していると、ある日同僚?のトミーという男がスパイだとして吊るし上げられ、ケンタはスネークアイズに銃を渡し、「(忠誠の証として)コイツを殺せ」と命じます。しかし、スネークアイズはこれを拒否。トミーと共にゴロツキをぶっ倒し、追われる身になってしまうのでした。

トミーの本名はトミサブロウ・アラシカゲ(演:アンドリュー・小路)といい、日本の嵐影一族というニンジャの家系の末裔との事。「ドイタシマシテ」などの時折繰り出されるカタコトの日本語が微笑ましい。ケンタとトミーはいとこ同士だったものの、一族の後継者争いでケンタがトミーを殺そうとしたために一族を追放され、その後ケンタは金と暴力に固執し、悪の限りを尽くすようになってしまったらしい。早い話が893ですね。トミーはそんなケンタを止めるために、銃の出所を探ろうと潜入調査をしていたのでした。余裕で顔バレしてるトミー本人が潜入しても意味ないだろ、というツッコミは野暮。次期党首がわざわざ出張らずともアキコとか家臣に行かせりゃいいのに、とか言ってはいけない

命を救ってくれたスネークアイズを信頼し、トミーは日本にある自分の家に招き入れます。従者のアキコ(演:安部春香)や、トミーの祖母であり現頭領のセン(演:石田えり)に怒られたりなんやかんやありつつも、スネークアイズは嵐影一族のニンジャとなるべく、修行に励んでいく――。

というのがあらすじ。

 

まず、上記の通り本作の主な舞台はTOKYOなのですが、海外の人が考える日本の風景=コレジャナイジャパンが炸裂しまくっていて最高でした。
辺り一面何もない、遠くに富士山っぽい山だけが見える空港に降り立って「TOKYO」って出てきて…ってこんな場所東京にねぇし!

その後、車に乗り込み、さながら東京観光のように各所を通り過ぎていきます。
新宿。うん、わかる。
秋葉原。わかる。
浅草。わかるわかる。
渋谷。あーはいはい。
巨大なお城。…いやどこやねんココ!(※大阪の岸和田城らしい)
最初皇居かと思いましたわ。なぜかお城の周辺もそこだけタイムスリップしたような城下町だし。

まさか本当の舞台は“東京”ではなく“凍狂”だったのか…?

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突吉こむ平が降り立った地…それが凍狂。

パシフィック・リム:アップライジング』でも最終決戦の舞台が東京でしたが、高円寺と書かれた場所から、巨大ロボとはいえ数歩歩いただけでお台場のユニコーンガンダム立像があって、更にそこから目と鼻の先に富士山があるという、ああいう「頑張って再現しようとしてるけどなんか違う日本の風景」、大好きなんですよね。富士山を出せばとりあえず日本っぽくなると考えてるとこも、オイラは好きダゼ。

中盤以降も、アメリカ映画で日本が出てくるときにありがちなネオンが輝きまくってる夜の街(もちろん光を更に強調するために雨が降ってる)や、デカデカと壁に「熱」と書かれたやたらだだっ広い銭湯など、珍妙な景色がたくさん見られてとても楽しかったです。

 

ストーリーは…まぁそれなりに面白かったのではないでしょうか。
主人公が実は敵側についていて、嵐影一族に伝わる「太陽の石」のありかを探るために潜入していた…という展開はちょっと驚きました。しかしニンジャの家のくせに警備がザル過ぎなのには笑いました。

本作の大部分が「3つの試練」とかいうスネークアイズの修行シーンなのですが、まぁ楽しかったけど、求めてたのはコレじゃないんだよなぁ…と思ってしまいました。いかんせん地味だったので、終盤のワチャワチャとしたバトルを全編で見たかったなぁ、という思い。あと肝心のアクションシーンも、スタントを多用しているのかなんかアップの画が多くて、ちょっと見辛さを感じてしまいました。ただそれは僕が夜勤明けの疲れ切った目で見たせいってだけかもしれない。

嵐影の指導者としてハードマスター(演:イコ・ウワイス)とブラインドマスター(演:ピーター・メンサー)という人達が出てくるのですが、せっかくイコ・ウワイス出てくるならもっとアクション見たかったなぁ。てかスネークアイズ役イコ・ウワイスで良かったんじゃ…。いやでもそうすると最初から強すぎるからダメか。ピーター・メンサーは、ものすごく黒光っておりました。盲目キャラも、厨二心をくすぐられて良かったです。

 

また、G.I.ジョーという地球防衛軍的な組織のエージェントであるスカーレット/シャナ・オハラ少佐(演:サマラ・ウィーヴィング)と、敵組織であるコブラバロネス/アナ・ディコブレイ(演:ウルスラ・コルベロ)という2人の女性が出てきますが、続編作る気満々なのか、タイトルにもなっているG.I.ジョーや、メインヴィランともいえるコブラがほとんど出てこなかったのはちょっと不満。利害が一致したらさらっと手を組むとこは無駄が無くて良かったですけど。

バロネス役の人は「BEYONETTA」というゲームの主人公ベヨ姉さんにそっくりだった(特に2のが髪型も近い)ので、もし実写化されるときはこの人にやってほしい(という至極無駄な文章)。

 

公式の煽り文句、「未曽有の忍者テロ」や「忍者大戦」は、そんなものなかったような。起こっていたのはせいぜい大きめの家族喧嘩。てか「忍者テロ」ってなんじゃそのパワーワードは…。そんな言葉ねぇわ(笑)

最終決戦で、ケンタが羽織袴来て「この紋所が目に入らぬか~!」って感じで太陽の石を見せびらかして相手を倒すところ、絵面がめっちゃ面白くて心の中で爆笑してました。

 

あとラスト、感情に任せて太陽の石を使ってしまったトミーが(しかも逃げられる)、「そんな奴に一族を継ぐ資格は無い」とか言われてブチ切れて散々コケにしてたケンタと全く同じ道に走るの、ウケるwと思いながら見てました。スネークアイズのオリジンであると同時に、実はライバルであるストームシャドーのオリジンでもあった、というのは良かったです。でも“ストームシャドー”って、“嵐影”をまんま英語にしただけじゃんwwwてな感じで、やっぱり笑いどころには事欠かないのでした。

 

最後はトミーを連れ戻すために、ポスターとかに出ている超カッコいい衣装に身を包んだスネークアイズがバイクで走り去って、映画は終わります。あの衣装はここでしか出てこないので、これはもはやポスター詐欺。これも続編で活躍させる気なんでしょうが、出し惜しみは良くないと思います。

 

続編の企画は既に進行中らしいですが、本作は興行的に大失敗しているらしいので、下手すりゃ企画立ち消えになってしまうのでは…。
とまぁ色々言ってますが思いのほか楽しめたので、個人的には続編あるといいなぁとは思っています。

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書くことないと思ってたけど、意外と長くなってしまいました。
始めの方で言ったとおり、何も考えずに楽しめる娯楽作となっておりますので、午後ローとかでやってたら見てみてはいかがでしょうか。ツッコミ入れながら見るのも楽しいですよ。

 

ということで、映画『G.I.ジョー 漆黒のスネークアイズ』の感想でした。

ではまた。

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』感想(ネタバレ)

映画『DUNE/デューン 砂の惑星』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

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Dune(デューン)」の原作は、1965年に第1作が出版されたSF小説シリーズ。SFというジャンルの古典的名作であり、『スターウォーズ』等の多大な作品に影響を与えたとされる歴史的な作品との事です。ちなみに僕は読んだことないです。

個人的に『るろ剣』と肩を並べるほど大好きな漫画『トライガン』も、この作品の影響受けまくってるなーと(本作を見た後に)思いました。砂だらけの惑星が舞台とか、砂虫(サンドワーム)とか。

 

これまで映像化の企画は何度も上がっていたそうですが、あまりにも壮大な物語の為に制作は頓挫の連続。中でも『エル・トポ』で知られるアレハンドロ・ホドロフスキー監督の話は有名なようで、制作中止までの顛末をまとめた『ホドロフスキーのDUNE』というドキュメンタリー映画が公開されるほど。僕はずっと見たいと思いつつもまだ見れてない…。

1984年にデイヴィッド・リンチ監督の下でようやく映画化されたそうですが、ファンを満足させるには至らなかったようで…。僕はずっと見たいと(ry
また、2000年代初頭にはTVドラマシリーズも放映されていたんだとか。これは知らなかった。

 

そんな映像化のハードルが異常に高いこの作品。このたび再度映画化と相成りました。
監督は『メッセージ』や『ブレードランナー2049』等で知られるドゥニ・ヴィルヌーヴ。『ブレードランナー』も相当ハードルの高い作品でしたが、それをちゃんと超えてくる手腕を魅せてくれた監督なので、本作にも非常に期待しておりました。言うて僕は「Dune」にこれまで触れてきていないので、原作の偉大さや過去作と比べてどうとかは言えないんですけどね…。

 

そんなに書くこともないので、さっさと感想に参ります。
見た後の率直な感想は、以下インスタに投稿した通り。

 
 
 
 
 
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よくわからんってのは半分冗談です…。
でも、専門用語が結構あるので、理解の追い付かないところがいくつかあったのは事実。あとはまだ明らかになっていないこともたくさんありそうなので、続きを早く見せろー!という気分になりました。


そーいや最初に「DUNE Part.1」って出てきて「あ、まだ終わらないんだ…」と初めて知りました。2部作の予定で、もしかするとさらに続くかも、との事。

そういえば今作だけでは終わらないんですよね。3部作の予定だとか。「続くのかよ!」とちょっと思いました

映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』感想(ネタバレ) - GORGOM NO SHIWAZAKA

↑と同じパターン。
ネタバレを極力回避するために事前に情報を入れない弊害…。

あ、上映時間が『シンエヴァ』くらい長い(155分)ので、鑑賞の際は事前にお手洗いに行っておくことをおススメします。

 

舞台は西暦1万年以上の遥か未来。
AIの反乱だかで既存の文明は崩壊しており、人類は中世風の特異な精神世界を作り出していました。地球以外の惑星にも盛んに進出しており、惑星レベルの壮大な権力争いが繰り広げられている、そんな世界。

惑星カラダンを統治するアトレイデス家は、宇宙帝国より惑星アラキスの管理を命ぜられます。そこはデューンと呼ばれる砂の惑星で、なんかよくわからんけど宇宙で最も価値のある物質であるメランジというスパイスが採れる唯一の場所なのだとか。つまりこの星の管理を任されるという事は、宇宙で最も力を持つという事に等しい。当主のレト・アトレイデス公爵(演:オスカー・アイザック)は、何らかの陰謀を感じつつも、その命に従うのでした。

案の定、それは宇宙帝国の皇帝と前管理者のハルコンネン家の罠であり、アトレイデス家は皇帝直属の親衛隊、サーダカーの襲撃に遭います。レト公爵はウラディミール・ハルコンネン男爵(演:ステラン・スカルスガルド)と刺し違えようとするも、失敗。死亡してしまいます。
どうにか生き延びた息子のポール・アトレイデス(演:ティモシー・シャラメ)は、アラキスの原住民族であるフレメンに導かれ、巨大な陰謀と戦っていく――。

というのがあらすじ。

 

純粋に、全体的な雰囲気がとても良いと思いました。どこか神秘的というか、幻想的というか。ブレードランナーでも似たような感じだったので、監督の作風なのかなと思います。ゲームとかも『ICO』等の雰囲気重視の作品を好んでやったりするので、個人的にとても好みの作風でした。

ポールの母、レディ・ジェシ(演:レベッカ・ファーガソン)が過剰に怖がったりするところも、雰囲気の演出に一役買っていた気がします。基本はみんな英語で話をしてますが、ところどころよくわからない言語で話したり手話も使ったりするのも、うまく言えないですがなんというか壮大な感じを出していたように思いました。

ジェシカが所属してるベネ・ゲゼリットとかいう組織の事はイマイチよくわからなかったですが、ボスのガイウス・ヘレン・モヒアム(演:シャーロット・ランプリング)がポールを試すとこ、ただの箱に手を突っ込んで苦しんで外では母がガタガタ震えてるってだけで、まるでB級映画のようなチープさなのに、演技力と雰囲気で押し切っていてなんか面白かったです。ボイスの能力もただボイスチェンジャー使ってるだけなのに、雰囲気でそれっぽくなってて良かったです。雰囲気って大事。

 

アクションシーンで、シールドで攻撃を防いでるときは青く光って、シールドが破られて致命傷になるときとかには赤く光るのも、格闘ゲームみたいで良かったです。ガードしたときは青、ガード出来なかったときは赤、みたいな感じで視覚的にわかりやすかったです。

あと、ポールが未来のビジョンを見る場面が結構あるんですが、あんまりその通りにならないのが面白いなーと思いました。いくつもある可能性のひとつを見ているに過ぎず、その後の行動で都度変わっていってる、という事なんでしょうかね。まぁ、そのおかげで今起こってるのが予知したビジョンなのか現実なのか混乱するとこがあったような気もしますが…。スティルガー(演:ハビエル・バルデム)達と合流する前、死んだはずのダンカン・アイダホ(演:ジェイソン・モモア)がフレメンに混じってポール達を見ていた描写とか。

 

あとはもう、キャスティングが完全に僕のツボを突いてきてるのが最高でした。ポー・ダメロンアクアマンサノスMJドラックスポルカドットマンなどなど、アメコミ映画に出ている俳優陣が多数出演していて、ヒーロー達のクロスオーバー作品を見ているのかと錯覚しそうになります。

 

シャン・チー』の時も同じような事言ってましたが、最後にポールがフレメンの戦士と決闘になり、どちらかが死ぬまで終わらない決まりだと聞かされた際、ちゃんと相手を殺すところも好感を持ちました。

殺せなくて父に顔向けできなくて家に帰らなかったのではなく、手を汚してしまって母に顔向けできなくて家に戻れなかったのでした。優しい人間には違いないけど、完全無欠のヒーローではないところをうまく表しているというか、キャラクター作りに誠実というか。

映画『シャン・チー テン・リングスの伝説』感想(ネタバレ) - GORGOM NO SHIWAZAKA

ここで「どうして殺しあわなきゃならないんだぁぁ!僕は殺したくなんてないのにぃぃぃ!」とかどっかのスーパーコーディネーターみたいに言われても興醒めするだけですしね。

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僕の嫌いな主人公ナンバーワン。

本作の場合は、人を殺したことが無いのにこういった場面で冷静に判断を下せる能力の高さとか、メンタルの強さとかをうまく表現しているなーと感じました。

 

ポールとジェシカ、あとはフレメンの人達以外ほとんど死亡している中、今後どうなっていくのか。原作を読んでいないので全くわからないですが、むしろ知らない方が楽しみが膨らんでワクワクするので今後も読まないぞ(ただ小説読むのが苦手なだけ)。
2023年にPart.2が公開予定との事で、今から非常に楽しみです。

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ということで、映画『DUNE/デューン 砂の惑星』の感想でした。

ではまた。

映画『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』感想(ネタバレ)

映画『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

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スパイ映画の金字塔として、おそらく知らない人はいないであろう大人気シリーズ、007
テーマソングも、聞かない日は無いってくらいに有名ですよね。

 

007といえば、僕はニンテンドー64の『ゴールデン・アイ』にハマっていた世代。あえて銃を持たずにチョップで戦ってたりして、友達とワイワイ楽しんだ若かりし日々。その後も何作か友達とプレイして、そのたびに素手で相手を撲殺しておりました。

未だにそうなんですが、FPSで狙いをつけるのがどうにも苦手で、だったら近づいて直接殴った方が早い、というタイプ。なので流行りのバトロワ系も苦手。

 

かれこれ60年ほど続く長寿シリーズのため、その主人公、ジェームズ・ボンドを演じる俳優も幾度かの交代をしています。5代目ボンドを演じていたピアース・ブロスナンの引退を受けて、6代目ボンドとして大抜擢されたのが、ダニエル・クレイグ

確かキャスティングが発表された当初、「金髪のボンドなんてありえない!」といった声がすごかったように記憶しています。ただでさえ大役を演じるプレッシャーがあるのに、更にバッシングにも耐えなきゃならないなんて、さぞ大変だったことでしょう…。でも本作のパンフとか読むと、今は「歴代最高のボンド」みたいに言われているとか。手のひら返しがすげぇや…。

 

ダニエル・クレイグがボンドを演じた15年を振り返るドキュメンタリー『ジェームス・ボンドとして』では、キャスティングが発表された時の非難の声や、海から出てくるところをパパラッチされたたった1枚の写真で評価が一変した模様などが赤裸々に語られていて、こちらもすごく面白かったです。

そんなダニエル・クレイグ版ボンドも、早や15年。なんかずっとやめたいやめたい言ってたそうですが、遂に本作を以てジェームズ・ボンド役を引退することとなりました。出演作品数では初代のショーン・コネリーや3代目のロジャー・ムーアの方が多いけど、年数としては歴代最長記録っぽい。

 

恥ずかしながら僕はこれまで007の映画をほとんど見ていなかったので、とりあえずダニエル・クレイグのシリーズをアマプラで一気見してから本作に臨みました。『スカイフォール』に関しては前に飛行機の中で見た記憶がありますが、画面小さいし暗いしでほとんど内容が頭に入ってこなかったので、改めて見直した形。あと確かピアース・ブロスナン版のを過去に何作かTVで見たような気がしますが、なんとなくボンドカーカッコよかったーとか、スパイのくせに常に女性とイチャついてるなーくらいの印象しかない…。

全体的な感想としては、007ってルパンみたいなひとつひとつの作品のつながりが緩いシリーズかと勝手に思っていたのですが、ダニエル・クレイグ版は完全に地続きになっていて驚きました。それと、いい意味で奇をてらわず、しっかりといい映画を作ってやろうという気概を感じました。あとこれもシリーズの伝統なのかわかりませんが、ちゃんとオープニングがあるのがなんかいいなと思いました。ちなみに本作のオープニングテーマは、世界的歌手のビリー・アイリッシュが歌っております。

そーいや、必ずボンドガールとのロマンスがあるもんだと思っていたので、思ったよりベッドシーンが少なかった印象(思ったよりは、ね…。ちゃんと毎回あるにはあります)。特に『慰めの報酬』では、元カノをゴリゴリに引きずっていたとはいえカミーユと一切そういう関係にならなくてちょっとビックリしました。まぁボスの嫁をNTRしてたりしたけど。

すげーどーでもいいですが、『カジノ・ロワイヤル』で「君は独身だから僕のタイプじゃない」みたいなこと言っていましたが、その後の作品でも(情報収集が主な目的とはいえ)やたら人妻とヤリまくってたので、あの発言マジだったのか…と思いました。

 

本作は過去のダニエル・クレイグ作品に出てきた人物名やイベントが話の中にちょいちょい挟まれるので、その辺がわかるようにものすごいざっくりと過去作のおさらいをしていきたいと思います。

  • 007 カジノ・ロワイヤル』2006年
    ボンドが007になって初めての任務を描いた作品。
    ル・シッフル(演:マッツ・ミケルセン)とカジノでポーカー対決したり金玉を殴られたりする。監視役の金融活動部(FATF)職員、ヴェスパー・リンド(演:エヴァ・グリーン)と本気で愛し合うも、ミスター・ホワイト(演:イェスパー・クリステンセン)に利用されていた彼女は最終的に裏切ってしまいます。しかし最期は罪の意識からか、助けようとするボンドの手を放し、水死。ボンドの心に深い傷を残します。ラストはミスター・ホワイトの居場所を掴んで襲撃するところで、映画は終わるのでした。

  • 007 慰めの報酬』2008年
    前作『カジノ・ロワイヤル』の直後から始まります。
    ミスター・ホワイトを連行するも、まんまと逃げられるボンド。手がかりを追っていると、ドミニク・グリーン(演:マチュー・アマルリック)という男に辿り着きます。彼の表の顔は実業家ですが、裏の顔はクアンタムという組織の幹部であり、ボリビアメドラーノ将軍(演:ホアキン・コシオ)のクーデターを支援しようとしていました。メドラーノに家族をなぶり殺しにされたカミーユ(演:オルガ・キュリレンコ)と共に、奴らのアジトをぶっ潰したボンド。ラストはヴェスパーを罠にハメた元恋人の男をギャフンと言わせて映画は終わってました。

  • 007 スカイフォール』2012年
    列車の上で敵と格闘するボンド。新人エージェントのイヴマネーペニー(演:ナオミ・ハリス)が放った銃弾がボンドに当たってしまい、橋の上から落下。しかし流れ着いた海辺にいた女性とヤッたりしながら生きていました。直後、MI6本部が爆破されたというニュースを見て、エージェントに復帰。新任の兵器開発課長、Q(演:ベン・ウィショー)と協力しながら、色々あって首謀者が元MI6エージェントのラウル・シルヴァ(演:ハビエル・バルデム)だと突き止めます。シルヴァの彼女?っぽいセヴリン(演:ベレニス・マーロウ)とヤッたり殺られたりしながら、最後はボンドが幼少期を過ごしたスカイフォールという施設にて、MI6のボスであるM(演:ジュディ・デンチ)と共にシルヴァを迎撃、殺害。しかし、ボンドが母のように慕っていたMも銃弾を受けて死亡する、という衝撃的な展開で幕を閉じます。

  • 007 スペクター』2015年
    好き勝手に暴れ回るボンドは、新たにMとなったギャレス・マロリー(演:レイフ・ファインズ)によって無期限の任務停止を言い渡されてしまいます。しかし言う事を聞かないボンドは調査を続け、これまで自分が対峙してきた敵はすべてスペクターという組織が裏で手を引いており(『慰めの報酬』に出てきたクアンタムはスペクターの下部組織)、そのボスがボンドの義理の兄であるフランツ・オーベルハウザー、またの名をエルンスト・スタヴロ・ブロフェルド(演:クリストフ・ヴァルツ)であることを突き止めます。ミスター・ホワイトの娘であるマドレーヌ・スワン(演:レア・セドゥ)と協力しながらアジトを爆破。前作で爆破されたMI6本部の跡地にマドレーヌが幽閉されたりなんやかんやありつつも、最後は追い詰めたブロフェルドに敢えてとどめを刺さずにMI6へ引き渡し、マドレーヌと共にロンドンの町へ消えていくボンドなのでした。

 

とまぁ、思ったより長くなってしまったけど、こんな感じでした。
どれもクールでスタイリッシュなスパイアクションで、非常に楽しめました。

 

余談ですが、以下の通り、いつの時代だよって感じのやらかしをしてしまいました。。

2回見ても楽しかったのでよかったんですが、時間とお金を無駄にしてしまった感。
昔から遅刻癖があるんですが、どうにも治らないなぁ…。気をつけねば。

 

はい、前置きが非常に長くなりましたが、本作の感想に参りたいと思います。
幾度かの延期を経てようやく公開された本作。これまでのダニエル・クレイグ作品の中ではハチャメチャ度が最も高いですが、裏を返すと興奮度も最も高い作品になっていると感じました。

 

始まりは、少し過去の話から。マドレーヌの過去が少し明かされます。
能面を被った謎の男、銃で撃たれて絶命したかと思いきや息を吹き返すさま、氷に塞がれて湖から出られなくなるなど、ホラー感が強くてやたらと怖いシーンの連続でした。マドレーヌのトラウマをうまく表現しているということでしょうか。

 

舞台は現代へ戻り、イタリア、マテーラのシーン。
ヴェスパーのお墓参りをするボンドですが、いきなりお墓が大爆発。率直に、お墓を爆破するなんてなんと罰当たりな…と思いました。こういうこと思うの日本人だけなんでしょうか?

それと、この場面で予告編で印象的だった橋から飛び降りるとこ、バイクで大ジャンプするとこ、ボンドカーの機関銃掃射などが見れます。見応え抜群でテンション爆上がりです。でも、マドレーヌの裏切りを疑ったボンドは彼女と別れちゃうのでテンション急降下。別れ際に意味ありげにお腹に手を当てるマドレーヌ。この意味は後半わかります(いやもう大体わかるけど)。

 

そこからいきなり5年後に飛び、ジャマイカで悠々自適な生活を送っていたボンド。僕もこんな朝から晩まで酒飲んで、昼はのんびり釣りしたり夜はクラブではしゃいだりする生活を送りたい。

そこへ、『カジノ・ロワイヤル』等で登場したCIA捜査官のフィリックス・ライター(演:ジェフリー・ライト)と、こちらは初登場のアメリ国防省ローガン・アッシュ(演:ビリー・マグヌッセン)が接触してきて、誘拐されたというロシアの細菌学者ヴァルド・オブルチェフ(演:デヴィッド・デンシック)を救出するのを手伝ってほしいと依頼してきます。

フィリックス、とてもいいキャラだったのでまた出てくれてうれしい。でも死んじゃう。悲しい。あとアッシュという名前、これまでの敵キャラはホワイト、グリーン、シルヴァなど、名前に色が入っている奴が多かったのでもしや…と思ったらやっぱりそうだった。

 

ほどなくして、MI6のエージェントであるノーミ(演:ラシャーナ・リンチ)も接触してきます。要件はフィリックス達と同じ。でもCIAとMI6は協力関係にはないらしい。しかも彼女は現007だとか。「ただの数字だ」とか言いつつもなんか気にくわないボンドはCIAに協力することに。

ノーミ、予告編見た限りでは事あるごとにドヤってて気色悪いな、と思ってたのですが、本編見たらボンドに対して見栄張ってただけだったので、かわいいヤツやん…と思いました。

 

キューバへ移動したボンドは、CIAのパロマ(演:アナ・デ・アルマス)という女性と合流。このパロマがとにかく滅茶苦茶かわいかったです。緊張して合言葉忘れちゃったり、「この日の為に3ヵ月訓練したのよ!」とニコニコ顔で話したり、緊張を紛らすためにカクテルを一気飲みしたり、なんやねん、かわいすぎか…となりました。それでいて「本当に(訓練期間)3ヵ月?」と言われるほど戦うと強いというね。最高かよ…。出番がここだけだったので、もっと活躍してほしかった。

 

スペクターの幹部たちが集まるパーティにて明らかになる細菌兵器、ヘラクレスの存在。コレによって手っ取り早くスペクターの幹部がブロフェルド以外全員死亡。正体はなかなかのトンデモ兵器でしたが、ウィルス的なものを扱うというのはなんというか時流に乗ってるなーと感じます。

ヘラクレスの開発者であるオブルチェフの身柄をCIAが確保することに成功しますが、アッシュの裏切りもあり結局逃げられ、さらにフィリックスが銃で撃たれ死亡。おのれアッシュめコンチクショウ。

 

お次はロンドン。
マドレーヌと再会してもどかしい感じになってる二人がなんだが微笑ましかったです。そして拘留中のブロフェルドと面会し、「マドレーヌは全然悪いことしとらんのやで。全部オレの仕業やで」と教えてもらう。あれ?コイツいい奴だったっけ?と一瞬錯覚しました。結局はブロフェルドもヘラクレスに感染して死亡。重要キャラがどんどん退場していくところも、物語が収束していく感じがしますね。

しっかしまぁ、今回事態を悪化させているのがことごとくMI6なのが笑えます。CIAと協力しないのは国際的な色々があると思うので仕方ないにしても、「ヘラクレス計画」はそもそも、犯罪者だけを確実に殺すことが出来る夢のシステムとしてMが進めていたもの。悪用される危険性とか考えなかったのか…。また、ブロフェルドは牢屋の中でも幹部の義眼を通して余裕で外とコンタクトを取れており、身体検査とかやってるのか?と疑ってしまいます。しまいにはまんまと死なせちゃうし…。管理体制がずさんにもほどがある。

Mがヘラクレス計画に関与していると知って裏切りを疑っていたボンドでしたが、ただアホなだけだったことがわかり、MI6へ戻ることに。ボンドを00エージェントに復帰させるとなったときにノーミが「00…何?」って何回も聞いてたのがすごい面白かったです。めっちゃ意識してるやん(笑)

 

続いて、舞台はノルウェーへ。
マドレーヌが現在暮らしている家を訪れるボンド。そこには、彼女の娘マチルド(演:リサ=ドラ・ソネット)もいました。この子もまぁーかわいい。天使。

「え、まさか僕の…?」と驚くボンドに「あなたの子じゃない」とすぐさま否定するマドレーヌ。「いやでも、目青いけど?」「でもあなたの子じゃないの」と頑なに否定されます。真偽は結局最後まで明言はされませんでしたが、ボンドの弱点にしたくなかった、ということでしょう。これ以上の詮索は野暮ってもんですぜ。ここで、ボンドとマドレーヌは無事に和解。本当ならイタリアで語るはずだった彼女の過去について全て明かされます。

 

今回の黒幕は、リューツィファー・サフィン(演:ラミ・マレック)という男。オブルチェフやアッシュを裏で操っている人物であり、マドレーヌの母を殺した能面の男でもあります。スペクターのメンバーだったホワイトに家族を殺された過去があり、それゆえにスペクターに関わっている人間全員絶対殺すマンになっていました。しかしなぜかマドレーヌだけは別。湖に落ちたところを助けて以来、よくわからない愛着の様なものを持っている様子。

マドレーヌを狙ってアッシュたちが家に向かってきていることを知らされ、霧の深い森に誘い込んで罠にハメまくるボンド。アッシュの車も盛大にひっくり返り、動けなくなって「助けてくれよ、フレンド」と胡散臭い笑顔で言うアッシュに、「僕の友達は、フィリックス・ライターだ」と言い捨てて車の下敷きにして殺害。溜飲が下がるとはまさにこの事。しかし、結局マドレーヌとマチルドは連れ去られてしまいます。

 

最終決戦の舞台は、とある島。
明確な言及は無いけど、場所は北方領土のどこかっぽい。元々ロシアだかの軍事基地だったのを、サフィンヘラクレスを培養する工場として使っている。日本庭園っぽい毒草の庭とか、畳敷いてたりとか、サフィンちゃんちゃんこみたいな服着てたりとか、和の要素がそこかしこにあって面白かったです。

ボンドはノーミと協力して、オブルチェフをぶん殴ったり爆薬を仕掛けたりするも、大量に培養されているヘラクレスを消し飛ばすには量が足りない。そこで、ボンドはMに潜水艦からミサイルで島を吹っ飛ばすように依頼。んな事したら国際的な大問題なので、最初は「無理に決まっとるやろ」って感じだったMも、最後は「ええぃもうどうにでもなれ」って感じでミサイルを発射。この後Mはどうするんすかね…クビでは済まされない気が…。

 

サフィンは最後の仕返しとばかりに、マドレーヌとその血族=マチルドだけに効くヘラクレスをボンドへ感染させます。これでは彼女に触れただけで命を奪ってしまう。しかもサフィンに撃たれて満足に動けず、脱出も間に合わなそう。きっちりとサフィンにとどめを刺した後、ボンドは屋上へ上がり、最期はマドレーヌと無線で話をしながら、ミサイルの爆撃によって死亡するのでした…。

ラスト、マチルドという“希望”を残してくれたことに感謝するボンド。「でも、青い目よ」と言うマドレーヌに対し、原語では「I know...I know.(わかってる…わかってるよ)」と言っているのですが、字幕では「わかってる…僕の目だ」となっていて、もしかすると蛇足と捉える人がいるかもしれませんが、僕はこの意訳すごくいいな、と思いました。上で書いた通り2回見たんですが、2回ともすごく感動しました。

 

エピローグではM達MI6の面々がボンドに献杯を捧げ、マドレーヌはマチルドと共にボンドカーに乗って走り去って、映画は終わるのでした。

 

ダニエル・クレイグの有終の美に相応しい、壮大でとても良い映画だったと思います。あんなに明確に死なせないと引退させられないのかとちょっと思ったけど、感動したのでヨシ。最初は非難轟々だった金髪碧眼を最後は讃えるようなラストになっているのもグッときました。

エンドロール後「ジェームス・ボンドは帰ってくる」の文字が出てきて、次のボンド役は誰になるのかも大いに期待させる終わり方となっておりました。

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ダニエル・クレイグ、本当にお疲れさまでした。

非常に長い&読みづらい文章で申し訳ありません。もっと伝えたい事を端的に文章化出来るよう精進します…。

 

ということで、映画『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』の感想でした。

ではまた。