映画『果てしなきスカーレット』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

『時をかける少女』や『サマーウォーズ』などで知られる細田守監督の4年ぶりの最新作、『果てしなきスカーレット』。
父を殺された主人公が、敵討ちのために冒険を繰り広げる、復讐劇となっています。
細田監督の前作『竜とそばかすの姫』の感想も当時書きましたので、良かったらこちらもどうぞ。
もくじ
概要
本作は、シェイクスピア作の悲劇『ハムレット』をベースとし、現代風に描きなおしたような作風が特徴となっています。というか、スカーレットと聖以外のキャラはほぼハムレットまんまなんですね。
前作も『美女と野獣』を細田流に描きなおした作風でしたし、こういうの好きなんですかね。それとも完全オリジナルで脚本を書く力がないか…。
本作でも原作・脚本・監督を務めるのは、細田守。
言わずもがな、今や日本を代表するアニメクリエイターのひとりですね。
アニメーション製作ももちろん、細田監督が設立したスタジオ地図が担当。
キャストは、主人公の声を芦田愛菜、共に旅をする青年を岡田将生、そのほか役所広司、市村正親、山路和弘、柄本時生、青木崇高、染谷将太など、実力派の俳優陣が務めています。
予告編
あらすじ
ここは、死者の国。
中世デンマーク王国の王女、スカーレット(声:芦田愛菜)は、父を殺した張本人、クローディアス(声:役所広司)への敵討ちに失敗し、この地へと堕とされました。
絶望の中、消えていく運命に身を委ねようとするも、この地でもクローディアスは己の欲望のままに人々を支配していることを聞き、今度こそ復讐を果たすべく立ち上がります。
道中、現代日本で看護師をしている聖(声:岡田将生)という青年と出会い、なりゆきで共に旅をすることに。敵味方関係なく命を救おうとする聖の優しさに触れ、荒みきったスカーレットも徐々に心を許していきます。やがて、彼女は自身の生きる意味を見つめなおしていき――。
というのがあらすじ。
感想
ごめんなさい。僕はあんまり面白いとは思えませんでした。
既にネットではものすごい袋叩きに遭っている本作ですが、僕もだいたい同じような感想です。
まず、映像に関しては本当に素晴らしい。
前作では現実世界は手書きアニメ、電脳世界ではCGアニメという描き分けがされていましたが、本作でも同じく現実世界は手書き、死者の国はCGで描かれていました。ただ本作ではほとんどのシーンが死者の国なので、必然的にCGアニメの比率が高くなっています。前作と違ってどちらの世界でも見た目が変わらず、今どちらの世界を描いているのかわかりにくくなりそうなところを、この描き分けによって感覚的にわかるようになっているので、とても良かったと思います。
CGでありながらあえて手書きっぽくしているタッチも、個人的にはすごく好みでした。今はAIでキレイなアニメをいくらでも生成出来てしまうので、あえて手書きっぽさを意識したんだそうです。時代ですねぇ。
色彩豊かな世界観も、映画館で見るにふさわしいスケールで表現されていたと思います。
キャストもとても良かったです。
愛菜ちゃんの声質はちょっと幼過ぎる感じもありましたが、演技が上手なのでそれほど違和感は感じず。岡田将生の声もザ・好青年って感じでキャラに合っていました。ほかの俳優陣も本当に実力派揃いなので、しっかりとキャラに合った演技をしており、鑑賞におけるノイズは全くありませんでした。
だがしかし。
脚本が本当に良くない。
なんか、ずーっとよくわからないままなんですよね。映画始まって第一声が確か「ここは、死者の国――。」だったと思うんですが、まだ何も見せられてないので「え?どこが死者の国?」となりまして。もしかしてこの感じが最後まで続くのか…?と危惧していたら、本当にその通りだったという。
ほかにも、唐突に出てきた“見果てぬ場所”をなぜか全員が共通認識として持っていて、見てるこっちは全然ついてけないとか、聖はなんでそんな弓うまいの?とか(弓打つときの足ドン!ってやるヤツがやたら迫力たっぷりに演出されてて笑った)、フラダンスシーンをはじめキャラバンのくだり丸ごと要らなかった気がしてならないとか、渋谷のダンスシーンに至ってはあまりに意味不明かつ無駄に長くて見てるこっちが恥ずかしくなるレベルだったとか、ドラゴンは結局何だったの?とか、聖が自分の死を自覚したらなんでほかの人を殺せるようになるのかさっぱりわからんとか、挙げればキリがないんですけども。
「人はどんな世界、どんな時代でも争いをやめることは出来ない」
「そんな世の中で、なぜ人は生きるのか」
「人が人を思いやる気持ち、すなわち愛こそが、人が生きる理由」
とまぁ、こういったことが描きたいんだろうな、というのはなんとなく伝わってきました。普遍的なテーマですし、それ自体はとても良いものだと思います。それなのに、脚本が下手過ぎてそうしたテーマが全然伝わってこない。結構致命的だなと思いました。
冒頭に貼った前作の僕の感想をお読みいただくとわかるんですが、前作も脚本はまぁ~良くなかったんですよ。特に最後の方は到底受け入れられないレベルで。ただ、脚本というデカいマイナスはあれど、電脳世界のビジュアルとか、何よりベルの歌の素晴らしさとか、プラスの要素も結構あったので、総じて「なかなか良い作品だったね」という評価に落ち着いたんです。
本作はどうだったかというと、小さいマイナスがずーっと積み重なっていく感じで、それを帳消しに出来るだけのプラス要素が足りない、という印象。歌も悪夢のような渋谷のシーンと、エンディングくらいしかありませんでしたし。あ、エンディングの歌はとても良かったです。愛菜ちゃんやっぱり歌うまいねぇ。
見た人ほぼ全員言ってますが、細田監督が脚本書くのもうやめた方がいいと僕も思います。映像面はこの上ないくらいのクオリティを毎回お出ししてくれているのに、この脚本では台無しですよ。
今後も新作が公開されたら絶対見に行くと思うので、映像に見合うだけの脚本づくりを期待したいです。
おわりに
こんなもんにしときます。
いやー、ずいぶんとブログの更新をサボってしまいました。そして久々の感想がこんな酷評ばかりですみません。世間的に駄作と言われる作品でも割と楽しめる方の人間なので、ここまで言うのは自分でも珍しいと思います。でもこんな作品だったからこそブログに残そうというモチベが上がったので、そういう意味では感謝ですね(笑)
正直、あまり人におすすめ出来る作品ではありません。ですが、このまま大爆死して細田監督の次回作が立ち消えにならないよう、応援の気持ちを込めて映画館へ行ってみてはいかがでしょうか…って自分でも何言ってるかよくわかんねぇや。

ということで、映画『果てしなきスカーレット』の感想でした。
ではまた。