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映画『聖闘士星矢 The Beginning』感想(ネタバレ)

映画『聖闘士星矢 The Beginning』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

聖闘士星矢(セイントセイヤ)』は、1986~1990年にかけて週刊少年ジャンプにて連載されていた、ファンタジー・バトル漫画。

作者は、『リングにかけろ』『風魔の小次郎』『男坂』などでも知られる、車田正美氏。

 

小宇宙(コスモ)という不思議な力を駆使する聖闘士(セイント)という戦士や、彼らが身に着ける聖衣(クロス)と呼ばれる星座をモチーフにしたアーマー、ギリシア神話を題材としたストーリーは高く評価され、車田作品の代表作となると同時に、80年代のジャンプの看板作品のひとつとなりました。

1986年からはTVアニメも放送され、スポンサーとなったバンダイが発売した「聖闘士聖衣大系(セイントクロスシリーズ)」は1987年の男児玩具最大のヒット作となるなど(今でも展開されている「聖闘士聖衣神話(セイントクロスマイス)」はコレの系譜だったりします)、まさに一世を風靡した作品と言えます。アニメ見たことないけど主題歌は知ってる、という方も多いのではないでしょうか。

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現在は、掲載誌を週刊少年チャンピオンへと移し、正統続編となる『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』が連載中。そのほかにも、様々な作者によって多くのスピンオフ作が連載されたり、数々のアニメが製作されたりと、今でも高い人気を誇っています。

最近では、Netflixで『聖闘士星矢:Knights of the Zodiac』が配信されてますね。見てないけど、面白いんだろうか。

www.netflix.com

 

ご多分に漏れず、僕も聖闘士星矢は大好きでして。

といっても、しっかりと履修しているのは原作漫画と『EPISODE.G』くらいで、冥王神話や他のスピンオフは読めてないですし、アニメも見たり見なかったり、といった感じのニワカです。『天界編』とか割と好きだったんですが、続編やらないのかな…。(まぁ興収ボロボロだったみたいですし、“正統続編”は冥王神話に取って代わられたようですし、もうなかったことにされているとわかってはいるのですが…。)あとニチアサ枠でやってた『聖闘士星矢Ω』とかも、全話見た訳ではないですが結構楽しかった覚えがあります。

アラサー、アラフォー辺りの男性は全員、黄道十二星座黄金聖闘士の名前が完璧にリンクしている…はず。ちなみに僕は乙女座(バルゴ)なのでシャカです。神に最も近い男です。

 

もくじ

 

概要

そんな聖闘士星矢、いよいよアメリカ、ハリウッドにて実写映画化されることとなりました。
それが本作、『聖闘士星矢 The Beginning』です。

“Beginning”とついている通り、主人公の星矢が聖闘士として戦うことになるまでが描かれています。

 

監督は、ポーランドのCGアニメーター、トメック・バギンスキー
大人気ゲームを実写化したNetflixのドラマ、『ウィッチャー』の製作総指揮などを務めたお方とのことですが、実写映画の監督は本作が初だそうです。

脚本は、『10 クローバーフィールド・レーン』の脚本を執筆したジョシュ・キャンベルマシュー・ストゥーケン、『ラーヤと龍の王国』の原案を務めたキール・マーレイが担当。

そして主演は、日本でも大活躍中の俳優、新田真剣佑
日本を代表するアクション俳優だった千葉真一の息子であり、彼自身も俳優として活動しています。アメリカで生まれ育ち、国籍もアメリカと日本の二重国籍だそうで、2020年に日本での俳優活動を終了し、現在は拠点をアメリカに移しているんだとか。
ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章(第二章はやるのだろうか…)虹村億泰役や、『 るろうに剣心 最終章』の雪代縁役、『鋼の錬金術師 完結編』のスカー役など、何かと漫画の実写映画で重宝されている印象。そーいやNetflixで配信予定の実写版『ONE PIECE』でも、ロロノア・ゾロ役で出演予定らしいですね。

そのほか、『007 ゴールデンアイ』や『ロード・オブ・ザ・リング』1作目などに出演しているショーン・ビーン、FOX版『X-MEN』のジーン・グレイ役や、『ゴールデンアイ』ではショーンとも共演しているファムケ・ヤンセン、『ジョン・ウィック:パラベラム』にて超強い寿司屋を演じたマーク・ダカスコスらが出演しています。

 

余談ですが、本作の製作費は6000万ドルほどと、ハリウッドの大作映画と比べると少ない方に見えます。…が、これを日本の東映アニメーションが全額出資しており、日本円に換算すると約80億円ほど?なので、邦画として考えると破格の超大作になります。日本で作ればもっと安く済むのでは…とか言ってはいけない

あと本作で印象的だった出来事として、僕の地元仙台の映画館で『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』を上映するはずが、トラブルで本作が誤上映されてしまい、それにちなんでちゅいったー「フェイント星矢」がトレンド入りしたのには笑いました。「バイオレンスなシーンにビックリした子どもたちが泣きわめいて、会場はカオス」とか下の記事に書かれてますが、マリオだってクッパやドンキーにボコボコにされたりしてるんですけどね。なんでマリオなら良くて星矢はダメなんすかね。よくわかんないすね。あと“大爆死”とか軽々しく使わないで欲しいです。

news.yahoo.co.jp

 

ところで、日本の漫画、しかもジャンプで連載されていた超人気作がハリウッドで実写化されるというと、どうしても避けては通れないのが『某エボリューション』ですよね。クソ映画に耐性のある方だと自負している僕でも、「アレは笑えない方のクソだな」と思えるほどの作品。

果たして本作は、あの二の舞となってしまうのか。それとも、あの悪いイメージを払拭するほどの作品になっているのか。色んな意味で非常にワクワクしながらの鑑賞となりました。

実際どうだったのかは…下記をお読みいただければと。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

とある国の、地下格闘場。

幼少期に唯一の肉親である姉と生き別れになった星矢(演:新田真剣佑)は、ここでファイターとして戦う日々を送っていました。

容赦の無いファイトスタイルのカシオス(演:ニック・スタール)に手痛くやられていたその時、星矢の身体から不思議な力が発動し、カシオスを吹き飛ばします。それを見ていたアルマン・キド(演:ショーン・ビーン)は星矢を自身の屋敷へと招き、あの時発現した力は“小宇宙(コスモ)”と呼ばれるものであり、その力を持つ者は“戦の神”アテナを守護する“聖闘士(セイント)”となる宿命があるのだと告げます。

にわかには受け入れられない星矢でしたが、アテナとなる宿命を背負ったアルマンの娘、シエナ(演:マディソン・アイズマン)との交流や、指南役のマリン(演:ケイトリン・ハトソン)との修行の日々によって、少しずつ“天馬星座(ペガサス)”の聖闘士として覚醒していく――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

思ったよりはちゃんと聖闘士星矢してたな、というのが率直な感想。

少なくとも、巷で言われている“大爆死”とまではいかないと僕は思います。まぁ、ここまでガチの“Beginning”だとは思いませんでしたが…。

 

概要でも書いた通り、本作は星矢が聖闘士になるまでが描かれており、すなわち原作の第1話を2時間近くかけて描いているんですよね。それが悪いとは言いませんが、ちょっと内容が薄いかなーと言わざるを得ない感じになっているような気がしなくも無いというかなんというか…(濁)。

原作に無かったマリン(魔鈴)さんとの修行の日々が描かれたのは良かったです。マリンさんはルックスといいアクションといい、原作そのままで大変素晴らしかった。あと、原作ではペガサス流星拳をお披露目するためだけに存在するようなカシオスが、本作では割と全編に渡って出てくる(終始小物なのも原作通り)のも良かったです。

 

グラード財団もちゃんと出てきて、財団を作った夫婦が離婚し、夫のアルマンが原作準拠のアテナや聖闘士たちをサポートする立場に、妻のヴァンダー・グラード(演:ファムケ・ヤンセン)がヴィラン側になる、というアレンジも、なかなか上手いなーと思いました。

鳳凰星座(フェニックス)”の一輝に相当するキャラ、ネロ(演:ディエゴ・ティノコ)がラスボスというのも、原作序盤は敵対していたし、違和感は感じませんでした。ただ、鳳凰星座の聖闘士の割にあまり強く見えなかったというのと、ネロって名前は“蠍座(スコーピオン)”のミロと紛らわしくならないか、という余計な心配をしてしまいました。

そーいや、劇中に登場した人口聖衣みたいなのを身に着けた雑兵の人達、あれ暗黒聖闘士(ブラックセイント)だったんですね。

 

アクションに関しても、スピーディーな攻防が楽しめて、かなり頑張っていると思いました。マッケン(真剣佑)の鍛え上げられたマッスルとキレッキレのアクションは、一見の価値ありです。ちゃんとペガサス流星拳や鳳翼天翔っぽい技も出てきましたね。流星拳は、映像化するとどうしても連続エネルギー弾っぽくなってしまうのは…仕方ないのかなぁ。正解がわからんですもんね。

映像もなかなか雰囲気良くて、どこか神話っぽいというか、荘厳な感じが出ているように思いました。アクション含めこの辺は日本で作ったらこうはならなかったんじゃないかと思います。星矢がマリンさんに修行付けてもらう場所の、巨大な石像の首がプカプカ浮いてるのとか、日本人じゃ思いつかないでしょあんなん。

 

「ダサい」と話題の聖衣のデザインも、僕は悪くないと思っていて。

ヘルメットタイプの頭部だけ、アニメ版よりさらに着膨れしていてちょっとイメージと違うかなーと思いましたが、ほかの部分は出来るだけ原作に忠実に作っていると感じました。クソダサいアンダーウェアまで原作に忠実にしなくてもいいのに…とは思いましたけど。冒頭にちょっとだけ出てきた“射手座(サジタリウス)”と“山羊座(カプリコーン)”の黄金聖闘士(ゴールドセイント)は、原作まんまですごいカッコよかったですね。

あと終盤で口周りがガション!て覆われるのは、ちょっと実写版『CASSHERN』みたいだなと思ってしまいました。2014年の映画『聖闘士星矢 LEGEND of SANCTUARY』みたいに、カチャカチャ変形するヘルメットだったら良かったのになぁ。

 

ちょっと話が逸れますが、駄作の呼び声高い実写版キャシャーンも、僕は映画館へ見に行って結構感動したんですよね。外連味溢れる画作りは普通に好きですし、結末は悲劇的ですがあれはあれで良いものだと思っています。なので、「あぁ、あのクソのやつねw」みたいに簡単に切り捨てないで、まずは見ろ!と言いたい。

他にも、実写版『進撃の巨人』は基本クソですが巨大特撮の見応えはすごいし、実写版『ジョジョ』はまぁまぁクソですが承太郎と由花子のルックスの再限度は完璧だし、実写版『ルパン三世』はほぼクソですが謎のタイ人ハッカーがマジで謎過ぎて爆笑するし、実写版『テラフォーマーズ』は何の内容も無いクソだけど池田秀一さん(シャアの声の人)の昆虫解説はカッコいいし、実写版『デビルマン』は完全無欠のクソだけどあんなに笑える映画は無いってくらいに楽しい映画なので、マジで一度見てみて欲しい。

某エボリューションに関しては、ホントに何から何まで原作と違うので、「一体何を見せられているんだろう…」という気分を味わえますよ(笑)

 

…とまぁ、だいぶ脱線してしまいましたが、本作に話を戻しまして。

上でちょっと書きましたが、本作は原作第1話をじっくりと描いているおかげか、特に中盤あたりの中だるみが顕著だった気がします。なので、途中何度かウトウトしちゃって、気付いたらいつの間にかアルマンが死んでてビックリしました。シエナがアテナの力に覚醒しかけてゴゴゴゴ…ってなって、また落ち着いて…みたいなくだり、あんな何回もいる…?ヴァンダーさんも、最後の最後で「やっぱり娘を殺すなんて出来ない!」みたいになってましたが、それ今更過ぎません…?って感じでしたし。

登場する聖闘士が星矢とマリンさんとネロの3人だけというのも、少々物足りなさを感じます。“銀河戦争(ギャラクシアンウォーズ)”までを描いてくれれば、いっぱい聖闘士出せるし面白くなったような気がしなくもないような気がするのですが、どうなんでしょうか。そうすりゃ強引に鳳凰星座の人出さなくても、原作に従えばいいわけですし。というか、最初のTVアニメ以外で銀河戦争をしっかり描いた映像作品って、意外とない気がしますね。そりゃ十二宮編とかの方が盛り上がるのはわかりますけど、銀河戦争も普通に面白いと思うんだけどなぁ。

 

最後はシエナが無事にアテナに覚醒。星矢とネロのバトルは決着つかず、(あるかわからない)次回作へ持ち越される形に。星矢は「俺は“アテナの聖闘士”としてこれからもシエナを守っていくぜ!」と気持ちを新たにして、映画は終わってました。

 

おわりに

そんな感じで、感想は以上です。

なんか色んな人が勝手に「大失敗」のレッテルを貼ってますが、僕はそこまで悪いものでもないと思っています。少なくとも、見もしないで「クソ映画www」とかいうのは絶対にやめましょう。僕みたいに、見てみたら意外と気に入るかもしれませんよ。

ハガレンも絶対無いと思っていた続編が作られたことですし、本作も続編作られるといいなぁ。もし実現した際には、僕も小宇宙を燃やして必ず見に行きたいと思います。

ということで、映画『聖闘士星矢 The Beginning』の感想でした。

ではまた。