GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『サマリタン』感想(ネタバレ)

映画『サマリタン』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

シルヴェスター・スタローン主演のスーパーヒーロー映画が08/26よりAmazon Prime Videoで独占配信された事を知り、なんとなく興味をそそられたので見てみました。

今年で御年76歳になるスタローン氏、未だ現役バリバリなのが本当にすごい。
いつまでもお元気でいて欲しいものです。

 

本作は、MythosComicsのグラフィック・ノベルがベースとなっているそうです。アメコミにはまだ手を出せずにいるのでよくわかりませんが、『ウォッチメン』みたいな感じかな。

特徴としては、ヒーローの誕生=オリジンや、全盛期を描いているのではなく、ヒーローを退いたその後(老後?)を描いている点が挙げられます。ウルヴァリンの最期を描いた、『LOGAN』に近い作りと言えるかもしれません。その辺にいるオジサンが実はめっちゃ強かった、という点では、『イコライザー』なんかも近いかもしれないですね。見る前はウィル・スミス主演の『ハンコック』なんかも連想してましたが、それとはちょっと違うような気がします。
こういった「ジジイが最強」的な作品は個人的にすごく好みなので、たぶんそれで興味をそそられたんだと思います。

 

↓予告編はこちら。


www.youtube.com

 

シルヴェスター・スタローンは大好きな俳優さんですが、出演作をちゃんと見ているかと言われると、正直あまり見ていない…。

ロッキー』シリーズはどのナンバリングかわかりませんが午後ローか何かでやってたのを流し見ただけですし、『ランボー』シリーズも全く見てないです。どちらも見ようと思いつつも、優先度が低めになってしまっている感じ。『エクスペンダブルズ』シリーズは大好きで、一応全部見てます。あとは『ジャッジ・ドレッド』とかも見たかな。他にもちょこちょこ見てる作品はあると思いますが、恥ずかしながら全く覚えてない…。とまぁ、そんな程度です。

そーいや、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』に登場した、宇宙海賊ラヴェジャーズのスピンオフをやるとかやらないとか言ってましたが、あれどーなったんでしょうかね。ジェームズ・ガン監督は『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー Vol.3』を最後にMCUから退いてDCの方に行くみたいだし、実現は難しい気が…(ジェームズ・ガン以外の人が撮る可能性もあるけど)。
あ、ちなみにスタローンはラヴェジャーズの中心メンバーであるスタカースターホーク役でカメオ出演しています。

 

どーでもいい話はこれくらいにして、簡単に感想を書いていきたいと思います。

 

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舞台は、ラニット・シティという街。
この街にはかつて、超人的な力を持った双子の兄弟がいました。その力は人々に忌み嫌われ、放火によって彼らの両親は亡くなります。双子の1人は正義に目覚め、サマリタンとして人々を助け、もう1人は悪に染まり、ネメシスとなって人々への復讐を開始します。
そこから2人は幾度となく対立。ネメシスはサマリタン達への恨みを込めたハンマーを鍛え上げ、戦いを有利に進めます。しかし最終決戦にて、舞台となった発電所が事故により大爆発を起こし、2人は生死不明に。

それから25年後の、現在。
街では格差社会が広がり、職を失った浮浪者も数多く、人々は不満を募らせていました。
そんな街で、13歳の少年、サム・クレアリー(演:ジャヴォン・“ワナ”・ウォルトン)は、シングルマザーであるティファニー・クレアリー(演:ダーシャ・ポランコ)と、裕福ではないものの仲良く暮らしていました。サムはサマリタンの大ファンで、今でもサマリタンは生きていると信じて疑いません。

ある日、サムはギャングのレザ(演:モイセス・アリアス)に誘われ、彼らの仕事の手伝いをすることに。仕事(と言っても強盗ですが)は成功するも、盗み出した箱の中にはお菓子しか入っていませんでした。レザはサムに濡れ衣を着せてリンチしようとします。しかし、ボスであるサイラス(演:ピルウ・アスペック)が現れ、サムを気に入ったことで、事なきを得るのでした。

サイラスに気に入られたことを妬んだレザは後日、再びサムを襲撃。自宅の近くまで逃げるも、追い詰められ、袋叩きに遭います。
そこへ、近所に住むジョー・スミス(演:シルヴェスター・スタローン)が通りかかり、ものすごいパワーでレザ達を吹き飛ばし、サムを助けてくれます。

サムはジョーこそがサマリタンであると推測しますが、ジョーはそれを否定。
一方その頃、ネメシス信者であるサイラスは、彼の遺志を継ごうと、計画を実行に移します。

果たして、ジョーは本当にスーパーヒーローなのか。
そして、サイラスを止めることは出来るのか――。

というのがあらすじ。

 

まず、スタローン演じるジョーの渋さ満点の出で立ちがとても良かったです。
歳を重ねてはいるものの、只者ではないと思わせる体格と凄みのある視線なんかが、役柄にピッタリだと思いました。

「これスタントっぽいなー」と感じる場面もありましたが、基本的にはスタローン自身がしっかりアクションをこなしているのが驚き。特に中盤の、チンピラをボコボコにしてからの、車を横に倒して爆風から少女を守る場面は、見応え抜群でした。あと地味に、ジョーが車に思いっきり轢かれる場面もめっちゃショッキングで良かったです。

 

もうひとりの主役というべきサムに関しては、サム役の子の演技が滅茶苦茶うまくて、ついつい感情移入してしまいました。お母ちゃんも、少ない稼ぎの中で懸命にサムを育てていて、深い愛情が感じられてすごく良かったです。「ウソはすぐにバレる」のとことか、ちゃんと子供の事わかってるんだなー、というのが伝わってきて、そんな大したシーンでもないのにちょっと感動しちゃいました。

あと、元気な老人を見つけるたびにジャーナリストの人に「あの人がサマリタンだ!」って言いに行ってる、ってのが可愛いと同時に、すっかりオオカミ少年になってしまっているというのが悲しい…。

 

サイラスは、まぁ…『JOKER ジョーカー』のラストに出てきたモブのジョーカー信者のひとり、って感じでした。要は小物ですな。
ネメシスは権力者どもから自分たち市民を救おうとしてくれてたから、自分はその遺志を継ぐ、みたいな目的は立派なんですが、やってることは一般人を苦しめたり殺したりと只のイチ小悪党といった感じで、彼の理想とするネメシスとはかけ離れてる、というのがまた何とも。

あ、でも、部下の女の子(名前忘れた)が最後の場面で爆破に巻き込まれて即死したとき、「アイツが…アイツがぁぁ…!」って取り乱してて、「あ、一応部下に対する愛情みたいなのはあるんだ…」と思って、好感度がちょっとだけ上がりました。個人的にあの女の子はなかなかいいキャラだと思ったので、あっけなく殺したのはちょっと不満。

てかネメシスのハンマー安っぽ過ぎない?アレ市販のヤツに紋章入れただけじゃん…というのは、触れない方がいいのかな…。ソーのムジョルニア、とまでは行かずとも、もう少し頑張ってほしかった…。

 

お話としては上述の通り、「舐めてたオッサンが実は最強でした」のパターンのヤツ。
敢えて善悪の境目を曖昧にしているところは、面白いなーと思いました。いっぱい匂わせがあったのですぐにわかってしまったものの、「ジョーはサマリタンなのか?それともネメシスなのか?」をラストまで明かさずに引っ張ったところとか、「ネメシスは不当な権力者しか狙わない」というサイラスの言葉からすると、ネメシスはただの純粋悪ではなく、悪を以て悪を征すダークヒーローだったのでは?と思わせるところとか、最後のジョーの「悪事を働くのは悪党だけではない。人の中には善と悪の両方があり、どちらを選ぶかはその人次第だ」という言葉とかに、強いメッセージ性を感じました。現代的というかなんというか、とにかくこの辺は見応えのある部分でした。
ビジュアル面でも、街の荒んでいる様子がうまく表現されていて良かったです。

 

ただ、僕の好みではない部分もチラホラありまして。

まずひとつが、クライマックスのジョーがあまりにも強すぎるところ。車に轢かれて骨がバキバキになってたり、顔や背中に古傷が残ってたりするので、「普通の人よりかはかなり頑丈で回復力も凄まじいけど、限度はある」って感じかと思ってたのに、最後の戦いでは無傷どころか銃弾すら跳ね返してて、いや強すぎるだろ!と思ってしまいました。実際にはケガしてたけど、気合で超回復してた、とか?…であればそういった描写を入れてほしかった。
強すぎること自体は別にいいんですが、これまで描かれてきたよりも明らかに強くなっているのがちょっとなぁ、と思った次第。

 

それから、中盤で爆風から助けてもらった少女が、TVの取材でベラベラ喋ってんのが、「なんだァ?てめェ…」となりました(大人げない)

記憶違いかもしれないですが、確か直前にジョーに内緒にするよう言われてなかったっけ。全然約束守ってねぇじゃん、この恩知らずめ…!と思ってしまいました(大人げない)。何でもかんでもTVやSNSなどで拡散されてしまう今の社会を描いているというのと、ラストでサムが「サマリタンが助けてくれたんだ。彼はきっとサマリタンに違いないよ」とジョーをかばうシーンとの対比になっている、というのはなんとなくわかりますが、ちょっとモヤっとしてしまいました。

あと、すぐ目の前で電子機器をダメにするEMP爆弾が爆発したのに、なんでスマホはダメになってないんだろ、という素朴な疑問。

 

あとあと、ラストでジョーがサイラスを穴へ突き落とすところは、個人的に一番の不満点。
かつての発電所の事故で、空いた穴に落ちた双子の兄弟を助け出すことが出来なかったシーンとの対比なのはわかりますが、であれば尚更、穴に落ちそうになったサイラスを助け出したりして、「あの時は救うことが出来なかったけれど、今度は悪人とはいえ救うことが出来た」みたいにしてほしかったなぁ、という個人的な願望。ジョーは確かに単純な“正義のヒーロー”ではないけれど、ここだけ「悪は死すべし!正義は勝つ!」みたいな感じで、本作のテーマから逸脱しているようにも見えましたし。

 

燃え盛る建物からサムを助け出した後、ジョーは姿を消した…と思ったら群衆に紛れて普通にいる!しかもめっちゃこっち見てる!なんか頷いてる!というラストシーンには、「いやいるんかい!」と一瞬笑いそうになりましたが、今後もサムとはご近所さんとして交流を深めていくだろうし、あくまでTVに映って正体を晒されないようにするのが目的だと思うので、まぁいいか…と考え直しました。

でもやっぱり、あの場面では姿を消して、エピローグ的な場面を作ってそこでサムと仲良くするシーンが流れる…みたいな方が僕は好みかなぁ。MCU作品にどっぷり浸かりすぎて、そっちっぽくならないと違和感を感じるような体になってしまったのかもしれない…。よくないなぁ…もっといろんな作品見なきゃ。

 

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てな感じで、感想は以上です。
レミニセンス』の時くらい短くする予定だったのに、意外と長くなってしまいました。
すごく良いところもあったし、良くないところもあったかなー、というのが僕の全体的な感想。
ともあれ、今後もアマプラにはネトフリに負けないように、どんどん独占配信作品を増やしていって欲しいものです。

ということで、映画『サマリタン』の感想でした。
ではまた。