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Vシネクスト『特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター』感想(ネタバレ)

Vシネクスト『特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

特捜戦隊デカレンジャー』は、2004年~2005年にかけてテレビ朝日系列にて放送された、スーパー戦隊シリーズの一作。

“警察”を本格的にモチーフにした初の戦隊であり(メンバーのひとりが警察官だったりは以前からありましたが、全員が警察組織に属しているのは初だったはず)、特定の敵組織などが存在せず、様々な宇宙人が巻き起こすトラブルを解決していく、1話完結方式の作風が特徴となっています。TVシリーズ終了後も、10周年を記念して製作された『特捜戦隊デカレンジャー 10 YEARS AFTER』や、警察つながりで宇宙刑事ギャバンとコラボした『スペース・スクワッド ギャバンVSデカレンジャー』など、たびたび続編が製作される人気作となっています。

 

テン・ゴーカイジャー』の感想でちょこっと言及していますが、僕は歴代スーパー戦隊の中でもデカレンジャーが特に好きでして。昔から「合体シークエンスはCGよりミニチュア派」だったので、ガオレンからCGメインになっていた合体バンクがミニチュアに回帰して興奮したし、占拠されたデカベースをジワジワと奪還していく、派手な展開もロボ戦もない地味な最終回も、リアリティがあってすごい好きなんですよね。たぶん、個人的好きな戦隊ランキングでベスト5には入ってくると思います。

 

もくじ

 

概要

そして、TVシリーズ放送から20周年となる今年、またまた続編が製作されることとなりました。

それが本作、『特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター』です。

現実と同様、20年が経過した世界を舞台に、デカレンジャーの新たな活躍が描かれる正統続編となっています。

 

監督は、TVシリーズでもパイロット監督を務めた渡辺勝也
恐竜戦隊ジュウレンジャー』で監督デビューして以降、『魔法戦隊マジレンジャー』『炎神戦隊ゴーオンジャー』などのスーパー戦隊シリーズ、『仮面ライダークウガ』から最新作『仮面ライダーガッチャード』といった仮面ライダーシリーズ、『テツワン探偵ロボタック』といったメタルヒーローシリーズなどなど、数多くの作品で監督を務めている、今や日本の特撮界に欠かせない人物です。

脚本も、TVシリーズでメイン脚本を務めた荒川稔久
仮面ライダーBLACK』で特撮作品の脚本に初参加し、『仮面ライダークウガ』、デカレン、『海賊戦隊ゴーカイジャー』、『魔進戦隊キラメイジャー』などでメイン脚本を担当。今挙げた作品は全て僕が特に好きな作品、つまり荒川さんは個人的激推しな脚本家さんです。

それから、アクション監督兼デカレッドのスーツアクターを、福沢博文が務めています。
百獣戦隊ガオレンジャー』からゴーカイジャーまでのほとんどの作品でレッドのスーツアクターを務め、『特命戦隊ゴーバスターズ』以降はアクション監督へ転向。仮面ライダーのレジェンドが高岩さんなら、戦隊のレジェンドは福沢さんと言って差し支えないほど、特オタ界では有名なお方です。僕なんて太っていく一方なのに、50過ぎてもあのスタイルを維持しているのすごすぎ!

 

キャストは、さいねい龍二林剛史伊藤陽佑木下あゆ美菊地美香吉田友一といった、おなじみのメンバーがフル出演。そのほかゲストとして、ボーイズグループ7ORDERのメンバー長妻怜央ハロプロ所属のアンジュルムのメンバー川村文乃、ロボタックや『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』に出演した黒川芽以らが出演しています。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

白昼堂々、大規模な連続爆破事件が発生。
早速、デカレンジャーは捜査に乗り出します。

ファイヤースクワッド隊長として宇宙で勤務しているバンこと赤座伴番デカレッド(演:さいねい龍二)も、新人隊員の江戸川塁プレミアデカレッド(演:長妻怜央)を連れて、捜査に加わることに。

容疑者として挙がった宇宙人、ラエンジョ(演:黒川芽以)を追って、バン、塁、ウメコこと胡堂小梅デカピンク(演:菊地美香)はエイリアン特区へ。ホージーこと戸増宝児デカブルー(演:林剛史)とジャスミンこと日渡茉莉花デカイエロー(演:木下あゆ美)は、ラエンジョの故郷、チーマ星へ。そしてセンちゃんこと江成仙一デカグリーン(演:伊藤陽佑)とテツこと姶良鉄幹デカブレイク(演:吉田友一)は、どういうわけか高知県へ…。それぞれが好き勝手バラバラに捜査をし始める状況に、戸惑いを隠せない塁。

果たして、真犯人は誰なのか。そしてその目的とは――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

高知県へ行きたくなりました(笑)

本作の特筆すべき点は、オール地方ロケで撮影されていること。中でも、高知県のシーンはかなり比重が置かれていて、さながら高知県の観光PRビデオのようでした。これはひとえに、今は俳優を引退して高知で鍼灸師高知市地域活性推進課職員を務めている吉田氏の尽力によるものでしょうね。ちょっと個人的なアレが入り過ぎているくらい、あまりにも高知推しだったような気もしますが…。でも、リドミハ星人モクミス(演:川村文乃)という、高知を離れられない宇宙植物学者を登場させることで、「刑事もの」と「高知(のPR)」といった課題をしっかりお話に組み込んでいて、なかなかうまいなーと思いました。違和感がないわけではないけど、可能な限り軽減している、といいますか。

まーね、コレ見てる人は僕含めみんな重度のオタクであり、吉田氏の現在とか当然知ってるでしょう(僕は確かYahoo!ニュースか何かで知りました)。特オタという生き物は、特撮出身の俳優の活動は半ば無意識のうちに取り込んでいるものなのです。なので全員、「あ、なるほどそういうことね(笑)」とすぐに事情を理解して、ほくそ笑みながら鑑賞していることと思います。

 

本作は「デカレンジャーの続編」という観点でも、面白いものになっていました。

勤続20年という大ベテランとなったデカレンジャーの面々なので、それぞれのキャラクターもすっかり板についてきた感がありました。そして、そんなクセ強めな面々を信頼して、「わかった、やってみろ」と送り出すボスの安心感。「こんな感じでずっとやってきたんだな」というのが伝わってきて、すごく良かったです。また、塁という新キャラの視点を通すことで、デカレンを知らない世代の人にも「デカレンジャーはこういう人たちでやってます」というのが伝わりやすくなっていると思いました。

塁は「世代交代」を感じさせるキャラとしても機能していましたね。『10 YEARS AFTER』の時も「世代交代」は大きなテーマであったものの、あのときは結局後輩が悪者と通じていましたし、「まだまだ若者には負けないぜ!」みたいなオチでした。ただ、10年ならまだそれでいいけれど、20年ともなるとそうはいかない。ベテランらしく落ち着くべき所へ落ち着いて、後進に活躍の場を譲るべきなのか、それともずっと変わらず現役でいるべきなのか。それがさらに重みを帯びて、バンの心にのしかかっていました。その先でバンが下した決断は、「いくつになっても人は輝けるんだ!」といった、リアルタイムで楽しんでいた僕らオッサン世代へのエールのようなものを感じて、なんだか元気が出ました。…こんな重く受け止めてるの僕だけ?

いやしかし、全員40超えてるとは到底思えないあの若々しさはなんなんだってばよ。時止まってるんか?

 

おわりに

ドラマとしての面白さは『10 YEARS AFTER』に軍配が上がるかとも思いますが、デカレンジャーの1エピソードとして遜色のない面白さになっていると思いました。何より、地方で活動していたり、俳優引退していたりと、あの頃とは全く状況は違うのにきちんとメンバー全員そろって出演してくれるのとか、キャスト陣のデカレン愛をひしひしと感じられて、デカレン大好き人間として嬉しく思います。

この調子で、30周年、40周年とやってくれても…いいのよ?

ということで、Vシネクスト『特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター』の感想でした。

ではまた。