GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『フリー・ガイ』感想(ネタバレ)

映画『フリー・ガイ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。 

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今や『デッドプール』等で大人気のライアン・レイノルズ。そんな彼が主演と製作に携わった作品が、本作『フリー・ガイ』になります。

いきなり話が逸れますが、レイノルズはデップーやら何やらでやたらと『グリーンランタン』をイジってますが、アレあんま好きじゃないんですよね。
ちなみに『グリーンランタン』はDCコミックを原作にするスーパーヒーロー映画で、ライアン・レイノルズ主演で2011年に公開されました。本来はDCEUの1作目を予定していたらしいのですが、あまりに大コケしたためにDCEU入りを無かったことにされたとか…なんとも不遇の作品です。
確かに褒められた出来では無いと思いますが、僕はアレはアレでそこまで悪くないと思っているし、何よりも自分の作品なんだから愛してやれよと思ってしまうんですよね。まぁ敢えてイジることで存在を認知してもらう、要は愛ゆえのイジリなんだとは思うのですが…あんまり笑いものにしないでやってくれよというか…なんだかなぁ、という思い。

あとデップーが本作の予告映像を見るみたいな動画もありましたけど、アレもちょっとうーん…となったクチです。
デップーは大好きですし、彼がそういうキャラクターであることも重々承知しているんですが、なんかこう楽しく見れなくて、特に何の感情も湧かず“無”になってしまったんですよね…。もうこういうノリについていけなくなってるのかな…(でも新スースクは楽しく見れたけどなぁ…)。

 

とまぁ余談はこの辺にして、本作。
本作の舞台は、「フリー・シティ」というオンラインゲームの中の世界。他人をボコったり、車を奪ったり、強盗したりといった行為が評価される、某オープンワールドゲームのような世界観。

ゲームなどの仮想世界が舞台の作品というと、古くはコンピューターグラフィックを世界で初めて導入した『TRON』や、最近リブートした『ジュマンジ』、あとはスティーブン・スピルバーグ監督作の『レディ・プレイヤー1』などがありますが、本作が変わってるなーと思う点は、主人公がプレイヤー(人間)ではなく、ゲーム内のモブキャラクター(NPC)だという点です。そんな主人公が自我を持ち出しちゃって、自分がいる場所はゲームの中の世界であり、自分はモブであると気付いちゃったからさぁ大変!というのが本作の大枠になります。

 

そんな本作の主人公は、ごく普通の銀行員である、ガイ(演:ライアン・レイノルズ)。
このガイというキャラ、明るくて生き生きしていて、それでいてコミカルなのがとても良かったです。まんま世間が思うライアン・レイノルズって感じのキャラでした(違う?)。自分が現実には存在しないゲーム内のモブキャラだということがわかっても、いつまでも落ち込んだりせず、前向きに自分に出来ることをしようとする、そんなキャラクター。なので作品全体も暗くならず、常に明るい雰囲気で非常に見やすかったです。

 基本的に本作はガイの視点で描かれているので、あからさまに「ここはゲームの中の世界ですよー」とは明言しておらず、導入部分とかなんかはまるで日々のルーチンワークをこなしている普通の人のように描いているのが面白かったです。サングラス族=プレイヤーの存在や、あまりにも現実離れしている世界観から、「あぁそういうことね」とすぐにわかるようになってるのがうまいなーと。まぁ予告編とかポスターとかでゲームの中の話だってのは見る前から分かってるんですけど。
あとどうでもいいけど、コーヒーショップで警官の名前を呼ぶとき異常にデカい声で言うガイが個人的にツボでした。

ヒロインのモロトフ・ガール/ミリー・ラスク(演:ジョディ・カマー)。
ゲーム内ではクールでミステリアスなカッコいい女性、リアルではいかにもオタクっぽいけど非常に可愛らしい女性で最高でした。
僕はニチアサ等の特撮作品において、「女の子が可愛い作品は名作」という法則を勝手に提唱しているのですが、これは案外特撮だけじゃなくどんな作品にも当てはまるんじゃないかと思ってきました(そういやひとつ前のスースクの記事でもラットキャッチャーカワイイとか言ってたし)。ゲーム内でガイとキスする場面で、なんとも言えない絶妙な表情で固まってるのが可愛いかつ笑いを誘ってくるし、ガイがNPCであることを聞いた際、「え!?私キスしちゃったんだけど!?」とうろたえまくる姿がかわい過ぎて萌え死にしそうになりました。

かつてミリーと共にゲームの開発をしていたが、現在はスナミ社でプログラマーをしているキーズ(演:ジョー・キーリー)。
彼はミリーと共にリアル側のドラマを引っ張っていくとても魅力的なキャラクターでした。最初はいろいろと諦めている無気力な感じでしたが、最後はもう立派なヒーローでしたね。あとは最後の最後に、ガイの元となったAIは、開発コード段階からミリーへの想いを込めてプログラミングされた=超奥手なミリーへのラブレターであることがわかるくだり。ロマンチックが過ぎて、「コイツ、コイツぅ!(満面の笑み)」となりました(伝われ)

それから、ガイの親友であり、銀行の警備員のモブキャラであるバディ(演:リル・レル・ハウリー)。
「サングラス族は俺たちの相手なんかしない」とか世界観の説明をしてくれたり、自分がモブキャラだとわかってショックを受けているガイに「今この瞬間はリアルだろ」的な事を言って立ち直るきっかけをくれたり、とても重要(便利)なキャラクターになっていました。クライマックスで「俺のことは気にせず先に行け」的な展開になった際に、ストリーミングを見ていたリアルの警備員が「彼こそ最高の警備員だ」とか言って泣いてるとこ、スゲー面白かったです(笑)

あとは、「フリー・シティ」の開発・運営元であるスナミ社の社長であるアントワン(演:タイカ・ワイティティ)。
どこまで演技でどこからアドリブなのかわからんくらいはっちゃけたキャラでしたね。自社のサーバを物理的に破壊するって、イチ企業としてどーなんだ?と思いましたが、破天荒な人物なのでそれくらいやりかねない…のかな。ま、細かいことは気にしない。
そーいやワイティティ氏は新スースクでもラットキャッチャー2の父親を演じてましたね。『マイティ・ソー バトルロイヤル』では監督兼コーグという岩男役もやっちゃうんだから、ホント多才な人だよなぁ。

他にも、凄腕プレイヤーのアバター役でチャニング・テイタムが出てきたり(最初にチラッと出てきたときなんか似てるなーと思ったら後半でも出てきて本人だった)、全然気付かなかったけど裏路地でモロトフ・ガールに情報を渡すマスク男の声をヒュー・ジャックマン、銀行強盗の声をドウェイン・ジョンソンがやってたり、あとはデュードとのバトルで“あの盾”の持ち主(まさかの本人)がチラッと出てきたりと、カメオ出演も非常に豪華。盾もだけど“あのセーバー”が出てくるとこでも“あのテーマ曲”がちゃんと流れるのには爆笑しました。20世紀がディズニーに買収されたからこそ出来たパロディですね。

とまぁ、そうした魅力的なキャラクターたちが物語を進めていってくれます。

 

本作の面白いところは、ゲーム内とリアルでそれぞれにしっかりとしたドラマがあり、その二つが密接に関わり合いながら話が進んでいく点だと思いました。
ゲーム内では、ガイが本来プレイヤーしか付けることが出来ないサングラスを手にし、どんどんモブの枠を超えて成長していく。リアルでは、「フリー・シティ」がかつてキーズとミリーが開発していたゲームのシステムを盗用して作られたことを暴こうと、ゲーム内に隠された証拠を探していく。その中で、ガイがプレイヤーではなく、二人が開発していた“成長するAI”であることがわかり、更に決定的な証拠として、本来行くことの出来ない水平線の向こうに開発していたゲームの世界があることを突き止める。そこに絶対に行かせたくないアントワンは、ゲームの内外から邪魔をしてくる。ガイはミリーの為にもこれまでの自分から脱却する為にもがんばる。みたいな流れ。非常に納得度の高い脚本だと思いました。

ゲーム世界だからこその演出も楽しかったです。
腕を下ろせないモブとか、ジャンプシューズとか、中盤のガイが死にまくりながらレベルアップしていくとことか(まぁアレ一見いい事してるように見えるけど他のプレイヤーからしたら迷惑行為だろうし、劇中ではヒーローみたいになってたけど実際はめっちゃ叩かれるだろうなと思った)、ポータルガン等の別ゲームからのオマージュとか、煽り屈伸とか、チャニングの踊りとか、上述した“あの盾や武器”等のアイテムとか、他にもたくさん。ゲーム世界であることを逆手に取って、完全に笑わせにきてます。僕はさほど最近のゲームには詳しくないので、わかってないのもいっぱいあると思います。
あと、最後に出てきためっちゃ強いけど未完成でオツムの弱いデュード(演:顔だけライアン・レイノルズ)のキャラクターも、steamのクソゲーみたいで面白かったです。キメ台詞が「キメ台詞!」って(笑)

それから、本作のテーマについてもとても秀逸だと思いました。ゲームを題材にした作品にありがちな「ゲームもいいけど、現実もね」みたいなのから更に踏み込んでいて、「どんな人、どんな場所であろうと、決められたレールに沿って生きるだけじゃなく、自分の好きなように生きていいんだ」といったメッセージを感じました。ガイがモブのみんなを集めて発破をかけるシーンとかまさにそうですよね。非常に普遍的な、どんな時代でも通用するテーマなのではないかと思います。

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ユナイテッドシネマとしまえんにはデカいポスターがありました。

おかげさまで本作は大ヒット。ディズニーは続編の制作を切望しているのだとか。でもかなりキレイに終わっているし、続編作るとしてもどうするんだろ?とは思います。
ガイが現実世界に来ちゃうとか?
なんにせよ、続編あるなら絶対に見たい!と思わせてくれる、非常に楽しい映画でした。

 

ということで、映画『フリー・ガイ』の感想でした。

ではまた。