GORGOM NO SHIWAZAKA

ゴルゴムのしわざか!

映画『ゴジラ vs コング』感想(ネタバレ)

映画『ゴジラ vs コング』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

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レジェンダリー・エンターテインメントワーナー・ブラザーズ・ピクチャーズが共同で制作している怪獣映画のユニバース、それが『モンスターバース』。

これまで、ギャレス・エドワーズ監督作の『GODZILLA ゴジラ』(2014)、ジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督作の『キングコング:髑髏島の巨神』(2017)、マイケル・ドハティ監督作の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』(2019)が公開されています。

 

そして、モンスターバース第4弾にして最終作(といわれているがまだ続くかも)が、アダム・ウィンガード監督作である本作、『ゴジラ vs コング』です。それぞれ主役を務めたゴジラコングがぶつかり合う、ファン待望の一作となっています。

 

僕はモンスターバースはすべて見ていますが、本家本元である日本のゴジラ映画は恥ずかしながらそれほど見ていないんですよね…。まともに見たのは『シン・ゴジラ』と『ゴジラ FINAL WARS』くらいかな?アニゴジも見てないし、S.P.も録画してあるけどまだ見てない。あとはゴジラではないけど『平成ガメラ3部作』は見た覚えがあります。

ちなみに、ゴジラファンに怒られるかもしれないですが、ヘンテコ作品が好きな僕は『FINAL WARS』が大のお気に入り。ゴジラそっちのけで人間vs宇宙人のバトルに多くの時間割いてたり、人間が普通に怪獣倒してたり、ドン・フライが不死身だったり、「ガイガアアアアアアアアアアアン!!」がカッコよすぎだったり、僕の大好きが詰まった作品。

 

本作に話を戻すと、ゴジラとコングは1962年に日本で公開された『キングコング対ゴジラ』という映画でかつて一度だけ戦ったことがあるようで。本作のタイトルもこの映画へのリスペクトを込めてつけられたのだとか。しかし版権の問題等で再戦はなかなか叶わず、今回約50年ぶりの再戦と相成ったわけです。

そんな両雄が激突する本作は、最高の怪獣プロレスが最初から最後まで堪能できる、なんというか「食べ放題に行って野菜一切食べずに肉だけでお腹いっぱいにする」ような、満足度の非常に高い一作になっておりました。

 

はい、というわけで、感想を書いていきたいと思います。
とはいえ、感想と言っても、僕がインスタで書いたのがすべてだったりするんですよね…。

もうほんとコレに尽きる。

とにかく本作は、「いかにゴジラとコングを戦わせるか」という要素に全てを注いでいるんですよね。なので登場人物やストーリーは、ゴジラ側とコング側で別々に進行して最後に一堂に会するような構成になってはいるものの、ぶっちゃけ戦う場所へ誘導したり、舞台を用意する為にしか存在していない。

ただそれは何も考えていないということではなく、ものすごく緻密に計算して一切の無駄を省いているような、そんな印象。まぁ「そんな馬鹿な」と思うところも少なくは無いんですが、凄まじいスケールのバトルが過剰供給されるもんだから、脳がマヒして細かいところはどうでもよくなりました。

 

まずゴジラ側のドラマでは、『キング・オブ・モンスターズ』(以降KoM)にも登場したキャラが何人か出てきますが、なんかワチャワチャやってんなーくらいにしか思いませんでした。とりあえずモナークは仕事しろ。

ただ、マディソン・ラッセを演じたミリー・ボビー・ブラウンは、KoMでは少年のような少女のような出で立ちだったのに、本作ではすっかり魅力的な女性になっていて、子供の成長は早いなぁ…と思いました(なんじゃその着地)。キャラの性格というか思想は陰謀論に傾倒していてかなりヤバ目になっちゃってましたけど。

 

コング側のドラマも、コングをいろんなバトルフィールドに案内するだけって感じ。
そんな中でも、コングと意思疎通できる少女ジア(演:カイリー・ホットル)は存在感を放っていましたね。耳に障害があるため手話で会話するキャラクターですが、役者さん自身も家族全員が耳に障害を持っていて日常会話に手話を使っているのだとか。こうした人を活かす作品を作れることがとても素晴らしいし、彼女はとても表現力や演技力のある人なので、よくこんな逸材を見つけてくるなぁ、という思い。しかもなんだかんだ小っこい女の子なので、ふとした時のしぐさとか表情とかがめっちゃカワイイというね。時流に乗った作品を鮮度の高いうちに作れるという点でも、日本はまだまだハリウッドには敵わないな、と思い知りました。

最終決戦の舞台は、香港。
ネオンの光に照らされながらの怪獣プロレスは、興奮しすぎて脳がトランスしそうなほどの大スペクタクル。バトルアックスを駆使して一矢報いるコングでしたが、死力を尽くして戦った結果、最後に勝利したのはゴジラでした。

そこに隠し玉としてメカゴジラが登場!そして即暴走!消耗しきっているゴジラをボコボコにするメカゴジラ。そこへ電気ショックで心肺蘇生したコングが駆け付け、ゴジラとコングの友情タッグファイトでメカゴジラを圧倒!!なんだこれ最高が過ぎる…!!

 

いやまぁ、気になる点もありますけどね。
機械に酒かけるだけで弱体化するメカゴジラとか…。
白目しか見せ場の無い小栗旬とか…。(まぁ出演シーンを半分以上カットされたらしいですが、それにしても影が薄い…)

結局のところ、ゴジラメカゴジラの存在を感知してそれをどうにかしようとしてただけ。コングはジア含む人類を守ろうとしただけ。「彼らは太古の昔から戦う運命にあるのよ」とか煽りまくっていましたが、結果として戦うことになっただけで、その原因を作ったのはメカゴジラを作った人類。なんてこったい。

メカゴジラを破壊したあと、「やるじゃねぇか、お前…」「へっ、お前もな…」といった感じで、ゴジラは海底へ、コングは地底世界へ帰っていくのでした。

 

いやー、本当に素晴らしい映画でした。こちらが見たいものをメガ盛りで提供してくれるような、非常に見応えのある作品になっていると思います。まぁ「社会風刺こそがゴジラ」という考えの人には合わないかもですが…。

モンスターバースは今後どうなっていくんですかね。一応これで終わりとの事ですが、本作の大ヒットを受けてシリーズ継続も検討されているとかいないとか。いち視聴者としては、見れることならもっと見たいという気持ちでございます。

 

それにしても、『ブラック・ウィドウ』と2本立てで見てきたのに、他の記事を優先していたらすっかり遅くなってしまった…。もし近くの劇場でまだ公開されていたら、大きい画面で所狭しと暴れまわる怪獣を見てストレス発散してはいかがでしょうか。

ということで、映画『ゴジラ vs コング』の感想でした。

ではまた。

映画『竜とそばかすの姫』感想(ネタバレ)

映画『竜とそばかすの姫』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2022/11/29:諸々書き直しました。

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日本を代表するアニメ映画監督、細田守の最新作である本作。

細田監督の得意とする電脳世界を舞台とし、さながらSF版『美女と野獣』のような、ミュージカル(風)アドベンチャー大作となっております。

 

もくじ

 

細田作品について

細田作品はなんとなく全部見た気になっていましたが、よく考えたらまともに見たのは『サマーウォーズ』くらいで、あとは『おおかみこどもの雨と雪』をながら見したくらいでした(なので天然水のCMの曲が流れるとこしか覚えてない)。『時をかける少女』『バケモノの子』『未来のミライ』は、金ローでやってたのを録画しててあとで見ようと思ってたらHDDの容量がなくなって消してしまったという…。いずれ全部ちゃんと見よう。

あ、『時かけ』はオリジナルの実写映画は見ましたが、最後とかヘンテコすぎてちょっと笑っちゃいましたね…。

 

金ロー夏の風物詩ともいえる『サマーウォーズ』ですが、劇場に見に行った友人から、(同じ細田監督作である)「『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム』みたいで面白かった」という感想を聞いて、「なんじゃそりゃ」と思ってしばらく見ずにいたのですが、重すぎる腰を上げていざ見てみたらめっちゃ面白かったというね。
…あれ、なんか前にも同じこと言ってた気が…。

逆シャアは学生時代に異常に勧めてくる友人がいて、「そこまで言われると逆に見たくなくなってくるな」と思って長いこと未見だったのですが、重い腰を上げて見てみたらめっちゃ面白かったというね。スマン友人よ…。

映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』感想(ネタバレ) - GORGOM NO SHIWAZAKA

生涯であんなに熱い“こいこい”は見たことないし、おそらく今後もアレを超えるモノは見ることが出来ないんじゃないかと。
その後『ぼくらのウォーゲーム』も見て、これもめっちゃ面白かったというね。スマン友人よ…。
※ちなみに『逆シャア』の時とは違う人です(という至極どうでもいい情報)。

 

とまぁ、そんな感じで細田作品にそれほど関心がなかった僕ですが、『サマーウォーズ』と同じくインターネット世界を舞台にした作品ということもあってか、本作に関してはなぜだかすごく興味を惹かれまして。たまたま休みだったのもあり、公開初日にIMAXで見てきました。結果、やはり映画館で見て大正解でした。

この映画は大きな画面と良い音響で鑑賞することで面白さが格段に上がる映画だと思いますので、気になっている方はIMAXなどで見ることをおススメします。

 

はい、どうでもいい前置きはこのくらいにして、感想を書いていきたいと思います。

 

予告編


www.youtube.com

 

あらすじ

高知県の田舎町で暮らす女子高生、すず(声:中村佳穂)。
彼女は幼少期に水難事故で母を亡くしており、それ以来、大好きだった歌を歌えなくなっていました。

すずは親友のヒロちゃん(声:幾田りら)に誘われ、全世界で50億人以上が参加するインターネット仮想空間、<U>に登録。ベルという<As>(アバター)で<U>の世界へ飛び込んだすずは、ここでなら歌を歌える事に気付きます。その歌声はたちまち話題を呼び、瞬く間に謎の歌姫として世界中から注目を浴びることに。

その人気を受け、ベルのコンサートが開かれることになりますが、その最中、(声:佐藤健)と呼ばれる謎のアバターが乱入し、コンサートは中止となってしまいます。激しいバッシングを浴びる竜でしたが、すずは彼の中に何かを感じ、対話をしていく事で、互いに心を開いていくのでした。

一方、現実世界では竜の正体探しで賑わっており、竜をヒーロー視する人まで出てくるなか、<U>の世界でも自警団のリーダー、ジャスティ(声:森川智之)が、竜にアンベイル(アバターの姿を解除し現実での姿に戻すこと)をしようと躍起になっていました。

竜の正体とは。そして、ベル=すずは彼を救うことが出来るのか――。

というのがあらすじ。

 

良かったところ

<U>の世界

とにかく映像がきれいでした。現実世界の自然あふれる風景もさることながら、やはりインターネット世界<U>のビジュアルは、壮大で圧巻の美しさでした。『サマーウォーズ』のOZ(オズ)も大変素晴らしかったですが、本作では基盤のようなデザインの街並みだったり、スピーカーを山ほど付けたクジラだったり、三日月だったり、挙げればキリがないほど良さに溢れていて、『サマーウォーズ』から更に進化しているなと感じました。

あとベルのキャラデザはもちろん、歌うときとかにリング状に他言語の字幕が表示されるとことか、至る所のデザインが本当に素晴らしかったです。流石いろんなところから超一流の人を呼んできただけのことはありますね。細田監督の思い描くインターネット世界のビジュアルはやはり最高だな、と改めて思いました。

あと、リアルは手書きアニメ、<U>の世界はCGアニメという描き分けをしているのも、いい感じに世界観が区別されていて良かったです。

歌の持つ力

主人公すずを演じた中村佳穂さんの歌声が素晴らしすぎました。歌にはこんなにも人の心を動かす力があるのだと思い知らされましたね。

予告とかCMとかで流れまくっているメインテーマの『U』に関しては、正直見る前から若干食傷気味だったのですが、本編を見てみるとサビ以外の部分もすごくいいし、壮大な映像との相乗効果もあってテンション上がりました。サビ直前の「ほうへっさぁ!」のところが個人的お気に入り(伝われ)

U

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  • provided courtesy of iTunes

そのほかの曲も名曲揃いで、中でもクライマックスで歌う『はなればなれの君へ』にはまんまと涙腺を崩壊させられました。サントラ出たら買おうかな…。

 

各キャラクター

僕の個人的MVPは、ヒロちゃん。
ヒロちゃんを演じた幾田りらさんの声と演技がめちゃくちゃ良かったです。ご存じYOASOBIのボーカルikuraとしても大活躍中の彼女ですが、作品内で最もよく喋るキャラクターを頑張って演じていました。よく聞くとそんな演技上手ってわけでもないけど、とにかく声が可愛らしくて最高でした。本職が忙しすぎてなかなか難しいとは思いますが、今後声優の仕事増えるのでは?

あと好きなキャラクターで言えば、ジャスティン。
キメたタイミングで後ろにスポンサーのマークがバーン!と並ぶのが面白かったです。最後は横暴な態度の彼に愛想をつかしたのか、ズラッと並んでいたスポンサーのマークがどんどん散り散りになっていくのが、コントのオチみたいというか、こち亀のエピソードで両さんが欲を出しすぎて最後に全てを失うような感じで楽しかったなぁ、と。

インターネットの描き方

これは良かった点というか印象的だった程度のものなんですが、今作ではインターネットで一番前面に出てくるものとして"誹謗中傷"を描いていまして。<U>の世界でも、何をやってもまず出てくるのは批判的な声。すずも最初、ベルについて批判意見があることに対して過敏に反応していましたね。「こんなん当り前よ」と一蹴するヒロちゃんがまた良き。

ただ、国境や言語を越えてベルが評価されていたり、最後はすずの歌でみんながひとつになったり、ネガティブな要素だけではないんだと、なるべく肯定的にインターネットを描こうとしている印象を受けました。

 

良くないと思ったところ

竜のデレの早さ

本当にたった一言でデレるので、さすがにちょっと早すぎやしないかと。
中身が少年だから…とか理由を探してみるも、いやそれにしたって心変わり早すぎでしょ、と思わざるを得ませんでした。

余談ですが、佐藤健の声は竜としては良かったけど、恵としてはちょっと大人っぽ過ぎるというか、ちょっと合ってないかな、と思いました。

 

最後の展開

既にいろんなところで言われていますが、僕もやはり最後の展開には思うところがありました。というか最後の方にこの映画の悪いところが凝縮されていたような気がします。


※以下、ちょっと不満が長くなりますので、ご注意ください。

まず、竜の正体が(けい)という少年であることがわかり、彼は弟の(とも)(声:HANA)と共に父親(声:石黒賢)から虐待を受けていることがわかります。すずは恵とコンタクトを取り、自分がベルであることを打ち明けて助けようとしますが、彼は他人への不信感から全く信用してくれません。

そこで、<U>で自らアンベイルし、すず本人の姿で歌うことで、恵に自分がベルであること、助けようとしていることを信じさせます。ここで歌うのが『はなればなれの君へ』という曲であり、その圧倒的な表現力に感動してボロボロ泣いてしまいました。

はなればなれの君へ

はなればなれの君へ

  • provided courtesy of iTunes

ただこの行動、よくよく考えてみると、結局何の意味も無いんですよね…。

心を開いた恵が住所を伝えようとするも父親に阻まれるし、結局周りの人が窓の外の景色や流れていた環境音で居所を特定しちゃうしで、すずのあの覚悟は一体何だったのか…。

アンベイルはまさにTwitter等のSNSとか、最近でいえばVTuberなんかが実名と顔を晒すような行為なので、それほどのリスクを冒しても何の意味もなかったというのはどうなんだと。まぁ、中身がむさくるしいオッサンとかだったらもう完全に終了ですが、すずはちょっと田舎っぽいけど若くてかわいい女の子だし、顔を公開したところでさほど影響は無いかもしれませんが…。

 

で、これはまだ序の口でして。
恵が東京にいることを特定し、その町の児童相談所に連絡するも、48時間ルールとかいうものがあるらしく、48時間以内に行くなんて、その間に取り返しのつかないことになったらどうすると、すずがひとりで恵のもとへ行く決心をします。周りの友人や大人たちは止めるそぶりはみせるものの、最終的に「すずが決めたことなら…」と、駅まで車を出すなどして送り出します。

ってこれ、いろいろと破綻してますよね…。
すずがいる高知から恵のいる東京まではかなり距離があり、すぐに向かうにしてもそれ相応の時間がかかるのは明らか。「もう飛行機も出てない」みたいなセリフもあったけど、だったら尚更時間かかるじゃないすか。それこそその間に取り返しのつかないことになるとは思わないのだろうか…。48時間ルールとやらも別に「48時間後に行きます」っていう意味じゃないし。まぁこれはこのルールを守りきれず手遅れになるケースがある、といった実際にある問題を扱っているということなのはわかるんですけど。

 

ていうか、周りに大人がたくさんいるのに、なぜ誰も付き添わないのか…。合唱団のおばちゃんのひとりが駅まで送ってあげてましたが、車出してあげるならそのまま東京まで一緒に行ってやれよ、と。ひとりで行くことに意味があるのかもしれないですが、チャリで行けるような距離ならまだしも、高知→東京間って結構な長旅ですよ。それを女の子ひとりで(しかも狭く密閉された夜行バスで)行かせるって、監督不行き届きなのでは…?

東京へ向かうバスの中でLINE的なヤツで父親とやりとりしていて、「面と向かっては言えない事もデジタルツールを使うことで言えたりする」的な事を言いたいのはわかるのですが、いや、だから付き添えよ親父…という思いが先行してしまう。なんか、すずの父親(声:役所広司)は、まるで感情の無い人みたいな描き方されてましたね。

 

更に極めつけは東京についた後。
近くまで来たものの詳細な場所がわからないすずは周りをウロウロ。するとなぜか外に出てきていた恵と弟に遭遇。そこへ探しに来た父親も来て二人を連れ戻そうとしますが、すずがそれを遮ります。邪魔をするなとすずに殴りかかろうとする父親でしたが、彼女の強い眼差しに圧倒され腰を抜かし、逃げ去ります。

…えーと、すみません。ここに関しては全く意味が分からないです…。
偶然と眼力で万事解決って…。そりゃないよ……。

恵もそんなすずの姿に「俺も戦うよ」的なことを言うけど、お前さんそれでええんか…?と思っちゃう。嫌なことは嫌だと言える、毅然と立ち向かえる勇気を与えたということなんでしょうが、戦う前に児相にも頼ろうよ…。子供がひとりで決断して成長することの尊さを描きたいのはわかるのですが、それによって大人は信用出来ないということを逆説的に描いてしまっている気がするというか。

伝えたいことはなんとなくわかるのだけど、脚本がうまくなさすぎる、という結論。
まぁ同じようなことをいろんな人がもっとわかりやすい文章で書いてくれているのでね。僕はこの辺にしときます。

 

おわりに

総じて、映画館の大きな画面と良い音響で見ればすごい感動出来ますが、最後で冷静になってしまうといいますか。TVで見たら良さが最大限発揮されずに悪いところとプラマイゼロになって微妙な評価になっちゃいそうな気がします。始めの方で「映画館で見た方がいい」的なことを書いたのは、そういう意味合いもあったりします。

とはいえ、ものすごく感動したのは本当です。最後が意味不明だった以外は、全体的にとても出来の良い作品だと思いました。

夏休みの思い出のひとつとして、鑑賞してみてはいかがでしょうか。

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細田作品の代名詞、入道雲。登場人物の成長を表しているのだとか。

ということで、映画『竜とそばかすの姫』の感想でした。

ではまた。

映画『ブラック・ウィドウ』感想(ネタバレ)

映画『ブラック・ウィドウ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2023/01/09:ほぼ1から書き直しました。

マーベルコミックを原作とした複数の実写映画を同一の世界観で描くクロスオーバー作品群、それが『マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)』。

2008年の『アイアンマン』から始まり、そこからなんと2021年現在に至るまでに23本もの映画が公開され、今や世界で最も成功を収めたユニバースとして、歴史に名を残しているMCU
これ以降、DCコミックのDCEU、ワーナー×レジェンダリーのモンスターバースなど、ライバル企業が追随してユニバース展開を始めるほどに、以降の映画の作り方に大きな影響を与えています。ダーク・ユニバース?知らんなそんなもの…。

 

MCUにはフェーズだのウェーブだのありますが、詳しくはWikipediaでも見てください(丸投げ)。
軽~く言っとくと、フェーズ1~3をウェーブ1(インフィニティ・サーガ)、フェーズ4~6をウェーブ2(マルチバース・サーガ)と定義しているそうで、現在はフェーズ4が始動したばかり。そしてその劇場公開作品第1作目が本作、となります。

 

もくじ

 

僕とMCU

スーパーヒーローが大好きな精神年齢5歳の僕ですので、当然MCUは大好きでして。というか僕が映画をよく見るようになったのは、間違いなくMCUにハマったのがきっかけですね。特に、2012年の『アベンジャーズ』1作目で、完全に心を持っていかれました。『エージェント・オブ・シールド』等のドラマは見れてませんが、映画に関しては全て鑑賞しており、Disney+で始まったドラマシリーズも見ています。いずれそっちの記事も書きたい。

語りだすとキリがないのでやめときますが、約10年追ってきているシリーズなので、思い入れは半端ないです。MCUファンは皆この10年という歴史を共に生きているが故に、思い入れが深くなるんだと思います。例えば仮面ライダースーパー戦隊でも、生まれる前にやってた作品よりも、子供の頃に毎週テレビにかじりついて見ていた作品の方が印象深いですよね?それと同じです。

積もる話はたくさんあるので、個人的な思い出とか、オススメ作品とか、もしかすると今後の記事で紹介させていただくかもしれません。

 

本作概要

そんなMCU、これまでは毎年複数本の映画が公開されてきましたが、2020年はコロナ禍の影響を受け、撮影もままならず、映画館も営業自粛が相次ぎ、公開がストップしてしまいました。毎年新作が公開されるってすごい事なんだなぁ、と改めて実感。
公開スケジュールを練り直し、元々本作の後に配信する予定だったDisney+のドラマシリーズを先に配信開始するなど、マーベル・スタジオがどうにか観客離れを防ごうと手を尽くしていたことが窺えます。

そうして今年、待ちに待って遂に映画館にMCUが帰ってきました。その記念すべき作品が本作、『ブラック・ウィドウ』です。

アベンジャーズの初期メンバーであり、これまで多大な貢献をしてくれた彼女の単独作をこのタイミングで持ってくるとは、なんとも感慨深いものがあります。本来予定されてた公開日は去年の4月とかだったはずなので、1年以上の延期を経て、ようやく公開となりました。

 

ただ、コロナ禍での外出自粛を鑑みて、Disney+のプレミアアクセス(追加料金払えば家でも見れますよ、てヤツ)でも同時公開としたことで、映画館側からの反感を買い、TOHOシネマズ系列では公開を取りやめるなど、ちょっとした波乱もありました。これ以降、あまり同時公開はやらなくなり、劇場公開の際は「映画館“のみ”で公開!」みたいにやたらと強調するような言い方になったような。

 

ブラック・ウィドウとは

原作では、1964年に刊行されたコミックにて初登場。
元々は、アイアンマンの敵であるロシアのスパイとしての登場でしたが、その後アメリカに亡命し、諜報機関S.H.E.I.L.D.のエージェントや、アベンジャーズの一員として活躍しました。スーパーパワーや特別な能力は持っていませんが、類まれなる身体能力と、スパイ仕込みの戦闘術などによって、非常に高い戦闘力を持つヒーローです。

MCUでもその設定は踏襲されていますが、S.H.E.I.L.D.のエージェントとしての登場が初であり、スパイとしての過去はあまり語られてきませんでした。

 

これまでの遍歴

簡単に、MCUにおける彼女のこれまでの活躍を書いていきます。

  • アイアンマン2』2010年
    ナタリー・ラッシュマンの名前でトニー・スタークアイアンマンに近づいてきますが、その目的は、彼がアベンジャーズにふさわしいかを見定めることでした。ラストバトルでは敵の拠点に殴りこんでハッキングを解除するなど、その高い能力の片鱗を見せてくれました。

  • アベンジャーズ』2012年
    インドに身を潜めていたブルース・バナーハルクを招集したり、クリント・バートンホークアイの洗脳を解いたり、最後はみんなで一緒に戦ったりと、八面六臂の活躍を見せてくれます。わずかな単語のみでしたが、メインヴィランであるロキによって、彼女の過去が少しだけ匂わされました。

  • キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』2014年
    S.H.E.I.L.D.のエージェントとして、スティーブ・ロジャースキャプテン・アメリカと共に、ヒドラと戦いました。スティーブを「女の子紹介するよ?」とからかってみたり、ニックの死に涙したりと、少しずつ彼女の内面が明らかになっていきます。

  • アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』2015年
    アベンジャーズの共同リーダーとして戦いながら、ブルースと恋愛関係に近い間柄になり、ハルクに変身して我を忘れた彼を落ち着かせ、元の姿に戻す役割を担いました。ワンダ・マキシモスカーレット・ウィッチによって過去のトラウマを呼び起され、苦悩する場面もあり、少しずつ内面が掘り下げられていきます。

  • シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』2016年
    アベンジャーズを家族のように思っているナターシャは、分断しそうなチームを守るために、アイアンマン陣営のひとりとして戦いました。しかし、最終的にスティーブは行方不明に、ナターシャも追われる身となってしまいます。

  • アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー&エンドゲーム』2018,2019年
    強大な力を持つインフィニティ・ストーンを狙うサノスに対し、ストーンを奪われまいと奮戦します。しかし、最終的にストーンは全てサノスに奪われ、完全敗北。その後、消滅した人々を取り戻すべく、“タイム泥棒作戦”にてナターシャとクリントはソウル・ストーンの回収に向かいますが…。

と、こんな感じです。
様々な作品に登場しており、アベンジャーズになくてはならない人物であったことがわかるかと思います。

 

本作に話を戻しまして。
時系列としては、『シビル・ウォー』の直後から、『インフィニティ・ウォー』の間までが描かれています。こうした「どこどこの間」みたいなのはMCU初だと思うので、見始めは少し戸惑いました。ですが見ていくうちにどんどん映画に引き込まれていくので、すぐに気にならなくなりました。

 

ちなみに、未視聴の方々が嫌がる、「コレ見る前にアレ見とけ」、通称MCUラソンですが、まぁ上記の作品は見といた方が良いでしょうね…。でもまぁ、見なくても十分に楽しめる作品になっていると思います。たぶん。

 

さて、前置きはこのくらいにして、ぼちぼち感想を書いていきたいと思います。

 

予告編


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あらすじ

仲睦まじい家族の風景。
姉妹は仲良く遊び、優しい母親は夕飯の準備をしています。そこへ父親も帰ってきて、みんなで夕飯を食べようとするのですが…。

食卓が片付く間もなく、家族は何者かから逃亡することに。追手の車には“S.H.I.E.L.D.”の文字が。なんとか逃げ切ることに成功しますが、家族はバラバラになってしまいます。母はケガをして病院へ。父はなぜか、そんな母を心配する素振りをあまり見せません。まだ幼い姉妹は、レッドルームと呼ばれるロシアのスパイ養成施設に入れられ、ウィドウと呼ばれる女性スパイとなるために、過酷極まりない訓練の日々を送ることになります。
妹の名はエレーナ。そして、姉の名はナターシャ

時は流れ、現代。
ナターシャ・ロマノフブラック・ウィドウ(演:スカーレット・ヨハンソン)は、アベンジャーズ同士での戦いののち、ソコヴィア協定に違反したとして、米国務長官サディアス・“サンダーボルト”・ロス(演:ウィリアム・ハート)らから追われる身となっていました。

ノルウェーのセーフハウスに身を隠していましたが、ある日、謎の刺客、タスクマスターの襲撃を受けます。狙いはナターシャではなく、郵便物に紛れていた小さなハードケースが目的の様子。辛くもその場を脱し、ケースを開けてみると、そこには謎の“赤い液体”が。挟まっていた写真に何かを察したナターシャは、以前拠点にしていたブタペストの部屋を訪れ、そこでかつて妹として共に暮らした、エレーナ・ベロワ(演:フローレンス・ピュー)と再会します。

エレーナより、レッドルームは未だ健在であること、そして以前ナターシャが殺害したはずのレッドルームのボス、ドレイコフ(演:レイ・ウィンストン)が生きていることを聞かされます。今度こそレッドルームを壊滅させようにも、本拠地の場所は誰にもわかりません。そこで、手掛かりを得るために、かつて親子として過ごした、アレクセイ・ショスタコレッド・ガーディアン(演:デヴィッド・ハーバー)、メリーナ・ヴォストコフ(演:レイチェル・ワイズ)と接触する2人でしたが――。

というのがあらすじ。

 

本編感想

硬派で魅力的なアクション

本作のアクションは、ビームやら雷やらがドカーン!といったものではなく、キャップのシリーズのようなリアリティのあるものが大部分を占めていた印象。スーパーパワーの無いナターシャが主役なので、こっちの方がマッチするのは至極当然。『ウィンター・ソルジャー』がMCU作品の中でトップクラスに大好きな僕としては、非常に満足度の高いものでしたね。あ、でも前者のようなド派手な作品も、もちろん大好きですよ。

 

歪な家族の物語

ナターシャ、エレーナ、アレクセイ、メリーナ。彼女らには、血の繋がりはありません。アレクセイとメリーナは特に、任務のために疑似家族を演じていたに過ぎませんでした。なので、久々の再会の場面でもアレクセイは「キャップは俺のこと何か言ってたか?」と聞いてくるばかりだし、メリーナは豚の息を窒息死ギリギリまで止めさせることで、自身の研究の成果を語るばかり。ナターシャはレッドルームを止めることしか頭に無いようだし、そこには一見、家族愛なんてものがあるようには見えませんでした。

しかし、エレーナにとっては、あれが唯一の「家族の思い出」でした。
自分の主張ばかりの3人に対し、心のどこかで家族愛を信じていたエレーナはショックを受け、部屋に閉じこもってしまいます。

そこへ、空気を読まずに入ってきたアレクセイが、落ち込む彼女に昔大好きだった歌を歌ってあげます。「えっ、その歌…覚えてたの?」と驚く一行。そしてメリーナも、あの時の家族の写真をアルバムにして今も大事に持っていることがわかります。ナターシャももちろん、あの日々のことを忘れてはいませんでした。

 

そう、確かに偽物の家族だった。でも、そんな彼女たちの中にある、家族の愛情は本物でした。
この辺の流れが素晴らしすぎて、思わずホロっと来てしまいました。

 

新世代のヒーロー

ナターシャの義理の妹、エレーナ。
レッドルームで暗殺者としての訓練を受け、ウィドウの1人として任務に就いていましたが、“赤い液体”で洗脳を解かれたことで、組織から脱出。以降は、自分と同じように洗脳を受けたウィドウを解放するために活動していました。

とにかくエレーナのキャラクターが最高でした。カッコつけてないというか、自然体というか。いい意味でスパイっぽくない。ナターシャのスーパーヒーロー着地を茶化しまくるのが可笑しかった(それをさらっと流すナターシャもまたナイス)。終盤に自分でも一応やってみるけど「やっぱ無理」とか言っちゃうとこもとても良い。今後のMCUを担っていけるほど素晴らしいキャラ、そして役者さんだと思いました。

 

旧時代の象徴、ドレイコフ

スパイ養成機関、レッドルームの支配者。幼い少女に洗脳・訓練を施し、ウィドウと呼ばれる超一流のスパイに仕立て上げ、世界を裏から操っています。S.H.I.E.L.D.へ入るための最終試験として、レッドルームの壊滅を命じられたナターシャによって殺害された…はずでした。

このドレイコフってキャラはなんというか、男尊女卑の塊みたいな、ものすごく古い価値観の人間ですよね。しかも非常に不愉快なタイプ。ウィドウがみんな女性なのも、「男の俺様が女を支配してる」って事なんでしょうおそらく。そうした「時代遅れの“男”を、イマドキの“女性”がぶっ飛ばす!」というのがこの映画のテーマのひとつなんでしょうね。現代的で、とても良いと思いました。

 

まるでメインキャストなクリント

ナターシャがS.H.I.E.L.D.へ入ったのは、その才能を見込んだクリント・バートンホークアイによってリクルートされたのがきっかけでした。共に任務にあたることも多く、2人で数々の死線を潜り抜けてきたことが語られます。

本作にクリントは出演していませんが、ナターシャの話の中で何度も出てきたり、2人で潜入していた時に使っていた場所をまた使ったりしていて、まるでクリントもメインキャストとして登場しているかのような錯覚を起こしました。愛されてるなぁ、クリント…。

 

強敵、タスクマスター

本作のメインヴィランタスクマスター。相手の動きを見るだけで、その動きを完璧にコピーできる能力を持っています。

序盤でアベンジャーズの映像を見ているシーンがあり、それによって会得したと思われるキャップの盾投擲、ウィンター・ソルジャーのナイフ捌き、ホークアイの弓術、ブラックパンサーの爪を用いた格闘など、様々な戦闘スタイルを見せてくれます。これまで見てきたファンが「おぉっ!」となるような描写が満載で、興奮しっぱなしでした。

 

そんなタスクマスターの正体。それは、ナターシャがドレイコフを殺害する際に泣く泣く巻き添えにしてしまった彼の一人娘、アントニア(演:オルガ・キュリレンコ)でした。彼女を巻き添えにした事をずっと悔やんでいたナターシャでしたが、更にこんな意思のない改造人間のような姿にされたことを知り、打ちひしがれます。

 

スーパーヒーロー?ブラック・ウィドウ

色々とつらい状況に陥るナターシャですが、メンタル面では決して負けないのがすごい。レッドルームの本拠地である空中要塞にて、遂にドレイコフと顔を合わせることに成功。煽り散らかすドレイコフに対し逆に挑発をかまし、子供みたいにブチ切れる彼を手玉に取ってみせます。

世界中に配置されているウィドウの情報を得たナターシャ一行は、なんやかんやあって空中要塞を爆破。最後は落下する要塞の破片を飛び回りながらの、タスクマスターとの最終決戦へ。

 

ここでのナターシャの強さはスーパーソルジャーさながらで、あれ?超人血清打った?と思ってしまいました。まぁ、クライマックスにふさわしいド派手なバトルで、見応え抜群で最高でしたけど。最後はタスクマスターもといアレクセイの洗脳も解き、レッドルームは完全壊滅。ドレイコフは…確か逃げるために乗り込んだヘリのタービン?にエレーナがバトンを突き刺して爆死してた気がします(うろ覚え)。

 

自身の過去にケリをつけ、失われていた家族との絆も取り戻したナターシャ。最後はもうひとつの家族であるアベンジャーズを復活させるべく、エレーナにもらったベストを着用し、クインジェットに乗り込むところで、映画は終わります。

『インフィニティ・ウォー』でナターシャが着ていたベスト、あれエレーナからもらったヤツだったんかい…というのがわかり、いたく感動いたしました(涙)

 

MCU恒例のミッドクレジットは、『エンドゲーム』後にエレーナがナターシャの墓参りをしているシーン。そこへ、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』に登場した、ヴァルことヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌ伯爵夫人(演:ジュリア・ルイス=ドレイファス)が出てきて、ナターシャの死にクリントが深く関わっていることを明かし、彼の殺害を依頼するところで、幕を閉じました。
エレーナは今後も活躍してくれることと思いますが、アレクセイやメリーナは出てくるのだろうか…。いいキャラだったのでまた出てほしいなぁ。

 

おわりに

ずっと心のどこかにあった、「ナターシャ強すぎじゃね?」という思い。
超人血清打ってないし、アーマー着てないし、ガンマ線も浴びてないし、魔法も使えないし、蜘蛛に咬まれてもないし、怪しいハーブも使ってないし、宇宙人でも神様でもないし…。なのにそれらと対等に渡り合っているのすごすぎじゃね?と。まぁ、『アベンジャーズ』1作目でロキに洗脳されて弓矢1本でヘリキャリア墜としかけたクリントも相当ヤバいですけど。

そんなナターシャの強さの理由が、これまでも意味深にひとことふたこと語られることはあったものの、本作で「ロシアのスパイ養成施設で厳しい訓練を受けていた」「その中でも特に高い素質を持っていた」という感じで明言されたので、非常に意義のある作品だったのかなと。まぁそれにしても強すぎる気がしますが…特に最後。

 

これでナターシャの勇姿も見納めか…と思うとなんだかさみしい気持ちにもなりますが、この映画はナターシャ、ひいてはスカヨハへの感謝と賛辞が感じられて、とても良いものでした。そもそもはエミリー・ブラントがスケジュールの都合で出演出来ず、代わりとして選ばれたのがスカヨハだったらしいですが、いまやスカヨハ以外にナターシャ役は考えられないほどになりましたね。今まで本当にありがとうございました。

MCUらしい今後の展開が楽しみになる要素も散りばめられているので、それらがきっちり回収されるまでは、僕もまだまだ死ねないな…。

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ということで、映画『ブラック・ウィドウ』の感想でした。

ではまた。

映画『トゥモロー・ウォー』感想(ネタバレ)

映画『トゥモロー・ウォー』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

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ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』や『ジュラシック・ワールド』ですっかりお馴染みのクリス・プラットが、主演だけでなく制作総指揮を務めた本作。

Amazon Prime Videoでの配信という公開形態ですが、かなりのお金がかかっているようで、配信限定ではもったいない、劇場公開向きのすごいスケールの映画になっております。なんでも、本来は劇場で公開予定だったものの、コロナ禍で断念せざるを得ず、結局Amazonへ売却されたのだとか。おのれコロナめ…。

 

しかし実際見てみると、恐らく劇場公開されてたら他の作品に埋もれてしまってたろうし、アマプラ限定配信という話題性がある分むしろ良かったのでは…?という思いが。つまりアレだ、率直に言うと、面白かったけど魂を揺さぶるようなパンチ力はあまり無かったかな…という感想です。

というわけで、これより本題に入ります。
よし、今回は前置きを短めにすることに成功したぞ。(書くことなかっただけ)

 

超ざっくりとしたあらすじとしては、滅亡しそうな未来を救うために、現代から主人公らが未来へ行って戦う、というもの。
人類を滅ぼすために未来から敵が来るとか、未来を変えるために過去で戦うとかは割とありがちですが、未来へ行って戦うというのはありそうでなかったような気がします(僕が知識不足なだけかもだけど)。

 

良かった点としては、緊迫感が持続していたところ。
まず、初めて未来へ行く直前、
「敵がどういうやつなのかどうして教えてくれないんだ?」
「知らない方がいい。知ってしまうと志願者が減ってしまうから。」
みたいなやり取りがあって、「いや余計に怖いわ」って感じで笑えました。

それから転送の際、地上3メートルくらいの高さに転送するはずが座標が狂ってはるか上空への転送になってしまい、主人公含めビルの屋上やプールに着地できた人は助かったけど、それ以外の人がバンバン転落死していくシーンも、ビックリ度が高くて良かったです。しかも結構ちゃんとエグイ。

 

その後、なんかよくわからん薬品(※毒薬のサンプル)の回収と研究員の安否確認ミッションを課せられます。研究員はすぐに死体で見つかりますが、その後も結構動き回ってるのに、敵がなかなか出てこないんですよね。それがなんというか、敢えて見せないことで得体の知れないものに対する恐怖感を増幅させていて、この辺りはすごいドキドキしながら見てました。しかも出てきたら出てきたでウジャウジャとめっちゃ出るというね。

敵エイリアンのデザインも大変気持ち悪かったです(褒めてる)。触手から銃弾みたいに棘を発射するのも良かったし、複数体で小隊みたいになってて時折指示出しながら戦略的に攻撃してくるところ(そう見えたのは最初だけだったし気のせいかもですが…)も、今までに無い感じで良いと思いました。

 

そして中盤から後半にかけて、

  • 一回り大きくて超強いメス個体の捕獲
  • 捕まえたメス個体の細胞を基に、ヤツらを確実に殺すことが出来る毒薬を作成する(でもなかなか成功しない)
  • 眠らせたはいいけどいつ起きてくるかもわからないメス個体の恐怖
  • 主人公が未来に滞在できるタイムリミットが迫ってくる
  • 起きたメス個体の咆哮を機に雪崩のように押し寄せてくる大群
  • エイリアンに見つからずにヘリまで辿り着くスニーキングミッション

等々、あの手この手で緊迫感を演出していました。

 

現代に戻ってきてからは、妻の「飛来と襲撃は別々なんじゃないか」のひとことをきっかけに、
→奴らの体の一部とかがあれば何かわかるかも
→アイツが爪持ってる
→アイツは成分の分析とか出来る
→爪から火山灰のような成分が検出された
→火山の事ならアイツが詳しい
→実はエイリアンはずっと昔から地球にいたんじゃないか(ずっと氷漬けになってたけど未来で地球温暖化の影響で解凍された)
→将来的に氷が溶ける予想図から場所を特定!
→しかしそんな話信用出来るかと軍の協力は得られず、国境を越えることが出来ない
→親父なら飛行機出せる
→雪山に到着
→ヤツらの祖先を発見!コイツらを殺せば未来が救われる!
といった、登場人物ピタゴラスイッチみたいな感じでとんとん拍子に話が進みます。これをテンポが良いと取るか、ご都合主義と取るかは微妙なところ…。ちなみに僕は若干後者寄りかな…。

 

そんなこんなで雪山でのラストバトルは、これまでの追われる立場から追う立場となり、また違った緊迫感がありました。未来では娘と、現代では親父と、主人公を軸とした親子協力プレイがグッときましたね。J.K.シモンズの親父、ガタガタ震えてた割に立ち直り早くね?と思ったけど、ルックスがカッコいいので万事OK。

そんな親父との協力プレイで逃げたメスを追い詰め、娘が作り上げた毒薬を腕?触手?に打ち込み、体の崩壊が始まってやった!となるも、腕?触手?を引きちぎって全身に毒が回るのを何とか防ぐメス。

最後は主人公がエイリアンの爪で腹と喉を切り裂き、更に崖から突き落とす!岩肌に激突したメスは肉塊に。こうして、未来の平和は守られたのでした。

 

雑なあらすじと共に良いところを書いていきましたが、続いてよくないと思ったところを。

たぶん脚本がよくないのかな…語彙力がなくて言語化が難しいのですが、なんかほんのりとした違和感をいろんなところに感じるんですよね。

 

主人公が元軍人とはいえやたら強いのは主人公補正だからと目をつぶるとして。
まず、娘が研究していた毒について。なんであの時点で作れなかったのだろうか…。手当たり次第に試して数日?で出来るのであれば、もうとっくに出来てないとおかしいのでは?サンプルの入手も、メスの捕獲も、主人公がいなくちゃ不可能だったとも思えないし。

それから、毒を現代に持ち帰ることには成功したものの未来の娘は助けられず落ち込んで帰ってきたけど、割とすぐに立ち直りましたね。てっきりその後、毒の量産の為に憑りつかれた様に研究に没頭、家族をないがしろにして離婚、そして数年後交通事故で死亡、という序盤の伏線回収の流れかと思いきや、全然そんなことは無かったんだぜ。

あと敵のエイリアンも魅力はあるんだけど、人類を滅亡の危機に追いやるほどの強さを感じないというところは残念ポイント。腹か喉以外は攻撃が効かないみたいに言われてましたが、普通に銃で倒せてるように見えたし、なんならチェーンソーでぶった斬ったりしてるし。その程度で倒せるのであれば、未来で有効な武器とかいくらでも作れそうな気がする…。更に、敵に強さを感じないということは、人類滅亡の危機というキモの部分にも説得力を感じないという悲しい流れ。

あとあと、未来の人類を救うために国境とか関係なく全世界の人々が一致団結するとか、絶対ありえないだろうな、と思いました。むしろこういう非常事態でこそ国家間のしがらみとかが浮き彫りになりそう。悪い言い方をすると、脳みそお花畑な人が考えたお話って感じ。
特に日本なんかはトップの人間が世論に流されて、「私たちは兵士送りません」とか平気でのたまうと思う。で、そんなこと言って何もしないもんだから真っ先に滅びそう。(そういやアジア人出てない気がするな…)

 

 まぁ、なんやかんや言ってますが、細かいことは気にせずに、大きなスケールのSFアクションを楽しむ分にはいいんじゃないかと。少なくとも、『アルマゲドン200X』的なB級映画よりかははるかによくできた作品であることは間違いないです。
僕も普通に楽しめましたし、アマプラ入っている人は見て損は無いと思います。

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 ということで、映画『トゥモロー・ウォー』の感想でした。

ではまた。

映画『モータルコンバット』感想(ネタバレ)

映画『モータルコンバット』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2022/10/31:ほぼ書き直し、目次を付けました。

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モータルコンバット』は、アメリカ発の2D対戦型格闘ゲーム(略称:格ゲー)。
1992年に第1作目がアーケードで稼働開始し、現在も続編が作り続けられている、大人気ゲームです。

その特徴は、実写取り込みのキャラクターが登場する点と、FATALITYと呼ばれるとどめの演出。
手足を切断するのはもはや当たり前で、頭を脊髄ごと引き抜いたり、心臓を握り潰したりと、もはや悪趣味ともいえる容赦ない残虐描写の数々は賛否両論を呼びました。なんでも、このゲームの登場がレイティング審査機関設立のきっかけになったと言われるほどだそうで。当然、そのあまりにショッキングな描写から稼働停止を求める声も出たそうですが、同時にその尖り過ぎたゲーム性はカルト的な人気を獲得することとなりました。初期作は操作性も悪く、格ゲーとしての出来はお察しという感じでしたが、シリーズを重ねていくにつれ完成度も高くなっていき、今ではしっかりとした大会が開かれるほどになっているそうです。

あ、ちなみにコレ、北米をはじめとした海外での話です。日本では始めの数作は発売されたもののあまりヒットせず、以降はターゲットとして見られていないのか、国内での販売は無し(通称:おま国)。一部のマニアの間で「モーコン」の愛称で親しまれている感じです。まぁ、日本にはストⅡとかあったしね…。

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これが初期のゲーム画像。嫌いじゃない。

僕は格ゲーが大好きで、一時期ゲーセンに入り浸るほどハマっていました。メインでやってるのは鉄拳ですが、メジャーどころは大体触ってます。といってもセンスは欠片ほどもなくて激弱なんですけどね…。対戦動画を見るのも好きで、モーコンはやったことないけど対戦動画やFATALITYを集めた動画なんかをよく見ていました。

 

そんなモーコン、1995年に映画化されていたそうで。しかも監督は『バイオハザード』シリーズや、最近では実写版『モンスターハンター』などでおなじみの、ポール・W・S・アンダーソン。しかし、レイティングへの配慮の為か残虐描写がほぼ無く、評価も散々だったとか。1997年に続編も公開されましたが、監督も違うし、キャストもほぼ総取っ替えと、ほとんど別物と化しているらしいですね…。見たことないので、いずれ見たい(見るとは言っていない)

 

目次

 

概要

さて、長ったらしい前置きはこの辺にして、本作。
以前の映画とは完全に切り離された、リブート作品となっています。特筆すべき点は、『SAW』シリーズや『死霊館』ユニバース、『アクアマン』等でおなじみのジェームズ・ワンが製作に携わっていること。そのため、ゴア描写モリモリでしっかりと作品の特徴をおさえています。なので当然R指定
さらに、日本から我らが真田広之我らの浅野忠信がメインキャラクターとして出演しているとなれば、もはや見ないという選択肢は無し。

僕は格ゲー好き、かつB級アクション映画も大好物なので、非常にワクワクしていました。と同時に、グロは得意ではないので途中気持ち悪くなったりしないかな…とちょっと不安な気持ちもありつつの鑑賞となりました。結果、全然大丈夫どころか、「いいぞもっとやれ!」と思うほどに楽しんでしまいました。あと意外と「友情!努力!勝利!」って感じの映画だったのも、個人的に高評価ポイント。(このネタわかる人、絶対30代以上だよなぁ…)

 

というわけで、感想を書いていきたいと思います。

 

予告編


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あらすじ

数世紀前の日本。
白井流の優秀な忍であるハサシ・ハンゾウ(演:真田広之)は、凍結能力を持つ中華忍者のビ・ハン(演:ジョー・タスリム)によって、妻子もろとも殺害されてしまいます。しかし、産まれたばかりのもう1人の子供は雷神ライデン(演:浅野忠信)によって匿われ、ハンゾウは冥界で地獄の業火に焼かれながらも、復讐の時を待っていたのでした。

時は流れ、現代。アメリカ。
総合格闘家コール・ヤング(演:ルイス・タン)は、妻子を養うために小規模な地下格闘技の大会へ出場するものの、連戦連敗の毎日。彼の胸には、生まれつき龍の形をしたあざがありました。
ある日、家族で食事をしようとしていると、氷を操る謎の暗殺者、サブ・ゼロ(演:ジョー・タスリム)が襲い掛かってきます。彼はかつてのビ・ハンであり、今は魔界に仕える殺戮マシンとなっていました。米特殊部隊の隊員であるジャックス・ブリッグス(演:メカッド・ブルックス)が助太刀に入るも、サブ・ゼロは彼の両腕を凍らせ、粉々に砕いてしまいます。

コールはジャックスの言葉に従い、彼の同僚であるソニア・ブレイド(演:ジェシカ・マクナミー)と合流。そこには傭兵集団黒龍のリーダー、カノウ(演:ジョシュ・ローソン)もいました。
ソニアによると、コールの胸のあざは、モータルコンバットと呼ばれる闘いへ参加する資格を持つ戦士(チャンピオン)の証なのだとか。通常、あざを持つ者を殺すことで、殺した者にあざが移る=より強い者へと受け継がれるそうで、ジャックスとカノウも同様の経緯であざを持っていました。しかし、コールだけは生まれつきあざを持っており、それが何を意味するのかはわかりません。

そこで彼らは、不死身のエルダー神ライデンがいる、砂漠の中に隠された寺院を訪ねます。
ライデンより、モータルコンバットとは、魔界と人間界との間で遥か昔より繰り広げられてきた闘いであること、人間界はあと一度負けてしまうと敗北が決定してしまうことなどを聞かされます。

シャン・ツン(演:チン・ハン)率いる魔界の軍勢に勝利するためには、チャンピオンのみが使える秘術(特殊能力)を使いこなさなければなりません。そのため一行は、ライデンの弟子であるリュウ・カン(演:ルディ・リン)、クン・ラオ(演:マックス・ファン)と共に、来るべき闘いに向け、修行することに。

世界の命運を懸けた闘いが、いま始まる――。

というのがあらすじ。

 

主役は我らが真田広之 ※個人的主観

もうね、最初っから我らが真田広之の良さが全開で最高です。還暦とは思えないキレッキレのアクションを魅せてくれます。変に英語使うんじゃなくて、ちゃんと日本語で喋るのも良い。妻の形見のクナイに紐を付けた武器(バトルハープーンというらしい)で戦うのがまた良い。あと、冒頭の日本のシーンでは、洋画特有のコレジャナイジャパニーズ描写が割と控えめだったのも素晴らしいと思いました。我らが真田が監修したんですかね。

そこから彼はしばらく出てきませんが、終盤でスコーピオとして現世へと復活し、サブ・ゼロと激闘を繰り広げます。ゲームでの彼の象徴的なセリフである、「GET OVER HERE!」(たぶん「これで終わりだ!」的な意味)と共に登場するスコーピオンには痺れました。物語の始まりを担うキーパーソンであり、勝負を決める切り札的な存在でもあるという…。これ完全に我らが真田が主役ってことですよね?そうですよね?

 

影の薄い(一応)主人公、コール

この映画においては、主人公はコールということになっています。彼はゲームには登場しない、映画オリジナルのキャラクターなんだとか。そのせいなのかわかりませんが、とにかく彼は終始影が薄い…。他のキャラに比べてあまり強くないというのも、地味さに拍車をかけている気がします。でもまぁ、物語をまわしていく為の存在、つまりはゲームのプレイヤーである僕らの姿を投影していると思えば、ある程度納得は出来る…かな?

コールは後半、家族を守りたいという思いから、遂に秘術を会得します。それは体が鎧のようなものに覆われ、更にトンファー状の武器が生成される、というもの。他の人がビーム出したり炎出したりメカメカしいゴツい腕になったりしてるので、、それらと比べると秘術もやっぱり地味…。鎧に関しては、攻撃を受けた箇所が赤く光ってたので、ブラックパンサーよろしく受けた衝撃を相手にはね返す能力があるのかと思ったら、特にそういったことは無し。ただ衝撃を吸収するだけなんすかね。なんか肩透かしを食らった気分…。まぁ仮にそうだったとしたらブラパンのパクリやん、と思うだけですが…。

 

魔界のリーダー、シャン・ツン

魔界の精鋭たちを率いている魔術師、シャン・ツン。他者の魂を吸い取って殺害する能力を持っています。ゲーム版の初代ラスボスとして登場し、1995年の映画でもメインヴィランとして登場したそうで、作品を象徴する悪役といえます。ゲームでは他の戦士に変身する能力も持っているらしいですが、本作ではその能力は登場しませんでした。続編あるのかわかりませんが、変身能力も今後出てきたりするんですかね。「んんんもう我慢出来ないぃぃ!」って感じでクン・ラオの魂吸うのには笑いました。

モーコンにおいて、魔界は現在9連勝中。あと一度勝利すれば魔界の勝利が決まるという状況らしい。しかし、ソース不明の「ハンゾウの子孫によって人間界が勝利する」という預言を真に受けちゃう可愛らしいシャン・ツンは、本戦が始まる前に人間界のチャンピオンを殺し、勝利を確実なものにしようとします。リスクマネジメントがしっかりしてる、まさに上司の鑑ですねw

しかし、名前といい、格好といい、彼があの国の人をモデルにしている事は明らか。つまり魔界とは、あの国のことなのだろうか…。
…おや、誰か来たようだ。

 

無能?な神様、ライデン

我らの浅野忠信が演じるライデンは、神様なので当然めちゃくちゃ強いのですが、モータルコンバットでは戦ってはいけないというルールがあるらしく、チャンピオンに修行を付けるという役割になっています。ドラゴンボール超ウイス様みたいな感じ。

しかしまぁ、割と抜けてるところの多い神様だったような気がします。カノウの裏切りがあったとはいえ、あっさりとバリア解除されちゃうし。「お前だけいつまでたっても秘術使えるようにならんなぁ。もういいやお前ウチ帰れ。」って感じでコールを退場させようとするし。コールは誰かを守ろうとするときに最も力を発揮するから、あえて一旦家族のところへ帰らせた…ってことなんだと思いたい。いやでも、下手すりゃ家族みんな殺されてたよ…?

 

爽快感すら覚えるバイオレンス

本作では、ゲームのアイデンティティともいえるゴア描写がしっかりと再現されています。腕がもげたり、心臓を抜き取ったり、回転のこぎりのようなもので体を縦に真っ二つにしたり、内臓がずり落ちたり、その他諸々。
上述の通り僕はグロいのとか結構苦手な方なんですが、本作に関してはあまり気持ち悪さは感じず、むしろちょっと爽快感さえ感じてしまいました。なんでだろう。基本そういう目に遭うのが魔界の悪いヤツらってのと、若干人から外れたフォルムしてたから、とかなのかな。自分でもよくわからん。とにかく楽しめたので良かったです。

 

ストーリーは意外と少年漫画的

本作のストーリーは、悪いヤツらを倒すために、仲間と一緒に修行して強くなってがんばる、という、割と王道なものになっています。何も考えずに楽しめる、僕のような大きなお子ちゃまにピッタリな作品になっていました。上でジャンプ3大原則を引き合いに出したのも、この辺から来ています。

しかし、『モータルコンバット』というタイトルなのに、まさかモータルコンバットが開かれる前に終わるとは思わなかった…。シャン・ツンが差し向けた刺客たちがチャンピオンを殺しに来るのを返り討ちにする、ってだけで映画終わっちゃいますからね。続編を意識しての構成なのかな。まぁ十分面白かったのでいいですけど。

 

結末

コール達は、攻めてくる魔界の奴らに対し、ライデンの電撃テレポートでひとりひとりを様々なバトルフィールドに飛ばして1対1の状況を作り出し、各個撃破していきます。ここはいかにも格ゲーっぽくて、テンション上がりました。
ソニアは裏切ったカノウを殺したことで龍のあざが移り、腕からリング状の光弾を発射する秘術を会得します。ひとりだけ覚醒するの早すぎィ!

最後はコールとハンゾウスコーピオンがサブ・ゼロをヌッコロして、魔界の刺客は全滅。
「代わりはいくらでもいる、次は軍隊を引き連れてきてやるぞ」とのたまうシャン・ツンに対し、「ええ加減にせえやワレコラ」と言わんばかりにライデンが電撃を放ち、おめおめと魔界へ逃げ帰るシャン・ツンなのでした。

 

おわりに

てな感じで、個人的には非常に楽しむことが出来ました。
真田に始まり真田で終わる、最高というほかない作品です。まさかこんな作品が見れる日が来るとは…(涙)

よくある続編匂わせエンドだったので、続編あるといいなぁ。

ということで、映画『モータルコンバット』の感想でした。

ではまた。

映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』感想(ネタバレ)

映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

2022/07/07:気に食わない箇所を大幅に書き直しました。

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機動戦士ガンダム』は、1979年にTV放映されていた、ロボットアニメ

巨大なロボットに乗り込んで戦う、といったロボットアニメというジャンルは以前からありましたが、『マジンガーZ』や『ゲッターロボ』などに代表される、主人公が正義、敵が悪、といった勧善懲悪な作風が主流でした。
対して、ガンダムでは“戦争”を題材とし、主人公と敵対する勢力にもそれぞれの正義があるなど、リアリティに富んだ人間ドラマが展開されました。また、主人公たちが乗り込むMS(モビルスーツ)と呼ばれる巨大ロボットも、これまでのようなヒーロー的な位置づけではなくあくまでも“兵器”として扱うなど、リアリティを追求した設定が大きな特徴となっています。

放送当時はあまり視聴者に受け入れられず、低視聴率から打ち切りの憂き目に遭ってしまいましたが、再放送などでじわじわと人気を拡大していき、ガンダムのプラスチックモデル、通称ガンプラの社会現象ともいえる爆発的なヒットも相まって、現在も新作が製作され続ける、大人気のシリーズとなりました。その後の作品にも多大な影響を与え、こうしたリアル路線のロボットアニメを「リアルロボットもの」、マジンガーZ等の様な作風のものを「スーパーロボットもの」と呼ぶようになるなど、ロボットアニメのいちジャンルを築いた、歴史的な作品と言えます。

 

今やとてつもないほどに壮大な世界観が構築されているガンダムシリーズですが、大まかに分類すると宇宙世紀もの”“それ以外”に分けることが出来ます。

アムロ・レイを主人公とした最初のシリーズ(通称:ファースト)の舞台が宇宙世紀という架空の時代であり、続編である『Zガンダム』『ZZガンダム』『逆襲のシャア』などの、世界観の繋がっている作品が宇宙世紀もの”と呼ばれます。『スターダストメモリー』や『ポケットの中の戦争』、『08小隊』などのように時代の間を描くようなものもあれば、『F91』や『Vガンダム』などのように遠い未来の話もあり、非常に幅が広いです。

対して、宇宙世紀以外の全く別の世界観で描かれるのがそれ以外、いわゆる“アナザーガンダムと呼ばれるものになります。基本的にひとつひとつの世界観はバラバラですが、『SEED』『SEED DESTINY』のように繋がっているものもあります。『Gガンダム』のような奇抜な世界観の作品があったり、『ガンダム00』のように西暦が舞台の作品もあります。また、『SDガンダム』と呼ばれる、頭身が低くデフォルメされた作品や、ガンプラとそれを制作するビルダーを題材にした『ビルドシリーズ』のような作品もあり、宇宙世紀もの以上に幅が広いと言えます。

 

僕はといえば、ガンダムをはじめとして、ロボットアニメ全般は非常に好きなジャンルです。 
とはいえ、ガンダムに関しては全て見ているという訳ではなく、ファーストは劇場版3部作を見ただけだし、Z、ZZ、Vに関してはどんな話か知ってはいるものの、ちゃんと見ているわけではないです。G、W、X辺りからリアタイ世代だったので見るようになり、その後も見たり見なかったり、といった感じ。小説やホビー誌で連載されているような、映像化していない作品もたくさんありますが、どんなMSが出てくるかくらいしかわかりません。存在すら知らない作品もたぶんあると思います。ガンダムに関しては、世界観やストーリーが好きというより、メカデザインやガンプラが好き、って感じかもしれない。
「好きなガンダム作品は?」と聞かれたら、宇宙世紀ものでは『ポケ戦』『F91』、アナザーでは『Gガンダム』『鉄血のオルフェンズ』と答えるかな。

 

今回感想を書いていく『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、宇宙世紀ものになります。
ガンダムの生みの親と言える富野由悠季氏が執筆した小説が原作で、戦争ではなく、テロとの戦いを描いているのが特徴。時系列としては、『逆襲のシャア』の約10年後が舞台となっており、一応続編的な立ち位置となっています。(正確には小説版は『ベルトーチカ・チルドレン』という小説の後日談であり、逆シャアとは設定とかが若干違っているらしいのですが、読んでないしよくわからんので割愛)

逆シャアは学生時代に異常に勧めてくる友人がいて、「そこまで言われると逆に見たくなくなってくるな」と思って長いこと未見だったのですが、重い腰を上げて見てみたらめっちゃ面白かったというね。スマン友人よ…。

 

逆シャアと閃ハサの間(公開年ではなく劇中の時系列)には『ガンダムUC(ユニコーン)』と『ガンダムNT(ナラティブ)』がありますが、UCは最後のエピソード7だけ見てなくて、NTは完全に未見。そんな人間が閃ハサ見ても理解できなさそうだなと思い、当初見るつもりはなかったのですが、なんか評判がすこぶる良いみたいで、気になってしまったので見てきました。結果、UCやNTは見なくても全く問題なかったです。
上述の通り逆シャアとは関連が深いので、見といた方がより理解が深まると思います。

 

前置きがすっかり長くなってしまいました…。
いい加減本編の感想を書いていきたいと思います。

 

↓カボチャ頭の人物がダンスしている動画で話題になった、主題歌のMV。こっちは普通にカッコいい。


www.youtube.com

 

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宇宙世紀0093年。
第二次ネオ・ジオン抗争と呼ばれる、アムロ・レイシャア・アズナブルの全面対決は終結
その抗争の中で、かつてホワイトベースの艦長を務めたブライト・ノアの息子、ハサウェイ・ノアは、初恋の相手であるクェス・パラヤを失っており、それが彼の中に深い影を落としていました。

時は流れ、地球では連邦政府の高官ら特権階級の人々が、強引に民衆を宇宙へ送り出す政策を実施して地球を私物化しており、彼らによって地球の環境汚染は更に拡大していました。

ある日、連邦議会へ参加するために、特権階級の人達は専用シャトルで地球へ降下しようとしていました。
青年へと成長したハサウェイ(声:小野賢章)は、植物監察官候補として、そこに同乗。また、地球連邦軍ケネス・スレッグ大佐(声:諏訪部順一)も、とある部隊の司令官を務めるためにシャトルに乗っており、この場に似つかわしくない不思議な雰囲気を持った少女、ギギ・アンダルシア(声:上田麗奈)も同乗していました。

そこへ、MSを使用して政府の要人を暗殺しているという過激なテロ組織、“マフティー・ナビーユ・エリン”を名乗る集団が乗り込んできて、シャトルをハイジャックしてきます。ギギは、この危機的状況にも物怖じせずに飄々としており、更になぜか犯人がマフティーのメンバーではない、偽物であると見抜いていました。
ケネスとハサウェイの活躍によってどうにか事態は収拾。無事にシャトルは地球へと降下することが出来ました。

シャトルでの一件から、ケネスはハサウェイを評価し、友人として親交を深めていきます。
しかし、実はハサウェイこそが、“マフティー・ナビーユ・エリン”その人だったのでした――。

というのがあらすじ。

 

率直に思ったのが、映像がリッチだなと。きれいとかではなく、リッチです。
いや、きれいなのも間違いではないんですが、なんていうんですかね、きれいだけでなく、見せ方とかが洋画的といいますか、おしゃれというか…。うまく表現できないのでリッチという言い方に逃げているだけです。

音楽も良かったです。
担当しているのは、すっかりお馴染みの澤野弘之氏。彼の音楽は、カッコつけてるというか、仰々しいというか、神話的というか…我が強い印象があるので作品を選ぶ気がしますが、最近のガンダム作品にはとてもマッチしていて大好きです。

それと、僕は富野作品の特徴として、わかりづらさが挙げられると感じていて。
Gのレコンギスタ』とかが顕著だと思うのですが、すごい大事なことをちょっとしたセリフでサラっと喋るだけとか、状況的に明らかなんだけど敢えて明言しないとか、あと何と言っても独特な言い回しとか、そういう作り方をする印象があります。あ、コレいい意味で言ってます。Gレコ大好きです。
で、本作は原作を書いてるのが富野氏とはいえ、監督は村瀬修功という方(ガンダムWのキャラデザとかやってた方らしい)なのですが、どことなく“富野っぽさ”が残っているような気がしました。ハサウェイとギギのやりとりで主にそれを感じまして、わかりにくくもわかりやすいというか、厳密には富野節とは違うんだけど(富野さんのはマジでわかんなかったりするので)、その雰囲気を感じるというか。おそらく意識してそういう風にしているんじゃないかなーと。
うまく表現できないですが、とにかくなんかよかったです(なんだそりゃ)

 

キャラクター造形について思ったことを少々。

ハサウェイのキャラクターは、なんか掴み所が無いな、と思いました。
クールで知的な風を装ってるけど、女(ギギ)にほだされたり、感情で行動したり、悪い言い方をするとガキっぽいというか。こんなんで組織のリーダーが務まるのか?と正直思ってしまいました。原作読んでないのでわかりませんが、マフティーという組織の馴れ初めや、ハサウェイがリーダーになるまでの経緯とかも今後描かれたりするのでしょうかね。

ギギは、もっと掴み所が無いと思いました。
大人ぶってるんだか、ガキなんだか、頭いいのか悪いのか、なんだかよくわからんという印象。わざとそういう描き方をしているような気もします。ファム・ファタール(魔性の女)的な立ち位置なんでしょうね。この辺のキャラクターのわかりづらさも、富野節といえばそうなのか…?

ケネスは、諏訪部順一って感じでした。
ガウマンは、津田健次郎って感じでした。
悪い意味ではないです。どちらも大好きな声優さんです。

 

あとはやはり、MS戦のシーンはどれも素晴らしかったです。
特にラストのバトルシーンは、鳥肌もののかっこよさでした。速いんだけど、ちゃんと巨大なものが動いている重量感も感じられるのがとにかく最高。

余談にはなりますが、僕がガンダム作品で一番嫌いなのが『ガンダムSEED』でして。
「キャラデザが受け付けない」とか「恋愛リアリティショーの如くカップルが何組か出来て終わる」とか理由は色々あるんですが、一番の理由が「MSに重量感を感じない」というところ。ケレン味のあるメカ作画や、T.M.Revolutionの楽曲は素晴らしいのですが、巨大な鉄の塊であるはずのMSがすごいスピードでヒュンヒュン飛び回ったり、ものすごい量のビーム出してそれが正確に頭部だけ撃ち抜いたり、リアリティ無さすぎだろと。
まぁ、リアリティとか言うんだったらGガンダムはもっとリアリティ無いだろと言われそうですが、アレはアレで突き抜けてるからいいんです(無茶苦茶な言い分)。

ともあれ、本作のMS戦のシーンは監督がこだわった部分でもあるそうで、ちゃんと巨大ロボット感を感じられる動きになっていて、とても見応えがありました。

あと、中盤の街中での戦闘シーンでは、等身大の目線でMSバトルを描いていて、迫力がすごかったです。『F91』でMSが撃った弾の薬莢にぶつかって人が死ぬシーンがすごく好きなので、それを彷彿とさせて好印象でした。

それから、既に至るところで言われていますが、ペーネロペーの飛行音がまるで怪獣の叫び声みたいなのも、不気味で最高でした。余談ですが、レーン・エイム(声:斉藤壮馬)が「ペネロペー!」と言ってるのはなんでなんすかね。愛称的な?「なんかウケるw」と思いながら見てました。

 

Ξ(クスィー)ガンダムのデザインが、最近ゲームとかで出ているデザインではなく、原作寄りなデザインになっているのも話題になりましたね。僕はあまりガンダムゲーやってないし、特にどちらかに思い入れがあるわけでもないので、素直に「カッケー!」と思いました。本作ではあくまで御披露目って感じなのか、終盤に出てきてちょっとペーネロペーと戦っただけですが、続編で大いに活躍してくれるんでしょう。

あとハサウェイの声優が変わったのも賛否両論ありましたが、こちらも個人的には思い入れは無いので、特に違和感は感じませんでした。
小説ではバッドエンドになるっぽいですが、映画では結末が変わるのか、それとも同じ末路をたどるのか…。果たしてどうなることやら。

 

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とまぁ、そんな感じでした。

そういえば今作だけでは終わらないんですよね。3部作の予定だとか。
知らないで見に行ったので、「続くのかよ!」とちょっと思いましたが、きちんと描くべきところを描いてくれるのであれば、何も不満はないです。むしろ大歓迎です。今作はかなりヒットしているようなので、続編立ち消えとはならないでしょう(たぶん…)。
今後が楽しみです。

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アムロとシャアの遺志を継ぐもの」らしいけど…父親のは?

ということで、映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の感想でした。

ではまた。

映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』感想(ネタバレ)

映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

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 僕のるろうに剣心に対する思い入れなどに関しては『The Final』の記事をお読みください。 

blacksun.hateblo.jp

 『The Beginning』は、原作における追憶編を映画化したものになります。追憶編とは何ぞやというと、人誅編の間に挟まれる形で描かれた、剣心の過去の話です。剣心は幕末に「緋村抜刀斎」という名の伝説の人斬りとして名を馳せており(ちなみにるろ剣は明治時代の話です)、トレードマークである左頬の十字傷がいかにしてつけられたのか、そしていかにして不殺(ころさず)の誓いを立てるのかを描いたお話です。ちなみに追憶編という名前はOVAで付けられたものらしいですね。名作らしいですが、恥ずかしながら未見です。
今と違いSNSもないし、僕も連載で読んでいたわけではないでのでわかりませんが、主人公が人を殺しまくるとか、主人公が実は結婚していた(バツイチ)とか、当時としても結構衝撃的な展開だったのではないでしょうか。少なくとも今のジャンプじゃ出来ないでしょうね。今やジャンプ漫画で連載を引き延ばすために過去話をやるのは常套手段な気がしますが、この追憶編に関しては、この話をすることで剣心というキャラクターの説得力というか深みが増していると思っているので、とても重要なお話になっている気がします。

気になる方はぜひ原作を読んでくださいということで、今回の『The Beginning』ですが、「シリーズ最高傑作、誕生。」というキャッチコピーに違わぬ作品になっていると感じました。どうしてシリーズ最後が追憶編なのかというのは、おそらく「最後」に「最初」の物語をあえてやるということなのでしょう(それ以外の理由が浮かばない…)。

とまぁそんなこんなで、感想を書いていきたいと思います。
※余談:最初、あらすじをなぞりながら感想を書いてましたが、気が付くとストーリー全部文字に起こす勢いで書いてて、長過ぎるしこんな辺鄙なブログでそんなことをする意味が分からんと思い、あらすじ部分は全削除しました…。

 

時は幕末の動乱のさなか。
剣心は長州派維新志士の桂小五郎のもと、緋村抜刀斎として主に要人の暗殺などを請け負っていました。鬼神のごときその強さから、幕府側からは最強の人斬りとして恐れられていました。

まず最初のシークエンス。(わざと)捕まった抜刀斎が、その場にいた幕府の人間たちを皆殺しにするシーン。原作にはないシーンですが、とても良かったです。何が良いって、血が飛び散りまくるところです。ここ以外でも抜刀斎が人を斬るシーンが何度か出てきますが、どれも血みどろR指定ではないのでさすがに腕や首が飛んだりはしないですが、凄惨さが表現されていて、今までのシリーズの"剣心"と今作の"抜刀斎"は違うぞ、ということがすぐに伝わりました。
それから、抜刀斎が頬に傷をつけられるシーン。清里を演じた窪田正孝がまた見事なキャスティングで、キャラに合っているだけでなく、演技がまた素晴らしかった。生きようと必死にもがく姿にグッときました。…まぁ生き延びたいなら勝ち目のない相手に何度も立ち向かうのではなく、死んだふりでもしてた方がよかったのでは…とちょっと思っちゃったけど。武士道精神に反する、ってことなんすかね。ともあれ、出番は少ないですが、存在感は抜群でした。
演出面で言うと、原作でも印象的に描かれていた「手を洗う」という行為。これはもちろん、人を斬る手を汚すということで、それを必死に洗い流そうとしているということ。今作でも何度も出てきて、しかもどんどん絵的にも暗くなっていくところなんか、抜刀斎の心情をうまく表現していると思いました。
あとはもう、雪代巴を演じた有村架純がとにかく美しい…。無表情のようでどこか愁いを帯びた巴の雰囲気を見事に表現していましたね。文句なしに今作のMVPだと思います。

中盤。かの有名な「池田屋事件」が出てきます。歴史上の出来事と絡めてくるのは面白いですね。抜刀斎が池田屋事件に絡んでしまうと、新撰組に勝っちゃいそうだしリアリティラインが歪んでしまいそう、だけど裏の人間とはいえこれほど重要な出来事に絡まないのも違和感があるし…といった疑問点を、行きたくても行けなかったという描き方をしているのはなかなかうまいんじゃないかと思いました。あと、新撰組のキャスティングはどの人も大変良かったのですが、やはり沖田総司を演じた村上虹郎がとても良かったです。原作とは全く異なるビジュアルでしたが、非常にキャラに合っていると思ったし、演技も上手だし、アクションも頑張っていました。

後半。ついに巴の目的が明らかになります。彼女は清里の許嫁であり、大切な人を殺した抜刀斎への復讐のために近づいたものの、共に過ごすうちに抜刀斎のことも愛してしまう…とまぁ今時ありがちのような気もしますが、その辺は言いっこなしで(笑)だって原作は20年以上前の作品ですから…。
雪の中、闇乃武のもとへと向かう巴がまた美しいのなんのって。雪と一緒に消えてしまいそうな儚さを含んだその佇まいに、胸がギュッとなりました。

今回の敵である闇乃武のリーダー、辰巳は原作では結構なジジイなので、演じるのが北村一輝では若すぎる、とこのシリーズでは珍しくキャスティングに不満がありました。が、意外と違和感なくて良かったですね。「幕府の歴史は自分たちのような存在があってこそ成り立ってきた。だからこれからもそうする(害のある存在を排除する)ことがこの国の安泰の為なのだ」といった熱い信念のようなものがあったのもナイスな点。他の闇乃武の人達は完全にモブでしたが、原作でもそんな感じだったので不満は無し。

終盤。闇乃武たちの命を賭した"結界"によって、視覚や聴覚を奪われながらも、巴を救うために命を削りながら闘う抜刀斎。ここまで時代劇らしい非常に抑えた雰囲気で進んでいた今作ですが、最後の闘いではドカンドカンと派手なバトルが繰り広げられます。

ラスト、原作では「自分が辰巳を斃そうと飛び掛かるも、抜刀斎も同時に斬りかかって巴ごと斬ってしまう」といった感じ(あくまで僕の解釈)ですが、今作では「自分が辰巳を押さえてるところを自分ごと斬らせる」といった風に見えました。また、頬に傷がつくところも、原作では「斬られた際に離した小刀が頬に当たって傷がつく」のが、今作では「普通に巴が傷をつける」といった感じで、若干ニュアンスが変わっていました。傷に関しては、「巴が生きた証を残す」ということなんでしょうかね。漫画では違和感少ないけど実写にしたら確かにちょっと荒唐無稽に見えてしまいそうだし、よいアレンジだったと思います。ただ、原作では十字傷について、「強い"念"を込めてつけられた傷は消えない」と言われていたので、これじゃあ一生傷は消えないんじゃないかと思ってしまいました。

この辺の十字傷にまつわるアレコレも個人的に原作の大好きな部分でして。ちょっとだけ語らせていただくと、原作における強い"念"はつまるところ剣心自身の後悔の念であったり、償っていくためにはどうしたらよいのか答えが出ないことに対する自責の念だったりするわけで、その答えを見つけ出して巴へさよならを告げた後、そうした"念"が晴れていくのにあわせて傷が薄くなっていく流れがもう本当に好きすぎるのです。
またメンドクサイオタクが出てきてしまったのでこの辺にしときますが、そうした負の感情の象徴として描かれていた十字傷が、清里と巴が生きた証といった描き方をされていて、これはこれでとても素晴らしいなぁと思った次第です。(まぁ僕の勝手な解釈なので、違っているかもわからないですが)

そういえば白梅香のくだりはなかったですね。まぁ嗅覚は4DX専用とかでもない限り伝えるの難しいでしょうし、仕方ないかと。

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巴と暮らした家ごと火葬し、最後は第1作の冒頭へ繋がって映画は終わるのでした。

こんなに素晴らしいシリーズを作ってくださって、原作ファンとしてはもう感謝しかないです。10年間、本当にありがとうございました。なんならオリジナルストーリーで他のキャラのスピンオフとかやってもいいのよ…?

 

ということで、映画『るろうに剣心 最終章 The Beginning』の感想でした。

ではまた。

映画『るろうに剣心 最終章 The Final』感想(ネタバレ)

るろうに剣心 最終章 The Final』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。

※2022/01/18 ところどころ文章や体裁を修正しました。

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るろうに剣心』は、僕が生涯ベストともいえるくらい大好きな漫画です。

約10年前、そんなるろ剣が実写映画化されると聞いてすごく嬉しかったのと同時に、邦画の漫画実写化は当たり外れが激しい(というか当たりが少ない)という印象だったので、どうなるんだろうという一抹の不安もありました。
しかし、公開された映画は原作のテイストとは全く異なるものの、豪華かつハマりまくりのキャストと、香港映画を取り入れたというリアル飛天御剣流というべき目にも止まらぬ超絶アクションで、非常に満足度の高いものになっておりました。特に吉川晃司演じる鵜堂刃衛は、あまりのカッコよさに鼻血出そうになりましたわ。あと武田観柳を演じた香川照之あまりにも香川照之で最高でしたね。

おかげさまで実写映画は人気を博し、続編が作られることとなりました。
1作目を刃衛までにしたのは本当にナイス判断だと思いましたが、「このクオリティで京都編見てぇ~」と思っていたので、前後編で京都編をやると発表されて歓喜したのを覚えています。

そうして公開された『京都大火編』と『伝説の最期編』。
あらゆる面でスケールアップしており、邦画のレベルが数段上がった瞬間を目撃した気がしました。キャストに関しては、志々雄真実を演じた藤原竜也瀬田宗次郎を演じた神木隆之介の素晴らしさはもちろんですが、個人的に一番良かったのは巻町操を演じた土屋太鳳でして。京都弁アレンジもとてもよかったし、アクションも非常に頑張っていてとても良いキャラクターになっておりました。

まぁでも京都編は長いしキャラも多いしで、ストーリーも大枠はなぞってはいるものの、煉獄での闘いで決着をつけちゃった感じで、葵屋での闘いがなかったり、そのせいで宗次郎と安慈以外の十本刀の存在感が皆無だったり、師匠と会うとこがちょっと無理矢理になっていたり(あの世界の海は全てあの海岸に繋がっているのか…?)、原作ファンとしてはちょっと惜しさを感じる部分もありまして。
とはいえ満足度は非常に高いものだったので、「これで終わりみたいだけど、こうなったら人誅編も見てみたいな~」という欲が出てきてしまうのは自明の理。 そんな僕の思いに応えるかのように、人誅編追憶編も制作決定が発表され、「こんなに嬉しいことはない…(cv. 古谷徹)」という思いでした。

軽ーく説明すると、人誅編は京都編のその後、剣心の「」と「償い」、そして次世代への思いの継承を描いたお話。原作者が連載当初から構想していたのはこの人誅編だったのですが、「地味すぎる」といった理由で、テコ入れとして間に京都編を挟んだとかなんとか。その結果、志々雄真実という最高の悪役が誕生したので、当時の作者と編集さんの判断は正しかったということですね。人誅編は確かに地味というか重い話ではあるんですが、それは裏を返すと物語に深みがあるということでもあり、僕はこの人誅編が一番好きなんですよね。
追憶編に関しては『The Beginning』の記事で書きますので、ここでは割愛。

ということで、この『The Final』は人誅編を映画化したものになります。コロナ禍で公開が延期されたり、出演している俳優がアレしちゃったりいろいろあっての公開となりました。しかも、いざ公開されたはいいものの、なんとか宣言で都内の大きな映画館が休業を余儀なくされたりと、踏んだり蹴ったりといった感じ。
僕はどうにか休業直前に駆け込みで見ることができました。見終わった後インスタに超長文で感想をしたためてしまうくらい、見応え抜群の傑作になっていると思いました。
インスタの投稿は長すぎるので載せませんが、そこに書いた感想をベースに、個人的に思った良かったところ、良くなかったところを箇条書きで書いていきます。

 

◎良かったところ

  • なんといっても超絶アクション
    アクションの進化はとどまることを知らず。間違いなくシリーズNo.1だと思います。特にラストの剣心vs縁はすごすぎました。敢えてBGMをつけていないのを評価している人が多い気がしますが、僕はBGMに全然意識がいかないくらい没入していたので気付きませんでした。

  • キャストがハマりまくり
    今作も本当にキャストが素晴らしい。特によかったのはやはり雪代縁役の新田真剣佑ですかね。ルックス、演技、アクションどれも本当によかった。

  • 割と原作に忠実なストーリー
    弥彦絡みのストーリーや落人群に堕ちるとこなど省略している部分もありましたが、『伝説の最後編』とは違いあまり不満は感じませんでした(ごく一部を除く)。なんでだろう。押さえるべきところは押さえているということなんでしょうか(ごく一部を除く)。

  • 青紫様がちゃんと出てきて活躍する
    俳優がアレしちゃったので出てくるか心配していましたが、ちゃんと出てくれました。

  • が原作以上に大活躍する
    上でも書いてますが、今作も操は大変良かった。ちょっと強すぎる気もしましたが、青紫がアレしちゃった影響で操が代わりを担ってたのかな、とか邪推。

  • 斎藤さんもしっかり活躍する
    これまでは牙突撃って終わり、って感じだったのですが、今作は頑張っていたと思います。原作でも大好きなキャラなので嬉しいところ。

  • 左之助の存在感
    正直今作の左之はやられっぱなしでいいとこなしでしたが、左之の強さはタフネスだと思っているので、キャラには合っている気がしました。

  • 乙和瓢湖のアレンジ
    カニ脚を実写にどう落とし込むのかと思っていましたが、変な形の刀にするのは面白いなぁと思いました。まぁ『月華の剣士』という格ゲーに出てくるってキャラに似すぎ感はあれど。

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    これが骸(紫鏡)。武器がまんまコレでした。
    散り様もなかなか見事でしたね。原作では絶対あんな事しないだろうなぁ。
    あとどうでもいいけど、八ツ目は『僕のヒーローアカデミア』のエクトプラズム先生みたいでした。原作はモロにヴェノムなので、そりゃあのまま出せるわけないですよね…。

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    これがエクトプラズム先生。
  • 恐らく敢えて原作と違うマッチメイクにしてるとこ
    原作:左之助 vs 番神 / 斎藤 vs 八ツ目 / 青紫 vs 外印
    今作:操 vs 八ツ目 / 斎藤 vs よく知らん人
    になっており、新鮮な気持ちで見れました。ちなみに外印は1作目で出しちゃってるので今作では未登場。

  • まさかの共闘
    終盤、が出てくるのは全然知らなかったのでビックリしました。(原作の展開を改変してでも)観客が見たい絵を全部見せてやろうという制作側の熱い気持ちを感じました。まぁ、「ここは僕に任せて先に行ってください」って別れた後のフォローが何もないのは気になりましたが…。

  • 締め方
    原作の「逆刃刀を弥彦に受け継ぐ」ラストが本当に好きすぎるのですが、弥彦絡みのストーリーはごっそり削っているので、それはないとわかっていました。なので、必然的に「薫殿と巴の墓参りに行く」ところで締めるしかないわけで。まぁでも、薫殿と新しい時代を共に歩んでいくというのは、“剣心の物語の終わり”としては良かったんじゃないかと思います。あくまで“ラストシーン”としては、ですけど…。詳しくは後述。

 

×良くないと思ったところ

  • 最初のシークエンス
    縁が汽車内で謎に大暴れして、謎に捕まって、謎に釈放される。…ここいる?と思ってしまいました。縁が只者じゃないってとこを見せたい気持ちはわかるのですが…。けん玉で殺すとことか楽しい見せ場もありましたけどね。

  • を出した意味
    原作をなぞってくれるのは大変ありがたいのですが、別にコイツは出さなくても良かったのでは。あと演じた三浦涼介はアンクなので大好きな役者さんですが、演技がオーバーでちょっとキャラに合っていない気がしました。

  • 縁が神谷道場に死体袋持ってくるとこ
    ニセ薫のくだりは尺的に省かれるだろうなと思っていて実際その通りだったんですが、じゃあどうして縁はクソ重い死体をわざわざ持ってきたんですかね…?原作ファン向けのミスリードくらいしか思い浮かばない…。

  • 番神、外印が出てこない
    番神がよくわからんオリキャラ(乾天門というらしい)になっているとかそこはどうでもよくて、1作目で式尉般若をこの2人に置き換えたのが納得いかないのです。大好きな左之助vs番神を1作目で見れたのは確かに良かったけど、式尉と般若ええキャラやん、あの2人のままでよかったやん、という思い。あと1作目の外印の中身を綾野GOにしてしまうのは、「シャアみたいに仮面の中はイケメンみたいな風潮あるけど、実際そんなことあるわけないよね」みたいな作者の想いとはかけ離れてしまっているような。

  • 弥彦絡みのストーリー全カット
    剣心の物語に絞ったのは英断だとも思いますが、るろ剣は結局のところ弥彦の話だと思っているので、弥彦が一切活躍しないどころか、彼の成長が一切描写されないのはちょっと思うところがありました。
    「自分だけ弱いのはもう嫌なんだ」とかの大事なセリフも薫殿がさらっというだけになっちゃってましたし、神谷活心流奥義の会得とかも丸々カットされていて、そのせいで鯨波とかも一層小物になっちゃってましたし。上で“剣心の物語の終わり”としては良かったと書きましたが、“るろうに剣心”の終わりとしては、少々不満の残るところでした。
    ※2022/01/18 個人的に強く伝えたい部分だったので、諸々追記しました。

  • 剣心が最後まで「答え」を見つけないまま闘うところ
    ハイ、今からメンドクサイオタクが出てきますよー。注意して下さいねー。
    ここまで書いてきた良くないとこは全てある程度納得というか仕方ないと思えるものでしたが、これに関してはどうしても許容出来ない部分。

    上でも書いたとおり、人誅編は剣心の「罪」とその「償い」を描いた話であり、最後に剣心が出す「答え」が、るろうに剣心という作品全体のキモだと個人的に思っていて。なのに、本作では結局、最後の最後までその答えを出さないまま終わるんですよね。
    いやいやいや、それは絶対に違うだろと。
    しかもラストバトルで「どうしたらいいのか今でもわからん」的なことを言っちゃうので、「えぇ…嘘でしょ…?」と愕然としてしまいました。描写しないだけならまだしも、はっきり明言させちゃうのかよ…という。
    上で本作の締め方は良かったと書きましたが、これはあくまでラストシーンの“絵面”として良かったというだけであって、答えも出てないフワフワした状態で巴にさよならするのは違うんじゃないか。「逆刃刀とそれに込められた信念を弥彦へ継承する」という部分をカットしていることも相まって、これでは剣心の物語が真の意味で完結したことにはならないんじゃないか。とか色々考えちゃってめっちゃモヤモヤしました。
    あー我ながらメンドクサイ。キリがないのでこの辺にしときます。
    ※2022/01/18 客観的に読むと言ってることコロコロ変わりすぎじゃ…と思ったので、諸々修正しました。
     でもこれで齟齬がなくなるかというとそうでもない気がしますが…。これが今の僕の限界です。

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色々書いちゃいましたが、間違いなく邦画のアクションの最高峰だと思います。本当に素晴らしい作品でした。
おいおい『The Beginning』の方も書いていきたいと思います。

 

ということで、映画『るろうに剣心 最終章 The Final』の感想でした。

 ではまた。

映画『ジャスティス・リーグ ザック・スナイダーカット』感想(ネタバレ)

映画『ジャスティス・リーグ ザック・スナイダーカット』の感想になります。
ネタバレを含みますので、お読みになる際はご注意ください。 

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 DCコミックを映画化したシネマティック・ユニバース、それが「DC・エクステンテッド・ユニバース(DCEU)」。

MARVELのMCUに対抗して始めたはいいものの、暗すぎるなどといった理由からあまり評判はよろしくなく…。全てのアメコミヒーローの中でもバットマンが一番好きといっても過言ではない僕なのでDCEUも大好きなんですが、何度も方針転換をしているイメージがあるし、MCUと比べて前途多難なユニバースだなぁという印象。

 

ともあれ、そんなDCヒーローが一堂に会した作品が『ジャスティス・リーグ』。MARVELでいうアベンジャーズと同じで、ヒーロー同士がぶつかりあいながらも団結してチームになるお話。

そんな『ジャスティス・リーグ』は、2017年に劇場公開されました。しかしなかなかの難産であり、途中まで監督をしていたザック・スナイダーが家庭の事情で降板してしまい、後任としてなんと『アベンジャーズ』の監督であるジョス・ウェドンが招聘され(一応クレジットでは脚本という扱いになっている)、追加撮影などをしてなんとか完成、公開にこぎつけました。(以降、2017年に公開された方はウェドン版と呼びます。)
これ、どういうことかというと、週刊少年ジャンプの編集長が、週刊少年マガジンの編集長もやるみたいなことです。…イマイチわかりにくいですかね。『ワンピース』の作者が『FAIRY TAIL』も同時に描くみたい…と言った方がわかりやすいか?

 

僕は見に行きたいと思いつつもタイミングが合わなくて行けず、レンタルで見ました。あまり評判の良くないウェドン版ですが、テンポの良いストーリーや楽しい掛け合いが僕は結構好きなんですよね。

ただ、キャラの掘り下げが足りなくてあまりキャラが魅力的に見えなかったり、敵が弱くないはずなのにすごく弱く見えたり、説明不足で整合性が取れないところがあったり、不満もあったのは事実で。でもまぁ、きっと限られた期間で色々無理難題を押し付けられたんだと思うし、本当によくまとめたなぁと。

 

しかし、そんな紆余曲折あって公開されたウェドン版はやはりというかなんというか不評が多く、なんとシリーズ最低の興行収入となってしまいました。その後いろいろあってファンの中で「ザックが最後まで監督したものが見たい」といった声が高まってきた訳です。

僕はといえば、『300(スリーハンドレッド)』『ウォッチメン』『ガフールの伝説』などザック監督作は好きでよく見ていて、前作となる『マン・オブ・スティー』と『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』も評判はともかく個人的には面白かったと思っていて。だからウェドン版も結構好きとはいえ、ザック版がもし作られるならぜひ見たいな…と思いつつも、でもウェドンが監督したシーンを使わないとなると、ディレクターカットとはわけが違ってほとんど作り直すことになるだろうし、実現はしないだろうな…と思っていたので、制作決定が発表されたときは普通に嬉しかったです。 

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このポスター、かっこよすぎるよね…。

前置きが長くなりましたが、ついに公開された『ジャスティス・リーグ ザック・スナイダーカット』。上映時間はまさかの4時間超え。全7章の構成になっており、映画というより連続ドラマをノンストップで流しているような感覚。劇場ではなく配信での公開となりましたが、そりゃこの長さじゃ劇場では出来んわな…。

 

 あらすじとしては、世界を滅ぼす力を持った3つのインフィニティ・スト…ではなくマザーボックスが地球に存在しており、それを取り戻すために宇宙からサノ…ではなくダークサイドの尖兵であるステッペンウルフが攻めてきたので、それに対抗するために地球にいるヒーローがなんやかんやあって団結して立ち向かう、といった内容。

 

ストーリーの大枠はウェドン版と変わりありませんが、各ヒーローのバックボーンなどがしっかり描かれていたり、シーンが大幅に追加されていたりと、完成度が爆上がりしているように思いました。やりたいこと全部やってやろうという気概が感じられましたね。

何より、ザック作品の特徴ともいえる「スローを多用したスタイリッシュなアクション」と「どこで止めても絵になりすぎる絵作り」がこれでもかと過剰供給されるので、満足度は非常に高いです。4時間以上あるので何日かに分けて見ようと思っていたのですが、ついつい一気に見てしまうくらい面白かったです。

ストーリーについて書いてるとキリがないので、各キャラクターについて僕が感じたことを書いていこうと思います。

 

  • ブルース・ウェインバットマン
    今作のバットマンは、自分が死なせてしまったスーパーマンの遺志を継ごうと、強大な敵から世界を守るために懸命にヒーロー同士を団結させる役割を担っています。自分ひとりでは世界を守れないと、自身が一番痛感しているんですよね。戦闘では後方支援に徹しているのも好感が持てるところ。「あなたの能力は?」とバリーに聞かれて「金持ちだ」と答えるやりとりが死ぬほど好きなので、今作でもそのシーンがあってよかったです(ここザックが監督したシーンだったのね)。『バットマンvsスーパーマン』では短気で頭悪く見えたり、ウェドン版ではイマイチ何がしたいのかわからないところがありましたが、今作ではしっかりと信念に基づいて行動しているように見えました。ベン・アフレック演じるゴリゴリマッチョなバットマンがすごい好きだったので、単体映画も楽しみだったんですが、降板してしまって残念。

  • ダイアナ・プリンスワンダーウーマン
    バットマンと共にヒーロー同士を繋ぐ役割のほか、戦闘では最前線に立つくらいに強い人。みんなのお母さん的な立場。演じるガル・ガドットがとにかく美しく、本当にハマり役ですよね。序盤の裁判所?でのテロリスト制圧シーン、動きがめちゃくちゃスピーディになっていてすごい良かった。それとテロリストを壁に叩きつけた際、壁にはヒビが入り床には血だまりもできていて、しっかり殺してるっぽいところも好感が持てました。あんな超パワーの人に普通の人間が壁に叩きつけられて無傷ってのも嘘くさいですしね。あと、ステッペンウルフへの最後のとどめをワンダーウーマンが刺すのが最高でした。

  • バリー・アレンフラッシュ
    ウェドン版では本当にただ速く走れるだけの人って感じでしたが、今作では“時間や次元を超えられる”という能力(スピードフォースとかいうらしい)が出てきて、まさに戦況をひっくり返すキャラクターになっています。序盤のスーパースローの中で女の子助けるシーンは、なんかもうすごかったですね…。どうやって撮ってるんだ…?寝ぼけたクラークとのクロックアップさながらのバトルも、シーンが追加されていてとても良かった。演じるエズラ・ミラーは『ファンスティック・ビースト』では根暗な役だったのに、今作では常に喋ってるようなキャラで、役者ってスゴイと思いました。

  • アーサー・カリーアクアマン
    単体映画でシリーズNo.1のヒットを叩き出した彼ですが、今作でもアトランティスの描写が増え、彼のバックボーンがしっかりと描かれることによって、ウェドン版と比べてキャラの魅力がものすごく上がっているように思いました。演じるジェイソン・モモアがとにかくセクシーかつユーモラスで最高。あとメラを演じるアンバー・ハードがカワイイ。ウィレム・デフォー演じるバルコが出てきたのにも驚きました。ウェドン版には出てないので、追加撮影したんですかね?

  • ビクター・ストーンサイボーグ
    もうほとんど今作の主役といってもいいくらいに描写が増えていました。将来有望なアメフト選手だったことも、母親と事故に遭ったことも、ウェドン版では描写がなかったですしね。(僕が覚えてないだけかもですが)望まぬ力を手にしてしまった悲哀なんかも描写されていて、一緒に戦うまでがサラッとしてた感はあれど、サイボーグのオリジンとしても非常に見応えがありました。あと何と言っても父親とのドラマには感動しちゃいましたね…。
    敵がマザーボックスの最後のひとつを奪いに来た!→奪われるくらいならと、父親がマザーボックスを自身もろとも破壊しようとする→父親は消し炭に…しかもマザーボックスは無傷で、結局敵に奪われる→実は壊せないことも奪われることもわかってて、場所が分かるように内部を超高熱にしていた!
    という展開は「親父…なんて(おとこ)なんだ…(号泣)」となりました。父親の生死に関してはウェドン版とは明確に異なる点。サイボーグを演じたレイ・フィッシャージョス・ウェドンといろいろあったみたいですが、今後も頑張ってほしい。

  • クラーク・ケントスーパーマン
    寝起きの悪い人。

  • ステッペンウルフ
    ウェドン版ではどうにも小物感が否めなかったのですが(最期が雑魚兵にやられるって…)、今作では存在感抜群でした。ビジュアルもブラッシュアップされていて、実写トランスフォーマーみたいなカチャカチャする鎧がカッコよかった。また、どういう立ち位置なのかウェドン版ではイマイチよくわかりませんでしたが、今作では大ボスであるダークサイドも登場し、その尖兵であることも明確になり、更に過去に何かやらかしてその汚名を返上したいという目的もあり、キャラが非常に立っていました。やはり敵に魅力があるほどバトル物は面白くなりますよね。

  • ダークサイド
    ほとんど顔見せ程度でしたが、底の知れない強敵というのはいいもんですね。今後出てくることはあるのだろうか…。この映画自体はDCEUの正史には含まれないことが明言されていますが、設定や登場人物もそうであれば、今作限りってことになりますよね。それは嫌だな…。

  • マーシャン・マンハンター
    原作には詳しくないので、中盤にいきなり出てきて、「え、誰!?」となりました。最後にまた出てきた時も、「え、結局コイツは誰なの…」となりました。次作以降でもっと活躍させる予定だったのかもしれませんが、ダークサイド同様、今後出てくるかわかんないし、なんだかなぁ…という気分になりました。

  • ジョーカー
    エピローグにてちょっとだけ登場。このエピローグ、唐突なディストピアに悪堕ちスーパーマンと、良くも悪くもいかにもザックの趣味といった感じでしたね。演じるジャレット・レトは、『ミスター・ノーバディ』(2009)という映画(最近やってたのとは全然違うヤツ)を見てからすっかりファンになりまして、『スーサイド・スクワッド』の時に新しいジョーカーになると発表されたときは嬉しかったものです。でもスースクの評判も良くないし、ホアキン・フェニックスの『ジョーカー』がものすごく評価されたりして割と不遇な扱いになってしまっていてちょっと残念。でも今作のジョーカーは出番は少なめながら、バッツとのこじらせまくった因縁が垣間見れてなかなかの存在感でした。きっとこれからどんどん活躍していくのでしょう。していく…んですよね…?今後がとても楽しみです。 

 

とまぁ、まだまだ書きたいことはありますが、こんなところにしておきます。

ザックが本当にやりたかったのはこれだったのか、という感じ。それはあくまでザックの自己満足なのかもしれませんが、ファンとしても「これが見たかった!」というものになっていると思いました。ウェドン版でモヤモヤした人、4時間の長尺でも大丈夫という人はぜひ見てほしいです。

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 ということで、映画『ジャスティス・リーグ ザック・スナイダーカット』の感想でした。

ではまた。

ブログはじめました

はじめまして。ブラックさんと申します。
東京在住の普通の、いや普通よりちょっと下くらいのサラリーマンオタクおじさんです。

名前の由来は仮面ライダーBlackが劇中で敵側に呼ばれている本来の名前「ブラックサン(黒い太陽)」から、ブログ名も仮面ライダーBlackにて主人公がよく言ってるセリフからきています。ゴルゴムは敵の秘密結社の名前です。SNSとかは大体この名前を使っています。そうです。特オタです。

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彼が仮面ライダーBlackこと南 光太郎。僕の青春。

最近映画をよく見るようになりまして。今まではInstagramで感想を投稿していたのですが、だんだんと書くことが多くなってきて、スマホで文字打つのめんどいし、写真をメインで投稿する場で長文書いてんの気持ち悪いな…と思い、ブログを始めてみることにしました。用途としては、見た映画の感想を備忘録として残しておくような形になります。専門的な知識などからっきしですし、批評とかするつもりはさらさらないです。なので、読んで面白いとか、参考になったとかにはならないと思いますのでご了承下さい。

特撮アメコミヒーローものが好きで、その辺の作品をよく見ます。ジャンルとしては、頭空っぽにして見れるようなアクション映画が一番好きです。でもいろいろ考えさせられるミステリーとかサスペンスとかも好きです。クソビビりなのでホラーグロはあまり得意ではありませんが、面白そうな作品なら見ます。JKとかがターゲットな恋愛ものはほとんど見ないですね。オッサンなので…。

作品を見る際、とにかく良いところを探すような見方をします。減点方式ではなく加点方式といった感じです。また、悪いところがあっても逆に楽しめてしまうタチです。なので、俗にクソ映画といわれる作品も結構好きで見たりします。

そのほか、漫画アニメフィギュア収集ガンプラミニ四駆など、雑多に手を出しているので、常に金欠です。気が向いたらその辺の記事も書くかもしれません。

 

飽き性なのでいつまで続くかわかりませんが、気の向くままにマイペースに書いていこうと思います。

どうぞよろしくお願いします。