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ゴルゴムのしわざか!

映画『るろうに剣心 最終章 The Final』感想(ネタバレ)

るろうに剣心 最終章 The Final』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

※2022/01/18 ところどころ文章や体裁を修正しました。

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るろうに剣心』は、僕が生涯ベストともいえるくらい大好きな漫画です。

約10年前、そんなるろ剣が実写映画化されると聞いてすごく嬉しかったのと同時に、邦画の漫画実写化は当たり外れが激しい(というか当たりが少ない)という印象だったので、どうなるんだろうという一抹の不安もありました。
しかし、公開された映画は原作のテイストとは全く異なるものの、豪華かつハマりまくりのキャストと、香港映画を取り入れたというリアル飛天御剣流というべき目にも止まらぬ超絶アクションで、非常に満足度の高いものになっておりました。特に吉川晃司演じる鵜堂刃衛は、あまりのカッコよさに鼻血出そうになりましたわ。あと武田観柳を演じた香川照之あまりにも香川照之で最高でしたね。

おかげさまで実写映画は人気を博し、続編が作られることとなりました。
1作目を刃衛までにしたのは本当にナイス判断だと思いましたが、「このクオリティで京都編見てぇ~」と思っていたので、前後編で京都編をやると発表されて歓喜したのを覚えています。

そうして公開された『京都大火編』と『伝説の最期編』。
あらゆる面でスケールアップしており、邦画のレベルが数段上がった瞬間を目撃した気がしました。キャストに関しては、志々雄真実を演じた藤原竜也瀬田宗次郎を演じた神木隆之介の素晴らしさはもちろんですが、個人的に一番良かったのは巻町操を演じた土屋太鳳でして。京都弁アレンジもとてもよかったし、アクションも非常に頑張っていてとても良いキャラクターになっておりました。

まぁでも京都編は長いしキャラも多いしで、ストーリーも大枠はなぞってはいるものの、煉獄での闘いで決着をつけちゃった感じで、葵屋での闘いがなかったり、そのせいで宗次郎と安慈以外の十本刀の存在感が皆無だったり、師匠と会うとこがちょっと無理矢理になっていたり(あの世界の海は全てあの海岸に繋がっているのか…?)、原作ファンとしてはちょっと惜しさを感じる部分もありまして。
とはいえ満足度は非常に高いものだったので、「これで終わりみたいだけど、こうなったら人誅編も見てみたいな~」という欲が出てきてしまうのは自明の理。 そんな僕の思いに応えるかのように、人誅編追憶編も制作決定が発表され、「こんなに嬉しいことはない…(cv. 古谷徹)」という思いでした。

軽ーく説明すると、人誅編は京都編のその後、剣心の「」と「償い」、そして次世代への思いの継承を描いたお話。原作者が連載当初から構想していたのはこの人誅編だったのですが、「地味すぎる」といった理由で、テコ入れとして間に京都編を挟んだとかなんとか。その結果、志々雄真実という最高の悪役が誕生したので、当時の作者と編集さんの判断は正しかったということですね。人誅編は確かに地味というか重い話ではあるんですが、それは裏を返すと物語に深みがあるということでもあり、僕はこの人誅編が一番好きなんですよね。
追憶編に関しては『The Beginning』の記事で書きますので、ここでは割愛。

ということで、この『The Final』は人誅編を映画化したものになります。コロナ禍で公開が延期されたり、出演している俳優がアレしちゃったりいろいろあっての公開となりました。しかも、いざ公開されたはいいものの、なんとか宣言で都内の大きな映画館が休業を余儀なくされたりと、踏んだり蹴ったりといった感じ。
僕はどうにか休業直前に駆け込みで見ることができました。見終わった後インスタに超長文で感想をしたためてしまうくらい、見応え抜群の傑作になっていると思いました。
インスタの投稿は長すぎるので載せませんが、そこに書いた感想をベースに、個人的に思った良かったところ、良くなかったところを箇条書きで書いていきます。

 

◎良かったところ

  • なんといっても超絶アクション
    アクションの進化はとどまることを知らず。間違いなくシリーズNo.1だと思います。特にラストの剣心vs縁はすごすぎました。敢えてBGMをつけていないのを評価している人が多い気がしますが、僕はBGMに全然意識がいかないくらい没入していたので気付きませんでした。

  • キャストがハマりまくり
    今作も本当にキャストが素晴らしい。特によかったのはやはり雪代縁役の新田真剣佑ですかね。ルックス、演技、アクションどれも本当によかった。

  • 割と原作に忠実なストーリー
    弥彦絡みのストーリーや落人群に堕ちるとこなど省略している部分もありましたが、『伝説の最後編』とは違いあまり不満は感じませんでした(ごく一部を除く)。なんでだろう。押さえるべきところは押さえているということなんでしょうか(ごく一部を除く)。

  • 青紫様がちゃんと出てきて活躍する
    俳優がアレしちゃったので出てくるか心配していましたが、ちゃんと出てくれました。

  • が原作以上に大活躍する
    上でも書いてますが、今作も操は大変良かった。ちょっと強すぎる気もしましたが、青紫がアレしちゃった影響で操が代わりを担ってたのかな、とか邪推。

  • 斎藤さんもしっかり活躍する
    これまでは牙突撃って終わり、って感じだったのですが、今作は頑張っていたと思います。原作でも大好きなキャラなので嬉しいところ。

  • 左之助の存在感
    正直今作の左之はやられっぱなしでいいとこなしでしたが、左之の強さはタフネスだと思っているので、キャラには合っている気がしました。

  • 乙和瓢湖のアレンジ
    カニ脚を実写にどう落とし込むのかと思っていましたが、変な形の刀にするのは面白いなぁと思いました。まぁ『月華の剣士』という格ゲーに出てくるってキャラに似すぎ感はあれど。

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    これが骸(紫鏡)。武器がまんまコレでした。
    散り様もなかなか見事でしたね。原作では絶対あんな事しないだろうなぁ。
    あとどうでもいいけど、八ツ目は『僕のヒーローアカデミア』のエクトプラズム先生みたいでした。原作はモロにヴェノムなので、そりゃあのまま出せるわけないですよね…。

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    これがエクトプラズム先生。
  • 恐らく敢えて原作と違うマッチメイクにしてるとこ
    原作:左之助 vs 番神 / 斎藤 vs 八ツ目 / 青紫 vs 外印
    今作:操 vs 八ツ目 / 斎藤 vs よく知らん人
    になっており、新鮮な気持ちで見れました。ちなみに外印は1作目で出しちゃってるので今作では未登場。

  • まさかの共闘
    終盤、が出てくるのは全然知らなかったのでビックリしました。(原作の展開を改変してでも)観客が見たい絵を全部見せてやろうという制作側の熱い気持ちを感じました。まぁ、「ここは僕に任せて先に行ってください」って別れた後のフォローが何もないのは気になりましたが…。

  • 締め方
    原作の「逆刃刀を弥彦に受け継ぐ」ラストが本当に好きすぎるのですが、弥彦絡みのストーリーはごっそり削っているので、それはないとわかっていました。なので、必然的に「薫殿と巴の墓参りに行く」ところで締めるしかないわけで。まぁでも、薫殿と新しい時代を共に歩んでいくというのは、“剣心の物語の終わり”としては良かったんじゃないかと思います。あくまで“ラストシーン”としては、ですけど…。詳しくは後述。

 

×良くないと思ったところ

  • 最初のシークエンス
    縁が汽車内で謎に大暴れして、謎に捕まって、謎に釈放される。…ここいる?と思ってしまいました。縁が只者じゃないってとこを見せたい気持ちはわかるのですが…。けん玉で殺すとことか楽しい見せ場もありましたけどね。

  • を出した意味
    原作をなぞってくれるのは大変ありがたいのですが、別にコイツは出さなくても良かったのでは。あと演じた三浦涼介はアンクなので大好きな役者さんですが、演技がオーバーでちょっとキャラに合っていない気がしました。

  • 縁が神谷道場に死体袋持ってくるとこ
    ニセ薫のくだりは尺的に省かれるだろうなと思っていて実際その通りだったんですが、じゃあどうして縁はクソ重い死体をわざわざ持ってきたんですかね…?原作ファン向けのミスリードくらいしか思い浮かばない…。

  • 番神、外印が出てこない
    番神がよくわからんオリキャラ(乾天門というらしい)になっているとかそこはどうでもよくて、1作目で式尉般若をこの2人に置き換えたのが納得いかないのです。大好きな左之助vs番神を1作目で見れたのは確かに良かったけど、式尉と般若ええキャラやん、あの2人のままでよかったやん、という思い。あと1作目の外印の中身を綾野GOにしてしまうのは、「シャアみたいに仮面の中はイケメンみたいな風潮あるけど、実際そんなことあるわけないよね」みたいな作者の想いとはかけ離れてしまっているような。

  • 弥彦絡みのストーリー全カット
    剣心の物語に絞ったのは英断だとも思いますが、るろ剣は結局のところ弥彦の話だと思っているので、弥彦が一切活躍しないどころか、彼の成長が一切描写されないのはちょっと思うところがありました。
    「自分だけ弱いのはもう嫌なんだ」とかの大事なセリフも薫殿がさらっというだけになっちゃってましたし、神谷活心流奥義の会得とかも丸々カットされていて、そのせいで鯨波とかも一層小物になっちゃってましたし。上で“剣心の物語の終わり”としては良かったと書きましたが、“るろうに剣心”の終わりとしては、少々不満の残るところでした。
    ※2022/01/18 個人的に強く伝えたい部分だったので、諸々追記しました。

  • 剣心が最後まで「答え」を見つけないまま闘うところ
    ハイ、今からメンドクサイオタクが出てきますよー。注意して下さいねー。
    ここまで書いてきた良くないとこは全てある程度納得というか仕方ないと思えるものでしたが、これに関してはどうしても許容出来ない部分。

    上でも書いたとおり、人誅編は剣心の「罪」とその「償い」を描いた話であり、最後に剣心が出す「答え」が、るろうに剣心という作品全体のキモだと個人的に思っていて。なのに、本作では結局、最後の最後までその答えを出さないまま終わるんですよね。
    いやいやいや、それは絶対に違うだろと。
    しかもラストバトルで「どうしたらいいのか今でもわからん」的なことを言っちゃうので、「えぇ…嘘でしょ…?」と愕然としてしまいました。描写しないだけならまだしも、はっきり明言させちゃうのかよ…という。
    上で本作の締め方は良かったと書きましたが、これはあくまでラストシーンの“絵面”として良かったというだけであって、答えも出てないフワフワした状態で巴にさよならするのは違うんじゃないか。「逆刃刀とそれに込められた信念を弥彦へ継承する」という部分をカットしていることも相まって、これでは剣心の物語が真の意味で完結したことにはならないんじゃないか。とか色々考えちゃってめっちゃモヤモヤしました。
    あー我ながらメンドクサイ。キリがないのでこの辺にしときます。
    ※2022/01/18 客観的に読むと言ってることコロコロ変わりすぎじゃ…と思ったので、諸々修正しました。
     でもこれで齟齬がなくなるかというとそうでもない気がしますが…。これが今の僕の限界です。

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色々書いちゃいましたが、間違いなく邦画のアクションの最高峰だと思います。本当に素晴らしい作品でした。
おいおい『The Beginning』の方も書いていきたいと思います。

 

ということで、映画『るろうに剣心 最終章 The Final』の感想でした。

 ではまた。