GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

Vシネクスト『テン・ゴーカイジャー』感想(ネタバレ)

Vシネクスト『テン・ゴーカイジャー』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

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海賊戦隊ゴーカイジャー』は、2011年~2012年にかけて放送された、スーパー戦隊シリーズの1作。
シリーズ第35作目のアニバーサリー作品であり、過去のスーパー戦隊とのクロスオーバーを最大の特徴としています。歴代のヒーローもオリジナルキャストで多数出演し、歴代戦士の力を継承したり、ヒーローとはなんたるかを学んだりと、本当に異色な作品でした。

また、レンジャーキーというアイテムを使用して「全ての戦隊ヒーローに変身できる」という彼ら特有の能力があり、色々な戦隊に変身して戦ったり、時には全員がピンク等の同じカラーで揃えてみたりと、毎週様々なお祭りを見せてくれました。クロスオーバーというジャンルにおいて、賛否両論のあった『仮面ライダーディケイド』の反省を生かして作品作りをしていた印象があり、そういった点も非常に好感が持てるところ。

僕はゴーカイの前年に放送されていた『天装戦隊ゴセイジャー』があまり好きになれなくて全然見ていなかったのですが、ゴーカイがあまりにも楽しくてまた引き戻されちゃいました。でも今思うとゴセイジャーも敵組織自体が変わったりとなかなか面白そうなので、見たいとは思っている…(断言は出来ない)。

TVシリーズ終了後も、『動物戦隊ジュウオウジャー』にてフルメンバーで再登場したり(しかも結構重要な役回りだったりする)、映画『スーパーヒーロー大戦』でディケイドと戦ったり、ちょいちょい登場しては存在感を放ってきました。

そんな彼らの初登場から、早や10年。この10年という年月があまりにもあっという間過ぎて、僕も歳取ったなぁ…としみじみ感じてしまう今日この頃。節目として彼らの新たな物語が描かれることとなりました。それが本作、『テン・ゴーカイジャー』になります。

過去にも『忍風戦隊ハリケンジャー』や『炎神戦隊ゴーオンジャー』等で、放送開始10年の節目で『10 YEARS AFTER』シリーズが制作されていますが、本作はそれらとはちょっと違った毛色になっているような気がします。見てないので実際どうなのかはわかりませんが、なんとなくあっちは同窓会的なイメージ。

出演するゴーカイジャーのメンバーは、今回もフルメンバー。キャスト陣の本作への愛情がにじみ出ているようで嬉しくなります。特に今、飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍している山田祐貴や、声優として第一線で活躍中のM.A.Oこと市道真央もしっかり出てくれているのがすごい。しかも、みんな見た目が全く変わっていないどころか、女性2人なんかは更に美しくなってるんじゃないかって勢いで若々しいのも本当にすごい。ゴイゴイスーです。

また、オタク丸出しで大変恐縮なのですが、ゴーカイジャースーツアクターも当時と全く同じ人が演じているそうで、オタク的にはこれがもしかすると本作最大の目玉なのではないかというくらい。ゴーカイレッドを演じる福沢博文氏は、数々の戦隊でレッドを演じており、ゴーカイレッドを最後にアクターからアクション監督へ転向し、以降全ての戦隊でアクション監督を務めているお方。まさに伝説級のお方であり、「福沢さんのゴーカイレッドがまた見れるなんて!」と思っている特オタは僕だけではあるまい。また、ゴーカイブルーを演じる押川善文氏は、既にアクターを引退されてる…と思いきや『ドゲンジャーズ』で復帰してたんすね知らんかった。でも今はJAE(ジャパンアクションエンタープライズ)の所属ではないようで。そうした現在は違う立場にいる人たちも、再びこの作品の為に集結してくれています。

更に、監督は中澤祥二郎氏、脚本は荒川稔久氏と、こちらもTVシリーズのメイン担当だった方々。特に荒川さんに関しては、『仮面ライダークウガ』や『特捜戦隊デカレンジャー』などの僕が特に好きな作品でメイン脚本を担当されていた方なので、この人が脚本ってだけで期待値が跳ね上がります。オタクは監督や脚本が誰なのかをやたらと気にする。

今回のレジェンド枠(過去作に出演していた人)はちょっと変わっていて、戦隊だけでなく仮面ライダー等で出演経験のある俳優陣が、違った役で多数出演しています。恐らく唯一ちゃんとした役で出演しているのは、『魔進戦隊キラメイジャー』のクリスタリア宝路/キラメイシルバー(演:庄司浩平)くらいなんじゃないかと。しかもすげーチョイ役…。『魔法戦隊マジレンジャー』のマジイエローや、『特命戦隊ゴーバスターズ』のビートバスター役で出演していた、スーパー戦隊親善大使の松本寛也松本寛也役で出演しているのには笑いました。他にも、TVシリーズで非常に印象的だったバスコ・タ・ジョロキアを演じた細貝圭や、『仮面ライダーアギト』に出演していた山崎潤、『仮面ライダー鎧武』にて鳳蓮・ピエール・アルフォンゾ/仮面ライダーブラーボを演じた吉田メタルなど、特オタであれば反応せずにいられないキャスティングが目白押しです。また、変身アイテムのモバイレーツ等の音声を担当した声優の関智一がリングアナ役でしれっと出演していたりします。あとWiki見て初めて知ったんですが、ギャンブルに熱中する女子高生2人組、あれトッキュウジャーでミオとカグラの幼少期を演じてた人だったんですね…。おっきくなったなぁ…。

とまぁ、キリがないのでぼちぼち本作の感想を書いていきたいと思います。

 

舞台は、TVシリーズから10年後の地球。
ゴーカイジャーが去った後の地球では、スーパー戦隊ダービーコロッセオという、歴代ヒーローが戦い合ってどちらが勝つかを予想するという公営ギャンブルが大流行。地球の人々のほとんどがそのギャンブルに夢中になっており、得られる収益の8割は地球の防衛費に使われる形で平和を維持していました。久しぶりに地球を訪れたハカセことドン・ドッゴイヤー/ゴーカイグリーン(演:清水一希)も、羽目を外して楽しんでいる様子。

誰もが幸せになれるはずのこのシステムでしたが、キャプテン・マーベラス/ゴーカイレッド(演:小澤亮太)が、運営に対し挑戦状を叩きつけてきます。そんな彼の前に、運営側に協力している伊狩鎧/ゴーカイシルバー(演:池田純矢)が立ちはだかるのでした。

そんなマーベラスを、敵意のような眼差しで影から見ているルカ・ミルフィ/ゴーカイイエロー(演:市道真央)。ジョー・ギブケン/ゴーカイブルー(演:山田裕貴)やアイム・ド・ファミーユ/ゴーカイピンク(演:小池唯)らも、それぞれの目的で地球を再訪。

果たして、マーベラスたちの思惑とは、そしてコロッセオに隠された陰謀とは――。
というのがあらすじ。

 

率直に、あの頃のゴーカイジャーそのまんまだったのが最高と言う他ない。
上述の通り、スタッフも同じだしメンバーの見た目も全くと言っていいほど変わっていないのもそうなのですが、雰囲気というか、空気感というか、そういったものが10年前のままで、TVシリーズの1エピソードを見ているような安心感がありました。

あと、ゴーカイジャーは既にレンジャーキーを手放してたりするので、結構変身前の素顔の状態で行動するのが多かったのも良かったです。役者に積極的にアクションさせるというのは、坂本浩一監督回や、『牙狼』シリーズを彷彿とさせるような感じ。まぁマーベラスはレンジャーキー持ってたので、100人組手の時に鎧が出てくるまで変身しなかったのはただの舐めプだと思いますが(笑)

スーパー戦隊ダービーコロッセオも非常に楽しかったです。忍者対決や教師対決など、各戦隊の中に共通点を見出してそれらをマッチアップしたりしていて、まさしく夢の対決。バスコが使用していたラッパを応用した、歴代ヒーローを召喚するシステムも面白かったです。

それから、Vシネマとかだと予算の都合からどうしても敵怪人のスーツが過去作の流用になってしまったりするのですが(というかそもそもクロスオーバー自体が過去のスーツを流用出来る=予算削減の側面があったりする)、本作の敵であるバクート海賊団のスーツはちゃんと新規で製作しているっぽかったのも良かったです(違ってたらスミマセン)。あと、ゴーカイジャーの新装備であるクロスアーマーも新規で製作していて、気合入ってるなーと思いました。まぁその代わりか、吉田メタルの怪人態がただ肌を青く塗っただけになってしまってましたが…。

成り行きでハカセがイエローに、ルカがグリーンに変身するシーンも、『烈車戦隊トッキュウジャー』の乗り換え変身を彷彿とさせて面白かったですね。イエローが男性の時もよくあるし、グリーンが女性ってのも最近増えてきているので、色のチョイスも上手いなーと思いました。

最終的にしっかりと期待通りみんなで協力して戦ってくれるのも最高。銃+剣1つずつの基本装備をメンバー間でスイッチして二刀流や二丁拳銃にして戦う、他の戦隊には無いあのスタイルもきっちり見せてくれて、めっちゃ興奮しました。アレホント好きなんですよね。

TVシリーズで1年間かけて地球という星の守るべき価値を学んできた彼らが、本作では逆に地球人に地球を守る価値を説く、というのにもグッときました。しかもそれを教えてくれた相手に敢えて同じ言葉で返す、というね。感涙ものですわこんなん。

 

そんな感じで、オタク心を刺激するとても楽しい作品になっておりました。
ゴーカイジャー辺りまでは見てたけど今は特撮見てない、みたいな人でも楽しめる作品になっているかと思います。通常こういうVシネマ系の作品は劇場公開はすごい短いんですが、本作はまだ劇場でやってたりするくらい評判がいいようなので、興味があれば鑑賞してみてはいかがでしょうか。

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ということで、Vシネクスト『テン・ゴーカイジャー』の感想でした。

ではまた。