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映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼 4Kリマスター』感想(ネタバレ)

映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼 4Kリマスター』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

目次

 

概要

本作は、1987年に劇場公開されたSF長編アニメーション映画。アニメ制作会社GAINAX(ガイナックス)が初めて手掛けた作品となっています。制作に携わったスタッフの平均年齢は24歳とのことで、その若き才能には驚くばかり。

ガイナックスといえば、『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』『新世紀エヴァンゲリオン』『天元突破グレンラガン』など、数多くのヒット作を生み出した会社。今や日本を代表するクリエイターである庵野秀明氏をはじめ、ガイナックスから独立したスタッフが作った会社がGONZOだったりTRIGGERだったりと、超一流の人達を数多く輩出してきた、すごい会社です。まぁ現在は色々と大変みたいですが…。興味があればググってみてください。ニュースにもなってたし、知ってる方も多いかと思いますが…。

 

本作が公開された当時は、難解かつ大人向けのストーリーのためか、興行成績も振るわなかったんだとか。しかし、ビデオ・レーザーディスクの発売を契機にじわじわと評価を上げていき、1997年にはドルビーデジタル版としてサウンドをリニューアルして再上映されたそうです。そして公開から35周年となる今年、最新の技術でリマスターされ、またも上映されることとなりました。こうして何度も再上映しているという点でも、本作の人気の高さが窺えます。

僕は、本作は一応認知してるけど見てはいない、といった状態でしたが、てゅいったーで「作画がすごいアニメ!」みたいなハッシュタグで本作がよく出てくるので、見たい見たいと思っていました(最近だと「#このシーン嫌いな人いない説」が軽く流行りましたね)。でもアマプラ見放題にも無いし、ほかの作品を優先したりしていて、これまでずっと見るタイミングを逃してきたんですよね。なので今回のリマスター版公開を知った時は、「ぜってえ見に行ってやんぜ!」と思ったものです。そういや2020年に『トップをねらえ!』が再上映されたときも、全く同様の経緯で見に行ったっけ。

 

語りがいのある作品だと思うので、ストーリーの解説や考察とか出来たらいいですが、僕の足りない脳みそではそんなこと無理なので、率直な感想や見た直後の熱い思いなんかを書いていきたいと思います。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

舞台は、オネアミス王国という、架空の国。
シロツグ・ラーダット(声:森本レオ)は、王立宇宙軍の士官。ごくごく普通の中流家庭に生まれた彼は、一度は水軍(海軍のようなもの)のパイロットとして空を飛び回る事を夢見るも、成績が足らず断念した過去がありました。宇宙軍は落ちこぼれの集まりと揶揄されており、所属する軍人たちも、昼は適当に訓練をこなし、夜は歓楽街で飲み歩くといった、自堕落な生活を送っていました。

ある日、シロツグは歓楽街で布教活動をしている少女、リイクニ・ノンデライコ(声:弥生みつき)と出会います。始めは下心から近づくシロツグでしたが、彼女は宇宙軍を、「誰とも戦わず、誰も知らない世界へ飛び立とうとする素晴らしい軍隊」と褒めてくれます。その言葉はシロツグのやる気に火を付け、後日、人類初の有人宇宙飛行計画を知らされた際、自ら宇宙飛行士に志願してしまいます。急にはりきり出したシロツグに戸惑う同僚たちも、だんだんと彼の熱意に感化され、ロケット打ち上げの為に邁進していきます。

この一大プロジェクトを政治利用しようとする者、軍事利用しようとする者が現れる中、彼らのチャレンジは成功するのだろうか――。

というのがあらすじ。

 

凄まじい作画クオリティ

わかっちゃいたけど、改めてとてつもない映像美でした。4Kリマスターされた映像は、もはや最新の大作映画に引けを取らないほど。1988年公開の『AKIRA』を初めて見たとき(たしか15年前くらい)、最新の映画をも凌駕するそのクオリティに衝撃を受けましたが、それに比肩するほどの驚きがありました。

特に戦闘機などのメカ作画や、空中戦での弾道、計器等の描写が凄まじく、それがラストの興奮と感動に繋がっているように思いました。恐らく作画監督を務めた庵野秀明氏の趣味なんだろうなーと(笑)

 

胸を熱くするドラマ

大まかな流れとしては、序盤は比較的淡々と日常描写を描いて、登場人物と共に物語もジワジワと熱を帯びていき、クライマックスで最高潮に達する、といった感じだったと思います。『トップをねらえ!』もこんな感じだったので、本作の経験が活きたということですかね。終盤の宇宙船発進シーンでは、そのとてつもない映像も相まって、めちゃくちゃ泣かされてしまいました。

リイクニとマナに何も救済が無かったのはちょっとしこりの残るところではありましたが、まぁ主軸ではないし、仕方ないのかな。最近ああいう幸薄いキャラに過剰に感情移入しちゃって、見ていられないような気持ちになっちゃうんですよね。歳かな…。

ガイナックスのゴタゴタで今となっては制作される望みは薄いですが、『蒼きウル』という続編の企画もあったそうで、もしかしてそこで救済があったのかもと考えると、なんとも惜しい気持ちになります。スタジオカラーとかで、どうにか作っていただけませんか…?

 

宇宙からの祈り

ラストでシロツグは、宇宙から地球を見下ろし、用意していた原稿のことなどすっかり忘れ、祈りにも似たメッセージを全世界に発信します。このメッセージが、「我々をどうか見守っていてください」というよりかは、「我々人類はどれだけ業を重ねるのでしょうね」という感じの内容だったのがまたグッときました。

地上を汚し、大気を汚し、更には宇宙まで…。こんなところまできて本当に良かったのだろうか。もしそれが悪いことだったとしても、神様、どうかお赦し下さい。人類に罰を与えるのはもう少し待ってくれませんか。

そんな感じのメッセージだったように僕は感じました。森本レオの優しくもどこか悲しげな声が、心に沁みてきましたね…。

最後に流れた人類の歴史のダイジェスト映像みたいなのは、人類そのものの走馬灯のようにも見えてきて、考えさせられるものだったように思います。

 

おわりに

短いですが、感想は以上です。
宮崎駿安彦良和は本作を見て酷評したらしいですが、僕は本当に素晴らしい作品だと思いました。いやー映画館で見れて良かった。

なんか最近、過去の名作をリマスターして再上映するの増えてる気がしますね。まだまだ知らない名作映画は山ほどあるし、個人的にはありがたい限り。いいぞもっとやれ。

ということで、映画『王立宇宙軍 オネアミスの翼 4Kリマスター』の感想でした。

ではまた。