GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』感想(ネタバレ)

映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2022/07/07:気に食わない箇所を大幅に書き直しました。

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機動戦士ガンダム』は、1979年にTV放映されていた、ロボットアニメ

巨大なロボットに乗り込んで戦う、といったロボットアニメというジャンルは以前からありましたが、『マジンガーZ』や『ゲッターロボ』などに代表される、主人公が正義、敵が悪、といった勧善懲悪な作風が主流でした。
対して、ガンダムでは“戦争”を題材とし、主人公と敵対する勢力にもそれぞれの正義があるなど、リアリティに富んだ人間ドラマが展開されました。また、主人公たちが乗り込むMS(モビルスーツ)と呼ばれる巨大ロボットも、これまでのようなヒーロー的な位置づけではなくあくまでも“兵器”として扱うなど、リアリティを追求した設定が大きな特徴となっています。

放送当時はあまり視聴者に受け入れられず、低視聴率から打ち切りの憂き目に遭ってしまいましたが、再放送などでじわじわと人気を拡大していき、ガンダムのプラスチックモデル、通称ガンプラの社会現象ともいえる爆発的なヒットも相まって、現在も新作が製作され続ける、大人気のシリーズとなりました。その後の作品にも多大な影響を与え、こうしたリアル路線のロボットアニメを「リアルロボットもの」、マジンガーZ等の様な作風のものを「スーパーロボットもの」と呼ぶようになるなど、ロボットアニメのいちジャンルを築いた、歴史的な作品と言えます。

 

今やとてつもないほどに壮大な世界観が構築されているガンダムシリーズですが、大まかに分類すると宇宙世紀もの”“それ以外”に分けることが出来ます。

アムロ・レイを主人公とした最初のシリーズ(通称:ファースト)の舞台が宇宙世紀という架空の時代であり、続編である『Zガンダム』『ZZガンダム』『逆襲のシャア』などの、世界観の繋がっている作品が宇宙世紀もの”と呼ばれます。『スターダストメモリー』や『ポケットの中の戦争』、『08小隊』などのように時代の間を描くようなものもあれば、『F91』や『Vガンダム』などのように遠い未来の話もあり、非常に幅が広いです。

対して、宇宙世紀以外の全く別の世界観で描かれるのがそれ以外、いわゆる“アナザーガンダムと呼ばれるものになります。基本的にひとつひとつの世界観はバラバラですが、『SEED』『SEED DESTINY』のように繋がっているものもあります。『Gガンダム』のような奇抜な世界観の作品があったり、『ガンダム00』のように西暦が舞台の作品もあります。また、『SDガンダム』と呼ばれる、頭身が低くデフォルメされた作品や、ガンプラとそれを制作するビルダーを題材にした『ビルドシリーズ』のような作品もあり、宇宙世紀もの以上に幅が広いと言えます。

 

僕はといえば、ガンダムをはじめとして、ロボットアニメ全般は非常に好きなジャンルです。 
とはいえ、ガンダムに関しては全て見ているという訳ではなく、ファーストは劇場版3部作を見ただけだし、Z、ZZ、Vに関してはどんな話か知ってはいるものの、ちゃんと見ているわけではないです。G、W、X辺りからリアタイ世代だったので見るようになり、その後も見たり見なかったり、といった感じ。小説やホビー誌で連載されているような、映像化していない作品もたくさんありますが、どんなMSが出てくるかくらいしかわかりません。存在すら知らない作品もたぶんあると思います。ガンダムに関しては、世界観やストーリーが好きというより、メカデザインやガンプラが好き、って感じかもしれない。
「好きなガンダム作品は?」と聞かれたら、宇宙世紀ものでは『ポケ戦』『F91』、アナザーでは『Gガンダム』『鉄血のオルフェンズ』と答えるかな。

 

今回感想を書いていく『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、宇宙世紀ものになります。
ガンダムの生みの親と言える富野由悠季氏が執筆した小説が原作で、戦争ではなく、テロとの戦いを描いているのが特徴。時系列としては、『逆襲のシャア』の約10年後が舞台となっており、一応続編的な立ち位置となっています。(正確には小説版は『ベルトーチカ・チルドレン』という小説の後日談であり、逆シャアとは設定とかが若干違っているらしいのですが、読んでないしよくわからんので割愛)

逆シャアは学生時代に異常に勧めてくる友人がいて、「そこまで言われると逆に見たくなくなってくるな」と思って長いこと未見だったのですが、重い腰を上げて見てみたらめっちゃ面白かったというね。スマン友人よ…。

 

逆シャアと閃ハサの間(公開年ではなく劇中の時系列)には『ガンダムUC(ユニコーン)』と『ガンダムNT(ナラティブ)』がありますが、UCは最後のエピソード7だけ見てなくて、NTは完全に未見。そんな人間が閃ハサ見ても理解できなさそうだなと思い、当初見るつもりはなかったのですが、なんか評判がすこぶる良いみたいで、気になってしまったので見てきました。結果、UCやNTは見なくても全く問題なかったです。
上述の通り逆シャアとは関連が深いので、見といた方がより理解が深まると思います。

 

前置きがすっかり長くなってしまいました…。
いい加減本編の感想を書いていきたいと思います。

 

↓カボチャ頭の人物がダンスしている動画で話題になった、主題歌のMV。こっちは普通にカッコいい。


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宇宙世紀0093年。
第二次ネオ・ジオン抗争と呼ばれる、アムロ・レイシャア・アズナブルの全面対決は終結
その抗争の中で、かつてホワイトベースの艦長を務めたブライト・ノアの息子、ハサウェイ・ノアは、初恋の相手であるクェス・パラヤを失っており、それが彼の中に深い影を落としていました。

時は流れ、地球では連邦政府の高官ら特権階級の人々が、強引に民衆を宇宙へ送り出す政策を実施して地球を私物化しており、彼らによって地球の環境汚染は更に拡大していました。

ある日、連邦議会へ参加するために、特権階級の人達は専用シャトルで地球へ降下しようとしていました。
青年へと成長したハサウェイ(声:小野賢章)は、植物監察官候補として、そこに同乗。また、地球連邦軍ケネス・スレッグ大佐(声:諏訪部順一)も、とある部隊の司令官を務めるためにシャトルに乗っており、この場に似つかわしくない不思議な雰囲気を持った少女、ギギ・アンダルシア(声:上田麗奈)も同乗していました。

そこへ、MSを使用して政府の要人を暗殺しているという過激なテロ組織、“マフティー・ナビーユ・エリン”を名乗る集団が乗り込んできて、シャトルをハイジャックしてきます。ギギは、この危機的状況にも物怖じせずに飄々としており、更になぜか犯人がマフティーのメンバーではない、偽物であると見抜いていました。
ケネスとハサウェイの活躍によってどうにか事態は収拾。無事にシャトルは地球へと降下することが出来ました。

シャトルでの一件から、ケネスはハサウェイを評価し、友人として親交を深めていきます。
しかし、実はハサウェイこそが、“マフティー・ナビーユ・エリン”その人だったのでした――。

というのがあらすじ。

 

率直に思ったのが、映像がリッチだなと。きれいとかではなく、リッチです。
いや、きれいなのも間違いではないんですが、なんていうんですかね、きれいだけでなく、見せ方とかが洋画的といいますか、おしゃれというか…。うまく表現できないのでリッチという言い方に逃げているだけです。

音楽も良かったです。
担当しているのは、すっかりお馴染みの澤野弘之氏。彼の音楽は、カッコつけてるというか、仰々しいというか、神話的というか…我が強い印象があるので作品を選ぶ気がしますが、最近のガンダム作品にはとてもマッチしていて大好きです。

それと、僕は富野作品の特徴として、わかりづらさが挙げられると感じていて。
Gのレコンギスタ』とかが顕著だと思うのですが、すごい大事なことをちょっとしたセリフでサラっと喋るだけとか、状況的に明らかなんだけど敢えて明言しないとか、あと何と言っても独特な言い回しとか、そういう作り方をする印象があります。あ、コレいい意味で言ってます。Gレコ大好きです。
で、本作は原作を書いてるのが富野氏とはいえ、監督は村瀬修功という方(ガンダムWのキャラデザとかやってた方らしい)なのですが、どことなく“富野っぽさ”が残っているような気がしました。ハサウェイとギギのやりとりで主にそれを感じまして、わかりにくくもわかりやすいというか、厳密には富野節とは違うんだけど(富野さんのはマジでわかんなかったりするので)、その雰囲気を感じるというか。おそらく意識してそういう風にしているんじゃないかなーと。
うまく表現できないですが、とにかくなんかよかったです(なんだそりゃ)

 

キャラクター造形について思ったことを少々。

ハサウェイのキャラクターは、なんか掴み所が無いな、と思いました。
クールで知的な風を装ってるけど、女(ギギ)にほだされたり、感情で行動したり、悪い言い方をするとガキっぽいというか。こんなんで組織のリーダーが務まるのか?と正直思ってしまいました。原作読んでないのでわかりませんが、マフティーという組織の馴れ初めや、ハサウェイがリーダーになるまでの経緯とかも今後描かれたりするのでしょうかね。

ギギは、もっと掴み所が無いと思いました。
大人ぶってるんだか、ガキなんだか、頭いいのか悪いのか、なんだかよくわからんという印象。わざとそういう描き方をしているような気もします。ファム・ファタール(魔性の女)的な立ち位置なんでしょうね。この辺のキャラクターのわかりづらさも、富野節といえばそうなのか…?

ケネスは、諏訪部順一って感じでした。
ガウマンは、津田健次郎って感じでした。
悪い意味ではないです。どちらも大好きな声優さんです。

 

あとはやはり、MS戦のシーンはどれも素晴らしかったです。
特にラストのバトルシーンは、鳥肌もののかっこよさでした。速いんだけど、ちゃんと巨大なものが動いている重量感も感じられるのがとにかく最高。

余談にはなりますが、僕がガンダム作品で一番嫌いなのが『ガンダムSEED』でして。
「キャラデザが受け付けない」とか「恋愛リアリティショーの如くカップルが何組か出来て終わる」とか理由は色々あるんですが、一番の理由が「MSに重量感を感じない」というところ。ケレン味のあるメカ作画や、T.M.Revolutionの楽曲は素晴らしいのですが、巨大な鉄の塊であるはずのMSがすごいスピードでヒュンヒュン飛び回ったり、ものすごい量のビーム出してそれが正確に頭部だけ撃ち抜いたり、リアリティ無さすぎだろと。
まぁ、リアリティとか言うんだったらGガンダムはもっとリアリティ無いだろと言われそうですが、アレはアレで突き抜けてるからいいんです(無茶苦茶な言い分)。

ともあれ、本作のMS戦のシーンは監督がこだわった部分でもあるそうで、ちゃんと巨大ロボット感を感じられる動きになっていて、とても見応えがありました。

あと、中盤の街中での戦闘シーンでは、等身大の目線でMSバトルを描いていて、迫力がすごかったです。『F91』でMSが撃った弾の薬莢にぶつかって人が死ぬシーンがすごく好きなので、それを彷彿とさせて好印象でした。

それから、既に至るところで言われていますが、ペーネロペーの飛行音がまるで怪獣の叫び声みたいなのも、不気味で最高でした。余談ですが、レーン・エイム(声:斉藤壮馬)が「ペネロペー!」と言ってるのはなんでなんすかね。愛称的な?「なんかウケるw」と思いながら見てました。

 

Ξ(クスィー)ガンダムのデザインが、最近ゲームとかで出ているデザインではなく、原作寄りなデザインになっているのも話題になりましたね。僕はあまりガンダムゲーやってないし、特にどちらかに思い入れがあるわけでもないので、素直に「カッケー!」と思いました。本作ではあくまで御披露目って感じなのか、終盤に出てきてちょっとペーネロペーと戦っただけですが、続編で大いに活躍してくれるんでしょう。

あとハサウェイの声優が変わったのも賛否両論ありましたが、こちらも個人的には思い入れは無いので、特に違和感は感じませんでした。
小説ではバッドエンドになるっぽいですが、映画では結末が変わるのか、それとも同じ末路をたどるのか…。果たしてどうなることやら。

 

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とまぁ、そんな感じでした。

そういえば今作だけでは終わらないんですよね。3部作の予定だとか。
知らないで見に行ったので、「続くのかよ!」とちょっと思いましたが、きちんと描くべきところを描いてくれるのであれば、何も不満はないです。むしろ大歓迎です。今作はかなりヒットしているようなので、続編立ち消えとはならないでしょう(たぶん…)。
今後が楽しみです。

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アムロとシャアの遺志を継ぐもの」らしいけど…父親のは?

ということで、映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の感想でした。

ではまた。